貨物の輸出入の際に、税関に通すための諸手続きを担う通関士。
その仕事の特殊性から、通関業者だけでなく物流会社や商社でもスペシャリストとして専任の通関士を雇用する程です。
通関士試験は受験資格がなく、どなたでも資格を取得できます。
しかし、通関士は予備知識なしの状態はもちろん、実務を経験している方でも難易度が高いといわれる資格です。
実際に受験を検討している方は、下記の疑問が湧いてくるのではないでしょうか。
・通関士の勉強時間はどのくらいなの?
・独学での合格はできる?
・どのようなスケジュールで勉強したら良いの?
本記事では、通関士試験に合格するために必要な勉強時間や、スケジュールの立て方、各媒体でおすすめのツールを解説していきます。
また、通関士は独学での合格は無理なのか、できるのか?、合格できるとしたら3ヶ月や2ヶ月の短期間で可能か?といった疑問にも合わせてお答えします。
通関士試験は、通信講座や予備校を利用して学習するのもおすすめです。
詳しくはこちらの記事でも解説しているので、ぜひご参考になさってくださいね。
通関士試験について
通関士試験について |
・試験日
・受験料 ・試験科目・合格ライン ・免除科目 ・合格率 |
まず、通関士の試験についての概要を説明します。
試験日
例年、毎年10月の第一日曜日が試験の開催日です。
令和5年度(2023年)は10月1日(日)に実施されます。
受験料
受験料は1回3000円です。
コンビニエンスストアなどで上記金額を支払い、収入印紙を受け取ったうえで、受験願書に貼り付けます。
願書の請求や、郵送出願、科目免除申請を行う場合は、切手代などの諸費用がかかります。
試験科目・合格ライン
試験科目 | 合格ライン | 合計点 | 選択式 | 択一式 | 計算式 | 選択式・計算式 | 制限時間 |
通関業法 | 27点 | 45点 | 35点 (10問) |
10点 (10問) |
– | – | 50分 |
関税法 | 36点 | 60点 | 45点 (15問) |
15点 (15問) |
– | – | 1時間40分 |
通関実務 | 27点 | 45点 | 10点 (5問) |
5点 (5問) |
10点 (5問) |
20点 (2問) |
1時間40分 |
(引用元:税関HP 第57回通関士試験公告)
「関税法」「通関業法」「通関実務」の3つの科目を一日で受験します。
マークシート式となっており、記述式の問題はありません。
3科目のうち、関税法と通関業法は、選択式、択一式の2種類の形式で出題されます。
しかし、通関実務は上記形式に加え、計算式の問題が出題されます。
また、回答のために、輸出、および輸入申告書の読解が必要となる、より実践的な科目となっており、他の2科目に比べ難易度が高く設定されています。
各科目ごとに制限時間が設けられているため、限られた時間の中で、いかに点を落とさず立ち回れるかがポイントの一つです。
また、通関士の合格ラインは科目ごとに6割以上に設定されており、3科目全て合格ラインを越えれば合格となります。
その年の難易度によっては、合格ラインの基準が下がる場合がありますが、基本的には各科目6割を目標として設定すると良いでしょう。(税関のHPを参考)
免除科目
試験対象の3科目のうち、受験者が特定の要件を満たした場合は免除される科目があります。
・「通関業」、「通関実務」が免除
イ 通関業者の通関業務又は官庁における関税その他通関に関する事務(税関の事務及びその監督に係る事務をいう。以下同じ。)に従事した期間が通算して 15 年以上になるとき
(引用元:税関HP 第55回通関士試験受験案内)
・「通関実務」が免除
ロ 通関業者の通関業務又は官庁における通関事務(税関における貨物の通関事務(その監督に係る事務を含む。)をいう。以下同じ。)に従事した期間が通算して5年以上になるとき
(引用元:税関HP 第55回通関士試験受験案内)
しかし、従事業務のうち、下記に該当する場合は、一定年数従事している場合でも科目免除を受けることはできません。
なお、通関業者の通関業務及び官庁の関税に関する事務等の中には、特別の判断を必要としない機械的事務(例えば、自己の判断を要しない単なるパソコン等への入力事務及びタイプ事務、使送事務、貨物の内容点検業務等)は含まれないことになっています。
(引用元:税関HP 第55回通関士試験受験案内)
合格率
合格率(%) | 受験者(人) | 合格者(人) | |
令和5年度(第56回) | 24.2 | 6,332 | 1,534 |
令和4年度(第56回) | 15.8 | 6,336 | 1,212 |
令和3年度(第55回) | 15.8 | 6,535 | 1,097 |
令和2年度(第54回) | 16.9 | 6,218 | 1,140 |
令和元年度(第53回) | 13.7 | 6,388 | 878 |
平成30年度(第52回) | 14.6 | 6,745 | 905 |
平成29年度(第51回) | 21.3 | 6,961 | 1,392 |
(引用元:税関HP 第55回通関士試験の結果について)
直近5年の合格率を平均すると約16%で、年毎の難易度の変化によって合格率に差があります。
通関士合格のための勉強時間の目安は?
