介護職員基礎研修の廃止に伴う介護実務者研修とは?

介護職員基礎研修の廃止に伴う介護実務者研修とは?

平成25年4月から、介護職員基礎研修およびホームヘルパー1級は「実務者研修」という名前に変わり、一本化されました。従来なら、実務経験を積んで介護福祉士を目指す方は、ホームヘルパー2級を取得して、かつ3年以上の実務経験があれば介護福祉士国家試験を受験できました。 しかし近年における介護の必要性や多様化によって、この介護職員の資格制度が見直され、平成27年度からは介護福祉士の受験資格に3年の実務経験に加えて、「実務者研修」が必須事項となりました。つまりヘルパー2級も廃止されて、全てが「介護職員実務者研修」に一本化されたのです。


「介護職員実務者研修」の特徴

介護福祉士は、従来2年の養成施設で学習すると資格取得ができました。しかし厚生労働省による見直し後は、一定の教育課程を経て国家試験を受験する形に統一化されました。

介護職員実務者研修の受講は平成28年1月から義務化されます。そして新カリキュラムでは、たんの吸引等の医療的ケアが追加されて、現在2年程度の養成施設で行われている1650時間の研修をさらに1800時間に拡充するようになります。
現在のヘルパー2級に相当する介護職員初任者研修の修了者が、実務研修を行って介護実務者研修を修了し、介護福祉士を目指すルートができたということです。
さらに言うと認定介護福祉士いう資格も、介護福祉士の上の資格として現場職員を指導できるレベルとして、現在考えられています。

「介護職員実務者研修」が必須となった背景

近年多様化し、また必要性がますます高まる介護に関して、これまで以上に介護職員の質が問われるようになりました。それだけでなく、介護職員のキャリアアップの仕組みが複雑だったので、それをシンプルに一本化する目的でできた新しい研修制度です。

核家族化の進行により高齢の核家族世帯も増え、より質の高い介護サービスが求められるようになりました。そのため、介護の専門家として資格を一律化させ、生涯働くためのスキル定着が望まれるようになりました。

そして介護の質を高めるためにも、介護分野の国家資格である介護福祉士の知識や技術を向上させる必要があります。そのため2016年度から、介護職員実務者研修を修了することが介護福祉士を取得するための必須事項となったのです。

「介護職員実務者研修」と「介護職員初任者研修」の違いとは

介護職員初任者研修は「介護の基本的な知識と技術を理解する事」を目的としています。この資格を取得することで、食事や排せつ介助、清拭や入浴の介助というような身体介護を行えるようになります。これまで存在していた「ホームヘルパー2級」と同等の扱いとなり、旧資格(ホームヘルパー2級)保持者は、介護職員初任者研修修了者とみなされます。

一方、介護職員実務者研修では、実践の中で介護の知識や技術を活かすことを目的としています。介護の中で起こった問題に対し、根本的原因を見つけ解決するための手段を選ぶ事ができるまでのスキルを身につける事が求められます。研修を修了し、3年以上の実務経験を行うと、介護福祉士の受験資格が得られます。
介護職員実務者研修は、介護職員初任者研修を終えたあとで受講資格が得られるので、キャリアアップには欠かせない研修となっています。

「介護職員実務者研修」資格取得方法とは

介護技術の向上を目指し、高齢者介護を行う介護職員実務者研修は、将来の介護リーダーとして必要な研修です。実質的にはホームヘルパー1級よりも上位資格に相当します。この資格を取得するメリットは、サービス提供の責任者として働くことができるということです。従来、介護福祉士の受験資格を取得するには3年の実務経験が必要でした。しかし平成27年度以降は実務経験に加えて半年以上の実務者研修(450時間)の受講を必要とします。

介護職員実務者研修は、400時間の介護に関する19科目の研修と、たん吸引や経管栄養に関する研修を含む50時間の医療的ケアの研修項目が必修です。この研修は6ヶ月ほどの履修期間で修了するケースがほとんどです。
ただし、医療的ケアの研修で実地研修を受ける場合、修得すべき知識や技術を習得したと認められるまで研修を終えることができないので、時間がかかることもあるようです。また、通信教育などを受講していてもスクーリングが必須の項目があるため、履修期間は6ヶ月以上を見積もっておきましょう。

「介護職員実務者研修」修了者が出来る仕事とは?

