法律の勉強をしてみたい、司法試験にチャレンジしてみたいといった思いから予備試験に関心を持つ方は多いでしょう。
法科大学院を卒業していなくとも、予備試験に合格すれば司法試験の受験資格が得られることから、法律のことを学んだことがない方も受験を検討されているかもしれません。
しかし、予備試験と検索すると「難易度が高い」といった情報が多くあり、不安になってしまった方もいるのではないでしょうか。
そこで今回は、予備試験の勉強法やおすすめのテキストなどを紹介し、予備試験は独学で合格できるのかといった点についても解説していきます。
ぜひこの記事を参考にして、予備試験に合格するための自分なりの学習方法を考えてみてください。
なお、予備試験の対策は通信講座や予備校での学習もおすすめです。
こちらの記事もあわせてご覧ください。
→予備試験 通信はこちら
予備試験とはどんな試験?
予備試験とは、「法科大学院修了者と同等の学識及びその応用能力並びに法律に関する実務の基礎的素養を有するかどうかを判定する」(司法試験法5条)ための試験で、合格すると司法試験の受験資格を得られます。
司法試験の受験資格を得るためには、以下のどちらかを選ばなければなりません。
- 法科大学院を卒業する
- 予備試験に合格する
法科大学院を卒業するためには、時間的または経済的コストがかかるため、お金と時間をあまりかけずに司法試験を受験したいという方は、予備試験に挑戦する方が効率がよいと言えますよね。
※ちなみに、正式名称は「司法試験予備試験」ですが、一般的には「予備試験」と呼ばれています。
予備試験に独学で合格した人はいるの?
予備試験の合格者について調査を行いました。
予備試験に独学で合格した方はいらっしゃいました。
しかし、ごく少数です。
予備試験は難易度の高い試験だと言われており、独学で合格した方は法律関係の学習経験があったり、法律関係のお仕事に既に携わっていたりというように元々法律関係の知識がある方がほとんどです。
そのため、初学者が独学で合格することはかなり難しいと言えるでしょう。
しかし、絶対に不可能であるとは言い切れません。
予備試験対策を独学で行うのに向いている人
予備試験対策を独学で行うのに向いているのは、
- 法律関係の勉強に自信がある方
- モチベーションを維持して学習を続けられる方
です。
予備試験は、法科大学院修了者の同等の知識や能力を有しているかを判定する試験であり、法律のかなり専門的な内容を扱っていると言えるでしょう。
そのため、法律に全く触れたことのない方や法律関連の事柄に関して苦手意識のある方は、自力で試験範囲を理解することが難しく、学習が思うように進まない可能性がありますよね。
一方で、法律に関して触れたことがある、学習経験があるといった方はそういった既にお持ちの知識や経験を活かしながら学習を進めていけるため、独学での学習がよいかもしれません。
また、予備試験は試験範囲が広く、一定期間継続して学習をする必要があります。
そのため、モチベーションを維持しながら学習を上手く続けていける方であれば、独学での合格も可能ですね。
もし、独学での自信がないという方は通信講座や予備校での学習も視野に入れるといいでしょう。
各スクールの詳細は以下の記事でも解説をしています。
→予備試験 予備校はこちら
予備試験の対策方法(勉強時間・スケジュール)
ここからは、予備試験の対策方法についてご紹介します。
具体的には以下の3つの観点から説明していきますね。
- 予備試験対策に必要な勉強時間
- 予備試験対策の学習スケジュール
- 予備試験対策のおすすめ学習方法
予備試験対策に必要な勉強時間
予備試験対策に必要な勉強時間についてですが、実際の調査に基づいたデータが見つからなかったため、今回は予備試験の講座を提供しているアガルートアカデミー、スタディング、資格スクエアのHPを参考にしてみました。
アガルートアカデミーの公式HPには3000~10000時間、スタディングの公式HPには、3000~8000時間、資格スクエアの公式HPには最低2500~3000時間の学習時間が必要だと記載されていました。
表にまとめると、以下の通りです。
スクール名 | 目安勉強時間 |
アガルート | 3000〜10000時間 |
スタディング | 3000〜8000時間 |
資格スクエア | 2500〜3000時間 |
(スクール名を選択すると、スクール公式HPへ移動します。)
こちらからわかることは、少なくとも3000時間程度の学習時間が必要ということがわかります。
もちろん、受講者の方の知識や経験によって必要とする時間は変わってくるでしょう。
ただ、8000時間〜10000時間の勉強時間が必要な方もいらっしゃるようです。
いずれにせよ膨大な学習時間が必要であり、予備試験の難易度の高さが伺えますよね。
予備試験対策の学習スケジュール
