ミックスボイスとは?
ミックスボイスとは、別名「ミドルボイス」と言い、地声と裏声の中間の声のことをいいます。地声のような声の強さを保ちつつ、裏声のような高音域を出すことができるため、音域が広がり、上手に歌うことができるようになります。
一般的に、ミックスボイスは歌の中で高音を出す際に使われることが多いですが、それだけではありません。この声を使うことで、音量を大きく変えずにスムーズに音域を移動することが可能になり、表現の幅が格段に広がります。
ミックスボイスを使うことで、声帯の無理な負担を減らしながら、力強く、かつ柔らかな歌声を出すことができるようになります。
ミックスボイスの出し方と練習方法、感覚をつかむコツ
■腹式呼吸を意識する
腹式呼吸は、ミックスボイスを出すための基礎となる技術です。胸ではなく、お腹を使って深く呼吸することで、より多くの空気を効率良く取り入れ、声の安定感と持続力を高めることができます。
具体的には、息を吸うときにはお腹が膨らむようにし、息を吐くときにはお腹が凹むように意識してみてください。発声時の空気の流れがスムーズになり、声帯にかかる圧力を適切に調節することができます。
■息を弱く吐くこと(声量)を意識する
歌の最中でミックスボイスに切り替える時、声帯の振動の幅が短くなり、発声の仕組みが変化します。声帯の振動が短くなると声帯も若干狭まりますので、息の通り道が細くなります。地声と比べると、息の量もわずかで済みます。
ただし、息を弱く吐いても声量は上がりません。うまく発声できない場合や、ロングトーンが続かないということも。厳密に言うと、「息を弱く吐く」事を意識するのではなく、「吐く息のスピードを弱め、腹筋を使いその息の量を支える」事を意識することが大切です。
また、息の量はわずかで良いのですが、息を吐くスピードが足りなければ艶のある声にはなりませんし、声帯がうまく震えません。高い音域に入るほど息のスピードには気をつけて発声しましょう。
■裏声を出す練習をする
裏声を出す練習は、ミックスボイスをマスターする上で非常に重要です。裏声を使うことで、地声との境界をなめらかにし、音域全体にわたって均一な声質を保つことが可能になります。
裏声の基本的な出し方として、「ナ」という音を使う方法があります。この方法は、鼻から息を抜くように発音することで、裏声の感覚をつかみやすくします。
実際の練習では、まず地声でピアノの鍵盤の中間にあるC(ド)音を4拍伸ばして発声します。続いて、オクターブ上のC音を同様に4拍伸ばし、この時、声が鼻の奥で響くよう意識しましょう。
オクターブ上の音に移行する際、もし地声のように喉での響きが得られない場合、それは裏声の発声ができているということ。裏声での発声が上手くいけば、鼻の奥や眉間にピリピリとした共鳴を感じることができるでしょう。
裏声が出せるようになったら、地声で出せる音程でも同様の発声を試みてください。この裏声のテクニックを地声で使うことができるよう練習しましょう。
裏声を使った練習を通じて、自分の声の柔軟性を高め、声域の拡張を図ることが重要です。たっぷりと息を吸い、長く息を持続させながらのロングトーンで、裏声の感覚を体で覚えることが大切です。
■ハミングで鼻腔に共鳴させる
ミックスボイスを出す際には、鼻腔共鳴をうまく活用することがポイントです。ハミングをすることで、音が鼻腔で響き、より豊かな共鳴となり、柔らかく温かみのある音色を生み出します。
ハミングは、口を閉じた状態で「んー」と低い音から始め、徐々に音の高さを変えていく練習をします。この方法で、声の共鳴を感じながら、ミックスボイスの基本を掴むことができます。
■喉を開く
ミックスボイスを安定して出すためには、喉を開いた状態を保つことが非常に重要です。喉が開いていると、空気がスムーズに流れ、声が自然に響きやすくなります。
喉を開く練習としては、口を大きく開けて「アー」と声を出しながら、喉の奥が広がる感覚を意識することが効果的です。この練習を行うことで、圧迫感なく声を発することができ、ミックスボイスのクオリティを向上させることが可能になります。
■声帯を締める
ミックスボイスでの歌唱において、声帯の適切な締め方も重要です。声帯を締めることで、声のブレを抑え、クリアで力強い音を出すことができます。
締め方の練習としては、「ズ」という音を出しながら、声帯がしっかりと閉じる感覚を覚えましょう。声帯を締めることを意識することで、ミックスボイスを安定させることができ、長時間歌い続ける際にも声の疲労を軽減することが可能です。
■表情筋を鍛える
顔にも筋肉があり、笑う・目を閉じる・口を動かす等さまざまな動きを担っています。声を出すことと表情筋にはイマイチ接点が見いだせないという方もいますが、この表情筋を鍛えることによって声の出し方に変化が現れます。
表情筋を動かすことで、高い声が出やすくなります。また、口も大きく開きやすくなるので、発音もはっきりします。
筋肉が柔らかくなることによって、口の中で声が共鳴しやすくなりますので裏声ばかりではなく地声の音程でも綺麗なミックスボイスの発声がしやすくなります。
具体的な表情筋の鍛え方は以下の通りです。
①目や口をぎゅっとすぼめる
②目を大きく見開き、口角をあげ、横に大きく引く
③片目につき5秒ずつ強くウインクをする
④「あえいおう」それぞれの口の形を作り、この順番でオーバーアクションする
この他にも、表情筋のエクササイズ法はありますが、これらの動きを意識して行うことで、ハリがある声が出せるようになります。
発声練習を行う時も、漠然と声を出すだけではなく、顔も意識して動かしてみましょう。声が裏返りやすい方や、高い音程がなかなか出せない方は、顔を大きく動かすことで無理なく音域を広げることができたというケースもあります。
