弁理士は、特許・実用新案・意匠・商標などの知的財産に関する出願手続きの代理や相談などを担う専門職です。
弁理士の試験難易度は高いものの、年収は高水準で、一見人気の職業のように思えます。
にも関わらず、ネットなどで検索すると「弁理士 やめとけ」という言葉が出てきて、目指そうと思っていたのに不安になってしまった方もいるのではないでしょうか?
そんな方のために、この記事では「弁理士はやめとけ」といわれる理由はもちろん、弁理士の難易度、年収、弁理士になるメリット・デメリット、弁理士に向いている性格、就職先にはどのようなものがあるのか、さらには高年収の弁理士を目指すためにやるべきことなど、様々な角度から弁理士について徹底解説します!
これから弁理士を目指す方にも、すでに弁理士として働いているけど現状に悩んでいる方にも、悩みを解決するきっかけになる情報をお届けします。
ぜひ参考にしてみてください。
弁理士試験は、通信講座や予備校での勉強もおすすめです。
弁理士のおすすめ通信講座については、以下の記事も併せてご覧ください。
弁理士の難易度は?
弁理士試験は、最終合格率が1割を下回る難関国家試験です。
合格率は令和7年度の試験で6.4%と、受験者3,183人に対して205人が合格しています。
| 実施年 | 受験者数 | 合格者数 | 最終合格率 |
|---|---|---|---|
| 2017年度(平成29年度) | 3,912人 | 255人 | 6.5% |
| 2018年度(平成30年度) | 3,587人 | 260人 | 7.2% |
| 2019年度(令和元年度) | 3,488人 | 284人 | 8.1% |
| 2020年度(令和2年度) | 2,947人 | 287人 | 9.7% |
| 2021年度(令和3年度) | 3,248人 | 199人 | 6.1% |
| 2022年度(令和4年度) | 3,177人 | 193人 | 6.1% |
| 2023年度(令和5年度) | 3,065人 | 188人 | 6.1% |
| 2024年度(令和6年度) | 3,160人 | 191人 | 6.0% |
| 2025年度(令和7年度) | 3,183人 | 205人 | 6.4% |
(引用元:特許庁)
上の表は、特許庁が公表している弁理士試験の結果をもとに、受験者数・合格者数・最終合格率をまとめたものです。
過去9年間での合格率は常に10%を切っており、かなりの難関資格であることがうかがえます。
2026年度(令和8年度)の最終合格発表は11月9日予定です。
2026年10月26日時点では発表前のため、上の表の最新年度は2025年度です。
(出典:スタディング「2026年度弁理士試験スケジュール」)
弁理士試験の難易度が高い理由は、短答式試験・論文式試験・口述試験の3種類の試験を全てクリアしなければならず、学習しなければならない範囲がとても広いためといわれています。
独学では自信がないという人には、通信講座や予備校での学習もおすすめです。
詳しくはこちらの記事でも解説していますので、ぜひご覧ください。
弁理士の年収は?
弁理士は高収入といわれますが、実際の年収はどれくらいなのでしょうか?
厚生労働省の職業情報提供サイト「job tag」の弁理士ページには、以下の全国値が掲載されています。
| 項目 | 全国値 | 出典・対象年 |
|---|---|---|
| 年収 | 981.1万円 | 令和7年賃金構造基本統計調査 |
| 求人賃金(月額) | 40万円 | 令和7年度ハローワーク求人統計 |
| 有効求人倍率 | 2.01倍 | 令和7年度ハローワーク求人統計 |
(出典:job tag「弁理士」)
これらは弁理士が属する職業分類に対応する統計で、必ずしも弁理士だけの数値を示すものではありません。
また、年収と求人賃金は調査対象・集計方法が異なり、求人月額をそのまま年収と比較することはできません。
弁理士の年収は同じ職場でも雇用形態や経験、スキルの有無などによって大きく変わるというのが正直なところです。
弁理士の年収は、勤務先や経験年数、担当分野、役職、独立の有無などによって差があります。
このように弁理士の年収は、スキルやダブルライセンスの有無など、様々な要因によって変わってきます。
弁理士の年収については後ほど「弁理士として専門性を高めるためにできること」の項目でも詳しく解説していますので、ぜひ最後までご覧ください。
弁理士はやめとけといわれる理由6つ
ここからはいよいよ、弁理士がなぜ「やめとけ」といわれるのか?その理由を詳しく解説していきます。
主な理由としては、以下の6つが挙げられます。
- 弁理士は難易度が高く仕事を始めるまでの道のりが長い
- 下積みが長い
- 年収が実力によって左右される
- 職場によって労働環境が異なる
- 国内の特許出願件数は長期的に減少してきた
- 責任が重くプレッシャーがある
弁理士は確かに成功すれば高収入ですが、下積み期間が長く、ある程度の収入を得られるようになるまでには長い年月がかかります。
下積みが終わっても、実力が足りなければ収入は伸びません。
また、働き方や待遇は勤務先によって異なるため、就職・転職時には業務内容や労働条件を確認することが大切です。
6つの理由についてさらに詳しくみていきましょう。
弁理士は難易度が高く仕事を始めるまでの道のりが長い
先ほどもお伝えした通り、弁理士試験は難易度が高く、複数回受験して合格する人も少なくありません。
合格者の内訳をみてみると、年齢別では30代が43.4%と最も多く、職業別では会社員の合格者が49.3%と半数近くを占めています。
また合格者の平均受験回数は2.9回(前年度2.4回)となっており、会社員として働きながら合格する人も多いことがうかがえます。
このように、試験合格までに複数回の受験を要する人もいます。
さらに、晴れて試験に合格しても、すぐに弁理士として働けるわけではありません。
試験合格後に、実務修習と呼ばれる研修を受けなければならないのです。
実務修習を修了しなければ弁理士登録ができず、弁理士として正式に働くことはできません。
実務修習では、弁理士業務に必要な技能や専門的応用能力を学びます。
実施日程や申請方法は、年度ごとに日本弁理士会の案内を確認しましょう。
(出典:日本弁理士会「実務修習について」)
試験合格者などが弁理士登録をするには、所定の実務修習を修了する必要があります。
このように、弁理士として仕事を始めるまでの道のりが果てしなく遠いと感じて、弁理士になるのを断念する方もいるでしょう。
下積みが長い
弁理士は専門性がかなり高いため、一人前になるまでには実務経験の積み重ねが必要です。
下のグラフは、厚生労働省の職業情報提供サイト(旧・日本版O-NET、現在のjob tag)に掲載されていた過去の調査で、実際に弁理士として働いている人に「周囲から特別なサポートが無くても他の一般的な就業者と同じように働けるようになるまでに必要な期間」についてアンケートを取り、その結果をまとめたものです。

(引用元:職業情報提供サイト日本版O-NET公式HP)
この過去の調査では、弁理士としてひとり立ちするまでには2〜3年かかると考えている弁理士が30.9%となっています。
3〜5年かかると答えた人も25%となっています。
必要な期間は担当分野や経験、勤務先の教育体制によって異なるため、これらの回答がすべての人に当てはまるわけではありません。
