公認会計士は、医師・弁護士と並ぶ三大難関資格のひとつです。
公認会計士試験の難しさのイメージから、こんな悩みや疑問を抱えている人も多いのではないでしょうか?
・公認会計士試験に合格するために必要な勉強時間はどれくらい?何年かかるの?
・科目ごとの勉強時間ってどれくらいなの?
・公認会計士になったらどんなメリットがあるの?
この記事では、公認会計士試験の合格に必要な勉強時間や科目ごとの勉強時間、そして公認会計士のメリットなどを徹底的に解説しています。
最後まで読んでいただければ、あなたの悩みはすべて解決され、公認会計士試験に合格するまでの道筋が見えてくるでしょう。
ぜひ参考にしてみてください。
公認会計士試験は、通信講座や予備校で勉強するのもおすすめです。
詳しくは、こちらの記事でも解説しています。
公認会計士試験に合格するために必要な勉強時間は?
公認会計士試験に合格するために必要な勉強時間に関して、大手資格学校は次のような数値を目安としています。
学校名 | 最短勉強時間 | 一般的な勉強時間 | 最大勉強時間 |
CPA | 3,000時間 | 記載なし | 5,000時間 |
資格の学校TAC | 2,500時間 | 3,500時間 | 記載なし |
公認会計士試験に合格するために必要な勉強時間は、2,500〜5,000時間かかるということです。
なぜこれほどまでに勉強時間に幅があるのでしょうか?
その理由は、人によって試験に合格するまでの受験回数が異なるからです。
公認会計士試験は1次試験(短答式試験)と2次試験(論文式試験)の2段階に分かれており、1次試験に合格した人だけが2次試験を受けることができる仕組みになっています。
また、1次試験は年に2回、2次試験は年に1回しか開催されません。
難関試験であるがゆえ、1回で1次・2次両方とも合格できる人もいれば、2回、3回と複数回挑戦してようやく2次試験まで合格することができる人もいるのです。
したがって、一発合格した人の勉強時間と、複数回受験してやっと合格した人の勉強時間には大きな開きがでてきます。
これが公認会計士試験に合格するために必要な勉強時間が2,500〜5,000時間と幅のある数字になっている理由です。
つまり、少ない受験回数で合格できる人ほど、合格までに要した勉強時間も少なくて済むわけです。
一発で合格している受験者の勉強時間
それでは、実際に一発で公認会計士試験に合格している受験者の勉強時間はどれくらいなのでしょうか?
大手資格学校のTACが算出しているデータによると、公認会計士試験に一発で合格している受験者の勉強時間は平均3,664時間で、一般的には1年半〜2年かけて勉強しています。
(参考:資格の学校TAC 公認会計士試験の勉強時間はどのくらい必要?)
3,664時間という数字だけみてもイメージしづらいため、具体的な期間に落とし込んで考えてみましょう。
・1年間で3,664時間勉強するには、1日あたり約10時間
・2年間で3,664時間勉強するには、1日あたり約5時間
・3年間で3,664時間勉強するには、1日あたり約3.3時間
・4年間で3,664時間勉強するには、1日あたり約2.5時間
このように、どれくらいの期間で一発合格を目指すかによって1日あたりに必要な勉強時間は変わってきます。
自分にとって現実的な期間を設定したうえで必要な勉強時間をこなしていきましょう。
また、3,664時間というのはあくまで平均値であることに注意が必要です。
つまり、同じ一発合格者であっても、2,500時間程度で合格した人もいれば、4,000〜5,000時間程度勉強して合格した人もいるということになります。
公認会計士試験の受験科目に関して、完全な初学者とそうでない人では必要な勉強時間は当然違ってきます。
3,664時間という数字は、あくまで目安として捉えておきましょう。
1日の勉強時間
大手資格学校のTACが公認会計士合格者から集計したデータによると、1日あたりの勉強時間の目安は次のとおりです。
入門・基礎期(基礎知識を学習する期間):6.1時間(講義時間含む)
上級期(本試験半年前のラストスパート):8.7時間(講義時間含む)
(参考:資格の学校TAC 公認会計士試験の勉強時間はどのくらい必要?)
