中小企業診断士はやめとけ?取ったけど使えないという噂についても調査!

経営に関して幅広い知識を得られるため、将来的に独立も目指せる「中小企業診断士」。

資格取得までのハードルは決して低くはありませんが、その優位性から資格取得を目指す人も少なくありません。

にも関わらず、ネット上では「中小企業診断士 やめとけ」や「中小企業診断士取ったけど・・・」といわれることが多いようです。

どうして「やめとけ」といわれているのか?疑問に思う方も多いですよね。

本記事では本当に中小企業診断士は「やめとけ」といわれるような資格なのか徹底検証します。

本記事を最後まで読めば、中小企業診断士が「やめとけ」といわれている理由が理解できるようになります。

現在資格取得を目指して勉強している方や、これから挑戦しようか悩んでいる方にとっては、疑問や不安を解消できるはずです。

中小企業診断士の試験対策は通信講座や予備校での学習もおすすめです。

中小企業診断士 通信講座は以下の記事で解説をしています。

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目次

そもそも中小企業診断士ってどんな資格?

そもそも中小企業診断士ってどんな資格?
  • 中小企業診断士の業務
  • 中小企業診断士の役割

まずはじめに、中小企業診断士がどのような資格なのか紹介していきます

中小企業診断士は、中小企業の経営課題に対応するための診断・助言を行う専門家です。
中小企業診断士制度は、中小企業者が適切な経営の診断及び経営に関する助言を受けるに当たり、経営の診断及び経営に関する助言を行う者の選定を容易にするため、経済産業大臣が一定のレベル以上の能力を持った者を登録するための制度です。

(引用元:中小企業診断協会公式HP)

中小企業診断士とは、中小企業を対象に経営課題に関する診断や助言を行う経営面の専門家です。

日本を支える中小企業を経営面からサポートする大きな役割を担っているため、それに相応しい能力が求められます。
そして、その役割を担う能力があるかどうかを問う試験が中小企業診断士試験です。

日本経済新聞社と就職・転職情報サービスの日経HRは共同で、ビジネスパーソンを対象に新たに取得したい資格(語学検定含む)を調査した。首位は中小企業診断士で前年の6位から大きく順位を上げた。

取りたい資格で首位の中小企業診断士は経営コンサルタントを認定する唯一の国家資格で、中小企業の経営診断・助言を担う。合格率約4%と難易度は高いが、経営全般に関わる知識を習得できるため会社員や公務員など幅広い業種で人気を集めている。将来のポストに不安感を抱く会社員らが、昇格や独立への備えとして取得するケースが増えていると見られる。

(日本経済新聞 2016年1月12日付より引用)

日本経済新聞、日経Bizアカデミーと日経キャリアマガジンが共同で行った「ビジネス系資格・語学調査」の結果、「ビジネスパーソンが新たに取得したい資格」 第1位に中小企業診断士が選ばれています。

1位に選ばれた理由としては、経営全般に関わる知識を習得できる点や本業での昇格や独立への備えとして活用できる点が挙げられています。

これらのことから、中小企業診断士は社会的に大きな役割を担う、ビジネスパーソンにも高い人気を誇る資格といえます。

中小企業診断士の業務

中小企業診断士の業務は、中小企業支援法で「経営の診断及び経営に関する助言」とされています。
「現状分析を踏まえた企業の成長戦略のアドバイス」が主な業務ですが、その知識と能力を活かして幅広く活躍しています。

(引用元:中小企業診断協会公式HP)

中小企業診断士の主な業務内容は経営の診断及び経営に関する助言、現状分析を踏まえた企業の成長戦略のアドバイス等の経営コンサルティング業務です。

コンサルティング業務は専門家としての知識もそうですが、クライアントとのやり取りにはコミュニケーション能力も求められます。

また、文書作成の際の正確性や自主的な発信力など、中小企業診断士の資格を活かすには知識だけでなく様々な能力が必要です。

一方で、フリーランスとして個人で中小企業診断士の活動をしている方のなかには、セミナーでの講演や執筆活動などメインの経営コンサルティング業務以外の仕事を行っている方もいるようです。

資格取得後の活躍の幅が広いことも、中小企業診断士の業務の特徴といえますね。

中小企業診断士の役割

中小企業診断士は、まず企業の成長戦略の策定について専門的知識をもってアドバイスします。また、策定した成長戦略を実行するに当たって具体的な経営計画を立て、その実績やその後の経営環境の変化を踏まえた支援も行います。このため、中小企業診断士は、専門的知識の活用とともに、企業と行政、企業と金融機関等のパイプ役、中小企業への施策の適切な活用支援まで、幅広い活動に対応できるような知識や能力が求められています。

(引用元:中小企業診断協会公式HP)

中小企業診断士の役割はその名の通り、中小企業を対象に経営課題に関する分析や助言をすることで、中小企業の成長を経営面からサポートすることです。

中小企業診断協会公式HPには、中小企業診断士の役割として明記されている内容のなかに、「専門的知識の活用とともに、企業と行政、企業と金融機関等のパイプ役、中小企業への施策の適切な活用支援まで、幅広い活動に対応できるような知識や能力が求められています。」と書かれています。

この、「幅広い活動に対応できるような知識や能力」とは具体的にどのような内容なのかを見ていきましょう。

一般的には、中小企業診断士は以下のような流れで経営コンサルタントの業務を行っていきます。

  1. 依頼
  2. 調査・ヒアリング
  3. 経営診断報告書の提出
  4. 提案の実施

(引用元;LEC東京リーガルマインド公式HP)

まずはじめに依頼を受けてからスタートする経営コンサルティング業務は、クライアントから提出された資料やヒアリング結果を基に現状分析を行い、改善すべき点を分析し、経営診断を行い報告書を作成します。

こうして見つかった改善点を解決するための提案を行い、その実現に向けた支援やアドバイスを行っていくのが、中小企業診断士が行う経営コンサルティングの仕事の流れです。

一連の業務を遂行するためには、クライアントとの信頼関係を築くためのコミュニケーション能力・正確な経営診断を行うための経営に関する全般的な知識や分析力・効果的な改善案を提案するための提案力や説明力などが求められます。

経営面においてプロフェッショナルな仕事を任されるからこそ業務の幅が広く、対応するためには様々な能力が求められることも、中小企業診断士の大きな特徴だといえますね。

また、中小企業診断士が対象とする中小企業は、わが国全体で見ても大きな割合を占めています。

(引用元:中小企業庁公式HP)

上の図は、日本の企業における中小企業の割合を示した図です。

ご覧の通り、中小企業は日本の企業のうち99.7%の割合を占めています。つまり、日本の企業のほとんどが中小企業なのです。

中小企業診断士は、中小企業の経営手法、経営支援に関する専門的な知識と経験を有する者として唯一国から公式に認められた有資格者である。
いうまでもなく中小企業診断士は、その保有する高度な能力を生かして、経営の診断、経営に関する助言を行い、中小企業等の創意工夫や自助努力を助長し活性化させていくことを最大の使命としている(中小企業支援法)。

(引用元:愛知県中小企業診断士協会公式HP)

愛知県中小企業診断士協会の公式HPでも、中小企業支援法のなかで位置づけられている中小企業診断士の社会的な役割についてこのように触れられています。

まとめると、日本の大枠を占める中小企業を対象に、持ちうる高度な知識や経験を活かして、企業の経営全般における専門的なサポートを求められる中小企業診断士は、社会的にも大きな役割を担っているといえます。

