簿記は企業の経営活動を記録・計算・整理し、財政状態や営業状況を明確にする技能です。
簡単にいえば、企業の家計簿です。
収益と損失、借入や所持している財産などを細かく計算して管理を行う経理の専門職で、どんな企業でも求められるスキルであり、就職転職には職種問わず有利な資格といえます。
個人事業主の方は、簿記の知識があれば確定申告する場合でも役立ちますし、仕事でキャリアアップを目指したい方や、将来起業を考えている方も、持っていて確実に役立つ資格でしょう。
しかし資格の勉強となると、通信ではお金がかかる、時間がない、独学で合格できるの?と不安をお持ちの方も多くいらっしゃることでしょう。
本記事では、簿記3級を独学で合格できるのか、難易度とおすすめの勉強法について詳しく解説しているので、ぜひ参考にしてください。
簿記検定3級は、通信講座で勉強するのもおすすめです。
詳しくは、こちらの記事でも解説しています。
簿記3級は独学で合格は可能?
簿記の資格は初級、3級、2級、1級とあり、レベルごとに求められる知識量は格段に異なっています。
3級に求められるのは以下の通り示されています。
業種・職種にかかわらずビジネスパーソンが身に付けておくべき「必須の基本知識」として、多くの企業から評価される資格。基本的な商業簿記を修得し、小規模企業における企業活動や会計実務を踏まえ、経理関連書類の適切な処理を行うために求められるレベル。
(引用元:商工会議所の検定試験HP)
3級は簿記技能の基礎知識ですから、社会人としてのキャリアアップを目指すのであれば、もう一つ上を身につけたいところです。
簿記3級は、「とにかく資格をとりたい」という方にも人気があり、市販テキストや学習サイトも豊富にあり、独学でも勉強しやすい資格です。
回ごとに合格率は変動していますが、平均すると合格率は50%程度と比較的高く、しっかりと対策すれば、独学でも十分合格できるといえるでしょう。
簿記3級は難しすぎ?「なめてた」「やばい!」という声も
簿記3級の合格率は、50%を上回ることもあるほど高く、高校生の大学推薦入学にも有利となる資格という点でも、安易に取れる資格というイメージが先行しており、試験も簡単だと思われがちでした。
ところが、2021年6月、11月の試験では合格率30%を下回る結果となっていました。
2021年6月の試験から制限時間が120分から60分に短縮された事も要因のひとつといわれていますが、試験内容も毎回変わる訳ですから、難易度にも変化があって当然です。
また、2020年12月からネット形式の試験が導入され、試験問題もランダムに組まれるようになり、難易度の偏りが出ないようになったのも理由のひとつと考えられます。
しっかり勉強し、試験に備えた準備をきちんとしていれば、自信を持って臨めるでしょう。
日商簿記試験2級・3級の難易度と合格率
2級、3級の過去5年分の受験状況と合格者数です。
開催年度・回 | 級 | 受験者数 | 合格者数 | 合格率 |
2024年6月
167回 |
2級 | 6,310名 | 1,442名 | 22.9% |
3級 | 20,927名 | 8,520名 | 40.7% | |
2024年2月
166回 |
2級 | 8,728名 | 1,356名 | 15.5% |
3級 | 23,977名 | 8,706名 | 36.3% | |
2023年11月
165回
|
2級 | 9,511名 | 1,133名 | 11.9% |
3級 | 25,727名 | 8,653名 | 33.6% | |
2023年6月
164回
|
2級 | 8,454名 | 1,788名 | 21.1% |
3級 | 26,757名 | 9,107名 | 34.0% | |
2023年2月
163回
|
2級 | 12,033名 | 2,983名 | 24.8% |
3級 | 31,556名 | 11,516名 | 36.5% | |
2022年11月
162回
|
2級 | 15,570名 | 3,257名 | 20.9% |
3級 | 32,422名 | 9,786名 | 30.2% | |
2022年6月
161回
|
2級 | 13,118名 | 3,524名 | 26.9% |
3級 | 36,654名 | 16,770名 | 45.8% | |
