パン屋開業に資格は必要?菓子製造業許可と飲食店営業許可の違い

パン屋開業に資格は必要?菓子製造業許可と飲食店営業許可の違い

新しくパン屋を開業するときに必要な資格は、営業形態によって違うことをご存知ですか。イートインにするのか、テイクアウトにするのか、それともパン教室という形にするのかによって、必要な許可が違います。 さらに、食パンと調理パンは法律上の取り扱いが違うため、食パンだけを販売するのか、調理パンも販売するのかによって必要な許可や資格が異なります。今回は、パン屋開業のために必要な資格についてご紹介します。


許可の種類

あなたはどんなパン屋を開きたいですか。持ち帰り用に販売する店、パンを出すイートインカフェのような業態でしょうか。どちらにしても、パンなどの食品を扱うお店には、開業するための基準が設けられています。
つまり、パンを焼くことに関して、許可は必要ありませんが、販売する時点で許可が必要になります。誰もがパン屋を開業していいというわけではないということですね。

パン屋を開業するためには、自治体などの行政庁から許可を得ることが必要です。
許可は大きく分けると2種類存在し、菓子製造業というパンを製造販売するための許可と、主にイートイン施設があるなど飲食店とみなされる場合の飲食店営業許可です。

また、広い意味ではパン屋に含まれる、自前でパンを作らずに他の業者からパンを仕入れて販売するだけの場合はとくに許可を必要としないこともあります。
特に、自前でパンを製造する場合には、許可がおりるように規定に沿った設備を作らなければいけません。どのようなパン屋を開業したいのか、資金面にも関わってくる問題ですので、できるだけ明確にすることが重要です。

菓子製造業許可とは

実は、食パンも菓子パンも法律上の取り扱いは、「菓子」に入ります。したがって、食パンや菓子パンを製造し、販売するためには菓子製造業許可が必要です。

食品は、一定の衛生基準で作られる必要があります。埃だらけ、設備が整っていないという場所で製造すると、深刻な事故が起こるかもしれません。そこで、菓子製造許可という制度が存在するわけです。根拠となっている法律は、食品衛生法第52条 です。

菓子営業許可を得るためには、管轄の保健所に営業許可申請を行い、基準に適合した製造施設を作ることが必要です。つまり、工事が始まる前に、保健所に申請をし、その設計でいいかどうか確認する必要があります。物件選びの際でも、以前にその物件で菓子製造業が営まれていない場合は、改装が必要になることもあります。

一例として、住居部分と製造施設が別になっていることや、昆虫やねずみの混入しないよう防止設備を設けること、流し場や内壁の材質(耐水性が必要な範囲が決められている)など、細かい決まりがあります。管轄の保健所によって細かい運用は異なるので、必ず管轄の保健所に相談してください。
また、消防法に基づいた設備は別途必要ですが今回は割愛します。

飲食店営業許可とは

飲食店営業許可は、法律上の飲食店を営業するための許可です。意外かもしれませんが、サンドイッチの販売はお弁当の販売と一緒という扱いのため、飲食店営業許可が必要です。
ただし自治体によっては、飲食店営業許可と菓子製造業許可の両方が必要である、というところもあり、解釈と運用に差が出ていますので注意しましょう。
主に食べ物を出さない喫茶店などで、他の業者で製造されたサンドイッチをそのまま販売する場合、東京都では別に条例で定めた食料品等販売業の許可が必要です。

そのほかに必要な資格

食品を取り扱うためには、「食品衛生責任者」が店舗毎に1名必要です。講習を受ければ取れる資格ですので、養成講習を受講して、自治体に申請すれば食品衛生責任者の資格を得ることができます。養成講習は、出身の大学や所定の資格を持っている人は免除されます。

① 店舗内でパン製造、販売(持ち帰りのみ)

菓子製造業許可が必要です。サンドイッチなど、一旦焼いたパンをさらに加工して販売したい場合は、飲食店営業許可も必要です。冷凍されたパンを、お店の中で焼いて出すという場合も同じで、菓子製造業許可を取ってください。

現在は、様々なパンが販売されています。飲食店営業許可が必要なケースで重要なのは、販売するパンがサンドイッチ(調理パン)なのかそうではないのかということです。
サンドイッチは調理パンとして、一般の食パンなどとは区別されています。焼いた後に加工をするかしないかで厳密に区別されているわけではなく、保健所によって判断に差があります。
サンドイッチは調理パン、ピザなどの焼いた後に加工をしないものでも調理パンとみなされることもあります。保健所に確認しましょう。

② 店舗内でパン製造、販売、イートインコーナーあり

菓子製造業許可と、飲食店営業許可を取りましょう。その場でパンを焼いてお客様に出すというベーカリーカフェ(持ち帰り無し)のような業態ならば飲食店利業許可のみで対応できます。ただし、持ち帰りもOKとするならば菓子製造許可が必要です。

③ 他から仕入れたパンを売る場合

自前で焼かずに、他から仕入れたパンを販売するだけならば、自治体にもよりますが特に許可はいらないということも多い様です。
ただし、小分けにして販売するなどの場合は許可が必要なこともあります。東京都の場合は、サンドイッチ(調理パン)を販売するときは、食料品等販売の許可が必要です。

④ 自動車でパンを売る場合は ?

最近見かけるケースでは、自動車にパンを積み、移動販売するというケースです。自前でパンを製造する場合、通常の店舗販売をするパン屋と同じく菓子製造業の許可が必要です。サンドイッチも取り扱いたい場合は、飲食店営業許可も取らなければならない場合があります。
また自動車に関して、加工済みのパンを積んで車で販売する場合(食品移動販売車)と、車の中で焼く場合(食品営業自動車)とでは申請が異なります。保健所の許可要件に基づいて車を改造する必要があります。

例外:資格のいらないパン教室

パンの焼き方を教えるパン教室の運営には、とくに資格は必要ありません。

管轄の保健所に問い合わせよう

食品衛生、製造、販売などについては保健所が担当しているので、最寄りの保健所に問い合わせてください。調理パンの線引きも保健所によって違います。出店先の保健所の見解をよく確認してから許可申請を行ってください。

本記事は2017年07月20日時点の情報です。記事内容の実施は、ご自身の責任のもとに安全性・有用性を考慮してご利用いただくようお願い致します。

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