「中小企業診断士はやめとけ」といわれている4つの理由

「中小企業診断士はやめとけ」といわれている4つの理由
  • 独占業務がない
  • 資格を取るのが難しい
  • 資格が取れてもそれだけでは意味がない

中小企業診断士に関して、なぜ「やめとけ」といわれることが多いのか、大きく4つの理由が考えられます。

最も考えられる原因として大きいのは、「独占業務がないから」です。

試験に合格しても、資格を所持しているだけで仕事があるという訳ではありません。

資格取得のハードルの高さに対して得られる恩恵が少ないと考える人が、「中小企業診断士はやめとけ」という意見を持つことが多いようです。

中小企業診断士の資格は取ったけど使えないというわけではないということについて解説をしていきます。

4つの理由について。1つずつ見ていきましょう。

独占業務がない

中小企業診断士にはいわゆる「独占業務」がありません。

中小企業診断士の主な業務内容である「経営コンサルティング業務」は、実は無資格者でもできる業務なのです。

そのため、企業側は経営コンサルタントを採用する際、中小企業診断士の資格の有無よりも実績の有無を評価する場合もあります。

中小企業診断士の資格が取得できたからといって、絶対に稼げるようになるという保証はありません。

年収・年間売り上げ
割合(%)
300万円以内 14.3
301万~400万円以内 8.8
401万~500万円以内 10.0
501万~800万円以内 21.4
801万~1,000万円以内 11.4
1,001万~1,500万円以内 15.4
1,501万~2,000万円以内 6.7
2,001万~2,500万円以内 4.3
2,501万~3,000万円以内 2.3
3,000万以上 4.8

(引用元:中小企業診断協会「中小企業診断士活動状況アンケート調査」結果について 令和3年5月版)

上の表は中小企業診断協会が実施した資格取得者へのアンケートの結果をまとめたものです。

1年間のコンサルタント業務の年間売上(又は年収)について尋ねており、それに対する回答の結果となっています。

これを見てみると、高年収の方の割合が多いのと対照的に、最低層である「300万円以下」の割合も14.3%存在しています。

資格取得できたからといって絶対に稼げるわけではないことを表していますね。

そのため、資格を取ること自体の「意味」に対して疑問を持つ方も多いようです。

つまり、中小企業診断士を取ったけど・・・という風にならないように取得をしてからどのように役に立てるのか?を考えるのが重要ということですね。

資格を取るのが難しい

合格率
一次試験 29.6%
二次試験 18.9%

(中小企業診断協会HPより引用 令和5年度の中小企業診断士試験の合格率)

上の表は中小企業診断士試験の令和5年度の合格率をまとめたものです。

中小企業診断士は難関国家資格として知られています。

令和3年度の合格率を見ても、一次試験が36.4%、二次試験が18.3%となっており、全体の合格率は3~8%と国家資格のなかでも比較的低い部類に入ります。

つまり、難易度はそれだけ高いといえます。

試験科目
一次試験 A. 経済学・経済政策

B. 財務・会計

C. 企業経営理論

D. 運営管理

E. 経営法務

F. 経営情報システム

G. 中小企業経営・中小企業政策

二次試験(筆記) 【事例Ⅰ】組織(人事を含む)を中心とした経営の戦略および管理に関する事例

【事例Ⅱ】マーケティング・流通を中心とした経営の戦略および管理に関する事例

【事例Ⅲ】生産・技術を中心とした経営の戦略および管理に関する事例

【事例Ⅳ】財務・会計を中心とした経営の戦略および管理に関する事例

二次試験(口述) 中小企業の診断及び助言に関する能力を問う口述試験

上の表は中小企業診断士試験の科目をまとめたものです。

これを見てもらうとわかるように、中小企業診断士の試験の科目は数が多く範囲がとても広いです。

これらを網羅するためには膨大な勉強時間を確保する必要があります。

中小企業診断士の勉強時間は、おおよそ1,000時間必要だと言われています。

(資格の学校TAC 公式HPより引用)

中小企業診断士の試験に合格するためにはおよそ1,000時間の勉強時間の確保が必要だといわれています。

この資格取得難易度の高さと試験範囲の広さ、合格までに必要な勉強時間の多さを理由に「やめとけ」といわれている場合も多いようです。

資格が取れてもそれだけでは意味がない

中小企業診断士の資格は、合格して資格保有者となってもそれ自体に意味はないといわれています。

その理由は、上で解説したように経営コンサルタント業務は無資格者でもできてしまうため、資格の有無よりも実績がある方を優先的に採用されがちだからです。

中小企業診断士の役割とは?
中小企業診断士は、まず企業の成長戦略の策定について専門的知識をもってアドバイスします。また、策定した成長戦略を実行するに当たって具体的な経営計画を立て、その実績やその後の経営環境の変化を踏まえた支援も行います。このため、中小企業診断士は、専門的知識の活用とともに、企業と行政、企業と金融機関等のパイプ役、中小企業への施策の適切な活用支援まで、幅広い活動に対応できるような知識や能力が求められています。

(引用元:中小企業診断協会公式HP)

中小企業診断協会の公式HPでも書かれている通り、中小企業診断士は中小企業の経営面のサポートという目的を果たすために幅広い活動をしていく必要があります。

時には行政との間に入ったり、金融機関との間に入ったりと、経営分析のみならず企業のために対外的な折衝や調整なども行う場合が出てきます。

そのため、中小企業診断士として活躍するには知識や分析力だけでなくコミュニケーション能力や会話力などの社会的な能力も求められます。

こういった「資格試験では計れない」能力が不足していて、資格取得後の実戦で活躍ができない診断士も多く存在します。

年収・年間売り上げ
割合(%)
300万円以内 14.3
301万~400万円以内 8.8
401万~500万円以内 10.0
501万~800万円以内 21.4
801万~1,000万円以内 11.4
1,001万~1,500万円以内 15.4
1,501万~2,000万円以内 6.7
2,001万~2,500万円以内 4.3
2,501万~3,000万円以内 2.3
3,000万以上 4.8

 

(引用元:中小企業診断協会「中小企業診断士活動状況アンケート調査」結果について 令和3年5月版)

上の表は、令和3年5月に中小企業診断協会が発表した、中小企業診断士の年収別の構成比についてまとめたものです。

高い年収に分布が偏っていると思いきや、最低層の300万円以内の方も14.3%存在しています。

資格取得=稼げるではないということを証明していますね。

選択肢 回答数 構成比(%)
1 . コンサルティング業務を行っている 1,230 65.7
2 . コンサルティング業務を行っていない 642 34.3
回答数計 1,872 100

(引用元:中小企業診断協会「中小企業診断士活動状況アンケート調査」結果について 令和3年5月版)

また、同アンケートで「現在コンサルティング業務を行っているか」という質問に対しての回答がまとめられたものが上の表です。

コンサルティング業務を行っていないと答えた診断士は34.3%もいることが分かります。

理由としては「会社の仕事に追われ,時間と余裕がないから」、「機会がないから」、「自分の能力不足」といった回答が多く、資格取得したからといって仕事にありつけるとは限らないことを証明していますね。

このように、資格取得しても仕事にありつけず、中小企業診断士として十分な稼ぎを確保できない方も一定数存在することから、資格取得自体に意味がないといわれることがあるようです。

「中小企業診断士はなくなる」は本当なのか

「中小企業診断士はなくなる」は本当なのか
  • 結論:中小企業診断士はなくならない
  • 中小企業診断士がなくならない理由

中小企業診断士は「やめとけ」の他にも「なくなる」といわれることも多いようです。

資格取得を目指す方やこれから目指そうと思っている方にとっては、不安を感じる内容ですよね。

結論からいうと、中小企業診断士はなくなる可能性は低い仕事です!

中小企業診断士の資格はAIによる仕事の代替性が低く、将来的にAIに職を奪われる心配が少ない仕事といわれています。

また、中小企業の経営面のサポートという中小企業診断士に与えられた役割は社会的にも大きく、培った経営に関する知識やノウハウは様々な環境で活かせるため、今後も需要が無くなる心配は低いと考えられます。

このような理由から、中小企業診断士はなくなる可能性が低い仕事といえるでしょう。

「中小企業診断士はなくなる」という根拠は存在しない

なぜ「中小企業診断士はなくなる」といわれているのでしょうか?