2022年2月
160回
|
2級 | 17,448名 | 3,057名 | 17.5% |
3級 | 44,218名 | 22,512名 | 50.9% | |
2021年11月 159回 |
2級 | 22,626名 | 6,932名 | 30.6% |
3級 | 49,095名 | 13,296名 | 27.1% | |
2021年6月
158回
|
2級 | 22,711名 | 5,440名 | 24.0% |
3級 | 49,313名 | 14,252名 | 28.9% | |
2021年2月
157回
|
2級 | 35,898名 | 3,091名 | 8.6% |
3級 | 59,747名 | 40,129名 | 67.2% | |
2020年11月
156回
|
2級 | 39,830名 | 7,255名 | 18.2% |
3級 | 64,655名 | 30,654名 | 47.4% | |
2020年6月
155回 |
2級 | 中止 | ||
3級 | ||||
2020年2月
154回 |
2級 | 46,939名 | 13,409名 | 28.6% |
3級 | 76,896名 | 37,744名 | 49.1% | |
2019年11月
153回 |
2級 | 48,744名 | 13,195名 | 27.1% |
3級 | 80,130名 | 34,519名 | 43.1% | |
2019年6月
152回 |
2級 | 41,995名 | 10,666名 | 25.4% |
3級 | 72,435名 | 40,624名 | 56.1% | |
2019年2月 151回 |
2級 | 49,776名 | 6,297名 | 12.7% |
3級 | 80,360名 | 44,302名 | 55.1% |
(引用元:商工会議所HP)
簿記3級の合格率は40%〜50%、簿記2級の合格率は20%〜30%でした。
平均の合格率で見る限り、3級の合格率は高いように見えますが、2人に1人以上が不合格ということになります。
簿記3級の試験は身近な内容のように思えて、実は専門用語や計算なども多く出題されますし、表作成の設問では一つのつまずきですべてが台無しになる可能性もあります。
また、制限時間も60分に短縮されてからは時間配分も課題となり、決して安易な試験とは言えないでしょう。
簿記3級を独学で合格するための学習ポイント
簿記は、数字を扱う職種とは言え、数学力はあまり関係ありません。
計算に関しては、試験でも計算機を使用できますので、ポイントは用語、仕組みを理解することです。
簿記3級の学習ポイントは大きく3つです。
・テキスト1冊くまなく理解すること
3級は基本中の基本です。
テキスト1冊を理解できるまでしっかりと読み込みましょう。
・インプット&アウトプットを繰り返す
テキストで理解したセクションを予想問題、演習問題を繰り返してアウトプットすることで、知識をしっかり自分のものにすることです。
問題を解くテクニックではなく、理解することが大切です。
・実際の試験時間60分の間に解けるよう練習
時間配分を考えて、時間ロスのないよう進められること、いかに効率よく合格点を取るかです。
計算量が多いので、メモリ機能やGT(グランドトータル)計算機の機能を使いこなせるようにしておくことも大切です。
試験内容は3問あります。
簿記3級の試験内容と配点 | |||
第1問 | 仕分け問題が15問程度 | 45点 | 目標時間18分 |
第2問 | 補助簿、勘定記入、文章穴埋め 2問 | 20点 | 目標時間14分 |
第3問 | 精算表、賃借対照表、損益計算表の作成 | 35点 | 目標時間28分 |
配点の大きい1問目の仕分けは出題数も多く、正答することで得点を稼げるので、特に繰り返しトレーニングを行いましょう。
得点が取れなかった問題や、時間のかかった問題は、集中して復習し早めに克服しましょう。
7割の正答率を意識して解き進めることが合格の鍵となります。
簿記3級に独学で合格するために必要な勉強時間
簿記3級を独学で合格するには、大手通信教育講座数社を確認したところ50〜100時間ほど必要とされていました。
1日2〜3時間学習したとして、1ヶ月〜2ヶ月半くらいの計算となります。
