歯科助手(歯科アシスタント)とは?
歯科助手(歯科アシスタント)とは、歯科医院・歯科クリニックでの受付事務や歯科医師や歯科衛生士の診療サポートが主な仕事です。
■歯科助手の仕事内容
歯科助手の仕事内容は、「窓口の受付や電話対応」「会計・請求業務」「治療のサポート」「治療器具の管理」の4つです。
窓口の受付や電話対応
ほとんどの歯科医院が予約制なので、窓口だけでなく電話やインターネット経由で予約を受け、歯科医師の治療がスムーズに進められるように日程や時間の調整と管理を行います。
窓口業務では患者さんに質問を受けたりすることも。診療に関わることなど専門的な内容は歯科医師に確認しますが、都度質問すると診療の妨げになる場合もありますので、基本的なことは臨機応変に回答できるようにしておく必要があります。
会計・請求業務
患者さんや業者さんの会計業務および、健康保険の保険者に診療報酬を請求するために診療報酬明細書を作成する「レセプト業務」を行います。
レセプト業務は歯科医院の収入を支える重要な業務で、専門的な知識やスキルも必要になるため、歯科助手や医療事務が未経験の方はスクールを利用して、基本的な知識や技術を習得している証である資格を取得しておくことがおすすめです。
治療のサポート
患者さんを治療室にご案内し、治療椅子でエプロンをかけるといった治療開始までのご案内をはじめ、歯科医師が治療に使う器具の事前準備など、治療がスムーズに開始できる準備を行います。
治療中も唾液をバキュームで吸い取ったり、必要な器具を準備し手渡したり、歯科医師や歯科衛生士が治療をスムーズに進めるために、医療行為にならない範囲でサポートします。
治療器具の管理
治療で使う器具の洗浄や滅菌処理を行い、所定の場所に収納。治療器具を常に清潔に保つだけでなく、在庫の確認など歯科医院で利用する器具の管理を行います。
■歯科助手と歯科衛生士の違い
歯科助手と歯科衛生士の違いは「医療行為ができるかどうか」です。歯科助手による医療行為は法律で禁止されています。
歯科医院でいう医療行為とは「患者さんの口のなかに手を入れる行為」のこと。歯石除去なども医療行為にあたります。また、歯ブラシを使った歯磨き指導も違法行為とみなされますので覚えておきましょう。
歯科助手になるために資格は必要?
歯科助手には歯科衛生士のように国に認められた資格はありません。未経験でも歯科助手になることができます。
ただし、前述の仕事内容で紹介したようなレセプト業務をはじめ、治療や器具に関する基本的な知識が必要なお仕事です。研修期間を設けたり、先輩スタッフが指導してくれたりする歯科医院もありますが、基本的な知識は身につけていたほうが、求人応募の際に有利にはたらく場合もありますし、なにより現場に出てからスムーズに動けます。
患者さんと一番に接する歯科助手というお仕事だからこそ、患者さんを不安にさせないために基本的な知識や技術を身につけておくのがおすすめです。
ここからは、歯科助手を目指すにあたって取得しておきたい、求人応募の際や就職後の現場で役に立つ資格・研修を紹介します。
歯科助手の現場や求人で役に立つ資格・検定
■歯科助手資格認定制度
「歯科助手資格認定制度」は、日本歯科医師会が認定する歯科助手の資格。歯科助手の育成と質の向上から、歯科治療を円滑に行うことを目的に制定された歯科助手の認定制度です。
事務作業に関わる認定として「乙種第二」、診療室内の仕事についての認定として「乙種第一」、その上位資格としての「甲種」の3種類があります。それぞれ所定の講習を修了することが認定条件ですが、甲種に限り所定の講習とあわせて、乙種第一の資格を取得と、3年以上の業務経験、補充研修訓練基準による訓練の修了が必要です。
■歯科助手技能認定
「歯科助手技能認定」は、日本医療教育財団が認定する歯科助手の資格。歯科医院での受付や会計業務をはじめ、診療報酬算定の基礎、治療器具の管理方法や治療のアシスタントなど、歯科助手としての幅広い知識と技能を身につけている証となります。
受付事務の基礎知識と診療介助の専門知識の2つの学科試験に合格することで、歯科助手技能認定資格が取得できます。合格率は公表されていません。
なお、ニチイが提供する歯科助手専修コースを修了後、医療事務講座(歯科)を修了することで、歯科助手技能認定資格の取得も可能です(別途認定料として税込3,000円が必要)。
■歯科 医療事務管理士®
歯科 医療事務管理士®は、診察の受付やカルテ管理、会計、診療費の請求をはじめ患者さんへの接遇力など歯科助手として必要な事務スキルを証明する資格。JSMA 技能認定振興協会が主催する「歯科 医療事務管理士®技能認定試験」に合格することで取得できます。
マークシート形式10問の学科試験と3問の実技試験があり、合格率は約70%ほどと、難易度はそこまで高くない資格です。受験資格や年齢制限もなく、誰でも受験できます。
■歯科アシスタント検定
「歯科アシスタント検定」は、全国医療技能検定協議会が認定する資格。受付・会計業務、診療報酬明細書(レセプト)作成などの事務業務をはじめ、治療器具の準備や受け渡しや消毒などの歯科医院でのアシスタント業務を円滑に行うための知識や能力を証明する検定試験です。
難易度によって1級から3級までの3種類の検定があり、それぞれ60分の学科試験と1級はそれに加えて30分の実技試験があります。合格率は公表されていません。
歯科助手の給料はどのぐらい?
歯科助手の給与を調査したところ、2023年2月現在で以下の通りでした。
正社員
平均年収:323万円
アルバイト・パート
平均時給 1,076円
派遣社員
平均時給 1,275円
国税庁の「民間給与実態統計調査結果」によると、2021年(令和3年)における日本の平均年収は443万円となっており、歯科助手の給料は平均年収と比較すると低い傾向にあります。
■歯科助手が給料アップを目指すには?
特別な資格が必要なく、未経験でもなれる歯科助手。資格を持っていることが歯科助手として必要な知識やスキルの証明になりますので、求人応募の際に有利になる場合があります。
求人応募の際に有利になることで、勤務する歯科医院・歯科クリニックの選択肢も広がり、待遇の良い勤務先を選ぶことができますし、資格手当がつく勤務先であれば給料アップも可能です。
まとめ
歯科医院・歯科クリニックは年々増え続けており、2021年(令和3年)時点の統計データでは約68,000施設に上ります。この数は同年のコンビニエンスストアの数の約1.2倍。歯科医院・歯科クリニックの増加により、現場に欠かせない存在である歯科助手も不足しています。
ただし、未経験でもなれる職業であるからこそ敷居は低くなりがちで、きつい職場に勤務せざるを得ないことにもなりかねません。より給料や待遇が良い職場の選択肢を増やし、長く安定して続けていくには、資格を取得してキャリアやスキルを上げていくことが重要です。
また、歯科助手として働きながら、歯科衛生士国家資格へのチャレンジを経て、キャリアチェンジしていくのもよいでしょう。これから歯科助手を目指す方も、すでに歯科助手としてお勤めでキャリアアップをお考えの方も、今回紹介した内容を参考に資格取得を検討してみてはいかがでしょうか。
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