今回の調査で、予備試験対策に必要な勉強時間は、最低でも3000時間程度が必要ということがわかりました。
3000~10000時間と考えた時の学習時間を踏まえた学習スケジュールをご紹介します。
予備試験は、例年5月に短答式試験、7月に論文式試験、10~11月に口述試験が行われます。
そのため、一日5~6時間の学習時間を確保できる方は、最低でも1年半前、つまり試験を受ける前年の1,2月頃から学習をスタートさせなければなりません。
より多くの時間をかけて学習をしたいという方は、2~3年前から学習を始めるのがよいかもしれませんよね。
なお、今回は一日5~6時間の学習時間で考えてみましたが、一日あたりより多くの学習時間が確保できる方は期間を短く設定できます。
反対に、お仕事や学校で忙しく一日あたりの学習時間をあまり確保できないという方は、学習期間を長めに設定しておいた方がおすすめです。
また、予備試験及び司法試験の学習は、インプットよりもアウトプットの学習を重視しなければならないと言われています。
つまり、予備試験には短答式試験、論文式試験、口述試験の3つの試験がありますが、アウトプット型の学習をしなければならない論文式試験対策を中心に行う必要があるでしょう。
全体的な学習の割合としては、短答式試験対策及び基礎知識=インプット学習を2割、論文式試験対策=アウトプット学習を8割がよいと言われています。
口述試験についてですが、短答式試験や論文式試験の日程と少し間が空いていること、口述試験の合格率はそれほど低くないことなどから、短答式試験や論文式試験が終わってから対策をはじめても遅くはありません。
そのため、まずは基礎知識及び短答式試験対策としてインプット学習を早めに終え、その後は論文式試験対策としてアウトプット学習を中心に行うというスケジュールがおすすめです。
アウトプット学習をしている際に、分からない点や抜けていた知識などがあった場合は、その都度、参考書などで確認をすることでご自身の知識の穴を埋めていってくださいね。
予備試験対策のおすすめ学習方法
予備試験対策におすすめの学習方法は、
- 独学での学習
- 通信講座
- 通学講座
の3つです。
- 独学での学習
まずは、参考書や本などを用いて自力で学習を進めていく独学での学習です。
最近では、「伊藤真の試験対策講座」や「アガルートの司法試験・予備試験 合格論証集」といった司法試験や予備試験対策の分かりやすい参考書がたくさん出回っているため、より独学での学習がしやすい環境になっていると言えますよね。
また通信講座や通学講座より費用が安く抑えられる、自分のペースで学習を進められるといった利点もあります。
一方で、参考書が多くあることでどの参考書が自分にあっているのかといった迷いが生じたり、「この参考書で、この学習方法で本当にいいのか…」といったことを感じて不安になってしまったりすることがあるかもしれません。
そういった不安と闘いながら、ご自身で効率的に学習を進めていく必要がありそうですね。
- 通信講座
次に、主に自宅にて映像授業やテキストを用いながら学習を進めていく通信講座です。
アガルートの予備試験講座やスタディングの予備試験合格コース、資格スクエアの予備試験講座合格フルパッケージなどの講座が有名です。
長年のノウハウを活かした効率的な学習方法・スケジュールに沿って学習を進められるため、独学での学習に比べ、自分の勉強方法に不安や疑問を抱くことは少ないかもしれません。
また、学習スケジュールがある程度決められているとはいえ、基本的には自宅での学習となるため、場所や時間を気にせずに自分のペースを守りながら学習を進められそうですね。
さらに、映像授業を扱っている通信講座がほとんどのため、テキストだけでは物足りない方にもおすすめです。
通信講座について詳しく知りたい方は公式HPをご覧ください。
- 通学講座
最後に、指定された校舎に決まった時間に通い、実際に授業を対面で受けながら学習を進めていく通学講座です。
伊藤塾の予備試験対策講座、LECの予備試験対策講座、TAC(Wセミナー)の予備試験対策講座などが有名です。
通学講座は、自分が受講する講座の開講時間に合わせて校舎に行き、そこで講座を受ける必要があるためお仕事や家事、子育てとの両立は難しそうですよね。
しかし、初学者の方向けの講座や再チャレンジの方向けの講座など、幅広い方向けに様々な講座が開講されており、最も自分に合った講座を見つけられそうです。
また、実際に校舎に通うことで、同じ予備試験を目指している方やさらに上の司法試験を目指している方と実際に会い、コミュニケーションをとることでモチベーションアップにもつながりそうですよね。
通学講座の情報はこちらの記事にもまとめています。
→予備試験 予備校はこちら
予備試験対策のおすすめ参考書・テキスト
ここからは、予備試験対策のおすすめの参考書・テキストをご紹介します。
- 勉強法についての本