合格した方のブログの中には、最短で1週間の学習で合格したという方もいらっしゃいました。
簿記3級は、商業簿記から大きく「簿記の基本原理」「諸取引の処理」「決算」「株式会社会計」が出題範囲となります。
市販テキスト1冊およそ400〜500ページのものが多く、全てをじっくり読んだとしても40〜50時間、1ヶ月弱ほどで読破できるでしょう。
学んだ知識を予想問題、演習問題でアウトプットを繰り返すのに30時間15日、総ざらいや苦手の再履修にゆとりを持って30時間15日。
かなり多めに見積もっても2ヶ月弱ほどあるのは理想です。
市販テキストでも、「1週間でマスター」をうたうテキストもあります。
経験や知識があれば、1週間で合格率も可能かもしれませんが、全くの初心者の方であれば、1日3~4時間、最低1ヶ月は学習できるように計画を立てましょう。
簿記3級に独学で合格するための勉強スケジュール
初心者の方が、簿記3級を独学で学ぶのであれば、先述したように1ヶ月〜2ヶ月半、10週間70日ほどの学習時間を確保すべきです。
試験日から70日逆算したスケジュールです。
1〜28日目 4週間 |
インプット&アウトプット |
---|---|
29〜56日目 3週間 |
予想問題、演習問題 |
57〜70日目 3週間 |
総ざらい、苦手教科の強化 |
年に3回の統一試験であれば2月、6月、11月の決まった日程でしか受験できませんが、ネット形式試験であれば試験場の空きがあればいつでも受験可能です。
受けたい試験の形式によってスタートすべき時期が違うので、自分のスケジュールに合わせてスタートしましょう。
簿記3級の勉強にテキストはいらないの?
簿記3級を勉強するための教材は、無料のオンラインサイトやアプリなど豊富にあるので、人によっては紙のテキストなんていらない!という方もいるかもしれませんが、テキストは効率よく学習するのには不可欠です。
効率のよい学習とは、インプットとアウトプットがしっかりできることが重要です。
多くの市販テキストはプロによって監修された内容ですので、学習のポイントや問題も、わかりやすく覚えやすいようまとめられています。
電子書籍のテキストもありますが、紙のテキストは書き込みもできるので、自分なりの形にまとめることも可能です。
よほどの経験者でない限り、テキスト使用した学習をおすすめします。
webの学習ツールはあくまでも副教材として利用しましょう。
簿記3級を独学で合格を目指すおすすめの教材・テキストシリーズ
簿記3級を独学で学習するのにおすすめの教材とテキストをご紹介します。
合格した方や、現役で資格を活かしたお仕事をしている方から高評価の教材をピックアップしました。
簿記3級独学のおすすめのテキスト5選
簿記3級におすすめテキストのポイントはこの3つです。
・カラー刷りや図表イラストなどテキストの見やすさ
・インプットとアウトプットができる構成か
・最新の試験範囲に対応しているか
ポイントの条件を満たすテキストをご紹介します。
簿記3級 スッキリわかるシリーズ
スッキリわかる日商簿記3級[テキスト&問題集] 1,100円
予想問題1,100円
A5サイズ
可愛いキャラクターがストーリー仕立てで、実際の生活の中でのシーンになぞられながら、簿記3級の知識を学びます。
やさしい一般的用語とイラスト、図表で簡潔にまとめられているので、初心者でも安心して取り組めます。
インプットとアウトプットが、セクションごとに行えるので、知識の定着もしやすい内容です。
解答用紙がダウンロードできるので、繰り返し確認テストができたり、ネット試験受験者用に、模擬試験プログラムも利用できます。
A5サイズとコンパクトなので、携帯もしやすい大きさです。
簿記3級 みんなが欲しかったシリーズ
みんなが欲しかった!簿記の教科書1,100円
問題集1,100円
B5サイズ
かわいいイラストと図表で解説されたわかりやすいフルカラーテキストです。同著者のスッキリシリーズより、少し掘り下げられたテキストで少しカッチリした印象になります。
セクションごとで要点を押さえ、受験生のつまづきやすいポイントにもしっかり対応し、見やすくまとめられています。
基本問題も満載で1冊でインプット&アウトプットも完了します。
答案用紙をダウンロードできるので、繰り返し使えます。