初めのうちはゆるやかなペースで勉強していき、半年前からラストスパートをかけるという感じですね。
また、毎日必ずこれだけ勉強しているのではなく、実際には週に1,2日の休みを入れる人も多いようですので、あくまで目安として捉えましょう。
上記に加えて、先ほど一発合格者の平均勉強時間が3,664時間で、一般的に1年半〜2年かけて勉強していくとお伝えしましたが、その場合の1日あたりの勉強時間は次のとおりです。
・1年半で3,664時間勉強するには、1日あたり約6.7時間
・2年間で3,664時間勉強するには、1日あたり約5時間
この観点も参考にして、自分自身がどれくらいの期間をかけて合格を目指すのか決めてください。
その期間から1日あたりの勉強時間を算出するようにしましょう。
1年〜4年かけて3,664時間の勉強をこなす際の1日あたりの勉強時間は先述のとおりです。
公認会計士試験合格までの年数
公認会計士試験に合格するまでかかる年数について、大手資格学校は次のような数値を目安としています。
つまり、公認会計士試験に合格するまでの年数は、1年〜4年ほどかかるのです。
公認会計士試験の試験科目は出題範囲が膨大で、生半可な勉強時間では太刀打ちできないため、これくらいの年数がかかってしまうのです。
一発合格者の平均勉強時間が3,664時間で、これを1年でこなそうとすると1日約10時間の勉強が必要です。
これを実現できる人はあまりいないでしょうから、現実的には合格するまでに2年程度かけて合格する人が多いようです。
年に1、2回しか実施されない試験ですので、複数回受験を繰り返した結果、合格までに4年ほどかかってしまう人もいます。
公認会計士の勉強スケジュールは?
公認会計士試験の勉強は、基本的に数年かけて行うため、やみくもに勉強していては効率が悪くなります。
したがって必ずスケジュールを立てて勉強するようにしましょう。
スケジュールの立て方のポイントは次の2点です。
・短期(1日)・中期(2週間〜1ヶ月)・長期(3ヶ月程度)ごとにスケジュールを立てる。
・長期→中期→短期の順にスケジュールを立てる。
具体例を下記に示します。
長期:3ヶ月で短答式試験の4科目の基礎を完璧にする
中期:1ヶ月は財務会計論、管理会計論を中心にテキストを繰り返す
短期:今日は財務会計論の計算問題を中心に解く
このようにスケジュールを立てることには大きなメリットがあります。
・今日やるべき勉強の位置づけがはっきりし、モチベーションが高まる
・不測の事態により勉強が遅れてしまった場合でも、スケジュールを修正しやすくなる
公認会計士試験の勉強は長期に渡るため、モチベーションの維持や、勉強スケジュールを柔軟に変更するのは重要な要素です。
合理的な方法でスケジュールを立てて勉強していきましょう。
ただし、スケジュールを立てるときには科目ごとの勉強時間の配分に注意してください。
科目数も範囲も広い試験ですので、考えなしに時間配分をしてしまうと勉強が非効率になってしまいます。
配点の大きい科目により多くの時間を割くなどの工夫が必要なのです。
なお、科目別の勉強時間の目安は後述します。
公認会計士の出題形式
公認会計士試験の出題形式は、短答式試験と論文式試験の2段階に分かれています。
試験名 | 回答方式 | 科目数 |
短答式試験(1次試験) | マークシートの択一式 | 4科目 |
論文式試験(2次試験) | 筆記試験 | 5科目(※実質6科目) |
※論文式試験では、財務会計論と管理会計論の2科目を「会計学」の1科目にまとめているため、実質6科目が課されます
このように短答式試験と論文式試験では試験形式が異なることに加え、短答式試験に合格しなければ論文式試験を受験できないという厳しいルールもあります。
公認会計士試験に合格するには、2段階の試験それぞれへの対策を万全にして挑む必要があるのです。
短答式試験の科目別勉強時間と試験範囲
ここでは短答式試験の科目別に必要な勉強時間と試験範囲について説明していきます。
それぞれの勉強時間は、複数のサイトや合格者のブログを調査して算出しています。
1 財務会計論
2 管理会計論
3 監査論
4 企業法
1 財務会計論
勉強時間の目安 | 試験範囲 |
約750時間 | 簿記・財務諸表論・会計に関する理論 |
財務会計論は計算と理論があり、どちらも範囲が広いためたくさんの勉強時間を必要とします。
公認会計士の仕事のベースとなる分野でもあり、配点も高いため、得意科目にする意気込みで勉強しましょう。
2 管理会計論
勉強時間の目安 | 試験範囲 |
約310時間 | 原価計算・管理会計 |
