通関士は、貿易の仕事に関わるうえで必要な国家資格です。
貿易業界では通関士は唯一の国家資格となっていますが、その他の国家資格に比べると知名度は低く、どんな仕事をしているかを説明できる人は多くはないでしょう。
一般的な知名度は低い通関士ですが、貿易関係で働く上では欠かせない資格といっても過言ではないでしょう。
通関士の年収ってどれくらいなの?と気になる方はいませんか。
平均年収や初任給、男女での年収の比較、通関士になるにはどうすればいいのか等をまとめてみました。
通関士試験は、通信講座や予備校を利用して学習するのもおすすめの方法です。
詳しくはこちらの記事でも解説しているので、ぜひご覧ください。
通関士の年収はずばり!
職業情報提供サイトjobtagによれば、通関士の平均年収は584.4万円とのことです。
また、国税庁の「令和2年分民間給与実態統計調査結果」を見てみると、日本人の平均年収は433万円なので、平均収入よりは高くなっています。
平均年収はあくまで平均なので、年齢や性別によっても大きな差が出てきます。
さらに、通関士は就職した先やキャリアによって収入に差が出てくる仕事のようです。
自分の頑張り次第では年収を大きくアップできるかもしれません。
新卒がもらえる月給はいくら?
通関士を募集している企業のHPや求人情報サイトで新卒の月給がいくらであるのか情報収集しました。
通関士が新卒でもらえる月給は次の通りです。
企業 | 高専・専門学校・短大卒 | 大学・大学院卒 |
A社 | 求人なし | 22万円 |
B社 | 20万円(高専) | 21万円・21.3万円 |
C社 | 17.8万円(専門・短大) | 19.6万円 |
(採用情報、求人情報サイトより集計)
高専・専門学校・短大卒は一般職の募集で求人が出ていることが多かったです。
大学・大学院卒は総合職としての募集が多く出ており、月給金額も高く設定されていました。
どの業界でも同じですが、通関士も初任給が学歴で差が出る事が分かります。
初任給の平均は、大学生で22万6千円とのことなので、平均初任給で比べると通関士は若干少ないようです。
ちなみに、高校生卒の募集はあるにはあるけれど、募集は少なく初任給も16万円前後となっています。
平均給与はどのくらい?
平均給与はおよそ30万円から35万円前後です。
手取りは給与から保険料や税金などが差し引かれるので、25万円から30万円程度になると予想されます。
新卒の場合は20万円から22万円なのでおよそ16万円から18万円程度になるということになります。
こうしてみると、少し少ないように感じますが、年齢が上がりキャリアを積んでいけば収入も徐々に上がっていきます。
年齢による収入を比較
年齢 | 年収 |
20代 | 300万 ~ 380万円 |
30代 | 420万 ~ 480万円 |
40代 | 530万 ~ 600万円 |
50代 | 600万 ~ 650万円 |
60代 | 450万 ~ 500万円 |
(CAREER PICKSより集計)
20代は300万円台となっていますが、30代から400万円台、40代を超えると平均年収の584.4万円に到達します。
50代になれば600万円超えとなり、平均年収はゆうに超えることが可能です。
60代は定年退職や再雇用契約で給与が下がる為、低い数字になっています。
男性と女性の年収の差はどれくらいあるの?
男性と女性で年収の差がどれくらいあるのか、女性は特に気になるところですよね。
転職サイト転職エージェント比較サイトCAREER PICKSによると、30代の男女の年収は男性は約450万円、女性は約300万円という結果となっています。
男女での差は150万円と大きく差が出ていることが分かりました。
なぜ、男女で差が出るのかというと、どの業界でも言えることですが、女性は結婚や出産、育児などで仕事を休まざるを得ない状況が出てくるからです。
産休や育休、時短勤務になると、その間は給料は減ってしまいます。
また、通関士は男女で収入にあまり差がないと言われているので、休んだりしない限りは年収にあまり差が出ないようです。
他の士業との年収の違い
通関士は、弁護士、公認会計士などと同じ「士業」に分類されます。
士業とは資格の名称の末尾に「士」とつく職業のことです。
他の士業と通関士の年収の違いはどれくらいあるのか比べてみる為、職業情報提供サイトjobtagでそれぞれの年収を比べてみました。
士業 | 平均年収 |
通関士 | 584.4万円 |
弁護士 | 945.4万円 |
公認会計士 | 658.6万円 |
税理士 | 658.6万円 |
社労士 | 1029.5万円 |
(職業情報提供サイトjobtagより集計)
他の士業と比べてみると、通関士の年収は少ないようです。
理由としては、他の士業は独立することが容易ですが、通関士は独立するのが難しいからです。
税関への関税などを建て替えたり、フリーの通関士に仕事を頼むメリット企業にない為、依頼が来ないなど理由は様々。
しかし、独立しなくても通関士は年収1000万円を超える可能性が残されています。
年収1000万円も夢じゃない!?
