医療事務のお仕事とは?
医療事務とは、病院の顔ともいえるお仕事です。受付で保険証の確認や診察券の交付、カルテの準備を行うほか、診察後の会計業務など、実際に患者さんとコミュニケーションをとる場面が多くあります。見舞客や患者の家族への応対も担当します。また、患者のカルテ管理やナースステーションでの看護師のサポートといった裏方で病院を支える役割も求められています。
医療事務のお仕事の中で最も専門性が求められるのは、診療報酬明細書(レセプト)業務とオペレータ業務。レセプト業務では、患者さんの1カ月分の診察費の請求書を作成し、健康保険組合などに請求します。一方、オペレータ業務では、医師が記入したカルテを基に診療内容や検査データを入力、診療費を計算します。
このように、病院の中で医療事務が活躍する場面は数多く、病院の運営に欠かせないお仕事です。それだけに不景気でも求人数が多く、病院があれば全国どこでも仕事を見つけることができます。
医療事務管理士の資格とは? 試験の難易度は高い?
医療事務管理士は、技能認定振興協会(JASMA)が主催する民間資格で、日本で最初の医療事務の資格として誕生しました。病院やクリニックなどで働くための「医科」と歯科医院で働くための「歯科」の2種類あります。
医療事務に必要とされる医療保険制度の知識があり、診療報酬の仕組みを理解し、レセプトを作成できるだけのスキルがある、医療事務のスペシャリストとしての能力があることを証明する資格です。受験資格は特になく、誰でも受験できます。
試験方法方は、会場試験が基本ですが、今は2020年以降の新型コロナウイルス感染症の流行で会場試験は中止となり、その代わりに在宅試験が実施されています。なお、医科については在宅試験のほかに、インターネット試験(IBT試験)も実施されています。
在宅試験は、自宅に宅配された紙の試験問題に回答を記入して、提出期限内に同封の提出用封筒で郵送するというもの。在宅試験日は年6回、基本的に奇数月の第4日曜日です。2021年度の在宅試験日は、7/18(日)、9/26(日)、11/28(日)、1/23(日)、3/27(日)です。なお、試験問題は受験する月の第4土曜日までに届きます。
IBT試験は、ネット接続されたPCを使ったオンライン受験です。PCの画面に表示された試験問題をマウスやキーボードを使って回答します。メリットは、いつでも好きな場所で受験できること。そして、試験が終わってすぐに結果がわかることです。合否はすぐにわかりますが、医科医療事務管理士の認定合格証は受験した月の翌月中旬頃に発送されることになっています。
資格取得を急いでいる方や仕事をしながらの取得を目指している方には、気軽に申し込めてすぐに合否がわかるIBT試験はありがたいですね。IBT試験には体験版もあります。どういう試験なのか不安な方は、実際に受験する前にJASMAのホームページで試してみてもよいかもしれません。
受験料は7,500円(税込)。在宅試験で科目免除がある方は5,400円(税込)となります。科目免除とは、学科、実技のどちらかが合格した場合、合格した科目は6カ月間試験が免除される制度のことです。
どの方法でもテキスト、ノートなどを持ち込めるせいか、難易度はそれほど高くありません。過去6回の合格率の平均は、医科が58.0%、歯科が67.2%。比較的受かりやすいと言えるのではないでしょうか。
医療事務管理士の試験内容、受験方式、試験時間、合格基準は?
