通関士の仕事はなくなる?後悔しないポイントやきつい仕事という噂についても調査

通関士とは、国境を超えてモノのやり取りをする際に税関への申告や審査を受ける手続きを代行する仕事です。

国際的に物流が増えている中、通関士はとても重要な仕事ですが、「通関士は将来的に仕事がなくなるのでは?」と危惧されていることをご存知でしょうか?

確かに、書類の正確性が求められる通関士の仕事はAIに置き換えることも可能です。

しかし通関士は人手不足になっているのが現実ですし、全ての仕事がAIに置き換わるとは限りません。

むしろ、今後グローバル化がさらに進んでいく中で活躍の場は増えていくでしょう。

通関士の仕事がなくなるといわれる理由や、仕事に困らない通関士になるためのポイントなどについて詳しく解説していきます。

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目次

通関士の仕事の現状

通関士の仕事とは、国境を超えてモノのやり取りをする際に通関を通る時の申請作業の代行をすることです。

企業がグローバル化していく中で、通関士はむしろ人手不足だといわれています。

需要が高まる中でも、通関士の数は増えていないため、通関士はとても貴重で大切な仕事だといえるでしょう。

通関士の仕事の現状や、どの程度人手不足になっているのかについて詳しく解説していきます。

通関士の仕事

国境を超えてモノのやり取りをする際には、通関を通らなければなりません。

しかし通関を通る際には、輸出申告書、輸入申告書、仕入書などの様々な書類の提出が必要で、それらの申請書類の作成や申告の手続きはとても面倒です。

そこで、通関士は次のような仕事を行い、モノの輸出入を円滑にします。

  • 通関書類の作成の代行
  • 通関手続きの代行
  • 申請が許可されなかった場合の不服申し立ての代行
  • 取引する商品の合法性の審査
  • 関税や消費税が発生するものかどうかの審査

通関を通る際に必要な書類の作成や申請だけでなく、取引する商品が違法なものでないか、関税や消費税が発生するものかどうか1つ1つ審査をするのも通関士の仕事です。

また、申告官署の自由化や輸出入申告の24時間化などによって、通関へ申請する機会は以前よりも増えており、通関士の需要は高まっているといえるでしょう。

通関士は人手不足

通関士は現在人手不足といわれています。

通関業法という法律では、貿易業務を行う業者の営業所には最低1名以上の専任の通関士を置かなければならないと定められています。

通関業者は、通関業務を適正に行うため、その通関業務を行う営業所ごとに、政令で定めるところにより、通関士を置かなければならない。

(引用元:通関業法第13条)

企業のグローバル化が進む中、貿易の案件数と貿易業務を行う業者は増えています。

東京通関業界通関士部会によると、通関への申告件数はこの20年で輸出は2倍、輸入は3倍程度増えています

2019年の申告件数は輸出1,985万件、輸入4,640万件でした。2000年の輸出入申告件数は 輸出1,067万件、輸入1,214万件なのでいずれも増えています。

(引用元:東京通関業界通関士部会|通関士の仕事)

それに対して、通関士の数は増えていません。

通関士数
2019年 8,216人
2020年 8,320人
2021年 8,342人
2022年 8,407人
2023年 8,491人

(引用元:税関|通関士の現況(カスタムスアンサー))

つまり、通関士の需要が高くなっているのに対して、それを担う通関士の数は増えていないので、通関士は人手不足だといえます

需要に供給が追いついていないので通関士は足りていません。そのため、通関士の仕事がなくなるという意見がありますが、通関士の仕事はむしろ以前よりも忙しいのが実情です。

通関士の仕事や求人がなくなると言われる理由

通関士は人手不足となっているのにも関わらず「通関士の仕事がなくなる」と言われることが少なくありません。

通関士の仕事がなくなると言われる理由は、主に次の2つです。

通関士の仕事がなくなると言われる理由
  • AIを導入する企業が増えている
  • キャッシュレス納付と書類の簡素化

    AIを導入する企業が増えており、面倒な書類の作成はAIに置き換えられるという点と、キャッシュレスの発展と普及によって、関税の現金納付による煩雑さがなくなりつつあるという理由から「通関士の仕事は将来的になくなるのでは?」といわれています。

