小さい動きで大きな力を出すコツとは

小さい動きで大きな力を出すコツとは

武道には古来「小よく大を制する」という言葉があります。これは体格が小さい人であっても大柄な人を制することができるようになるというものです。それでは実際にどうしたらいいのでしょうか? 単なる理想論ではなく、実際の身体の使い方を工夫することで可能になります。


大きな筋肉を使う

空手では突き・蹴りを多用します。突きだったら腕の筋肉、蹴りだったら脚の筋肉がメインで使われると思われますが、これは「パーツ」を使うにすぎません。腕の筋肉は身体全体からすれば小さいですよね。大きな力を出そうと思ったら腕を太くするという発想になると思います。しかし筋肉を必要以上に大きくしてしまったらスピードが遅くなります。
また、筋肉が大きければ有利ならば「小よく大を制する」には程遠くなってしまいます。

そこで大きな筋肉を使うことが重要です。「突きは背中から」という言い方をすることもありますが、背中(背筋)は身体の中心にあり、しかも大きな筋肉です。そこを起点として力を伝えることができればスピードを落とさずに大きな力を伝える事が可能となります。

パーツではなく、全体の力を使うことが武術としての力の出し方です。

外側ではなく、内側の筋肉を活用する

突き同様に蹴りでも同じ事が言えます。太ももの筋肉はある程度必要ですが、過剰に太くしてしまったらスピードが落ちますし、動きの初めが大きくなります。この「動き初め」をいかに最小にするかがポイントです。武道では「予備動作を無くす」という言い方をしますが、蹴るという動作を相手に分からないようにスタートを切るというものです。

そのためには内側の筋肉(インナーマッスル)を使うと効果的です。蹴る時にはお腹の内側にある「大腰筋」というインナーマッスルを活用します。イメージでいうと、お腹の内側にゴムがあって、そのゴムを引っ張るように脚を挙げると予備動作を最小にして蹴りにつなげることが可能です。

内側の筋肉はイメージすることで使えてきます。
古来より「達人」と言われる人達は小柄な人が多いとされます。そういう人達が大きな力を生んでいるのはこのような身体操作が行われていると考えられます。

さらに深めていけば、呼吸や気の修練などもありますが、筋肉の使い方でいえば、上半身よりも下半身、前面よりも背面、外側よりも内側、と表すことができます。

まとめ

武術と近代スポーツの間には身体の使い方について相違があります。これは東洋と西洋の操作の違いとも言えます。空手はスポーツではなく、武術的な身体の使い方を学んでいきますが、学校で習う体育や通常のスポーツとは違ったアプローチです。
その辺りも考えながら取り組んでいけば、もっと空手の面白さも理解していただけると思います。

本記事は2019年08月23日時点の情報です。記事内容の実施は、ご自身の責任のもとに安全性・有用性を考慮してご利用いただくようお願い致します。

関連する投稿


魅せる動きは使えない!?

魅せる動きは使えない!?

空手の形をご覧になってどういう印象を持ちますか? キレのある動きに加え、派手にジャンプをしたり、キメ顔を作ったりとアクション映画のように魅せる動きをイメージするのではないかと思います。 一方で「実用性」という視点で考えた場合、魅せる動きは「使える」のでしょうか?


疲れる練習と元気になる練習の違いとは?

疲れる練習と元気になる練習の違いとは?

空手を格闘技(スポーツ)として練習するか、武術・武道として練習するか それによって、【疲れる】か【元気になるか】が変わってきます。 どう違うのでしょうか?


武道とスポーツのカラダ使いの違いとは?

武道とスポーツのカラダ使いの違いとは?

武道には独特のカラダの使い方があります。 それはスポーツとはちょっと違うんです。 スポーツは西洋の理論の基づくカラダ使いです。 跳躍力でしたら足で床を蹴って大きく動くというものですね。 一方、武道では足で床を蹴らないで進む(歩く)ことが要求されます。 なぜでしょうか? 武道では相手にとって「分かりにくい動き」が重要です。 床を蹴って動くと、動作の始めが相手に伝わります。 これを「起こり」と言います。 起こりをいかに消すか、というのが武道の動き方です。


空手に必要な力とは?? あなたの筋トレは間違っているかも??

空手に必要な力とは?? あなたの筋トレは間違っているかも??

空手を習い始めると体力をつけたいという思いからトレーニングをする人は多いと思います。それでは空手にとって必要な力はどういうものなのか? どこを意識して鍛えるべきなのか?について触れたいと思います。


空手は健康にいいの?

