「美容師としての技術力」と「開業して成功する能力」は違います!
美容師であれば誰もが一度は考えることは、独立・開業でしょう。美容師として素晴らしい技術力があっても、自分のお店を持つには経営者としての思考が必要です。
美容師側の視点でお店を考えると、お客さんが本当に求めているサービスは何かがわからなくなる可能性があります。美容師が提供したいサービスと、お客さんが受けたいサービスとの間に大きなズレが生まれてしまうのです。すばらしい技術力があっても、誰もが開業して成功するわけではないのです。
開業・独立するまでの道のりとは?
開業までにすることは、大きく分けると2つあります。
■1. お店自体に関わること
・どんな場所に出店するか
・不動産はどこに借りるか
・内装はどうするか
・備品はどうするか
■2. 資金や融資に関わること
・手持ちの資金が無い時、どこから融資をしてもらうか
・運転資金はどうするか
・保証人は必要か
これら以外にも、退職前の整理や開業後のプロモーション(広告など)など、すべきことがたくさんあります。開業までの行動リストと注意点を表にまとめました。10のポイントがありますので参考にしてください。
順番 | 項目 | 詳細 |
---|---|---|
1 | 開業場所の選定と決定 |
●どんな場所に開業したいか?自ら歩いて顧客目線に立って立地を探す。 ●地域不動産屋などに確認。店舗扱いより事務所物件の方が安い場合が多い。 |
2 | 資金繰りを決定する | ●店舗保証金や式・礼金などを自前の予算でまかなうか、それとも融資を受けるかを決めておく。自分が出せる限界を決めておく。 |
3 | 内装などを考える |
●什器・備品類などを見た後、さらに内装にいくら予算をかけるかを検討する。 ●信用できる内装業者を選ぶこと。 |
4 | 物件の決定 |
●物件探しからさらに実際に決めたい物件が出てきた場合、人の流れがどの程度あるのか調べる。 ●ビルに他社で風俗などが入っていないかを調べておく。 ●大家についての身元をしっかり調べておく。 |
5 | 融資の決定 |
●公庫などを利用する場合は申込書と開業計画書を作成する。 ●運転資金を準備する。 |
6 | 賃貸契約を締結 | ●物件がよければ賃貸契約を結ぶ。条件をよく詰めておく。 |
7 | 内装・什器リース開始 | ●内装業者に依頼し、必要な場合は什器のリースを申し込みしておく(保証人が必要)。 |
8 | 工事開始(テナント挨拶) | ●内装工事を開始し、東京都なら環境衛生課に推薦をもらう。これが無いと公庫に申し込めない場合があり。 |
9 | ディーラーに回転支援依頼 | ●メーカーの開店支援のグッズなどの協力を依頼する。 |
10 | 看板や広告を開始 | ●保健所の検査の予約も合わせて行う。たいてい内装業者が行ってくれる。 |
他にも、資金作りや融資に関しては様々な注意が必要です。
独立開業したい美容師が知るべき、融資が受けやすくなる方法とは
独立したいのであれば、一番の問題は技術でも人望でもなく開業費などの資金です。ただ、必要な資金が完全に貯まるまで待っていたら、開業は数年先になってしまうでしょう。だから融資を受ける方が多いのです。
銀行や公庫に融資を依頼するなら、厳しい審査を通過する必要があります。どの金融機関でも一番評価が高くなるのは、自分で積み立てた自己貯蓄型の資金で す。親や兄弟に都合してもらうよりも、はるかに信用度が増します。毎月コツコツ貯蓄してきた証明があれば、開業に向けての真剣度合いも伝わり、心象はかなり良くなります。
次に必要なものが、審査が通りやすくなる書類です。出店計画書 というもので、経営が軌道に乗り安定的に黒字になることを印象付けます。開業してからの情報をかなり具体的に記したもので、例えば出店場所・地域の調査・競合店の存在・お店のコンセプト・商材・メニュー・施術金額・内装や什器・従業員の存在などの詳しい資料です。
融資をする側にも、これだけの計画と戦略を考えていることが判断できる資料になります。大切なのは、できるだけ具体的にわかりやすく書くことです。
集客方法:独立開業してからどうやって繁盛させるか?