通関士の合格のための勉強時間の目安は、各通信講座のHPに以下のように掲載されています。
通信講座名 | 勉強時間 |
フォーサイト | 約400~500時間 |
ユーキャン | 最低400時間 |
いずれの通信講座の解説にも、400時間以上の時間を要するとの記述があります。
また、フォーサイトでは、合格に専門的な知識を要するために最大500時間の勉強を必要とする、と解説しています。
そのため、予備知識のない初学者は、500時間もの学習時間が必要となる可能性を考慮に入れる必要があるでしょう。
また、本業やプライベートの都合で、想定通りの時間が取れない場合もあり、短い期間での合格を狙おうとするとイレギュラーに対応することが難しくなります。
そのため、試験日の6ヶ月前から始める等、余裕をもったスケジュールを立てて行動する必要があります。
通関士の独学勉強での合格は可能か?
ユーキャンのHPには、以下の記述があります。
通関士の試験は、各科目・項目で満点の60%以上の点数を獲得することで合格できるといわれています。法律の知識がある人や物流・貿易関連の仕事で実務経験がある人なら、独学での合格も可能でしょう。しかし、未経験者には理解が難しい法律についての知識も必要です。そのため、独学での合格難易度は高くなってしまいます。
(引用:ユーキャン公式HP)
通関士に独学で合格することは可能ですが、その難易度は本人の知識量、経験値に応じて変化する、とのことです。
通関士の合格のためには、貿易、及び法令の知識が欠かせないため、これらの知識に長けた業務経験者であれば、独学での勉強もしやすくなります。
逆に、何もかも未経験の初学者にとっては専門的かつ膨大な知識を1から取得しなければならず、かつ頼る人がいない状態で学習することになります。
よって、予備知識や業務経験を持つ方は独学合格の可能性がありますが、初学者にとってはハードルが上がります。
しかし、効率的な学習方法を模索し、時間の使い方に長けた人であれば初学者でも合格は狙えます。
そのためには、学習期間内に合格点を取るために必要な知識を取得することに加え、問題演習の機会を増やして本番の解答方法に慣れていく必要があります。
もしも、勉強の途中で独学は難しいと感じた場合は、通信教育等、他者からのサポートを得る勉強方法へ切り替える事を検討するべきです。
通関士の独学に向いている人
通関士の独学に向いている人の特徴は以下の通りです。
・実務に携わっている
・時間管理ができる
・時間管理ができる
・モチベーションを維持できる
・自分の力で疑問を解消する
以下、個別に解説します。
実務に携わっている
通関業務に携わっている人は試験内容に関する予備知識を持つため、独学で勉強がしやすいです。
先ほどユーキャンHPの引用でお伝えした通り、物流・貿易関連の仕事で実務経験がある人や法律の知識がある人は、独学合格は可能と言われています。
例えば、通関手続きの過程で行う輸出入の申告業務や、関税額を決定するための法令知識は、通関実務の試験範囲となります。
独学で勉強しても実務と結びつけることで理解がしやすく、勉強スピードも上がります。
また、通関業務に5年以上携わっていれば、試験科目が免除されるため、本試験のシステムの面からもメリットが受けられます。
時間管理ができる
実務の経験や予備知識がなくても、自分一人で勉強スケジュールを立てて、その通りに行動ができる人は、独学での勉強に向いています。
独学は読んで字のごとく監督者がいない状況。
自身の状況を客観的に見る人がいないため、どの程度の時間を費やせばわからずに無茶をして体を壊したり、逆にだらけることで時間を浪費してしまう場合があります。
そのため、勉強の過程で常に自己管理を行い、進捗状況に伴うスケジュールの変化に対して柔軟に対応する力が求められます。