実際に「中小企業診断士 なくなる」と調べてみると、独占業務がないことや資格取得自体の意味が薄い等、前の項で解説した中小企業診断士の「やめとけ」といわれている理由を基に「なくなる」といわれることが多いようです。

中小企業診断士の資格自体が廃止されるという噂や根拠についてはインターネットで調べても出てきませんでした。

むしろ中小企業診断士は将来的になくなる可能性が低いといえる理由がたくさん出てきます。

資格取得を目指して勉強している方のなかには、「中小企業診断士の資格がなくなるなら取っても意味ないんじゃないか?」などと不安に思う方もいらっしゃるかもしれませんが、現時点では中小企業診断士がなくなるという根拠はないため、安心して勉強に取り組んでください。

中小企業診断士がなくならない理由

「中小企業診断士 なくなる」といわれている理由についてお話ししましたが、むしろ中小企業診断士は「なくならない」と強くいえる資格です。

中小企業診断士はなくならないといえる理由は以下の3つです。

  • AIが代替することが難しい内容の仕事だから
  • 政界・経済界からの関心が高い資格だから
  • 国が認める唯一の経営支援の資格であり、社会的な需要も高いから

中小企業診断士の行う仕事の社会的な部分はAIによる代替が難しいといわれています。

また、日本の企業のうち99.7%を占める中小企業の経営面のサポートという大きな役割を担っていることから、政界や経済界からの関心も高く今後も需要がある資格です。

更に中小企業診断士は経営に関する全般的な知識を学習でき、経営コンサルティング業務に限らず活躍の幅は広いため社会人に人気の高い資格です。

AIに職を奪われるリスクの低さと社会的な役割の大きさ・ビジネスパーソンからの人気の高さから、今後も長期的に活躍が見込める中小企業診断士は「なくならない」と強くいえます。

AIが代替することが難しい内容の仕事だから

中小企業診断士の仕事は、AIが代替することが難しいといわれています。

人工知能やロボット等による代替可能性が低い 100 種の職業 中小企業診断士が該当

(2015 年 12 月 2日 株式会社野村総合研究所「日本の労働人口の 49%が人工知能やロボット等で代替可能に」より引用)

2015年に株式会社野村総合研究所から発表された「日本の労働人口の 49%が人工知能やロボット等で代替可能に」によると、人工知能やロボット等による代替可能性が低い 100 種の職業のなかに中小企業診断士が選ばれています。

中小企業診断士が行う経営コンサルティング業務は高い水準の社会性が必要であり、その部分をAIが代替することは難しいと評価されたようです。

将来的にAIに職を奪われる心配が少なく、人間しかできない役割を担う中小企業診断士は「なくならない」といえるでしょう。

政界・経済界からの関心が高い資格だから

そして、経営人材の育成も非常に重要。例えば、中小企業診断士について、非常に意味のある資格だと思うが、提出資料に添付している通り、1次試験では7科目全てに合格しないと試験に通過できないなど、大変難易度が高いものとなっている。中堅・中小企業の経営を担うことのできる人材の裾野を広げていくためにも、例えば、中小企業診断士の科目にデジタル入れるとともに、全ての科目を合格しなくとも、税理士のように一つ一つの科目で合格しても何らかの位置付けを付与することを考えてみてはどうか。

(引用元:令和2年第14回経済財政諮問会議議事要旨)

上の記述は令和2年に開催された第14回経済財政諮問会議の議事要旨から、サントリーホールディングス株式会社の新浪社長の発言内容を抜粋したものです。

当時の菅内閣総理大臣や麻生財務大臣も出席した大きい会議のなかで、中小企業診断士を「非常に意味のある資格」としたうえで資格取得の難易度に触れ、税理士試験のように部分的な合格にも何らかの位置づけを与えるべきだと意見を述べられています。

これを読み解くと、中小企業診断士は必要であり、今後中将企業診断士の人材を増やしていくべきだと考えられていることが分かります。

このような政界・経済界の大物が出席する公の会議で議論されるほど中小企業診断士に対する関心は高いことからも、中小企業診断士は「なくならない」といえますね。

国が認める唯一の経営支援の資格であり、社会的な需要も高いから

中小企業診断士は、中小企業の経営手法、経営支援に関する専門的な知識と経験を有する者として唯一国から公式に認められた有資格者である。
いうまでもなく中小企業診断士は、その保有する高度な能力を生かして、経営の診断、経営に関する助言を行い、中小企業等の創意工夫や自助努力を助長し活性化させていくことを最大の使命としている(中小企業支援法)。

(引用元:愛知県中小企業診断士協会公式HP)

上の記述は、愛知県中小企業診断士協会の公式HPで触れられている中小企業診断士の社会的な役割についての抜粋です。

ここに書かれている通り、中小企業診断士は国から唯一認められた経営コンサルタントの資格です。

日本の企業のうち99.7%の割合を占めている中小企業を対象に、経営全般のサポートを担う中小企業診断士の役割は大きく、今後も活躍が期待されています。

そのため、ビジネスパーソンからも人気が高い資格となっています。

日本経済新聞社と就職・転職情報サービスの日経HRは共同で、ビジネスパーソンを対象に新たに取得したい資格(語学検定含む)を調査した。首位は中小企業診断士で前年の6位から大きく順位を上げた。

取りたい資格で首位の中小企業診断士は経営コンサルタントを認定する唯一の国家資格で、中小企業の経営診断・助言を担う。合格率約4%と難易度は高いが、経営全般に関わる知識を習得できるため会社員や公務員など幅広い業種で人気を集めている。将来のポストに不安感を抱く会社員らが、昇格や独立への備えとして取得するケースが増えていると見られる。

(日本経済新聞 2016年1月12日付より引用)

前の項でもお話ししましたが、中小企業診断士の資格は日本経済新聞、日経Bizアカデミーと日経キャリアマガジンが共同で行った「ビジネス系資格・語学調査」で、「ビジネスパーソンが新たに取得したい資格」 第1位に選ばれています。

経営全般に関わる知識を習得できる点や、本業での昇格や独立への備えとして活用できる点が人気の理由として挙がっています。

このように、日本の大枠を占める中小企業の成長に欠かせない経営支援において、国が唯一認めた資格であり、ビジネスパーソンからの人気も高いことから、今後も社会的な需要が大いに見込まれるため、中小企業診断士は「なくならない」といえます。

どうすれば中小企業診断士の資格を活かせるのか?

どうすれば中小企業診断士の資格を活かせるのか?
  • まずは副業からスタートする
  • 経営コンサルタントとして独立する
  • 中小企業診断士しか所属できない研究会や協会に所属する
  • 経営コンサルティング以外の分野で活躍する

中小企業診断士が「やめとけ」といわれている理由の一つとして、「資格が取れてもそれだけでは意味がない」ことをお話ししました。

では、どうすれば苦労して取得した中小企業診断士の資格を活かせるのでしょうか?

独立開業して中小企業診断士の仕事をスタートするという選択肢もありますが、いきなり独立するのは不安だという方は副業から始めてみるのもおすすめの方法です。

資格習得までに身に着けた知識はコンサルティング業務以外にも、講師活動や執筆活動など幅広い仕事に活かせます。

また、中小企業診断士の資格を持っている人間だけが所属できる「中小企業診断士協会」に所属するのも資格を活かす一つの選択肢です。

時には協会経由で仕事の依頼が来る場合もあります。

このように、中小企業診断士の資格には様々な活かし方があり、活躍の形も幅広いです。1つずつ詳しく見ていきましょう。

まずは副業からスタートする

本業の仕事をしながら中小企業診断士の資格を取得した方のなかには、「資格を取ったけど、いきなり独立開業するのはちょっと不安」という方も少なくないでしょう。

そういった方にはまずは副業から中小企業診断士としての仕事を始めることをおすすめします。

中小企業診断士の資格取得後に行える副業は幅広くあります。

副業の業種 主な業務
コンサルティング業務
  • 企業診断
  • 営業戦略の策定
  • 業務改善の助言
  • 新規事業の提案
  • M&A戦略やコンプライアンス対応に対するアドバイス
補助金・助成金申請のサポート業務
  • 申請書の作成や申請のアドバイス
  • 経営企画書・事業計画書の作成
  • 面接・プレゼン審査のサポート
  • 補助金採択後の報告書の作成
研修・セミナーの講師
  • 自治体や商工会議所などが主催する事業者向けセミナーの講師
記事の執筆やブログの運営
  • 情報サイトや雑誌などに記事を寄稿する
  • 自分のブログで記事を掲載する
資格講座の講師や添削指導
  • 資格に関する予備校などでのセミナー講師
  • 予想問題や練習問題の作成
  • 模擬試験の添削

