【2021年版】高齢者を支援する介護の仕事にはどんなものがある?(介護・高齢者福祉領域)

【2021年版】高齢者を支援する介護の仕事にはどんなものがある?(介護・高齢者福祉領域)

急速な少子高齢化によって高齢者が増え続ける日本。しかし核家族化が進んでいることもあり、高齢者や高齢で障がいを持っている方への支援は家族だけでは限界があります。そこで需要が高まっているのが、介護関連のお仕事です。そこで、今後も高い需要が見込まれる介護職でも特に高齢者領域にかかわるお仕事についてご紹介します。


少子高齢化で介護の必要な高齢者が増加する日本

少子高齢化は世界の多くの国・地域で喫緊の課題となっていますが、なかでも日本は世界に類を見ないスピードで少子高齢化が進んでいます。内閣府が発表した「少子化社会対策白書(令和3年版)」によると、2020年の時点で0~14歳の割合が12.0%なのに対し、65歳以上は28.8%です。世界全域での0~14歳は25.4%、65歳以上が9.3%ですから、日本の少子高齢化がいかに進んでいるかがわかります。この差は今後さらに拡大すると予測されており、2065年には0~14歳の割合が10.2%に対し、65歳以上は38.4%までになるとされています。

高齢者の増加によって起こる問題として深刻なのが、高齢の障がい者の増加です。内閣府による「障害者白書(令和3年版)」によると、在宅の身体障がい者で65歳以上の割合は72.6%。1970年には3割程度だったものが7割にまで上昇しています。少子化が進むうえに高齢者や高齢の身体障がい者が年々増加を続けている。これが日本の現状です。

高齢者を支援する介護職にはどういったものがあるか?

ここまで、高齢者と高齢の障がい者が増加し続けている現状を見てきました。このことから、高齢者や高齢の障がい者を支援する介護職がこれまで以上に重要になっていくでしょう。そこで、ここでは高齢者介護に関連する主な介護職を紹介します。

■介護職員
介護福祉施設に入所する利用者に食事や排せつ、入浴、更衣の介助など身体に直接触れる「身体介護」を中心に日常生活を支援します。主な就職先は、介護老人福祉施設(特別養護老人ホーム)や介護老人保健施設、有料老人ホーム、認知症対応型共同生活介護(グループホーム)、通所介護施設(デイサービス)、小規模多機能施設などの介護福祉施設です。

■訪問介護員(ホームヘルパー)
利用者宅に訪問して、介護が必要な利用者の自宅での日常生活を支援します。「ホームヘルパー」とも呼ばれており、代表的な就職先は訪問介護事業所です。提供するサービスは大きく分けて3つ。食事や排せつ、入浴、更衣の介助など身体に直接触れる「身体介護」、掃除や調理、買い物など身体に直接触れない範囲で生活を支援する「生活援助」、通院や受診手続などを介助する「乗降介助」です。なお、訪問介護員として働くには、介護職員初任者研修や介護福祉士実務者研修、介護福祉士などの介護の資格が必要です。

■介護福祉士
法で定められた介護福祉の専門職で、国家資格です。介護に関する知識とスキルを持つプロとして介護サービスを提供するのみならず、リーダーとして介護職員に対する指導も行います。就職先は、介護老人福祉施設(特別養護老人ホーム)や有料老人ホーム、通所介護施設(デイサービス)、認知症対応型共同生活介護(グループホーム)、訪問介護事業所など、多様な介護福祉施設・事業所があります。

■生活相談員/支援相談員
利用者とその家族に対する相談援助、ケアプランの作成、関係各所との連携・調整、介護職員のサポート、利用開始・中止の手続きや苦情対応などの窓口業務などを行います。介護老人福祉施設(特別養護老人ホーム)や有料老人ホーム、通所介護施設(デイサービス)などの介護福祉施設では生活相談員、介護老人保健施設では支援相談員と呼ばれています。生活相談員、支援相談員という資格はありませんが、この仕事をするには社会福祉士、精神保健福祉士、社会福祉主事任用資格のいずれかの資格が必要です。なお、都道府県によっては、ケアマネジャーや介護福祉士などの資格でも生活相談員になれることもあります。

■介護支援専門員(ケアマネジャー)
介護保険法に基づいてケアマネジメントを提供する専門職です。主な仕事内容は、介護サービス計画書(ケアプラン)の作成、利用者とその家族に対する相談援助、要介護度の認定業務などです。主な就職先は、居宅介護支援事業所、介護老人福祉施設(特別養護老人ホーム)や介護老人保健施設、認知症対応型共同生活介護(グループホーム)、有料老人ホームなどの介護福祉施設です。

■サービス提供責任者
訪問介護サービスの管理をします。仕事内容は、利用者とその家族に対する相談援助、訪問介護計画書やサービス提供手順書の作成、ケアマネジャーとの連携・調整、同行訪問、ホームヘルパーの支援・指導など多岐に渡ります。就職先は訪問介護事業所です。サービス提供責任者という資格はありませんが、この仕事をするには介護福祉士の資格、実務者研修の修了、(旧課程)ホームヘルパー1級課程の修了のいずれかを満たす必要があります。