このように下積みが長いことから、「弁理士はやめとけ」といわれてしまうようです。
年収が実力や経験によって左右される
弁理士は高収入といわれますが、ただ資格を取って就職すれば、誰でもすぐに高収入を得られるわけではありません。
弁理士の年収は、働く人の年齢・経験スキル・経営センスなど、さまざまな要因に左右されます。
弁理士の平均年収は、一般的な給与所得者より多額であるといわれています。
しかし、平均年収に満たない人も少なくありません。
年齢や経験によって、給与に大きな差があるからです。たくさん稼ごうと考えるなら、企業勤務・独立開業問わず、まずは経験を積んでさまざまなスキルを磨く必要があるでしょう。
(引用元:スタディング公式HP)
このように、年収を上げたければコツコツと年数をかけて経験を積み、そのうえでさらに強みとなるスキルを磨いていかなければなりません。
上記引用元のスタディングによれば、具体的なスキルとして語学力や営業スキル、コミュニケーション能力などが挙げられるそうです。
逆に考えれば「自身の努力次第で収入を上げていける」というやりがいにもなりますが、こういった厳しい世界が肌に合わず、「弁理士はやめとけ」という意見になる方もいるでしょう。
職場によって労働環境が異なる
特許事務所や企業の知的財産部など、弁理士の勤務先はさまざまで、業務量や勤務時間、教育体制、給与体系なども職場によって異なります。
そのため、「弁理士だから必ず激務」「特許事務所はブラック」と一括りにすることはできません。
就職・転職の際は、求人票だけでなく、担当する業務内容、残業時間、教育・フォロー体制、評価制度、休暇制度などを確認し、自分の希望する働き方と合っているかを見極めることが重要です。
国内の特許出願件数は長期的に減少してきた
国内の特許出願件数は、2000年代前半と比べると減少しています。
ただし、特許庁の「特許行政年次報告書2025年版」では、2024年までの国内特許出願件数は30万件前後で推移していました。
そのため、「特許出願が減っている=弁理士の仕事がなくなる」と単純に判断することはできません。
弁理士の業務には、特許だけでなく、実用新案・意匠・商標の出願代理、知的財産に関する相談・コンサルティングなどもあります。
一方、知財業務を取り巻く環境は、企業の知財戦略や海外展開、AIなどの技術進展によって変化しています。
今後も専門知識を更新していくことが重要でしょう。
責任が重くプレッシャーがある
特許庁に対して「知的財産」の権利の申請を行うことは弁理士の独占業務として法律上位置づけられています。
特許関連の出願手続きには膨大な書類が必要であり、高度な知識も問われます。
また一字の誤字、一点の書類不備があるだけで却下されることもあります。
(引用元:スタディング公式HP)
上記のように弁理士の仕事は、弁理士法で定められた独占業務であり、高度な知識が必要です。
出願手続きでは期限管理や書類の正確性が求められ、案件によってはクライアントの事業戦略にも関わるため、責任の大きい仕事です。
このような理由から「弁理士の仕事は責任が重い」「プレッシャーが尋常ではない」といわれ、弁理士が敬遠される事態になっているようです。
弁理士になるメリットとは?
これまでは弁理士になるデメリットばかりお伝えしてしまいましたが、弁理士になるメリットもたくさんあります。
具体的には以下のような内容です。
- 国際的な知財業務にも携われる
- 自由度が高くプライベートと両立しやすい
- 経験や専門性を活かしてキャリアアップを目指せる
- 定年=引退ではない
弁理士はある程度経験を積んで慣れてくれば、働き方の融通が効く自由度の高い仕事です。
また、経験や専門性を高め、企業内弁理士や特許事務所勤務、独立など多様なキャリアを選択できます。
弁理士の仕事を取り巻く環境は変化していますが、知的財産の保護・活用を支援する専門職としての役割があります。
それぞれについて詳しく解説していきます。
国際的な知財業務にも携われる
企業が海外で事業を展開する際には、外国での特許取得やPCT国際出願など、国境を越えた知的財産の保護が重要になります。
WIPOの「2026年PCT年次報告」では、日本国特許庁を受理官庁とする2025年のPCT国際出願件数は46,409件とされています。
(出典:WIPO「2026年PCT年次報告」)
年間4万件を超える国際出願が行われており、外国案件に対応する専門性を活かせる場面があります。
外国出願に関わる弁理士には、各国の制度を理解する力に加え、海外の代理人などとやり取りするための語学力が役立つ場面もあります。
※PCT国際出願とは
特許協力条約(PCT:Patent Cooperation Treaty)に基づく国際出願です。
1つの出願手続によって、PCT加盟国に同時に出願したのと同様の効果を得られる制度です。
自由度が高くプライベートと両立しやすい
弁理士の仕事はデスクワークが中心です。
勤務先によっては、フレックスタイム制度や在宅勤務などを導入している場合もあります。
勤務先の制度によっては、育児や介護と両立しながら、復帰した後も在宅勤務やフレックス制度、時短勤務を利用して、仕事と家庭を両立しやすいでしょう。
子供を育てながら現役弁理士として活躍しているNaoko先生は、自身の体験をもとに以下のように綴っていらっしゃいます。
(弁理士の仕事は)必要であれば完全に在宅ワークをすることも可能ですし、自分の都合の良い時間帯に仕事をすることもできます。
このように、働き方の選択肢が多いために、ライフステージや家庭環境の変化があった場合でも比較的働き続けやすい職業であるといえます。
筆者の場合も、子供が小さい間は子供の発熱等でお休みをしてしまうことも多かったですが、子供が寝ている間に家で仕事をしたり、夫が仕事から帰ってから子供の世話をお願いして、その間に少しずつ仕事をする等の工夫をしていました。
(引用元:アガルートアカデミー公式HP)
このように、出産や育児でキャリアが途絶えてしまいがちな女性でも、弁理士なら勤務先によっては柔軟な働き方を選択でき、仕事とプライベートの両立がしやすいでしょう。
もちろん女性だけではなく、趣味やプライベートを大切にしたい男性や、積極的に育児をしたい男性にもおすすめの職業です。
経験や専門性を活かしてキャリアアップを目指せる
弁理士の年収は、勤務先や経験、担当分野、役職などによって異なります。
経験を積んで専門分野を持つ、企業の知財部でキャリアを築く、特許事務所で役職を目指す、独立・開業するといった複数のキャリアがあります。
独立すれば必ず高収入になるわけではありませんが、専門性に加えて営業・経営などの力を身につけることで、収入を伸ばせる可能性があります。
定年=引退ではない
勤務先の定年と、弁理士として仕事を続けられる年齢は同じではありません。
企業や特許事務所に勤める場合は勤務先の制度によりますが、独立・開業した弁理士には勤務先が定める定年はありません。
日本弁理士会の2026年9月30日現在の会員分布では、65歳以上の会員は2,802人で、弁理士数11,882人の約23.6%を占めています。
最高年齢は100歳です。
(出典:日本弁理士会「会員分布状況(2026年9月30日現在)」)
経験や専門性を活かして長く働く道がありますが、再雇用の条件や仕事の確保などは個別に確認する必要があります。
弁理士の働き方3選
では実際に弁理士として働く場合、どのような就職先があるのでしょうか?
