介護業界は資格なしでも働けるけれど、資格を持っていたほうが待遇がよくなるって本当?

介護業界は資格なしでも働けるけれど、資格を持っていたほうが待遇がよくなるって本当?

常に人手不足の介護業界。未経験でも就職しやすく、業界内での転職も容易と言われています。でも、何の資格もないままに働くのはもったいないと思いませんか? なぜなら、介護の資格を持っていれば時給もアップし、正職員にもなりやすいからです。今回は介護の仕事を考えている方向けに、介護のお仕事と資格について見ていきましょう。


介護業界は資格なしでも働ける

一口に介護のお仕事と言っても、業務内容はさまざまで、直接利用者の身体に触れない職種もあります。たとえば、介護施設で窓口対応や電話応対などをする事務職、自動車で利用者の送迎をするドライバー、施設や入所者の部屋を掃除する清掃スタッフ、利用者の食事を作る調理スタッフなどです。こうしたお仕事なら、介護の資格は必要ありません。また、介護施設内でしたら、食事や排泄、入浴時の介助といった身体介護も無資格でもできます。

もしかしたら、「身体に直接触れる身体介護をするには、介護の資格が必要では?」と疑問に思う方もいるでしょう。実は、介護施設内では、国家資格である介護福祉士の指示の下であれば、無資格者でも利用者の身体に直接触れる身体介護ができるのです。

「訪問介護」は原則資格者しかできない

一方、訪問介護で身体介護をするには、有資格者のみに限定されています。訪問介護とは、利用者の自宅を訪問して、介護や家事援助などのサービスを提供する仕事です。

これは、介護施設であれば必ず有資格者が配置されているのに対し、訪問介護は基本的に1人で利用者宅を訪問し、介護サービスを提供するからです。訪問介護は、介護保険法において介護職員初任者研修以上の資格が必須とされています。

なお、現在はコロナ禍の一時的措置として、無資格者でも実務経験があれば訪問介護が可能となっています。

介護業界では、資格を持っているほうが優遇される

介護業界では、一部の業務は無資格者も働けるとはいえ、介護関係の資格を持っていると何かと優遇されます。

就活でいえば、事務職やドライバーはもともと採用人数が少ないうえに、事業所によっては身体介護を行う介護職員が事務職やドライバーを兼務していることもあることから、採用のハードルは高くなりがちです。しかし、介護職なら容易に就職できます。それは、募集があるのは圧倒的に介護職だからです。

その介護職ですが、前述したように介護施設ならば無資格でも働けます。しかし、やはり有資格者のほうが待遇がよくなります。一番わかりやすい給与でいえば、多くの事業所が有資格者には時給や月給に資格手当を上乗せしています。厚生労働省の「令和2年度介護従事者処遇状況等調査結果」によると、無資格者の平均月給が27万5,920円であるのに対し、有資格者は31万8,150円と4万円以上の差がついています。 国家資格である介護福祉士は32万9,250円、ケアマネージャーとも呼ばれる介護支援専門員だと36万8,030円です。これだけでも、介護業界が資格社会であることがわかるというものです。

仕事の内容にしても、介護施設内では有資格者の指示の下で無資格者も身体介護ができると定められているとはいえ、施設によっては無資格者の業務内容を制限していることもあります。訪問介護も、一時的な措置として無資格者のサービス提供を認めているとはいえ、それが定着するかは不透明です。ワクチン接種が進み、感染流行が収束すれば、再び資格者のみとなる可能性もあります。

また、介護業界では、ファーストステップとされる介護職員初任者研修から次段階の実務者研修、国家資格の介護福祉士、介護福祉士を取得したら施設長やケアマネージャーを目指すというように、資格によってキャリアの道筋が明確に示されています。将来的に介護業界で長く働いていくのであれば、資格を取ったほうが絶対的に有利なのです。

まずは介護職員初任者研修を目指そう

介護の資格のファーストステップは介護職員初任者研修ですから、まずは介護職員初任者研修の修了を目指しましょう。介護職員初任者研修は、2013年4月の制度変更により「ホームヘルパー2級」から名称が変更されました。130時間の講習を受け、講習修了後の筆記試験に合格すれば資格が取得できます。

介護職員初任者研修のカリキュラム内容は以下の通りです。高齢化とともに認知症患者が増える中、ホームヘルパー2級時代にはなかった「認知症の理解」という受講科目が追加されています。

1.職務の理解
2.介護における尊厳の保持・自立支援
3.介護の基本
4.介護・福祉サービスの理解と医療との連携
5.介護におけるコミュニケーション技術
6.老化の理解
7.認知症の理解
8.障害の理解
9.こころとからだのしくみと生活支援技術

試験の合格が条件とはなるものの、ホームヘルパー2級時代には必須だった30時間の実習が廃止され、スクーリングが増えたことで、 格段に修了しやすくなったと言えるでしょう。

ところで、介護職員初任者研修の試験の難易度が気になる方も多いでしょう。合格点は100点満点中70点以上ですが、講習の内容をきちんと理解しているかどうかの確認がメインと言われており、それほど難しくはないようです。スクールによっては、追試も実施していますから、さほど気にすることはなさそうです。

働きながら資格を取ることも

スクールに通うにせよ、通信講座を受講するにせよ、資格を取るには時間と費用がかかります。就職できるのかどうかもわからないのに、資格取得に費用や時間をかけられないという方もいることでしょう。

前述したように、介護施設ならば無資格でも働くことができます。ですから、まずは働いてみて現場を知り、介護のお仕事が自分に合うのかを確認してみるのもひとつの手です。

また、介護施設の中には、資格取得のための支援制度を整備しているところが少なからずあります。他の仕事をしながら、介護業界への就職に向けて資格取得の勉強をするのは、時間的にも、費用的にも大変という方は、現場での実務経験を積みながら、そうした制度を利用して資格取得を目指してみてはいかがでしょうか。

介護業界は資格取得でキャリアップできる

高齢化が進む中、介護業界への需要はうなぎのぼり。常に人手不足の状態が続いていることから、無資格や未経験でも採用する介護施設はたくさんあります。資格がなくても働けますが、資格を持っていたほうが給与も待遇も優遇されますし、キャリアアップにもつながります。なぜなら、介護業界は資格の取得状況によってキャリアの道筋が明確に示されており、給与にも反映されるからです。介護業界での活躍を希望するなら、資格を取得してキャリアアップを目指してみてはいかがでしょうか。

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本記事は2021年05月19日時点の情報です。記事内容の実施は、ご自身の責任のもとに安全性・有用性を考慮してご利用いただくようお願い致します。

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