平均年収を見る限り、1000万円には程遠いように見える通関士ですが、実際に1000万円以上の年収を稼いでいる通関士はいます。
年収1000万円を超えるにはどのようなことをすればよいのでしょうか。
- 海運業界に就職する
- 外資系の会社の就職する
通関士は、就職先によって収入に大きな差が出ます。
海運業界に就職する
年収ランキングのHPによると、海運企業の平均年収は810万円で、ランキング1位の企業で986万円という結果になっています。
その他の通関士の就職先の企業の平均収入を見てみると、陸運企業の599万円・空運企業が701万円・倉庫、運輸業界が628万円となってお、海運業界が一番平均年収が高く1000万円を視野に入れられる業界と言えます。
日本の会社の多くは年功序列のシステムを取り入れているところが多く、長く勤めればその分給与も上がっていき、また役職などが付けば更に収入アップも見込める為、1000万円を目指すのなら一つの会社でキャリアアップを目指すことも視野に入れましょう。
外資系企業に就職する
国税庁の民間給与実態調査統計で令和2年度の平均年収は433万円となっており、外資系企業の平均年収は詳しいデータはありませんが、およそ800万円だと言われてます。
日本の企業に比べると約2倍も平均年収が違っているということです。
通関士の求人にも外資系企業の求人もいくつか出ていますので、探してみるといいかもしれません。
外資系企業の特徴として成果主義があります。
年齢や社歴は関係なく成果に応じて給与アップや昇進できるので、自分の頑張り次第で年収1000万円を目指すことも可能です。
通関士の就職先どんなところがあるの?
貿易にスペシャリストである通関士は、どんなところで活躍できるのでしょうか。
通関士として働ける場所は、通関業務の許可を受けている会社となります。
就職先を例にあげると「通関業者」、「倉庫業者」、「運送会社」、「鉄道関係」、「メーカー」、「商社」、「百貨店」などがあります。
通関士は貿易には欠かせない存在であり、活躍の幅は広がっています。
通関業者(倉庫・運送・鉄道など)
輸入業者に代わって通関手続きを代行したり、輸出入申告書を作成し税関に申告するのが通関業者の仕事です。
通関業務に特化した会社は少なく、通関業以外にも様々な業務を行っている会社がほとんどで、倉庫業者・運送会社・鉄道関係などの就職先があります。
倉庫業者は輸出入する商品を倉庫に一時的に保管し、運送会社や鉄道会社は検査を受けた商品を各地に運ぶ役割がありますが、通関業を兼任することで業務の効率化を図っているのです。
メーカー・商社・百貨店
海外と取引のあるメーカーや、海外から輸出入を行なっているメーカーでも通関士は活躍しています。
輸出入を効率的に行うために通関士を置いている場合や、通関士の業務に就いていなくてもその専門知識を生かして輸出入業務に携わることもできます。
最近では、百貨店でも直接輸出を行っている場合もあり、通関業務を兼任しているところもあります。
通関士の就職状況・転職状況の実態は?どんな人が求められている?
通関士で求人を探してみると、多数の求人サイトで募集が出されています。
また、転職サイトを見ても同様に求人は多く見つかります。
転職サイトでは、通関士としての経験がある人は優遇される傾向にあり、給与や年収の設定金額は高くなっています。
初心者や経験者を募集する求人も多数見つけることが可能です。
通関士の資格がない人でも、通関士の資格取得をサポートしてくれたり、受験費用や通信講座などの費用を一部負担してくれる会社もあります。
その他、派遣社員やパート・アルバイトの求人も多数掲載されています。
通関士に求められる人材について、実際に掲載されている内容で多く挙がっていたものを3つご紹介します。
- 語学力のスキルがある人(英語・中国語など)
- コミュニケーション能力がある人
- 向上心、学習意欲のある人
語学力については、あれば尚良いというところが多く、もちろんなくても大丈夫という企業もありました。
貿易実務や海外とのやり取りがある場合には必須になってくるようです。
社内でのコミュニケーションはもちろん、取引先との円滑なやり取りが必要である為、コミュニケーション能力が求められるようです。
資格取得やスキルアップを目指す人や、チャレンジ精神を持って新しいことに取り組める人材を求めている傾向にあるようです。
通関士になると貰える手当があるの?