    なぜAIやキャッシュレスが通関士の仕事に置き換わるのか詳しく解説していきましょう。

    AIを導入する企業が増えているため

    通関書類の作成はコンピューターによって簡単に行えるようになりつつあります。

    例えばNECは「通関デジタルソリューション」という、AI-OCRを用いて帳票のデジタル化を容易にすると共に、そのデータを用いて関税計算および申告書作成までを支援するソリューションを提供しています。

    通関デジタル化ソリューション

    (引用元:NEC|通関デジタル化ソリューション)

    今後通関士の仕事は次のように変化していく可能性があります。

    1. 貿易書類スキャン
    2. 課税価格の計算や申告書の作成をAIが行う
    3. 出来上がった書類を通関士が最終的なチェックをする

    確かに書類の作成などはAIによって簡素化できる可能性があるのの、関税の決定はマニュアル通りに決められるイレギュラーな対応が求められる場面も多く、輸入者に対して別途詳細の問合せが必要になる場面もあります。

    そのためAIが普及したからといって、必ずしも通関士の仕事が全てなくなるわけではありません。

    キャッシュレス納付と申告書類の簡素化

    キャッシュレスの普及も通関士の仕事をなくす原因となるのではないともいわれています。

    これまでは、入国者の携帯品等に関する課税は現金納付までとされていました。

    しかし、令和3年度関税法等改正によって、入国者の携帯品等に係る関税などのキャッシュレス納付が可能になりました。

    また、同法改正によって「税関関係書類における押印義務の見直し」も行われました。

    これまでは通関書類には通関士の記名と押印が義務付けられていましたが、現在は押印までは必要ありません。

    今般、デジタル社会の形成を図るための関係法律の整備に係る法律が可決・成立し、同法第29条に基づき、本年9月1日より通関業法における押印に係る規定が廃止されること等を受け、次の各様式について押印等を廃止することとしました

    (引用元:税関:税関手続に係る押印等の廃止等について)

    このように、納税方法や申告書類の作成がどんどん簡素化していく点も「通関士の仕事は今後なくなるのでは?」といわれる理由の1つです。

    通関士の仕事に将来性がある4つの理由

     

    確かにAIとキャッシュレスの登場によって通関士の仕事は奪われる可能性があります。

    しかし通関士は次の4つの理由によってまだまだ将来性のある仕事だといえるでしょう。

    通関士に将来性がある理由
    • 輸出入件数の増加
    • 申告官署の自由化
    • 輸出入申告の24時間化
    • 資格の難易度が高く担い手不足

    物流のグローバル化によって輸出入件数自体は非常に増えているので、通関士の仕事は増えています。

    また、申告官署の自由化、輸出入申告の24時間化で通関士が活躍する場所は時間はむしろ多くなるでしょう。

    さらに資格の難易度が高いので通関士の人手不足は続くでしょう。

    通関士の仕事が今後もなくならないといえる4つの理由について詳しく解説していきます。

    輸出入件数の増加

    企業のグローバル化が進んでいく中で、輸出入の件数は増加しています。

    輸出(千円) 輸入(千円)
    1990年 41,456,939,674 33,855,207,638
    2000年 51,654,197,760 40,938,422,968
    2010年 67,399,626,696 60,764,956,840
    2020年 68,399,121,047 68,010,831,589
    2021年 83,091,420,293 84,875,044,591
    2022年 98,173,612,089 118,503,152,779

    (引用元:財務省貿易統計|財務省貿易統計 年別輸出入総額(確定値))

    約30年前の1990年から2022年までで、輸出は倍以上、輸入は3倍近くに増加しています。輸出入の件数が増加すれば、それだけ通関への申告も必要です。

    いかに通関書類の申請が簡素化され、通関書類の作成がAI化されたとしても、への申請件数が増えていけば、それだけ通関士の仕事も多くなります

    今後、グローバル化はますます進んでいくでしょう。

    そのため、通関士の仕事はむしろ多くなることが予想されます。

    申告官署の自由化

    2006年から申告官署の自由化がはじまったことも、通関士の仕事を忙しくされている理由の1つです。

    これまでは貨物を保管する場所を管轄している通関へ申告しなければなりませんでした。

    しかし、申告官署が自由化されたことによって、税関長が貨物のセキュリティ管理と法制遵守体制が整っていると承認・認定した事業者(AEO事業者)に限っては、どの通関でも申告が可能になりました。