- 参考書
- 判例集
- 基本書
学習法についての本
まずは、予備試験対策の学習方法に関する著書をご紹介します。
学習方法に関する著書の選び方のポイントは以下の通りです。
・信頼できる著者によって書かれたものであるかどうか
・著書がそれほど古いものでないかどうか
・目次を見て興味が湧きそうな内容であるかどうか
- 予備試験に独学合格する方法
おすすめポイント
①資格スクエア代表で弁護士の鬼頭政人さんが執筆されている
②2019年に新版が刊行されている
③「勉強を科学しよう」など興味を引く言葉がたくさん含まれている
予備試験に独学で合格する方法は、資格スクエア代表で弁護士の鬼頭政人さんが執筆された著書になります。
資格スクエアは、予備試験はもちろん、司法試験や行政書士などの法律に関する資格の講座を開講していますよね。
さらに鬼頭政人さんは弁護士でもいらっしゃいます。
そのため、法律また、法律に関する資格の勉強のプロフェッショナルであると言えますよね。
そんな方の学習方法を真似しない手はありません。
また2019年に新版が発行されていることから現在の試験にも十分に対応できる学習法であると言えます。
さらに学習法に関する本は、試験に合格するための知識ではなくあくまで学習方法について学ぶための読むものです。
そのため、興味がひかれなかったり、読むことに苦痛を感じてしまっては意味がありませんよね。
予備試験に独学合格する方法では、「勉強を科学しよう」や「草野球のエースより、メジャーで戦え!」といったようにキャッチ―な言葉が多く含まれているためさくさく読み進められます。
総ページ数も168ページと比較的少ないため、学習を始める前にさくっとこの本を読み、参考にしながら学習法を確立していきましょう。
- 伊藤真が教える司法試験予備試験の合格法
おすすめポイント
①伊藤塾で有名な伊藤真さんが執筆されている
②2018年に出版されている
③「人生の選択肢を増やそう!」といった勇気が出る言葉が書かれている
伊藤真が教える司法試験予備試験の合格法は、伊藤塾の十町である伊藤真さんが執筆された著書です。
伊藤塾といえば、司法試験・予備試験を目指す方は一度は聞いたことがある予備校ではないでしょうか。
司法試験・予備試験の合格者輩出数がNo.1ともいわれ、評判が高い予備校ですよね。
そんな伊藤塾の塾長が書かれた本であれば、かなり信頼が高いと言えます。
またこの著書は2018年に発行されているため、それほど古くなく、書かれている内容は今の試験にも十分適用できます。
さらに、「人生の選択肢を増やそう!」といった勇気が出る言葉が多く含まれており、モチベーションを向上させられそうですよね。
予備試験対策を始める前に読むだけでなく、モチベーションが低下している時期に改めて読むことで気持ちを新たに学習に取り組めるでしょう。
参考書
まずは、予備試験対策の参考書をご紹介します。
参考書の選び方のポイントは以下の通りです。
・分かりやすい言葉で書かれており、初学者でも理解できそうか
・予備試験合格のために必要な知識が過不足なく盛り込まれているか
・信頼できる著者及び予備校が出版しているか
- 読み解く合格思考シリーズ
おすすめポイント
①予備試験合格のための必要な知識を分かりやすく解説してくれている
②短期の若手合格者の思考法にも触れられる
③辰巳法律研究所が出版している
読み解く合格思考シリーズには、「読み解く合格思考憲法 改訂版」や「読み解く合格思考行政法」などそれぞれの法律に合わせて7冊ほど出版されています。
理解が難しい法律の知識を分かりやすい言葉や図を用いて、解説してくれているため初学者の方でも分かりやすいと評判です。
また短期で司法試験や予備試験に合格された若手合格者たちによって執筆されているため、合格者たちの思考法にも触れられます。
ただ試験に必要な知識を学ぶだけでなく、合格者たちの考え方も一緒に学ぶことで必要な知識以上の学びを得られそうですよね。
また、司法試験や予備試験、司法書士などの法律系難関試験予備校として有名な辰巳法律事務所が出版しているため信頼できる著書であると言えます。
- 伊藤真の試験対策講座シリーズ
おすすめポイント
①簡単な文章を用いた丁寧な解説
②伊藤真先生が出版している
③情報量がとても多く、初学者~中上級者まで幅広い方が利用できる
伊藤真の試験対策講座シリーズは、「スタートアップ民法・民法総則(唐誠試験対策講座1)」や「債権各論第4版(伊藤真試験対策講座4)」など15冊以上の著書が出版されています。
法律関係の予備校として有名な伊藤塾の塾長である伊藤真先生が執筆されているため信頼度の高い著書であると言えますよね。
また、簡単な文章を用いた丁寧な解説が評判です。
さらに情報量が非常に多いため、初学者の方から中上級者の方まで幅広い層の方が利用できますよ。