■舌の位置に気を付ける
話し言葉から歌まで、発声のすべてに関係することですが、正しい発音には舌の位置が大きく左右されます。舌の動き一つで歯切れ良く発音したり、声帯と息のコントロールを行ったりすることもあります。
特に声帯を広げて歌う時には「舌と喉仏を押し下げて、喉を開ける」などと説明されることも。言葉だけの説明では難しいので、きちんと練習をしたい場合やボイストレーニングに通うなど、喉や舌の動きを勉強するのもよいでしょう。
ミックスボイスの練習曲
ミックスボイスの練習曲を女性歌手と男性歌手に分けて、それぞれ紹介します。これらの曲は、ミックスボイスの技術を磨くのに役立つだけでなく、声域を広げるのにもおすすめです。
■女性歌手
宇多田ヒカル/First Love
宇多田ヒカルの「 First Love」は、彼女の透明感のあるボーカルが魅力的です。
ミックスボイスを使って、感情を込めながらもクリアな声で歌うテクニックが求められます。特にサビの部分での声の伸びやかさと表現力を練習するのに適しています。
Superfly/愛をこめて花束を
Superflyの「愛をこめて花束を」は、強い感情表現とともに、高音部でのミックスボイスの安定性が試される楽曲です。
歌詞の意味を深く理解し、感情を込めて歌うことで、ミックスボイスの表現力を高めることができます。
MISIA/Everything
MISIAの「Everything」は、広い声域と表現力が要求されるため、ミックスボイスの練習に非常に適しています。
曲のクライマックスでの強い感情の表現を通じて、技術的な声のコントロールと感情の込め方を学ぶことができます。
■男性歌手
Official髭男dism/Pretender
Official髭男dismの「Pretender」は、その独特のメロディーラインが特徴の日本のポップシーンで大ヒットしました。
ミックスボイスを活用して、情感豊かな表現を追求する練習ができます。特に、サビの高音部での声の抑え方と放つタイミングのコントロールが鍵となります。
スピッツ/ロビンソン
スピッツの「ロビンソン」は、心地よいメロディと歌詞が特徴のスピッツの代表曲です。
ミックスボイスを用いて、柔らかくも力強い声で歌う技術を磨くことができます。特に、メロディの流れを自然に歌い上げる練習に役立ちます。
平井堅/瞳をとじて
平井堅の「瞳をとじて」は、感動的な歌詞とメロディが心を打つバラードです。
ミックスボイスを駆使して、感情を込めて歌うことが求められるため、表現力と技術の両面での向上に寄与します。曲全体を通じて、声のダイナミクスを控えめに保ちつつ、感情を最大限に表現する練習ができます。
基礎から歌唱力向上まで!初心者にはボイストレーニング教室の受講もおすすめ
歌を上手に歌いたいと思った時、独学での練習も大切ですが、ボイストレーニング教室に通うことで得られるメリットは非常に大きいです。特に初心者の場合、正しい発声方法や呼吸の技術を基礎から学べるため、効率的に歌唱力を向上させることが可能です。
ボイストレーニング教室では、プロのトレーナーが指導を行います。一人ひとりの声の特性や問題点を正確に把握し、それに合わせた具体的なアドバイスや練習方法を提供してくれます。
例えば、声がうまく響かない、高音が出にくい、声がすぐにかすれてしまうなど、個々の悩みに対して専門的な技術で対応してくれるため、短期間での改善が期待できます。
また、ボイストレーニングでは、ただ声を出すだけでなく、体全体を使った発声方法を学ぶことができます。これにより、歌唱時の体の使い方を理解し、無理なく自然な声を出すことが可能になります。特に、腹式呼吸は歌の基本であり、これをマスターするだけでも声の安定感が大きく向上します。
さらに、ボイストレーニング教室では、他の生徒と一緒にレッスンを受ける機会もあります。これにより、互いの発声を聴くことで新たな発見があったり、モチベーションの向上にも繋がります。また、実際にライブパフォーマンスなどの場で使える技術やステージングの練習も行うことがあり、実践的なスキルアップを目指すことができます。
このように、ボイストレーニング教室に通うことは、歌唱技術の向上はもちろん、長期的には表現力豊かな歌い方を身につけるための最良のステップとなります。初心者から経験者まで、自分の歌声に磨きをかけたい方には特におすすめです。
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まとめ
ミックスボイスは「地声と裏声の中間の声」と説明しましたが、ミックスボイスの定義というものはあいまいな物で「地声・中間声・裏声という発声方法の違う3種類の声を、曲の中でスムーズに変えて使いこなすこと」ということをミックスボイスと指していることもあります。
要は声量と声域を確立させ、歌の技術を磨くことで自然とミックスボイスの発声ができるようになります。発声練習だけではなく、呼吸法の習得や腹筋で上手に声を支える方法等も伴わなければミックスボイスを出す以前の問題ですので、難しく考えずにまずは基本に忠実に歌を学んでいきましょう。
「ミックスボイスは一日にして成らず」です。基本から学び、少しずつ声の出し方を覚えていきましょう。また「質」ももちろん重要ですが、「量」をこなすことも重要です。週に2~3回、1時間程度カラオケで練習すると効率よくコツをつかむのがよいでしょう。
日々の練習を積み重ねて魅力的なミックスボイスを身につけましょう。
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