モチベーションを維持できる
自身の置かれた状況の中で、モチベーションを維持し続けられる人は、独学でも弛むことなく勉強に励めます。
プレイべートや本業の仕事の状況によって勉強の時間が取れなかったり、勉強内容が理解できず立ち止まってしまうことは、モチベーションの下降につながります。
常にモチベーションを高く持ち続けることは難しいですが、モチベーションを一定の水準で維持するために、時にはリラックスする等のコントロールが求められます。
自分の力で疑問を解消する
勉強を行う過程で疑問を持っても、自分の力で解決できる人は、独学での勉強に向いています。
独学では、先導してくれる講師は存在しないため、テキストを読んで疑問を持っても、即座に質問できる環境はありません。
ここでもたついてしまうと、別の取り組みに割く時間が減ってしまうため、すぐにでも解決する必要があります。
疑問点は全て自分で調査し、短時間で解決できる力を持つことで、独学での合格に一歩近づきます。
通関士の独学での勉強スケジュールの立て方
通関士の独学での勉強スケジュールを立てる際の考え方として、下記の点について解説します。
・試験勉強に取り組み始める時期
・各試験科目の勉強方法
上記を踏まえて、勉強スケジュールの例を紹介しますので、参考にしてみてください。
試験勉強に取り組み始める時期
通関士の勉強は、遅くとも6ヶ月前から取り組み始めることが理想的です。
通関士の一般的な勉強時間である400時間は、毎日2時間ずつの勉強を行うことで約6か月で確保できます。
しかし、先ほど述べた通り、一般的な勉強時間はあくまで目安となり、予備知識や得手不得手のよって合格に必要な時間数は変化します。
テキストや問題集をめくって、短期間での合格に不安を持つようなボリュームだと感じた場合は、前倒しで8~10ヶ月前から勉強を開始しましょう。
各試験科目の勉強方法
フォーサイトによる解説では、学習時間の比率は通関業法:関税法:通関実務 = 2:2:6 が推奨されています。
なぜなら、通関業法と関税法は暗記による学習であることに対して、通関実務は前2科目の知識に加えて、計算問題や申告書読解への対策に時間をかける必要があるからです。
上記の比率を目安として、勉強時間を割り当てるようにしましょう。
通関業法・関税法
どちらも知識問題がメインとなっており、継続した学習で暗記を行うことが有効です。
始めはテキストを読み進め、最後まで読み終わったり、ある程度の知識が身についたと感じたら、問題演習に移ります。
演習で躓いた個所は、再びテキストを読み返し、知識を定着させます。
テキストの内容理解と問題演習を継続して行うことで、確実に合格点を取りに行きましょう。
通関実務
通関実務の勉強は、早い段階から問題演習を始めましょう。
先に述べたように、通関実務は申告書の読解や計算式の問題があり、単に知識を集めただけでは問題を解くことはできません。
また、他の科目に比べて、問題の数が少ないため、数問間違えただけで得点率に大きな影響を及ぼします。
そのため、テキストの読み込みと並行して、問題演習に取り組み始めることで、慣れておくことを推奨します。
独学での勉強スケジュール例
ここでは、勉強期間6ヶ月を想定したスケジュールの例を解説します。
最初の3ヶ月はテキストを繰り返し読み込み「通関業法」「関税法」の知識を一通りインプットします。
テキストの読み込みから1ヶ月後を経過した段階で「通関実務」の演習に取り組みはじめましょう。
残りの3ヶ月は問題演習「通関業法」「関税法」の問題演習を開始していき、試験直前は弱点分野の克服に重点的に取り組みます。
通関士の独学で3ヶ月で合格する方法
独学で3ヶ月で合格することは、実際にその期間内で合格している方もいるので、決して不可能ではありません。