ただ、情報量が多いため試験対策としては必ずしも必要のない知識が含まれていることが難点です。
そのため少し時間をかけてじっくり学習をしたいという方は伊藤真の試験対策講座シリーズをおすすめします。
- アガルートの司法試験・予備試験合格論証集
おすすめポイント
①内容が正確であること
②市販でも扱われており、手軽に手に入れられる
③アガルートアカデミーが出版している
アガルートの司法試験・予備試験合格論証集は、2024年4月現在、以下の3つが出版されています。
・「アガルートの司法試験・予備試験合格論証集 民法」
・「アガルートの司法試験・予備試験合格論証集 商法・民事訴訟法」
・「アガルートの司法試験・予備試験合格論証集 刑法・刑事訴訟法」
予備校の論証集はしばしば内容が正確でないと言われることもありますが、アガルートの論証集はアガルートの講師陣が基本書や学術論文等を参照したうえで作成されており、内容はかなり正確であると言えます。
また予備校の論証集は、通信講座・通学講座とセットで売られることが多く市販で手に入りにくいでしょう。
しかしアガルートの司法試験・予備試験合格論証集は市販でも取り扱われています。
また司法試験や予備試験対策講座を多く開講しているアガルートアカデミーが出版しているため、その点でも信頼度は高いと言えますね。
基本書
続いておすすめの基本書を紹介していきます。
基本書とは、法律学者が書いた法律に関する専門書です。
そのため試験対策に特化した本というよりは、専門的な知識をより多く深く扱っている著書であると言えますよね。
予備試験対策における使い方としては、疑問点が出てきた際に該当箇所を読むことで疑問点を解消する、もっとより深く学びたいと思った箇所について書かれている部分を探し、そこを読むことで理解を深めていくといった形になります。
- 基本○○法シリーズ(日本評論社出版)
おすすめポイント
①シリーズ化されている
②初学者でも読みやすい内容
③事例、演習問題が含まれており、アウトプット学習にも◎
基本○○法シリーズは、「基本憲法I 基本的人権」や「基本行政法」、「基本刑法Ⅰ」などの日本評論社が出版している基本書になります。
司法試験や予備試験に必要な知識がまとめられており、基本書にしてはそれほど難しい表現などが使われていないため初学者の方でも読みやすいと評判の著書になっています。
事例問題、演習問題も含まれており、インプット学習だけではなくアウトプット学習にも最適ですよね。
憲法や刑法などの法律ごとにまとめられており、シリーズ化されている点もおすすめポイントです。
基本書は、法律ごとにまとめられていることが多いでしょう。
そのためシリーズ化されていない場合は、法律ごとに違う出版社、違う著者の基本書を買わなければなりません。
すると、扱っている内容が重なっていたり、表現が少しずつ異なるため理解が難しくなったりと困難な点が生じてきます。
シリーズ化されているのであれば、そのシリーズを一式購入することで「どのテキストにしよう…」といった悩みも毎回生じなくなりますし、効率的な学習も可能ですよね。
- ○○法シリーズ(LEGAL QUEST)
おすすめポイント
①シリーズ化されている
②初学者にも分かりやすい記述
③索引が充実している
LEGAL QUEST(リーガルクエスト)は、「会社法」「民事訴訟法」などが代表的な有斐閣が出版している基本書です。
「初学者でも分かりやすいように」という言葉通り、初学者でも理解しやすいような記述がほとんどであり、難解な部分については別途解説が付いています。
そのため基本書にもかかわらず、初学者の方でも難なく理解できそうで、安心感が持てますよね。
また、索引が充実していることも特徴です。
予備試験対策の際に基本書は、分からない部分を調べる辞書としての役割も果たしてくれますよね。
LEGAL QUEST(リーガルクエスト)の基本書は、索引が充実しているため辞書としての役割を十分に果たしてくれそうですね。
判例集
続いておすすめの判例集を3冊ご紹介しますね。
予備試験対策では、判例に関する学習が欠かせません。
そのため多くの判例が載っている判例集は予備試験対策に必須の本であると言えます。
今回は、3冊の判例集をご紹介します。
まずは、これから紹介する3冊にも共通する判例集を選ぶポイントを簡単にお伝えしますね。
おすすめポイント
①多くの判例が掲載されている
②改訂版がある
まずは、多くの判例が記載されていることがポイントです。
ただし、ただ多くの判例が扱われているだけでなく、予備試験対策を行う上で必要不可欠な判例が網羅されていることがポイントであるでしょう。
数だけではなく質も重要であると言えますね。
また、法律や判例は年々変化しています。
そのため、あまりにも古い書籍で学習を進めてしまうと変更点などに気が付かないまま試験日を迎えてしまう可能性がありますよね。
