バイオリンを自宅で練習する際の騒音対策について

バイオリンを自宅で練習する際の騒音対策について

自宅でのバイオリン練習は、周辺住民の方に気を遣ってなかなか集中できないですよね。スクールが終わった夕方から夜にかけての時間帯は、特に気を使うべき時間帯です。 ここでは、「夜の時間じゃないと練習ができない!」、「どうしてもこの時間に練習がしたい」という方に向けて、スクール以外でできる練習方法についてご紹介します。


バイオリンの専用消音器を使おう!

楽器を奏でる方で、近所迷惑を考えず夜中に演奏をする方は少ないでしょう。バイオリンに限らず楽器全般に言えるのが、「周囲を気にせず思い切り練習がしたい!」という思いです。練習をするのに、全開で弾けないことにはストレスが溜まり、上達にも時間がかかってしまいます。
そこで必須アイテムとなるのが、バイオリン専用の消音器です。消音器には様々な種類がありますが、まずは弦楽器の音の出方について詳しく見ていきましょう。

弦楽器は、弦が発生させる振動を駒で本体に伝えて、魂柱を通じて裏板へ響かせています。そこで、消音器を駒に取り付けることによって、強制的に音が抑制され、小さな音に変化させます。

消音器を使うことによって、夜でも周辺を気にせず思いきり練習ができるでしょう。消音器は持ち運びにも便利で、価格帯も数千円程度と親しみやすいので、防音工事費や、防音ボード費用などを考えると、断然に安く防音対策ができます。

消音器の種類は大きく分けて4つ!

消音器の種類には、金属製、ゴム製、磁石製、駒に取り付けてネジで固定するものなど、4種類の消音器が存在します。それぞれの特徴を見ていきましょう。

・金属製の消音器
金属製の消音器は、この4種類の中で最も重さがあるため、消音効果は抜群です。「時間なんて気にせず練習して上手くなりたい!」という方には、おすすめの消音器と言えるでしょう。ただし、金属製のため重量があり、落として楽器本体に傷がついてしまう可能性もあります。演奏前には、取付けが適切かきちんと確認しましょう。

・ゴム製の消音器
ゴム製の消音器には金属の周りがゴムで覆われているタイプと、完全にゴム製タイプの2種類があります。ゴムで覆われているタイプの消音性能は金属製のものと比べやや弱まりますが、落として本体に傷がつくリスクを大幅に軽減してくれます。
また、全体がゴム製のタイプは落ちて本体に傷がつくリスクがなく、軽量のため装着しながらの演奏でも違和感がありません。演奏の感覚を変えずに音を小さくしたい方におすすめです。

・磁石製の消音器
磁石製の消音器は駒周辺に磁石を挟んで使用し、視界を遮らないのが特徴です。バイオリン初心者の方の練習で、ボーイング(別名「運弓法」とも呼ばれ、擦弦楽器の弓をどう動かすかということ)は極めて重要です。
バイオリンを演奏する時には視界が大事になってきますので、他の消音器のように駒の上に設置するタイプだと、視界に入ってしまいます。そのようなことから、磁石製の消音器は「音は抑えたいけど、視界を遮りたくない!」という方におすすめです。

・駒にはめ込んでネジで固定する消音器
ネジ式の消音器は駒に直接はめ込み、ネジで固定するタイプの消音器です。落下の危険性が極めて低いため、「絶対に本体に傷はつけたくない!」という方におすすめです。
他の消音器と比べるとやや高価ですが、万が一本体に落とした時のことを考えると、コストパフォーマンスは高いと言えるでしょう。

バイオリンの音量を知って騒音対策を考えよう

戸建てであれば隣の部屋に居る家族、アパートやマンションであれば近隣住民を気にして思うように練習できないという方は多いのではないでしょうか? そこで、演奏音がどれほどの音量を持つのか、バイオリンのdB(デシベル)について知識を蓄えていきましょう。

バイオリンの音量は、約77dBと言われています。
dBの数値は、20dB大きくなると音のエネルギー(音量)が10倍になり、40dBの差があれば100倍近くにまで増大します。通常の話し声は約60dB、ピアノの音量が約90dBですので、これを基準に見ていきましょう。

バイオリンに消音器をつけていない状態(77dB)では、ピアノ(90dB)と約13約dBの差があります。ピアノと比較するとバイオリンの音量が小さいことは明らかですが、話し声(60dB)と比較すると、話し声を掻き消してしまうほどの大きな音と言えます。

ゴム製の消音器を取り付けた場合、バイオリンは約69dBの音量で演奏でき、消音器をつけていない状態と比べると約8dBの消音が可能です。

また、金属製の消音器では、約61dBでの演奏が可能です。消音器をつけていない状態から約16dBもの音量が下がるため、効果的な騒音対策となるでしょう。
話し声(60dB)と比較すると1dBほどの違いしかないため、自宅に居ながら家族や近隣住民を困らせる心配もありません。何より、演奏者自身が気兼ねなく弾けることにより、上達のスピードも格段に上がるでしょう。

自宅が厳しい場合のおすすめ練習場所

消音器などを使って演奏しても、「壁が薄くてあまり効果がなかった」、「やっぱり気になって集中ができない」という方も大勢います。
そこで、自宅以外でできるおすすめの練習場所をご紹介します。

おすすめの練習場所1:車の中
自宅で練習ができない場合の代表的な場所です。夜中でも人通りが少ないポイントに移動すれば音量を気にせず練習ができ、場所によっては消音器を使わなくても済む場合があります(ウィンドウは必ず閉めて演奏します)。

おすすめの練習場所2:スタジオ、カラオケボックス、市民会館など
利用には費用がかかりますが、予約を入れておくことで長時間の練習が可能です。
特に、スタジオやカラオケボックスは営業時間が長く、自分のスケジュールに合わせて時間を有効活用しやすい点が魅力です。「少し出費をしても楽器本来の音で演奏がしたい!」という方にはおすすめです。

まとめ

自宅での練習ができる方は、消音器を用いてスクールの復習や自主練習に励んでみてはいかがでしょうか?
消音器を使ったとしても自宅での練習が難しい場合は、スタジオやカラオケボックスなど利用しやすい施設を有効活用するのがおすすめです。自身に合った練習方法や環境を選び、演奏に磨きをかけていきましょう!

本記事は2017年09月29日時点の情報です。記事内容の実施は、ご自身の責任のもとに安全性・有用性を考慮してご利用いただくようお願い致します。

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