バイオリンの絃は何種類?またそれらのメンテナンス方法とは

バイオリンの絃は何種類?またそれらのメンテナンス方法とは

バイオリンを練習していると、どのように弓の毛や絃などを替えていけばいいのか不安になってしまいますよね。楽器を演奏するうえで、定期的なメンテナンスは基礎練習以上に欠かせません。 そこで、ここでは「絃の種類や替え方」、「おすすめの素材」について詳しくご説明します。これからバイオリンを始めようと思っている方や、バイオリン初心者の方は必見です!


絃の種類は大きく分けて3種類 !

ガット絃・・・古くから伝わる伝統的な絃
ガット絃は羊の腸から繊維の強いものだけを取り出し、それを乾燥させねじり合わせたものです。この絃の最大の特徴は、「とてもしなやかで暖かみのある柔らかい音」を出せる点です。

ガット絃で上品な音色を響かせるためには、ボーイング技術(弓と弦の直角を保つ)が極めて重要となるため、おすすめの演奏者レベルは中級者~上級者と言われています。
バイオリン初心者の方は、ボーイング技術をある程度習得してから張り替えるのがおすすめです。

ナイロン絃・・・バイオリンにおいて最も主流とされる絃
ナイロン弦は、その名の通りナイロンを原材料に製造された絃です。しかし、絃全てが100%ナイロン製ではなく、実際には様々な合成繊維が使用されています。

各メーカーではガット絃のしなやかな音に近づけるべく、ナイロン絃を製造しています。
ガット絃と比べるとチューニングの安定性が高く、取り扱いも容易なため、初心者~上級者まで人気が高い絃となっています。
また、コスト面においてもガット絃より親しみやすい価格なのが特徴です。安定性、音、価格などを考慮して平均的に扱いやすい絃なので、バイオリン初心者にもおすすめです。

スチール絃・・・耐久性・安定性に定評がある絃
スチール絃はその名の通り、金属線が使用されています。ガット絃に代わる素材として開発されてきた歴史を持ち、中学校や高校のオーケストラなどにも多く使用されています。
ガット絃と比較すると、しなやかさや音の柔らかさが劣りますが、演奏時は壮大な音量を発揮できる点が特徴です。

また、スチール絃は伸びにくく耐久性が高い特徴を持ち、他の絃と比べてもその違いは明白です。これらの特徴により、チューニングがしやすく絃自体の寿命を長く保たせることが可能です。

金属製であることから金属的な音色となりますが、透明感のある音が出せるので、明るい音色を奏でたいという方におすすめです。価格帯も低価格であることから、バイオリンを始めたばかりの方にもおすすめできます。

演奏後の絃のメンテナンス

演奏後は、松脂や汗などが楽器についてしまいます。毎回演奏後は乾拭きで吹き上げるようにしましょう。力を入れずにゆっくりと拭き上げることがポイントです。このとき、木製のバイオリンに対する水拭きは避けてください。

乾拭きには専用クロスを用いるのが一般的ですが、ハンカチなどのようにきめ細かい布であれば問題はありません。
拭き上げ用の布は、松脂の拭き取り専用に1枚、汗などの拭き取り専用に1枚、計2枚用意して拭くことで、クロスについた松脂が本体に伸びてしまうことを防げます。

絃の交換方法と絃の寿命

絃の交換時期としては、プロの演奏家(毎日半日近く演する場合)で1ヵ月以内、それ以外なら3ヵ月~6ヵ月ほどと言われています。絃の交換では慎重な作業が必要となるので、以下の手順を参考にしてください。

まず、既存の絃と新品の絃は一本ずつ交換することが重要です。
これは、バイオリン本体内部にある魂柱や、本体表面にある駒をずらさないためです。魂柱は絃の圧力だけで本体に固定されているため、全ての絃を外してしまうと位置ずれや倒れてしまう可能性があります。

この際、駒の位置は左右の中心、上下の位置はf字孔内側の刻みに合わせ、垂直に立っていることを確認してください。

絃の交換をする前の注意点

バイオリンの絃は4絃あり、細い方から順番に1絃、2絃、3絃、4絃と呼びます。一般的な呼び方としては細い方から順番に、E線(エーセン)、A線(アーセン)、D線(デーセン)、G線(ゲーセン)となります。

これを踏まえて、絃を交換する際は、1絃(E線)が「ボールエンド」もしくは「ループエンド」のどちらであるか必ず事前に確認しましょう。エンド形状が異なると、購入する絃も変わるため注意が必要です。

ボールエンドは、テールピース(絃を引っ張る部品)側の先端に丸い金属がついているものを指し、ループエンドは丸い金属ではなく輪になっているタイプをいいます。
ループエンドは、ループエンド専用チューニングアジャスターを使用している時だけに使用する絃のため一般的ではありませんが、購入の際はしっかりと確認して絃を選びましょう。

弓毛のメンテナンスはどうするの?交換時期はいつ ?

弓毛には、馬の尻尾の毛が素材として使用されています。
演奏前に松脂を二往復分つけてから使用し、演奏後に清掃するのが基本のメンテナンスです。

松脂をつける際は、張られた弓毛の根元から15センチ程を二往復し、その後弓毛に沿ってスティックの先端まで松脂をつけていきます。根元と同様に先端から15センチ程を二往復し、そのまま根元まで戻って完了です。
これを2セット繰り返すと、演奏前に適量の松脂をつけることができます。

また、弓毛の交換時期は練習の頻度にもよりますが、以下のような状態が見られたら交換時期のサインです。

・弓が伸びきっている
・毛の根元が黒ずんでいるまたは全体的に黄色がかっている
・前回弓毛を替えてから1年以上が経過している
・毛量が薄くなってきている

絃とは異なり、弓毛は非常にデリケートな性質を持ちます。そのため、交換時期のサインが現れたら最寄りの楽器店へ交換を依頼しましょう。

まとめ

自身の演奏スタイルや技量に合わせた絃を選んで、演奏に磨きをかけていきましょう。演奏をしていくうえで、日々のメンテナンスは非常に大切です。演奏の上達だけでなく、手入れの上達もできるよう知識・経験を積んでいってください。

本記事は2017年09月21日時点の情報です。記事内容の実施は、ご自身の責任のもとに安全性・有用性を考慮してご利用いただくようお願い致します。

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