法律等に合わせて変化していることを証明する、改訂版があることも重要ポイントです。
- 憲法判例百選Ⅰ( 第7版)
憲法判例百選Ⅰは、憲法に関する判例集の中で最も定番の判例集です。
全ページ数が236ページと多いことからも幅広い判例を扱っており、判例学習に欠かせない一冊であると言えるでしょう。
良い評判がほとんどですが、文字が見にくいといった声や古い判例だと記載がないため第6版以前のものも持っておくとさらに良いといった声もありました。
- 民事訴訟法判例百選
民事訴訟法の学習においては、他の法律の学習以上に判例に関する学習が重要になってきますよね。
民事訴訟法判例百選は、民事訴訟法に関する判例集の中で最も定番の判例集であると言えます。
民事訴訟法に関する判例の中から、民事訴訟法を理解するために必要不可欠な最重要判例がすべて含まれているため、民事訴訟法を学習する上で必須の著書でしょう。
- 刑法判例百選Ⅰ&刑法判例百選Ⅱ
刑法判例百選Ⅰと刑法判例百選Ⅱは、憲法判例百選と同じシリーズです。
現在、第8版(2020年)が販売されており、改定を重ねている著書であると言えますよね。
分かりやすい表現で記載されているため、初学者でも分かりやすく理解しやすいと評判です。
刑法判例集Ⅰは総論、刑法判例百選Ⅱは各論を扱っています。
他にも「会社法判例百選」など他の法律に関する判例集もあるため必要に応じて購入することをおススメします。
予備試験対策のおすすめ参考書・テキストリスト
ここまで紹介してきた予備試験対策のおすすめ参考書・テキストと以下の表にまとめてみました。
本の種類 | 参考書・テキスト |
勉強法についての本 |
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参考書 |
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基本書 |
|
判例集 |
|
このように予備試験対策には、①勉強法についての本②参考書③基本書④判例集の4種類のテキスト・参考書(著書)が必要となってきます。
ここでご紹介した参考書・テキストの中には内容が重なっているものもあるため、すべて購入するべきというわけではありません。
テキストや参考書は、ご自身が分かりやすいもの、学習しやすいものが一番ですよね。
そのため実際に書店に行き、本を手に取ってみることをおすすめします。
予備試験対策を独学で行うメリット3選
予備試験対策を独学で行うメリットを3つご紹介します。
- 費用が通信・通学に比べ安い
- 自分のペースで取り組める
- 仕事や家事との両立が可能
費用が通信・通学に比べ安い
独学での学習は、通信講座・通学講座に比べて安いことがほとんどです。
独学での学習にかかる費用は主にテキスト代であり、1冊1500~4000円ほどとすると、購入するテキストの数や種類にもよりますが、費用は3~10万円程度であると言えますよね。
通信講座は、150,000円以下の講座~500,000円以上の講座と幅広く、教材やサポート体制の充実度によって費用が変わってきます。
例えば、通信講座(すべての試験対策を網羅している講座)で、比較的安い講座はスタディングの予備試験合格コース(総合)の128,000円でした。
アガルートの予備試験最短合格カリキュラムは767,800円、TACの超速逐条予備フルパック(Web通信講座)は639,000円と、アガルートとTACは比較的高い通信講座となっていますね。
通学講座は、短答式試験対策講座・論文式試験対策講座といった試験ごとの講座や、入門講座・過去問講座など学習段階に応じた講座など、試験に必要な講座を網羅的に受講すると100万円以上かかることがほとんどです。
以上のことから、独学での学習は通信講座や通学講座に比べてはるかに費用を抑えられると言えますよね。
予備試験に合格した後は、司法試験対策もしなくてはなりません。
そのため予備試験対策にはあまり費用をかけたくないという方には独学での学習がおすすめです。
自分のペースで取り組める
独学での学習は、自分のペースで取り組めるのが魅力の一つですよね。
通信講座や通学講座だと、学習スケジュールがある程度決められているため、「ここは知っているから学習しなくてよい」や「ここはじっくり何度も学習したい」といったことに柔軟に対応することが難しいことがあります。
しかし、独学では自分のペースで学習を進めていくため自分の理解度や知識などに合わせて学習の比重を調節できそうですよね。
仕事や家事との両立が可能
予備試験の受験を検討されている方は、お仕事や家事と両立しながら学習を進めていきたいという方も多くいらっしゃいますよね。
通信講座や通学講座だと、ある程度決められたスケジュールに沿って学習を進めていく必要があるため、お仕事や家事との両立がかなり難しいでしょう。
