介護職員初任者研修の開始とホームヘルパー2級廃止の理由とは?

介護職員初任者研修の開始とホームヘルパー2級廃止の理由とは?

介護の現場では取得が不可欠だった「ホームヘルパー2級」の資格。今では改称され資格の位置付けや性質も変わりました。この改称と資格の見直しによって、介護職のスキルアップの道が大きく開けました。年齢を重ねてしまった方でも遅くはありません!これからさらに深まる高齢者社会の中で働くための術を見つけてみましょう。


ホームヘルパー2級 呼称変更の目的とは…?

ホームヘルパー(訪問介護員養成研修)制度が廃止されたのは、2012年度末のことです。2013年度からはそれに代わる資格として、「介護職員初任者研修」がスタートされました。「ホームヘルパー2級 廃止」のニュースは、新たに介護業界で働くために準備を始めていた方にはちょっとした衝撃が走りましたが、キャリアアップへ大きな道が開けることが分かりました。

この制度が大きく変わった目的として、これまで複雑だった介護福祉に関する資格制度を一元化することに焦点を当てています。介護従事者が広く国家資格である介護福祉士の資格を取得できるように、必修科目履修の重複を避けるべくシンプルなものへと見直しされたのです。

また、介護福祉士受験資格のハードルを明確にすることにもつながります。その結果、介護福祉士の資格を取得するために複数の資格を取得するといった遠回りを防げます。そして介護ヘルパー研修修了だけでスキルを終了させることなく、多くの方がキャリアアップを目指せるようにする目的があります。

訪問介護員の歴史

訪問介護の歴史は昭和31年にさかのぼります。長野県で開始された家庭養護婦派遣事業が訪問介護の草分けとなりました。当時の養護婦派遣は現在の訪問介護のスタイルとは異なり、難治性の疾患や障害持っている方の家事支援といった趣旨で短期派遣が主でした。

その後、大阪市で開始された臨時家政婦制度(のちに家庭奉仕員派遣制度へ改称)、旧布施市(現在の東大阪市)で開始された独居老人家庭奉仕員派遣制度などを皮切りに全国各地で介護への取組みが広がりました。

その後、国の政策として老人福祉法が制定され、昭和38年に老人家庭奉仕員としてヘルパーの制度化がなされています。当時、自治体による浸透率が低かった老人家庭奉仕員の整備も、昭和48年には89%もの自治体が導入しています。当時は高齢者に対する家庭奉仕員という位置付けでしたが、時代の流れとともに、身体障害者や心身障害児へと対象が広がりました。

厚生省(現在の厚生労働省)は、家庭奉仕員の資質向上を図るために、昭和57年に法改正による70時間の研修制度を導入し、研修受講を家庭奉仕員への採用条件とすることに決定しています。昭和63年には、家庭奉仕員講習会推進事業が創設され、研修時間が360時間へと増強されています。

平成3年には「ホームヘルパー」と呼称を改め、1級~3級の段階別の研修制度を取り入れ、ヘルパーのなり手を広く確保するための整備が行われています。平成7年には、当時の状況に応じた訪問介護院養成研修が制定されています。現在では、平成25年にヘルパーの階級制度が撤廃され、「介護職員初任者研修」「介護職員実務者研修」という二つの研修制度が敷かれています。

介護保険制度が始まる平成12年以前は、自治体からヘルパーが派遣されるという形でしたが、介護保険制度によって、利用者との契約という形態に変更され、利用者からの申し出による介護サービスを受けられるようになりました。これにより、介護従事者の地位向上に成功しました。また、介護予防のためのサービスも受けられるよう、広い形でサポートが行えるように制度作りがなされました。

今後も高齢者社会が進むとされています。その中で更なる介護従事者の養成や制度改革は急務とされています。これからもよりよいサービス作りがなされることでしょう。

介護職員初任者研修とホームヘルパー2級の資格の違い

さて、これまでのホームヘルパー2級の場合は、「訪問介護」に限定した家事支援・身体介護を中心とした資格でした。新しい介護ヘルパー研修(介護職員初任者研修)では訪問介護や施設介護などを問わず、介護職に携わるための基本的な知識や技術を身につけるための研修と位置付けられるようになりました。位置付けの定義を広く解釈しただけであり、基本的にはホームヘルパー2級の定義と変わらないと考えて差し支えありません。

若干の変更があると言えば、認知症患者への理解を深めることや、在宅医療を受けている方のために医療との連携の重要性を学ぶためのカリキュラムが追加された事にあります。地域包括ケアシステムの一端を担うスペシャリスト養成を意識したカリキュラムづくりに変更されました。

資格取得までのステップに違いはある?