「通関士試験には効率の良い勉強法で短期間の合格も!」というブログでは、なんと2ヶ月で合格したという方が記事を執筆しています。
しかし、ブログや通信講座の合格体験談では、6ヶ月の勉強の末に合格できた、という話が多い一方、3ヶ月以内で合格した方の情報は数える程です。
3ヶ月での合格を目指すのであれば、以下を意識したうえで勉強に臨みましょう。
・1日になるべく5時間は勉強する。(3ヶ月で450時間)
・テキストを読み込むより、問題演習に力を入れる。
・網羅的に学習するより、確実に合格点を取るための勉強に取り組む。
まず、合格のために必要な学習時間を確保する必要があるため、1日に5時間は勉強に当てる時間を取りましょう。
休日を丸々利用できるのであれば、平日の勉強時間を休日に当てても構いません。
しかし、必要な勉強時間はあくまで理想です。
3ヶ月という短期間の中では、仕事やプライベートの予定変更に対応することで、勉強時間がとりづらい状況に見舞われることがあります。
そのため、知識の取得から問題演習による実践への移行を早めるか、並行して取り組む必要があります。
問題演習の量を増やして試験に慣れることは、勉強の期間が長くとも短くとも怠れません。
特に、通関実務は、計算問題や申告書の読解に慣れる必要があるため、解答のコツを早い段階から頭に馴染ませておくことが合格の近道です。
また、時間が取れなくなると、試験範囲を網羅的に理解することが難しくなるため、過去問等から頻出問題の傾向を掴み、重点的に対策を行う事で、合格点を取りに行くという方法があります。
短期間の勉強に詰まってしまった場合は、先述したようにブログや合格体験談で生の声を聞くことで、勉強方法を参考にできるかもしれません。
尚、後述する通信講座は、問題の傾向に合わせて効率的に学習を行うためのサポートを展開しているため、期間が足りないけどどうしても合格したい!といった方は利用してみると良いでしょう。
通関士の独学勉強の参考になるおすすめブログ3選
通関士の独学勉強の参考になるおすすめブログ3選 |
・通関士試験一発合格!社会人短期独学勉強の基礎知識
・なくたぬきの日々 ・通関士試験みこ |
Googleで検索すると、通関士に合格した方が開設したブログがいくつもヒットします。
内容は自身の合格体験をもとにした勉強方法や、基礎用語の解説記事が多く、通関士の勉強を本格的に始める方は参考にするべきです。
しかし、ブログは合格のための学習を全てカバーできるわけではありません。
合格するために必須である問題演習は、後述する「みこ会」を除き、ブログでの解説記事が少ないため、別途書籍や講座テキストなどの媒体で経験を積みましょう。
もし、Google検索でヒットした問題解説記事を閲覧する際は、必ず、現在の法令に合わせた解説かどうか確認の上、利用してください。
あくまでも、通関士の勉強を始めるにあたって必要な考え方を身に着けるために、ブログを活用することを推奨します。
以下に、おすすめのブログを3点まとめました。
通関士試験一発合格!社会人短期独学勉強の基礎知識
・著者は仕事との両立で、通関士に6ヶ月の勉強時間で合格した経験持ち。
・通関士試験で頻出するワードを、著者の目線から解説。
・勉強中の心構え、休日のリラックス方法など、他の資格試験に応用できる記事も。
著者は6ヶ月の勉強時間で通関士に合格しており、これから通関士の勉強を始める人に向けた入門記事が多くなっています。
法令や貿易に関するワードを、独自の目線から解説しているため、初学者の方の理解の助けとなるでしょう。
テキストを読み進めるにあたり理解に不安がある場合は、このブログの記事を読み返してみてください。
また、全ての資格試験に応用できる雑学記事も上げているため、勉強中のコーヒーブレイクにも利用できます。
なくたぬきの日々
・元通関士による通関士の独学勉強法を、複数記事で掲載。