しかし、独学であればお仕事や家事の隙間時間や休日などのまとまった時間に学習できるため、効率的に学習を進めることが可能ですよね。
予備試験対策を独学で行うデメリット3選
次に、予備試験対策を独学で行うデメリットを3つご紹介します。
- 論文対策が大変
- モチベーションの維持が大変
- わからないことを質問できない
論文対策が大変
予備試験には、論文式試験があります。
論文は添削などの客観的な視点からの指導・評価などがないと合格できる力を身につけることは難しいでしょう。
そのため、独学での学習では限界があり、第三者(できれば添削経験や受験経験のある方)から添削してもらい、学習を進めていく必要があります。
通信講座や通学講座では、添削問題が含まれていることが多く、長年にわたって指導されてきた講師の方から添削を受けられます。
そのため論文式試験合格に必要なスキルを効果的に身につけられそうですよね。
モチベーションの維持が大変
予備試験対策には、最低でも2500~3000時間の学習時間が必要であり、かつ内容が難しい試験のためモチベーションの維持が難しいといえます。
通信講座や通学講座などであれば、同じ予備試験を目指している仲間と切磋琢磨しながらモチベーションを維持し、学習を進められそうですよね。
しかし、独学での学習の場合はあくまで一人で最初から最後まで学習を続けていかなければならず、モチベーションの維持が難しいでしょう。
1人でも目標に向かってこつこつと努力を続けられる方であれば問題はないでしょう。
しかし、モチベーションの維持は想像以上に難しく、独学は孤独との闘いとなるため、目標が同じ仲間と切磋琢磨しながら学習ができる環境というのはかなり貴重かもしれませんね。
わからないことを質問できない
予備試験は内容が難しく、特に初学者の方は内容を理解することは困難です。
そのため、疑問点が多く出てくる可能性も十分に考えられますよね。
その際に独学だと疑問点を解消するには自分で調べるしか方法がなく、疑問点を調べるだけで時間がかかってしまい学習が思うように進まないといった事態に陥るかもしれません。
通信講座や通学講座であれば、疑問点を講師に質問することで比較的即座に解決が可能です。
時間的なロスも少ないため、独学よりも通信講座や通学講座での学習の方が、効率的に学習ができると言えるでしょう。
予備試験対策を独学で行うメリットとデメリットのまとめ
予備試験対策を独学で行うメリットとデメリットを以下の表にまとめてみました。
メリット | デメリット |
|
|
予備試験対策を独学で行うことで、費用を抑えられる、自分のペースで取り組めるといったメリットがありましたよね。
またお仕事や家事、子育てで忙しい方も独学での学習であれば、両立しながら学習を進められそうですよね。
一方で、予備試験には論文式試験があり、その対策にはやはり独学では限界があることや、分からないことをすぐに質問し、解決できな点がデメリットとして挙げられてました。
また、2500~10000時間の学習時間が必要とされる予備試験対策は、モチベーションを保つことが合格のカギであるとも言えます。
独学での学習は、孤独な戦いとなることが多く、モチベーションの維持が大変といった点もやはり独学のデメリットになりえますよね。
予備試験の概要とは
予備試験とは、「法科大学院修了者と同等の学識及びその応用能力並びに法律に関する実務の基礎的素養を有するかどうかを判定する」(司法試験法5条)ための試験です。
ここからは、予備試験の試験日程や試験範囲などの概要をお伝えしていきますね。
- 予備試験の試験日程
- 予備試験の試験範囲
- 予備試験の試験時間
- 予備試験の受験資格
- 予備試験の合格率、難易度
予備試験の試験日程
令和6年度の試験日程が公開されていましたので、以下の表にまとめてみました。
試験 | 日程 |
短答式試験 | 令和6年7月14日(日) |
論文式試験 | 令和6年9月7日(土)、8日(日) |
口述試験 | 令和7年1月25日(土)、26日(日) |
この記事を読んでから予備試験の学習をスタートされる方は、令和6年度の試験には間に合わない方が多くいらっしゃいますよね。
しかし、試験は例年5月に短答式試験、7月に論文式試験、10~11月に口述試験が行われます。
そのため、令和6年度の試験日程を参考に、学習スケジュール等を考えてみてくださいね。
また正式な試験日程は、前年度の7~9月に法務省の公式HPから発表されます。
試験を受ける年度が決まったら、その前年の7~9月頃に法務省のHPをチェックすることをおすすめします。
予備試験の試験範囲
予備試験の試験範囲は幅広く、専門的な知識を扱うため非常に難しいといえます。
試験科目も多いため、試験ごとに以下の表にまとめてみました。
試験 | 試験範囲 |
短答式試験 | ・憲法
・行政法 ・民法 ・商法 ・民事訴訟法 ・刑法 ・刑事訴訟法 ・一般教養 |
論文式試験 | ・憲法
