技術士の難易度と部門別ランキング!取得のメリットと合格率も紹介!

技術士とは、1983年制定の技術士法に基づく国家資格であり、取得すると科学技術に関するさまざまな業務を行得るようになります。

技術士は技術系資格の中でも最高峰の資格であると言われていますが、技術士を目指したい方の中には、「実際の技術士試験の難易度はどれくらいなんだろう…」と不安に思う方もいるかもしれません。

この記事では、技術士試験の合格率や必要な勉強時間などの面から、技術士試験の難易度について解説していきます。

技術士資格を取得したいと考えている方は、ぜひこの記事を参考にしてみてください。

また、技術士試験対策は通信講座の利用もおすすめです。

技術士 通信講座の詳細は以下のページでも紹介しているのであわせてご覧ください。

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目次

技術士とはどんな資格なの?

引用元:アガルート公式HP

では、技術士とはどのような資格なのでしょうか?

技術士は科学技術系の資格の中で最高峰の国家資格で、技術士の専門分野は21部門に分かれています。

技術士になるためには、第一次試験に合格するか指定の教育課程を修了した後、実務経験を積んだ上で第二次試験に合格する必要があり、

では、技術士とはどのような資格なのか、技術士になるにはどうしたらよいのかを解説していきましょう。

技術士は科学技術系で最高峰の国家資格

技術士とは、「科学技術に関する科学的専門知識」、「高等の専門的応用能力」、「豊富な実務経験」、および「高い技術者倫理」有していると国に認定された技術者のことです。

科学技術に関する様々な業務を行い、資格試験の難易度も高く、科学技術系の国家資格の中でも最高峰の資格と言われています。

技術士の専門部門の一覧は、以下の通りです。

1.機械部門 2.船舶・海洋部門 3.航空・宇宙部門
4.電気電子部門 5.化学部門 6.繊維部門
7.金属部門 8.資源工学部門 9.建設部門
10.上下水道部門 11.衛生工学部門 12.農業部門
13.森林部門 14.水産部門 15.経営工学部門
16.情報工学部門 17.応用理学部門 18.生物工学部門
19.環境部門 20.原子力・放射線部門 21.総合技術監理部門

(日本技術士協会公式HPより引用)

技術士の専門分野は建築部門、機械部門、情報工学部門など全部で21部門あり、科学技術分野をほぼ網羅しています。

技術士になるには?

技術士になるためには、修習技術者になった後、実務経験を積んでから技術士二次試験に合格し、技術士登録をする必要があります。

引用元:日本技術士会公式HP

修習技術者とは、「技術士第一次試験合格者、およびそれと同等と認められた者」で、「技術士補」となる資格を有する者のことです。

技術士第一次試験に合格するか、「JABEE認定過程」と呼ばれる指定された教育過程を修了することで修習技術者と名乗れます。

また、技術士第一次試験に合格した者、もしくは指定の教育機関における課程(JABEE認定過程)を修了した者が、「修習技術者」となり所定の手続きをすることで、技術士補の資格を得られます。

技術士第二次試験の受験資格を得るためには、修習技術者になってから、以下の3つのうちどれかの経路で実務経験を積む必要があります。

①技術士補として、技術士の指導の下で、4年(総合技術監理部門は7年)を超える実務経験。
※ 技術士補登録後の期間に限る。

②職務上の監督者の指導の下で、4年(総合技術監理部門は7年)を超える実務経験。
※ 技術士第一次試験合格後の期間、指定された教育課程修了後の期間に限る。

③指導者や監督者の有無・要件を問わず、7年(総合技術監理部門は10年)を超える期間の実務経験。
※ 技術士第一次試験合格以前の実務経験、指定された教育課程修了以前の実務経験も含む。

(日本技術士会公式HPより抜粋)

実務経験を積み、第二次試験に合格して技術士登録をすると、晴れて「技術士」を名乗れるようになります。

技術士試験の難易度はどれくらい?

引用元:アガルート公式HP

技術士は科学技術系で最高峰の国家資格といわれていますが、技術士試験の実際の難易度はどれくらいなのでしょうか?

技術士試験には第一次試験と第二次試験があり、第二次試験を受けるためには、第一次試験に合格又は指定の教育課程を修了した後、実務経験を積む必要があります。

第一次試験の合格率は年度によってばらつきがありますが、第二次試験に合格できるのは受験者のうち約1割にとどまっています。

第二次試験は、第一次試験に合格または指定の教育課程を修了し、かつ実務経験を一定年数積んでいる人が受験しているにもかかわらず、合格率が低くなっている現状があり、これが技術士技術系資格の中では最難関の資格と言われている理由だと考えられます。

ここでは、技術士試験の難易度を、第一次試験・第二次試験の合格率と各試験の偏差値からみて解説していきます。

技術士第一次試験の難易度・合格率

技術士第一次試験は受験資格がなく、誰でも受験できます。

ここでは、第一次試験の過去5年のデータと最新の部門別合格率のデータから、技術士第一次試験の難易度について解説します。

第一次試験全体の合格率は?

年度 受験者数(人) 合格者数(人) 合格率(%)
2023年 16,631 6,601 39.7
2022年 17,225 7,251 42.1
2021年 16,997 5,313 31.3
2020年 14,594 6,380 43.7
2019年 13,266 6,819 51.4

(日本技術士会の公式HPより引用)

第一次試験の合格率は、例年約30~50%で推移しており、年度によってばらつきがありますが、最新の令和3年度合格率は31.3%と過去5年間で一番低くなっています。

技術士試験専門予備校のJES、技術士講座を開講しているアガルートアカデミーの公式サイトの情報によると、第一次試験は科学技術系国家試験の中では難易度はやや難しいレベルであり、合格するには理科系統大学の教養課程程度の知識が必要です。

勉強せずに受験した場合はほとんどの人が不合格となるようなレベルの問題が出題されるため、過去問対策などの試験対策が不可欠といえます。

第一次試験の部門別合格率は?

