利用者宅? 施設? 介護職員初任者研修修了後はどういう職場で働くことになる?
介護の仕事といっても、働く場所は利用者の自宅であったり、特別養護老人ホームやグループホームなどの介護施設だったりとさまざまです。もし、介護の仕事が未経験だったら、どのような場所で働くことになるのか気になるのは当然です。
介護サービスは、要支援者や要介護者のいる場所で提供します。その場所とは、大きく「利用者宅」「利用者が通う施設」「利用者が居住する施設」の3つに分けられます。介護サービスの分類では、これらを「訪問系サービス」「通所系サービス」「居住・施設系サービス」と言います。
■訪問系サービス
訪問介護員(ホームヘルパー)が要支援・要介護の方(以下、「利用者」)の自宅を訪問し、利用者が自宅で自立した生活を送るための手助けをするサービスのことです。
訪問系の介護サービスには、「訪問介護」「夜間対応型訪問介護」「定期巡回随時対応型訪問介護・看護」「訪問入浴介護」「訪問看護」「訪問リハビリステーション」「居宅療養管理指導」などがあります。この中で介護職員初任者研修を修了した人が従事できるのは「訪問介護」「夜間対応型訪問介護」「定期巡回随時対応型訪問介護・看護」「訪問入浴介護」です。「訪問看護」「訪問リハビリステーション」「居宅療養管理指導」などに従事できるのは、看護師や理学療法士、医師などの専門職となります。
訪問介護では、ホームヘルパーが利用者に食事や入浴、排せつを介助する「身体介護」、調理や洗濯などの日常生活を支援する「生活援助」、通院の送迎や受診の受付などを支援する「通院等乗降介助」の3つがあります。
訪問入浴介護は、利用者宅に簡易型浴槽を運び、利用者の入浴を手伝います。原則として、看護師1人、ホームヘルパー2人の合計3人で行います。
■通所系サービス
利用者が施設に通い、食事や入浴、機能訓練など各種サービスを受けながら日中を過ごすサービスのことです。通所系の介護サービスには、「通所介護(デイサービス)」「認知症対応型通所介護」「通所リハビリステーション(デイケア)」などがあります。介護職員初任者研修を修了した人が従事できるのは「デイサービス」「認知症対応型通所介護」などで、「デイケア」は理学療法士や作業療法士、言語聴覚師などの専門職の仕事となります。
デイサービスは、利用者に食事や入浴、娯楽を提供するサービスです。デイサービスで楽しめる娯楽には、体操やゲーム、麻雀、カラオケ、絵画など各種ありますが、提供するプログラムはデイサービスによって異なります。
■居住・施設系サービス
介護施設に入居して、24時間の介護を受けられるサービスのことです。「短期入所生活介護(ショートステイ)」「短期入所療養介護(医療型ショートステイ)」「介護老人福祉施設(特別養護老人ホーム)」「介護老人保健施設」「介護医療院(旧介護療養型医療施設)」「認知症対応型共同生活介護(グループホーム)」「特定施設入居生活介護」などがあります。居住・施設系サービスの場合、介護職員初任者研修を修了した人が働く職場は利用者が居住する施設となります。
短期入所生活介護(ショートステイ)/短期入所療養介護(医療型ショートステイ)
ショートステイは、短期間、食事や入浴など日常生活を支援するサービスです。利用できる日数は、1回当たり最長30日までと制限があります。ショートステイを提供する施設は、介護老人福祉施設(特別養護老人ホーム)や介護老人保健施設などです。一方、医療型ショートステイはショートステイよりも医療的措置が必要な利用者を対象とするサービスで、介護老人保健施設や病院などの施設で提供されます。
特定施設入居生活介護
都道府県知事の指定(認可)を受けた有料老人ホーム、サービス付き高齢者住宅、ケアハウス(経費老人ホーム)などの施設のことで、その多くは民間の法人が運営しています。
介護付き有料老人ホームや介護型ケアハウスの場合、24時間介護職員が常駐し、食事や入浴、排せつの介助など利用者の日常生活を支援します。一方、サービス付き高齢者住宅や自律型ケアハウス、住宅型有料老人ホームは、日中は生活相談員が常駐し、入居者の安否確認や生活支援、緊急対応を行いますが、介護サービスは外部事業者が提供します。そのため、介護職員初任者研修を修了した人が働く職場は利用者が入居する施設ですが、所属は外部事業者となります。
介護老人福祉施設(特別養護老人ホーム)