基本的には以下の3つに大別されます。
- 特許事務所
- 企業の知的財産部
- 独立・開業
特許事務所は多くの弁理士が集まる組織なので、優秀な先輩の仕事ぶりを見て覚えることで、自身も大きく成長できるでしょう。
企業の知的財産部で企業内弁理士として働く場合、特許事務所ほど激務ではない場合が多いので、ワークライフバランスを重視できる可能性が高めです。
自分で独立・開業してとことん上を目指すのも良いでしょう。
それぞれのメリットを交えながら詳しく解説します。
特許事務所で働く
日本弁理士会の2026年9月30日現在の会員分布では、「特許(法律)事務所勤務」は1,932人で、会員のうち、16.3%が特許事務所に勤務しています。
特許事務所が選ばれる理由としては、弁理士集団として専門的に多種多様な仕事をこなしているため、多くの経験が積めてスキルアップを目指せるからだと考えられます。
弁理士の就職先として不動の人気を誇っています。
企業の知的財産部で働く
同じ2026年9月30日現在の会員分布では、企業勤務は3,010人で、企業勤務が全体の25.3%も占めていて、統計上の「特許(法律)事務所勤務」の人数よりも多いことがわかります。
「特許(法律)事務所勤務」とは別に「出資社員(弁理士法人)」などの区分があるため、この比較は特許事務所に関わる人全体と企業勤務者との比較ではありません。
企業内弁理士の人気が高まっている理由は、福利厚生がしっかりしていて労働環境が良いことや、固定報酬制を採用している企業も多く、大きくは稼げなくても収入が安定していることなどが挙げられます。
時代の変化とともに、収入はそこそこでも安定して落ち着いた生活を送りたいというニーズが高まっているのかもしれません。
独立・開業する
弁理士として経験と実績を積み、クライアントとの信頼関係を築ければ、独立・開業の道が目指せます。
同じ2026年9月30日現在の会員分布によると、特許(法律)事務所経営は24.7%(2,931人)。
弁理士の約4人に1人が特許事務所を経営していることになります。
独立・開業して成功すれば年収は天井知らずですし、自分が社長なのである程度好きなように働けることも魅力でしょう。
自分一人で経営するのは不安という場合でも、実績を残せばパートナーとして共同経営者になれることもあります。
また、もし開業して失敗しても、弁理士の資格と実務経験があれば特許事務所や企業内弁理士に戻ることは可能なため、自分がどこまでできるか挑戦したいという方にはおすすめです。
弁理士として専門性を高めるためにできること
弁理士として長く活躍するには、知財の専門知識に加えて、自分の強みとなるスキルを磨いていくことが重要です。
せっかく弁理士になったのだから、どうせなら上を目指したいという方もいるでしょう。
ここからは、弁理士として専門性を高めるために役立つこと、ポイントをお伝えします。
- 語学の勉強をする
- 資格を複数取る
- AIなど新しい技術を業務に活用する
外国案件に対応する業務の幅を広げるには、語学のスキルを高めることが役立ちます。
他にも「クライアントに選ばれる弁理士」になるためには、実用的な資格を取って他の弁理士との差別化を図ることも有効です。
またAIを上手に活用して業務負担を軽減すれば、効率的に多くの案件をさばけるようになり、結果収入を上げていけます。
語学の勉強をする
外国出願や国際出願を扱う場合、海外の代理人やクライアントと英語などでやり取りする機会があります。
WIPOの「2026年PCT年次報告」でも、2025年は129か国の出願人がPCT国際出願を行ったとされています。
語学力があれば必ず高収入になるわけではありませんが、外国案件に対応できる業務の幅を広げるうえで役立つスキルの一つです。
また、外国で弁理士・弁護士等として業務を行うための資格制度は国によって異なります。
日本の弁理士資格だけで外国の弁理士業務を行えるわけではないため、各国の資格制度を確認する必要があります。
資格を複数取る
ダブルライセンスを目指すことで、他の弁理士と差別化できて仕事を取りやすくなり、収入アップにつながります。
また複数の資格を持っていれば転職でも有利になるため、より待遇の良い職場への転職も叶いやすいでしょう。
例えば「中小企業診断士」の資格を持っていれば、企業に対して知財の面から経営戦略のアドバイスできます。
資格の知識を活かして的確なアドバイスができれば、クライアントから信頼されて継続依頼につながりやすく、独立した後も仕事をもらえる可能性が高くなります。
弁理士とのダブルライセンスにおすすめな資格とおすすめな理由は、以下の通りです。
- 中小企業診断士
知財コンサルティングと経営コンサルティングを同時に行える。
知財を経営戦略に活かしたい企業にとっては、一人の人間にまとめてお願いできるので重宝される。
また独立後、自身の事務所を経営する際にも知識が役立つ。
- 行政書士
弁理士となる資格を有する人は、行政書士試験に合格しなくても行政書士となる資格があります。
実際に行政書士として業務を行うには、事務所を設ける都道府県の行政書士会を通じ、日本行政書士会連合会の行政書士名簿への登録を受ける必要があります。
- 税理士
税のプロとして、企業の財政面との兼ね合いをみながら知財コンサルタントができる。
独立開業した後にも知識が役立つ。
- 公認会計士
公認会計士は財産価値の評価を行うため、企業の知的財産の価値をより正確に判断できる。
企業からすると自分たちの知財にはどれくらいの価値があるのかより詳しくコンサルティングを受けられるため、ありがたい存在。
弁理士×公認会計士のダブルライセンスを持っている人はまだ少ないため、付加価値をつけるには狙い目の資格。
- 知的財産管理技能士
知財を管理、マネジメントする技能の習得度を証明する資格。
企業からすれば知財マネジメントのプロという証明になるので、より信頼して仕事を任せられる。
企業内弁理士として就職、転職したいときには好印象の資格。
- 知的財産翻訳検定
明細書などの知財に関する翻訳能力を、客観的に測るための試験。
海外進出を大きな柱として据えている企業から重宝される。
一般的な語学の資格より「知財に関する語学力」の証明となるため、受けておいて損はない。
このように、弁理士プラスアルファで上記のような資格を取っておけば、付加価値となり収入アップにつながるでしょう。
紹介した資格の詳しい内容は、以下の記事でも解説しています。
ぜひご覧ください。
→【2026年最新】中小企業診断士に合格するための勉強時間とは?難易度や科目別の目安も解説!