令和5年度の部門別合格率をまとめました。

技術部門 受験申込者数 受験者数 合格者数 受験者に対する合格率(%)
1.機械部門 2,395 1,692 603 35.6
2.船舶・海洋部門 34 20 13 65.0
3.航空・宇宙部門 44 29 18 62.1
4.電気電子部門 1,897 1,310 501 38.2
5.化学部門 226 173 112 64.7
6.繊維部門 26 19 11 57.9
7.金属部門 122 89 47 52.8
8.資源工学部門 28 21 7 33.3
9.建設部門 11,891 8,738 3,209 36.7
10.上下水道部門 1,369 1,020 470 46.1
11.衛生工学部門 457 314 149 47.5
12.農業部門 915 736 314 42.7
13.森林部門 386 281 117 41.6
14.水産部門 125 85 34 40.0
15.経営工学部門 272 209 130 62.2
16.情報工学部門 756 591 368 62.3
17.応用理学部門 408 310 101 32.6
18.生物工学部門 167 122 77 63.1
19.環境部門 1,097 804 276 34.3
20.原子力・放射線部門 102 68 44 64.7
全部門合計 22,717 16,631 6,601 39.7

(日本技術士会の公式HPより引用)

第一次試験の合格率をみると、部門によって大きく異なっているのがわかります。

アガルートの技術士講座担当講師によると、部門別の専門科目に偏って難しい出題はなく、合格率が部門によって差が開いているのは、部門ごとの受験者数のばらつきの影響が大きいためと考えられます。

第一次試験に合格するために必要な勉強時間は?

技術士通信講座を開講しているアガルートによると、第一次試験に合格するためには、最低6か月(300時間程度)かけてじっくり対策をする必要があるとのことでした。

第一次試験は学習範囲が広く、基礎的な知識から応用知識まで広範囲に学ぶ必要があるため、過去問対策やわからない箇所の復習など、時間をかけて学習を進めるのがよいでしょう。

詳しくはアガルートのHPをご覧ください

アガルートのHPで技術士講座の詳細を見る

技術士第二次試験の難易度・合格率

技術士第二次試験は、第一次試験に合格又は指定の教育課程を修了した上で、一定の実務経験を積むことで受験資格を得られます。

第二次試験は筆記試験と口頭試験で行われ、全体・部門別ともに第一次試験より更に合格率が低くなっています。

第二次試験全体の合格率は?

年度 受験者数(人) 合格者数(人) 合格率(%)
2023年 22,877 2,690 11.8
2022年 22,489 2,632 11.7
2021年 22,903 2,659 11.6
2020年 20,365 2,423 11.9
2019年 24,326 2,819 11.6

(日本技術士会の公式HPより引用)

第二次試験の合格率は第一次試験とは違い、例年おおむね10%前後で推移しています。

第二次試験の受験者は一定年数の実務経験を積んでおり、第二次試験へ備えて試験対策を行ったうえで受験しているにもかかわらず上記のような合格率となっているため、技術士試験の難易度が相当高いことが伺えます。

第二次試験の部門別合格率は?

技術部門 受験申込者数(人) 受験者数(人) 合格者数(人) 受験者に対する合格率(%)
1.機械部門 1,040 866 156 18.0
2.船舶・海洋部門 17 15 3 20.0
3.航空・宇宙部門 45 38 6 15.8
4.電気電子部門 1,249 1,024 94 9.2
5.化学部門 150 129 24 18.6
6.繊維部門 42 35 10 28.6
7.金属部門 85 75 14 18.7
8.資源工学部門 30 23 1 4.3
9.建設部門 17,522 13,328 1,303 9.8
10.上下水道部門 1,921 1,425 146 10.2
11.衛生工学部門 568 443 62 14.0
12.農業部門 1,073 808 101 12.5
13.森林部門 336 270 49 18.1
14.水産部門 130 97 12 12.4
15.経営工学部門 234 189 23 12.2
16.情報工学部門 504 413 26 6.3
17.応用理学部門 688 575 58 10.1
18.生物工学部門 34 30 6 20.0
19.環境部門 519 413 45 10.9
20.原子力・放射線部門 74 63 8 12.7
21.総合技術監理部門 3,247 2,618 543 20.7
全部門合計 29,508 22,877 2,690 11.8

(日本技術士会の公式HPより引用)

合格率が最も高いのが繊維部門の28.6%ですが、電気電子部門(9.2%)と建設部門(9.8%)では合格率が10%を切っています。

部門別の結果を見ても、10人に1人か2人が合格できるかどうか、という難関資格だということがうかがえます。

第二次試験に合格するために必要な勉強時間は?

技術士講座を開講しているアガルートによると、受験を予定している技術部門とその選択科目に対する実務経験量によっても変わりますが、第二次試験に合格するためにはおよそ1000時間程度の勉強時間が必要だとされています。

アガルートの公式サイトには、実務経験7年間程度の専門技術者の場合、合格水準の論文体裁が完成するまでに最低600時間の記述練習が必要になるとの記載がありました。

第二次試験は、論文形式の筆記試験と面接形式の口頭試験からなっており、論文作法の習得から過去問による記述練習、添削指導を受けるなど、第一次試験よりも試験対策により時間をかける必要があります。

国家資格の難易度ランキングで見た技術士試験の偏差値は?

では、技術士資格の難易度を偏差値で例えるとどれくらいの偏差値になるのでしょうか?

