「合格を目指している税理士の年収を知りたい」
「性別や働き方などで税理士の年収がどれほど変わるのか知りたい」
「税理士としての年収を今よりも上げたい」
高年収職業として知られる税理士ですが、年齢・働く場所や環境・性別などの条件に応じて、年収は大きく変動します。
そのため、税理士全体の平均年収は正確なデータとはいえません。
そこでこの記事では、詳しい条件ごとにおける税理士の年収を徹底解説します。
この記事を読むことで、税理士としての現在の年収が妥当であるか把握でき、「年収が低い」と感じる場合は年収を上げることもできます。
税理士としての年収を上げる方法だけでなく、BIG4の初任給や税理士になる方法についてもまとめたため、税理士に興味がある人もぜひご覧ください。
なお、税理士は予備校・通信講座での学習もおすすめです。
税理士 通信講座の詳細はこちらの記事をご覧ください。
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税理士と公認会計士の違いとは?
後述する税理士の平均年収において、公認会計士を含むデータを用いる場合があるため、税理士と公認会計士の違いについて簡単に解説します。
税理士とは、税金の専門家で、税務代理・税務書類の作成・税務相談の3つを独占業務としています。
税理士の使命に関して、国税庁が以下のように解説していました。
法第1条は、「税理士は、税務に関する専門家として、独立した公正な立場において、申告納税制度の理念にそつて、納税義務者の信頼にこたえ、租税に関する法令に規定された納税義務の適正な実現を図ることを使命とする。」と規定しています。
同条は、税理士がその職務を行うに当たり、独立した公正な立場を堅持して、納税義務者の信頼に応え、租税に関する法令に規定された納税義務を適正に実現するように努めることが税理士の使命であることを定めたものであるとともに、税理士法の解釈に当たってよるべき基本原則を明らかにした規定です。
なお、同条の規定は、税理士法人にも準用されています(法第48条の16)。
(引用元:国税庁公式HP)
つまり、税理士は法令に沿って依頼者の納税に関するサポートを実施する必要があります。
一方、公認会計士とは、企業の監査や会計の専門家で、財務諸表監査を独占業務としています。
公認会計士法の第一章第一条に、公認会計士の使命について記載されていました。
公認会計士は、監査及び会計の専門家として、独立した立場において、財務書類その他の財務に関する情報の信頼性を確保することにより、会社等の公正な事業活動、投資者及び債権者の保護等を図り、もつて国民経済の健全な発展に寄与することを使命とする。
(引用元:公認会計士法)
ようするに、公認会計士は依頼者の財務諸表に問題ないかどうかを保証する必要があります。
また、資格の学校TACによると、税理士と公認会計士では業務内容に違いはあるものの、年収に大きな違いはありません。
職種区分において公認会計士の他に税理士も含まれていますが、両資格とも大きな開きはないと言われているためここで紹介しております。
(引用元:資格の学校TAC公式HP)
したがって、本記事に用いるデータと実際の税理士の年収に大きな差はないと考えて問題ありません。
【2024年最新】税理士の年収の現実は?条件ごとに徹底解説
ここでは、2023年1月時点で最新のデータを用いて税理士の年収を算出しました。
調査した税理士の条件 |
|
税理士の年収を調査した結果、それぞれの条件ごとで大きく異なることが分かりました。
そのため、税理士の年収の現実を知りたい人は、自分に近い条件を参考にする必要があります。
また、高年収の税理士を目指す場合、4大税理士法人(BIG4)などの規模が大きい税理士事務所で雇われ税理士になるか、開業税理士になるのが効率的といえる結果が得られました。
それでは、具体的な条件ごとにおける税理士の年収をご覧ください。
雇われ税理士の年収は低い?平均と中央値をあわせて調査
まずは、雇われ税理士の平均年収と中央値について調査しました。
平均年収については、給与に時間外労働手当と年間賞与その他特別給与額を加えて算出しています。
税理士(会計士含む) | 日本国民 | |
平均年収 | 659万円 | 564万円 |
中央値 | 392万円(所定内給与のみ) | 440万円 |
(参考:厚生労働省の令和3年度賃金構造基本統計調査・厚生労働省の令和3年度国民生活基礎調査)
雇われ税理士の平均年収は日本国民の平均年収よりも高いものの、中央値においては雇われ税理士の方が低い結果でした。
しかし、雇われ税理士の中央値が正確とは言い切れません。
雇われ税理士の中央値が低い理由としては2つ考えられます。
1つ目は、税理士の中央値のデータには給与以外に支給される時間外労働手当や賞与などが考慮されていない点です。
令和3年度賃金構造基本統計調査によると、税理士は給与以外に3万円/月、賞与で120万円/年もらっていることから、実際の中央値は表に記載した金額よりも高くなると考えられます。
2つ目に、税理士試験の科目合格数が足りておらず、試験合格を目指しながら勤務している税理士補助の年収も加わっている点が挙げられます。
後ほど詳しく解説しますが、税理士になるには税理士試験の合格に加えて、2年以上の実務経験を積む必要があるため、税理士補助として税理士事務所に勤務している人も珍しくありません。
マイナビ税理士によると、未経験で税理士補助に転職する場合の年収は300〜400万円程度で、日本国民の年収の中央値よりも低いことが分かります。
税理士補助未経験から転職する場合は月収20~25万円、年収300~400万程度、税理士補助経験者は月収25~35万円、年収400~500万程度といわれています。
(引用元:マイナビ税理士公式HP)
以上2点を考慮すると、雇われ税理士の年収は日本国民の年収よりも高くなると推測されます。
雇われ税理士の年齢や経歴年数ごとの年収は?男性と女性で差がある?
