【2021年度版】医薬品を売るには資格が必要? 全国で使える登録販売者の資格取得で年収アップを目指す

【2021年度版】医薬品を売るには資格が必要? 全国で使える登録販売者の資格取得で年収アップを目指す

薬局やドラッグストアだけでなく、コンビニエンスストアやホームセンター、スーパーでも売っている医薬品。多様な店舗で医薬品が販売されるようになったのは、それらの店舗に医薬品を販売する資格を持つ登録販売者がいるからです。ここでは、登録販売者の仕事がどのようなものか、どうしたら資格を取得できるのか、資格を取得後にどのような可能性があるのか。登録販売者とその資格についてご説明します。


登録販売者ってどんな仕事?

登録販売者とは、2009年の薬事法(現在の「医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律」)の改正で新設された資格で、医薬品を販売できる専門職のことです。改正前まで、医薬品を販売できるのは主に薬剤師に限定されていました。なぜなら、医薬品を販売する際には、お客様に十分に医薬品の効果や副作用を説明しなければならないからです。そのため、医薬品の販売は有資格者に限定されていたのです。

しかし、法改正で登録販売者が新設されたことで、登録販売者の資格を持っていれば医薬品を販売することができるようになりました。その結果、コンビニエンスストアやホームセンター、スーパーマーケットなど多様な店舗で医薬品が販売されるようになったのです。

登録販売者が販売できるのは、第2類医薬品と第3類医薬品

医薬品を販売する店舗に行くと、直接手に取る場所に陳列されている医薬品(第2類医薬品、第3類医薬品)と、鍵がかかる棚やカウンターの後ろに陳列されている医薬品(要指導医薬品、第1類医薬品)があります。この区分は、医薬品のリスクにより分けられています。言うまでもなく、厳密に管理されている要指導医薬品や第1類医薬品のほうが、第2類医薬品や第3類医薬品よりリスクが高い医薬品です。

薬剤師は、これらすべての医薬品を販売できます。一方、登録販売者が販売できる医薬品は、直接手に取ることができる第2類医薬品と第3類医薬品のみです。といっても、第2類医薬品と第3類医薬品で陳列される医薬品に占める割合は全体の9割以上。風邪薬や解熱鎮痛薬、咳止め、下痢・便秘の薬、点眼薬、皮膚に使う薬、漢方薬など身近な市販薬はだいたい含まれていますから、登録販売者が販売できる医薬品はもちろん、医薬品の選択に関してお客様にアドバイスできる場面もかなり多いと言えるでしょう。

なお、薬局や一部のドラッグストアでは、処方箋を持っていくと調剤した医薬品を受け取れますが、この処方箋で受け取る医薬品は医療用医薬品に分類されるもので、薬剤師でなくては扱うことができません。

登録販売者の資格を取得すれば、実務経験がなくても医薬品は販売できる?

登録販売者は、医薬品を販売するだけでなく、ドラッグストアなどの店舗管理もできます。言い換えれば、ドラッグストアなどの店長を目指したいのならば、薬剤師か登録販売者の資格が必要だということです。

後述するように、登録販売者の資格試験は誰でも受験可能ですし、医薬品に関する知識があり、勉強すれば比較的取得しやすい資格試験のひとつです。しかし、だからといって、資格所得後すぐに単独で医薬品を販売したり、店舗管理者・店舗管理代行者になれるわけではありません。なぜなら、医薬品を単独で販売するには、「過去5年で通算2年以上」という実務経験を必要とするからです。

過去5年以内に通算2年以上の実務経験があれば、試験に合格後、販売従事登録(登録料は都道府県によって異なる)をすることで単独で医薬品を販売することも、店舗管理者・店舗管理代行者になることも可能です。名札が「登録販売者」「医薬品登録販売者」となり、研修期間もありません。

しかし、過去5年で通算2年以上の実務経験がない場合、実務経験が過去5年で通算2年以上になるまでは単独での販売はできません。通算2年以上の実務経験を満たすまで「登録販売者 研修中」という名札をつけて、薬剤師か店舗管理者・店舗管理代行者の要件を満たす登録販売者の指導の下で販売業務に従事することになります。