通関士は国家資格である為、資格手当が支給される場合があります。
資格手当とは、業務に必要な資格を所持している又は取得した従業員に対して会社側が任意で設定して福利厚生の一つです。
毎月の賃金にプラスされ、継続的に支払われます。
通関士資格手当とは?
通資格手当は業種や資格によってさまざまですが低い会社では3千円、高い会社では2万円と就職する会社によって様々です。
求人サイトを参考に、通関士の資格がどのくらいついているのか調べてみました。
企業 | 基本給 | 手当 |
A社 | 21万円~26万円 | 1万円 |
B社 | 24万~28万円 | 5千円~2万円 |
C社 | 21万円~28万円 | 6千円~2万円 |
(採用情報、求人情報サイトより集計)
A社のように資格手当を一律固定金額にしている企業、B社、C社のように幅を設けている企業がありました。
一律に固定している企業は、5千円もしくは1万円としているところが多くありました。
B社、C社のように資格手当に幅を設けている理由は、通関士として税関に登録有るか無ないかで違ってくるようで、経験者の方が資格手当が高く、優遇されていることが分かりました。
合格報酬金とは?
また、資格手当には「合格報酬金」というものもあります。
こちらは、入職後に会社が指定する資格を取得した場合に支払われる奨励金になります。
貿易業界では、通関士資格の取得をサポートする制度や合格時には合格奨励金が支払われる制度が福利厚生に含まれている企業が多くあります。
合格報酬金が実際どのくらいあるのか、調べてみましたが具体的に金額を明記している企業は見つかりませんでした。
もし、気になる方は実際にその制度を採用している企業を面接する際に、直接確認してみると良いかもしれません。
すでに資格を持っている人は通関士の資格手当が支給されるのかを、持っていない人は、資格を取りやすい環境であるのかをしっかり調べて求人をしてみると良いでしょう。
通関士のになるには?国家資格を取得するのは難しい?
国家資格に受かるだけでは、通関士として働くことはできません。
通関士国家資格に合格し通関業者に入社後、税関長から許可されることでようやく通関士として働けます。
通関士の試験には、受験資格が特に設けられていませんので誰でも受験できます。
通関士の国家資格の概要は?
通関士の試験は毎年10月の第一日曜日に行われています。
受験の出願受付は、7月1日より配布が開始されます。
出願書類の入手は試験実施の管轄の税関に足を運ぶか、郵送での請求のどちらかになります。
新型コロナウイルス感染防止対策の観点から郵送での請求が推奨されています。
試験科目については次の通りです。
1.通関業法(45点)
選択式35点(10問)択一式10点(10問)
2.関税法等(60点)
選択式45点(15問)択一式15点(15問)
3.通関実務(25点)
選択式・計算式20点(2問)選択式45点(15問)択一式15点(15問)計算式10点(5問)
通関士試験の合格率は何%?
令和5年「第57回通関士試験」の合格率は24.2%でした。
過去5年の合格率については、下記のとおりです。
年度(回数) | 合格率(%) |
令和元年(第53回) | 13.7 |
令和2年(第54回) | 16.9 |
令和3年(第55回) | 15.8 |
令和4年(第56回) | 19.1 |
令和5年(第57回) | 24.2 |
(税関HPより集計)
過去55回行われた試験の中で一番合格率が低い年は平成18年(第40回)で7.0%、一番合格率が高い年は昭和43年(第2回)で30.4%となっています。
受験する年によって合格率に差があることが分かりました。
どうしてこのような差が出るのか調べてみましたが、はっきりとした理由は分かりませんでした。
しかし、平成29年度の合格率21.3%と高かった年は、難関と言われる実務試験が簡単だったと言われているようです。
他の科目は例年通りの難易度だったとの事なので、その年の問題の内容によって合格率は左右されると言えます。
通関士試験の合格ラインは?
通関士試験の合格ラインが設けられているので、一つでも科目を落とすと合格できません。
3科目の合格ラインは毎年合格発表と共に把握できます。
令和4年度の合格ラインは3科目とも満点の60%以上でした。
ここ数年この合格ラインは変わっていませんが、他の試験でもその年に突然合格基準が変わることもあるので目安としてみておきましょう。
通関士は独学でも合格できる?