    輸出入申告官署の自由化の実施により、
    ・ 特定輸出者(AEO輸出者)、特定委託輸出者(輸出通関手続をAEO通関業者に委託した者)、特定製造貨物輸出者(AEO製造者が製造する貨物を輸出する者)が行う輸出通関手続、
    ・ 特例輸入者(AEO輸入者)、特例委託輸入者(輸入通関手続をAEO通関業者に委託した者)が行う輸入通関手続
    について、輸出通関手続又は輸入通関手続に係る貨物が置かれている場所に関わらず、いずれかの税関官署の長に対して行うことが可能となります。

    (引用元:財務省関税局・税関|輸出入申告官署の自由化の実施等に伴う実務上の事項について)

    営業所が多数あるAEO事業者にとっては、それぞれの最寄りの通関で申告できるようになったということですので、その数だけ通関士も必要になり、通関士の需要も自由化以前より高まっています。

    輸出入申告の24時間化

    2014年から輸出入申告は24時間化がスタートしました。

    通関業者は24時間いつでも申告できるようになり、これまでは17時30分の税関閉庁までしか申告できなかったものが、申告時間に囚われることなく申告できるようになっています

    従来、税関の開庁時間外に輸出入申告を行おうとする場合には、
    開庁時間内に「開庁時間外の事務の執行の求めの届出」を行う必要がありましたが、
    夜間や休日などの税関の開庁時間外にNACCS(輸出入、港湾関連情報処理システム)を
    通じて行われた輸出入申告について審査区分が通知され、
    「区分1」(簡易審査扱い)となったものは開庁時間外でも
    許可となる取り扱いが可能となるというものです。

    (引用元:通関士講座の講師ブログ|輸出入申告の24時間化。「翌日の業務」の効率化が可能に)

    これによって急ぎの案件は深夜や早朝などに申告するケースも考えられます。

    そして、この申告も通関士が行わなければなりません。

    今後は通関士を3交代制などで24時間雇用する企業が登場することも考えられるので、その場合はさらに通関士の人手不足が深刻化するでしょう。

    資格の難易度が高く担い手不足

    通関士の資格試験の難易度が高いという点も通関士に将来性があるといわれる理由です。

    今後は、企業のグローバル化、申告官署の自由化、申告の24時間化などを原因として通関士の仕事は増えていきます。

    しかし、通関士試験の合格率はずっと10%前後を推移して変わっていません。

    合格率
    2010年 9.8%
    2011年 9.9%
    2012年 8.6%
    2013年 11.7%
    2014年 13.2%
    2015年 10.1%
    2016年 9.8%
    2017年 21.3%
    2018年 14.6%
    2019年 13.7%
    2020年 16.9%
    2021年 15.8%
    2022年 19.1%
    2023年 24.2%

    (引用元:税関|通関士試験受験者数及び合格率等の推移(第1回~第57回))

    年によって変動があるものの、全体的に見れば合格率にそれほど大きな変化はりません。

    需要が拡大しているにも関わらず、通関士の供給は増えていない状態です。

    そのため、通関士の人手不足は今後さらに拡大していくと見られ、通関士は今後も将来性のある仕事だといわれています。

    通関士が活躍できる場所

    通関士が活躍できる場所は、企業がグローバル化していく中でどんどん広がっています。

    • 倉庫業、商社、メーカーなどの貿易業界
    • 企業の海外支社
    • 貿易実務のコンサルタントとして独立
    • 国際的にネット販売をする業者

    倉庫業や商社やメーカーなど従来から貿易を取り扱っている業者はもちろん、企業が海外へ支社を構えればそこには通関士の需要が生まれます。

    さらに、貿易実務のコンサルとして独立する方法もあるでしょう。

    また、最近では国際的にネット販売をする業者も増えているので、ネット企業も通関士の活躍の場所となっています。

    倉庫業、商社、メーカーなどの貿易業界

    倉庫業、商社、メーカーなどの貿易業界では、通関士が必要です。

    倉庫業や運送業者などの輸出入の代行を行う業者では、申請などの手続きのために絶対的に通関士が必要になります。通関士として最もオーソドックスな勤務先だといえるでしょう。

    また、商社の多くも国際的な取引を行なっているので、通関への申請が必要になります。貿易量が多くなればなるほど通関士の数も必要ですので、グローバル化が進んでいく中、商社の求人も増えていくでしょう。