・行政法 ・民法 ・商法 ・民事訴訟法 ・刑法 ・刑事訴訟法 ・法律実務基礎科目民事 ・法律時通基礎科目刑事 ・選択科目(倒産法・ 租税法・ 経済法・ 知的財産法・ 労働法・ 環境法・ 国際関係法(公法系)・ 国際関係法(私法系)) |
口述試験 | 法律実務基礎科目(民事)と法律実務基礎科目(刑事) |
短答式試験は8科目、論文式試験は10科目、口述試験は2科目ですね。
令和4年度の試験から、論文式試験では一般教養科目が廃止され、選択科目に変更されます。
選択科目は、倒産法・ 租税法・ 経済法・ 知的財産法・ 労働法・ 環境法・ 国際関係法(公法系)・ 国際関係法(私法系)の中から1科目を選択し、受験するという形をとっています。
選択科目は令和4年度の試験から適用されるため、情報がまだ少なく後回しにしがちですよね。
しかし、選択科目で扱う分野は司法試験やその先の法律を用いた職業に就く際に重要な分野であり、学習をしておいて損はありません。
また、対策が手薄になってしまいがちであるからこそ他の受験者と差をつけられる範囲でもあります。
そのため、早くから情報を集めしっかりと対策していくことをおすすめします。
予備試験の試験時間
予備試験の試験時間を試験ごとに以下の表にまとめてみました。
- 短答式試験
試験科目 | 試験時間 |
民法・商法・民事訴訟法 | 1時間30分(9:45~11:15) |
憲法・行政法 | 1時間(12:00~13:00) |
刑法・刑事訴訟法 | 1時間(14:15~15:15) |
一般教養 | 1時間30分(16:00~17:30) |
短答式試験は、朝から夕方まで一日かけて行われます。
休憩時間も約1時間~2時間と長いため、どの試験科目でも実力が十分に発揮できるよう休憩時間の過ごし方も事前に考えておく必要がありそうですね。
- 論文式試験
試験科目 | 試験時間 |
憲法・行政法 | 2時間20分(9:30~11:50) |
刑法・刑事訴訟法 | 2時間20分(13:15~15:35) |
選択科目 | 1時間(16:30~17:40) |
法律実務基礎科目(民事・刑事) | 3時間(9:30~12:30) |
民法・商法・民事訴訟法 | 3時間30分(14:00~17:30) |
論文式試験は、2日間にわたって行われます。
試験時間が、1時間~3時間半とかなり長く集中力や体力が持つか心配になってしまいますよね。
本番でいきなり3時間半もの間集中して問題を解けるようになることはほとんどありません。
むしろ緊張で集中力が普段よりも途切れてしまいがちです。
そのため、日頃の学習から長時間の試験時間に合わせた学習を取り入れていくと良いかもしれませんね。
- 口述試験
口述試験の試験時間は1人あたり15~30分程度です。
受験票に順番がかかれており、自分の順番が来ると個室に案内されて試験が行われます。
順番が早ければ早くに試験を終えられますが、順番が遅いと何時間も待つということもあるようですね。
そのため、待ち時間の間にリラックスできるような工夫を考えておくとよいかもしれません。
口述試験対策のことをまとめた自分なりの参考書を持っていく、自分がリラックスできるグッズを持っていくなどの工夫がありそうですよね。
予備試験の受験資格
予備試験の受験資格は特にありません。
また受験期間も特に制限されていません。
そのため、誰でもしっかりと対策をすれば受験をし、合格できます。
一方で、司法試験は受験資格や受験期間の制約が定められていますよね。
そのため、予備試験は司法試験に比べて広く開かれた試験であると言えるでしょう。
予備試験の合格率、難易度
予備試験の最終合格率は3~4%と言われています。
令和元年度~令和5年度の予備試験の受験者数、合格者数、合格率を以下の表にまとめてみました。
年度 | 受験者数 | 合格者数 | 合格率 |
令和元年度 | 11,780名 | 476名 | 4.0% |
令和2年度 | 10,608名 | 442名 | 4.2% |
令和3年度 | 11,171名 | 467名 | 4.0% |
令和4年度 | 13,004名 | 472名 | 3.6% |
令和5年度 | 13,372名 | 479名 | 3.6% |
※合格率は、短答式試験・論文式試験・口述試験のすべての試験に合格した最終合格者の割合です。
実際のデータでも、最終合格率は4%前後とかなり低く、難易度の高い試験であると言えますよね。
しかし、短答式試験と論文式試験それぞれの合格率は20%前後であり、口述試験に限っては合格率は90%以上と高めです。
そのため、まずは短答式試験と論文式試験対策をしっかりと行い、その二つを突破することが重要ですね。
予備試験の独学に関するよくある質問
予備試験の独学に関するよくある質問をまとめてみました。
- 予備試験に独学で合格した方のブログはあるか?