通関士の試験内容は、専門的な内容が多く独学で合格するには難しい試験と言われていますが、もちろん独学で合格されたという方もいらっしゃいます。
何年もチャレンジして合格した人や、貿易事務などで働いているといった方が多いでしょう。
初学者の人の中でも独学で合格する人もいらっしゃるでしょうが、合格率の低さからみると一発合格できる人は少ないでしょう。
難易度も高いため一筋縄ではいかないようですが、勉強の方法や取り組み方次第では合格も夢ではありません。
また、通関士の国家試験には、科目免除というものが存在しますので、科目免除を活用できれば独学で合格する可能性も高まってきます。
通関士試験には科目免除がある
免除の内容については、下記の通りです。
- 実務経験5年以上 … 通関実務が免除される。
- 実務経験15年以上 … 関税法等と通関実務が免除される。
実務経験が5年以上あれば、1科目免除となり、実務経験が15年以上あれば2科目が免除となります。
科目が免除されれば、勉強する範囲も少なくなるので独学で勉強するハードルも下がると言えますね。
特に通関士の試験で一番の難関だと言われているのが「通関実務」です。
ユーキャンやフォーサイトなどの通信講座のHPにも、難易度が上がっている理由に一つに通関実務の難しさを挙げているほどです。
難関の通関実務が免除されること、更に勉強する科目が一つ減ることで、2科目ないし1科目に集中して勉強できるというというメリットが生まれます。
免除科目で変わる合格率
先に説明した通関士の合格率はすべての受験者の合格率を表したもので、通関士試験では受験した科目別での合格率も発表されています。
令和5年度(第57回)の科目別の合格者は次の通りです。
科目別受験者 | 合格率 |
全科目受験者 | 23.0% |
2科目受験者 | 22.0% |
1科目受験者 | 70.8% |
(税関HPより集計)
この結果を見ると、全科目受験者の合格率は14.9%と低い結果となっています。
2科目受験者の合格率が10%と低かったようですが、前年では20%と少し高く出ていました。
令和3年度は、通関実務以外の科目の難易度が高かったのかもしれません。
1科目受験者は60%近くと高い合格率となっています。
実際に長年に渡り通関業務の経験があり、更に2科目免除されているという事で断然合格しやすいということが分かります。
ただし、全科目受験者でも1割近くの人は合格しているという結果は出ています。
独学で合格した人たちの声 ブログ紹介
スキルのメモ帳~通関士・貿易事務~ 独学の勉強法の他貿易事務について書かれたブログ
ワーママが独学で通関士に合格した話 独学での勉強法などが書かれたブログ
通関士試験合格ガイド 独学での勉強法やおススメテキストなどが書かれたブログ
独学での合格はハードル高めな通関士ですが、独学で合格された方々にはどんな人たちがいるのでしょうか。
独学で試験に合格した方のブログを読むことで、どのように勉強に取り掛かればいいのか、自分に合った勉強法が何なのかを見つけられるかもしれません。
独学で通関士試験を受けたいと思っている方にぜひご覧いただけたらと思います。
スキルのメモ帳~通関士・貿易事務~
こちらのサイトでは、独学の勉強法の他に貿易事務などについても書かれています。
管理人の方は令和元年に行われた第53回通関士試験に独学で合格されており、その時に実際に行った勉強方法やスケジュールの立て方、実際に使っていたテキストなどを紹介されています。
独学でかかった費用の内訳や模試を受けた方がいい理由などの記事もあります。
また、貿易実務の記事もたくさん書かれているので、貿易事務の勉強をしたい方も必見ではないでしょうか。
ワーママが独学で通関士に合格した話
2歳の男の子の育児をしながら貿易事務で働く20代の女性が、独学で合格した話を日記として書かれています。
貿易事務の経験があり、大学時代には英語の勉強もされているという方です。
通関士試験に合格したい方、仕事や育児で時間が取れない方、試験の費用を抑えたい方に向けたブログです。
勉強方法はもちろん、勉強時間の確保に苦労している方や育児をしながら勉強をしていこうと考えている方は読まれると、励みになるのではないでしょうか。
通関士試験合格ガイド
物流会社に勤務する40代の通関士試験に11か月で合格された方のブログです。
ブログ村の国家試験PVランキングで24位にもなっています。
勉強方法などももちろんありますが、配点を分析して攻略ポイントを見出したり科目別の勉強配分などが詳しく記載されています。
また、モチベーションアップに繋がる情報提供などもされているので、参考されてみてはどうでしょうか。
独学の勉強が向いている人・向いていない人ってどんな人?