国家資格の偏差値について、アガルートの公式サイトの情報を参考にまとめました。

偏差値 資格名称
68~ 司法試験・予備試験
65~67 不動産鑑定士・司法書士・弁理士
60~64 土地家屋調査士・中小企業診断士・社労士・行政書士・技術士第二次試験・通関士
55~56 技術士第一次試験・宅建・測量士

(アガルート公式サイトを参考に作成)

アガルート公式サイトの情報によると、技術士第一次試験の偏差値は55~56、技術士第二次試験の偏差値は60~64となっています。

大学入試に例えた場合、技術士第一次試験は中堅大学および地方国立大学と同じくらい、技術士第二次試験は明治大学、青山学院大学などMARCHレベルの大学と同じくらいの難易度といえます。

技術士試験は科学技術系資格の中では特に難易度が高く、上記の表からも、特に第二次試験はしっかりとした試験対策を必要であることがうかがえます。

技術士試験の難易度まとめ

試験 偏差値 合格率 勉強時間の目安
第一次試験 55~56 30~50%弱 300時間~
第二次試験 60~64 10%前後 1000時間~

アガルートの日比講師によると、第一次試験・第二次試験共に部門による出題の難易度に差はないとのことです。

技術部門間の難易度の差はありません。
技術部門で合格率の高低があるのは、合格率を算出する分母となる受験者数によります。
受験者が少ない技術部門の場合、比較的、合格率は高くなり、建設部門のように受験者が多い部門は、低くなるように見えます。

(引用元:アガルート公式HP)

第一次試験は、合格率が例年30~50%弱を推移しており、科学技術系国家試験の中ではやや難しいレベルの試験ですが、最低300時間以上の勉強時間を確保する必要があると考えられます。

一方、第二次試験の合格率は例年10%前後で、1000時間程度の勉強時間が必要だと考えられています。

部門別の合格率をみても、技術士試験は、10人に1人か2人合格できるかどうか、という難関試験であるということがいえるでしょう。

第二次試験は論文形式の筆記試験と口頭試験があり、高い思考力と出題趣旨を正確に理解する力、出題趣旨に対して的確かつ正確に応答・表現する論文作法が必要であるため、試験対策にかける時間も多く必要となり、第一次試験に比べて難易度も高くなっているのです。

アガルートの技術士講座の詳細は以下のページでご確認ください。

アガルートのHPで技術士講座の詳細を見る

技術士試験の部門別難易度は?

引用元:スタディング公式HP

では、技術士試験の部門別難易度はどれくらいなのでしょうか?

技術士試験は、受験する技術部門ごとに受験者数が大きく異なり、受験者数の違いが合格率の差にも影響していると考えられます。

ここでは、令和4年度の部門別受験者数と合格率から、部門別の難易度について解説していきます。

技術士試験の部門別受験者数ランキング

技術士試験の部門別受験者数について、令和4年度の部門別受験者数をまとめました。

受験者数(名) 部門名
10000~ 建設
1000~9999 総合技術監理、上下水道、電気電子
100~999 機械、農業、応用理学、衛生工学、環境、情報工学、森林、経営工学、化学、水産
1~99 金属、原子力・放射線、航空・宇宙、繊維、生物工学、資源工学、船舶・海洋

(日本技術士会公式HPを参考に作成)

令和4年度、技術士試験で受験者数が多かった部門は、「建設部門(13,026名)」「総合技術監理部門(2,735名)」「上下水道部門( 1,386名)」です。

特に建設部門については突出して受験者数が多くなっています。

一方、受験者数が少なかったのは「船舶・海洋部門(11名)」「資源工学(21名)」「生物工学(29名)」となっています。

技術士試験の部門合格率ランキング

合格率 部門名
20%~ 繊維、船舶・海洋、航空・宇宙
15~19% 金属、機械、生物工学、化学、森林、原子力・放射線、総合技術監督
11~14% 上下水道、資源工学、環境、農業、水産、衛生工学、経営工学、情報工学、応用理学
10%以下 電気電子、建設

(日本技術士会公式HPを参考に作成)

令和4年度の技術士試験で合格率が高かった部門は「船舶・海洋部門(27.3%)」「繊維部門(27.3%)」「船舶・海洋部門(20.0%)」です。

一方、合格率が低かったのは、「電気電子部門(9.7%)」「建設部門(9.7%)」です。

技術士試験の部門別難易度まとめ

技術士試験は部門によって受験者数がかなり差があることがわかりました。

また、合格率は「受験者に対する合格者の割合」のため、受験者が多ければそれだけ合格率も低く出る傾向があり、受験者数の差によって合格率にも差が出ています。

「合格率が低い=難易度が高い」とは一概には言えませんが、自分が受験する部門を決める上で、受験者数や合格率を参考にするのも良いかもしれません。

技術士の資格を取るメリットは?

引用元:アガルート公式HP

技術士の資格を取るメリット
・転職・独立に有利になる
・技術士同士のネットワークに参加し、他の技術士と人脈を築ける
・年収アップを目指せる
・他の国家資格を取得する際に有利になる

では、技術士の資格を取得するとどのようなメリットがあるのでしょうか?

技術士資格は、取得することで転職や独立に有利になるほか、他の国家資格を取得するときに役に立つ、人脈が広がる、年収アップが見込めるなどのメリットがあることがわかりました。

ここでは、技術士の資格を取るメリットについて、詳しく解説していきます。

転職・独立に有利になる

技術士は難関国家資格であり、科学技術に携わる技術者にとって最高峰の資格です。

技術士試験の難易度も高く、技術士資格を持っていることで、「優れた専門知識や技術力を持っている」という客観的な評価を受けられます。

技術士の資格を持っていることにより、転職・独立など、将来のキャリアを考える上でとても役に立つと考えられます。

技術士同士のネットワークに参加し、他の技術士と人脈を築ける

技術士試験に合格し晴れて技術士になると、「日本技術士会」をはじめ、各企業・出身大学独自の「技術士会」に入会できます。

技術士同士のネットワークに入ることで、新しい人脈が築けたり、自分の専門外のことを各分野の専門家に相談できたり、他分野の技術士を通じて新たな仕事を得られるといったメリットがあります。