(引用元:志師塾公式HP)

上の表は中小企業診断士の資格取得後に行える副業はどういったものがあるのかをまとめたものです。

コンサルティング業務以外にも補助金・助成金申請のサポート業務や講師活動や執筆活動など幅広い仕事があります。

こういった副業の仕事を実際に受注するにはクラウドソーシングを利用する方法があります。

クラウドソーシングとはインターネット上で、フリーランスや副業で働きたい人とアウトソーシングしたい人をマッチングするサービスのことです。

上記のような仕事の募集が行われた際に応募することで、仕事を受注できます。

クラウドソーシングの仕事は単発の案件の仕事も多く、取り組みやすいのも特徴の一つです。

このように、まずは副業から業務を始めてみるのも資格を活かす第一歩としてはおすすめです。

経営コンサルタントとして独立する

中小企業診断士の資格を取得できたなら、経営コンサルタントとして独立して個人で開業するという道もあります。

Q.開業後はどのようにして仕事を広げていかれたのでしょうか。

A.中小企業診断士の仕事を大きく分けると、行政から依頼される仕事と、自ら営業活動をして取ってくる民間企業のコンサルティングの仕事という2種類があります。私は行政からの仕事を中心に活動しています。具体的にどんなことかというと、行政が中小企業へ専門家を派遣するような活動をしているので、専門家としてそこで仕事をしています。

独立している診断士は少ないですし、行政からの需要は常にありますので、きちんとした仕事をしていれば依頼が来るようになります。ですから独立を考える人に言いたいのは、中小企業診断士は独立して食べて行ける資格だということです。

(引用元:資格のTAC公式HP)

上の記述は実際に中小企業診断士の資格取得後に独立開業された方へのインタビュー記事の抜粋です。

中小企業診断士の仕事は行政からの需要があるため、依頼に応じて仕事をしていくことで実績もついていきます。

また、上の項でも紹介したクラウドソーシングを利用して自ら仕事をとってくることもできますし、この後ご紹介する中小企業診断士の協会経由で仕事の依頼がくることもあります。

上の引用文で話されているように、中小企業診断士は社会的な需要が高いため、独立しても食べていける仕事です。

したがって、中小企業診断士の資格をフルで活かすなら独立することも一つの選択肢です。

中小企業診断士しか所属できない研究会や協会に所属する

Q.中小企業診断士の資格を取れば、誰でも行政の仕事ができるのですか

A.行政から中小企業診断士協会へ来る仕事もあって、そういった仕事もやっています。神奈川県の中小企業診断協会は「金融機関連携支援プロジェクト」を行っているのですが、経営者の方が金融機関から事業資金を調達する際のサポートをしている行政の金融機関(信用保証協会)などから、「この会社の経営を改善するための計画策定をしてほしい」という風に依頼が来るのです。そうした依頼を受けて、専門家として事業計画の策定やアドバイスをしています。

(引用元:資格のTAC公式HP)

上の記述は、先ほども紹介した実際に中小企業診断士の資格取得後に独立開業された方へのインタビュー記事の抜粋です。

インタビューの中で中小企業診断士協会経由で仕事を得た経験をお話しされています。

中小企業診断士の資格を持っている人間だけが所属できる「中小企業診断士協会」というものが存在します。

この中小企業診断士協会に所属することで、協会経由で仕事の依頼がきたり、中小企業診断士同士のコミュニティが形成でき貴重な情報共有の場にもなります。

中小企業診断士の資格を取得したら、こうした協会に所属するのも資格の活かし方の一つです。

経営コンサルティング以外の分野で活躍する

上の項でも紹介しましたが、中小企業診断士の資格を活かした仕事は経営コンサルティング以外にも幅広くあります。

副業の業種 主な業務
コンサルティング業務
  • 企業診断
  • 営業戦略の策定
  • 業務改善の助言
  • 新規事業の提案
  • M&A戦略やコンプライアンス対応に対するアドバイス
補助金・助成金申請のサポート業務
  • 申請書の作成や申請のアドバイス
  • 経営企画書・事業計画書の作成
  • 面接・プレゼン審査のサポート
  • 補助金採択後の報告書の作成
研修・セミナーの講師
  • 自治体や商工会議所などが主催する事業者向けセミナーの講師
記事の執筆やブログの運営
  • 情報サイトや雑誌などに記事を寄稿する
  • 自分のブログで記事を掲載する
資格講座の講師や添削指導
  • 資格に関する予備校などでのセミナー講師
  • 予想問題や練習問題の作成
  • 模擬試験の添削

(引用元:志師塾公式HP)

上の表は中小企業診断士の資格取得後に行える副業はどういったものがあるのかをまとめたものです。

コンサルティング業務に留まらず、補助金や助成金申請のサポート業務など持ち前の経営分野の知識を部分的に活かせる仕事や、講師活動や執筆活動など幅広い仕事を受注できるようになります。

クラウドソーシングや中小企業診断士協会経由でこういった仕事の募集が来ることがあるため、積極的に取り組むことで様々な経験を積めます。

経営コンサルティング以外の仕事にチャレンジすることも、中小企業診断士の資格を活かす選択肢の一つといえます。

中小企業診断士になることの4つのメリット

中小企業診断士になることの4つのメリット
  • AIに代替されないから長期的な活躍が見込める
  • 経営に関する幅広い知識が得られ、幅広い仕事に生かせる
  • 社会的な需要の高さに対して資格取得の難易度が高い
  • 就職や転職の際に有利になる

「資格取得自体には意味がない」といわれている中小企業診断士ですが、合格して資格を所持するだけでもメリットはあります。

「中小企業診断士はやめとけ」といわれている4つの理由の項で紹介したように、中小企業診断士の資格取得の難易度は高いです。

それだけに、資格を所持していることは「優秀な人材だ」と判断されやすいですし、社会的な需要も高いことから就職活動や転職活動にも有利に働きます。

また、AIによる代替可能性が低く、経営に関する幅広い知識が学べる中小企業診断士は、将来性もあり長期的な活躍が期待できます。

このように、中小企業診断士にはメリットがたくさんあるのです。

1つずつ見ていきましょう。

AIに代替されないから長期的な活躍が見込める

(引用元:株式会社野村総合研究所「日本の労働人口の 49%が人工知能やロボット等で代替可能に」)

上の表は、野村総合研究所が発表した人工知能やロボット等による代替可能性が高い労働人口の割合を示したものです。

日本は英国や米国と比較しても人工知能やロボット等による代替可能性が高い労働人口の割合が高い傾向があります。

近年のAI技術の凄まじい発展により、将来的にAIが人間の仕事を代替する可能性が高まってきています。

世の中が便利になることは良いことですが、AIに職を奪われ失職する、なんて事態も起こりうる時代となってきているのです。

将来性の有無=AIによる仕事の代替が可能かどうか

となると、中小企業診断士はAIによる代替が可能な仕事なのか?を考えることが、将来性の有無に繋がってきます。

野村総合研究所の同研究のなかでは、中小企業診断士の仕事は、AIによる代替の可能性が0.2%と顕著に低く、AIによる代替が難しい職種100選」にも選ばれています。

これは中小企業診断士に求められる「社会性」の部分を評価された結果のようです。

「人間にしかできない仕事」をする中小企業診断士は、将来的にも長期的な活躍が見込める点が大きなメリットといえるでしょう。

経営に関する幅広い知識が得られ、幅広い仕事に生かせる

中小企業診断士の試験科目
A. 経済学・経済政策

B. 財務・会計

C. 企業経営理論

D. 運営管理

E. 経営法務

F. 経営情報システム

G. 中小企業経営・中小企業政策

上の表は中小企業診断士の試験科目をまとめたものです。

中小企業診断士の試験に合格するには、経営に関わる分野全般を網羅する幅広い知識を習得することが必須となってきます。

勉強は大変ですが、その分習得した知識は様々な仕事で活かせます。

副業の業種 主な業務
コンサルティング業務
  • 企業診断
  • 営業戦略の策定
  • 業務改善の助言
  • 新規事業の提案
  • M&A戦略やコンプライアンス対応に対するアドバイス
補助金・助成金申請のサポート業務
  • 申請書の作成や申請のアドバイス
  • 経営企画書・事業計画書の作成
  • 面接・プレゼン審査のサポート
  • 補助金採択後の報告書の作成
研修・セミナーの講師
  • 自治体や商工会議所などが主催する事業者向けセミナーの講師
記事の執筆やブログの運営
  • 情報サイトや雑誌などに記事を寄稿する
  • 自分のブログで記事を掲載する
資格講座の講師や添削指導
  • 資格に関する予備校などでのセミナー講師
  • 予想問題や練習問題の作成
  • 模擬試験の添削