独学で通関士に合格したいと考えている方も多いはず。
しかし、独学にも向き不向きがあるようです。いったいどんな人が独学に向いていて、どんな人が向いていないのでしょうか。
実際に独学で合格した人のブログや通信講座のHPやを参考に、向いている人・向いていない人をまとめてみました。
独学に向いている人
独学に向いている人は次の通りです。
- 勉強時間を確保できる人
- 計画的に勉強が進められる人
- 実務経験がある又は、専門知識がある程度ある人
勉強時間が確保できる人
生涯学習のユーキャンや通信講座のフォーサイトによると、通関士の資格取得に必要な勉強時間は必要な時間の平均は、400から500時間と言われています。
中には300時間程度で合格する人もいるようですが、基礎知識があるケースだそうです。
1日に2時間勉強したとすると、7か月から9か月勉強する必要があります。休日を利用して勉強時間を増やしたとしても6か月は勉強時間が必要です。
社会人、育児中の方、学生など勉強をする環境は人によって様々です。
まとまった勉強時間を確保できる人もいれば、隙間時間や休日を使って時間を確保する人もいるでしょう。
どんな方法でも勉強時間を自ら確保し、毎日コツコツと勉強を進めていける人は独学に向いていると言えます。
計画的に勉強できる人
試験日までの日数や自分が勉強できる時間を把握し、計画的にスケジュールが立てられると合格に一歩近づきます。
通関士の試験科目は3科目ありますので、得意分野苦手分野を見極めて勉強する時間の配分を考えたり、テキストを読み進めるのか、過去問を解いていくのか等、勉強の進め方を考えたりする必要があります。
3科目受験しないといけない人は特に勉強する範囲が広く、どこから手を付けていいのか分からない、どうやって勉強を進めていけばいいのかで迷ってしまうことも。
しっかりと自分の状況を把握し、計画的に勉強を進められる人は独学に向いていると言えます。
実務経験がある又は、専門知識がある程度ある人
通関士はの試験は、専門的な知識がないと理解することが難しいのが現実です。
初学者はまず、専門用語などを理解することが必要となっていきます。
貿易関係の仕事に携わり実務経験がある場合や、学校などで法律の勉強をしているなど、ある程度知識がある人にはない苦労を初学者方は強いられるでしょう。
専門知識がないにしろ、勉強することで知識を得ることはできますが理解するまでに時間がかかり過ぎると、勉強も思うように捗らないはず。
ある程度の知識を持っている人や実務経験者や大学などで専門的な知識が備わっていると、問題を解くいたりテキストを読み進めていったりするのも苦にならず独学で勉強を進められるでしょう。
独学に向いていない人
独学に向いていない人は次の通りです。
- 継続が苦手な人
- モチベーションが維持できない人
継続が苦手な人
独学は地道に勉強を進めていかなければなりません。
勉強をしてもすぐに飽きてしまって、スマホを見たり掃除をしたりと、勉強以外のことをしてしまう人っていますよね。
平日は忙しいから休日にまとめて勉強しようと考えて、最初のうちは頑張るけれど「忙しいから」「疲れているから」と気が付けば、休日すら勉強をやめてしまう人も少なくないでしょう。
試験までの勉強期間は決して短くはありません。
独学の場合、試験日までの期間まで継続的に一人で勉強しなければなりません。
継続的に勉強を続けることが苦手な人は独学には向かないでしょう。
そういった方はスクールや通信講座を受講するというのも一つの手だと言えます。
モチベーションの維持ができるか
独学では、モチベーションの維持が大切になってきます。モチベーションが維持できない人は独学は続かないでしょう。
周りに同じように受験を頑張る人が居れば、お互いに励ましたり勉強の相談もできますが、独学は基本的に孤独です。
思うように勉強が捗らなかったり、難しくて分からないことが出てくると「無理かもしれない」と不安な気持ちになる人も少なくありません。
そうなると、モチベーションが下がり勉強の効率も悪くなってしまいます。
モチベーションの維持に不安がある方は、同じように勉強している仲間を見つけたり、勉強を教えてくれる人を探した方が良いかもしれません。
通関士には将来性がないってホント?
株式会社野村総合研究所と英オックスフォード大学との共同研究によると、「人口知能やロボット等による代替可能性が高い100種の職業」の中に通関士が入っていました。
また代替可能な職業は、必ずしも特別な知識・スキルが求められない職業に加え、データの分析や秩序的・体系的操作が求められる職業と記されています。
通関士の業務は、書類作成や申告業務などが多く、そういった事務処理的な仕事内容はAIを導入しやすいということでしょう。
10年、20年後通関士の仕事はAIの普及により業務が代替化かれる可能性は十分にありますが、通関士の仕事がなくなる心配はない。と考える人が多いようです。
通関士は、貿易に関する知識やスキルが必要な職業です。
書類作成などの雑務がAIに代替化されたことに、より一層通関士としての専門的な仕事や知識が求められるようになります。
将来を見据えて、知識や経験を積んで、スキルの高い通関士を目指していきましょう。
通関士は働きやすいの?
