口の中を広げることが大切
ボイストレーニングは鼻呼吸でなく口呼吸で行います。ボイストレーニングを習っている方なら、特別な曲以外は口呼吸で練習するように指導されているはずです。声が通ることで共鳴する人の腔(あな)は3つあり、鼻腔・口腔・咽頭腔というものです。歌は体が楽器になるので、これらの空間を使って音を響かせます。
口呼吸は口の中をホールに見立てて、口の中を広くすることです。これは口を開くのではなく「口の中を広げる」という意味です。大きく口を開けてしまうと声は拡散して共鳴しません。実際に口の開きは小さくても構わないのですが、口の中は開くようにします。これはなかなか難しい方法で、普通は舌が上がっているので口の中が狭いはずです。
秘訣として、舌は下げておきます。鼻呼吸すると舌の奥は喉上に上がって口が狭くなるのがわかります。鼻呼吸した後に空間を作ろうとしても発声に間に合わないので、最初から口呼吸で舌を下げておくようにします。
よく通る声の出し方は「ブタバナ」トレーニングにあり
口呼吸すると口の空間は広くなります。つまり、歌を歌うときに言葉をすぐに発せられるようになるのです。また、基本ポジションはすべて「オ」から始まり、ここから色々な言葉につなげていきます。息を吸うときは、すでにこの「オ」が発せられるように準備しておきます。試しに鼻呼吸で「オ」を発しようとすると、時間がかかるはずです。
そして声の圧力を高めたり、良い声を出すためにはたくさんの息が必要になります。ボイストレーニングではいわゆるインナーマッスル(横隔膜)を使います。同時に、たくさんの息を吸って良い声を出していくようにします。そして良い声を出すには喉頭を下げておきます。具体的には、喉頭を下げる行為はちょうどあくびをしたときのポジションです。
口呼吸と口の中の基本ポジション「オ」、喉頭を下げることが理解できたら、ブタバナトレーニングをご紹介しましょう。これは軟口蓋(なんこうがい)を開けるトレーニングです。軟口蓋は、口の中の奥に位置する上アゴ部分です。ここを鍛えると、伸びやかな音色と発声が手に入ります。
ブタバナトレーニングの方法ですが、まずアゴを下げて息を吸いながら、イビキをかくときの音のように「フゴフゴフゴ」という音を出します。鼻のほうまで振動させるようにします。このとき、音を途切れさせずに長さを保ちます。軟口蓋と周辺をリラックスさせていないと発声できませんから、イビキのような大きな音を出す必要はありません。
共鳴のコツを覚えて上手に発声するには
喉だけで頑張って歌うと高音は苦しく、長時間発声することができません。しかし共鳴という方法がつかめると声帯は楽になり、豊かな音色を実現し、長時間の発声が可能になります。この共鳴を実現するトレーニングをご紹介しましょう。
1.アゴを下げて口から息を吸います
2.鼻濁音「ng」を発声する場所(上アゴの奥)に舌の奥をつけます。このとき舌先は下げておきます。
3.小鼻の脇両方をそれぞれ人差し指で軽めに押さえて、しゅーという音をたてて鼻だけで息をします。
4.息をしながら「ng」を発声します。発声と同時に「ブーン」という音が鳴るはずです。大きな声でなくても、響けば発声はできています。
まとめ
このトレーニングは口の中や周囲の筋肉がついていないと難しい場合があります。最初は息を流すトレーニングだけ行って、徐々に発声していくといいでしょう。高音などは声帯の少ない場所しか使わないので、美しく歌うには響きをマスターしておく必要があります。このトレーニングはなかなか1日や2日では完成しませんが、続けると確実に上手になりますのでぜひ挑戦してみてください。
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