認定介護福祉士という資格が求められるようになった背景
「認定介護福祉士」は、介護福祉士の上位資格に位置づけられます。ただし、介護福祉士とは違い、一般社団法人認定介護福祉士認証・認定機構による民間資格です。
この認定介護福祉士という、介護福祉士とは別の資格が登場したのは、利用者ニーズの多様化や高度化により、医療職との連携や質の高い介護サービスを提供するための人材育成など、従来の介護福祉士よりも幅広い役割を担う存在が求められるようになったからです。
認定介護福祉士認証・認定機構では、同資格の狙いを次のように説明しています(同機構HPより引用)。
1.生活を支える専門職としての介護福祉士の資質を高め、
①利用者のQOLの向上
②介護と医療の連携強化と適切な役割分担の促進
③地域包括ケアの推進 など
介護サービスの高度化に対する社会的な要請に応える。
2.介護の根拠を言語化して他職種に説明し共有したり、他職種からの情報や助言の内容を適切に介護職チーム内で共有することで、他職種との連携内容をより適切に介護サービスに反映することに寄与する。
3.介護福祉士の資格取得後の継続的かつ広がりを持った現任研修の受講の促進と資質の向上を図る。つまり、介護福祉士資格取得後も介護業界で努力し続け、継続的に自己研鑽する拠り所となる。
4.介護福祉士の資格取得後のキャリアパスの形成
民間資格であることと、まだ開始して日の浅い資格であることから取得者は少ないようですが、2021年6月時点で、国内では60名余りの認定介護福祉士が活躍しています 。
認定介護福祉士のお仕事
では、認定介護福祉士と介護福祉士とは何が違うのでしょうか。大きく違う点は、認定介護福祉士には、実践力を身につけたプロ中のプロとして、介護現場の中核を担うことが期待されていることです。⼀般社団法⼈認定介護福祉⼠認証・認定機構では、具体的には次の3つを挙げています。
・介護施設・事業所のサービスマネージャー:介護チームのリーダーへの教育指導や介護サービスの管理業務を担い、介護サービスの質を向上させる
・他職種との連携の中核:介護職員と医師、看護師、リハビリ職といった医療関係者との連携・協働を図る
・地域包括ケアの推進:地域の介護施設・事業所の利用者とその家族への相談援助、地元のボランティアスタッフへの支援を行うことで地域の介護サービスの底上げを図る
認定介護福祉士が活躍する場としては、介護施設や事業所のほか、医療機関、社会福祉協議会や市役所などの行政機関などがあります。
認定介護福祉士の資格を取得するには
認定介護福祉士の資格を取得するには、一般社団法人認定介護福祉士認証・認定機構が定める「認定介護福祉士養成研修」を受講する必要があります。研修は、県の介護福祉士会もしくは社会福祉協議会が中心となって実施していますが、受講費用や開催時期は実施団体によって異なります。ただ、Ⅰ類Ⅱ類とも受講すると1年半という長期間になりますし、受講費用も60万円前後と高額になるようです。さらに、資格の取得後も5年ごとの更新手続きが必要とされます。
■認定介護福祉士養成研修の種類
認定介護福祉士養成研修には、Ⅰ類とⅡ類の2種類 あります。同機構によると、各課程の目標は次のとおりです(同機構HPより)。
■認定介護福祉士養成研修Ⅰ類の目標
・医療、リハビリ、福祉用具と住環境、認知症、心理・社会的支援など、介護福祉士養成課程にはない知識を習得することで、他職種との連携・協働を含めた十分な介護実践力を完成させる
・5~10名の介護職で構成される介護チームのリーダーに対する指導に必要な知識を獲得する
■認定介護福祉士養成研修Ⅱ類の目標
・Ⅰ類で修得した知識に基づき、介護実践の指導をする力を獲得する
・認定介護福祉士として必要な指導力、判断力、考える力、根拠をつくりだす力、創意工夫する力等の基本的知識に基づいた応用力を養成する
・サービス管理に必要なツールを整理、改善し、それらから根拠を導きだし、その根拠に基づいた指導をする力を獲得する
・生活支援の視点から地域の介護力を高めるために、チーム運営やサービス管理、人材育成等を行い、利用者を中心とした地域マネジメントを展開できる力を獲得する
■認定介護福祉士養成研修の受講要件と研修内容
認定介護福祉士養成研修を受講するには、それぞれ以下のような要件が必要です。研修の受講時間数はⅠ類が345時間、Ⅱ類が255時間で、合計600時間(約1年半)という長丁場になります。
■認定介護福祉士養成研修Ⅰ類
●受講要件
・介護福祉士としての実務経験が5年以上あること
・現任研修等を100時間以上受講しており、研修実施団体の課題レポートまたは試験の合格基準を満たしていること(認定介護福祉士認証・認定機構が認める一定の研修を200時間以上受講した場合には、レポート提出または試験は免除)
上記以外に、5~10名の介護職で構成される介護チームのリーダー(ユニットリーダー、サービス提供責任者等)としての実務経験と居宅・施設系サービス双方での生活支援の実務経験があることが望ましいとされています。
●研修内容(345時間)
認定介護福祉士養成研修導入、医療に関する領域、リハビリテーションに関する領域、福祉用具と住環境に関する領域、認知症に関する領域、心理・社会的支援の領域、生活支援・介護過程に関する領域
■認定介護福祉士養成研修Ⅱ類
●受講要件
・認定介護福祉士養成研修Ⅰ類を修了していること
・5~10名の介護職で構成される介護チームのリーダー(ユニットリーダー、サービス提供責任者等)としての実務経験があること
上記以外に、居宅・施設系サービス双方での生活支援の実務経験があることが望ましいとされています。
●研修内容(255時間)
医療に関する領域、心理・社会的支援の領域、マネジメントに関する領域、自立に向けた介護実践の指導領域
認定介護福祉士の資格取得で得られるメリット
認定介護福祉士は、国内でまだ60人程度と少数しか取得していない資格です。前述したように、資格取得にはかなりの時間と費用がかかりますし、5年ごとの更新も負担が大きいと言えるでしょう。また、現状では、待遇面の違いを示すデータなどもありませんから、待遇面や就職活動時に有利になるかどうかも未知数です。ただ、日本介護福祉士会は、介護福祉士の1割程度を認定介護福祉士にしたいという目標を掲げています。 今後、認定介護福祉士が増え、現場で活躍するようになれば、認知も進み、待遇面などでプラスになるかもしれません。
介護現場で役立つ資格・研修の種類まとめ!取得方法やメリット・難易度についても解説
https://gooschool.jp/magazine/g018/c0321/contents-859/団塊の世代が75歳以上の後期高齢者となり、日本が超高齢化社会になる「2025年問題」。そんな超高齢化社会を目前に、介護サービスへのニーズの高まりも手伝って、介護業界へチャレンジする方、すでに介護業界で活躍されていてスキルアップ・キャリアップをお考えの方をはじめ、ご家族に介護が必要になったときのために正しい知識を身につけておきたいなどの理由から、介護資格の取得を検討する方が増えてきています。この記事では介護資格・研修の種類や取得メリット、資格試験があるものは難易度や合格率もあわせて紹介します。
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