→【2026年最新】行政書士の難易度とは!勉強時間や年収、独学で合格できるのかも調査!
AIなど新しい技術を業務に活用する
生成AIをはじめとする技術の進展により、知財業務でもAIの活用が進んでいます。
一方、弁理士の業務には、発明者・企業から技術や事業戦略を聞き取り、権利化の方針を検討するなど、専門的な判断やコミュニケーションが必要な業務も含まれます。
「AIによって弁理士の仕事がなくなる」と断定することはできませんが、情報検索や文書作成支援など、新しい技術を適切に取り入れて業務効率を高める力は今後さらに重要になるでしょう。
なお、AIを利用する場合も、機密情報や個人情報の取り扱い、生成内容の正確性などには十分な注意が必要です。
弁理士になるのに向いているのはどんな人?実務で必要な能力とは
弁理士は、誰でもできる仕事ではありません。
専門性が高く特殊な業界なので、性格によって向き不向きが大きく影響します。
ここからは、「弁理士に興味はあるけど、自分は向いているのかな?弁理士になっても長く続けられるかな?」という疑問にお答えします。
弁理士に向いている性格とは、具体的には以下のようなものがあります。
- 傾聴力がありコミュニケーション能力が高い人
- 好奇心旺盛な人
- 情報収集能力が高い人
- デスクワークが苦にならない人
- 論理的思考が得意な人
- 向上心がある人
なぜこのような性格の人が向いているのでしょうか?
弁理士のメインの仕事である特許申請業務は、
- クライアントとの打ち合わせ、ヒアリング
- 出願書類作成
- 特許庁への対応
- 特許取得
という流れで行われます。
この業務の過程で、クライアントや特許庁の担当者と円滑にやり取りを行えるコミュニケーション能力や、出願書類を正確に書くための情報収集能力、黙々と書類作成をすることが苦にならない性格であることなどが必要なのです。
詳しく解説していきます。
傾聴力がありコミュニケーション能力が高い人
特許申請業務の第一段階は、依頼してきたクライアントに発明内容を詳しくヒアリングし、その発明が特許を取れそうな内容なのか、特許申請をするにはどういった流れになるのかを説明することから始まります。
クライアントによっては説明が苦手な人や、考えがまとまっていない人もいるので、必要な情報を聞き出すためには高い傾聴力が必要です。
また、きちんと特許が取得できるか不安なクライアントも多いでしょう。
安心して仕事を任せてもらうためにしっかりと説明を行うと共に、クライアントに必要なアドバイスを的確に行い、信頼を得られるようなコミュニケーション能力が必要となります。
好奇心旺盛な人
弁理士の仕事は、まだ世に出ていない最新の発明やアイデアに触れられる仕事です。
自分が得意とする分野の発明だけを相手にするわけではないので、自分が知らない分野のことでも興味を持てる、好奇心旺盛な性格の人が向いているでしょう。
クライアントが持ってきた発明に興味がなければ、その後の情報収集も苦になってしまうかもしれません。
広く物事に興味を持てる、好奇心旺盛な性格であれば弁理士の仕事を楽しめることでしょう。
情報収集能力が高い人
クライアントが持ってきた発明の内容を大まかに理解できたら、その後は出願書類作成のための情報収集が始まります。
特許を受けることができる発明とは
(1)産業として利用できるか(特許法第29条第1項柱書)
(2)新しいものであるかどうか=新規性=(特許法第29条第1項)
(3)容易に思いつくものでないかどうか=進歩性=(特許法第29条第2項)
(引用元:独立行政法人工業所有権情報・研修館HP)
このように特許権を取得するためには、「新規性」や「進歩性」など、細かい要件を満たしていなければなりません。
発明の新規性、進歩性を否定し得る先行技術が存在していた場合は特許権が認められないため、先行技術の調査というのも弁理士の大切な仕事になります。
膨大な数の先行技術の中から、クライアントの特許権申請に影響を及ぼすものがないかを期限内に調べないといけないため、正しい情報を効率的に収集できる高い情報収集能力が必要になります。
デスクワークが苦にならない人
情報収集ができれば、いよいよ出願書類の作成です。
収集した膨大なデータをもとに、黙々と書類を作っていきます。
弁理士の業務の大半はこのようなデスクワークなので、一日中座って作業をすることが苦にならない人でなければ、弁理士として働き続けるのは難しいでしょう。
論理的思考が得意な人
特許・商標の仕事は、お客様の状況や方針、法律、審査の基準、技術動向などを総合的に考慮して、お客様にとって適切な提案をすることが求められます。
また、その提案を、分かりやすく、且つ、説得力をもたせたうえで、文章化していく必要があります。
これらを実行するためには、感覚だけで仕事をするのではなく、論理的な思考力が求められます。
(引用元:ライトハウス国際特許事務所HP)
弁理士の仕事は集めた膨大な情報を整理して、分かりやすく論理的にまとめ上げる能力が求められます。
論理的で説得力のある書類が書けなければ、特許権獲得は難しいからです。
また何かしら特許権を付与できない理由が発見された場合、拒絶理由通知書が届きます。
拒絶理由通知書が届いた場合、提出した書類の内容を手直ししたり、拒絶された理由への反論ができます。
このときにも、審査官を納得させるためには論理的な説明ができなければなりません。
「特許権を獲得する」という弁理士の仕事の最も基本的な部分において、論理的思考が得意であるというのは欠かせない能力なのです。
向上心がある人
最後に、向上心がある人も弁理士に向いていると考えられます。
弁理士は、自分の知らない分野のことや最新の技術について常に勉強をしていかなければなりません。
また、特許法など法律の改正について把握しておくなど、常に知識をアップデートしていくことが求められます。
自己研鑽を惜しまず向上心を持って仕事に取り組める人であれば、弁理士としての将来は明るいでしょう。
弁理士になるのに向いていない人とは?