■試験内容、受験方式
試験科目は、学科試験とレセプトを作成する実技試験の2種類。 なお、在宅試験とIBT試験とでは受験方式が違います。学科はどちらも選択式ですが、実技は在宅試験の場合は計算機を使って実際にレセプトを作成します。一方、IBT試験は実技も選択式です。どちらの方式で受験しても、能力判定に誤差が出ることを防ぐために、各設問の難易度を調節し、同等の評価となるようにしているそうです。
●在宅試験
学科:10問(マークシートによる択一式)
実技:レセプト点検問題1問、レセプト作成問題2問(医科は外来1問、入院1問、歯科は外来2問)
●IBT試験(医科のみ)
学科:50問(択一式)
実技:60問(択一式)
■出題範囲
・学科
法規:
医科:医療保険制度、公費負担医療制度等についての知識
歯科:医療保険制度、後期高齢者医療制度、公費負担医療制度等についての知識
保険請求事務:診療報酬点数の算定、診療報酬明細書の作成、医療用語等の知識
医学一般:
医科:臓器、生理機能、傷病等についての知識
歯科:生理機能、傷病等についての知識
・実技
診療報酬明細書を作成するために必要な知識
■試験時間
在宅試験:4時間(学科1時間、実技3時間)
IBT試験(医科のみ):3時間
■合格基準
合格基準も、在宅試験とIBT試験では異なります。なお、在宅試験は学科、実技とも合格基準に達したときに合格となります。
●在宅試験
学科:85点以上(100点満点)
実技:各問60%以上の得点、かつ3問合計で85%以上の得点
●IBT試験(医科のみ)
70%以上
医療事務管理士試験の受験対策は、過去問とレセプト作成の練習
医療事務管理士は合格率が比較的高く、受験の際もテキストの持ち込みができるため、独学でも合格できるとも言われています。ただ、確実に合格したいなら、通信講座やスクールを受講したほうがいいでしょう。合格者の声を聞いても、初心者の方や短期間で資格取得を目指す方は、3カ月程度スクールに通ったり、通信講座を受講したりしているようです。
学科の受験対策は、公式に発売されている過去問をとにかく解いてわからない点をつぶしていく、制限時間内に解き終わるように時間を計りながら試験問題にチャレンジする・・・といった方法が多いようです。実技では、レセプトの作成問題が必ず出題されますので、レセプトを作成する練習も重ねましょう。
まずは、テキストをもとにレセプトの計算・算定方法を勉強し、理解します。次に、過去問の解答を見ながらレセプトを書き写してみると、だんだん理解できるようになります。解答を書き写して覚えたあとに、過去問を見て実際に問題を解いてみるとスムーズにいきます。
一方、点検問題はできあがったレセプトをチェックするという試験ですが、間違いを見つけるには正しいレセプトを作成するスキルが必要です。ですので、まずは作成問題から取り組むようにします。
医療事務管理士取得は就職に有利になる?
医療事務の資格を取得すれば、全国どこでも働けるうえ、社会情勢にも左右されず就職先を見つけることができます。雇用形態も、正職員(正社員)だけでなく、パートやアルバイトといった柔軟な働き方が選べます。
医療事務の資格はさまざまな団体が主催していますが、どれも民間資格ですし、資格がなくても医療事務として働けます。実際のところ、資格がなくても、現場で学んだ経験を生かし、医療事務として長年活躍したり、別の職場へ転職している方も多くいます。面接する側も、資格の有無よりも実務経験やパソコンスキル、面接時の印象のほうを重視することもあるようです。
ただ、実務経験がない方や異業種からの転職の場合、資格があれば専門用語やレセプト作成といった知識があることを証明できますし、やる気をアピールすることもできます。就職後も、時給がアップしたり正職員になりやすかったりといったメリットもあるかもしれません。
医療事務管理士の職場は、病院やクリニック、歯科医院での受付がメジャーですが、それだけではありません。健康保険組合や保険請求審査代行機関、民間の保険会社で医療機関から請求されたレセプトを審査するという業務や、システム開発会社で医療用システムの構築に携わるといったキャリアも考えられます 。なかには、公認会計士やコンサルタントなどが、病院を経営する医療法人や自治体へのコンサルティングを行うために、医療事務の知識を身につけるために取得するケースもあります。
医療事務管理士は、病院やクリニックだけでない、幅広いキャリアアップにつながる資格です。一般の医療事務だけでなく専門性を高めたいという方は、医療保険と介護保険の知識を併せ持つ「在宅診療報酬事務管理士」や、 病院での接遇力アップに向けて「ホスピタルコンシェルジュ」 といった資格の取得を目指してもよいかもしれません。
資格取得でキャリアアップを目指そう
ここまで、医療事務の資格としてメジャーな医療事務管理士について、試験内容や合格率、資格取得後の就職などについて説明してきました。医療事務になるには資格は必須ではありませんが、専門的な知識を体系立って覚えるために資格の勉強は役立ちます。医療事務の知識を生かして活躍したい方は、ぜひ医療事務管理士を取得して、キャリアアップを狙ってはいかがでしょうか。
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