雇われ税理士の年収は、年齢・経験年数・性別でどのように変化するのか調査しました。
また、いずれのデータにおいても、給与に時間外労働手当と年間賞与その他特別給与額を加えて算出しています。
まずは、年齢と性別ごとの平均年収をまとめました。
年齢 | 男性(会計士含む) | 女性(会計士含む) |
20〜24歳 | 341万円 | 283万円 |
25〜29歳 | 537万円 | 342万円 |
30〜34歳 | 676万円 | 537万円 |
35〜39歳 | 752万円 | 440万円 |
40〜44歳 | 719万円 | 558万円 |
45〜49歳 | 885万円 | 570万円 |
50〜54歳 | 695万円 | 749万円 |
55〜59歳 | 1,133万円 | 474万円 |
60〜64歳 | 599万円 | 628万円 |
65〜69歳 | 434万円 | – |
70歳〜 | 314万円 | 360万円 |
(参考:厚生労働省の令和3年度賃金構造基本統計調査)
男性は55〜59歳、女性は50〜54歳で年収のピークを迎えていることが分かります。
また、ほとんどの年代において、男性税理士の方が女性税理士よりも高い年収を得られるという結果でした。
理由としては、女性は育児休暇を取得するケースが多いことや、育児休暇の少ない男性の方が年収の高い管理職に昇格しやすいことが考えられます。
なお、国税庁の民間給与の令和3年度実態調査結果によると、日本の平均年収は男性が545万円、女性が302万円です。
そのため、税理士は性別に関わらず、25〜29歳で日本国民の平均年収を超えられるでしょう。
続いては、経験年数と性別ごとの平均年収についてです。
経験年数 | 男性(会計士含む) | 女性(会計士含む) |
0年 | 444万円 | 258万円 |
1〜4年 | 577万円 | 330万円 |
5〜9年 | 602万円 | 467万円 |
10〜14年 | 728万円 | 590万円 |
15年〜 | 846万円 | 744万円 |
(参考:厚生労働省の令和3年度賃金構造基本統計調査)
性別に関わらず、税理士の経験年数を積むごとに年収が上がっていくことが分かります。
また、上述したように、女性は育児休暇によってキャリアを中断するケースが多いため、男性と女性で年収に差が生じています。
日本の平均年収は男性が545万円、女性が302万円であることから、税理士を1年以上経験することで、日本国民の平均年収を超えられるでしょう。
さらに、大学を卒業する23歳から定年の60歳までの38年間勤務することを想定して生涯年収を算出しました。
男性税理士(会計士含む) | 日本国民(男性) | 女性税理士(会計士含む) | 日本国民(女性) | |
平均年収 | 691万円 | 545万円 | 578万円 | 302万円 |
生涯年収 | 2億6,258万円 | 2億710万円 | 2億1,964万円 | 1億1,476万円 |
(参考:厚生労働省の令和3年度賃金構造基本統計調査・国税庁の民間給与の令和3年度実態調査結果)
雇われ税理士として勤務することで、日本国民の生涯年収を大きく超えられます。
注意点として、あくまで平均年収から生涯年収を算出しているため、勤務する税理士事務所によって大きく変動する可能性があります。
また、開業税理士であれば定年が定められていないため、60歳以降も働くことができるでしょう。
後ほど、企業規模に応じた平均年収や開業税理士の年収についても紹介します。
4大税理士法人(BIG4)に所属した税理士の年収は?
4大税理士法人(BIG4)とは、世界4大監査法人であるPwC税理士法人・デロイト トーマツ税理士法人・KPMG税理士法人・EY税理士法人の総称で、年収も高くなる傾向があります。
まずは、新卒における各法人ごとの平均年収を調査しました。
なお、PwC税理士法人は初任給に関する記載がなかったため、dodaに掲載されているPwC税理士法人の求人情報を参考にしています。
また、KPMG税理士法人を除くBIG4は、年間賞与に関する記載がありませんでした。
そこで、社員の口コミを調査したところ、4ヶ月分程度の年間賞与が支給されることが分かったため、こちらの値を採用して算出しました。
PwC税理士法人 | デロイト トーマツ税理士法人 | KPMG税理士法人 | EY税理士法人 | 大学新卒 | |
初任給 | 28万円(予測) | 29万6,000円 | 29万円 | 28万1,250円 | 22.5万円 |
新卒年間賞与 | 112万円(予測) | 118万4,000円(予測) | 116万円 | 112万5,000円(予測) | – |
新卒年収(時間外労働手当除く) | 448万円〜 | 473万円〜 | 464万円〜 | 450万円〜 | 270万円〜 |
(参考:doda公式HP・デロイト トーマツ税理士法人公式HP・リクナビ2024公式HP・マイナビ2024公式HP・厚生労働省の令和3年賃金構造基本統計調査結果)
BIG4の新卒における年収は、大学新卒の年収を大きく超えています。
時間外労働手当を考慮すると、新卒で年収500万円を超えることも難しくないでしょう。
ただし、BIG4に入社しても職種・勤務地によって、初任給が変動するため要注意です。
また、BIG4では経験年数や能力によって就く役職が存在しており、役職によっても年収が異なります。
そこで、役職に就ける年代の目安や役職ごとの年収についても調査しました。
BIG4の年収に関する公式データはなかったため、転職サイトを運営している会社のHPに記載されたデータを引用しています。
年代 | 役職 | マイナビ税理士に記載された年収 | MS Agentに記載された年収 |
20代前半 | スタッフ | 450万〜600万円 | 500万〜700万円 |
20代後半〜30代前半 | シニアスタッフ | 550万〜800万円 | 700万〜800万円 |
30代後半〜40代前半 | マネージャー・シニアマネージャー | 800〜1,000万円以上 | 1,000万円程度 |
40代後半〜50代前半 | ディレクター・パートナー | 1,500万円以上 | 1,500万円以上 |
(引用元:マイナビ税理士公式HP・MS Agent公式HP)
BIG4に入社することで、雇われ税理士の平均年収である659万円に20代で到達できます。
また、BIG4においても、経験を積むことで段階的に年収が上がる仕組みです。
4大税理士法人(BIG4)以外の雇われ税理士の年収は?
