自宅で学ぼう! 就活に有利になる不景気に強いメディカルクラーク(医療系事務)の資格

自宅で学ぼう! 就活に有利になる不景気に強いメディカルクラーク(医療系事務)の資格

新型コロナウイルスの感染拡大で景気の悪化が懸念されています。インバウンド観光需要の消滅や緊急事態宣言の発令を受けて、ホテルや観光施設などのホスピタリティ業界や飲食業界では人員削減の動きも出ているようです。 しかし、不景気でも医療業界への需要は減退することはありません。高齢化の進む日本では特に、安定した職業として注目される医療系のお仕事。今回は、不景気に強い医療系事務をご紹介します。


医療系事務のお仕事とは?

医療系事務のお仕事でイメージしやすいのは、病院の受付と会計でしょう。受付は、来院した患者さんに診療申込書を記入してもらったり、保険証を預かったり、カルテや診察券を発行したりするお仕事です。そして会計は、診察後に診療費を受け取るお仕事です。

実は、医療系事務にはこの受付・会計業務のほかにもメインとなる業務が2つあります。それが「クラーク業務」と「レセプト業務」です。

クラーク業務 は、医師が作成したカルテに基づいて診断書や診療情報提供書(紹介状)を代行作成したり、診療データを整理したりするお仕事です。医師や看護師に代わって事務作業を行うことで、医師や看護師が本来の業務である診療に全力であたれるようにサポートします。

一方、レセプト業務 は、健康保険組合、共済組合、市区町村などに提出するレセプト(診療報酬明細書)を作成するお仕事です。医療系事務の中でも、最も専門性が高いと言ってもいいでしょう。日本は国民皆保険制度が採用されており、保険が適用される診療では、一般患者の費用負担は1~3割で、残りは健康保険組合、共済組合、市区町村などが負担しています。この診療報酬の7割以上の部分を請求するのがレセプト業務です。

もちろん、一般事務職に共通する「書類作成・管理・ファイリング」「電話・メール対応」「来客対応」「データ入力」「備品や設備の管理」といった業務についても対応します。

医療事務の資格は主に4分野!

医療系の事務職には、主に病院・診療所などの「医科」、歯科医院の「歯科」、薬を処方する調剤薬局の「調剤」、医師をサポートする「医師事務作業補助者」の4種類があります。資格取得を検討するなら、どこで働きたいかを具体的にイメージするとよいでしょう。

ここでは、それぞれの分野について、代表的な医療系事務の資格をご紹介します。

医科の医療事務資格(病院・診療所で働きたい方向け)

医科の医療事務資格には、メディカルクラーク(医科)、診療報酬請求事務能力認定試験(医科)、医療事務管理士(医科)などがあります。

歯科の医療事務資格(歯科医院で働きたい方向け)

歯科の医療事務資格には、メディカルクラーク(歯科)、診療報酬請求事務能力認定試験(歯科)、保険請求事務技能検定(歯科)などがあります。

調剤の医療事務資格(調剤薬局で働きたい方向け)

調剤の医療事務資格には、調剤事務管理士、調剤報酬請求事務技能認定、調剤薬局事務検定試験などがあります。

医師事務作業補助者の資格(医師のサポートをしたい方向け)

医師事務作業補助者実務能力認定試験、医師事務作業補助技能認定試験(ドクターズクラーク)、認定医師秘書などがあります。

本記事では、上記のなかでもイメージの沸きにくいメディカルクラークと医師事務作業補助者をご紹介します。

メディカルクラークの試験には、どんな問題が出るの?