実際に開業してから一番問題になるのが、集客です。どの美容室も悩んでいることでしょう。激戦区で戦っている美容室も日夜「カリスマ美容師を増やす」、「トレンドカラーを作り出す」、「カラーの割引クーポンを出す」など、色々考えています。
開業する前に考えておきたいことではありますが、いざ開業してからでないとわからないことはたくさんあります。無事開業した後も、経営ノウハウを学び実践するなど、日夜努力が必要です。では具体的に、先ほどの例で説明しましょう。
カリスマ美容師とは、いわば話題性のある美容師のこと。実際の技術力はもちろん、お客さんにいかに支持され、人気を獲得するのか…。いかに多くのお客さんを熱烈なファンにしていくのか…。お客さんを惹き付けるカリスマ美容師を作りだすことは、とても有効な方法です。これは美容室に限らず、どんな業界でもあり得ることです。
美容業界だけの方法に頼らず、起業や経営に成功している起業家・経営者の手法をマネしてみましょう。他の業界から、アイデアを拝借するのです。割引やクーポンなども、飲食店がよくやる効果的な手法です。トレンドカラーやトレンドスタイルを作り出すという難しいものでも、よく考えればラーメンの繁盛店がやっていることですね!
オープンまでに済ませておきたい行動とは
物件を決める前に、開業の準備のほぼ8割を済ませておきましょう。賃貸契約を結んでしまったら、そこからすでにお金はかかるのです。だからそれまでに、できることすべてを行うのです。
綿密なリースや内装についての予定、資金の融資など、やるべきことは多いです。内装工事が始まるころは既に物件契約をしているはずですから、そこから数週間で開業です(何カ月もかかりません)。開業までの数週間で、お客様を一杯にする予定を立てるのです。オープン時になって初めて集客計画を立てても、間に合いません。
オープンまでにタイムスケジュールを組んで、効果があるチラシやウェブサイトを使って事前に集客活動をしましょう。もちろんマーケティング効果の高い業者を選んでください。ただ安いだけの印刷屋さんやウェブサイト制作屋さんだと、集客までは考えてくれないことが多いので、結果的に安物買いの銭失いになりかねません。
有名なクーポン会社に登録して、初日に予約を取ってもらうような施策をするのも良いでしょう。最近はそのようなサービスも多いので事前に調べて、オープンまでに積極的にお客さんの目に触れるようにしておきましょう。
成功の秘訣は場所と、模範になる成功者を探すこと!
新しく開業する場合はほぼ8割方、成功はお店の場所に依存します。場所選びを失敗するとどんなに良い技術を持っていても成功は難しいでしょう。競合店がひしめいている場所かどうか、お客さんの流れはどうかなど、綿密に調査しましょう。
激戦区はお客さんの取り合いですが、逆に存在を知ってもらう良い機会でもあるので、それを逆手に取る経営者もいます。また、周辺にヒアリングすることも大切です。同じテナントに別の業種が過去に何度も入っていて、どれも長続きしていないなどの情報は貴重です。どの業種でも、上手くいかないのは何か特定の理由があるのです。
その理由を分析して、同じ失敗を踏まないための対策を立てるのです。例えば、その場所には出店しないとか、競合が追いつけないほどに、集客・販促を徹底するとか、実行できる施策を考えましょう。
良い場所のテナントを見つけたら、オープンまでの販促方法を考えていくのです。もちろん誰でも最初は経営の素人です。だから、成功しているお店があれば、「どうして成功しているのか」「お客さんの支持がある理由は何か」を調べていきましょう。
まとめ
美容師の独立・開業は、想像以上に大変です。しかし一度成功すれば、そのノウハウは生きて自分に返ってきます。人によっては複数店舗を持ったり、チェーン展開される方もいます。夢や希望があふれていますが、美容師としての技術力だけでは乗り越えられない面があるのも事実です。このコラムを参考に、夢の実現を目指してぜひがんばってください。オーナーの元で働いていたときには味わえない楽しさや収益が待っています!
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