①サービス提供責任者になれる

「サービス提供責任者」と聞くと、役職のようなイメージがありますが立派な職種の一つです。サービス提供責任者は、訪問介護を行う上で介護職と利用者間との橋渡し役や、相談役を担うことを中心に訪問介護計画書の作成等の仕事を行うことができます。この資格を取得することで、収入増につながることもあり、管理職へ昇進する道もひらけます。

これまでは、実務経験を持っている方が研修を受けることで「サービス提供責任者」として従事することができましたが、介護職員実務者研修受講が必須となりました。
また、介護職員実務者研修修了者がサービス提供責任者になることで、介護事業所の売上となる介護報酬が満額支給されるため、研修修了者の成り手が重視されるのです。

②「たん吸引」や「経管栄養」などの医療知識が身につく

介護職員実務者研修には、看護職など医療従事者しか行うことができなかった「たん吸引」や「経管栄養」等、専門的な実務研修も含まれています。研修修了者は看護職に代わり、介護対象者に対したん吸引等を施すことができます。このように医療的な知識を身につけることで、医療従事者の業務負担を軽減させることにつながりますし、自身のキャリアアップにもつながります。

また、「介護職員が行う医療行為は責任が重いのではないか?」という指摘もありますが、資格を得るまでの研修がしっかり準備されています。また、基本研修である講義とシミュレーター演習の他、規定回数分の実地研修の条件が課されています。重度の疾患を持つ方など、特定の技術が必要とされる研修(第三号研修)の場合は、修得すべき知識や技術を習得したと認められるまで実地研修が繰り返されます。

丁寧な指導のもとで技能を身につけることができるので、資格を取得して実践に臨んだ時でも、自信を持って介護に携わることができます。

介護職員実務者研修」から「介護福祉士」の道へ

介護職員実務者研修を終了し、介護職場に3年以上勤務。そして介護に従事した日数が540日以上あれば、介護福祉士の受験資格が得られます。
介護福祉士の仕事は、一連の介護業務にプラスし、利用者宅への家庭訪問や利用者・家族・介護職の相談を受ける窓口を担う等の業務があります。また、地域包括ケアチームの一員として居宅介護者のケアプラン作りに従事するというような業務に就くことも可能です。

介護職のスペシャリストとして仕事に就くことができるため、介護職に就くならば「介護福祉士」を目指して日々努力することがベストです。介護職員実務者研修受講修了から介護福祉士になることは、養成施設卒業のいわゆる進学コースと比べて道のりも長くあります。

ですが、実践を踏まえた経験が豊富であることが認められ、厚い信頼が寄せられます。介護福祉士の資格は受験資格さえ満たせば、年齢・性別・国籍は問われません。自分の仕事や自分自身に自信をつけるためにもぜひ、介護福祉士への道を目指してください。

まとめ

いわゆる「団塊の世代」が70歳代に突入し、要介護者が急増する傾向にあります。また、核家族化・少子高齢化時代でもあるため、老老介護という言葉が生まれるほか、単身高齢者世帯が急増しています。
介護予防など高齢者に対する啓もう活動やコミュニティ作りが盛んになっている中、介護分野の人材強化は急務です。国をあげて、これまで十分とはいえなかった介護職に対するキャリアパスの構成を見直し、介護従事者数を増やすべく、今回の法改正につながりました。

介護職員実務者研修を修了するには、仕事をしながら養成施設などで規定時間講習を受ける必要があります。長い道のりとなりますが、根気強く学習を続けていきましょう。
また、通信教育やインターネットを介したオンライン授業等も行われています。ご自身のライフスタイルに合った学習方法を確立されることも一案です。

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本記事は2017年04月26日時点の情報です。記事内容の実施は、ご自身の責任のもとに安全性・有用性を考慮してご利用いただくようお願い致します。

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