介護職員初任者研修ってどういうもの?
介護職員初任者研修は、介護に関する仕事をするうえで最初に修了すべき研修です。以前はホームヘルパー2級と呼ばれ、研修を受講することで取得できましたが、2013年の制度改正により現在の名称「介護職員初任者研修」に変更されました。
ホームヘルパー2級との違いは、訪問介護に加えて施設介護にも重点が置かれるようになったこと、「認知症理解」が受講項目として追加されたことです。また、30時間(約5日間)の施設実習が廃止となり、その代わりにスクーリングの時間が増えました。そして、最大の違いは修了試験に合格しないと修了と見なされなくなったことです。なお、廃止となった施設実習の代わりに、高齢者施設の見学や実習体験を実施しているスクールもあります。
研修の修了後は、介護施設やデイサービス、訪問介護、入院中の患者さんの介護など、さまざまな現場で活躍することができます。
介護職員初任者研修ではどんなことを学ぶの?
介護職員初任者研修では、次の10項目を座学と実習で学びます。座学では主に介護の基礎知識を、実習では車いすやベッドからの移乗介助、食事や排せつの介助など実践的な介護技術を学びます。研修時間は全部で130時間です。
1. 職務の理解(6時間)
2. 介護における尊厳の保持・自立支援(9時間)
3. 介護の基本(6時間)
4. 介護・福祉サービスの理解と医療との連携(9時間)
5. 介護におけるコミュニケーション技術(6時間)
6. 老化の理解(6時間)
7. 認知症の理解(6時間)
8. 障害の理解(3時間)
9. こころとからだのしくみと生活支援技術(基本知識の学習10~13時間程度、生活支援技術の講義・演習50~55時間程度、生活支援技術演習10~12時間程度)
10. 振り返り(4時間)
介護職員初任者研修は、スクールに通わないと修了できないの?
介護職員初任者研修を受講するには、スクールに通学する方法と通信講座を受ける方法の2通りあります。ただし、通信講座でも、自宅学習だけでは修了することはできません。通信課程による学習時間の上限が40.5時間と決められているからです。残りの約90時間はスクーリングに参加する必要がありますが、そのほとんどは実習、つまり介護技術の習得が目的となっています。
通学では座学も実習もスクールですが、通信では座学を自宅学習で、実習をスクールで学ぶのが一般的です。自宅学習でよくあるのは、テキストを使っての自宅学習、レポート提出、講師による添削を繰り返すというパターンです。最近では、新型コロナウイルス感染症対策で、通信+スクーリングを提供しているスクールが増えています。
修了するまでにかかる日数は、都道府県によって異なりますが、通信+スクーリングの場合、スクーリングは15日前後であることが多いようです。つまり、早ければ1~2か月、週1回のクラスでも3~4か月で修了することが可能なのです。クラスも、週1日から毎日通う週5日まで、あるいは曜日を固定したクラス、短期集中クラスなどさまざまです。ただ、働きながら資格取得を考えているのであれば、週1~2回コースを実施しているところがおすすめです。
受講料は3万円代から10万円代までとかなり幅があります。ただ、スクールによっては、割引価格を設定していることもありますし、スクール運営会社が経営する介護事業所に就職することで受講料の一部あるいは全額を返還する制度があったりします。選ぶときには、いくつかのスクールを比較してみるとよいでしょう。
また、現在、職に就いておらず、時間はあるが経済的に厳しい、1日も早く介護職に就きたいという場合は、自治体やハローワークが主催する講座や助成金を利用しましょう。たとえば、東京都では介護職員資格取得支援事業として、都内で介護業務の就労を希望する学生や既卒者、主婦、離職者などを対象に無料で講座を開講しています。ほかにも、自立支援教育訓練給付金制度や教育訓練給付金制度などの制度があるので、詳しくは各自治体やハローワークなどで確認してみましょう。
介護職員初任者研修を効率よく修了するには、自分の立場をよく見つめることです。働きながら取得したいのか、仕事を辞めてから取得するのか、すぐに資格が欲しいのかなど、事情によって取得方法は変わってきます。
介護職員初任者研修の試験の内容と難易度は?
修了試験は、すべてのカリキュラムが終わったあとに行われます。試験範囲は、上述した研修内容のすべてです。多くのスクールは選択式の問題で、32問前後を出題しているようです。研修で学んだ32のテーマから1問ずつ計32問というわけです。ただ、スクールによっては記述式の問題もあるようですが、その場合は問題数も数問のようです。
スクールが試験問題を作成することから若干の差異はありますが、評価基準は決まっていますし、修了試験そのものが研修の内容の確認といった意味合いのものです。そのため、きちんと研修内容を学んでいれば、ほとんどの方が合格ラインの70点に届くと言われています。また、合格率も90%以上と、難易度はそれほど高くありませんし、たとえ不合格となっても多くのスクールで補講や再試験が行われています。
計画的に学習し、合格を目指そう
介護職員初任者研修の修了試験は、決して難易度は高くありません。しかし、130時間の研修を受講するということもあり、中途半端な気持ちでは合格までたどり着くのは容易ではありません。特に働きながらの場合、しっかりと計画を立てないと途中で挫折してしまう可能性もあります。自分が本当に介護職に携わりたいのかを明確にしたうえで、計画的に研修を進めていくことが合格のための重要なポイントといえるでしょう。
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