ここからは、弁理士に向いていない人についても解説します。
以下のような性格の方は、弁理士になったとしても仕事がつらく感じてしまうかもしれません。
自分が当てはまっていないか、弁理士を目指す前にしっかりチェックしておきましょう。
- チームで和気あいあいと働きたい人
- スケジュール管理が苦手な人
- 現状維持が心地よい人
チームで協力しながら賑やかに働きたい人にとっては、弁理士の仕事は地味でつまらなく感じるでしょう。
スケジュール管理が苦手で書類の提出期限が守れないなんてもってのほかですし、常に勉強が必要な仕事なので、現状維持でのんびり生活したい人には向きません。
チームで和気あいあいと働きたい人
弁理士の業務は大半がデスクワークで、一人で黙々と作業をする時間が圧倒的に多いといえます。
「チームで一丸となって仕事を進める」というよりは、「個々人が淡々と仕事を進めていく」というイメージに近いでしょう。
和気あいあいと賑やかに働きたい人には、向いていないといえます。
スケジュール管理が苦手な人
弁理士の仕事は、期限付きのものがほとんどです。
いくつもの案件を同時進行で進める場合、それぞれについてスケジュールをしっかり立てて把握しておかないと、書類提出期限に間に合わず特許申請が出来なかった、なんてことになりかねません。
スケジュール管理が苦手な人は、弁理士はやめておいたほうが無難です。
現状維持が心地よい人
技術の進歩はめざましく、知的財産に関わる法律はたびたび改正されます。
この仕事は常に新しい情報をつかみ、そのための勉強も一生レベルで求められます。
そのため弁理士を目指す人は、好奇心旺盛で勉強熱心、そして自分を高めるための努力を惜しまない人が多いです。
(引用元:スタディング公式HP)
先ほどもお伝えした通り、弁理士の仕事は常に知識をアップデートして最新の情報についていかなくてはなりません。
そもそも弁理士を目指す人は努力家で向上心がある人が多いため、現状に満足してのんびりと過ごすことが好きな人は、あっという間に周囲に差をつけられてしまい、弁理士として成功するのは難しいでしょう。
資格がなくても弁理士業務を経験できる「特許技術者」とは
これまで弁理士の難易度の高さや、弁理士として高いパフォーマンスを発揮するために必要なことをお伝えしてきました。
「やっぱり自分には無理かも…」と思った方もいるかもしれません。
そんな方におすすめなのが、弁理士試験に受かっていなくても弁理士の業務を経験できる、「特許技術者」です。
特許技術者は資格が必要ないため、弁理士試験に合格していなくても弁理士の仕事を覚えられます。
ここからはそんな「特許技術者」について詳しくみていきましょう。
特許技術者とは?弁理士との違いも解説
特許技術者とは、弁理士の資格を持っていない特許事務所の所員で、出願書類の作成などの弁理士業務の補助を行う人のことです。
(引用元:西川特許事務所HP)
特許技術者の業務内容は、弁理士とほぼ同じです。
弁理士との違いは、「弁理士資格を持っているかどうか」です。
明細書の作成やクライアントとの打ち合わせも行い、弁理士の実務をほぼ全て経験できます。
ただ弁理士法第4条により、特許庁への出願手続きの代行は弁理士でないと行えません。
その他裁判への出廷など、いくつかの弁理士専権業務以外はほぼ弁理士と同じ仕事を行います。
特許技術者になるメリット
特許技術者になるのに資格はいりません。
求人に応募して採用されれば、そのまま特許技術者としてのキャリアがスタートします。
特許事務所の求人情報を調べてみたところ、「特許技術者として実務経験を積みながら、弁理士試験合格を目指しましょう」といった内容が多くみられました。
なかには「特許技術者のうちは、試験勉強の時間を確保するため定時で帰れるように業務内容を調整します」といった事務所もありました。
未経験でも応募できるところも多く、実務経験を積んで効率よく弁理士試験に合格したい人におすすめです。
働きながら弁理士試験に挑戦するなら、通信講座や予備校での勉強がおすすめです。
詳しくはこちらの記事でも解説していますので、ぜひご覧ください。
ブラック特許事務所の特徴5つ
ここからは転職や就職で失敗しないために、ブラック特許事務所の特徴をお伝えします。
以下の特徴に気を付けて就職先を選べば、過酷な労働環境で疲弊するのを防げるかもしれません。
- ノルマが厳しすぎる
- 料金表が安すぎる
- 所長や上司がパワハラ気質
- 離職率が高い
- 有給取得率が低い
ブラック特許事務所の特徴は、一般的なブラック企業の特徴とほぼ同じです。
こういった事務所を避けるためには、求人に応募する前に徹底的に情報収集しておくことが重要です。
ノルマが厳しすぎる
弁理士の仕事は出来高制ですので、ノルマが設定されている場合があります。
普通に頑張れば達成できるノルマであれば問題ないのですが、なかには薄利多売で利益を上げるために、法外な残業や休日出勤をしなければ到底達成できないような、無茶なノルマを課す事務所もあります。
「事務所名 ノルマ」で検索すると口コミなどが出てくる場合がありますので、事前に気になる事務所についてはチェックしておきましょう。
ただし口コミが全て正しい情報とは限らないため、この記事の「ブラック特許事務所を避けるためには」で解説する情報も併せて確認しましょう。
料金表が安すぎる
志望事務所のクライアント向けの料金表を、ホームページなどでチェックしてみましょう。
やたらと安い料金設定の事務所は、薄利多売で利益を上げようとするため抱える案件の数が多く、激務になりがちです。
また必死で仕事をこなしても1件ごとの報酬が少ないため、収入もなかなか上がらない傾向にあります。
ホームページなどに料金表が載っている事務所は多いため、じっくり見比べてみましょう。
ちなみに当サイトが調査したところ、特許申請~特許取得までの一連の流れを弁理士に依頼した場合の平均的な費用は、約80万円~100万円ほどでした。