年収アップを目指せる

先述の通り、技術士は科学技術系で最高峰の国家資格です。

取得する難易度が高いこともあり、技術士の資格を取得していることで勤務先から高く評価され、資格手当が支給される会社もあります。

実際に技術士の資格手当について調査した結果が以下の通りです。

企業 求人内容 年収/月給 資格手当 勤務地
A社 建設コンサルタント(技術士:港湾及び空港) 500万~900万程度/月額215,000円 総合技術監理…70,000円
技術士…50,000円
東京都内
B社 建設コンサルタント技術者(「技術士建築部門:道路」の有資格者限定、経験者のみ募集) 500~700万円/月額25~60万円 技術士…30,000円 宮城県(都内在住者はテレワーク・在宅勤務可)
C社 土木技術者 380~660万円/200,000円~383,500円 資格手当:最大6万円 東京都・埼玉県・千葉県・神奈川円・群馬県・栃木県・茨城県・長野県・新潟県

(公開されている求人情報を参考に作成)

アガルートの調査によると、技術士の資格手当として月額で3~10万円が支給される会社も珍しくなく、技術士資格取得時に一時金が支給されることもあるようです。

資格をもっていることで年収がアップしたり、昇進しやすくなったり、今よりも年収が高い職場に転職しやすくなるというメリットもあります。

他の国家資格を取得する際に有利になる

技術士の資格を取得している、または技術士第二次試験に合格していると、他の国家試験を受験する際に優遇制度が設けられています。

例えば、気象予報士では学科試験免除、弁理士では論文試験免除など、他の国家資格を受験する場合に一部の科目が免除になります。

ただし、優遇制度を受けるためには様々な条件があるため、詳しい条件は日本技術士会の公式サイトにある「国家資格試験の受験・免除規定(技術士の特典)」をご確認ください。

日本技術士会の公式サイトで情報を見る

技術士試験に合格するための勉強のコツは?

引用元:アガルート公式HP

技術士試験に合格するための勉強のコツ
1.自分のレベルに合った参考書を選ぶ
2.過去問を繰り返し解いて出題の意図を理解する
3.知識をインプットしたら、アウトプットを重視して学習を進める
4.技術士試験合格へは通信講座の受講がおすすめ

技術系資格の最高峰と言われる技術士試験に合格するためには、どのように勉強を進めればよいでしょうか?

技術士試験に向けての勉強方法としては、市販の参考書・問題集を使って学習を進める方法や、通信講座を受講する方法などがあります。

では、技術士試験に合格するための勉強のコツについて、詳しくみていきましょう。

1.自分のレベルに合った参考書を選ぶ

まず、第一次試験対策として、現在の自分のレベルに合った参考書を選び試験対策を行う必要があります。

最新の試験内容に沿った学習ができるよう、参考書を選ぶ際には、受験する部門に対応した最新版のものを選ぶようにしましょう。

ここでは、第一次試験対策におすすめの参考書を3冊紹介します。

技術士 第一次試験問題集 基礎・適性科目パーフェクト

引用元:Amazon

こちらの参考書は、学習効率を徹底的に追求した技術士試験対策書で、合格ラインを最短・最速でクリアするためのノウハウが詰め込まれています。

15年分の豊富な過去問で試験対策ができ、出題傾向をしっかり分析し、各問題の重要度や合格に近づける学習方法などがわかりやすく解説されています。

また、最新のトレンドを含めた予想問題もダウンロードできるため、試験に向けて問題練習をしたい方にもおすすめの1冊です。

技術士 第一次試験 出るとこだけ! 基礎・適性科目の要点整理

引用元:Amazon

こちらの参考書は、技術士第一次士試験の基礎科目・適正科目を徹底的に分析し、効率良く確実に得点力が身につくように構成されています。

携帯しやすいコンパクトなサイズでスキマ時間に学習を進められます。

更に重要な用語や公式、定理などがテーマ別に整理されているため、頻出テーマの過去問題を解くことで効率よく学習を進められるでしょう。

初めて第一次試験に挑戦する方、効率的に得点力をつけたい方、試験直前まで得点力をアップさせたい方におすすめです。

技術士第一次試験基礎・適性科目完全解答

引用元:Amazon

最新7回分の過去問題・模範解答が収録された1冊で、丁寧な解説と豊富な図解が特徴の過去問題集です。

平成23年度から令和3年度までに出題された基礎科目210問、適正科目105問の全問題と模範解答を収録しています。

近年の基礎科目・適正科目では、過去問題や過去に出題された問題と類似する問題が多く出題されているため、過去問対策にぴったりの1冊です。

2.過去問を繰り返し解いて出題の意図を理解する

第一次試験の試験対策では、数年分の過去問をくり返し解いて、出題の傾向を分析して出題の意図を理解することが大切です。

アガルートによると、過去問で学習するときのポイントは以下の通りです。

・何度も繰り返し過去問題を解く
・合否基準を意識した学習時間の配分
・実際の解答時間に合わせて解く

(アガルート公式HPより引用)

繰り返し過去問を解き、頻出テーマなどをまとめて出題傾向をつかむことが、第一次試験だけでなく第二次試験の試験対策としても有効となります。

また、過去問を解く際には時間配分を考えながら解くと試験当日の対策にもなるため、試験時間内で問題を解き終えられるか、意識しながら過去問を解いてみるとよいでしょう。

3.知識をインプットしたら、アウトプットを重視して学習を進める

技術士に必要な知識を身につけたら、所定の方法で実務経験を積み、第二次試験に向けて学習を進める必要があります。

第二次試験の受験資格を持つ人は実務経験を積んでいるため、専門知識が足りないということはないと予想されますが、論文形式の第二次試験に対応するためには、知識を詰め込むだけではなく、論理的でわかりやすい文章を書けるようにならなければなりません。

アガルート公式サイトの情報によると、第二次試験に合格するためのポイントは、出題問題の趣旨と設問要求事項を正確に読み取る力と、的確かつ正確な記述応答の仕方を身に着けて、論文作成技術を習得することです。