簿記3級 よくわかる簿記シリーズ
合格テキスト2,200円
本試験問題集1,760円
合格トレーニング1,650円
B5サイズ
資格の学校TACの簿記講座でも使用されている公式教材です。
図表やイラストが豊富な2色刷りで、学習ポイントや論点も見やすくしっかりまとめられています。
セクションごとに基本例題でアウトプットでき、知識の定着を確認できる内容です。
少々堅めの内容なので、初心者の方にはわかりにくいという声もありますが、簿記2級や会計士、税理士など合格の次のステップをイメージしている方には、役立つ知識も身につくテキストです。
簿記3級 簿記教科書 パブロフ流でみんな合格
日商簿記3級 テキスト&問題集1430円
総仕上げ問題集 2023年度版1650円
A5
かわいいパブロフのキャラクターが、4コマ漫画やイラストに登場し、簿記3級の知識をやさしくレクチャーします。
専門用語ではなく一般用語で解説されているので、初心者にもわかりやすい内容です。
練習問題もおさめられているので、1冊でインプット&アウトプットが完了します。
QRコードから、練習問題の詳しい解説を動画で視聴できたり、著者のブログでは質問も受け付けています。
簿記3級 公認テキスト
・テキスト:1,100円
・テキスト、問題集、解答集3冊セット:2,530円
公認テキストの評価はあまり見られませんでした。
他の市販テキストに比べ堅い構成なので、初心者の方には理解しにくいところもあるようですが、内容としては公認である点からも最新のものですし、試験範囲に適したものです。
テキストに過去問、解説もついてこの値段であれば、コスパはとてもよいテキストです。
簿記3級独学のおすすめのアプリ3選
簿記3級におすすめのアプリのポイントはこの3つです。
・最新の試験範囲に対応しているか
・信頼できる会社のものか
・値段
ポイントの条件を満たすおすすめアプリをご紹介します。
簿記3級解説つき問題集 |
仕分けトレーニングに最適のアプリとして、高い評価を受けています。
基本から分野別、出る順まで全問題に解説もついていて、チェックした問題の復習機能まであり、無料で802問もトレーニングできるので、簿記3級を目指す方であればやって損はないでしょう。 |
パブロフ簿記3級 |
無料のパブロフ簿記LITEは31問、有料版は730円で234問あります。
仕分けをレベル1〜3、分野別にトレーニングでき、丁寧な解説もついています。 復習や間違えた問題のみ出題される学習機能や、セーブ機能もあり、隙間時間でも学習しやすいアプリです。 統一試験、ネット形式にも対応した60分の模擬試験もダウンロードできるので、模試感覚で取り入れてもよいでしょう。 |
簿記3級オンスク
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オンスクは、月額1,078円で50講座が受講できるサブスクタイプの学習アプリです。
講義ムービーや演習問題など簿記3級に必要な知識のインプットとアウトプットが可能な内容です。 テーマ別やミス問題など、隙間時間も効率よく学習できる機能もついています。 学習メインでも進められますが、テキストと併用して使うとより理解も深まり、効果的な学習が可能です。 |
簿記3級独学のおすすめのその他の教材
簿記3級を学べるその他のおすすめ教材です。
Study Pro
かわいいペンギンのキャラクターたちと簿記3級の学習が無料できるサイトです。
登録することで、進捗管理や苦手問題のチェックなども行えます。
わかりやすくまとめられているので、初心者でも気負わず学習できます。
過去データから分析された予想問題も掲載されているので、問題を少しでもたくさん解きたいという時にも訪れたいサイトです。
犬でもわかる!無料簿記講座
シンプルで大変見やすいサイトです。
いぬぼきという愛称で、簿記資格の独学者に支持されており、簿記2級商業簿記、工業簿記までカバーしています。
大変丁寧な解説がわかりやすく、テキストではわからなかった点も、いぬぼきで解決したという声もおおくありました。
ホントにゼロからの簿記3級 『ふくしままさゆきのホントに』シリーズ
Amazonの簿記3級教材でベストセラー入りしているKindle版のテキストです。