財務会計論と同じく、計算と理論が出題されます。
簿記の知識が必要となるため、財務会計論の理解が深まるにつれて管理会計論も理解しやすくなります。
3 監査論
勉強時間の目安 | 試験範囲 |
約170時間 | 財務諸表監査・中間監査・四半期レビュー及び内部統制監査の理論、制度及び実務 |
計算問題はなく、理論問題のみが出題され、ボリュームとしては少ない科目です。
公認会計士の監査業務に関する問題が出題されます。
4 企業法
勉強時間の目安 | 試験範囲 |
約300時間 | 会社法・商法・金融商品取引法・監査を受けるべきこととされている組合その他の組織に関する法 |
企業法は、会社法・商法などに関する理論問題が出題されます。
ボリュームが大きく大変な科目ですが、点数が安定しやすい科目でもあります。
科目名 | 財務会計論 | 管理会計論 | 監査論 | 企業法 | 合計 |
勉強時間 | 約750時間 | 約310時間 | 約170時間 | 約300時間 | 約1,530時間 |
※どれくらいの勉強時間で合格レベルに届くのかには個人差がありますので、あくまで目安としてとらえてください。
論文式試験の科目別勉強時間と試験範囲
ここでは論文式試験の科目別に必要な勉強時間と試験範囲について説明していきます。
1 会計学(財務会計論)
2 会計学(管理会計論)
3 監査論
4 企業法
5 租税法
6 選択科目(経営学)
※論文式試験では、短文式試験における財務会計論と管理会計論が「会計学」の1科目にまとめられます。
1 会計学(財務会計論)
勉強時間の目安 | 試験範囲 |
約265時間 | 簿記・財務諸表論・会計に関する理論 |
短答式と同じく計算と理論が出題されます。
理論については短文式とは出題の仕方が異なるため、しっかりと対策が必要です。
2 会計学(管理会計論)
勉強時間の目安 | 試験範囲 |
約125時間 | 原価計算・管理会計 |
短答式試験の計算問題・理論問題が記述式になったものと認識して構いません。
問題の内容は短答式と大きく変化はありませんので、短答式に合格できる人は問題なく突破できます。
3 監査論
勉強時間の目安 | 試験範囲 |
約135時間 | 財務諸表監査・中間監査・四半期レビュー及び内部統制監査の理論、制度及び実務 |
短答式試験と同じく理論問題が出題され、回答方式が記述式になったものと認識してください。
ボリュームもそこまで大きくなく、短答式試験に合格できるレベルならば問題なく突破できるでしょう。
4 企業法
勉強時間の目安 | 試験範囲 |
約185時間 | 会社法・商法・金融商品取引法・監査を受けるべきこととされている組合その他の組織に関する法 |
論文式試験の企業法では、短答式試験で問われたような理論について、記述式で回答しなければなりません。
法的な理論については独特な言葉遣いが存在するため、本番で自分が論述できるように繰り返し勉強しておきましょう。
5 租税法
勉強時間の目安 | 試験範囲 |
約330時間 | 租税法総論及び法人税法、所得税法などの租税実体法 |
主に法人税法、所得税法、消費税法などに関して、計算と理論問題が出題される科目です。
出題範囲も広く、論述式試験の中では最もボリュームが多い科目となっています。
6 選択科目(経営学)
勉強時間の目安 | 試験範囲 |
約180時間 | 経営管理・財務管理 |
経営学では計算と理論が両方出題されます。
他の選択科目(民法・経済学・統計学)と比べて最もボリュームが少ないため、必要な勉強時間はそこまで大きくありません。
科目名 | 会計学(財務会計論) | 会計学(管理会計論) | 監査論 | 企業法 | 租税法 | 選択科目(経営学) | 合計 |
勉強時間 | 約265時間 | 約125時間 | 約135時間 | 約185時間 | 約330時間 | 約180時間 | 約1,220時間 |
※どれくらいの勉強時間で合格レベルに届くのかには個人差がありますので、あくまで目安としてとらえてください。
選択科目はボリュームの少ないものを選ぶ
選択科目は次の4科目から選ぶことができます。
1 経営学
2 民法
3 経済学
4 統計学
しかしながら、選択肢は経営学の一択です。
選択科目の中で経営学は最もボリュームが少なく、勉強時間が少なくて済むからです。
一方で民法や経済学は、経営学の2倍程度の勉強時間を要するため、いわばコストパフォーマンスが悪いのです。
TACによれば、実際に合格者の9割以上は経営学を選んでいるようですので、選択科目はボリュームの少ない経営学を選びましょう。
置かれている状況によって受験期間は変わる