論文作成技術を身に着けるためには、問題文の技術士有資格者から論文の添削を受けることが望ましいでしょう。

また、より実践的な学習をするために、筆記試験・口頭試験ともに通信講座などの模擬試験を受けるのもよいでしょう。

4.技術士試験合格へは通信講座の受講がおすすめ

技術士試験は試験範囲が広く、最低でも4年の実務経験が必要なため、長期間に渡って勉強に取り組む必要があります。

学習へのモチベーションの維持や、勉強のスケジュール管理が難しい、または苦手な方は、通信講座を利用するのがおすすめです。

また、第二次試験は難関試験であり、論文形式の筆記試験と面接形式の口頭試験の2段階で試験が行われます。

そのため、独学での学習よりも、プロの講師による解説や添削等のサポートを受けながら学習を進めることで、早く合格に近づけるでしょう。

技術士試験対策ができる通信講座として、特におすすめなのが、スタディングとアガルートの技術士講座です。

通信講座 講座名 受講費用
スタディング 技術士二次試験合格コース(講座・テキストのみ) 29,700円(税込)
技術士二次試験合格コース(添削・質問カード付) 69,300円(税込)
アガルート 第一次試験対策講座/基礎科目・適性科目 12,980円(税込)
第二次試験合格カリキュラム(20部門) 32,780円(税込)
※講義・テキストのみ
65,780円(税込)
※添削・口頭模擬試験付き
第二次試験合格カリキュラム(総合技術監理部門) 38,280円(税込)
※講義・テキストのみ
82,280円(税込)
※添削・口頭模擬試験付き
口頭試験対策講座(20部門・総合技術監理部門) 38,500円(税込)

ここでは、スタディングとアガルートの技術士講座について詳しく解説していきます。

スタディングの技術士講座

引用元:スタディング公式HP

スタディングの技術士講座は、技術士試験の第二次試験対策を専門に行っている講座です。

スタディングはオンラインに特化した講座であり、講義動画はスマホ1台あれば視聴できるため、通勤・通学のスキマ時間で効率的に学習を進められます。

受講費用についても、第二次試験対策の通信講座の中ではかなり安く講座内容も充実しており、非常にコスパの良い講座だといえます。

また、スタディング技術士講座では筆記試験対策も非常に充実しており、基本講義のほかに添削課題で論文の添削指導を受けられます。

引用元:スタディング公式HP

専任講師から直接添削指導を受けられるため、筆記試験合格に向けて十分な対策ができ、大変魅力的な講座であるといえます。

筆記試験対策から口頭試験対策までを独学で行うことはなかなか難しいものの、スタディング技術士講座では、出願時の申込書の書き方から試験対策まで手厚いサポートがあり、受講者からも高い評価を得ています。

また、スタディングの技術士講座を受講して試験に合格した場合、合格お祝い金10,000円を受け取れできます。

スタディングの技術士講座について詳しい情報を知りたい場合は、スタディングの公式サイトの情報をご確認ください。

スタディングの公式HPで講座の詳細を見る

アガルートアカデミーの技術士講座

引用元:アガルート公式HP

アガルートの技術士講座は、2021年に開講されたばかりのオンライン講座で、第一次試験、第二次試験それぞれに対応した講座を開講しています。

論文の添削サービスやFacebookによる回数無制限の質問制度など、受講生のフォロー体制が充実していますが、受講料はリーズナブルで受講しやすい講座であるといえます。

筆記試験、口頭試験の対策ができ、添削・口頭模擬試験付きカリキュラムの場合は、更に論文の添削やオンラインでの口頭試験の模擬試験を受けられます。

また、アガルート技術士講座の特徴として、講座を受講して合格した場合、受講費用の全額返金又は合格お祝い金30,000円を受けられる合格特典があります。

引用元:アガルート公式HP

アガルートの合格特典を受けるには条件がありますが、お祝い金が30,000円もらえる、または受講費用が全額返金されるという特典は大変魅力です。

「技術士講座を受けたいけれど費用面で心配がある…」という場合でも、学習へのモチベーションを保ちながら学習を進めやすいでしょう。

アガルートの技術士講座について詳しい情報を知りたい場合は、アガルート公式サイトの情報をご確認ください。

スタディングの公式HPで講座の詳細を見る

 

また、技術士資格を取得するのにおすすめの通信講座については、こちらの記事もぜひご覧ください。

技術士の通信講座おすすめランキング

技術士試験の概要は?

引用元:スタディング公式HP

技術士試験について、試験日程や受験資格、受験料などの情報を調査しました。

第一次試験 第二次試験
受験資格 なし 技術士第一次試験に合格した方、またはJABEE認定過程を修了した方
試験日程 受験申込初の配布開始:6月中旬頃
受験申込書の受付:6月下旬~7月初旬頃
筆記試験:10月中旬頃
合格発表:12月中旬頃
受験申込書の配布開始:4月初旬頃
受験申込書の受付:4月中旬~4月下旬頃
筆記試験:7月中旬頃
筆記試験合格発表:10月下旬
口頭試験(筆記試験合格者のみ):11月下旬~翌年1月
合格発表:翌年3月上旬
受験料 11,000円
※非課税
1技術部門につき14,000円
※非課税
試験科目 マークシート形式の筆記試験(五肢択一式)で実施

・基礎科目
・適正科目
・専門科目

筆記試験
口頭試験(筆記試験合格者のみ)
試験の一部免除 ・旧制度での二次試験合格による一部免除
・資格保有による一部免除 など
・総合技術監理部門に関して科目の免除あり