■福祉用具専門相談員
日常生活で福祉用具を必要とする利用者を支援する専門職です。仕事内容は、福祉用具の選択、福祉用具サービス計画書の作成、福祉用具の使い方の説明、定期的なモニタリングです。代表的な就職先は福祉用具貸与・販売事業所です。この仕事をするには、「福祉用具専門相談員指定講習」を受講する必要があります。ただし、介護福祉士、社会福祉士、看護師、理学療法士、作業療法士、義肢装具士などの国家資格を取得していれば、講習を受講しなくても福祉用具専門相談員の仕事を行えます。

高齢者の介護職として取得しておきたい資格とは?

介護福祉施設で介護職員としてならば無資格でも働けますが、介護業界でキャリアップを目指すならば資格取得は必須です。ここでは、取っておくと就職に有利な4つの介護系の資格をご紹介します。

●介護職員初任者研修:介護職をするうえで基礎となる資格です。修了するには、130時間の講習の受講と修了試験での合格が必要です。

●介護福祉士実務者研修:介護職員初任者研修に次ぐ資格です。修了するには、450時間の講習が必要です。なお、次のステップの介護福祉士国家試験を実務経験ルートで受験するには、介護福祉士実務者研修を修了している必要があります。

●介護福祉士:介護系の資格の中では唯一の国家資格です。資格を取得するには、介護福祉士国家試験に合格する必要があります。受験資格の1つのルートは、介護福祉士実務者研修を修了し、3年間介護等の実務経験を積むことです。

●介護支援専門員(ケアマネジャー):介護系の資格では最も難関と言われています。資格を取得するには、介護支援専門員実務研修受講試験に合格後、87時間以上の介護支援専門員実務研修を受講する必要があります。また、受験資格として5年以上の実務経験が必要です。

高齢者の介護にかかわるお仕事は、無資格でできるものもありますが、多くは資格を必要とします。なぜなら、介護のお仕事は仕事をするうえで専門知識とスキルが必要で、資格はそれを証明するものだからです。10年後、20年後にどうありたいか。キャリアプランを考えながら、資格取得を目指してはいかがでしょうか。

「介護職員初任者研修(旧名称ホームヘルパー2級)」の講座・レッスンを探す
本記事は2021年10月22日時点の情報です。記事内容の実施は、ご自身の責任のもとに安全性・有用性を考慮してご利用いただくようお願い致します。

関連する投稿


介護現場で役立つ資格・研修の種類まとめ!取得方法やメリット・難易度についても解説

介護現場で役立つ資格・研修の種類まとめ!取得方法やメリット・難易度についても解説

団塊の世代が75歳以上の後期高齢者となり、日本が超高齢化社会になる「2025年問題」。そんな超高齢化社会を目前に、介護サービスへのニーズの高まりも手伝って、介護業界へチャレンジする方、すでに介護業界で活躍されていてスキルアップ・キャリアップをお考えの方をはじめ、ご家族に介護が必要になったときのために正しい知識を身につけておきたいなどの理由から、介護資格の取得を検討する方が増えてきています。この記事では介護資格・研修の種類や取得メリット、資格試験があるものは難易度や合格率もあわせて紹介します。


【2021年度版】ハロートレーニングと民間のスクール、どちらで介護の資格を取得したらいい?

【2021年度版】ハロートレーニングと民間のスクール、どちらで介護の資格を取得したらいい?

介護業界で長く働こうと思うのならば、最低でも介護職員初任者研修は修了しておきたいもの。とはいえ、民間のスクールを受講するには受講料がかかります。でも離職中ならば、ハロートレーニング(公的職業訓練)を利用するという手があります。そこで、今回はハロートレーニングを活用して介護の資格を取得する方法と、ハロートレーニングと民間スクールのどちらで受講したらいいのか、双方のメリット・デメリットを比べてみました。


【2021年版】障害者を支援する福祉の仕事にはどんなものがある?(障害者福祉領域)

【2021年版】障害者を支援する福祉の仕事にはどんなものがある?(障害者福祉領域)

2013年4月、障害者自立支援法に代わり障害者総合支援法が施行されました。対象となるのは、身体障害者、知的障害者、発達障害者を含む精神障害者、指定された難病を患っている人です。厚生労働省の「障害者白書(令和3年版)」によると、身体障害児・者は436万人、知的障害児・者は109万人、精神障害児・者は419万人。この数は年々増加しています。障害は、決して特別なものではありません。事故や病気などで、誰もが障害を負う可能性があります。そこで、ここでは介護福祉職の中から障害者福祉に関わるお仕事についてご紹介します。


【2021年度版】介護職の職場環境を改善する「介護職員処遇改善加算」と「介護職員等特定処遇改善加算」はどういう制度?

【2021年度版】介護職の職場環境を改善する「介護職員処遇改善加算」と「介護職員等特定処遇改善加算」はどういう制度?