通関士は残業が多いんじゃないの?激務ないんじゃないの?と思っている方もいらっしゃるのではないでしょうか。
通関士の就職先は多岐に渡り、仕事内容も様々です。
勤務先によっては、繁忙期は残業しなければならなかったり、人員不足で業務過多になってる場合もあります。
仕事を探す際に、ずっと同じ求人が出ていないか、急募となっていないかを吟味する必要性はありそうです。
激務を避けたい場合は、派遣社員になるのも一つの手かもしれません。
通関士は女性が働きやすい
近年、通関士として働く女性が増えています。
資格取得者の割合を見ても男女比は6:4で、女性が4割合格しています。
仕事内容も事務作業が多く、在宅勤務が可能な会社やフレックスタイム制を設けている会社もあります。
また、通関士の業務はスケジュールが立てやすいこともあり、休みの調整がしやすいとも言われています。
子どものいる家庭にとって、在宅勤務やフレックスタイムで勤務できるのはとてもメリット大きいと思います。
また、プライベートを充実させたい女性にとっても、働きやすい環境であるのではないでしょうか。
通関士はホワイトな労働環境なのか
どうせ働くなら、ホワイト企業と言われる会社で働きたいと考える人は多いはず。
ホワイト企業とは、ブラック企業の類義語で使われる言葉であり、待遇面での差別がない・残業が少ない・福利厚生が充実している・休みが取りやすい・女性が活躍している・離職率が低いなど従業員が働きやすい環境が整っている企業のことを指します。
通関士の働く環境はどうなっているのか、気になるところですよね。
実際に、求人サイトで通関士で検索してみたところ、下記のような条件が揃っている会社を複数見つけられました。
- 年間休日120日以上の企業が多い。(土日祝休み・夏季冬季休暇など)
- 福利厚生が充実している。(各諸手当が充実している)
- 資格取得制度、研修制度が設けられている。
- 産休・育休の取得実績がある会社もある。
- 残業の目安の記載あり。
求人を税関は基本的に土日祝や年末年始など休日となります。
税関が開いてないと申告が出来ないこともあり、土日祝が休みの求人が多く出ています。
ホワイト企業の特徴一つとして挙げられるのが福利厚生の充実についてがあります。
福利厚生についても、社会保険完備・退職金制度・介護休暇制度、専門職手当などをしっかり明記している求人が多くあります。
出産休暇・育児休暇はもちろん、マタニティ休暇・子供の看護休暇など女性が働きやすい環境づくりを行っている企業も。
通関士の資格が取れる、英語の勉強ができる、研修制度があったりと社員のスキルアップを全面的にサポートしてくれる制度があると嬉しいですね。
残業についてもきちんと明記あり、サービス残業なしと明記している求人もあります。
ただし、すべての会社がこれらを網羅している訳ではありません。
休日も企業によってはもっと少なかったり、残業時間が多かったり、休日出勤をしないといけなかったりする企業ももちろんありますので、求人を探す際には注意が必要です。
ホワイト企業だから就職する・転職するという考え方ではなく、自分が働きやすい環境は一体どんな環境なのかをじっくりと考えた上で仕事を探すことが大切です。
まずは求人サイトで気になる企業をいくつかピックアップしてみて、条件や内容が自分に合っているか吟味してみると良いでしょう。
通関士になるメリット・デメリット
通関士になるとどんなメリットデメリットがあるのかまとめてみました。
- 貿易のプロフェッショナルとして活躍できる
- 通関士の資格を持っていると転職が有利になる
- キャリアアップ次第で給与UPできる
貿易のプロフェッショナルとして活躍できる
一番のメリットは、貿易のプロフェッショナルとして色々な業界で活躍できることでしょう。
通関士は「業務独占資格」であり、通関士の資格がなければ通関士として働けないという希少性があります。
通関業務に関わることはもちろんですが、貿易コンサルタントや税関コンサルタントとして働くことも可能です。
貿易に関わる仕事を国家資格を持ち高い専門性と知識を活かして働けるやりがいのある仕事と言えるでしょう。
通関士の資格を持っていると転職が有利になる。
通関士は、通関業者だけでなく運送業者やメーカーなどの民間業者においても需要が高まっている資格です。
国家資格を持っていると、通関業や貿易に関する専門知識があることの証明となり企業へのアピールポイントとして活用することが出来ます。
また、通関士の国家資格を保持者は給与面なども優遇している求人も多くあります。
キャリアアップ次第で給与アップできる
資格保持者と無資格者を比べると、基本給に違いが出たり資格手当などで差がつくことがあります。
通関士の資格を取得すれば、キャリアアップの道も開けます。
会社によってはリーダーや管理職などに昇進するためには通関士の資格保持が必要なケースもあります。
役職が付けば、おのずと年収も上がりますので高収入が期待できます。
次に、デメリットは以下の通りです。
- 個人的な罰則等もあり、仕事の責任が重い
- 独立するのはなかなか難しい
- 場合によっては残業が多い可能性も有り
個人的な罰則などがあり仕事の責任が重い
通関士は、責任が重くミスが許されないのでプレッシャーのかかる仕事だと言えます。
通関業者は常に税関に監視される立場にあります。少しのミスが命取りとなり、業務停止命令や営業許可の取り消しなど重い処分が科せられるケースもあります。
場合によっては、通関士個人に口頭注意・資格停止命令・資格のはく奪などもあります。
独立するのはなかなか難しい
通関士として独立することも出来ますが、他の士業と違いって独立するメリットがあまりありません。