第一次試験と第二次試験では、受験資格や試験日程などが異なるので、受験申込の時期など、試験の概要について確認しておく必要があります。

では、技術士第一次試験と第二次試験について、受験資格等の概要についてみていきましょう。

技術士第一次試験の概要

ここでは、技術士第一次試験の概要について詳しく解説していきます。

技術士第一次試験の受験資格

技術士第一次試験には、受験資格はありません。

年齢・学歴・業務経歴などによる制限はなく、誰でも挑戦できます。

試験日程・試験会場

第一次試験の例年の試験日程は、以下の通りです。

受験申込書の配布開始 6月中旬頃
受験申込書の受付 6月下旬~7月初旬頃
筆記試験 10月中旬頃
合格発表 12月中旬頃

令和5年度の第一次試験の試験日程は、以下の通りです。

受験申込書等配布機関:令和5年6月9日(金)~6月28日(水)
受験申込受付期間:令和5年6月14日(水)~6月28日(水)
筆記試験:令和5年11月26日(日)
合格発表:令和6年2月頃

また、第一次試験は以下の都道府県にて行われます。

北海道、宮城県、東京都、神奈川県、新潟県、石川県、愛知県、大阪府、広島県、香川県、福岡県、沖縄県

※各都道府県の試験会場については、別途公告されます。

試験会場については、受験者があらかじめ試験地を選択し、選んだ試験地における試験会場が受験者本人宛に別途通知されます。

受験料

第一次試験の受験料は、11,000円(非課税)です。

試験科目

第一次試験は、五肢択一のマークシート方式の筆記試験で行われます。

第一次試験は、総合管理部門を除いた20の技術部門について行われ、基礎科目・適正科目・専門科目があります。

基礎科目と適正科目については全技術部門で共通です。

試験の一部免除について

技術士第一次試験には、一部試験の免除制度があります。

例として、旧制度(平成14年度以前)の技術士第二次試験に合格している場合には、第一次試験が一部免除になります。

その他、第一次試験の免除制度については、日本技術士会の公式サイトの情報をご確認ください。

日本技術士会の公式サイトで試験の詳細を見る

技術士第二次試験の概要

次に、技術士第二次試験の概要についてみていきます。

技術士第二次試験の受験資格

技術士第二次試験の受験要件は、大きく分けて「技術士補となる資格を有していること」「規定以上の実務経験を有していること」の2つです。

技術士補となる資格は、第一次試験に合格、または指定された教育課程(JABEE認定過程)を修了して修習技術者になると得られます。

また、第二次試験については、受験を申し込む時点で最大10年の実務経験が必要となります。

実務経験の期間については、受験する技術部門と、実務経験をどのように積むかによって変わってくるため、日本技術士会の公式サイトの情報をご確認ください。

日本技術士会の公式サイトで受験資格の情報を確認する

試験日程・試験会場

第二次試験の試験日程については、およそ以下の通りです。

受験申込書の配布開始 4月初旬頃
受験申込書の受付 4月中旬~4月下旬頃
筆記試験 7月中旬頃
筆記試験合格発表 10月下旬
口頭試験(筆記試験合格者のみ) 11月下旬~翌年1月
合格発表 翌年3月上旬

また、令和5年度の第二次試験の試験日程は以下の通りです。

受験申込書の配布開始:令和5年3月27日(月)から4月17日(月)
受験申込書の受付:令和5年4月3日(月)から4月17日(月)
筆記試験:総合技術監理部門の必須科目→令和5年7月16日(日)
総合技術監理部門を除く技術部門及び総合技術監理部門の選択科目→令和5年7月17日(月・祝)
筆記試験合格発表:令和5年10月に合否を通知
口頭試験(筆記試験合格者のみ):令和5年12月から令和6年1月までの間で、受験者に別途通知する日
口頭試験合格発表:令和6年3月に技術士第二次試験合格者として官報で公告、本人宛に合格証を送付する

また、試験会場については、筆記試験と口頭試験でそれぞれ異なります。

第二次試験の筆記試験は、第一次試験と同様、「北海道、宮城県、東京都、神奈川県、新潟県、石川県、愛知県、大阪府、広島県、香川県、福岡県、及び沖縄県で行われ、試験地における会場は本人に別途通知されます。

また、口頭試験は東京都の試験会場で行われ、日時や会場については、受験者に別途通知されます。

受験料

技術士第二次試験の受験料は、14,000円(非課税)です。

試験科目

第二次試験は、21の技術部門について、必須科目と選択科目により行われます。

試験の一部免除について

第二次試験に関しては、総合技術監理部門を受験する場合には免除規定があります。

既に総合技術監理部門以外のいずれかの技術部門の第二次試験に合格している受験者が、すでに合格している技術部門に対応する選択科目で総合技術監理部門を受験する場合、試験科目のうち選択科目が免除されます。

第二次試験の免除規定についての詳細は、日本技術士会の公式サイトの情報をご確認ください。

日本技術士会の公式サイトで試験の詳細を見る

技術士第一次試験の試験内容

引用元:アガルート公式HP

技術士第一次試験は、受験する技術部門の専門知識があるかどうかを判定するための試験です。

五肢択一のマークシート形式の筆記試験が行われます。

では、第一次試験の試験内容と合格基準について詳しく見ていきましょう。

試験内容

第一次試験の科目は、「基礎科目」「適性科目」「専門科目」です。

基礎科目・適正科目の出題科目は全技術部門で共通です。

専門科目は、総合技術監理部門以外の20の技術部門から一つを選択します。

総合技術監督部門は、当分の間第一次試験は実施されません。(日本技術士会公式HPの第一次試験実施要項より)

ここでは、第一次試験の各科目について解説していきます。

基礎科目

基礎科目では、科学技術全般にわたる基礎知識が問われます。

基礎科目で出題される問題は全技術部門で共通であり、出題分野は以下の通りです。

1.設計・計画に関するもの(設計理論、システム設計、品質管理等)
2.情報・論理に関するもの(アルゴリズム、情報ネットワーク等)
3.解析に関するもの(力学、電磁気学等)
4.材料・科学・バイオに関するもの(材料特性、バイオテクノロジー等)
5.環境・エネルギー・技術に関するもの(環境、エネルギー、技術史等)