団塊の世代が後期高齢者になる2025年に向けて、介護人材の需要が高まっています。しかし残念ながら、介護職の給与は他業種に比べて高いとは言えないのが現実です。そのため、介護業界での長期的なキャリアを視野に入れて活躍する人は少なく、年間を通じて新規職員を採用する事業所も少なくありません。政府はこうした現状を打開するために、介護職員の待遇改善を図るさまざまな政策を打ち出しています。今回は、経験・技能のある介護職員の処遇を改善し、介護職のキャリアパス整備を目指す制度である「介護職員処遇改善加算」と「介護職員等特定処遇改善加算」についてご紹介します。


福祉用具専門相談員になるには? 資格の取得方法、取得後の仕事内容、就職先をご紹介

福祉用具専門相談員になるには? 資格の取得方法、取得後の仕事内容、就職先をご紹介

福祉や介護の仕事というと、介護福祉士やケアマネージャーなどを思い浮かべる人が多いかもしれません。しかし、それ以外にも福祉や介護のお仕事はたくさんあります。福祉用具専門相談員もそのひとつ。要介護の利用者に対して福祉用具の相談に乗り、その人に適した福祉用具を提案するというお仕事です。そこで、今回は福祉用具専門相談員とはどういった仕事なのか、資格は必要なのか、仕事内容や就職先などについてお伝えします。


最新の投稿


高まるダンス人気!ダンススクールの料金相場や安く抑えるためのポイントを紹介

高まるダンス人気!ダンススクールの料金相場や安く抑えるためのポイントを紹介

近年、習い事としてダンスがますます人気を集めています。特に子どもや若者を中心に、体を動かしながらリズム感や柔軟性を養うダンスは、運動不足の解消やストレス発散にも効果的です。ダンスにはさまざまな種類があり、ヒップホップやバレエ、ジャズダンスなど、年齢や個性に応じて楽しむことができます。この記事では、初めてダンスを習う方や、どのスクールを選べばよいか迷っている方に向けて、ダンスの魅力や種類、ダンススクールの料金相場について詳しく解説し、特にダンススクールに通う際の費用やコストを抑えるための工夫についても紹介します。


大人向けピアノ教室の月謝はどのくらい?レッスン料金相場や安く抑えるポイントを紹介

大人向けピアノ教室の月謝はどのくらい?レッスン料金相場や安く抑えるポイントを紹介

大人になってから「ピアノを習ってみたい」と思った方も多いのではないでしょうか。ピアノは子どもから大人まで楽しめる楽器で、特に大人になってから始めることで得られる楽しさや充実感は格別。趣味として、あるいは仕事や日常のストレス解消を目的に、ピアノを始める方が増えています。しかし、ピアノ教室に通うにあたって、どのくらいのレッスン料がかかるのか、また月謝以外に発生する料金などについて気になるところです。本記事では、これからピアノ教室に通おうと検討している方に向けて、ピアノ教室の月謝の相場やその内訳について解説します。


ネイルスクールの学費はどれぐらい?料金相場と安く抑えるための方法、スクール選びのポイントも紹介

ネイルスクールの学費はどれぐらい?料金相場と安く抑えるための方法、スクール選びのポイントも紹介

ネイルは、女性だけでなく男性にも人気の高いビューティケアとして注目されています。その中で、プロのネイリストを目指す方や、自分でネイルケアを楽しむためにスキルを磨きたい方も多いのではないでしょうか。しかし、ネイルスクールに通うことを検討する際、多くの方が気になるのが「料金」です。この記事では、ネイル業界で働きたい方、スキルアップを目指している方に向けて、ネイルスクールの料金相場や費用を抑えるためのポイント、スクールの選び方など詳しく解説します。


料理上手になりたい人へ!料理教室の料金相場や選び方、料金を安く抑えるポイントを紹介

料理上手になりたい人へ!料理教室の料金相場や選び方、料金を安く抑えるポイントを紹介

最近では、自宅で料理をする機会が増え、料理の腕を磨きたいと考える人が増えています。そんな中、料理教室は単に料理の技術を学ぶだけでなく、新しい出会いや楽しい時間を過ごせる場所としても注目されています。とはいっても「料理教室って高そう…」「どんな料金システムなんだろう?」といった疑問をお持ちの方も多いのではないでしょうか。この記事では、料理教室の基本的な情報から料金相場、お得に通うコツまで、詳しく紹介します。


加圧トレーニングはダイエットに効果的!料金相場やスクールを選ぶ際のポイントを解説

加圧トレーニングはダイエットに効果的!料金相場やスクールを選ぶ際のポイントを解説

加圧トレーニングは、通常の筋トレとは異なり、筋肉に負担をかけずに短時間で効果を得ることができるトレーニング方法です。短期間で効果を感じることができるため、ダイエットや筋力向上、美容に関心がある方々にも幅広く利用されています。この記事では、これから加圧トレーニングをはじめようとしている方に向けて、加圧トレーニングの基礎知識や効果、スクールやトレーニング施設の料金相場や選ぶ際のポイントなど詳しく解説します。