同様に、過去5年で通算2年以上の実務経験がない人が第2類医薬品と第3類医薬品を販売する店舗の店舗管理者・店舗管理代行者になるには、通算2年以上のの実務経験が必要となります。さらに、薬剤師を店舗管理者にできない第1類医薬品を販売する店舗で登録販売者が店舗管理者になるには、通算3年以上の実務経験が必要です。

登録販売者試験の受験資格と試験範囲、取得後の研修

前述したように登録販売者の資格試験は、受験資格に学歴は問われません。また、以前は受験に必要だった実務経験も必要ではなくなりましたから、医薬品の販売に従事していないという人でも受験できます。

試験は都道府県別に実施しており、試験日程や受験申込期間、受験料はそれぞれ異なります。住所・勤務地とは関係なく好きな都道府県で受験できますから、日程が異なれば複数の都道府県で受験することも可能です。

ただし、受験料は都道府県の収入証紙が必要な場合がありますので、あまりにも遠隔地だと、収入証紙の購入が難しいかもしれません。収入証紙を郵便で販売したり、過去の問題を発表・公開する都道府県もありますが、その方法はそれぞれ異なります。ホームページで公開している場合もありますので、受験しようと思う都道府県のホームページをよく確認しておきましょう。

なお、どこで合格しても、全国で医薬品を販売できますが、登録販売者として登録できるのは1つの都道府県だけに限られています。

試験内容は、厚生労働省が作成している「試験問題の作成に関する手引き(平成30年3月)」に具体的な出題範囲が記載されています。出題範囲は「医薬品に共通する特性と基本的な知識」「人体の働きと医薬品」「主な医薬品とその作用」「薬事関係法規・制度」「医薬品の適正使用・安全対策」の5領域です。

400ページ弱の手引書には、医薬品をお客様に販売する際に適切な情報を提供するために必要な知識、服用に注意が必要な人や服用してはいけない人(年齢、妊娠の有無等)、服用方法、併用してはいけない薬剤、副作用の初期症状など副作用の発生および重篤化を避けるために留意すべき事項、一定期間服用しても症状が改善しない場合の処置方法など、実際に登録販売者として業務を行うときに必要な内容がまとめられています。お客様に医薬品を販売するときに役立つだけでなく、自らや家族などの健康維持にも役立つ内容となっています。

試験形式は択一式で120問、試験時間は240分。論述問題や実技問題はありません。合格基準は7割以上の正答率で、合格者の定員もありません。

合格率の全国平均は、2017年度が43.5%(2018年1月31日現在)、2018年度が41.3%(2019年3月31日現在)、2019年度が43.4%(2020年3月31日現在)。都道府県によって差があるものの、だいたい40%程度と考えればいいでしょう。

合格率だけをみると難関そうですが、受験資格に実務経験のしばりもなく、幅広い層の人が試験を受けていることを考えると、さほどではありません。むしろ、医薬品業界に就職したいならば、ぜひとも取っておきたい資格です。

登録販売者の資格で年収アップも夢ではない!

登録販売者の資格を取ると、多くの企業では資格手当がつくようになります。相場は月額5,000円~20,000円程度ですが、店舗管理者になるとさらに給与はアップします。店長クラスともなると、500万円台以上の年収も可能です。パート・アルバイトでも、時給の相場は1,100円から1,500円程度で、一般的なレジ担当者に比べると高めです。また、登録販売者の求人は全国どこにでもありますから、家族の転勤などで引っ越しをした場合でも、新しい勤務先も見つけやすいでしょう。

ただし、登録販売者は資格を取得したらそれで終わりではありません。医薬品業界は日進月歩で進化しており、新しい医薬品が開発されることも、それまで知られなかった副作用が出てくることもあります。そのため、登録販売者には毎年12時間以上の外部研修が義務付けられています。外部研修は集合研修(講義)がメインですが、通信講座もあります。こうした研修を利用するなどして、登録販売者は常に医薬品の知識を学び、医薬品の販売に必要な知識を日々ブラッシュアップする必要があります。

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本記事は2021年04月21日時点の情報です。記事内容の実施は、ご自身の責任のもとに安全性・有用性を考慮してご利用いただくようお願い致します。

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