高齢者介護に欠かせない介護職員初任者研修は、従来のホームヘルパー2級の取得フローと何ら変わりありません。講義受講と実技実習を合わせて130時間受講することで取得できます。
カリキュラムの中で「医療との連携」「認知症の理解」に関する項目が追加となり、広がる高齢化社会や在宅介護、要介護者に対する生活支援などを意識したものになっています。また高齢者施設における介護の実践的な知識や実技も習得できる仕組みとなりました。

また、資格取得のための履修内容の内訳が変更となり、130時間の研修の中で実技スクーリング重視となりました。内訳は講義40時間・実技実習90時間となっています。実技実習の中で、施設実習は任意となりました。スクーリングの中で演習を重ねただけでも履修時間に含めることができるので、学習に若干の余裕が生まれたと捉えて良いでしょう。
また、筆記式の修了試験に合格しなければ資格を取得することができません。修了試験不合格の場合でも、補講を受講するだけで再試験にチャレンジできます。

未経験から介護職員を目指すなら、どっちを選ぶべき?

未経験から介護職員を目指す場合、「介護職員初任者研修」「介護職員実務者研修」のいずれかの受講修了が必須条件となります。初任者研修を修了すれば介護職員として働く事ができますが、その先サービス提供責任者や介護福祉士、ケアマネージャーになりたいというようなステップアップを考えたときには、「介護職員実務者研修」を修了していることが大前提となります。

実は、介護職員実務者研修は介護未経験者でも受講することが可能です。ただし、初任者研修修了者と比べると履修項目が増えることがデメリットですが、介護の基礎を持っていない方でも、同じ土俵で勉強を重ねることができるといえるでしょう。
また、実務者研修では、たん吸引や経管栄養対象者に対する医療的ケアに携わるための実習も含まれています。

一般的には、「介護職員初任者研修」を修了した後「介護職員実務者研修」へと段階的に研修を重ね実践を重ねていくことが理想的ですが、それぞれの研修を受けると時間や費用が大きくかかってしまいます。年齢的な理由がある場合や、介護に関する知識がある方であれば「介護職員実務者研修」からの受講でも差し支えありません。つまり、どちらの研修を受講しても良いのです。

どちらの研修が先でも介護業界ではスペシャリストとして認められます。介護従事者として利用者さんに寄り添いながら働きたい、将来は介護福祉士やケアマネージャーになり介護従事者や利用者・家族に向けた支援を行いたいというような、ご自身の介護業界における進路を見据えて資格取得を熟考されるとよいでしょう。

まとめ

若干の履修科目の変更はあれど、従来のホームヘルパー2級保持者もそのまま資格を生かせるので、改めて資格を取得する必要はありません。
ホームヘルパー2級保持者や介護未経験者でも「介護職員実務者研修」の受講を修了し、3年以上の実務経験で「介護福祉士」の受験資格が発生します。
また、5年以上の実務経験で「ケアマネージャー(介護支援専門員)」の受験資格発生につなげることができます。
履修時間が多いため、家庭や仕事との両立が難しい場合も考えられますが、キャリアパスがシンプル化され、従来のようなさまざまな履修項目の多さは緩和されています。
未経験からでも介護のスペシャリストとして活躍することが可能です。是非、注目されている資格取得にチャレンジしてみませんか?

本記事は2017年04月27日時点の情報です。記事内容の実施は、ご自身の責任のもとに安全性・有用性を考慮してご利用いただくようお願い致します。

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