上記の5つの分野からそれぞれ6問、計30問が出題され、受験者は5つの分野から3問ずつ選択して計15問を解答します。

適性科目

適性科目は、技術士法第四章(技術士等の義務)の規定の遵守に関する内容を問われます。

出題される問題は全技術部門共通で、全15問が出題され、全問回答する必要があります。

専門科目

専門科目は、選択した技術部門の基礎知識と専門知識を判定する内容が問われます。

技術部門に関しては、総合技術監理部門以外の20技術部門の中から1技術部門を選択します。

出題数はすべての技術部門で35問ですが、出題内容は受験する技術部門ごとに異なります。

受験者は、出題される35問の中から25問を選択し解答します。

第一次試験の合格基準

基礎科目と適性科目、専門科目のすべての科目で50%以上の得点が必要となります。

科目 試験時間 問題数/配点 合格ライン
基礎科目 1時間 30問から15問を選択して解答/15点満点(1問1点) 8問以上
適性科目 1時間 15問/15点満点(1問1点) 8問以上
専門科目 2時間 35問から25問を選択して解答/50点満点(1問2点) 13問以上

3科目の合計で50%以上の正答率だったとしても、3科目のうちどれか一つでも正答率が50%未満になると不合格となってしまうため注意しましょう。

技術士第二次試験の試験内容

引用元:スタディング公式HP

第二次試験は技術士になるための最終試験であり、技術系資格試験の中では最難関といわれている試験です。

筆記試験と口頭試験があり、筆記試験の合格者のみが口頭試験へ進めます。

試験は21の技術部門について行い、必須科目および選択科目により行われますが、総合技術監理部門とそれ以外の20部門で試験内容が異なります。

ここでは、総合技術監理部門とそれ以外の20技術部門、それぞれの試験内容について解説していきます。

総合技術監理部門の試験内容

試験 試験科目 試験内容・試問事項 試験時間・試問時間 配点
筆記試験 必須科目 総合技術監理部門に関する課題解決能力及び応用能力 択一式…2時間
記述式…3時間30分
択一式…50点
記述式…50点
選択科目 総合技術監理部門以外(20部門)の技術部門の必須科目および選択科目 必須科目…2時間
選択科目…3時間30分
※20部門の必須科目および選択科目と同じ
必須科目…40点
選択科目…60点(30点×2問)
口頭試験
※筆記試験合格者のみ
必須科目 総合技術監理部門の必須科目に関する、技術士として必要な専門知識及び応用能力 20分 経歴および応用能力…60点
体系的専門知識…40点
選択科目 1.技術士としての実務能力
2.技術士としての適格性(20部門の口頭試験と同じ)
20分 コミュニケーション・リーダーシップ…30点
評価、マネジメント…30点
技術者倫理…20点
継続研さん…20点

ここでは、技術士第二次試験の筆記試験・口頭試験について、それぞれの試験内容を解説していきます。

筆記試験

第二次試験の筆記試験は、論文形式で行われ、「必須科目」と「選択科目」が2日間に分けて実施されます。

必須科目では、総合管理部門に関する課題解決能力及び応用能力が問われ、択一式の問題と、記述式の問題があり、記述式の問題では、答案は600字×5枚以内の論文として解答を作成します。

また、総合技術監理部門の選択科目の出題内容は、20部門の筆記試験(必須科目と選択科目)と同じです。

受験する総合技術監理部門と同じ技術部門(選択科目)の第二次試験にすでに合格している場合には、選択科目の受験が免除されます。

全ての試験で配点の60%以上を得点すると、筆記試験に合格すでき、合格者のみが口頭試験へ進めます。

口頭試験

総合技術部門の口頭試験は、20部門の口頭試験に総合技術監理部門としての必須科目が追加された内容で、試験時間は必須科目と選択科目でそれぞれ20分です。

筆記試験と同様、受験する総合技術監理部門と同じ技術部門(選択科目)の第二次試験にすでに合格している場合には、選択科目の受験が免除されます。

全ての諮問事項について、配点の60%以上を得点すると口頭試験合格となり、晴れて技術士と名乗れるようになります。

20部門の試験内容

試験 試験科目 試験内容・試問事項 試験時間・試問時間 配点
筆記試験 必須科目 1.「技術部門」全般にわたる専門知識、応用能力、問題解決能力及び課題遂行能力に関するもの 2時間 40点
選択科目 2.「選択科目」についての専門知識及び応用能力に関するもの
3.「選択科目についての問題解決能力及び課題遂行能力に関するもの
3時間30分 各30点(60点満点)
口頭試験
※筆記試験合格者のみ
技術士としての実務能力
1.コミュニケーション、リーダーシップ
2.評価、マネジメント
20分 各30点(60点満点)
技術士としての適格性
3.技術者倫理
4.継続研さん
各20点(40点満点)

では、総合技術監理部門以外の20部門の筆記試験・口頭試験について、それぞれの試験内容を解説していきましょう。

筆記試験

筆記試験は総合技術監理部門と同様論文形式で、「必須科目」と「選択科目」があります。

総合技術監理部門とは異なり、すべての問題が記述式で出され、問題の答案は600字×3枚以内の論文として作成します。

必須科目では、申込時に選択した技術部門に関する内容が問われ、問題数は1つです。

選択科目は問題数が2つであり、申込時に選択した選択科目に関する内容を問われます。

全ての試験で配点の60%以上を得点すると筆記試験に合格でき、口頭試験へ進めます。

口頭試験

面談形式の試験で、20分間の試験中に試問事項が質問され、受験者は口頭で解答します。

全ての諮問事項について配点の60%以上を得点すると口頭試験合格となります。

第二次試験の合格基準

筆記試験は、全ての試験で配点の60%以上を得点すると合格となります。

また、口頭試験についても同様に、べての試問事項について配点の60%以上を得点すると合格となります。

技術士試験合格を目指す場合には、通信講座の受講もおすすめです。

技術士の難易度についてのよくある質問

技術士の難易度についてのよくある質問
・技術士試験の大学別合格率は?
・技術士試験の建設部門の難易度は?
・技術士試験の衛生工学部門の難易度は?
・技術士試験は簡単になったの?
・技術士試験は独学でも合格できる?
・技術士に向いている人はどんな人?

