【2021年度版】介護職の職場環境を改善する「介護職員処遇改善加算」と「介護職員等特定処遇改善加算」はどういう制度?

【2021年度版】介護職の職場環境を改善する「介護職員処遇改善加算」と「介護職員等特定処遇改善加算」はどういう制度?

団塊の世代が後期高齢者になる2025年に向けて、介護人材の需要が高まっています。しかし残念ながら、介護職の給与は他業種に比べて高いとは言えないのが現実です。そのため、介護業界での長期的なキャリアを視野に入れて活躍する人は少なく、年間を通じて新規職員を採用する事業所も少なくありません。政府はこうした現状を打開するために、介護職員の待遇改善を図るさまざまな政策を打ち出しています。今回は、経験・技能のある介護職員の処遇を改善し、介護職のキャリアパス整備を目指す制度である「介護職員処遇改善加算」と「介護職員等特定処遇改善加算」についてご紹介します。


介護人材の獲得を目指した介護職員処遇改善加算

介護職員処遇改善加算は、介護職員の賃金アップや環境・制度を整備するために国から事業所に支給される手当です。2011年まで運用されていた「介護職員処遇改善交付金」に変わる制度として、2012年に開始されました。算定要件の区分が5つに分かれており、その区分ごとに加算額が異なります。

算定要件は、「キャリアパス要件」が3項目と「職場環境等要件」があります。すべての要件を満たすと、事業所は加算Iとして介護職員1人当たり月額37,000円相当の加算を受け取れ、その分、介護職員の給料も上がります。

処遇改善加算を取得している事業所は、キャリアパス整備や職場改善に取り組んでいるということであり、賃金面だけでなく働きやすさの面も整えられた事業所といえます。就職先や転職先を判断するうえでも、処遇改善加算が導入されているかどうかは1つの指標になるでしょう。

キャリアパス要件

I 役職や仕事内容に応じた任用要件と賃金体系を整備する。
II 資質向上のための計画を策定し、研修を実施したり、研修の機会を設ける。
III 勤続年数や経験、資格に応じて昇給する仕組み、または実技試験や人事評価など一定の基準に基づいて定期昇給を判定する仕組みを設ける。

職場環境等要件

賃金改善以外の処遇改善の取り組みを実施し、その内容をすべての介護職員に周知する。介護職員の負担を減らすためにICTツールや介護ロボットの活用、マネジメント研修の受講支援、新人の離職を防ぐためにメンター制度導入、子育てと仕事の両立を図るための育休制度の充実、経営・人材育成理念の見える化など、「資質の向上」「職場環境・職場の改善」「その他」の3区分から1つ以上を実施する。

さらなる待遇改善を実現するために導入された介護職員等特定処遇改善加算

2019年10月より導入された介護職員等特定処遇改善加算は、介護業界で経験を積み、高いスキルを持つ職員の処遇改善を目的とした制度で、介護職員処遇改善加算に上乗せする形で介護報酬を加算して支給します。高いスキルを持ち、経験豊富な職員を優遇することで職員のモチベーションを高め、離職を防ぐ狙いがあります。

算定要件は以下の3つですが、すべての介護職員を「経験・技能のある介護職員」「その他の介護職員」「その他の職種」の3グループに分け、それぞれ配分ルールが定められています。なお、配分ルールは、2021年の介護報酬改定で見直しされています。

ここで想定されている「経験・技能のある介護職員」とは、基本的には「勤続10年以上の介護福祉士」です。つまり、現場のリーダークラスの介護職員ということです。ただ、区分は事業所の裁量に任されていますから、同じ職場に10年以上勤めていなくてもキャリアを通じて10年以上の経験があればOKとしていたり、スキルがあれば10年以下でも認められるケースもあります。また、「その他の職種」とは介護職員以外の従業員のことです。

介護職員等特定処遇改善加算は加算率が2区分に分かれており、介護サービスの種類によって異なります。たとえば、訪問介護では特定加算Iが6.3%、加算IIが4.2%ですが、特定施設入居者生活介護(有料老人ホーム)は特定加算Iが1.8%、加算IIが1.2%、介護老人福祉施設(特別養護老人ホーム)は特定加算Iが2.7%、加算IIが2.3%、認知症対応型共同生活介護(グループホーム)は特定加算Iが3.1%、加算IIが2.4%と、かなりの差があります。

算定要件

(1)介護職員処遇改善加算I~IIIのいずれかを算定している
(2)介護職員処遇改善加算の職場環境要件の「資質の向上」「職場環境・職場の改善」「その他」の3区分について1つ以上の取り組みを行っている
(3)介護職員処遇改善加算への取り組みについて、ホームページへの掲載などを通じて周知している

配分ルール

(1)「経験・技能のある介護職員」のうち1人以上に対して、平均引き上げ額が月額8万円以上、または賃金改善後の見込み年収が440万円(役職者を除く全産業平均水準)以上である
(2)平均引き上げ額は、「経験・技能のある介護職員」は「その他の介護職員」よりも大きく、「その他の介護職員」は「その他の職種」の2倍以上
(3)「その他の職種」の賃金改善後の見込み年収は440万円を上回らない

介護業界で長く活躍するために

ここまで、介護職員の処遇を改善し、介護職のキャリアパス整備を目指す介護職員処遇改善加算と介護職員等特定処遇改善加算について、制度の概要や受給要件、配分のルールについてご紹介してきました。

今後、人口の多い団塊の世代が後期高齢者となれば、高齢化はますます進み、国内の介護需要も増加するでしょう。しかし、少子化による労働力人口の減少に直面する日本では、「低賃金できつい仕事」というイメージのある介護業界に、なかなか人は集まりません。介護職員処遇改善加算は、こうした介護業界の問題解決に向けて賃金面を引き上げるだけでなく、働きやすい職場環境づくりを目指して導入された制度です。2019年には、介護職員が長期的なキャリアが描けるよう支援するために、介護職員等特定処遇改善加算も導入されました。

こうした制度によって、介護業界を取り巻く環境は変化しつつあります。これから新たに介護関係の資格を取得してキャリアの一歩を踏み出す方だけでなく、介護業界での経験を持ちながら現場から離れている方も要チェックと言えそうです。

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本記事は2021年10月12日時点の情報です。記事内容の実施は、ご自身の責任のもとに安全性・有用性を考慮してご利用いただくようお願い致します。

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