医療事務のお仕事ってどういうの?
医療事務が活躍する舞台には、主に「医院」「歯科」「調剤薬局」「医師のサポート」の4つの分野があります。病院の顔である受付や会計、カルテ管理だけでなく、月に一度、患者さんの診療費を保険者に請求する診療報酬業務(レセプト業務)、診断書の作成代行や電子カルテの代行入力を行うクラーク業務など多岐にわたります。
医師や看護師とは異なり、医療事務のお仕事は働くうえで資格はマストではありませんが、専門的な分野ですから、取得していれば時給がプラスになったり、就活に有利になるかもしれません。
合格率から見た医療事務の資格試験
ここでは数ある医療事務の資格のうち、病院や診療所で働く際に有利となる資格を合格率の高い順にご紹介します。在宅試験やインターネットで受験できる試験も増えていますので、新型コロナウイルス感染症の流行で外出を控えたいという方も受験しやすいのではないでしょうか。
■1.『医療事務検定試験』日本医療事務協会主催
医療事務全般の基本的な知識と技術が問われる試験です。合格率も高く、医療事務の資格の中では入門的な位置づけのものです。
●受験資格:日本医療事務協会が認定する医療事務講座の修了者、一般受験申込み者
●受験方法:会場受験(教材、資料の持ち込み・閲覧可)
●試験日:要問い合わせ
●受験料:7,700円(税込)
●試験内容:学科試験、実技試験(計2時間)
【学科試験】正誤問題20問、記述5問
医療保険制度の概要、高齢者医療制度、公費負担医療制度(生活保護)、保険医療機関の受付事務と請求事務、保険診療に関連する法規、診療報酬点数表〔医科〕より点数算定の基礎について
【実技試験】医療費の計算(会計欄)の作成(外来・入院)各1問
基本診療料、医学管理、在宅医療(往診)、検査、画像診断、投薬、注射、リハビリテーション、処置、手術、麻酔、病理診断
●合格率:92.2%(2020年度)
■2.『医療事務技能審査試験(メディカルクラーク試験)医科』一般財団法人日本医療教育財団主催
医療機関における受付業務と診療報酬請求業務の能力を問う試験です。合格者には「メディカルクラーク」の称号が与えられます。
●受験資格:なし
●受験方法:在宅試験(日本国内のみ)
●試験日:
医科:年12回(毎月)
歯科:年6回(5月、7月、9月、11月、1月、3月)
●受験料:7,700円(税込)
●試験内容:学科試験(1時間)、実技試験(計2時間)
【学科試験】択一式問題25問
共通科目:医療保険制度、高齢者医療制度、公費負担医療制度、介護保険制度、医事法規一般、医事業務
選択科目(1科目):診療報酬請求業務、医学一般、薬学一般、診療録
【実技試験I】医事課患者応対に関する記述式問題2問
【実技試験II】診療報酬明細書の点検4問
●合否判定:学科試験、実技試験I・IIのすべての得点率が70%以上
■3.『医科医療事務管理士技能認定試験』技能認定振興協会主催
医療現場を事務面からサポートするためのスキルを証明する試験です。合格者には医療事務管理士の称号が与えられます。
●受験資格:なし
●受験方法:在宅試験、パソコンを用いるインターネット試験(新型コロナウイルス感染症の影響で会場受験は当面中止)
●試験日:
在宅試験:奇数月の第4土曜日翌日(日曜日)
インターネット試験(24時間いつでも)
●受験料:7,500円(税込)
●試験内容:学科試験、実技試験
【学科試験】
在宅試験:マークシート択一式問題10問
インターネット試験:択一式問題50問
法規(医療保険制度・公費負担医療制度等についての知識)、保険請求事務(診療報酬点数の算定・診療報酬明細書の作成・医療用語等の知識)、医学一般(臓器・生理機能・傷病等についての知識)
【実技試験】
在宅試験:診療報酬明細書の点検1問、診療報酬明細書の作成(外来・入院)各1問
インターネット試験:択一式問題60問
●合否判定:
在宅試験:実技試験は得点率が各60%以上かつ3問の合計で85%以上、学科試験は85点以上
インターネット試験:得点率70%以上
●合格率:50%前後(2020年11月は56.3%、2021年1月は64.4%)
■4.『診療報酬請求事務能力認定試験(医科)』公益財団法人日本医療保険事務協会主催
厚生労働省の後援で設立された公益財団法人日本医療保険事務協会が実施する、診療報酬業務に特化した資格試験です。数ある医療事務系の資格の中でも最も難易度が高く、医療事務系の資格で最高峰に位置づけられます。合格すると、手当がついたり、昇給したりと、お給料にも影響を与えるとも言われています。
●受験資格:なし
●受験方法:会場受験(診療報酬点数表、資料の持ち込み可)
●試験日:年2回(7月、12月)
●受験料:9,000円(税込)
●試験内容:学科試験、実技試験(3時間)
【学科試験】マークシート択一式問題20問
医療保険制度等・公費負担医療制度の概要、保険医療機関等・療養担当規則等の基礎知識、診療報酬等・薬価基準・材料価格基準の基礎知識、医療用語および医学・薬学の基礎知識、医療関係法規の基礎知識、介護保険制度の概要
【実技試験】診療報酬明細書の作成(外来・入院)各1問
●合否判定:
学科試験は100点満点中80点以上、実技試験は85点以上
●合格率:過去平均30.2%
資格取得までにどのくらいの期間と費用がかかる?
資格を取得するには、独学で勉強する、スクールに通学する、通信講座で学ぶという3通りの方法があります。
独学で学習する場合、費用はテキスト代や受験料のみですからそれほどかかりませんが、合格するまでにどのくらいの期間がかかるかは本人の努力しだいです。
一方、スクールに通学、あるいは通信講座を受講する場合、テキスト代や受験料以外にもスクールの受講料がかかります。その受講料はだいたい5~10万円ほどですが、一般的に通信よりも通学のほうが高くなります。
受講期間はだいたい1~3カ月です。合格率の高い医療事務検定試験ならば、資格取得までにかかる期間はそのまま受講期間と考えてもいいでしょう。一方、難易度の高い診療報酬請求事務能力認定試験は、学習期間は長めにみておいたほうがいいかもしれません。
新型コロナウイルス感染症の感染拡大を受けて、スクールでも通信講座に力を入れています。また、最近では講師の授業をライブ配信や動画配信したりするなど、通学でも実際に通わなくても学習できるように工夫するスクールも出てきました。
医療事務の試験対策の鍵は、過去問とレセプト作成をしっかりと行うこと
ここまで、人気の医療事務資格について、取得方法や試験の概要をご紹介してきました。費用面だけで言えば、独学を選びたくなるかもしれません。しかし、上記で挙げた資格試験ではいずれも、医学一般知識を問う学科試験と診療報酬明細の作成といった実技試験があります。
そして、医療事務の資格試験の多くは、受験方法を問わず、教材や資料を持ち込めます。つまり、合否を分けるのはどれだけ多くの過去問を解いたか、レセプトをたくさん書いて慣れているかです。実際に手を動かすことが資格試験対策の鍵というわけです。
医療事務は、病院の顔とも言えるお仕事です。直接治療にあたる医師や看護師だけでなく、診療報酬請求事務を通じて、医療機関の収益を支える大事な役割を担っています。人気の医療事務の資格を取得してみてはいかがでしょうか。
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