・中には緻密に立てた勉強計画を公開している記事もあり、読者のスケジュール組み立ての具体的な参考になる。
・通関士のリアルな業務内容など、試験勉強だけでなくこれから通関業務に従事する人に向けたメッセージも。
2016年度の通関士試験で合格した方の雑記ブログです。
通関士の独学での取り組み方を経験を交えて、複数の記事に分けて掲載しています。
また、著者は通関業務に携わっていたため、リアリティのある発言が多く、試験勉強だけでなく実際の業務に対するイメージを想像しやすい点も特徴です。
通関士試験みこ
・有料(21,800円(税込み))でテキスト配布、勉強方法や問題解説記事の閲覧が可能。
・会員の合格体験を元に、サポートを展開。
・過去問アプリ(一問一答)の配信。
・定期的に出版社や通信講座とのタイアップが行われ、書籍やサービスのレビューを行った方へ書籍配布、サービス割引も(数量限定)。
通関士試験の受験者の間で必ず話題に上がるといっても良いのが「通関士試験みこ」です。
試験概要や、本ブログに集まった受験者の合格体験記など、勉強を始める際に読むべき記事が読めますが、これだけではありません。
「みこ会」という有料(今年度は21,800円(税込み))で、各受験者への個別サポートを行うサービスを展開しています。
テキストや通信教育と異なる点は、情報は過去の受験者の体験を集約したサポートを行うことです。
運営者である「みこ」さんが作成したテキストや、受験者の合格体験をもとにした具体的な試験対策用記事を発信しています。
通関士の独学での合格におすすめのテキスト・問題集3選
この記事では翔泳社「ヒューマンアカデミー」から出版されている3冊をおすすめ書籍として解説します。
上記出版社から発売されているテキストと問題集は以下の特徴があるため、3冊とも揃えて学習することをおすすめします。
・テキストと過去問題集は章構成が同様で、内容を行き来しやすい。
・特に学習時間が必要な通関実務の対策を集中的に行える。
・3冊を合わせることで、通関士試験に必要な知識の取得と、実践の機会を得られる。
また、テキスト、問題集は、いずれも必ず新版を購入するようにしてください。
なぜなら、法改正によって、類似の問題でも年によって解答が変化するためです。
2021年より前のバージョンのテキストを利用すると、最新の法令に対応できず、実際に問題を解く際に誤って覚えていたことが発覚する場合があります。
書籍のみで勉強を行う場合は、中古で購入することは避け、新版を購入しましょう。
通関士教科書 通関士 完全攻略ガイド 2024年版
・豊富なイラストと図表、頻出ワードの解説も。
・問題演習の際に不明点が発生した場合に辞書としての役割が持てる。
・「通関士教科書 通関士 過去問題集」と併用で学習しやすい仕組み。
・刊行後に法改正が発生した場合、HPから情報をダウンロードでき、変化にも柔軟。
通関士の勉強を行う上で代表的なテキストで、通関士の試験に欠かせない、全ての内容が網羅的に掲載されています。
880ページもの分厚さはその象徴。
後述する、「通関士教科書 通関士 過去問題集」と章構成が同じとなっているため、テキストでの学習と問題演習を併用して勉強をしやすくなっています。
当然、最新版刊行時点の法令にも対応しており、刊行後に法改正が発生した場合は、Webサイトから情報を閲覧できます。
通関士教科書 「通関実務」集中対策問題集
・「通関実務」科目に特化し、申告書作成、計算問題、分類問題と章立てて解説。
・著者作成のオリジナル問題。
・通関実務の勉強のための、問題演習の量を増やすことが可能。
通関士の試験のうち通関実務の科目に絞って対策を行うための問題集です。
こちらは過去問題集ではなく、著者が作成したオリジナル問題で、通関実務の解き方を学習していくものとなります。