参考にしてみてください。
所長や上司がパワハラ気質
小さな事務所では、所長の考え方や雰囲気がそのまま事務所の雰囲気に影響を与えます。
所長が根性論を推奨していたりノルマ重視だったり、高圧的だったりした場合、いわゆるパワハラが横行している可能性が高くなります。
事前にホームページの所長挨拶や所長のブログを確認したり、面接時によく観察するようにしましょう。
離職率が高い
離職率は職場を調べる際の参考になりますが、数値だけで労働環境の良し悪しを判断することはできません。
厚生労働省の令和7(2025)年雇用動向調査では、「学術研究,専門・技術サービス業」の離職率は11.7%で、一般労働者は10.0%、パートタイム労働者は26.7%でした。
(出典:厚生労働省「令和7年雇用動向調査・産業別の入職と離職」)
これは弁理士や特許事務所だけの統計ではありません。
応募先では、退職理由、勤続年数、採用人数、教育体制などもあわせて確認しましょう。
有給取得率が低い
有給取得率が極端に低い場合、有給を取る余裕がないほど激務だったり、有給を取るなんて言語道断といったパワハラ体質の事務所である可能性があります。
| 産業 | 平均付与日数 | 平均取得日数(単位:日) | 平均取得率(単位:%) |
|---|---|---|---|
| 学術研究,専門・技術サービス業 | 18.4 | 12.3 | 66.8 |
(引用:厚生労働省HP)
上の表は厚生労働省の令和7(2025)年就労条件総合調査の概況から、弁理士の産業分類である学術研究、専門・技術サービス業での労働者一人当たりの平均年次有給休暇の取得状況を抜粋したものです。
学術研究、専門・技術サービス業での労働者一人当たりの有給平均取得率は、66.8%となっています。
この調査の取得日数は令和6(2024)年(または令和5会計年度)の実績です。
産業全体の数値で、弁理士や特許事務所のみの取得率ではありません。
取得率だけでなく、実際に休暇を申請できるか、業務の引継ぎ体制があるかなども確認しましょう。
ブラック特許事務所を避けるためには
ブラック事務所の特徴が分かったところで、ここからはブラック特許事務所を避けるためにやるべきことをお伝えします。
- SNSをチェックする
- 情報サイトで調べる
- 事務所のホームページを分析する
- 転職エージェントを利用する
懸命に就職活動をしてやっと決まった就職先が、実はブラック特許事務所だった…なんてことにならないためには、応募する前の段階でしっかり情報収集をしておくことが肝要です。
インターネットが発達した現在では、リアルな口コミや経験談を簡単に集めることもできます。
弁理士になってからも必要な情報収集能力を、いかんなく発揮しましょう。
SNSをチェックする
まずおすすめなのは、SNSで気になっている特許事務所やその周辺情報を検索することです。
実際に働いていた人の体験談に出会えたり、リアルな愚痴や悩みを知ることが出来るかもしれません。
また、SNSでそのような知財関係者を積極的にフォローして交流し、人脈を作っておけば、弁理士としてデビューした後も有益な情報を得られるかもしれません。
便利なSNS時代、存分に活用しましょう。
情報サイトで調べる
以下のような知財や特許情報に特化したサイトもおすすめです。
| Concepts Engine
技術文書の検索など、技術支援サービスを提供。 |
パテントサロン
![]() (引用元:パテントサロン公式HP) 知財に関する情報を幅広く網羅している総合情報サイト。 特許事務所の杜というコーナーでは、特許事務所について、所在地・業務内容・得意とする技術分野などで細かく絞って検索できる。 知財系求人求職フェアでは、オンライン求人説明会と面談タイムを設けている。 |
Concepts Engineなどの技術情報サービスは、技術分野や特許情報の把握に役立ちます。
ただし、公開特許情報だけでは事務所の経営状態や職員一人当たりの負担は分からないため、労働条件は求人票や面接でも確認しましょう。
(出典:Concepts Engine公式サイト)
パテントサロン開催の求人求職フェアは公式案内では各回最多4社と小規模ですが、そのぶん一つ一つの特許事務所担当者とじっくり話せるため、その特許事務所で働いている人の雰囲気や人柄を観察できます。
希望していた事務所が出展していなくても、他の事務所の仕事内容や採用条件を知る機会になります。
(出典:パテントサロン「知財系求人求職フェア」)
事務所のホームページを分析する
事務所のホームページは情報の宝庫です。
”ブラック特許事務所の特徴”の項目でもお伝えしましたが、料金表を確認したり、所長挨拶やブログをチェックするのがおすすめです。
また、以下のようなことも調べられます。
面接で聞きたいことを絞るのにも役立ちますので、参考にしてみてください。
- 所属弁理士の数
所属弁理士の数を見れば、その事務所が大規模なのか、はたまた小規模なのか、だいたいの規模を把握できます。
しかし実際は大規模事務所並みの案件数なのに弁理士が少なすぎるだけ、といったトラップもありますので、弁理士数だけで判断するのは良くありません。
他の情報も加味して、総合的に判断しましょう。
- 勤務地
勤務地が複数書いてある事務所は支社を持っている可能性があるということなので、転勤の有無を確認しておきましょう。
東京でバリバリ働きたかったのに、就職したら地方の支社所属を命じられた…などということにならないように、事前に確認が必要です。
- 研修制度
様々な研修の機会を用意している事務所は、人材育成に力を入れており新人をしっかり育てようという土壌があるということです。
弁理士業界は人材育成が苦手な側面がありますが、研修制度が充実している事務所を選べば、より効率的に成長できるでしょう。