自分の置かれている状況、つまり一日にどれくらい勉強時間を確保できる状況なのかによって、受験期間は変わります。
・大学生
・社会人
・資格試験に専念できる人
それぞれみていきましょう。
大学生
大学生は、授業・サークル・アルバイトなどをこなしながら試験勉強をすることになります。
一度しかない大学生活の中で、自分のやりたいこと・やらなければならないことの優先順位を考えながら受験プランを決めましょう。
実際のところ、大学生は1年半〜2年くらいの受験プランで合格を目指す人が多いです。
この受験プランで一発合格者の平均勉強時間である3,664時間をこなす場合、1日あたりの勉強時間は以下のようになります。
・1年半で3,664時間勉強するには、1日あたり約6.7時間
・2年間で3,664時間勉強するには、1日あたり約5時間
3,664時間を1年半ないし、2年で捻出しようとすると1日あたり5時間以上の学習は必要ということになります。
これだけの勉強を毎日続けるのは大変ですが、授業などとうまく両立させながらこなしていきましょう。
社会人
社会人は仕事があるため、勉強に当てられる時間が限られています。
まとまった時間が取れるのは仕事が休みの日くらいですので、短期間での受験プランは現実的ではないでしょう。
仕事の前後・通勤電車内・スキマ時間など、勉強に当てられる時間を可能な限り確保した上で長期的な受験プラン(2年〜3年程度)とするのが現実的です。
この受験プランで3,664時間をこなす場合、1日あたりの勉強時間は以下のようになります。
・2年間で3,664時間勉強するには、1日あたり約5時間
・3年間で3,664時間勉強するには、1日あたり約3.3時間
3,664時間を2〜3年で勉強しようとすると1日当たりの勉強時間は3時間以上必要となります。
平日に時間を取るのが難しいという場合は、休日などをうまく活用して計画を立てるのが重要と言えるでしょう。
忙しい社会人にとっては大変な勉強時間ですが、仕事とうまくバランスを取ってこなしていきましょう。
資格試験に専念できる人
大学生や社会人以外の資格試験に専念できる人は、とにかく勉強にあてられる時間が豊富にありますので、短期の受験プラン(1年〜1年半)も可能です。
ただし、時間が有り余っているからこそ、勉強以外の娯楽などに気を取られてしまう恐れもあります。
重要なのは、勉強に集中し続けるモチベーションを維持し続けることです。
なお、短期の受験プランで3,664時間をこなす場合、1日あたりの勉強時間は以下のようになります。
・1年で3,664時間勉強するには、1日あたり約10時間
・1年半で3,664時間勉強するには、1日あたり約6.7時間
勉強に集中して1年で合格を目指す場合は、1日につき10時間程度学習することになります。
これほど長時間の勉強を毎日続けるには、集中力やモチベーションをうまく維持することが必要不可欠です。
同じ10時間の勉強でも、だらだら行った場合と集中して行った場合では、勉強の能率がまったく違うので気をつけましょう。
公認会計士試験は勉強時間がたくさん必要な理由
公認会計士試験に合格するために勉強時間がたくさん必要な理由を次の2点から解説します。
・試験範囲が広い
・競争試験だから合格ラインが読めない
試験範囲が広い
公認会計士試験は試験範囲が広いため、2,500〜5,000時間という膨大な勉強時間が必要だといわれています。
具体的にいうと、短答式試験で4科目、論文式試験で実質6科目が課される上に、すべての科目の範囲が膨大なのです。
したがって、試験範囲が広い公認会計士試験の合格レベルに達するには、たくさんの勉強時間が求められるというわけです。
競争試験だから合格ラインが読めない
公認会計士試験は競争試験で合格ラインが読めないため、勉強時間がたくさん必要になります。
〜競争試験とは〜
試験を受験した者の中で、成績が上位の者から合格と判定される試験制度のことです。
「○点以上取れば合格できる」という絶対の基準が存在せず、他の受験生達の成績によって合格ラインが変動し、そのラインで自分の合否が決まります。
合格ラインとなる絶対の基準がわかっていれば、その基準を満たすであろう時間だけ勉強すればよいのです。
言い換えれば、「これだけの勉強時間を確保すれば合格できるだろう」という思考ができるのです。
しかし、競争試験では合格ラインが読めず、自分の合否はほかの受験生たちの成績次第なので、誰もが上位の成績を取るために永遠と勉強を続けていきます。
このような試験の構造が、勉強時間がたくさん必要になる2つ目の理由です。
公認会計士の合格率は?
