改善方法
前回は声が通らない人の特徴について記載しましたが、次に改善方法について記載したいと思います。文章で伝えられることはごく一部となり、100人いれば100人ともタイプが違いますので、しっかりと原因を知った上で実施する方が効果的だと言えます。
■正しい姿勢で発声する
姿勢の中でも一番重要なのは「顎を引く」ことです。
●頭を後方にスライドして胴体の上にひょいと乗せる
そうすると、重い首が胴体の上に乗り、肩首の負担が減るので自然に肩首の力が抜けやすくなります。
また、顎を引くと肺から送られてくる空気の通り道である気管が自然に開き、スムーズに息が吐けるので喉の締め付けが開放されて喉が楽になります。
●頭を上方へ引き上げることを意識
顎を引いたまま頭を上方へ引き上げると後ろにふんぞり返ることなく自然に背筋が伸びます。その結果、肺が圧迫されずに深いブレスが可能になります。これは立っていても座っていても上半身は同じ状態です。上半身が上に伸びると肩首が力みにくい状態となります。
以上は練習の時だけ意識してもなかなか改善しませんから、立っている時、座っている時など自由の利くプライベートの日常生活の中に意識してに取り入れましょう。
■首肩のストレッチを行う
立っていても座っていても結構ですが、上半身は背筋を上方へ伸ばしたままの姿勢をとり、地面を見るように頭を下にさげて10秒程静止してください。
次に天を仰ぐように顔を上方へ上げ5秒程静止しましょう。
上方へ顔を上げる際に無理にあげてしまうと、首を痛めやすいので気をつけてください。
更に顎を後方へスライドさせるようなイメージで引いたり緩めたり5秒間隔程で10回程繰り返してみましょう。
いずれも2セットから3セット程やると顎が引きやすくなります。
こちらも日常生活に取り入れたいですね。
■正しい呼吸を行う
声が通らない人の特徴で記載しましたが、声を通すためには腹式呼吸が重要となってきます。
正しい腹式呼吸は吸う方と吐く方の両方が正しくなければなりません。
以上2つのことが守られていると正しい腹式呼吸の吸う方が容易になります。
●息を吸うときのポイント
息を吸うときは、姿勢をキープし、お腹に意識して吸ってみましょう。
この際にお腹が膨らめば、吸うときの腹式呼吸は問題なく出来ていると言えます。
●息を吐くときのポイント
吸うときの正しい腹式呼吸が出来ていればお腹が膨らんでいるかと思いますが、吐くときにわざとお腹へこませように気をつけてください。
へこませるのを過剰に意識すると腹筋に力みが生じやすくなります。これは多くの方に見られる問題点です。
この場合は、横隔膜や腹筋を使っているのではなく硬直させてしまっているのです。
そのため、息を吐くときは意識せずに自然に吐き出してください。
イメージ的には、膨らんだ風船の口を離した際、自然に空気が出て行ってしぼんで行くようなものです。もし風船を手で押さえつけて無理やり空気を出させようとするとスムーズに空気が出て行きませんよね。
スムーズに息を吐くと自然にお腹はへこみます。正しい呼吸法の基本は寝てしまいそうなくらい楽なものです。
■口を大きく開ける
声の出口である口を大きく開けることを意識しましょう。
声の出口は口と鼻しかありません。
ちなみに鼻からの発声は歌の方ではハミング、言葉の方では鼻濁音と呼ばれています。
話している時、歌っている時、あるいは物を食べている時も人間は顎しか動かせません。
出口を大きくするためには顎を下げる以外に方法はありません。
ようするに口を大きく開けるということは、縦に開けることを意識することです。
横に引くには顎を引き上げて口の中をある程度狭くする必要はあります。
しかし横には意識せずとも自然に引けます。
開けているつもりで横に引きすぎて口内が狭くなりすぎている方は大勢います。
すると口内も出口もは狭くなりすぎてスムーズに息が出て行かず結果、声帯が正常に振動しなくなり無理やり押し出す力みに繋がり易いです。
縦に大きく開けるとスムーズに息が流れて声帯が正しく振動して負担が掛かりにくいです。
実は耳も重要
今まで述べてきたことをマスターすると必然的に声帯が正常に振動します。
実際にため息でも吐くようなイメージでアーと軽く発声してみてください。
アの発声は自然に最も楽に大きく口を開けられます。
ただ、声帯の振動は目に見える訳がなく、正しい振動をしているか否かは最終的には自分の耳で判断するよりありません。
楽な発声が出来ているかどうかを判断出来る耳を作る必要があります。
自分の声は判断つきにくいですが、人の声は分かりやすいですね。
■まず色んな人の声を分析
まず色んな人の声を分析してみましょう。
例えば普段聞いているニュース番組などで話しているアナウンサーの声のどこが高くなったとか低くなったとか、家族や友人たちとの会話での相手の声のどこが響いた、詰まった、掠れた等、敏感に感じ取れる音楽的な耳を作って行くと自分の声の分析も可能になって行きます。
■専門家のレッスンを受講する
以上のように声が通らないのは一つ、あるいは複数の問題点から悪循環になっている場合が多いです。
滑舌の悪さや、すぐに声がばてる等にも関連してしまいます。
いずれのテクニックも正しく出来ているかの判断がつきにくく、多くの方が一生懸命本を読んだりして独学で勉強されていますが、かえって悪い状態になったり迷ったりする方も多いです。
まとめ
また、冒頭でも触れていますが、文章にて特徴と改善方法について書いてみましたが…、文章で伝えられることはごく一部になります。これが全てではありません。また、100人いれば100人の原因と改善方法があり、原因もわからず、間違った方法で改善をしようとすると失敗することも多くあります。そのため、本来であれば、正しい基本を教えることの出来る専門家のレッスンを受講することをお勧めします。
最後まで読んで頂き、ありがとうございました。
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