雇われ税理士の年収は税理士事務所の規模によっても異なるため、従業員数ごとの平均年収を調査しました。
こちらも、給与に時間外労働手当と年間賞与その他特別給与額を加えて算出しています。
従業員数 | 平均年収(会計士含む) |
10〜99人 | 590万円 |
100〜999人 | 835万円 |
1,000人以上 | 786万円 |
(参考:厚生労働省の令和3年度賃金構造基本統計調査)
従業員数が100人以上の税理士事務所であれば年収800万円前後を目指せますが、100人未満の税理士事務所では年収600万円程度にとどまりやすい傾向があります。
ただし、どの税理士事務所も従業員数に依存して年収が上がるわけではないため、規模だけで就職先を決めないように注意しましょう。
開業税理士や補助税理士の年収や分布は?雇われ税理士と比較
ここまで雇われ税理士の年収を中心に調査してきましたが、続いては開業税理士や補助税理士の年収について紹介します。
なお、開業税理士や補助税理士の年収については、平成26年度(2014年)のデータが最新で、2023年1月時点の年収とは異なる可能性があるため注意が必要です。
開業税理士 | 補助税理士 | 雇われ税理士 | |
平均年収 | 744万円 | 597万円 | 886万円 |
(参考:日本税理士会連合会の平成26年度第6回税理士実態調査報告書・スタディング公式HP)
平均年収においては、雇われ税理士、開業税理士、補助税理士の順に高い結果でした。
平均年収だけでは比較しづらいため、各税理士の年収分布についても調査しました。
年収 | 開業税理士 | 補助税理士 | 雇われ税理士 |
〜300万円 | 31.4% | 12.0% | 9.4% |
301万〜500万円 | 16.7% | 28.1% | 12.0% |
501万〜700万円 | 12.0% | 31.7% | 14.8% |
701万〜1,000万円 | 13.5% | 18.8% | 23.4% |
1,001万〜1,500万円 | 11.0% | 6.0% | 20.7% |
1,501万〜2,000万円 | 5.0% | 0.8% | 8.9% |
2,001万〜3,000万円 | 3.4% | 0.6% | 5.6% |
3,001万〜5,000万円 | 1.5% | 0.02% | 1.9% |
5,001万円〜 | 0.5% | 0.02% | 0.7% |
無記入 | 5.0% | 2.6% | 2.6% |
(参考:日本税理士会連合会の平成26年度第6回税理士実態調査報告書・スタディング公式HP)
開業税理士のうち40%程度が年収500万以下で、簡単に稼げるわけではありません。
ただし、20%程度の開業税理士が年収1,000万円以上に到達しており、個人の力量次第では平均年収以上に稼げます。
補助税理士においては、年収1,000万円を超えているのが10%未満で、開業税理士や雇われ税理士と比較すると稼ぎづらいといえます。
雇われ税理士の年収分布は他の税理士の年収分布よりも分散していますが、上述したように、雇われ税理士の年収は経験年数に応じて段階的に上がるためです。
いずれの税理士においても、働き方や能力などによって年収が異なるのがポイントです。
税理士合格科目数が増えるごとに年収は上がる?
税理士業界において、税理士事務所で働きながら税理士試験の合格を目指すケースも珍しくありません。
そこで、税理士合格科目数によってどの程度年収が変動するのか調査しました。
税理士合格科目数 | マイナビ税理士登録者の平均年収 | MS Agent登録者の平均年収 |
1科目 | 370万円 | 370万円 |
2科目 | 370万〜450万円 | 375万円 |
3科目 | 370万〜450万円 | 384万円 |
4科目 | 370万〜450万円 | 445万円 |
税理士有資格者(未登録) | – | 514万円 |
税理士登録済 | 640万円 | 647万円 |
(引用元:マイナビ税理士公式HP・MS Agent 公式HP)
税理士合格科目が1〜3科目までは年収に大きな変化はありません。
一方、4科目に合格すると、年収が60万円程度上がるため日本の年収中央値である440万円と同等になります。
また、税理士資格の取得や税理士登録を達成すれば、年収をさらに上げられます。
短時間勤務における税理士の年収は?