公認会計士試験の合格率はどの程度なのでしょうか?
次の2つの要素と併せて見ていきましょう。
・合格者の年齢
・合格者の職業
まず次の表で公認会計士試験の合格者数と合格率をまとめています。
年度 | 合格者数 | 合格率 |
平成30年 | 1,305人 | 11.1% |
令和元年 | 1,337人 | 10.7% |
令和2年 | 1,335人 | 10.1% |
令和3年 | 1,360人 | 9.6% |
令和4年 | 1,456人 | 7.7% |
令和5年 | 1,544人 | 7.6% |
(出典:公認会計士・監査審査会 平成30年〜令和3年公認会計士試験の合格発表の概要について)
難関資格だけあって、合格率は例年10%前後と非常に低いことがわかります。
また、ここ数年で合格者数・合格率ともに大きな変動はありません。
合格者の年齢
合格者の平均年齢は表のとおりです。
年度 | 合格者の平均年齢 |
平成30年 | 25.0歳 |
令和元年 | 25.2歳 |
令和2年 | 25.5歳 |
令和3年 | 24.5歳 |
令和4年 | 24.4 歳 |
令和5年 | 24.5歳 |
平均年齢は例年25歳前後と若いです。
また、ここ数年で大きな変化もありません。
平均年齢が若い理由は、次に説明する「合格者の職業」を見ればわかります。
合格者の職業
合格者の職業は表のとおりです。
年度 | 学生及び専修学校・各種学校受講生(構成比率) | 会社員(構成比率) |
平成30年 | 940人(72.0%) | 86人(6.6%) |
令和元年 | 921人(68.9%) | 83人(6.2%) |
令和2年 | 893人(66.9%) | 95人(7.1%) |
令和3年 | 924人(67.9%) | 111人(8.2%) |
令和4年 | 963人(66.1%) | 94 人(6.5%) |
令和5年 | 981人(63.6%) | 117人(7.6%) |
例年、学生及び専修学校・各種学校受講生が70%前後を占めている一方で、会社員は6〜8%程度と非常に少ないことがわかります。
さきほどの合格者の平均年齢が25歳前後と若かったのは、合格者の大半が学生等であったからなのです。
会社員の構成比率が極端に少ないのは、長期に渡る勉強が求められる公認会計士試験に対して、そもそもの受験者数が少ないことも大きいのでしょう。
公認会計士に独学で合格できるの?
公認会計士試験に独学で合格することはできるのでしょうか?
結論からいうと、不可能ではありませんが、予備校に通うのが合理的です。
ここまでに、公認会計士試験に合格することの難しさを様々な観点から紹介してきました。
・勉強時間が数千時間に及ぶ。
・数年単位で勉強し続けなければならない。
・試験科目が多く、それぞれの範囲が膨大。
・競争試験なので合格ラインが読めない。
こういった難しさを強靭な精神力でクリアしていける人であれば、独学での合格も不可能ではありません。
しかしそんな人はなかなかいないでしょう。
公認会計士試験の合格を目指すなら、予備校に通う方が現実的です。
公認会計士を取得するメリット
ここでは公認会計士の資格を取得するメリットを3つ紹介します。
・収入が増える
・転職先に困らない
・社会的信用度が高い
それぞれ解説していきます。
収入が増える
公認会計士になると、一般的な給与所得者よりも収入が増えます。
それぞれの平均年収を比べてみましょう。
公認会計士 958.4万円
(出典:厚生労働省 令和2年賃金構造基本統計調査)
正規雇用の給与所得者 495.7万円
(出典:国税庁 令和2年分民間給与実態統計調査)
公認会計士の平均年収は一般的な給与所得者の2倍近くにのぼります。
ここまで収入が増えるとなると、試験勉強へのモチベーションにもなりますよね。
転職先に困らない
公認会計士は転職先に困りません。
なぜなら、公認会計士の需要は常に高い水準で安定しているからです。
というのも、公認会計士の仕事である企業の監査業務は、法律で定められた独占業務であるため、公認会計士以外の人が企業の監査業務を行うことはできません。
この監査業務は大企業にとって必須であるため、公認会計士に対する需要は常に高い状態で維持されています。
公認会計士は転職先に困らないだけでなく、転職先の候補は大企業であることも多いのです。