要介護者を対象とした施設で、原則として要介護「3」以上の方でないと入所できません。食事や入浴、排せつの介助など利用者の日常生活を支援するほか、機能訓練を受けることができます。
介護老人保健施設
食事や入浴、排せつの介助など利用者の日常生活の介護と医療ケアを提供する施設です。在宅復帰を前提に、リハビリテーションに重点が置かれています。入所期間の平均は1年程度と、原則的に長期入所はできません。
介護医療院(旧介護療養型医療施設)
2017年度に廃止となった「介護療養型医療施設」に代わる、長期療養を必要とする要介護者を対象とした施設です。日常的な医療措置、食事や入浴、排せつの介助など利用者の日常生活の介護、看取りやターミナルケア(終末期医療)を提供します。
認知症対応型共同生活介護(グループホーム)
認知症の利用者が少人数で共同生活する施設です。家庭的な雰囲気で、食事や入浴、排せつの介助など利用者の日常生活を支援し、機能訓練を提供します。
介護の職場を選ぶ3つのポイント
ここまで、介護職の代表的な職場をご紹介しました。介護の仕事を目指す際に、就職先は訪問系がいいのか、通所系がいいのか、それとも居住・施設系がいいのか。待遇としては、正職員がいいのか、パートがいいのか。あるいは夜勤専門で働くということもできます。事務職などに比べると選択肢は多様ですから、かえって悩むかもしれません。そこで、ここでは職場を選ぶ3つのポイントをご紹介します。
■ポイント1:給与や福利厚生などの待遇と職場の雰囲気を確認する
介護職員の離職理由でよく挙がるのが「待遇・給与面での不満」です。面接の場では給与や福利厚生に関する質問はしにくいかもしれませんが、長く働きたいのであれば、しっかりと確認しておくことをおすすめします。
一口に介護の仕事と言っても、上述したように職場によってサービス内容や対応する利用者は異なります。たとえば、特別養護老人ホームなどの施設には要介護度が高かったり、認知症を患っていたりといった方も多く入所しています。こういった施設は給与が高めに設定されていますが、その分身体的、精神的な負担が大きくなる可能性もあります。
職場や施設の雰囲気に関しては、施設のウェブサイトだけを参考にするのではなく、可能であれば施設見学も希望するとよいでしょう。利用者やスタッフの様子を見れば、働きやすい施設かどうかがわかります。直接聞きにくければ、口コミサイトなどの情報も参考にしましょう。
■ポイント2:どのような働き方ができるのかを棚卸する
正職員がいいのか、それともパートがいいのか。ご自身がどういった働き方をしたいか、今後のキャリアパスも含めて考えましょう。
家事育児などで忙しい場合は、仕事と家庭の両立、職場とご自宅の往復がしやすいかどうかも検討材料です。また、人手不足で忙しい職場は、子どもの発熱で急に休まなければならないとしても、休みが取りにくいかもしれません。
■ポイント3:目標を定める
納得感を持って働くために、どういった理由で介護職に就きたいのかを整理し、今後の目標を明確にしておくことをおすすめします。後にお伝えするように、介護の仕事は資格を取得することでキャリアアップできます。長く活躍するためにも、ご自身の考えるキャリアプランに沿った資格取得を目指すといいでしょう。
身体介護をするには介護職員初任者研修は必須である
介護サービスの内容からもわかるように、介護の仕事は大きく分けて掃除や洗濯、食事の支度などを支援する「生活援助」と、入浴や排せつ、食事などを介助する「身体介護」がありますが、いずれの施設であっても最も求められているのは身体介護ができる職員です。なぜなら、介護を必要とする人が増加しているからです。
介護の資格は、短期間で修了する容易なものから難易度の高い国家資格までさまざまですが、入門として位置づけられている介護職員初任者研修は介護の知識を実技と理論の両面から学びます。また、人間の身体の仕組みや加齢とともに起こる変化といった基礎的な医学知識も身につけることができます。そうなれば、仕事の幅が広がるだけでなく、無資格者に比べて時給がアップしたり、資格手当がついたりといった報酬面でのメリットもあります。
経験と研修でさらなるステップアップ
介護職は、研修と経験を積むことでさらなるステップアップも十分可能なお仕事です。介護職員初任者研修、実務者研修を経て介護福祉士やケアマネージャーなどの国家資格を取得すれば、転職にも有利といえるでしょう。
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