パートやアルバイトとして短時間勤務できるのも税理士の魅力です。
ここでは、税理士が短時間勤務する場合の平均時給や平均年収について調査しました。
男性税理士(会計士含む) | 日本国民(男性) | 女性税理士(会計士含む) | 日本国民(女性) | |
平均時給 | 5,563円 | 1,631円 | 2,831円 | 1,290円 |
実労働日数/月 | 6.3日 | 13.5日 | 13.2日 | 15.1日 |
1日あたりの所定内実労働時間数/月 | 7.0時間 | 5.1時間 | 6.3時間 | 5.2時間 |
年間賞与その他特別給与額 | 2万6,900円 | – | 25万3,000円 | – |
平均年収 | 297万円 | – | 308万円 | – |
(参考:厚生労働省の令和3年度賃金構造基本統計調査)
実労働日数や実労働時間によっても変動しますが、短時間勤務の税理士は年収300万円程度です。
税理士は、日本の短時間勤務者と比較しても2〜3倍程度の時給で、短時間勤務でも効率よく稼げる職業であることが分かります。
また、男性税理士よりも女性税理士の年間賞与その他特別給与額が高い理由としては、育児手当によるものと考えられます。
都道府県ごとの税理士の年収は?
税理士の平均年収が高い上位5つの都道府県を抽出しました。
なお、給与に時間外労働手当と年間賞与その他特別給与額を加えて平均年収を算出しています。
都道府県 | 税理士の平均年収(会計士含む) | 税理士と会計士の調査対象人数 | 全職種の平均年収 |
岩手県 | 1,103万円 | 10人 | 391万円 |
京都府 | 906万円 | 1,240人 | 492万円 |
三重県 | 871万円 | 60人 | 481万円 |
石川県 | 840万円 | 70人 | 457万円 |
東京都 | 740万円 | 3,620人 | 585万円 |
全国 | 659万円 | 9,970人 | 489万円 |
(参考:厚生労働省の令和3年度賃金構造基本統計調査)
岩手県などの首都圏でない都道府県に在住する税理士でも、地方平均年収を大きく超えられます。
ただし、税理士の年収は働き方や能力などによって大きく異なるため、調査対象の人数が少ない都道府県では現実よりも高年収となっている可能性がある点には注意しましょう。
まとめると、今回算出した各都道府県における税理士の年収は正確ではありませんが、税理士は住まいに関わらず稼げる職業といえます。
税理士と他士業との年収比較
税理士と代表的な他士業の平均年収を比較できる表を作成しました。
なお、会社員の平均年収は国税庁の調査結果から引用しており、士業の平均年収は給与に時間外労働手当と年間賞与その他特別給与額を加えて算出しています。
税理士(会計士含む) | 弁護士 | 社会保険労務士 | 医師 | 会社員(源泉徴収者義務者) | |
平均年収 | 659万円 | 729万円 | 486万円 | 1,169万円 | 355万円 |
(参考:厚生労働省の令和3年度賃金構造基本統計調査・国税庁の民間給与実態統計調査)
税理士は社会保険労務士の年収を超える一方で、弁護士や医師と比較して低いことが分かりました。
ただし、税理士は会社員の年収を大きく超える可能性が高いため、取得する価値のある資格といえます。
税理士になるには?女性でも目指せる?
税理士の年収に魅力を感じて、税理士になりたいと考える人もいるのではないでしょうか。
税理士になりたい人が知っておくと役立つこと |
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税理士になりたい人は、性別問わず税理士としての実務経験を積みながら税理士試験の合格を目指すのがおすすめです。
11科目中5科目の税理士試験に合格すれば税理士資格を得られますが、一度にまとめて合格する必要はありません。
税理士は育児休暇取得後も復職しやすく、短時間勤務でも高時給であることから、女性からも人気の職業となっています。
税理士になるための方法3選
税理士になる方法としては、以下の3つが挙げられます。
税理士になるための方法3選 |
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結論からいうと、税理士になりたい人は、税理士試験に合格して2年以上の実務経験を積むことをおすすめします。
まず、税務署で23年以上も勤務するのは現実的ではありません。
また、税理士試験・公認会計士試験・弁護士になるための司法試験の合格率をまとめました。
税理士 | 公認会計士 | 弁護士 | |
令和5年度の合格率 | 21.7% | 7.6% | 45.3% |
(参考:国税庁公式HP・公認会計士・監査審査会公式HP・法務省公式HP)
一見すると弁護士の資格を取得できる司法試験が合格しやすそうですが、司法試験を受けるためには、1〜2年の法科大学大学院卒業または予備試験に合格しなければいけません。
そのため、税理士になりたい人は、公認会計士よりも合格率の高い税理士試験に合格して、2年以上の実務経験を積むのが効率的といえます。
なお、税理士試験への合格と実務経験の順番は不問であることに加えて、スタディングによれば、税理士試験の勉強と実務経験を並行して税理士を目指すのが一般的です。
実務経験については、試験合格後である必要がないため、税理士法人や税理士事務所などで実務経験を積みつつ、科目合格を積み重ねるというケースが一般的です。
(引用元:スタディング公式HP)
税理士試験に関して勉強するために、予備校や通信講座の利用を検討している人は下記のサイトも参考にしてください。
税理士試験の概要
税理士試験の概要を項目ごとにまとめました。
必要科目数 | 11科目中5科目 |
必須科目(会計学) | 簿記論・財務諸表論 |
選択必須(税法) | 所得税法または法人税法のいずれか1科目(両方選択も可能) |
選択科目(税法) | 相続税法・消費税法または酒税法(いずれか1科目のみ)・国税徴収法・住民税または事業税(いずれか1科目のみ)・固定資産税 |
合格基準 | 満点の60% |
試験日程(令和6年度) | 8月6日〜8月8日 |
受験料 | 申込科目数が1科目の場合は4,000円(税込)・申込科目が1つ増えるごとに1,500円(税込)追加 |
受験地 | 北海道・宮城県・埼玉県・東京都・石川県・愛知県・大阪府・広島県・香川県・福岡県・熊本県・沖縄県 |
(参考:国税庁公式HP)
11科目中5科目に合格すれば税理士資格を取得できますが、必須科目や選択必須科目が設けられている点には注意しましょう。
また、5科目まとめて合格する必要はなく、数年に分けて受験しても問題ありません。
税理士試験の受験資格についても注意が必要で、全員が受けられるわけではありません。
税理士試験を受けるには、国税庁が定めた学識・資格・職歴・認定のいずれかを満たしておく必要があるため要チェックです。
女性でも税理士になれる?
