今なぜダンスが必修になったのか?
文科省がダンスを必修にした理由の1つに「多くの領域の学習体験をさせて自ら適した運動を選択させる」ためと答えています。この背景には子どもたちの生きる力を育むというテーマがあるようですが、この変更によって中学1年から2年生はこれまで選択性だった「ダンス」と「武道」を含めてすべての領域が必修となりました。この説明では武道も必修化されていますが、バランスを取るためにダンスも取り入れたようです。この武道も必須にした理由は伝統と文化を尊重するためであり、次のコラムで説明するダンスの種類があまりに突出しているために注目の的になっていません。実際はダンスと武道が必修になったのです。では今なぜダンスが必修になったことがこれほど注目されるようになったのかを順を追って解説します。
学校の体育で習うダンスは3種類のどれかを選択
冒頭でご紹介したダンスは「現代的なリズムのダンス」、「フォークダンス」、「創作ダンス」の3種類です。ここで疑問に思われた方もいるでしょうが、まったく聞きなれない「現代的なリズムのダンス」とは一体何でしょうか。実はこれヒップホップダンスの事を指しているのです。文部科学省らいしい命名ですが、ヒップホップにした理由はもっと深いところにあります。ヒップホップが若者に流行っているだけでなく、このダンスによって『踊れる能力を高める』ことより『仲間とのコミュニケーションを高める』ことを重視しているからです。確かにフォークダンスや創作ダンスも皆で踊りますが、特にヒップホップは3人以上の人数で踊るなどチームプレイが要求されるのです。それに全員が同じ動きをする必要もなく、うまい子はセンターに、苦手な子はサイドに配置したりして、心配りをする気持ちや連帯感を養いたいと考えているようです。
実際問題は教員の指導力
最近はアイドルを目指して子どものころからダンス教室に通うお子さんもいるので、ヒップホップといってもあまり抵抗感がないのでしょう。一方問題なのは実は教員の指導力だと言われています。実はなぜヒップホップばかりをここでとりあげているかというと全国の中学校の約66%以上がヒップホップを必修にすると回答しているからです。
先生はもともとプロのダンサーでもなく本格的に学んでないので、わざわざ外部講師としてプロダンサーを招いて授業を行っているところもあります。先生は学校の書類仕事や授業の用意など、教える以外にも忙しいものです。そこにダンスを学ぶ必要ができたのは、大変な労力です。一方そんな先生に指導を受ける子どもたちは、人に教えられるレベルでない体育の先生に指導を受けるのですから、デメリットもあるかもしれません。
文科省の狙いも理解できますが、本当に楽しんで学んでほしいのは子どもたちです。この授業を受けることで体育が好きになったり、新たな自分の可能性を見つけてくれることに期待したいと思います。
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