ミドルボイスの音域とは
ミドルボイスのミドルとは、ちょうど地声と裏声の中間を意味します。地声に裏声を混ぜて使い、たとえばポップスやロックで歌われるような、地声に近い強い声に聞こえるけれど、実際は裏声の音域で発声する……そんな歌い方を指します。地声は限られた音域しか出せませんが、裏声だと高音を出すことが可能です。実は地声で高音を出すことも可能ですが、かなり声を張り上げる必要があります。
その点、裏声であれば高音部は無理なく出せます。裏声の出し方であるミドルボイスの発声法さえマスターすれば、地声よりさらに高くて力強い高音を出すことが可能になります。もちろん、出せる音域が広がれば歌を歌うには申し分ありませんが、ミドルボイスの音域がマスターできればレパートリーも増えますよ。
自分の音域を理解して中音域→低音→高音の順に鍛える
歌の中で最も使用されているのは中音域と言われています。1曲の流れを考えた場合、7割程度が中音域であることが多く、この中音域が安定していると歌う側も上手く歌え、聞いている側も気持ちがいいはずです。中音域の発声をしっかりすることで、低音域もカバーできます
まずは、自分が無理なく発声できる音域を知ることから始めましょう。声楽の世界では「ソプラノ・アルト・テノール・バス」というように出せる声の範囲や質で守備範囲を決めています。
このように自分が出せる音域を調べ、その中でも無理なく出せる音域の声量や質を高めることを意識しましょう。その後で低い音、高い音と練習の範囲を広げていくと、難易度の高い曲も難なく歌えるようになります。自分が出せる音域を知ることで、自分が歌いやすい曲等が決まってきます。歌うことにコンプレックスを持っている方でもこれができれば「歌うま」になれるかもしれません。
中音域とは
カラオケ愛好者などアマチュアの歌い手の平均的な声域は1オクターブ半~2オクターブ程度です。その中でも中音域は通常の話し声から少し高い「よそいき声」に変わるあたり、ちょうど、地声から裏声に変わるかどうかの前後3音~5音程度を指しています。
個人の声域によって「中音域」はそれぞれ異なりますが、発声しやすい音域なので、まずは自分自身の中音域を見極めていくことが大切です。調律されたピアノを用いて、発音の通り声が出せるか調べていきましょう。中音域は、歌い手にとって無理なく発声できる範囲です。この音域をしっかり発声し、音程を変えることなく支えられるように腹式呼吸は必要不可欠です。
■中音域を広げるコツ
決して地声で歌う事はせず、喉を広げて裏声を意識して発声していきましょう。発声時の息のスピードを速め、声量を上げる練習をする事をおすすめします。
無理なく出せる音域ですので、声の質を変えるための工夫をしていくと、さまざまなジャンルの曲を歌いこなせるようになり、歌えるレパートリーの幅も広がります。この音域を広げるためには、ロングトーンは欠かさず行いましょう。同じ声の太さを保って声を伸ばす練習を行い、腹筋を使って声を支えることとブレスの方法を会得します。そのためには、腹筋運動をすることや腹式呼吸を使ったブレスの練習を行うことが大切です。
低音域とは
ピアノの楽譜を広げると、ヘ音記号で表記されている音域はいわゆる「低音域」と言います。息を緩めに吐き出しながら発声する必要があります。
低い音域は声がかすれてしまうことが多いのですが、低音域が出せるようになるとおのずと中音域の幅が広がって行きます。男性は低音域が得意ですが、女性は苦手意識を持つ方が多く見られます。
ただし、喉に負担がかかりにくい発声方法なので、声域を広げやすいメリットがあります。少しでも音域を広げるために、レッスンしていきましょう。低い音をイメージすることを心がけると出やすくなります。
■低音域を広げるコツ
声量は出さずとも構わないので、息を吐き出しながら低い声を出す練習をします。ロングトーンを取り入れ、安定した発声ができるように練習を続けます。低音域の発声を行う時は、胸のあたりで声が響くように意識をすると出しやすいようです。