簿記学習系の人気YouTuberでもあるふくしままさゆきさんが、自身の動画もあわせて簿記3級について詳しく教えてくれます。
prime会員なら無料なので、会員の方は一読の価値は十分にあるでしょう。
簿記3級を独学・通信・通学で学ぶ場合の比較
簿記3級を学習する方法は、独学、通信講座を受講する、資格の学校などに通学するなどの方法があります。
それぞれにかかる費用、勉強時間などを独学、通信、通学で比べてみました。
簿記3級を独学で勉強するメリット・デメリット
学習時間は50〜100時間程度。
テキストは1冊1000円前後なので3,000円弱です。
独学のメリットは、市販テキストや無料でも学習できる教材がたくさんあるので、費用を抑えて学習したい方には最も適した学習スタイルです。
一方で、合格するためだけの要点ばかりを抑えた、上辺の知識となりやすく、取得後ステップアップで2級や他の資格の取得を考えた場合、知識の理解が足りず苦戦する可能性があります。
簿記3級を通信で勉強するメリット・デメリット
大手5社の平均で22,000円ほど、学習時間は講座によりますが50〜80時間とされています。
通信講座のメリットは、プロによって監修されたテキストやEラーニングで効率よく学習できる、質問や添削課題など学習サポートが受けられる点です。
独学より大きくコストがかかるのはデメリットといえますが、講座によっては2級3級とセットになっている講座もあるので、最初から2級まで目指したいと考えている人には学習しやすいスタイルといえます。
簿記3級を通学で勉強するメリット・デメリット
簿記3級の講座のあるスクール大手3社の平均は38,000円ほどで、15〜18回50時間ほどの講義があります。
各校監修のテキストを使用し、講義だけでなく模試や、学校によってはネット試験会場にもなっているので、気がねなく受験できるでしょう。
通学は、受講費が高額なのがデメリットではありますが、充実した学習サポートや就職・転職サポートも受けられるという大きなメリットがあります。
簿記3級を独学・通信・通学で勉強する比較
簿記3級を独学・通信・通学で勉強するメリットデメリットなどを表にまとめました。
独学 | 通信 | 通学 | |
勉強時間の目安 | 50〜100時間 | 50~80時間 | 50~80時間 |
費用 | テキスト代のみ 1冊1000円前後なので3,000円弱 |
平均22,000円 | 平均38,000 |
メリット | ・費用を押さえて学習できる
・自分に合ったテキストを選べる ・自分のペースで学習できる |
・オリジナルテキストやEラーニングなどの教材で学習できる
・学習サポートが受けられる ・2級とセットの講座もある |
・手厚い学習サポートが受けられる
・就職や転職のサポートが受けられる ・学習に集中できる |
デメリット | ・学習サポートを受けられない
・モチベーション維持が難しい |
・独学よりも費用がかかる
・講座数が多く選ぶのが困難である |
・費用が高額
・通学までの手間がかかる |
独学は、費用を抑えられるのが最大のメリットですが、学習サポートがなく、モチベーション維持が難しいというデメリットがあるので、人によって向き不向きはあるでしょう。
通信講座は、独学よりも費用は掛かりますが学習サポートやEラーニングなどの教材も充実しており、働きながらの方でも隙間時間で効率よく学習が進められます。
通学は、講師との直接コミュニケーションも取れ、手厚い学習サポートが受けられ、費用と通学の手間はかかりますが、集中して学習に取り組めるでしょう。
簿記3級の試験概要
従来の紙で解答する統一試験と、2020年12月からネット形式(CBT形式)が採用され2つの試験形式を選択できるようになりました。
計算機の持ち込み可なので、使い慣れたものを持参しましょう。M +、M-、RM、GT、00のキーがあるものがおすすめです。
簿記3級の試験範囲
簿記3級は、商業簿記の以下の範囲から出題されます。
- 簿記の基本原理
- 諸取引の処理
- 決算
- 株式会社会計
出題内容は以下の3問に分かれています。
- 第1問 仕分け問題が15問程度
- 第2問 補助簿、勘定記入、文章穴埋め 2問
- 第3問 精算表、賃借対照表、損益計算表の作成
簿記3級の試験日程と試験方式、受験料
日程は統一試験とネット形式(CBT方式)で違います。