    メーカーも自社製品を輸出したり、部品や材料を輸入します。この際にわざわざ代行業者を使うと高コストになるので、大きな業者は自社で直接輸出入を行います。このようなメーカーでは通関士が必要です。

    通関業者などの中間業者がなくなり、メーカーや販売店が直接海外と取引するようになれば、それだけ通関士の仕事も増えていくことでしょう。

    企業の海外支社

    海外に支社を持つ企業でも通関士は必要です。

    海外現地での買付や日本からの商品の受け入れなど、現地に支社を持っている企業も貿易の専門家である通関士の資格を持った人を欲しています。

    業種に関わらず、国境を超えてモノを海外とやりとりしている企業であれば、通関士の資格を持っていれば現地支社へ就職できる可能性があります。

    実際に海外支社の通関士募集の求人は多々あるので、「海外で働きたい」という方に通関士はおすすめの資格です。

    貿易実務のコンサルタントとして独立

    通関士の資格と知識を活かして、貿易実務のコンサルタントとして独立する方法もあります。

    大手企業に対して個人がコンサルティングをすることは難しいですが、最近は小規模事業者に対して貿易実務をコンサルティングする需要が増えています。

    最近ではネット販売の普及によって中小企業や個人事業主も輸出入によって事業を展開しているためです。

    通関士としての資格を活かして、このような小規模事業者にコンサルティングや通関申請の代行業務を請け負えるでしょう。

    独立して成功すれば、会社勤務時よりも収入は何倍にも増えるので、通関士として収入アップを目指すのであれば、独立開業も有力な選択肢です。

    国際的にネット販売をする業者

    最近は国際的にネット販売をしている業者も、独自に輸出入を行なっているケースがあります。

    このようなネット販売をしているIT企業にも通関士の求人があります。

    ネット販売は今後もさらに拡大していくことが予想されています。

    中国を中心に越境ECの世界の市場規模は急激に成長すると予測されております。実に2019年の85兆円から530兆円ですから、6.2倍の規模になると予測されております。

    (引用元:ebisumart MEDIA|【最新版】越境EC市場のまとめ!日本・中国・アメリカ)

    ネット販売市場の拡大に伴い、通関士の仕事も広がっていくと考えられるので、ネット販売事業における通関士の実務について学んでおきたい方にはネット販売事業者へ就職するのもおすすめです。

    通関士に向いている人はどんな人?

    通関士が向いている人は次のような人です。

    通関士に向いている人
    • 探究心が旺盛な人
    • 緻密な仕事ができる人

    通関士は商品に対する深い知識がないと、税率などを正しく計算できません。

    また、申告書類にはミスが許されませんので、緻密な仕事ができる人も通関士に向いています。

    通関士に向いている人はどのような人なのか、詳しく解説していきます。

    探究心が旺盛な人

    通関士は探究心が旺盛な人でないと、勤めることが難しい仕事です。

    輸出入する商品1つ1つについて、深い知識と関係する法律に対する正しい理解が必要になるためです。

    こうした商品の中で、例えば貴重な美術品を日本に持ち込む場合は文化財保護法が、医薬品を輸入する場合は薬事法などが関係するため、法律面に詳しくないと仕事ができません。一方で商品には入れ替わりがあるので、情報をいち早くキャッチすることも大切です。例えば、新しい病原菌が発見されたといったニュースも業務に影響するため、国内外を問わず、社会のさまざまな動きに関心を持つことも大切です。

    (引用元:スタディサプリ|通関士に求められる人物は?適性を知る)

    商品そのものの知識だけでなく、関係法令やニュースなどにもしっかりと目を向ける必要があります。

    「仕事のことは仕事の時だけ考えればいい」というわけではなく、普段から自分が取り扱う商品に対してアンテナを張っていられる探究心が欠かせない仕事です。

    緻密な仕事ができる人

    通関士には仕事に対する緻密さも求められます。

    申告書を作成する際には、貿易書類から必要な情報を正しく読み取り、正しい情報を間違いなく記載していかなければなりません。

    申告書の作成を間違えてしまうと税関を通れずに、会社に大きな損害を与えてしまうこともあります。

    そのため、仕事の緻密さは通関士に求められる最も重要な能力だといっても過言ではありません。

    貿易書類から情報を読み解き、緻密な計算を行って所定の書類に入力します。1つでも計算ミス、入力ミスをしてしまうと、取り返しのつかないトラブルにつながることもあります。そもそも入力ミスをしないのが前提ですが、仕上がった書類を何度も読み返して万全を期すなど、隅々まで神経を行き渡らせることができる緻密さが求められる仕事です。