- 取引しているクライアント
主な取引先を掲載している事務所もあります。
理想的なのは多種多様な業種の企業と取引があり、また少数の企業に依存していない事務所です。
弁理士業は景気の影響を受けやすいので、少数の企業や偏った業種の企業とばかり取引していると、その企業や業界に何かあったときに共倒れになりかねません。
リスクマネジメントの観点から、幅広いクライアントと取引のある事務所を選びましょう。
以上のような情報をしっかり見極めれば、ブラック特許事務所を避けられる可能性は高くなるでしょう。
転職エージェントを利用する
自分で情報収集する自信がなかったり、時間が惜しいという方は、転職エージェントを利用するのも手です。
転職エージェントを利用するメリットには以下のようなものがあります。
- すでに応募や就職した先輩からの口コミが聞ける
- 自分では聞きづらいことも聞いてもらえる
- 自分の希望にあった職場を探してもらえる
- 非公開求人を持っている場合がある
- 就職活動のアドバイスをしてもらえる
- 離職率や有給取得率なども教えてもらえる可能性が高い
転職エージェントは仕事柄多くの特許事務所とのパイプを持っているため、内部事情にも詳しい可能性が高いでしょう。
就職後のフォローや、入所してから「話が違う」となった際の再交渉をしてくれる会社もあるため、実際に働いている人のリアルタイムの声を知っていることでしょう。
しかし担当者によってはノルマ達成のために人気のない事務所を内情を隠して勧めてきたりすることもあるので、誠実な担当者に出会えるかどうかは運次第なところがあります。
弁理士に関するよくある質問
| 弁理士に関するよくある質問 |
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最後に、弁理士に関するよくある質問についてお答えします。
登録抹消する弁理士が増えてるって本当?
日本弁理士会では、弁理士の登録・抹消状況を公表しています。
日本弁理士会会長の2026年の年頭挨拶では、ここ3年は毎年、登録抹消者数が弁理士試験の最終合格者数を上回り、弁理士総数が減少していると説明されています。
ただし、登録抹消の理由は個々に異なります。
この数字だけから「仕事がないから辞めている」「弁理士に将来性がない」と判断することはできません。
弁理士数や登録・抹消の動向を見る際は、日本弁理士会が公表する最新の会員分布状況や登録公告を確認しましょう。
AIに仕事を奪われる可能性は?
AIの進展によって、知財業務の一部が効率化・自動化される可能性はあります。
一方、弁理士の仕事には、発明内容の聞き取り、権利化方針の検討、クライアントとの調整など、専門的な判断やコミュニケーションが必要な業務もあります。
そのため、「AIで弁理士の仕事がすべてなくなる」とは現時点ではいえません。
AIを適切に活用しながら、専門知識・判断力・コミュニケーション力を磨くことが重要です。
弁理士の仕事って楽しい?
弁理士の仕事の大変な面は、インターネットで少し調べればたくさん出てきます。
では逆に、弁理士の仕事の楽しい面とは、一体どういうものなのでしょうか?
弁理士として働いている人のブログを複数調べてみたところ、以下のようなやりがいや魅力があることが分かりました。
- 自分一人で仕事をこなすので、やり遂げた時の達成感が大きい
- 自分の仕事が世界に大きな影響を与える可能性がある
- 常にスキルアップが必要な仕事なので、自身の成長が実感できる
まずは、やり遂げた時の達成感です。
弁理士は一つの案件につき、一人で対応することがほとんどです。
クライアントと何度も打ち合わせを重ね、時に信頼関係を築きながら、特許権取得という大きな目標に向かって孤独に邁進します。
クライアントの意向を汲み上げ、望み通りの結果が得られた時の達成感は筆舌に尽くしがたいでしょう。
また、そのようにして自分が関わり認定された特許技術が世界を大きく変えていくのを見たとき、その喜びは何倍にも膨れ上がることでしょう。
これほどのやりがいは、弁理士だからこそだと思います。
また、弁理士は常にスキルアップしていかなければならない仕事です。
そのぶん苦労もありますが、何年もコツコツと努力を続けていれば、過去の自分から大きく成長していることを実感できるでしょう。
以上のようなことを楽しい、魅力的だと思える方なら、弁理士としてきっと花開くことでしょう。
弁理士は地頭が良くないとなれないの?
弁理士試験には、学歴・年齢による受験資格の制限はありません。
特許庁は最終合格者について出身校系統別の統計を公表していますが、出身大学の偏差値と合格率の因果関係を示すデータではありません。
弁理士試験では、短答式・論文式・口述試験に対応する幅広い知識と、継続的な学習が必要です。
出身校やいわゆる「地頭」だけで合否が決まると考えるのではなく、試験制度を理解して計画的に学習を続けることが大切です。
スタディングの弁理士講座については、こちらの記事で解説しています。
ぜひ参考にご覧ください。
弁理士の求人ってどんなものがある?未経験や資格なしOKの求人はあるの?
厚生労働省の職業情報提供サイト「job tag」によると、令和7年度の弁理士の有効求人倍率は2.01、求人賃金は月額40万円です。
ただし、これは弁理士が属する職業分類に対応するハローワーク求人統計で、必ずしも弁理士だけの数値ではありません。
また、「未経験・資格なし」の求人数や、民間求人を含む市場全体の状況を示すものではありません。
弁理士資格を持っていない場合でも、特許事務や特許技術者など、知財業界で経験を積める求人が募集されることがあります。
応募条件は勤務先によって異なるため、実際の求人情報を確認しましょう。
50代や60歳以上でも弁理士の求人はある?
弁理士に定年は関係ないといわれますが、実際に50代や60歳以上でも求人はあるのでしょうか?