通関業務は、大手の通関会社に依頼することがほとんどなので個人事務所に依頼が来ることは少なく、仕事を取ること自体が難しいと言えます。
また、高額な関税を立て替える場合などがあり、ある程度まとまったお金がないと厳しいでしょう。
場合によっては残業が多い場合も有り
求人サイトで通関士を探してみると、残業時間が月10~20時間とあり、一般的なホワイト企業の残業時間内であると言えますが、中には30時間40時間の残業をしている通関士もいるようです。
残業時間が多くなる理由は、「人手不足で1人にかかる業務量が多い」、「繁忙期(年末年始・ゴールデンウィーク前後など)」、「通関業務以外の仕事を請け負っている」などが挙げられます。
小さい企業や通関士の数が少ない企業では、残業が多くなる傾向にあるようです。
求人を探す際には、仕事内容や通関士の人数なども確認しましょう。
通関士の求人は?海外の求人ってあるの?
「通関士」の求人は、複数の求人サイトで探すことが出来ます。
求人サイトの検索で勤務地を海外にして検索すると海外の求人も探し出せます。
通関士の求人が探せる求人サイトをいくつかまとめてみました。
リクナビ2024
リクナビ2024は、2024年卒業予定とする新卒者(大学院・大学・短大・専門・高専)および既卒者を対象とした就職活動準備サイトになります。
新卒向けということもあり、通関士の求人は少ない印象です。
しかし、新卒向けなのでインターンシップ・1Day仕事体験を通じて実際に企業の仕事体験ができるという利点があります。
求人数は少ないですが、新卒で通関士になりたいという方はぜひ一度検索してみると良いでしょう。
リクナビNEXT
リクナビNEXTは、リクナビが提供している第二新卒者・転職者向けの求人サイトです。
「人気のこだわり条件」などの機能や細かい条件を設定できます。また転職ガイドや転職のノウハウなどの情報もあるので初めて転職される方に最適です。
通関士として求人を探すと50件未満の検索結果となりますが、貿易関係で検索すると800件近い求人結果が出てきます。
商社やメーカー等の求人が多く、貿易事務・貿易営業の求人を見つけられます。
年収例が具体的に明記されているので、他の求人と比較しやすく、仕事の流れや内容もしっかりと明記されているのが特徴です。
未経験歓迎の求人が多数あるので、未経験の方や、これから通関士の資格を取りたい方、実務経験を積みたい方、通関士の資格を持っているけど商社やメーカーでの仕事を探しているという方におススメです。
求人ボックス
求人ボックスは、カカクコムが運営する全国の求人を一括検索できる求人サイトで、500万件以上の求人情報を分かりやすく集約しています。
新卒・正社員はもちろん、在宅ワークやフリーランスなど様々な雇用形態で検索でき、また掲載件数も多く近年人気上昇している求人サイトです。
全国の求人を掲載しているので、通関士で検索してみると1000件以上の求人を見つけることが出来ます。
非常に多くの通関士の求人を見ることが出来るので、通関士として働いてみたいけどどんな仕事があるのか気になる方などは求人ぼっくで一度検索してみると良いかもしれません。
求人内容も多岐に渡るので未経験者OKの求人から経験者優遇の求人など幅広く探すことが可能です。
また、正社員の求人の他にパート・アルバイト・派遣などの通関士の求人を見つけることが出来るので、正社員以外でお探しの方にもおススメできます。
通関士.con
通関士.comは、通関士、通関業者、輸出業者の情報交流や通関士の求人情報の掲載などを行っているサイトです。
通関士の求人情報はもちろん通関に関する相談やニュースなど様々な通関士の情報などの掲載があります。
また、サイト内に特設サイト「通関士キャリア転職(通キャリ)」もありますので、通関士の転職エージェントにご興味がある方はこちらも参考にされるとよいでしょう。
掲載されている求人は、年収300万円から600万円程度の企業が多く、中には800万円と高額の企業もあります。
求められる人材として、通関士資格の保持・実務経験有・語学力等が挙げられている求人多いので経験者向けの求人を探している方向けの求人サイトだと言えます。
転職エージェントサイトには他の求人も掲載されているようなので、エージェントサイトを利用して転職を考えている方におススメのサイトです。
エン・ミドル転職
エン・ミドル転職は、30代40代向けのミドル専用ハイクラスの転職サイトです。
ハイクラスの求人なので、マネージャー・責任者・部長相当など管理職の求人を見つけられます。
中には1000万円を超す求人も掲載されています。
通関士として実務経験があり、キャリアアップを目指す人におススメの求人サイトです。
通関士の求人で検索してみると、応募資格としては、貿易管理・輸出管理などの実務経験がある人が条件にあること、語学力があるかどうか、またチームリーダーの経験等が問われる求人もあります。
年収は400万円以上から700万円くらいが相場のようですが、中には1000万円から1200万円という求人も見つかりました。
年収が高い求人については管理職候補や特殊な資格が条件に出されており、応募条件は厳しくなっています。
管理職を目指している方や、条件に見合った経験や資格をお持ちの方におススメです。
通関士に関する質問のまとめ
通関士に関する質問まとめ |
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通関士によくある質問をまとめてみました。
通関士になるにはどうすればなれる?目指せる大学はあるの?
