介護職員の給料は介護保険制度で決まる?給料を上げるのは難しい!
介護職員初任者の給料は、介護保険制度に基づいて事業を行っているため、お世辞にも決して高いものではありません。介護の場合、介護保険の点数が定められているため、より良いサービスを提供しても利益が生まれません。
介護施設の利用者が増えれば収益が上がりますが、働く人員の数に応じて利用者の人数は制限されています。そのため、物を売ったりする仕事のように、より多くの収益を上げることで介護職員の給料を上げるといったことが、とても難しいのです。あくまで介護保険制度の中で運営しているため、介護報酬が上がらないと待遇はよくならない世界です。
介護保険制度の介護報酬って何?決めているのは厚労省!
介護報酬とは「介護サービスを利用したい人に、事業者がサービスを提供した場合、対価として支払われるサービス費用」のことです。
この介護報酬は、厚生労働省が社会保障審議会(介護給付費分科会)の意見を元にして定めています。サービスごとに報酬は設定されており、サービスを提供する側の体制の状況を見ながら増額したり減額したりしています。医療ニーズや地域差、機能訓練など、対象者に合わせたケアプランに応じた加算等も行われます。
介護保険制度利用者は、介護 保険により報酬基準額の1割を支払います。そこから介護サービス事業所では、レセプト作成を行い、被保険者が住民登録をしている自治体へ向け介護給付等の請求を行います。このレセプトをもとに、自治体では報酬基準額の9割を介護サービス事業所へ支払います。
介護保険料は40歳から被保険者として保険料を納付することが義務付けられています。介護保険制度上、一人当たりにかかる介護保険料の50%は国の税金によって賄われています。
40歳から払い込みが始まる介護保険料は、65歳以上に当たる第1号被保険者の中で、要介護または要支援認定を受けた場合に介護サービスを利用することができます。
40歳~64歳までが該当する第二号被保険者の場合、脳血管障害や回復の見込みがないと判断された末期がんなど、16種類の特定疾病が原因で介護が必要になった場合のみ介護保険を利用することができます。
介護報酬が引き下げ!介護職員の給料に影響はなし?
2015年の介護報酬改定では、介護報酬は2.27%の引き下げとなりました。介護報酬の増額や減額は、介護職員への給料に反映します。一般的に報酬が減額されると、給料の減額や介護職員の待遇が悪くなると思われがちです。しかし過去には介護報酬をアップしても、職員への給料には反映されなかったケースもあります。今回の場合は、事業者へ支払われる介護報酬は引き下げになったものの、介護職員・介護ヘルパーへの待遇改善のために当てる費用を増額し、結果的に給料や待遇アップへ繋げる試みとなっています。
ただし、介護サービスを受ける利用者側も自己負担金が増額されるといった変更点も生まれています。そのため、介護従事者に対する待遇はむしろ改善されているのです。
介護報酬改定で、引き上げになった部門もあります。通所リハビリテーションや病院や診療所など訪問系サービスでは報酬がアップしています。
これまで手厚い介護報酬を受けていた特養などでは、内部留保資金と呼ばれる余剰金があると見られています。特養等に対する介護報酬を減らし、訪問系サービスに回すことで、利用者の介護予防や生活面での自立を促すための工夫などにも使われるようになりました。
尚、一部施設において発生していると思われる余剰金(内部留保資金)を防ぐために、外部の会計士の介入によって監督を強める工夫がなされます。経営の透明性が高まるよう、法整備が急がれています。このように国の税金や徴収した介護保険料が適正に使われるよう、国側も全力でサポートしています。
また、2017年の1月18日の発表で、2017年4月から介護報酬を1.14%引き上げることを政府が発表しました。これにより、介護職員の月給が1万円上昇するとされています。
介護福祉士の給料はいくら?
介護福祉士など介護職の人たちの給与は、平成28年度賃金構造基本統計調査の結果をみると、月給は月22万~25万前後とされています。月数回の夜勤を含む場合として提示されているので、夜勤に入らない場合や、国家資格を持たない方に関しては収入が若干減るものと考えられます。
もちろん事業所で管理職やリーダー、サービス提供管理者等の役職についている場合は職務手当による収入増が望めます。
ただし、介護職員初任者研修修了者と介護職員実務者研修修了者との差、勤続年数や年齢給などによる差も生まれます。その他、首都圏と地方で働く介護従事者との給与格差も見られます。首都圏は物価が高いためその分給与に反映される傾向にあります。
会社の規模=給料の高さ?
事業所の規模で給与の違いも見られます。全国規模で運営する民間介護事業所では、1000人規模の介護従事者が働いています。民間介護事業所では、他の介護に関する有料サービス事業などを運営するなど、利益を生み出すための仕組みが確立しているため、従業員に還元できるメリットがあります。また、有資格者であることを入社条件とする事業所も多いため、能力給などが加味された結果、給与に反映されていると考えることもできます。
ただし、一人当たりの残業・超過勤務も多い現実があり、超過勤務手当等の支給もこの結果につながっていると考えられます。手厚いケアを施すことをモットーとするのが、民間介護事業所等の強みです。丁寧な仕事をするために、残業など介護従事者各々の負担が大きくなる傾向にあります。
ただし、規模が大きな事業所では、介護従事者の権利を守るために、労働条件に対するマニュアルができており、勤務シフトの管理体制も厳しいものにしています。いたずらに超過勤務をさせることはなく、「大きな事業所は残業が多い=残業手当で給料増」という図式は考えにくいでしょう。
意外な真実、規模が小さいほどボーナスは高額?
平成28年度賃金構造基本統計調査の結果をみると、介護事業所で働く介護従事者が10人前後の小規模の事業所の方が、1000人規模の事業所よりも賞与面が高額に上ることが分かりました。給与が低い分、ボーナスの支給基本額をあげて労をねぎらう傾向にあるようです。
一部の事業所では年3回の 賞与支給を行う等の工夫を行い、介護職員離れを避けることもあるようです。
精鋭の少人数スタッフでの事業所では、それぞれが実務者レベルのスキルを持っていることも考えられます。サービス提供責任者のポストに就くことや、介護福祉士・ケアワーカーとして働くといった役職の重さも賞与に反映されます。このように、管理職レベルで働く介護従事者の割合が多いこともボーナスが高額に上る理由として考えられます。
まとめ
介護職員初任者の給料は、介護報酬によって左右されます。その反面、国のサポートも手厚くなり、介護職員に対する収入面や地位も確実に向上しています。しかし、収入面が改善されても、仕事の負担は介護職員初任者各々に重くのしかかります。そのため、国による待遇改善を求めることはもとより、介護職員のなり手を一人でも多く増やし、要介護者に対し濃密で良い介護サービスを更に提供できるようにしていくことを努力することが必要です。
将来的に介護が必要になる一般市民による介護業界に対する更なる理解を求めると共に、給与待遇などで介護従事者が優遇される国の制度づくりが待たれます。
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