弁理士は実務経験が重要視される仕事なので、50代や60歳以上でも応募可能な求人はあります。
50代・60代でも応募できる求人はありますが、募集状況や応募条件は時期・勤務先によって変わります。
しかし50代以上の転職の場合、どうしても即戦力としての実務経験が求められます。
年齢が上がるにつれ企業が求職者に求めるレベルはどんどん高くなっていきます。
弁理士に限らず、他の業界や職種も同じです。40代以降の転職では、マネジメント力や専門分野の知識・スキルを業務にどう活かせるのかなど、即戦力として活躍できることが採用基準となります。
40代で転職活動を行う場合は、「語学が堪能」「実務経験が豊富である」「知財訴訟に強い弁護士とつながりがある」といったプラスαのスキルがあった方が良いでしょう。
(引用元:アガルートアカデミー公式HP)
転職支援サービス「アガルートキャリア」も展開している資格試験の通信講座アガルートアカデミーによると、40代以降の転職では、特化したスキルや実務経験が求められるそうです。
年齢だけで判断するのではなく、これまでの職務経験や技術分野の専門知識を、知財業務でどう活かせるかを考えることが重要です。
では50代や60歳以上で弁理士になった人は、どのような仕事をしているのでしょうか?
実際に50代で弁理士試験に挑戦し、合格した髙橋真吾さん(合格体験記掲載時53歳、2018年度合格)の例をみてみましょう。

(引用元:資格の学校TAC公式HP)
髙橋さんはソフトウェア開発を行う技術部門で働いていましたが、20代の頃に仕事で接した弁理士という仕事への興味が忘れられず。
50代で資格の学校TACの弁理士講座を働きながら受講し、弁理士試験に挑戦して2回目で見事合格。
合格体験記には、勤務先の知財部門への異動も記載されています。
髙橋さんのように、50代や60代でも、すでに勤務している会社の知財部へ異動したり、知財コンサルタント業務が行えるように弁理士資格を取得するというのは現実的な話です。
年齢だけで諦めず、様々な可能性を模索してみましょう。
弁理士を辞めたいと思うのはどんな時?
どんな仕事でもそうですが、せっかく苦労して弁理士になっても、心の底から「辞めたい」と思うこともあるでしょう。
では、具体的に「弁理士を辞めたい」と思うのは、どんな時なのでしょうか?
仕事を続けるうえで負担になりやすい要因としては、一般に次のようなものが考えられます。
- 激務により体調を崩す
- パワハラなど人間関係によるストレス
- 希望の働き方ができない、職場とのミスマッチ
業務量や残業・休日出勤の有無は勤務先や時期によって異なります。
また「人間関係のストレスが原因」という意見も目立ちました。
具体的には、「明細書の書き方など仕事を教えてもらえずほぼ放置、なんとか自分でやってみるも𠮟責だけされて指導をしてもらえない」といったパワハラ。
他には「陰で他人の悪口ばかり言っているお局事務員の存在」といった声も見受けられました。
最後は「希望の働き方ができない、職場とのミスマッチ」です。
「海外を股にかけて働ける弁理士になりたいのに、入ってくる仕事は国内の地味な案件ばかり」や「都会で働きたかったのに、地方の支社への転勤を命じられた」などがあります。
職場との相性は、入ってみないと分からない部分も多くあります。
働き方に悩んだ場合は、業務内容や勤務条件を整理し、必要に応じて職場への相談や転職などの選択肢を検討するとよいでしょう。
弁理士をしながら副業できる?どんな副業があるの?
弁理士は働き方の自由度が高く、仕事さえしっかりこなしていればフレックス制度や在宅勤務を利用して自分でスケジュールを組めます。
また専門職としての知識を活かせる仕事は多く、副業がしやすい職業といえるでしょう。
副業をして良いかどうかは会社や特許事務所によって規定が違うため、副業を視野に入れているのなら事前にしっかり確認しましょう。
では、弁理士の副業にはどのようなものがあるのでしょうか?
- 知財コンサルティング
- 予備校の講師や採点業務
- 大学の非常勤講師
- クラウドワークスなどのサイトで仕事を探す
- ブロガーやライターとして知識や経験を発信する
ざっと調べただけでもこれだけの副業の可能性があります。
主に個人事業主を相手に知的財産の運用、活用についての相談に乗ります。 知財に関する専門知識を活かせる分野ですが、報酬や業務内容は案件によって異なります。 |
弁理士受験対策講座を提供する予備校で講師のアルバイトをすることもできます。 弁理士試験に合格している者だからこそ伝えられる試験突破術には、高いニーズがあるでしょう。 土日にやっている講座も多いので、本業が休みの日に働けます。 |
求人は限られていますが、大学の非常勤講師として働いている弁理士もいます。 知的財産学部がある大学は多くありますし、法学研究科で知的財産に関しての講義を行う場合もあります。 |
クラウドワークスに代表される、クラウドソーシングサイトでお仕事を探すのも一つの手です。 商標登録をする仕事もあれば、弁理士の知識を活かして記事を執筆する仕事もあります。 |
ブロガーやライターとして自身の知識や経験を発信している弁理士の方は多くいらっしゃいます。 弁理士という仕事がそもそも高い文章作成能力を求められるので、ブログ執筆やライター業との親和性は高いでしょう。 自身でブログを運営してアフィリエイト収入を得たり、雇われライターとして弁理士資格や特許に関係する記事を書くなどの方法があります。 |
以上のように、弁理士としての資格や経験を活かせる副業はたくさんあります。
副業を行う場合は、勤務先の就業規則や利益相反、守秘義務などを確認したうえで取り組みましょう。
まとめ:弁理士になるのはやめた方がいいのか?
弁理士試験は、令和7年度の最終合格率が6.4%だった難関国家試験です。
一方、弁理士は特許・実用新案・意匠・商標などの知的財産に関する専門知識を活かし、特許事務所や企業、独立などさまざまな働き方を選べる専門職でもあります。
令和7年賃金構造基本統計調査をもとにしたjob tagの年収データは981.1万円です。
これは弁理士が属する職業分類に対応する統計で、必ずしも弁理士だけの数値ではなく、実際の収入や働き方は勤務先・経験・専門分野などによって異なります。
また、国内の特許出願件数やPCT国際出願件数、弁理士登録者数などを取り巻く状況も変化しています。
「やめとけ」という意見だけで判断せず、仕事内容や試験の難易度、登録後のキャリア、自分が希望する働き方を確認したうえで検討するとよいでしょう。
効率よく弁理士試験の合格を目指したい方は、通信講座や予備校を利用する方法もあります。
ぜひ以下の記事も参考にしてみてください。