空手は健康にいいの?

武道は身体にいいと何となく思っている方は多いと思います。実際に70代・80代になっても元気に練習している方もいますから、空手は健康にもいいというイメージがあるのでしょう。空手と健康という点について解説いたします。


最新の投稿


イタリア語教室の料金相場はどれぐらい?初心者でも失敗しない教室選びのポイントなど徹底解説

イタリア語教室の料金相場はどれぐらい?初心者でも失敗しない教室選びのポイントなど徹底解説

イタリア語は、美しい響きと独特のリズムを持ち、多くの人を魅了する言語です。旅行先で現地の人と会話を楽しみたい、留学して本場の文化を学びたい、あるいは仕事でイタリア語を活用したいなど、学び始める理由はさまざまです。しかし、いざ学びたいと思った時に、まず気になるのは「どのくらいの料金で学べるのか」という点でしょう。この記事では、イタリア語教室の料金相場をはじめ、安く抑えるコツから初心者が失敗しない教室選びのポイントまで詳しく解説します。


押し花教室の月謝はどれぐらい?レッスン別の料金相場や教室選びのポイントを紹介

押し花教室の月謝はどれぐらい?レッスン別の料金相場や教室選びのポイントを紹介

押し花(プレストフラワー)は、草花の美しさをそのまま閉じ込め、額装や小物などにアレンジして楽しむクラフトです。最近では趣味としてはもちろん、インテリアや贈り物としても人気が高まっており、はじめてみたいと思う方が増えています。とはいえ、いざ押し花を始めようと思っても「何から手を付ければいいの?」「独学では限界が…」と迷うことも。そんなときに心強いのが、基礎から丁寧に学べる「押し花教室」です。この記事では、押し花に興味を持ちはじめた初心者の方に向けて、気になる押し花教室の費用の目安をはじめ、受講料以外にかかる費用、料金を抑えるコツ、そして教室選びのポイントまで、詳しく紹介していきます。


【中国語教室 料金相場】初めての中国語学習にはスクール受講がおすすめ!初心者が失敗しない選び方も紹介

【中国語教室 料金相場】初めての中国語学習にはスクール受講がおすすめ!初心者が失敗しない選び方も紹介

「中国語を習ってみたいけど、どれくらいの費用がかかるのか分からない」そんな疑問をお持ちの方も多いのではないでしょうか。最近では、ビジネスや旅行、趣味など、さまざまな目的で中国語を学ぶ方が増えてきました。それにともなって、中国語教室の種類やレッスンスタイルも多様になり、料金体系も教室ごとにバラバラです。この記事では、中国語教室を初めて受講しようとしている方に向けて、中国語教室の料金相場から、料金を安く抑えるコツ、初心者でも失敗しない教室の選び方について紹介します。


スペイン語教室の料金相場は?料金を安く抑える方法から初心者が失敗しない教室の選び方を徹底解説

スペイン語教室の料金相場は?料金を安く抑える方法から初心者が失敗しない教室の選び方を徹底解説

スペイン語を学びたいけれど、「どれぐらいお金がかかるのか分からない」と迷っている方は多いのではないでしょうか。特に初めて語学教室を探すときは、料金の仕組みやプランの違いが分かりにくく、不安を感じやすいものです。この記事では、初めてスペイン語教室を受講しようと検討している方に向けて、料金相場など費用の目安、料金を抑える方法、そして後悔しない教室の選び方まで、分かりやすく解説していきます。


ボイトレ教室の料金相場と費用を安く抑えるポイントを解説!初心者が失敗しない教室の選び方も紹介

ボイトレ教室の料金相場と費用を安く抑えるポイントを解説!初心者が失敗しない教室の選び方も紹介

「歌がうまくなりたい」「人前で堂々と話せるようになりたい」「自分の声に自信を持ちたい」…そんな思いから、ボイトレ(ボイストレーニング)教室を検討する方も多いのではないでしょうか。しかし、いざ教室を探し始めると気になる点が次々に出てきます。特に初めての方にとっては、月謝以外の費用や、教室ごとの料金体系の違いがわかりづらく、不安を感じてしまうこともあるでしょう。この記事では、初めてボイトレ教室を検討される方に向けて、レッスン形式ごとの料金相場や、月謝以外にかかる費用、費用を抑えるコツから教室の選び方まで、わかりやすく解説します。