税理士は男性のイメージがあるかもしれませんが、女性でも税理士になれます。
実際の女性税理士の人数に関して調査しました。
令和3年度 | 平成26年度 | |||
性別や所属 | 男性雇われ税理士(会計士含む) | 女性雇われ税理士(会計士含む) | 男性税理士 | 女性税理士 |
人数 | 7,070人 | 2,900人 | 64,784人 | 10,859人 |
割合 | 70.9% | 29.1% | 85.6% | 14.4% |
(参考:厚生労働省の令和3年度賃金構造基本統計調査・日本税理士会連合会の平成26年度第6回税理士実態調査報告書・全国女性税理士連盟公式HP)
令和3年度においては、およそ3人に1人が女性雇われ税理士であることが分かります。
国家資格である税理士資格の保有者は貴重で、育児で休職しても復職しやすいことから、女性にも人気の職業です。
加えて、短時間勤務でも女性税理士の時給は2,831円と高水準であるため、子育てしながら十分な収入を得られるのも人気の理由です。
また、2023年1月時点で開業税理士を含むデータは平成26年度が最新となりますが、女性税理士の割合は14%程度にとどまります。
女性は、育児との両立が難しい開業税理士になるケースは少なく、開業税理士のデータを含まない令和3年度とは大きく異なります。
まとめると、育児との両立のしやすさから、女性でも雇われ税理士になるケースは多いものの、開業税理士になるケースは少ないのが現状です。
年収の高い税理士になるには?
自分の年収とさまざまな条件での税理士の平均年収・中央値に関するデータを比較して、「今より年収の高い税理士になりたい」と考える人も多いのではないでしょうか。
今より年収を上げるためには、以下の4つの方法が効果的です。
税理士としての年収を上げる方法4選 |
|
雇われ税理士であれば、他の税理士事務所への転職によって年収が大きく上がる可能性があります。
また、「税理士の経験を活かして異なる職業で年収を上げたい」と考えている人には、公認会計士の資格を取得して監査法人へ転職する方法がおすすめです。
「雇われ税理士を辞めて開業税理士で年収を上げたい」と考えている人には、開業税理士に活かせる経験を積みやすいコンサルティングファームへの転職も検討余地があります。
開業税理士であれば、他の税理士と差別化を図ることに加えて、営業活動を通じて顧客との信頼関係を築くことが欠かせません。
4大税理士法人(BIG4)や年収の高い税理士事務所へ転職する
雇われ税理士であれば、年収の高いBIG4をはじめとした規模の大きい税理士事務所への転職がおすすめです。
なぜなら、税理士事務所によって大きく年収が変動するためです。
実際に、BIG4と雇われ税理士の年収を比較してみましょう。
年代 | BIG4の年収(マイナビ税理士より引用) | BIG4の年収(MS Agentより引用) | 雇われ税理士の平均年収 |
20代前半 | 450万〜600万円 | 500万〜700万円 | 298万円 |
20代後半〜30代前半 | 550万〜800万円 | 700万〜800万円 | 579万円 |
30代後半〜40代前半 | 800〜1,000万円以上 | 1,000万円程度 | 666万円 |
40代後半〜50代前半 | 1,500万円以上 | 1,500万円以上 | 766万円 |
(引用元:マイナビ税理士公式HP・MS Agent公式HP)
(参考:厚生労働省の令和3年度賃金構造基本統計調査)
BIG4の年収は雇われ税理士の年収を大きく超えており、年代によっては年収が2倍以上異なるケースもあります。
また、BIG4以外の転職先としては、平均年収が高い傾向にある、従業員数が100人以上の税理士事務所を目安に探すとよいでしょう。
従業員数 | 平均年収(会計士含む) |
10〜99人 | 590万円 |
100〜999人 | 835万円 |
1,000人以上 | 786万円 |
(参考:厚生労働省の令和3年度賃金構造基本統計調査)
税理士事務所を変えるだけで大きく年収を上げられる可能性があるため、気になる人は税理士の求人情報を一度チェックしてみましょう。
公認会計士の資格を取得して監査法人へ転職する
税理士と年収が変わらないと言われている公認会計士の資格を取得して、監査法人に転職するのも選択肢の1つです。
国の調査では税理士と公認会計士を含めて平均年収を算出しており、正確な年収データがないため、資格の学校TACから公認会計士の年収イメージを引用しました。
経験年数 | 役職 | 公認会計士の年収 |
1年目〜 | スタッフ | 600万円前後 |
4年目〜 | シニアスタッフ | 800万円前後 |
7年目〜 | マネージャー | 1,000万円前後 |
11年目〜 | シニアマネージャー | 1,200万円前後 |
15年目〜 | パートナー | 1,500万円超 |
(引用元:資格の学校TAC公式HP)
公認会計士も税理士同様に高年収を期待できる職業といえます。
実際に、税理士から公認会計士に転職した方の体験談があったため一部を紹介します。