従来の統一試験はペーパーテストで、2月・6月・11月の年3回、各拠点にて実施されている試験です。
ネット試験は各地受験センターにて随時開催されていて、試験日間際まで申し込みができ、PC入力で回答して受験後すぐに合否がわかります。
どちらも受験料は同額で3級は3,300円です。
簿記3級の受験資格
簿記3級に受験資格は特にありません。
申請すればたとえ中学生でも受験は可能です。
2級3級の併願受験も可能です。
簿記3級の合格基準
7割の正答率で、100点中70点以上とれば合格となります。
配点の大きい1問目仕分け45点の正答率と、3問目表作成35点をいかに埋めるかが、合格の分かれ道です。
2問目の穴埋めは最後にして、先に1問目3問目から攻略しましょう。
簿記3級に合格したら
簿記3級は経理業務の入門資格です。
簿記の勉強をしてみて、興味がより強くなった方、思ったより簡単だった、と感じたならばぜひ上位資格にチャレンジしてみましょう。
簿記の資格が役立つ仕事
簿記3級保持者は、経理の基本がわかってる人とみなされますので、企業内で数字を扱う経理や会計事務では重宝されます。
他種の業務においても、数字の動きから会社の経営状況がわかるというのは、大きな武器となるでしょう。
会計事務所では、より専門的な業務を税理士が担っていますが、そのアシスタントとして働くことも可能です。
個人事業主や起業を目指す方も、経営の管理や確定申告でも簿記の知識は大変役立ちます。
社会人の教養として身につけておくだけでも、十分に価値のある資格なのです。
簿記2級を目指そう!
「履歴書に書いていいのは2級から」という風にいわれることもありますが、そんなことは全くありません。
転職・就職ではアピールできる事はアピールすべきでしょう。
しかし、「経理のエキスパートを目指したい」「キャリアアップを目指したい」という方は、より難関である簿記2級の取得をおすすめします。
特に、お仕事をしながらというのであれば、新人よりひとつ上の資格を目指したいところです。
3級の土台があれば、2級チャレンジのハードルはぐっと下がりますから、ぜひ継続して2級の学習に取り組んでみてはいかがでしょうか。
簿記資格とおすすめのダブルライセンス
簿記資格を持っている方に人気の資格を5種類ご紹介します。
- FP(ファイナンシャルプランナー)
- 中小企業診断士
- 宅建士
- 税理士
- MOS
FP(ファイナンシャルプランナー)
ファイナンシャルプランナーは、お金を扱うプロの資格ですが、対個人の内容を取り扱うのが主な内容の国家資格です。
簿記の資格は、法人の経理を管理するのが主な仕事となりますので、両資格を持つことでより幅広い業務を行えます。
学習内容も重複する点も多く、簿記の知識があればFPの学習もスムーズに進められるでしょう。
中小企業診断士
中小企業診断士は、企業の経営状態を分析し経営方針を診断、助言を行う専門家で、難関国家資格です。
膨大な試験範囲の中には財務・会計の科目もあり、簿記で得た知識があればその点の学習がスムーズに進められます。
企業からの雇用条件もよく、キャリアアップを狙える資格といえます。
宅建士
畑違いにも思える宅建士ですが、実は簿記との相性が良い資格です。
宅建士は、不動産売買や貸借の独占業務として行う不動産業界には不可欠の資格です。
不動産の取引の際に必要となる、経理の帳票作成などの業務にも、簿記の知識は業務に非常に役立ちます。
税理士
税理士の資格は、ダブルライセンスというよりは簿記の上位資格です。
税務関連のスペシャリストであり、難関国家資格です。
企業に所属するよりは、税理士事務所に所属して仕事をするケースが多く、簿記資格保持者は税理士補佐として勤務することもあります。
簿記2級、税理士の資格を取得し、キャリアアップ、収入アップを狙えるでしょう。
MOS
Microsoft Office Secialistの略で、MOSの資格を持っていれば、Microsoft社のWord、Excel、PowerPointなどのソフトを使いこなせるという証明となります。
簿記の資格と合わせ持っていれば、経理や事務の現場では即戦力とみなされますので、転職・就職にも有利に働きます。
簿記3級を独学のよくあるQ&A
- 簿記3級はどのくらい難しいの?