医療事務の資格全般を「メディカルクラーク」と呼ぶこともありますが、正確には一般財団法人日本医療教育財団の「医療事務技能審査試験 」合格者のことを「メディカルクラーク」(医科 or 歯科)と呼びます。

医療事務技能審査試験は、診療報酬請求事務業務や窓口業務(受付業務)など、医療事務職として求められる能力の有無を審査します。2019年から在宅試験になったため、コロナ禍でも受験しやすいと言えます。

試験は、医科が毎月、歯科が5月、7月、9月、11月、1月、3月の年6回行われています。試験科目は、学科、実技Ⅰ、実技Ⅱの3つです。

学科試験の範囲は、医療事務として働くための基本的な6分野に加え、医科と歯科に分かれての選択科目です。択一式で25問出題されます。

●基本分野(全員受験)
1. 医療保険制度
2. 高齢者医療制度
3. 公費負担医療制度
4. 介護保険制度
5. 医事法規一般
6. 医事業務

●医科と歯科に分かれて受験する分野(4科目の中から1科目選択)
1.診療報酬請求業務
2.医学一般
3.薬学一般
4.診療録

実技試験は、実技Ⅰが患者の応対を記述式で答えるものが2問、実技Ⅱが診療報酬請求事務で診療報酬明細書を点検するものが4問出題されます。合格基準は、学科試験、実技試験Ⅰ、Ⅱのすべての得点率が7割以上です。

医師事務作業補助者は、どんなことをするの?

医師事務作業補助者とは、医師の業務のうち事務作業をサポートする職種です。これまで医師が行っていたカルテの入力、診断書や紹介状などの医療文書の作成、症例検討会(カンファレンス)の準備、症例の登録、診療データの整理などを代行します。時には診察に同席し、医師が治療に専念できるように、診療記録を電子カルテに代行入力することもあります。

病院によって呼称はさまざまで、ドクターズクラーク、メディカルアシスタント(MA)、医療秘書などと呼ばれています。医師の負担を減らすために、国でも医師事務作業補助者の採用を後押ししており、一定の条件の下で設置した医療機関には保険点数が加算されるようになりました。

医師事務作業補助者には、民間団体が主催するさまざまな認定試験がありますが、現段階では特定の資格がメジャーになっているわけではありません。また、医師や看護師と違い、資格が必須というわけでもありません。そのため、資格がなくても医療機関に採用される可能性は大いにあります。

ただ、医師、医師と一緒に働く医療スタッフ(薬剤師や看護師など)、事務職員と円滑に仕事を進めていくには、診療内容や保険制度など基本的な医療知識は必要となります。医師事務作業補助者に関する資格は、そうした医療知識の基礎があることを証明するものですから、アドバンテージはあると言えるでしょう。

ドクターズクラークの試験には、どんな問題が出るの?

代表的な医師事務作業補助者に関する資格のうち、初心者でも受験可能で在宅受験が可能な「医師事務作業補助技能認定試験 」についてご紹介します。

医師事務作業補助技能認定試験は一般財団法人日本医療教育財団が主催する資格試験で、5月、7月、9月、11月、1月、3月の年6回行われています。合格者には「ドクターズクラーク」の称号が与えられます。

試験科目は学科と実技で、学科試験は次の7つの分野から択一式で25問出題されます。

1. 医療関連法規
2. 医療保障制度
3. 医学一般
4. 薬学一般
5. 医療と診療録
6. 医師事務作業補助業務
7. 病院管理

実技試験は、診断書や証明書、申請書など医療文書の作成で、4問出題されます。合格基準は、学科試験と実技試験とも得点率が7割以上です。

医療業界で働くなら資格があったほうが有利

ここまで、医療系事務の仕事に就くための資格について説明してきました。医師や看護師とは異なり、医療機関の受付や事務、助手には、資格は必須ではありません。しかし、医療は専門性の高い業界ですから、事務職であっても基礎的な医療知識は求められます。

メディカルクラークやドクターズクラークなどの資格を取得することで、こうした専門知識を体系立って学んだことを証明することができます。医療業界で働くならば、資格を取得したほうが有利といえるでしょう。

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本記事は2021年03月19日時点の情報です。記事内容の実施は、ご自身の責任のもとに安全性・有用性を考慮してご利用いただくようお願い致します。

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