今、公認会計士として働いてみると、その企業の内部の情報を知った上で監査等を進めて行けますので、その企業のビジネス全体がどのように動いているのかにも接することができます。この辺りは税理士との大きな違いであり、公認会計士を取得して良かったと感じている点です。
また、現行の試験制度では、税理士を取得されている方には公認会計士の受験は本当にオススメです。取得することでより視野が広がり、活動できる範囲も広がります。取得後は中小企業や大きなグループの子会社の対応時にも税理士の知識や経験が役に立ちます。また、中小企業の場合は過去の経緯から税務寄りの会計をやっていたという流れ、税金でこういう処理だからと主張してくる時もありますが、そんな時、税理士の知識と経験があればとてもスムーズに対応できます。実務レベルの話しができるのは税理士としての積み重ねでもあり、私自身が大きな強みにも感じているところでもあります。
(引用元:クレアール公式HP)
公認会計士は高年収を期待できる一方、資格取得に時間がかかるため、「税理士の経験を活かして異なる職業で年収を上げたい」と考えている人向けの方法です。
コンサルティングファームへ転職して開業税理士に活かせる経験を積む
コンサルティングファームに転職して開業税理士を目指す方法もあります。
税理士事務所では機会の少ないコンサル業務を実施することで、顧客とのやり取りの経験を積めるため、開業税理士になっても顧客を獲得するのに役立つでしょう。
ただし、マイナビ税理士の転職サービス登録者のデータによると、コンサルティングファームでの税理士の年収は400万〜600万円で、低く感じるかもしれません。
そのため、年収を上げたい人は、コンサルティングファームで働き続けるよりも、年収1,000万円以上の人が10%程度存在する開業税理士へのチャレンジがおすすめです。
開業税理士は新規顧客を開拓する
開業税理士であれば、新規顧客を開拓していくことが年収を上げるポイントです。
スタディングにも、新規顧客を獲得する大切さが記載されています。
独立開業してやっていくにはどうするか?
まずはお客様(顧客)を獲得しなければいけませんね。その手段の一つとして、大手事務所に一旦就職して、税理士としての信用を積み上げていくという方法は、多くの税理士が選択する方法の一つです。
実務経験を積みながら、顧客(候補)を開拓したり、営業そのものを勉強していくというのが王道のようです。
(一部省略)
自分という人間やスキルの売り込み、つまり営業活動は「必須」です。
また、相手が何を望むのかを把握し、その期待に応え続ける活動が重要となってくるのではないでしょうか。
税務の知識だけでなく、人として社会人としてビジネスマンとして総合的な能力を高めていくことが重要だと思います。
(引用元:スタディング公式HP)
開業税理士は雇われ税理士と異なり、自分で顧客を獲得しないと成り立たない上、開業税理士のうち40%程度が年収500万円以下と競争の激しい職業といえます。
新規顧客を開拓するには、ある税分野に特化したり、経営コンサルタント業務を展開したりする工夫に加えて、顧客に寄り添って信頼関係を築くことが必要です。
どのようにして新規顧客を開拓していくかどうかの戦略を練った後は、顧客に欠かせないビジネスパートナーになれるよう信頼を高めていくことで年収アップに繋げましょう。
年収を上げたい雇われ税理士におすすめの求人サイト
雇われ税理士が年収を上げるために求人応募しようか悩んでいる場合、大手転職サイトのdodaでどのような応募があるのか確認することをおすすめします。
dodaは会員登録せずに気軽に求人情報を閲覧できるだけでなく、他の大手転職サイトと比較しても税理士に関する求人数が多く、情報収集しやすいのがメリットです。
実際に、税理士に関する求人数を他の転職サイトと比較したところ、リクナビNEXTでは23件であるのに対して、dodaでは431件もありました。
現状のスキルで年収を上げられる求人があるか確認して、条件に合う求人を見つけたら応募してみるとよいでしょう。
また、本格的に税理士求人を探したいのであれば、ハイスタ税理士・マイナビ税理士・REXアドバイザーなどの税理士に特化した転職サイトや転職エージェントの利用がおすすめです。
税理士事務所向けの履歴書や面接対策に関するアドバイスを、税理士求人に詳しいキャリアアドバイザーから受けられるため、年収アップなどの希望を実現しやすくなります。
実際に、マイナビ税理士では、高年収の可能性が高い企業規模の目安である、従業員数100人以上の税理士事務所に転職した人の割合は58%と高く、年収アップも十分期待できます。
BIG4をはじめとした大手税理士事務所への転職を考えている人は、税理士に特化した転職サイトや転職エージェントでサポートを受けながら転職活動を進めるとよいでしょう。
ただし、税理士に特化した転職サイトや転職エージェントでは非公開求人が多く、無料登録や面談が必要となるため注意しましょう。
税理士は生活ができない職業になるの?