    (引用元:スタディサプリ|通関士に求められる人物は?適性を知る)

    通関士は書類から情報を読み取って、複雑な計算を行い、さらにその情報を正確に入力していかなければなりません。

    失敗するを大きな損失につながるので失敗は許されません。

    そのため、書類などを正しく丁寧に作成する事務能力の高い人も、通関士には向いています。

    通関士がおすすめの資格である理由

    通関士がおすすめの資格である理由は次の3つです。

    • 貿易のプロとしてグローバルに仕事ができる
    • 英語などの他のスキルと相乗効果がある
    • 女性が働きやすい

    貿易のプロですので、グローバルに活躍したいという人にはおすすめです。

    また、通関士は他の資格との親和性が高いという点にも大きな特徴があります。

    また、女性が働きやすいという点も通関士の特徴です。

    難関資格にはなりますが、グローバルに働ける仕事を目指すのであれば通関士はおすすめの資格です。

    貿易のプロとしてグローバルに仕事ができる

    通関士は貿易の際の申請書類の作成や、モノや税率のチェックなどを行う世界を相手にする仕事です。

    海外に営業所がある会社へ就職すれば海外勤務も可能ですし、外資企業へ勤務できる可能性もあるでしょう。

    また独立すれば世界をまたにかける貿易コンサルタントになることも可能です。

    このように、通関士の仕事の幅は非常に広く、世界の至る所でグローバルに仕事ができます。

    英語などの他のスキルと親和性が高い

    通関士は外国語などの他のスキルと相性のよい資格です。

    通関士の仕事は海外の企業と貿易取引することが中心です。通関業務で使う書類は英語で書かれているものが多いので、英語のリーディング力は必須です。

    (引用元:English Lab|通関士はどのような国際資格?英語力の他に必要な力や試験概要も徹底解説)

    海外で勤務するのであれば英語の知識は必須ですし、公的書類を作成するため行政書士のような事務処理のスキルも役立つでしょう。

    さらに関税を計算する際や、企業の税負担を考える時は簿記やFPのような会計の知識も役立ちます。

    他にも資格を保有しており、自分の資格やスキルを生かしたい。という方に通関士はおすすめの資格です

    女性が働きやすい

    通関士は女性が働きやすい仕事の1つだと言えます。

    力仕事はありませんし、主な仕事はデスクワークだからです。

    業界団体としても女性が働きやすくなるような取り組みを行なっており、日本通関業連合会では全国女性通関士会議も開かれています。

    政府が進める「働き方改革」の具体的施策に沿って通関士の働き方改革について議論。通関士の長時間労働の要因としては、個人の能力差、慢性的な人手不足、生活残業が前提となる低賃金、顧客優先の業界体質、不適切な業務配分などが指摘された。解決策では、個人の能力差をなくすためのマニュアル作成や情報共有、会社に対する適切な人員配置の要望が挙げられた。

    (引用元:カーゴニュース|【物流】通関連が女性通関士会議で「働き方改革」を議論)

    全国女性通関士会議では次のような内容が議論されています。

    • 個人の能力差をなくすためのマニュアル作成
    • 情報共有
    • 会社に対する適切な人員配置の要望

    通関士は仕事の質としてそもそも女性に働きやすい仕事だといえますが、業界全体としてさらに女性が働きやすくなる取り組みが始まっています。

    今後は今まで以上に女性が働きやすい環境になるでしょう。

    通関士になって後悔しないための3つのポイント

    通関士という難関資格を取得したにもかかわらず後悔している人も少なくないようです。

    次のような理由で通関士になったことを後悔している人がいます。

    • 通関士の人間関係が狭い
    • ミスの取り返しがつかない
    • 手当が安い

    難関資格であるがゆえに通関士の人数が少なく、その人間関係がうまくいかないことがあるという点や、分類を間違えてしまうと数千万円以上の高額な損失となってしまう可能性がある責任が重すぎる仕事であるにも関わらず、資格手当が安いという点が挙げられます。