通関実務は他の科目より早く、時間をかけて取り組むべき科目のため、専門的な問題集でいち早く触れて、問題に対する抵抗をなくすようにしましょう。
通関士教科書 通関士 過去問題集
・通関士試験の過去問から重要知識に関連する問題を厳選。
・過去問は最新の法令に合わせて修正。
・「通関士教科書 通関士 完全攻略ガイド」との併用で学習のしやすい仕組み。
・章末に学習の総仕上げの目的で、前年度の過去問が付属。
先に述べた通り、「通関士教科書 通関士 完全攻略ガイド」と章構成が同様のため、こちらはテキスト読み込み後の実践用に利用できます。
第1回~54回まで試験のうち、重要知識に関連する問題を章ごとに厳選しているため、合格点を目指すうえで欠かせない問題集です。
特に、過去の出題問題は現在の法令に合わせて修正されており、ただ単に過去問を解くだけでは得られない、最新の情報に則って学べます。
通関士合格のための通信講座の利用
通信講座は料金は独学での勉強よりも費用が高価になりますが、合格するにあたって必要な行動が詰まった学習機会を得られます。
通関士の勉強をより効率よく行いたい、行き詰まりを感じる等、自己学習に限界を感じたら利用するべきサービスです。
ここでは、代表的な通信講座を紹介します。
フォーサイト
・52,800円(税込み)(講義DVD付58,800円(税込み))
・「合格点主義」を掲げたサービスの展開。
・eラーニング 「ManaBun」で、外出先でもスマートフォンから問題演習、動画視聴、テキスト閲覧可能。
・メール質問(10件まで)、個別カウンセリングあり。
・2023年度の合格率は68.9%と、通関士全体の合格率と比較すると高い水準。
「合格点主義」を掲げた通信講座で、最短3ヶ月前からでも合格を目指せるカリキュラムが特徴。
学習方法はテキストと、連動する講義動画の視聴がメインですが、確実に合格点を取るための情報が全編カラー&イラスト付きでまとめられています。
また、eラーニング「ManaBun」を活用することで、PCやスマートフォンから問題演習のほかテキストや講義動画の閲覧ができ、外出先のスキマ時間にも学習可能です。
2023年度の合格率は68.9%となっており、全体の合格率24.2%よりも高い水準で合格者を輩出していることが分かります。
ユーキャン
・59,000円(税込み)
・メール質問は1日3回、添削課題サービスの展開により、受講者に密接に寄り添うサポート。
・6ヶ月での合格を目指す勉強スケジュールの提案。
・受講開始から直近の試験日まで6ヶ月に満たない場合は、翌年の試験までのサポート延長可能。(添削、質問などの指導サービス)
資格学習大手であるユーキャンも通関士講座を開校しています。
6ヶ月間の勉強で合格を目指すカリキュラムを組み、テキストや講義による学習を主としています。
ユーキャンの通信講座の最大の特徴は、受講者に寄り添ったサポートを展開している点です。
勉強内容に関するメールでの質問は1日3回までですが、上限はありません。
また、添削課題(全7回)による講師からのフィードバックにより、受講者に合わせた学習方法を提案してくれます。
講師との二人三脚で合格まで歩みたい方には、ユーキャンの通信講座をおすすめします。
通関士の勉強に関するよくある質問
通関士の勉強に取り組むにあたって、よく疑問に上がる点について回答します。
通関士の勉強に関するよくある質問 |
・通関士は独学の場合は3ヶ月の勉強で合格は無理でしょうか? ・通関士は大学生も独学合格は可能ですか? ・通関士は社会人でも独学合格は可能ですか? ・通関士の独学で買っておくべきテキストはありますか? ・通関士の独学に利用できるブログはありますか? ・通関士の勉強にアプリは使えますか? |
通関士は独学の場合は3ヶ月の勉強で合格は無理でしょうか?