(引用元:志師塾公式HP)

上の表は中小企業診断士の資格取得後に行える副業はどういったものがあるのかをまとめたものです。

経営コンサルティング業務以外にも、執筆活動や講師活動などの情報発信など、幅広い仕事の選択肢がありますね。

中小企業診断士の試験に合格するために身につけた経営分野の幅広い知識は、経営コンサルティング業務以外にも様々な仕事で活かせます。

この点は、大きなメリットといえるでしょう。

社会的な需要の高さに対して資格取得の難易度が高い

中小企業診断士の資格試験の合格率

合格率
一次試験 29.6%
二次試験 18.9%

(中小企業診断協会HPより引用 令和5年度の中小企業診断士試験の合格率)

3つ目の中小企業診断士のメリットは「信頼性の高さ」です。

中小企業診断士の資格試験の合格率は一次試験が29.6%、二次試験が18.9%となっており、ストレートの合格率は3~8%となっています。

合格率が非常に低い、いわゆる「難関国家資格」として認知されている資格です。

資格取得に対するハードルが高い分、試験に合格した資格保有者に対する信頼性も保証されます。

そして、経営人材の育成も非常に重要。例えば、中小企業診断士について、非常に意味のある資格だと思うが、提出資料に添付している通り、1次試験では7科目全てに合格しないと試験に通過できないなど、大変難易度が高いものとなっている。中堅・中小企業の経営を担うことのできる人材の裾野を広げていくためにも、例えば、中小企業診断士の科目にデジタル入れるとともに、全ての科目を合格しなくとも、税理士のように一つ一つの科目で合格しても何らかの位置付けを付与することを考えてみてはどうか。

(引用元:令和2年第14回経済財政諮問会議議事要旨)

先ほども紹介しましたが、上の記述は令和2年に開催された第14回経済財政諮問会議の議事要旨から、サントリーホールディングス株式会社の新浪社長の発言内容を抜粋したものです。

要約すると「中小企業診断士の人材をもっと増やしていくべきだ」という意見を示された内容となっています。

総理大臣や財務大臣が出席した公の会議の場の発言であることから、社会的にも中小企業診断士の必要性が認識されていることを表しています。

このように社会的な需要がある一方で資格取得の難易度が高いことから、限られた中小企業診断士の資格保有者に対する信頼性は高いといえます。

これも資格取得に対する大きなメリットといえますね。

就職や転職の際に有利になる

4つ目のメリットは、資格を所持していることで就職や転職活動で有利になるということです。

上で説明したように、中小企業診断士の資格は難関国家資格に分類されることから、資格保持者に対する信頼性は確保されています。

経営コンサルティング業界の会社への就職や転職はそれだけでも優位に働きます。

また、経営コンサルティング業界以外の会社でも、資格取得を通して得た幅広い知識は役立てることが可能です。

中小企業診断士の試験科目
A. 経済学・経済政策

B. 財務・会計

C. 企業経営理論

D. 運営管理

E. 経営法務

F. 経営情報システム

G. 中小企業経営・中小企業政策

上の表は中小企業診断士試験の科目をまとめたものです。

中小企業診断士に合格したということは上の表に書かれている知識が備わっていることの証明です。

これらの資格取得を通して得た幅広い知識は経営コンサルティング業界以外の会社でも役立てることが可能です。

特にBの「財務・会計」に関する知識はどこの会社にも存在する財務部門・会計部門で活かせるでしょう。

難易度の高さゆえの資格保有者に対する信頼性の高さ、習得した知識の汎用性の高さから、就職や転職の際に有利になるといえます。

これも中小企業診断士特有のメリットだといえるでしょう。

中小企業診断士に向いている人はこんな人!

中小企業診断士に向いている人はこんな人!
  • 経営に携わる仕事をしたい人
  • 将来的に独立したいと考えている人
  • 分析能力が高く、多面的なアプローチができる人
  • コミュニケーション能力が高い人
  • 本業で昇進したい人

ここからは、中小企業診断士にはどんな人が向いているのか?という疑問にお答えしていきます。

中小企業診断士の試験は難易度が高いため、はっきりとした目的やビジョンがある方や、中小企業診断士の仕事に適性がある人が向いているといえます。

また、中小企業診断士の仕事は試験に合格するための知識とは違った社会的な能力が求められます。

そのことをしっかり把握したうえで、自分の適性と照らし合わせて考えてみましょう。

中小企業診断士に向いている人の特徴を1つずつ見ていきます。

経営に携わる仕事をしたい人

中小企業診断士の仕事は経営コンサルティングです。

中小企業を対象に経営課題の分析や改善の提案、アドバイスを行い、経営のプロフェッショナルとして中小企業をサポートする役割を担っています。

経営コンサルティングの仕事は経営の分野における全般的な知識が必要となってきます。

資格試験を突破した後も、実戦では様々な経験を通してより専門性を磨き上げることが可能です。

(引用元:中小企業庁公式HP)

上の図は中小企業庁が公表している我が国における中小企業の割合を示したものです。

中小企業診断士が対象とする中小企業は、日本国内に存在する企業のなかで99.7%の割合を誇っています。

中小企業診断士は、日本国内のほぼすべての企業を経営面からサポートする役割を担った、経営のスペシャリストといえますね。

「経営に携わる仕事がしたい」と考える方にとって、最もイメージしやすいおすすめの仕事といえるでしょう。

将来的に独立したいと考えている人

選択肢 回答数 構成比(%)
1 .プロコン経営(他資格兼業なし) 540 28.5
2 .プロコン経営(他資格兼業あり) 331 17.5
3 .コンサルティング会社等勤務 43 2.3
4 .公務員 25 1.3
5 .公的機関・団体等 85 4.5
6 .調査・研究機関 12 0.6
7 .金融機関 128 6.8
8 .民間企業(金融機関を除く) 629 33.2
9 . 資格は持っているが,コンサルティング活動も勤務もしていない 32 1.7
10.その他 63 3.3
11.無回答 4 0,2
回答数計 1,892 100.0

(引用元:一般社団法人 中小企業診断協会公式HP)

上の図は中小企業診断協会が令和3年5月に行ったアンケート結果を集計したものです。中小企業診断士の資格取得後の活動状況についてまとめています。

中小企業診断士には本業である勤め先の会社の中で活躍する「企業内診断士」と、独立開業して個人で活躍する「フリーランス」の2種類の働き方があります。

一般的に、独立開業した中小企業診断士を「プロコン診断士」と呼んでいます。

上の表を見ると、中小企業診断士の資格のみで独立開業している方の割合は28.5%と非常に多い結果となっています。

中小企業診断士が行う経営コンサルティング業務には需要があるため、独立開業した中小企業診断士でもやり方によっては大きく稼ぐことが可能です。

副業の業種 主な業務
コンサルティング業務
  • 企業診断
  • 営業戦略の策定
  • 業務改善の助言
  • 新規事業の提案
  • M&A戦略やコンプライアンス対応に対するアドバイス
補助金・助成金申請のサポート業務
  • 申請書の作成や申請のアドバイス
  • 経営企画書・事業計画書の作成
  • 面接・プレゼン審査のサポート
  • 補助金採択後の報告書の作成
研修・セミナーの講師
  • 自治体や商工会議所などが主催する事業者向けセミナーの講師
記事の執筆やブログの運営
  • 情報サイトや雑誌などに記事を寄稿する
  • 自分のブログで記事を掲載する
資格講座の講師や添削指導
  • 資格に関する予備校などでのセミナー講師
  • 予想問題や練習問題の作成
  • 模擬試験の添削