    通関士の仕事について後悔する3つの理由と後悔しないためのポイントを解説していきます。

    通関士の人間関係に注意する

    会社での人間関係を原因として、通関士になったことを後悔している人も多いようです。

    通関士の仕事が嫌になる理由と直接関係ないと思われるかもしれませんが、やっぱり人間関係は重要でした。部署にはある程度人がいるのですが、登録されている通関士としては3人。年配のベテラン男性通関士さんと、40代の女性通関士と20代の私。通関従事者はたくさんいても、通関士は少ないんですよね。

    そんな少ない人数の中で、人間関係がうまくいかないとストレスしかありません。残念ながら40代女性通関士から、周りから分かりにくい嫌がらせを受けました。

    (引用元|通関士eeねっと|通関士辞めたい…辛い…その理由)

    勤務している会社の社員数は多くても、社内での通関士は数名程度という会社が大多数です。

    必然的に社内での人間関係は、数名の通関士がメインになります。

    人間関係が狭いので、そこでの関係がうまくいかないと、出勤することそのものがストレスになります。

    資格を持っている人の数が少ない職業だからこそ、人間関係が狭くなりストレスを感じる人が多いようです。

    通関士間の人間関係には注意し、同じ部署の通関士とはコミニュケーションを密にするとともに、人間関係がそこだけにならないように他の部署の人間とも幅広く付き合うことが大切です。

    ミスをしない

    通関士の仕事は責任が思う上にミスの取り返しがつかないからこそ、ミスをしないことを最優先に仕事をしましょう。

    申請書類の作成を間違えてしまったら輸入した業者へ商品が届くのが遅くなりますし、商品によっては商品そのもものがダメになってしまうこともあります。

    また、貿易で行き来する商品の総額は数千万円〜数億円ということも珍しくありません。

    高額な商品の申請や価格や税率を間違えてしまったら、関税だけで数百万円以上の損失になることもあります。

    通関料金は輸入で11,800円なのでもらえる金額は安いですが、扱う貨物の価格はウン十万円、ウン百万円、ウン千万円。。。その税金の単位もウン十万円~ウン百万円、ウン千万…とかなので、間違えた時の金額がでかい。それを遡って修正申告するとなるとさらに損害金額が上がっていきます。

    その責任…重い上に保険はありません。。。

    (引用元|通関士eeねっと|通関士辞めたい…辛い…その理由)

    さらに個別に商品に対して知識を持っていないと分からないことも多いので、知識だけでなく経験も必要になります。

    通関士の仕事はミスの取り返しがつかず責任も重いので、通関士になって後悔している人も多いようです。

    仕事の能率なども重要ですが、とにかくミスをしないように注意して仕事をしましょう。

    給料が高い会社へ就職する

    基本給が高い会社へ就職しましょう。

    国家資格である通関士は、資格取得者として資格手当を給付している会社は多数あります。

    しかし資格手当はそれほど高くありません。

    通関士は国家資格なので、資格手当をくれる会社が多いです。とはいえ、月額5,000~10,000円くらいが相場。お金以外の部分で危険を伴うわけでもなく、一般的な事務の月給に通関士手当が加算されるくらいの収入です。その割には、通関士の肩に税金を正しく収めるという責任がのしかかります。

    (引用元|通関士eeねっと|通関士辞めたい…辛い…その理由)