税理士の将来について |
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「将来、税理士は生活ができない職業になってしまう」といわれることがありますが、結論からいうと、税理士は働き方の工夫さえすれば将来も問題なく稼げる職業です。
AIやRPAの普及や顧客先である中小企業の減少によって、税理士のニーズが低下している点が懸念されています。
しかし、顧客の利益に貢献できるアドバイスやコンサルティングを実施したり、専門性を高めたりすることで、他の税理士やAI・RPAと差別化ができ、税理士として時代に関係なく稼げます。
税理士の将来が不安視されている理由2選
税理士の将来が不安視されている理由は以下の2つです。
税理士の将来が不安視されている理由2選 |
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将来的に個人顧客料が安くなったり、顧客数が減少したりすることによる利益減少が不安視されています。
税理士に代わるAIやRPAの普及により個人顧客料が安くなっている
税理士業務でもAIやRPA(Robotic Process Automation)が進んでおり、税理士の需要低下や個人顧客料が安くなることによる利益減少が懸念されています。
具体的には、AIやRPAの普及によって簿記をはじめとした税務書類の作成が自動化されています。
会計ソフトが導入されている実情についてスタディングにも記載されていました。
近年企業において導入されつつある「A-SaaS」「freee」といったクラウド会計ソフトは、税務の素人でも十分扱えるほどの利便性と分かりやすさを備えています。それにより税理士に仕事を発注せずとも社内で税金の計算ができてしまい、税理士の仕事が奪われるのではないか、という声も大きくなってきました。しかし、もともと経理の仕事は効率化されることが税理士にとっても望ましいものです。税金計算がソフトで効率化される分、税務相談などのより具体的、個別的な業務に税理士が注力し、人間にしかできない高い専門性のある業務に従事できる時間ができるからです。
先を見据えた税理士の方からは、こうしたクラウド会計ソフトの登場を喜ばしく思う声すら聴かれます。
(引用元:スタディング公式HP)
税理士を雇わずに、自社で税金の計算を完結することで経費を安く抑えられるのは、企業にとって大きなメリットです。
AIやRPAは仕事の効率化が図れるツールとして、今後も企業への導入が進んでいくことが予想されます。
税理士の顧客である中小企業が減少している
税理士の主な顧客先となる中小企業が減少しているのも不安視されている理由です。
日本税理士会連合会によると、中小企業・小規模企業の経営者の7割は、顧問税理士などを経営問題の相談相手と考えています。
しかし、中小企業庁が調査した令和元年度の中小企業の動向から、年々中小企業・小規模企業の企業数が減少しているのが明らかです。
その一方で、日本税理士会連合会によると、税理士登録者数は年々増え続けています。
顧客である中小企業は減少しているのに対し、税理士は増加していることから、税理士業界の競争はより激しくなることが予想されます。
税理士として勤務し続けるために大事なこと2選
上述した理由から、税理士の将来は不安視されていますが、工夫を施せば将来も税理士として活躍していくことは不可能ではありません。
税理士として勤務し続けるためには、以下の2点に注力しましょう。
税理士として勤務し続けるために大事なこと2選 |
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開業税理士や雇われ税理士に関わらず、個々の能力を伸ばしてニーズのある税理士を目指す必要があります。
詳しい内容について順番に見ていきましょう。
定型業務以外のアドバイスやコンサルティングサービスの実施
AIやRPAで実施できる税理士業務ではなく、節税などの税法上におけるアドバイスや経営に関するコンサルティングの実施が大事です。
効率的な節税方法などを顧客に提案できるのは、複雑な税法を把握した税理士のみで、機械的な処理しかできないAIやRPAが対応するのは困難です。
また、AIやRPAで現状の経営状態を視覚化するだけでなく、税理士が経営状態を分析して、経営指針などをコンサルティングすることで差別化を図れます。
資格の学校TACにも、税理士はコンサルティングを身につけることで将来も活躍できるといった記載があります。
税理士業務のほとんどがAIに代替されるというのは見当違いで、AIによって書類作成業務などの効率化が進むことで、クライアント(依頼主)へのサービス提供の中心は専門的知識に基づいて助言・指導などを行うコンサルティング業務に移行することが考えられます。
言い換えると、AIの実装化により、『税理士の働き方が変わる』ということです。今後、税理士として大きな成功をつかむためには、コンサルティング力を磨くことが重要になってくると思われます。
(引用元:資格の学校TAC公式HP)
したがって、顧客の税に関する悩みや、経営状態の問題点を導き出して解決できれば、将来も安定して稼げる税理士になれるでしょう。
専門性の高い税理士を目指す
ある分野に特化して専門性の高い税理士を目指すのも有効な方法です。
税といっても、相続税・国際税務・法人税などさまざまな分野があるため、ある分野に特化した税理士になれば、他の税理士との差別化ができます。
資格の学校TACにも、専門的な解釈や判断ができる税理士が将来も必要であることを記載しています。
自由裁量の余地が大きい業務、例えば、法人税に関する税理士業務は、法人税法関連規定のほか、会計学、民法、会社法など、様々な知識に基づく専門的な解釈・判断が必要になるとともに、経営者への助言・指導や税務当局への対応なども必要になることから、こういった税理士業務をAIが完全に代替する可能性は極めて低いと考えられています。
(引用元:資格の学校TAC公式HP)
一度顧客を獲得して信頼してもらえれば、特化分野以外の仕事をもらえる可能性も生じて、結果的に仕事の幅を広げやすくなるのもメリットです。
他にも、時代ごとでニーズの高い分野に特化することで、顧客の獲得に困りづらくなります。
税理士業界の競争は激しくなっていくことが予想されますが、専門性を身につけることで問題なく稼げるでしょう。
税理士の年収についてよくある質問
税理士の年収についてよくある質問 |
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最後に、税理士の年収に関するよくある質問にお答えします。
「税理士の平均年収は嘘」と聞くけど中央値が現実的?