(引用元:志師塾公式HP)

上の表は、前の項でも説明した中小企業診断士の資格取得後に行える副業はどういったものがあるのかをまとめたものです。

経営コンサルティングの仕事以外にも、ブログなどを通じた情報発信やセミナーでの講師活動、資格取得を目指す方への指導など、個人で行える仕事の種類も幅広く様々な選択肢があります。

したがって、将来的に独立して個人でやっていきたい方にとっては、おすすめの資格といえるでしょう。

分析能力が高く、多面的なアプローチができる人

中小企業診断士が行う経営コンサルティング業務は、企業の経営課題を分析し、課題解決策の提案や助言をする仕事です。

 

そのため、中小企業診断士として活躍するためには「分析力」や「発想力」・「提案力」など、様々な能力が求められます。

このような能力が高い人にとっては、中小企業診断士の仕事は適職といえるでしょう。

中小企業診断士の資格取得後に実戦でなかなか活躍できない方は、試験では十分に計れないこういった能力が不足している場合が多いです。

資格取得後の実戦の仕事をイメージして、自分に向いているかどうかをしっかり考えたうえで。資格取得にチャレンジするかどうかを判断しましょう。

コミュニケーション能力が高い人

中小企業診断士は経営のプロフェッショナルとして企業をサポートする専門的な仕事です。

一般的に、中小企業診断士は以下のような流れで経営コンサルタントの業務を行っていきます。

  1. 依頼
  2. 調査・ヒアリング
  3. 経営診断報告書の提出
  4. 提案の実施

(引用元;LEC東京リーガルマインド公式HP)

経営コンサルティング業務は、クライアントから提出された資料やヒアリング結果等を基に現状分析を行い、経営診断報告書を作成します。

この過程で見つかった改善点を解決するための提案を行い、その実現に向けた支援やアドバイスを行っていくのが、一般的な経営コンサルティングの仕事の流れです。

一連の業務を遂行するためには、クライアントとの信頼関係を築くためのコミュニケーション能力・正確な経営診断を行うための経営に関する全般的な知識や分析力・効果的な改善案を提案するための提案力や説明力などが求められます。

つまり、企業に寄り添った経営面でのサポートを効果的に行うためには、知識や思考力だけでなくコミュニケーション能力等の社会的な能力も必要となってきます。

コンサルティング業務に関していえば、こうしたクライアントとのコミュニケーションが上手く取れないことは致命的です。

仮に豊富な知識や高いノウハウを持っていても、パフォーマンスとしては低下してしまうでしょう。

したがって、コミュニケーション能力が高い人も、中小企業診断士に向いているといえます。

本業で昇進したい人

選択肢 回答数 構成比(%)
1 .昇給・昇格した 112 6.1
2 .資格手当が支給された 241 13.1
3 .資格が生かされる部署に配置された 211 11.5
4 .上司・同僚から良い評価を得た 470 25.6
5 .関係先から良い評価を得た 448 24.4
6 .勤務先,関係先の処遇に変化はなかった 740 40.4
7 .取得したことを伝えていなかった 143 7.8
8 .その他 110 6.0
n=1,833

(引用元:一般社団法人 中小企業診断協会公式HP)

企業によっては、昇進や給料アップの条件として「資格取得」を掲げているところもあります。

上の表は令和3年5月に中小企業診断協会が実施したアンケートの結果をまとめたものです。「中小企業診断士取得時に勤務先や関係先からはどう評価されましたか」という問いに対しての答えを集計しています。

これを見ると、何らかのポジティブな変化があったと回答している方が60%となっており、昇格や資格手当が支給されたと回答した方が12%となっています。

また、待遇面での変化は起きなくても、資格が活かせる部署への移動や周りの評判が上がって働きやすくなった方は48%もいます。

難関国家資格に合格したという事実だけでも、「優秀な人材だ」と認識してもらうチャンスになりますよね。

中小企業診断士の資格を取得することは本業の昇進や給料アップ・働きやすさに繋がるおススメの方法といえます。

本当に「中小企業診断士はやめとけ」が当てはまる人

本当に「中小企業診断士はやめとけ」が当てはまる人
  • 中小企業診断士に受かれば人生変わると思っている人
  • コミュニケーション能力や協調性などの社会性が低い人
  • 何か他にもやりたいことがあって、同時進行で資格取得したい人
  • そもそも勉強が苦手な人

中小企業診断士に向いている人の特徴を解説しましたが、ここからは中小企業診断士に向いていない、本当に「やめとけ」な人はどんな人か解説します。

今回は、中小企業診断士に向いていない人を4つのポイントに分けました。

中小企業診断士の資格取得のハードルの高さを考えると、費用対効果の面や適性の面で向いているかどうかを考えられます。

漠然と中小企業診断士は有利だから取りたいという方や、他にもやりたいことがあって100%の力で挑戦できない方、そもそも勉強が苦手な方等は中小企業診断士に向いていないと言えるでしょう。

中小企業診断士に受かれば人生変わると思っている人

これまで解説してきた通り、中小企業診断士は資格取得のハードルが高い難関国家資格です。

それだけに、幅広い活躍や高年収が期待できる仕事でもあります。

しかし、ここまでもお話ししている通り、中小企業診断士として本当に活躍できるかどうかは資格取得後の「活かし方」次第で決まってきます。

ただ漠然と、「中小企業診断士に受かれば人生変わる」と考えている方は、例え資格取得しても理想と現実のギャップに苦しむことになるかもしれません。

また、資格試験の合格を「ゴール」として認識している方は、資格取得後にうまく活かせず腐らせてしまうケースもあります。

実戦では知識以外にも傾聴力や会話力・提案力など社会的なコミュニケーション能力も求められます。このような能力が自分に備わっているかもよく考えましょう。

資格取得後にどのように活躍したいか、どんな風に活かしたいかというビジョンを持っていない人は、中小企業診断士に向いていない

コミュニケーション能力や協調性などの社会性が低い人

中小企業診断士は、まず企業の成長戦略の策定について専門的知識をもってアドバイスします。また、策定した成長戦略を実行するに当たって具体的な経営計画を立て、その実績やその後の経営環境の変化を踏まえた支援も行います。このため、中小企業診断士は、専門的知識の活用とともに、企業と行政、企業と金融機関等のパイプ役、中小企業への施策の適切な活用支援まで、幅広い活動に対応できるような知識や能力が求められています。

(引用元:中小企業診断協会公式HP)

中小企業診断協会のHPでも書かれている通り、中小企業診断士が行う経営コンサルティング業務は、企業と行政や金融機関との間のパイプ役など幅広い活動が求められます。

そのため、知識や分析力だけでなく、コミュニケーション能力や協調性などの社会的な能力が必要です。

こういった社会的な能力が低い、もしくは苦手な方は中小企業診断士の資格を取得しても経営コンサルティング業務でパフォーマンスが発揮できないため、中小企業診断士には向いていないといえます。

何か他にもやりたいことがあって、同時進行で資格取得したい人

何か他にもやりたいことがあって、同時進行で中小企業診断士の資格を取得したい人にもおすすめはできません。

理由は、中小企業診断士の資格取得は難易度が高く、合格に必要な勉強時間も多く必要であるからです。

中小企業診断士の勉強時間は、おおよそ1,000時間必要だと言われています。

(資格の学校TAC 公式HPより引用)

「資格の学校TAC」によると、中小企業診断士の試験に合格するために必要な勉強時間はおよそ1,000時間といわれています。

1日2~3時間ずつ勉強時間を確保できても、1年近くかかってしまう計算になります。

それに加えて、合格率を見ると一次試験が36.4%、二次試験が18.3%となっており、全体の合格率は3~8%となっています。

他のやりたいことと同時進行するには、少々ボリュームが大きすぎるといえるでしょう。

最悪なのは、「二兎を追う者は一兎をも得ず」状態になってしまうこと。

中小企業診断士はその難易度の高さから、ある程度時間が取れる万全の状態でチャレンジすべきだといえます。

そもそも勉強が苦手な人

最後に解説するのが、そもそも勉強が苦手な人です。

上の項でも解説しましたが、中小企業診断士の試験に合格するためにはおよそ1,000時間の勉強時間の確保が必要だといわれています。

1,000時間の勉強時間を確保するには、1日2~3時間ずつ勉強時間を確保できても、1年近くかかってしまう計算になります。

また、令和3年度の中小企業診断士の資格試験の合格率は一次試験が36.4%、二次試験が18.3%となっており、ストレートの合格率は3~8%となっています。

中小企業診断士の試験に合格するには多くの勉強時間を確保する必要がありますし、試験の合格率も低いです。

得られる恩恵が大きいからと、自分の不向きな分野に挑戦するのであれば、中小企業診断士はハードルが高すぎます。

そもそも勉強が苦手という方には、中小企業診断士にチャレンジすることはあまりお勧めできません。

中小企業診断士の試験について

中小企業診断士の試験について
  • 中小企業診断士の試験概要
  • 中小企業診断士の合格率
  • 中小企業診断士の資格取得までに必要な勉強時間の目安
  • 中小企業診断士の難易度
  • 中小企業診断士は独学で合格できるのか?