- 簿記3級試験の申し込み方法は?
- 簿記3級のおすすめテキストはある?
- 簿記3級は簡単すぎる?不合格だと恥ずかしいの?
- 簿記3級の独学で合格した人のブログはある?
- 簿記3級を取得するメリットは?
簿記3級はどのくらい難しいの?
簿記3級は、「資格試験の中では比較的簡単」「偏差値45」といわれています。
しかし、専門的な知識を求められますので、しっかり準備をせずに挑んで受かる訳はありません。
合格率は45%前後、2人に1人以上は不合格である事実を見れば、決して易しいとはいえないでしょう。
簿記3級試験の申し込み方法は?
簿記試験の申込受付日時、申込受付方法は、商工会議所によって異なります。
試験日の約2か月前頃から受付は開始されますが、受験希望地の商工会議所ごとに異なるので事前に商工会議所の検定試験HPチェックしましょう。
統一試験は、主にネットか窓口で直接申し込む形です。
ネット形式の場合はインターネット上からの申し込みのみとなります。
簿記試験のネット形式の試験って何?
これまでの統一試験は、6月の2週目・11月の3週目・2月の4週目の年3回実施、筆記形式の試験で行われ、合否も試験後1ヶ月ほど経過してからでないとわかりませんでした。
ネット試験は、試験センターが定める日時で随時受験可能、PCで直接入力して解答するスタイルです。
試験終了後にすぐ合否がわかるので、次のアクションをすぐに移れるのがメリットです。
普段からPCを使い慣れている方であれば、スムーズに解答できるので、550円の事務手数料を支払ったとしてもお得だといえるでしょう。
簿記3級のおすすめテキストはある?
おすすめテキストは以下3つのポイントでピックアップしました。
・カラー刷りや図表イラストなどテキストの見やすさ
・インプットとアウトプットができる構成か
・最新の試験範囲に対応しているか
本記事でおすすめしたテキストは以下の5シリーズです。
- スッキリわかるシリーズ
スッキリわかる日商簿記3級[テキスト&問題集]
予想問題 - みんなが欲しかったシリーズ
みんなが欲しかった!簿記の教科書
問題集 - よくわかる簿記シリーズ
合格テキスト
本試験問題集
合格トレーニング - 簿記教科書 パブロフ流でみんな合格
日商簿記3級 テキスト&問題集
総仕上げ問題集 - 日本商工会議所公認テキスト
4冊セット&8冊セット
いずれも1,000円~2,000円程度で購入できます。
簿記3級は簡単すぎる?不合格だと恥ずかしいの?
簿記3級は比較的簡単な試験だと思われがちですが、専門的な知識や計算ができないと取得できる資格ではありません。
不合格で恥ずかしいということは決してありません。
必要な知識を身につけ、試験全体の7割を正解できれば合格できます。
後悔のないようしっかり準備しましょう。
簿記3級の独学で合格した人のブログはある?
簿記3級に独学で合格した人のブログはたくさんあります。
参考にして勉強するのも良いことですが、3か月、1ヵ月勉強したという人もいれば、中には1週間で合格したという強者もいらっしゃいます。
決して惑わされず、自分のペースで焦らず学習を積み重ねていきましょう。
簿記3級を取得するメリットは?
簿記3級の知識があれば、企業の業績や経営状態が読み解け、優良企業を見分けられるので、就職・転職の際は、履歴書に書く以外のメリットもあります。
起業する方、個人事業主の方であれば、確定申告もスムーズに行えるようになります。
高校生の方であれば、大学の推薦入学に有利となります。
簿記3級を独学で合格できる?難易度とおすすめ勉強法:まとめ
簿記3級は独学でも合格を狙える資格です。
学習するためのテキストやアプリなども豊富にあり独学でも十分に学習を進められるでしょう。
しかし、社会人としてのキャリアアップを目指すのであれば、上位資格である簿記2級を目指すのもおすすめです。
簿記2級は格段に難易度があがる難関資格なので、2級を目指す場合はより基礎をしっかり固める必要があります。
2級も目指したいという方であれば、通信講座もおすすめです。
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