息のスピードは緩い分、たっぷりとした量を吐き出す必要があります。腹筋を鍛え、横隔膜のコントロールができるようにすることも大切です。横隔膜がきちんと機能することで、体の中にしっかりと空気が取り込まれやすくなり、低くとも安定した声が出せるようになります。
高音域とは
裏声に切り変えた後で、出しにくくなる声域あたりから「高音域」といいます。男性は苦手どころか、喉仏があるため裏声を出せないというデメリットがあります。
女性でもほぼ裏声を使い発声することがほとんどです。高い声を出せるという方の多くは「音程がない高音」です。息使いができていないと、高音域で歌う場合に苦しそうに聞こえてしまうことや、途端に音程を失ってしまうケースがあるので、ピアノなど正しい音程が取れる楽器を使った音取り練習は必須です。
安定性がある声を出すには、呼吸法も含めてボイストレーニングを重点的に行う必要があります。
■高音域を広げるコツ
高音を出す場合は、裏声を上手に出せることが大前提となります。喉を閉め、そのわずかなすき間からスピードの速い息を出す必要があります。そのため、ブレスの仕方や呼吸法をしっかりマスターすることを優先させます。基礎練習がしっかりできている事を前提とし、高音域はゆっくり時間を掛けて広げていく必要があります。無理して高音を出し過ぎると、喉を痛める他、謡人結節(ようじんけっせつ)などと呼ばれる炎症性のコブができる場合があります。できる限り、ボイストレーナーの指導のもとで高音域を広げることをおすすめします。
ミドルボイスを使って高い音域を上手く出すには?
裏声と地声の中間という感覚で発生するミドルボイスは、練習の仕方によって高音にも対応できるようになります。高い音域は、喉を閉めることで発声します。息のスピードを使って声帯を震わせるため、腹筋を使った呼吸法を会得することが大切です。
もちろん中音域を安定して出せるように訓練することで高音域にも応用可能です。高音域の発声の時は、頭のてっぺんから抜けるようなイメージで声を出すこと(ヘッドボイス)を意識していくと高い音域も無理なく出せるようになります。
練習中に音程をなくしやすいので、必ずピアノなど音程が取れる楽器を準備し、音を取りながら正しい音程で発声できるように心がけましょう。
カラオケポリープに気をつけよう
ここまで読み進めてくると、お気づきの方もいらっしゃる事と思いますが、ミックスボイス、高音、低音等さまざまな音域の声をだす場合、声帯(喉)を開け閉めする必要があります。体から絞り出す空気の量で声の高さや音域を支えていくので、歌い続けることで、喉に大きな負担がかかることも想像できるでしょう。
声帯と呼ばれる2本の帯を震わせることで声が出ます。この振動の振り幅で声の高さが変わります。ゆっくり震わせれば低い音、早くふるわせれば高い音と考えるとイメージしやすいのではないでしょうか。
通常の会話程度では考えられませんが、長い時間歌い続けることや無理な発声を行うことで、声帯に負担がかかり「カラオケポリープ」なる物が出現することも考えられます。
声枯れの原因となる出血や炎症を引き起こすパターンや、ペンダコのように声帯が硬くなりコブのようになる「結節」の状態になるパターンがあります。喉を休めれば出血等の炎症は治まりますが、結節ができてしまえば治りませんので、声が出にくいなどの症状が続く場合は切除を選択することも考えられます。
長い時間歌い続けない事が予防の第一選択です。また、無理のない発声をしないためにもボーカルスクールに通ってレッスンすることもおすすめします。
まとめ
声を出し、声域を広げることは難しいのですが、喉を痛めない程度に適度に練習して感覚をつかめば徐々に声域が広がります。ご自身のカラオケのレパートリーを増やすためにもぜひ、ミドルボイスのテクニックを身につけ声域を広げていってください。
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