現実的な税理士の年収を知りたい場合は、自分自身のステータスに近いデータと比較するべきです。
上記で紹介してきたように、税理士の年収は、働き方・年齢・税理士科目合格数などさまざまな要因によって変動するためです。
そのため、あくまで参考データですが、スタディングが掲載している日本税理士会連合会の平成26年度第6回税理士実態調査報告書で、各税理士で最も分布比率の高い年収層を調査しました。
調査の結果、開業税理士では300万円以下(全体の31.4%)、補助税理士では501〜700万円(全体の28.1%)、雇われ税理士では701〜1,000万円(全体の23.4%)が最も多い比率を占めていました。
「独立開業した税理士は年収が低いので食えない」と聞くけど本当?
独立税理士でいきなり稼ぐのは難しいものの、顧客を獲得して軌道に乗れば日本の平均年収以上に稼げます。
開業税理士の平均年収は平成26年度時点で744万円で、令和3年度の日本の平均年収である564万円を大きく超えています。
ただし、開業税理士のうち10%程度は年収1,000万円以上に到達している反面、40%程度は年収500万円以下です。
そのため、開業税理士になれば必ず稼げるわけではない点には要注意です。
税理士として生き残るためには、個人で能力を伸ばしてニーズのある税理士を目指す必要があります。
年収5,000万円の税理士になるには?
税理士で年収5,000万円を目指す場合、開業税理士もしくは平均年収の高い税理士事務所で雇われ税理士になるのが現実的といえるでしょう。
実際に、各税理士で年収5,000万円以上に到達している人の割合は以下の通りです。
年収 | 開業税理士 | 補助税理士 | 雇われ税理士 |
5,001万円〜 | 0.5% | 0.02% | 0.7% |
(参考:日本税理士会連合会の平成26年度第6回税理士実態調査報告書・スタディング公式HP)
難易度は高いものの、年収5,000万円を目指すには開業税理士もしくは雇われ税理士が向いていることが分かります。
また、開業税理士であれば誰でも年収5,000万円に到達する可能性がありますが、雇われ税理士は勤務先で平均年収が決まりやすいため注意しましょう。
平均年収が高い勤務先としてはBIG4が挙げられますが、年収5,000万円に到達している人がいるかどうかのデータは見つかりませんでした。
そのため、雇われ税理士で年収5,000万円を目指したい人は、実際にBIG4で勤務している人や税理士との繋がりが広い人に聞いてみるのがよいでしょう。
女性でも税理士を目指すメリットはある?
女性が税理士になることで多くのメリットが得られます。
税理士は貴重な国家資格であるため、育児休暇を取得しても高時給で復職しやすい・勤務場所や勤務時間の融通が利くといったメリットが挙げられます。
また、開業税理士には定年がないため、子育てをする予定がない女性であれば自分の好きなタイミングまで仕事に専念できるのもメリットです。
年収を上げるために4大税理士法人(BIG4)に転職したいけど難易度や必要な学歴は?
平均年収が高いことで知られるBIG4は人気で難易度が高いのは事実ですが、有名大学を卒業しておく必要はありません。
マイナビ税理士では、BIG4に転職する際に有利となる採用条件として、法人税を含む3科目以上の科目合格済み・年齢が20代・TOEIC700点以上の3点を挙げています。
すなわち、年齢が若いうちに税理士試験とTOEICの勉強を進めておくことがBIG4に転職するコツといえます。
まとめ:税理士の年収は働き方や勤務場所によってさまざま
この記事では、さまざまな条件ごとの税理士の年収を紹介しました。
税理士の年収は、働き方や勤務場所などの条件に応じて異なりますが、日本の平均年収を大きく超える可能性が高い職業といえます。
「現在の税理士としての年収が低い」と感じている人も、転職や新規顧客の開拓を実施することで、年収アップを狙えます。
税理士の年収に魅力を感じて税理士を目指したいと考えている人は、予備校や通信講座の利用で効率的に勉強するのもおすすめです。
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