    会社によって手当は異なりますが、資格手当として月額5,000円〜10,000円程度が給付されるのが一般的です。

    一般の事務職の給料+5,000円〜10,000円程度の給料で責任のある仕事をしなければならないので、コスパがよくないと考える人もいます。

    通関士として一般企業に勤務しても、責任に見合う報酬がもらえないことが多いというのも通関士になって後悔する理由の1つです。

    手当を当てにしても、他の社員とそれほど変わらない程度の給料ですので、基本給が高い会社へ就職しましょう。

    通関士として成功するための3つのポイント

    通関士として成功したいのであれば、次の3つのポイントを押さえておきましょう。

    • 英語などの他のスキルを磨く
    • イレギュラーな対応能力を磨く
    • 関連する他の業界に目を向け知識と人脈を作る

    他のスキルを磨き、イレギュラーな対応能力を身につければ、仕事をAIにとって変わられる可能性はなくなるでしょう。

    また、関連業界に対する知見を蓄えることによって活躍の場所は様々な企業へ広がります。

    通関士として将来的にも成功するための3つのポイントについて詳しく解説していきます。

    英語などの他のスキルを磨く

    通関士としてキャリアアップしていきたいのであれば英語力は必要です。

    そもそも海外を相手にする仕事ですので、国内で働く場合にも英語力はあった方がよいでしょう。

    トラブルや緊急時には自や海外の輸出入元とやりとりしなければなりませんし、海外の商品知識を深めるためにも英語力は必要です。

    そして、海外で働きたいのであれば、英語力は必須といっても過言ではないでしょう。

    実施に通関士の求人の中には英語スキルを求められるケースも多々あります。

    グローバルに活躍したい人はもちろん、国内で働く場合に英語スキルがあった方が、仕事の幅と信頼度は非常に大きくなります。

    イレギュラーな対応能力を磨く

    イレギュラーなケースにもしっかりと対応できる経験値と能力を磨きましょう。

    貿易の現場においては想定していないようなイレギュラーなトラブルが多々あります。

    このようなときにはAIではなく人間でないと対応ができません。

    現場での日々の業務内に発生するイレギュラーに積極的に向き合うことで、AI時代になっても必要とされる通関士に近づくことができます。

    単純作業やルーティン作業ではない業務の経験こそが、時代が変わっても求められる仕事人の資質を培ってくれますよ。

    (引用元:アガルートアカデミー|通関士は今後の需要・将来性がある仕事?長く活躍し続けるための3つのポイント)

    確かに、通関士業務は今後はAIに置き換わる場面が増えていくかもしれません。

    そのような時でも、AIでは対応できないイレギュラーな事態に対してもしっかりと対応できる経験と能力を有しておけば、申請書の作成等の業務がAIに置き換わったとしても、必要な通関士でいられます

    AIにはできないイレギュラーな対応をしっかりと身につけておきましょう。

    関連する他の業界に目を向け知識と人脈を作る

    通関士の仕事のフィールドは通関業者だけではありません。

    メーカー、商社、IT企業など、海外とモノのやりとりを行う企業であれば、どこでも需要はあります。

    そのため、輸出入関連の業界に目を向けて、興味のある業種の商品や業界動向に人脈を作っておきましょう

    通関業務と関連が深いのは、例えば商社やメーカーといった業界です。

    他業界の知識を持つことで、通関業務においてスムーズなコミュニケーションをとれるだけでなく、通関士としてのキャリアアップの道も拓けます。

    (引用元:アガルートアカデミー|通関士は今後の需要・将来性がある仕事?長く活躍し続けるための3つのポイント)

    異業種交流会などに参加すれば、興味のある業界の人と知り合うことも可能です。

    グローバル化が進んでいく中で、通関士はさらに需要が高くなる業界です。

    1つの会社に縛られるのではなく、貿易に関連する業界に幅広い人脈を作っておき、キャリアアップの機会を探っていきましょう。

    通関士資格のスケジュールと難易度

    (引用元:公益財団法人 日本関税協会|通関士とは、どのような資格ですか?)

    通関士資格のスケジュールと難易度を確認しておきましょう。

    通関士試験は年に1回行われ、合格率は平均で15.4%となっています。

    詳細な日程とスケジュールを確認しておきましょう。

    通関士資格のスケジュール

    2023年の通関士試験は10月1日(日)に行われます。

    例年、通関士資格は例年、10月の第1または第2日曜日に行われています。

    また、2023年の合格発表は11月7日(火)に行われる予定です。

    通関士試験は年に1回のみの開催です。

    通関士資格の難易度

    通関士試験は1967年から合計57回実施されてきましたが、平均の合格率は15.4%となっています。

    2023年までの11年間の合格者数と合格率は次の通りです。

    受験者数 合格者数 合格率
    2010年 9,490名 929名 9.8%
    2011年 9,131名 901名 9.9%
    2012年 8,972名 769名 8.6%
    2013年 8,734名 1,021名 11.7%
    2014年 7,692名 1,013名 13.2%
    2015年 7,578名 764名 10.1%
    2016年 6,997名 688名 9.8%
    2017年 6,535名 1,392名 21.3%
    2018年 6,218名 905名 14.6%
    2019年 6,388名 878名 13.7%
    2020年 6,745名 1,140名 16.9%
    2021年 6,961名 1,097名 15.8%
    2022年 6,336名 1,212名 19.1%
    2023年 6,332名 1,534名 24.2%