実際に通関士の独学で3ヶ月で合格した人がいるため、無理ではありません。(中には2ヶ月での合格者も)
通関士の一般的な勉強時間は400時間程度のため、3ヶ月の期間から逆算して1日4~5時間程度の勉強を行うべきしょう。
その際は問題演習中心で取り組み、確実に合格点を取るための勉強に当てる必要があります。
尚、どうしても3ヶ月以内で合格したい場合は、通信講座を利用して効率的なカリキュラムで勉強に取り組みましょう。
通関士は大学生も独学合格は可能ですか?
実務経験のない大学生は、長めの期間を取り、勉強時間を確保することで十分合格を狙えます。
大学生の資格試験合格は、学業、アルバイト、サークル等忙しい中で時間を捻出できるかにかかっています。
時にはイレギュラーな予定で勉強時間を捻出できない場合があるため、余裕を持ったスケジュールで臨みましょう。
通関士は社会人でも独学合格は可能ですか?
通関士は社会人でも独学による合格は可能です。
通関士は30代の方の受験者が多く、正社員やパート等で何かしらの職業に就いています。(フォーサイト 調べ)
しかし、本業の忙しさで余裕がないからか、中には3、4回の受験でようやく受かった人も散見されます。
勉強時間が足りずに不合格となる場合は、通信講座等を受講する事も視野に入れておきましょう。
通関士の独学で買っておくべきテキストはありますか?
テキストで学習する場合は、「通関士教科書 通関士 完全攻略ガイド 2024年版」がおすすめです。
通関士の試験に欠かせない知識が網羅的に掲載されており、図や表で理解のしやすい内容にまとまっています。
各章末には知識定着の確認目的である演習問題がいくつか用意されていますが、合格のためにはより多くの演習問題を経験し、実践を積む必要があります。
そのため、本書と一緒に「通関士教科書 通関士 過去問題集 2024年版」を購入することで、知識のアウトプットの機会も増やしましょう。
通関士の独学に利用できるブログはありますか?
通関士の勉強に特化したブログは存在しますが、ブログだけで合格を目指すことは得策ではありません。
通関士の合格のためには問題演習を解くといった実践的な経験を積みあげる必要があります。
あくまで、これから本格的に学習する際の導入として、基礎用語などの理解の手助けのためにブログを利用することを推奨します。
尚、従来のブログとは異なりますが、「通関士試験みこ」の「みこ会」に登録(有料)することで、問題解説記事の閲覧のほか、勉強方法の相談といったサポートを受けることが可能です。
通関士の勉強にアプリは使えますか?
通関士の勉強用アプリはAppStore、Google Playにてリリースされていますが、法改正に対応していません。
通関士試験の範囲である法令は、毎年のように細かな改正が入り、アプリに収録された問題の解答が誤りとなる可能性があります。
どうしてもアプリを利用したい場合は、「通関士試験みこ」の「みこ会」にて、過去問アプリ(法改正にも対応)が配信されていますので、そちらを利用ください。
尚、「みこ会」では、アプリだけでなく、通関士の問題解説、勉強方法の相談等、様々なサポートを受けられます。
まとめ
この記事では、通関士の合格に必要な勉強時間、スケジュールの組み方、勉強方法について解説しました。
・一般的な勉強時間は400~450時間。
・「通関実務」の演習に多くの時間をかけること。
・6ヶ月以上の長めのスパンでスケジュールを練り、適切な学習を心がければ合格を狙える。
・短期間での合格、効率的な点数稼ぎを目指すのであれば、通信講座の利用を視野に入れること。
実務経験がある方が有利ですが、初学者でもスケジュールを緻密に組み、なるべく余裕のある期間で学習を行えば合格を目指せます。
本記事が通関士の合格の一助となれば幸いです。
通関士のおすすめの通信講座、予備校については、こちらの記事でも紹介しているので、是非参考にしてみてください。
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・通関士の通信講座と予備校のおすすめランキング・主要7社を徹底比較
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