技術士の難易度について、よくある質問をまとめました。

技術士試験の大学別合格率は?

最新の大学別合格率に関してはデータがありませんでしたが、日本大学の公式サイトにて、平成29年度の大学別合格者数一覧が公表されています。

平成29年度の技術士第一次試験の大学別合格者数一覧は、以下の通りです。

大学名 合格者数
日本大学 486
京都大学 249
中央大学 241
東京大学 220
早稲田大学 209
九州大学 190
北海道大学 189
東京工業大学 147
東北大学 146
大阪大学 145

(日本大学公式サイト「参考:大学技術士会連絡協議会からの引用<平成29年度>」より引用)

次に、平成29年度技術士第二次試験の大学別合格者数一覧は、以下の通りです。

大学(最終学歴順位) 合格者数
京都大学 142
日本大学 121
北海道大学 121
九州大学 121
東京大学 115
東北大学 108
早稲田大学 90
東京工業大学 85
大阪大学 76
名古屋大学 61
東京理科大学 61
大阪工業大学 51
金沢大学 46
立命館大学 46
熊本大学 45

(日本大学公式サイト「参考:大学技術士会連絡協議会からの引用<平成29年度>」より引用)

技術士試験合格者の最終学歴順位を見ると、いわゆる差値の高い大学が上位に来ているのがわかります。

技術士試験の建設部門の難易度は?

技術士試験の建設部門は、第一次試験の合格率が40%前後を推移していますが、第二次試験の合格率は10%前後です。

技術士試験の建設部門は、21ある技術部門の中で受験者数が最も多く人気のある部門です。

受験者が多ければそれだけ合格率も低く出る傾向がありますが、建設部門の合格率は例年10%前後で、過去5年間の中では6.3%まで下がった年もあり、合格率から見ると、建設部門は難易度が高い部門と言えるでしょう。

技術士試験の衛生工学部門の難易度は?

技術士試験の衛生工学部門は、第一次試験の合格率が過去5年間の合格率が35~54%程度で推移していますが、第二次試験の合格率は高い年で10%前後です。

第二次試験の合格率は、平成29年度は6.6%、令和2年度は7.6%、と10%を大きく下回ることもあり、合格率から見ると、技術士試験の衛生工学部門は難易度が高いといえるでしょう。

技術士試験は簡単になったの?

技術士試験の合格率の面からみると、技術士試験は簡単になってはいないと考えられます。

技術士試験の過去5年間の合格率の推移を見てみると、平成29年は13.3%あった合格率が、令和3年度は11.6%になっており、平成30年度には9.1%となり10%を下回ることもありました。

また、受験者数が少しずつ増加しているにもかかわらず合格者数は減っているというデータもあり、技術士試験は簡単にはなっていないと考えられます。

技術士試験は独学でも合格できる?

独学での合格は不可能ではありませんが、通信講座やスクールを利用するのがおすすめです。

技術士になるための勉強は、数週間、数か月という短い期間ではなく、1年以上の準備期間が必要であり、その間仕事や家事などと両立しながら学習を進める必要があります。

また、独学で資格取得を目指す場合、自分で参考書や問題集を用意し、学習スケジュールを自分で立てて計画的に勉強を進めなければなりません。

更に、長い期間試験勉強へのモチベーションを維持しなければならないため、技術士試験へ向けて独学で受験勉強を続けるのは大変難しいと考えてよいでしょう。

自分で計画を立てて勉強するのが難しい、あるいは苦手な人は、通信講座やスクールを利用するのがおすすめです。

技術士の通信講座についてまとめた記事があるで、ぜひ参考にしてみてください。

技術士に向いている人はどんな人?

高い倫理観を持ち、長期的に努力を続けられる人が、技術士に向いていると考えられます。

技術士になると、「技術士」の肩書を使用できる一方で。3つの義務と2つの責務を負う必要があり、これを「技術士の3義務2責務」と言います。

「技術士の3義務2責務」は技術士試験の中で問われることがあり、内容は以下の通りです。

3義務
・信用失墜行為の禁止(技術士法第44条)
・秘密保持義務(技術士法第45条)
・名称表示の場合の義務(技術士第46条)

2責務
・公益確保の責務(技術士法第45条の2)
・資質向上の責務(技術士法第47条の2)

これらの義務・責務に違反すると、技術士法の規定により技術士登録を取り消されることもあるため、高い倫理観を持って、義務や責務を順守できる人が技術士に向いていると考えられます。

また、『技術士法』の中では、「技術士は、業務に関して有する知識及び技能の水準を常に向上させ、資質の向上に努めなければならない」と定められています。

つまり、技術士の資格が取れたらそこで終わりではなく、常に新しい情報を集め、自分の知識や技能を向上させる努力を続ける必要があるのです。

「技術士の3義務2責務」を順守する高い倫理観と、常に最先端の情報を学び続ける向上心を持った人が技術士に向いているといえるでしょう。

まとめ:技術士の難易度は?

技術士の資格は、科学技術系では最高峰の資格であり、10人に1~2人が合格できるかどうかの難関資格であることがわかりました。

技術士を目指すためには、修習技術者になったのちに実務経験を積んだ上で第二次試験に合格する必要があり、仕事や家事と両立しながら、長期間に渡り試験勉強を行っていかなければなりません。

技術士資格の取得を目指す方は、ぜひこの記事を参考にして、技術士資格取得に向けた勉強方法を検討してみてくださいね。

技術士試験に向けての勉強が不安な場合は、プロの講師による論文添削や指導が受けられる通信講座の利用がおすすめです。

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