- 予備試験に独学で合格した方の合格体験記はあるか?
- 予備試験に一年で合格するためのスケジュールは?
- 予備試験対策の市販のテキストのおすすめは?
- 予備試験の論文式試験の勉強法は?
予備試験に独学で合格した方のブログはあるか?
予備試験に独学で合格した方のブログはあります。
中には予備試験対策を独学で行い、わずか一年で合格された方のブログもありました。
ブログには、おすすめの勉強方法やテキスト、一日の学習スケジュール等が書かれていました。
実際に合格された方の言葉はとても参考になりますよね。
実際の一日の学習スケジュールなども詳細に書かれていたので気になる方はぜひ調べてみてくださいね。
予備試験に独学で合格した方の合格体験記はあるか?
予備試験に独学で合格された方の合格体験記はあります。
わずか半年で合格された学生の方の合格体験記がありました。
インタビュー方式で学習方法や経歴などが紹介されていました。
面白く読みやすい内容だったので、気になる方はぜひ読んでみてくださいね。
また、独学ではありませんが予備校や通信講座で合格された方の体験記は予備校や通信講座の公式HPで多数紹介されています。
独学で学習される方も勉強法など参考になる点も多いと思いますのでぜひ一読してみてくださいね。
予備試験に一年で合格するためのスケジュールは?
この記事では1年半〜2.3年で合格を目指すスケジュールをご紹介しました。
1年で合格するには、一日の学習時間を8〜10時間にするという方法があります。
つまり、一日の学習時間を増やすことで学習期間を短縮する方法ですよね。
その他には、通信講座や通学講座を用いることで学習効率を上げ、短期間での学習を目指すという方法があります。
例えば、アガルートアカデミーの司法試験予備試験1年合格カリキュラムやLECの予備試験1年合格専用コースなどを受講することで効率的に学習を進めることが出来そうですよね。
予備試験対策の市販のテキストのおすすめは?
この記事でもおすすめのテキストをご紹介しました。
例えば、「読み解く合格シリーズ」は若手合格者たちが執筆しているため、予備試験に必要な知識だけでなく若手合格者たちの思考法なども学習でき、非常におすすめです。
また、参考書や基本書だけでなく学習方法についての著書も一読しておくことをおすすめします。
例えば、「予備試験に独学合格する方法」や「伊藤真が教える司法試験予備試験の合格法」がおすすめです。
鬼頭政人さんや伊藤真さんといった有名な方が執筆されており、キャッチーで関心を引く言葉が多いためサクサク読み進められそうですよね。
学習を始める時、またモチベーションが下がってしまった時などにぜひ読んでみてください。
予備試験の論文式試験の勉強法は?
独学であれば、論文式試験対策用の参考書を使って学習を進めていきましょう。
例えば、「伊藤塾試験対策問題集」には予備試験論文シリーズがあります。
こちらも民法や憲法などの法律ごとにまとまっており、予備試験の論文式試験対策に最適なテキストの一つであると言えます。
また、独学で学習をされている方の中で論文式試験は独学では自信がない、不安が残るという方もいらっしゃるでしょう。
そんな方は、通信講座の論文式試験対策の講座のみを受講してみてもよいかもしれませんね。
例えば、アガルートアカデミーには論文式試験並の問題を解いて、添削をしてもらうという予備試験答練という講座があります。
基礎知識は独学で学習し、添削の部分のみを通信講座で補うというようにご自身の学習スタイルに合わせて併用してみてくださいね。
まとめ:予備試験は独学で合格できるのか?
予備試験は独学で合格可能です。
独学には、費用を抑えられる、自分のペースで学習を進められるといったメリットがありますよね。
しかし、予備試験は試験範囲が幅広く、専門性も高いため難易度の高い試験であると言えます。
そのため、独学での学習には限界があったり、モチベーションの維持が大変だったりとデメリットも存在します。
この記事では、そうした独学での学習のメリットやデメリットを紹介してきました。
また、試験の概要やおすすめのテキスト、学習方法などもお伝えしていますので、学習方法に迷われた方は、ぜひこの記事を参考にして最適な学習方法を見つけてみてくださいね。
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