A.通関士になるには、国家資格に合格することが第一条件です。
通関士の国家資格に合格するための近道の一つに、大学・短大・専門学校に進学するという手があります。
通関士を目指せる学校を探したい方には、スタディサプリ進路をおススメします。
スタディサプリ進路は、大学・短期大学・専門学校の進学情報サイトです。
検索で気になるキーワードを入れて検索すると関連する学校を検索できます。
通関士で検索してみると「国際学部」・「経済学部」などの学部のある大学や短大、専門学校が見つかります。
特に国際系の学科では語学力や国際コミュニケーションなど通関士に必要な知識・技術が学べると言えるでしょう。
経済学部では、国際経済コースや貿易コースがあり貿易の基本知識を身に付けられます。
また、通関士を目指す学生の声なども載っているので、進路に迷っている方は参考にしてみてはいかがでしょうか。
通関士は稼げる職業なのか?収入はいくら?
A.通関士の平均年収は約588.4万円と言われています。
キャリアアップを目指す、転職して収入を上げるなど収入を増やす方法もあります。
ただし、独立して高収入を目指すのは難しいので地道な努力が必要です。
通関士の試験って難しいの?
A.通関士の国家資格の合格率は、10%~15%なので簡単とは言いきれません。
実務経験があれば科目免除があり、合格率はアップします。
大学や専門学校で通関士の資格の取得が可能な学校もあります。
もちろん、独学で頑張って合格する人もいます。
自分に合った方法を見つけて、チャレンジしてみるとよいでしょう。
通関士に必要な学歴はあるの?
A.通関士には学歴は必要ありません。
通関士の国家試験は学歴・年齢・国籍関係なく誰でも受験できます。
ただし、学歴によって給与の額に差が出ています。
より多くの収入を得たい方や総合職を目指している方は、大学・大学院を卒業する必要性があります。
通関士はどんな就職先があるの?
A.「通関業者」、「倉庫業者」、「運送会社」、「鉄道関係」、「メーカー」、「商社」などがあります。
通関士と言えば通関業者で働くことをイメージする方が多いかもしれません。
近年では、就職先も多岐に渡り通関士が活躍できる場所も増えています。
通関士って海外勤務はあるの?
A.通関士は海外でも働くことは可能です。
会社にもよりますが、海外勤務や海外出張があるようです。
海外で働いてみたい方は、求人検索で勤務地を海外に設定して探してみるとよいでしょう。
また、通関士として海外で働けるかどうかについては国の制度によって異なるようです。
まずは国内で資格を取って通関士として働いてから海外に目を向けてみてはいかがでしょうか。
通関士の収入はいったいどれくらいなのか?まとめ
通関士の平均年収は約588.4万円で、平均年収と比べると少しだけ高い水準でした。
年収は年齢を重ねることに徐々に上がり、転職やキャリアアップすることで更なる高収入も狙えます。
独立することはなかなか難しいですが、自分の努力次第では1000万円も実現可能です。
収入に男女差が少ないのが特徴で、女性のキャリアアップを目指せる職業だと言えます。
通関士は、これからも需要があり、更に活躍の場が広がっています。
通関士になりたい!国家試験にぜひとも合格したい!と思われる方は、通信講座や予備校を利用して効率よく学習してみてはいかがでしょうか。
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