中小企業診断士は難関国家資格に分類されます。合格率は低く合格に必要な勉強時間も膨大であり、難易度としては高めです。

中小企業診断士の資格取得を目指している人のなかには、独学で勉強している方もいらっしゃると思います。

ただでさえ難易度が高い資格なのに、独学で合格できるのか?疑問に思う方もいますよね。

結論からいうと、中小企業診断士に独学で合格することは可能です。しかし、注意しなければならない点も存在します。

ここからは資格試験の内容にスポットを当てて、概要を解説していきながらポイントに絞って解説していきます。

中小企業診断士の試験概要

中小企業診断士の試験概要はこのようになっています。

一次試験 二次試験(筆記) 二次試験(口述)
受験資格・条件 誰でも受験可能 一次試験合格者

前年度の一次試験合格者

二次試験(筆記)合格者
受験料 14,500円 17,800円
試験日 8月上旬の2日間 10月下旬 12月中旬
試験実施場所 札幌・仙台・東京・名古屋・大阪・広島・福岡・那覇 札幌・仙台・東京・名古屋・大阪・広島・福岡
試験内容 企業経営・コンサルティングに関する基本的な知識を問う筆記試験 問題点・改善点を分析する応用力を問う筆記試験 診断および助言する能力を問う口述試験

試験科目

試験科目
一次試験 A. 経済学・経済政策

B. 財務・会計

C. 企業経営理論

D. 運営管理

E. 経営法務

F. 経営情報システム

G. 中小企業経営・中小企業政策

二次試験(筆記) 【事例Ⅰ】組織(人事を含む)を中心とした経営の戦略および管理に関する事例

【事例Ⅱ】マーケティング・流通を中心とした経営の戦略および管理に関する事例

【事例Ⅲ】生産・技術を中心とした経営の戦略および管理に関する事例

【事例Ⅳ】財務・会計を中心とした経営の戦略および管理に関する事例

二次試験(口述) 中小企業の診断及び助言に関する能力を問う口述試験

一次試験が筆記試験、二次試験が筆記+口述試験となっています。この2つの試験に合格することで、中小企業診断士の資格を持つことが可能となります。

中小企業診断士の試験は取り扱う分野の幅が広いことが特徴です。

まさに経営に関する分野全般を網羅しているといっても過言ではありません。

そのため、計画的に勉強して効率よく知識を習得していくことが必要となってきます。

中小企業診断士の合格率

合格率
一次試験 29.6%
二次試験 18.9%

(中小企業診断協会HPより引用 令和5年度の中小企業診断士試験の合格率)

中小企業診断士の資格は、「難関国家資格」の部類に属します。

中小企業診断士の資格試験の合格率は一次試験が29.6%、二次試験が18.9%となっており、ストレートで合格する割合は3~8%です。

資格名 合格率
税理士 18%
宅建 15~17%
FP1級 13%
(学科試験合格率×実技試験合格率)
行政書士 11~15%
公認会計士 10%
社労士 6~7%
中小企業診断士 3~8%
(1次試験合格率×2次試験合格率)
司法書士 3~5%

(引用元:アガルートアカデミー公式HP)

上の表は中小企業診断士と他資格の例年の合格率をまとめたものです。

中小企業診断士の資格は税理士や宅建など他の資格と比較してもかなり低い合格率となっています。

したがって、資格取得までのハードルは相対的に見てもかなり高い部類に入るといえますね。

中小企業診断士の資格取得までに必要な勉強時間の目安

科目 必要な勉強時間の目安
財務・会計 100-200時間
企業経営理論 100-200時間
運営管理 100-150時間
経済学・経済政策 100-150時間
経営情報システム 100-150時間
経営法務 100-150時間
中小企業経営・政策 50-100時間

(引用元:アガルートアカデミー公式HP)

科目 必要な勉強時間
事例1(組織(人事を含む)を中心とした経営の戦略及び管理に関する事例) 80-120時間
事例2(マーケティング、流通を中心とした経営の戦略及び管理に関する事例) 80-120時間
事例3(生産、技術を中心とした経営の戦略及び管理に関する事例) 80-120時間
事例4(財務、会計を中心とした経営の戦略及び管理に関する事例) 80-120時間

(引用元:アガルートアカデミー公式HP)

上の表は中小企業診断士の一次試験、二次試験の科目における必要な勉強時間の目安をそれぞれまとめたものです。

中小企業診断士の試験科目はご覧の通り幅広く、それぞれの科目に対ししっかりとした勉強時間の確保が必要です。

これらを合わせて、中小企業診断士に合格するためには一般的に約1,000時間の勉強時間が必要だといわれています。

こうして数字を見ると膨大に感じるかもしれませんが、仮に1日3時間、1週間で20時間程度の勉強時間を確保したとすると、1年以内の勉強機関での合格も可能な計算になります。

決して不可能で非現実的な数字ではありませんし、目指す価値のある資格だといえます。

中小企業診断士の難易度

資格名 合格率
税理士 18%
宅建 15~17%
FP1級 13%
(学科試験合格率×実技試験合格率)
行政書士 11~15%
公認会計士 10%
社労士 6~7%
中小企業診断士 3~8%
(1次試験合格率×2次試験合格率)
司法書士 3~5%
資格名 勉強時間
公認会計士 3,500時間
司法書士 3,000時間
税理士 3,000時間
中小企業診断士 1,000時間
社労士 1,000時間
行政書士 600~1,000時間
FP1級 600時間
宅建 300~400時間

(引用元:アガルートアカデミー公式HP)

上の2つの表は、中小企業診断士の合格率と合格までに必要な勉強時間の目安を他の資格と比較しまとめられたものです。

これを見てみると、やはり中小企業診断士の資格試験は他の資格と比較しても難易度は高いといえます。

とはいえ、公認会計士や司法書士などの難関資格と比較すると、必要な勉強時間は少なく、1年以内の短期合格も不可能ではない数字です。

正しいやり方で努力すれば、1年程度の短期間でも十分合格を目指せるような難易度となっています。

中小企業診断士は独学で合格できるのか?

中小企業診断士の合格者のなかには独学で勉強した方も多く存在していますので、結論からいうと独学での合格は「可能」です。

しかしながら、独学の場合必要な勉強時間はおよそ1,000時間以上だといわれています。

中小企業診断士の資格は試験範囲の広さが最大の難関です。独学であれば、しっかりと学習計画を立ててから計画的に勉強していくことが重要なポイントです。

1年を超える長期間の勉強となるため、モチベーションを保ちつつ効率よく勉強することを意識しましょう。

別の記事で、中小企業診断士に独学で合格するための方法をまとめています。

こちらを参考にしていただき、効率の良い勉強について考えてみてくださいね。

中小企業診断士に独学で合格する方法の記事はこちら

中小企業診断士に関するよくある質問

中小企業診断士に関するよくある質問
  • 中小企業診断士の年収ってどれくらいなの?
  • 中小企業診断士になるのってすごいことなの?
  • 中小企業診断士ってそもそもどんな仕事なの?
  • 中小企業診断士が役に経たないといわれているのはどうして?
  • 中小企業診断士は転職に役立つ?どんな仕事があるの?
  • 中小企業診断士になると副業で稼げるって聞いたけどどうして?