    (引用元:税関|通関士試験受験者数及び合格率等の推移(第1回~第57回))
    (引用元:資格の学校TAC|通関士試験の難易度は?合格率は?詳しく解説)

    2016年くらいまでは10%前後の合格率でしたが、近年の合格率は以前よりも上昇傾向にあります。

    税関の発表によると、2019年までの平均合格率は15.4%ですので、近年はこれまでの平均合格率を上回る合格率となっています。

    より合格の可能性を高めたいのであれば、通信講座の受講などを検討するとよいでしょう。

    通関士の通信講座の詳細はこちら

    通関士の仕事がなくなることについてよくある質問

    通関士の仕事がなくなってしまうのではないかと、不安を感じている方のよくある質問を紹介していきます。

    通関士の仕事がなくなることについてよくある質問
    • 通関士の年収は今後減るのでしょうか?
    • 通関士の仕事はきついですか?ホワイトな職場はありますか?
    • 通関士に学歴は必要ですか?

    通関士の年収は今後減るのでしょうか?

    通関士の年収が増えるのか減るのかは勤務する会社によるというところです。

    事務職+資格手当のように安定した給料を受け取っている方の収入は変わらないでしょう。

    他方、規模の大きなグローバルに成長する企業に勤務している方は、企業の成長とともに通関士としての給料もアップする可能性はあります。

    実際に上場企業の平均年収は2020年のコロナ前までは、毎年上昇傾向にあります。

    上場企業2,459社 2020年度決算「平均年間給与」調査

    (引用元:東京商工リサーチ|上場企業2,459社 2020年度決算「平均年間給与」調査)

    グローバル経済の流れの中、関連する市場は拡大していくため、大企業に勤務すれば収入が上がっていく可能性があるものと考えられます。

    通関士の仕事はきついですか?ホワイトな職場はありますか?

    通関士の仕事は基本的には事務ですので、定時には退勤できます。

    通関士は税関の開庁に合わせて仕事をするため、一般的には8:30~17:30が定時となることが多いようです。

    (引用元:キャリアガーデン|通関士の勤務時間・休日)

    ホワイトとまではいかなくてもブラックではないでしょう。

    事務仕事ですので体力的にはきつくはありませんが、失敗が許されない仕事であるため、精神的には「きつい」と思ってしまう人もいるかもしれません

    通関士に学歴は必要ですか?

    通関士の資格を受験するために学歴要件や年齢要件などの受験条件はいっさいありません

    試験には学歴要件や年齢要件などの受験資格はありません。そのため、どんな経歴の方でも受験料さえ払えば受験することができます。

    (引用元:資格の学校TAC|通関士になるには?)

    そのため、通関士試験は誰でも受験できますし、合格基準点をクリアすれば誰でも通関士になれます。

    通関士になるためには学歴は必要ありません。

    ただし、通関士として企業へ就職する場合には、企業の採用条件で学歴が問われる場面があります。

    まとめ

    通関士は貿易の時に通関へ提出する申告書の作成や審査、輸出入する商品の合法性や関税の確認などを行う国家資格です。

    主な仕事は「申告書を正確に作成する」というものですので、「今後はAIに仕事が奪われ、将来的には仕事がないのでは?」といわれることがあります。

    しかし通関士の仕事の全てをAIが代用できるものではありませんし、通関士の仕事はグローバル経済の拡大とともに今後さらに増えていく見込みです。

    メーカーや小売店だけでなく、ネット企業までも海外と直接商品をやりとりする企業が増えています。

    このような企業が増えれば増えるだけ、通関士も必要です。

    今後、通関士は通関業者だけでなく、さまざまな企業からの求人が増えるようになるでしょう。

    グローバルな仕事がしたい、海外で働きたい、という方は通関士の資格取得を目指してみてはいかがでしょう?

    通関士の資格を取りたいのであれば、仕事の合間に通信口座で受験勉強をするのがおすすめです。

    通関士の通信講座の詳細はこちら

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    この記事を書いた人

    徳永 浩光のアバター 徳永 浩光 キャリアコンサルタント

    WEBメディアの監修や300社以上のキャリア相談を通じて、働く人の悩みに寄り添い、気付きを与えるキャリアコンサルタント。「偶然を生かす」という考え方を大切にし、真の願望を明らかにするアプローチを採用。

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