社会的信用度が高い
公認会計士は、医者や弁護士と並んで社会的信用度が高いです。
なぜなら、難関の国家資格を突破する能力があり、さらに年収も高く安定しているという印象を世間的に持たれているからです。
社会的信用度が高いと、例えば次のような恩恵が得られます。
・仕事相手に信頼されやすく、事業がスムーズに行える
・金融機関で高額なローンを組みやすい
社会的信用度は、仕事に限らず日常生活においても重要な要素ですので、高いに越したことはありません。
ダブルライセンスも狙える
公認会計士は、以下に紹介するような資格とのダブルライセンスも狙えます。
・税理士
・USCPA
・弁護士・行政書士
税理士
公認会計士の資格を持っている人は、税理士試験を受けずに税理士登録をすることができます。
税理士の資格も取れば仕事の幅が広がり、収入が更に安定します。
というのも、公認会計士の仕事は大企業を相手にすることが多い一方で、税理士の仕事は中小企業等も相手にすることが多いためです。
税理士登録をするデメリットは、登録の際に費用がかかる等くらいですので、基本的には税理士登録をした方がよいでしょう。
USCPA
USCPAを取得することで、大きくキャリアアップすることができます。
〜USCPAとは〜
米国公認会計士資格のことです。
USCPA資格の所持者は、アメリカはもちろん、カナダ・メキシコ・香港等の様々な国々において、その国の会計士と同じ業務ができます。
USCPA資格を取得すれば、米国の会計基準に基づく業務など、様々な国際的な案件を処理できるようになります。
まさに世界を股にかけて活躍することができる人材としてキャリアアップできるのです。
公認会計士試験を合格した知識があれば、USCPA試験の負担は大きく軽減されるため、狙って見る価値は十分にあります。
弁護士・行政書士
弁護士・行政書士資格の取得も考えてみましょう。
まず行政書士資格は、税理士と同様に試験を受けずに登録できるため、登録するだけで請け負える仕事の領域が広がります。
一方で、弁護士資格を得るには難関な司法試験に合格する必要がありますが、弁護士になれば会計だけでなく法律全般に関する仕事をも扱えるようになります。
公認会計士とダブルライセンスを実現できれば、あらゆる企業・顧客から引く手あまたになることは間違いありません。
公認会計士試験の勉強時間に関するよくある質問
公認会計士試験の勉強時間に関するよくある質問 |
Q1:公認会計士に1年で合格ってできるの?
Q2:公認会計士に社会人で働きながら合格するにはどのくらい勉強時間が必要なの? Q3:公認会計士に大学生で合格するにはどのくらい勉強時間が必要なの? Q4:大学生が公認会計士に合格するにはどんなスケジュールを立てればいいの? Q5:社会人で公認会計士に合格するのって無理なの? Q6:公認会計士の短答式試験に合格するために必要な勉強時間は1000時間って本当? Q7:公認会計士と簿記1級はどれくらい勉強時間が違うの? |
公認会計士試験の勉強時間に関するよくある質問をまとめました。
Q1:公認会計士に1年で合格ってできるの?
1日約10時間の勉強を1年間毎日継続することができれば、合格できる可能性はあります。
なぜなら公認会計士試験の一発合格者の平均勉強時間が3,664時間というデータがあり、これは1日約10時間の勉強を1年間毎日行うことで達成できる数値だからです。
とはいえ、極めて難しいことであるのは間違いないでしょう。
Q2:公認会計士に社会人で働きながら合格するにはどのくらい勉強時間が必要なの?
公認会計士試験の一発合格者の平均勉強時間は3,664時間というデータがあります。
社会人で働きながらの場合は1日に確保できる勉強時間がかなり限られてしまいますので、2〜3年の長期プランで3,664時間を達成するように勉強していきましょう。
具体的には次のようなプランになります。
3,664時間の勉強時間を2年でこなす場合:1日あたり約5時間
3,664時間の勉強時間を3年でこなす場合:1日あたり3.3時間
なお、上記の時間は一発合格した場合の勉強時間ですので、複数回受験することになればさらに勉強時間は増えていくことに注意してください。
Q3:公認会計士に大学生で合格するにはどのくらい勉強時間が必要なの?