ここからは、中小企業診断士に関するよくある質問に対して回答をまとめていきます。

中小企業診断士の年収ってどれくらいなの?

中小企業診断士の年収は500万~800万といわれています。

年収・年間売り上げ
割合(%)
300万円以内 14.3
301万~400万円以内 8.8
401万~500万円以内 10.0
501万~800万円以内 21.4
801万~1,000万円以内 11.4
1,001万~1,500万円以内 15.4
1,501万~2,000万円以内 6.7
2,001万~2,500万円以内 4.3
2,501万~3,000万円以内 2.3
3,000万以上 4.8

(引用元:中小企業診断協会「中小企業診断士活動状況アンケート調査」結果について 令和3年5月版)

上の表は令和3年に中小企業診断協会が実施した資格取得者へのアンケートの結果をまとめたものです。

分布が低所得~高所得までばらついていますが、中間に位置するのが500万~800万円の方で、割合も最も多い21.4%となっています。

中小企業診断士の資格取得後の「活かし方」によって、このように稼げる金額が変わってきます。

中小企業診断士になるのってすごいことなの?

中小企業診断士の試験は合格率が低く、合格できる方は少ないので、試験に合格することは世間一般的に「すごいこと」だといえます。

中小企業診断士に合格するためには一般的に約1,000時間の勉強時間が必要だといわれており、資格試験にストレートで合格する割合は3~8%となっています。

資格名 合格率
税理士 18%
宅建 15~17%
FP1級 13%
(学科試験合格率×実技試験合格率)
行政書士 11~15%
公認会計士 10%
社労士 6~7%
中小企業診断士 3~8%
(1次試験合格率×2次試験合格率)
司法書士 3~5%

(引用元:アガルートアカデミー公式HP)

上の表は中小企業診断士と他資格の例年の合格率をまとめたものです。他の資格と比較しても試験の合格率が低いことがわかりますね。

このことから、中小企業診断士の試験に合格することは「すごいこと」だといえます。

中小企業診断士ってそもそもどんな仕事なの?

中小企業を対象に、経営課題の分析や改善案の提案・助言などを行い経営面で企業をサポートする仕事です。

中小企業診断士の業務は、中小企業支援法で「経営の診断及び経営に関する助言」とされています。
「現状分析を踏まえた企業の成長戦略のアドバイス」が主な業務ですが、その知識と能力を活かして幅広く活躍しています。

(引用元:中小企業診断協会公式HP)

中小企業診断士の試験を主催している中小企業診断協会のHPでは、中小企業診断士の業務をこのように定義づけています。

日本の企業のうち99.7%の割合を占める中小企業のサポートを任されていることから、中小企業診断士の与えられた役割は社会的にも重要だといえます。

中小企業診断士が役に立たないといわれているのはどうして?

中小企業診断士が行う「経営コンサルティング」業務は無資格者でも実行でき、独占業務がないことから役に立たないといわれることもあるようです。

選択肢 回答数 構成比(%)
1 . コンサルティング業務を行っている 1,230 65.7
2 . コンサルティング業務を行っていない 642 34.3
回答数計 1,872 100

(引用元:中小企業診断協会「中小企業診断士活動状況アンケート調査」結果について 令和3年5月版)

上の表は中小企業診断士の資格取得後の活動状況についてのアンケート調査の結果をまとめたものです。

実際に中小企業診断士の資格取得後にコンサルティング業務を行っていない方は34.3%もいることが分かります。

理由としては「会社の仕事に追われ,時間と余裕がないから」、「機会がないから」、「自分の能力不足」といった回答が多く、資格取得したからといって仕事にありつけるとは限らないことを証明していますね。

こうした状況もあって、中小企業診断士は役に立たないといわれることがあるようです。

中小企業診断士は転職に役立つ?どんな仕事があるの?

中小企業診断士は社会的な需要の高さに対して資格取得の難易度が高いため、資格事体に価値があり、転職に役立つといえます。

経営コンサルティング業界への転職はもちろん、それ以外にも補助金・助成金申請のサポート業務や講師活動や執筆活動など幅広い仕事があります。

日本経済新聞社と就職・転職情報サービスの日経HRは共同で、ビジネスパーソンを対象に新たに取得したい資格(語学検定含む)を調査した。首位は中小企業診断士で前年の6位から大きく順位を上げた。

取りたい資格で首位の中小企業診断士は経営コンサルタントを認定する唯一の国家資格で、中小企業の経営診断・助言を担う。合格率約4%と難易度は高いが、経営全般に関わる知識を習得できるため会社員や公務員など幅広い業種で人気を集めている。将来のポストに不安感を抱く会社員らが、昇格や独立への備えとして取得するケースが増えていると見られる。

(日本経済新聞 2016年1月12日付より引用)

中小企業診断士の資格は日本経済新聞、日経Bizアカデミーと日経キャリアマガジンが共同で行った「ビジネス系資格・語学調査」で、「ビジネスパーソンが新たに取得したい資格」 第1位に選ばれています。

このように人気も知名度も高い中小企業診断士の資格はそれ自体にも価値があり、身に着けた経営に関する幅広い知識は様々な仕事に活かせるため転職にも有利といえるでしょう。

中小企業診断士になると副業で稼げるって聞いたけどどうして?

中小企業診断士は経営コンサルティングに留まらず、習得した知識は幅広い仕事に活かせるためです。

副業の業種 主な業務
コンサルティング業務
  • 企業診断
  • 営業戦略の策定
  • 業務改善の助言
  • 新規事業の提案
  • M&A戦略やコンプライアンス対応に対するアドバイス
補助金・助成金申請のサポート業務
  • 申請書の作成や申請のアドバイス
  • 経営企画書・事業計画書の作成
  • 面接・プレゼン審査のサポート
  • 補助金採択後の報告書の作成
研修・セミナーの講師
  • 自治体や商工会議所などが主催する事業者向けセミナーの講師
記事の執筆やブログの運営
  • 情報サイトや雑誌などに記事を寄稿する
  • 自分のブログで記事を掲載する
資格講座の講師や添削指導
  • 資格に関する予備校などでのセミナー講師
  • 予想問題や練習問題の作成
  • 模擬試験の添削

(引用元:志師塾公式HP)

上の表は中小企業診断士の資格取得後に行える副業はどういったものがあるのかをまとめたものです。

このように経営コンサルティング業務以外にも、補助金・助成金申請のサポート業務や講師活動や執筆活動などの情報発信業務など幅広く仕事ができます。

まとめ:中小企業診断士の資格は役に立つし、将来性もある

今回の記事では、「中小企業診断士はやめとけ」といわれている噂の真相について解説してきました。

結論としては、中小企業診断士は役に立つし将来性もある素晴らしい仕事であり、決して「やめとけ」といわれるような資格ではないといえます。

一方で、中小企業診断士に合格するには多くの勉強時間と努力が必要です。

漠然と中小企業診断士に「なりたい」ではなく、「資格取得したらこんな風に活かしたい」というしっかりとしたイメージを持ったうえでチャレンジすることをおすすめします。

中小企業診断士を目指している方、これから目指そうか迷っている方に、今回の記事の内容が参考になれば幸いです。

また、この記事では中小企業診断士は独学でも合格は可能とお話ししましたが、効率よく学ぶことを重視される方には通信講座の受講もおすすめの方法です。

別の記事で中小企業診断士の通信講座と予備校のおすすめランキングを紹介しているので、興味がある方は、ぜひご覧ください。

中小企業診断士の通信講座と予備校のおすすめランキングの記事はこちら

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この記事を書いた人

徳永 浩光のアバター 徳永 浩光 キャリアコンサルタント

WEBメディアの監修や300社以上のキャリア相談を通じて、働く人の悩みに寄り添い、気付きを与えるキャリアコンサルタント。「偶然を生かす」という考え方を大切にし、真の願望を明らかにするアプローチを採用。

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