ハロートレーニングなら、無料で介護の資格が取得できるってホント?
ハロートレーニングは仕事を探している人が、必要とされる職業スキルや知識を習得するための制度です。ですから、働く意思と能力さえあれば、テキスト代だけで誰でも無料で受講できます(在職者や学卒者を対象としたハロートレーニングは有料)。
そのハロートレーニングには、雇用保険を受給している求職者が対象の「公共職業訓練(離職者訓練)」と、雇用保険を受給していない方や受給を終了した求職者が対象の「求職者支援訓練」の2つあります。「公共職業訓練(離職者訓練)」は国や都道府県、都道府県から委託を受けた民間教育訓練機関等で、求職者支援訓練は民間教育訓練機関等で受講できます。
・公共職業訓練(離職者訓練):雇用保険を受給している求職者が対象。訓練期間は3ヵ月~1年。
・求職者支援訓練:在職中雇用保険に加入できなかった人、加入期間が短いため受給資格がない人、自営業を廃業した人、就職先が決まらなかった新卒者、再就職が決まらないまま雇用保険の受給期間が終了した人、一定額以下の収入のパートタイムで働きつつ正社員へのキャリアアップを目指す人、一定額の収入があるけれどもスキルアップを目指す人などが対象。訓練期間は2~6ヵ月。
介護系の訓練コースには、介護職員初任者研修や介護福祉士実務者研修、介護福祉士、福祉用具専門相談員、ガイドヘルパーなど多種多様なコースがあります。訓練期間はコースによって異なりますが、介護職員初任者研修はだいたい2~4ヵ月、介護福祉士実務者研修は6ヵ月、介護福祉士は24カ月です。
また、雇用保険を受給している人は、基本手当のほかに日額500円の受講手当や通所手当が支給されます。一方、雇用保険を受給していない人でも、支給要件を満たせば、月額10万円の職業訓練受講給付金や通所手当、寄宿手当が支給されます。なお、要件を満たしていなくても受講は可能です。
求職者支援制度ってはどういうもの?
さきほど、ハロートレーニングには公共職業訓練(離職者訓練)と求職者支援訓練の2つあると説明しました。このうち後者の求職者支援訓練は、求職者支援制度に基づいて実施されているものです。
求職者支援制度とは、再就職や転職を目指す人に無料の職業訓練の受講機会を提供することで、求職者の早期就職を支援するという制度です。対象となるのは、働く意思と能力があり、ハローワークに求職の申込みをしている人のうちハローワークが職業訓練などの支援を行う必要があると認められた人です。たとえば、次のような人です。
(1)雇用保険の適用がなかった離職者
(2)雇用保険の受給修了者
(3)フリーランスや自営廃業者など受給資格要件を満たしていない人
(4)一定額以下の収入のある在職者のうち正社員への転職を目指す人
(5)親と同居している学卒未就職者など、同居家族がいて一定の世帯収入がある人
(6)在職者で一定の収入がある人
上記のうち、無料の職業訓練と給付金を受給できるのは(1)~(4)に該当する人です。(5)と(6)に該当する人は、給付金は受給できませんが、職業訓練は受講できます。なお、雇用保険被保険者や雇用保険受給資格者は雇用保険を受給できるため、適用外となります。
給付金は、月額10万円の訓練受講手当、定期代などの通所手当(上限月額42,500円)、月額10,700円の寄宿手当の3つ。訓練受講手当は、訓練を受講している期間受け取れます。たとえば、訓練期間が4ヵ月ならば、10万円×4ヵ月=40万円を受給できます(訓練の開始日から1ヶ月ごとに区切った期間。ただし、日数が28日未満の期間については別途計算)。寄宿手当は通所のための往復所要時間が4時間以上など、住所の変更が必要とハローワークが認めた場合のみ支給されます。ただし、給付金を受給するには、次の7つの要件を満たす必要があります。
・給付金支給単位期間について、本人の収入が月額8万円以下(令和4年3月末までの特例措置として、月額12万円以下に緩和)
・世帯全体の収入が月額25万円以下
・世帯全体の金融資産が300万円以下
・現に居住する土地、建物以外に土地、建物を所有していない
・すべての訓練実施日に出席する(やむをえない事情があった場合でも8割以上出席する)
・世帯の中で同時に当該給付金を受給して訓練を受けている者がいない
・過去3年以内に不正行為により特定の給付金の支給を受けていない
ハロートレーニングと民間スクール、どっちを選んだらいい?
■ハロートレーニングで介護職員初任者研修を受講するメリットとデメリット
メリットは2つあります。1つ目は、テキスト代と講習に通う交通費、実習にかかわる健康診断料などの実費負担だけで、受講料そのものは無料なことです。そして2つ目は、一定の要件を満たせば、雇用保険や給付金・奨励金を受給できることです。基本的に、職業訓練で介護の資格取得を目指す人たちというのは失職中で、収入がありません。ですから、経済的な支援を受けながら資格取得ができるのは大きなメリットと言えるでしょう。
ただし、受講するには要件があります。まず、働く意思と能力があることです。そして、ハローワークに求職申し込みと職業訓練の受講申し込みをし、面接と筆記試験に合格しなければなりません。また、開講時期や定員も決まっていますし、スクールの選択肢も多くありません。場合によっては受講までにかなりの日数を要してしまうケースも少なくないでしょう。さらに、訓練が終われば、すぐに就職しなければなりません。自由度が小さく、選考試験があるのはデメリットかもしれません。
■民間のスクールで介護職員初任者研修を受講するメリットとデメリット
民間のスクールは学校の数が多いですし、通学だけでなく通信講座もあります。介護職員初任者研修の場合、スクーリングがあるため、完全に通信だけで完了できませんが、通学よりも自由度は高くなります。このように自分の予定に合わせてスケジュールを組めるため、働きながらでも自分のペースで受講できる点は大きなメリットと言えるでしょう。また、ハロートレーニングと違い、受講し終わったからといって、すぐに就職する必要もありません。将来のために受講しておくということも、民間のスクールなら可能なのです。
しかし、民間のスクールはお金がかかります。入学金や受講料、テキスト代、交通費など、それなりの金額になるのはデメリットと言えるでしょう。ただ、コストを抑える方法もあります。それは、教育訓練給付金制度を利用できる講座を受講することです。いくつかの要件はあるものの、ガイドヘルパーならば受講料の20%(上限年間10万円)、介護職員初任者研修や福祉用具専門相談員ならば受講料の40%(上限年間20万円)、介護福祉士や社会福祉士など業務独占資格ならば受講料の最大70%(年間上限56万円・最長4年)に相当する額が受講修了後に教育訓練給付金として支給されます。
自分が置かれている状況に合わせて選択する
ここまで、ハロートレーニングとハローワークの求職者支援制度について説明し、ハロートレーニングと民間のスクールを比較しました。それぞれのメリット・デメリットを見ると、早く資格を取得したい人、働いていて収入がある人、将来のために資格を取得したい人は、自由度の高い民間のスクールのほうが適しているでしょう。自分のペースで受講できます。一方、失業中であったり、現状の収入が少なかったりですぐにでも介護の仕事に就きたい人はハロートレーニングのほうが適しています。それぞれの状況に応じて自分に合ったほうを選択するのが最適と言えます。
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