先述の通り、公認会計士試験の一発合格者の平均勉強時間は3,664時間というデータがあります。
大学生の場合は、授業・アルバイト・サークル等と両立する必要はありますが、比較的勉強時間は確保しやすいため、1.5〜2年の受験プランで勉強していくのがよいでしょう。
具体的には次のようなプランになります。
3,664時間の勉強時間を1.5年でこなす場合:1日あたり約6.7時間
3,664時間の勉強時間を2年でこなす場合:1日あたり約5時間
なお、上記の時間は一発合格した場合の勉強時間ですので、複数回受験することになればさらに勉強時間は増えていくことに注意してください。
Q4:大学生が公認会計士に合格するにはどんなスケジュールを立てればいいの?
大学生が公認会計士試験に合格するためには、次のようなスケジュールの立て方が有効です。
・短期(1日)・中期(2週間〜1ヶ月)・長期(3ヶ月程度)ごとにスケジュールを立てる。
・長期→中期→短期の順にスケジュールを立てる。
具体例を下記に示します。
長期:3ヶ月で短答式試験の4科目の基礎を完璧にする
中期:1ヶ月は財務会計論、管理会計論を中心にテキストを繰り返す
短期:今日は財務会計論の計算問題を中心に解く
このようにスケジュールを立てることには大きなメリットがあります。
・今日やるべき勉強の位置づけがはっきりし、モチベーションが高まる
・不測の事態により勉強が遅れてしまった場合でも、スケジュールを修正しやすくなる
公認会計士試験の勉強は長期に渡るため、モチベーションの維持や、勉強スケジュールを柔軟に変更するのは重要な要素です。
また、大学生の場合は授業・サークル・アルバイトなどと公認会計士試験の勉強を両立させる必要があります。
どちらかがおろそかになったりしないようなスケジュールを立てましょう。
Q5:社会人で公認会計士に合格するのって無理なの?
社会人で公認会計士試験に合格するのは、難易度は高いですが決して無理ではありません。
仕事が忙しい社会人なりの受験プランで勉強していけばよいのです。
具体的には、社会人で働きながらの場合は1日に確保できる勉強時間がかなり限られてしまいますので、2〜3年の長期プランで勉強していくのが現実的でしょう。
長期プランで一発合格者の平均勉強時間である3,664時間をこなす場合、1日あたりの勉強時間は以下のようになります。
・2年間で3,664時間勉強するには、1日あたり約5時間
・3年間で3,664時間勉強するには、1日あたり約3.3時間
Q6:公認会計士の短答式試験に合格するために必要な勉強時間は1000時間って本当?
複数のサイトや合格者のブログを調査したところ、短答式試験に合格するために必要な勉強時間は1,500時間〜2000時間だということがわかりました。
短答式試験は4つの科目で構成されていて、さらにすべての科目の出題数・出題範囲が莫大なため、非常に難易度の高い試験です。
その難易度から考えると、短答式試験に合格するためには4科目それぞれに対して数百時間の勉強が必要とされています。
以上のことから、1,000時間での合格というのは現実的ではないといえます。
Q7:公認会計士と簿記1級はどれくらい勉強時間が違うの?
公認会計士に一発合格した人の平均勉強時間は3,664時間です。
一方で簿記1級の場合は、3級〜1級合格までの勉強時間を合計すると約1,000時間になります。
(参考:資格の学校TAC 簿記の合格率と難易度・勉強時間は?くわしく解説します!)
単純計算で2,664時間の差がありますね。
ただし、簿記1級で出題される内容は、公認会計士試験でも問われます。
簿記1級を所持していれば、公認会計士試験を受ける上で大きなアドバンテージとなりますね。
まとめ:公認会計士試験に合格するために必要な勉強時間は?
この記事のまとめは以下のとおりです。
・公認会計士試験に合格するために必要な勉強時間は2,500〜5,000時間。
・合格するまでの受験回数が増えるほど勉強時間も増える。
・一発合格した人の平均勉強時間は3,664時間。
・1日の勉強時間は、何年かけて合格を目指すかによって決める。
・公認会計士試験に合格するまでの年数は1〜4年ほど。
公認会計士試験に合格するためには、2,500〜5,000時間という膨大な勉強時間が必要となります。
また、合格率は10%前後と非常に厳しく、合格するまでに数年かかるのも普通です。
しかし、公認会計士になることで得られる多大なメリットは、ここまでに紹介してきたとおりです。
公認会計士になるためにはとてつもない時間と労力がかかりますが、それでも目指す価値は間違いなくあるでしょう。
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