アクチュアリーの年収は?勉強時間や受験資格、過去問と難易度も解説

「アクチュアリーの年収って、本当に2,000万円に届くの?」

資格試験は難関で、合格者は替えが利かない人材なのに、企業は努力に見合う対価を支払ってくれるのか不安な方も多いのではないでしょうか。

そこで今回、アクチュアリーの年収について徹底的に紹介いたします。

  • 年収2,000万円に届く条件
  • 年収3,000万円に届く条件
  • アクチュアリーの年収ランキング
  • 東京海上日動など、企業ごとの具体的な年収

    資格取得も年収2,000万円を手にする道も決して簡単ではありませんが、アクチュアリーは社会全体で不足しています。

    2,000万円を超えて3,000万円すら目指せる職業であるため、アクチュアリーを目指そうかどうかお悩みの方は、ぜひ参考にしてください。

    アクチュアリーの対策は通信講座での学習もおすすめです。

    アクチュアリーの通信講座の記事はこちら

    サイト監修者情報

    徳永浩光

    キャリアコンサルタント Webメディア監修

    キャリアコンサルタントの視点から情報発信

    国家資格キャリアコンサルタント所持。キャリアコンサルタントの視点からWebメディアを監修。キャリア形成、資格取得に関しての情報を発信。

    マイベストプロ掲載

    キャリコンサーチ掲載
    目次

    アクチュアリーはどんな仕事?

    日本アクチュアリー会公式HP

    (引用元:日本アクチュアリー会公式HP)

    アクチュアリーとはどんな仕事をする人々を指すのか?

    アクチュアリーの資格試験を実施している日本アクチュアリー会では次のように定義されています。

    アクチュアリーとは、確率や統計などの手法を用いて、将来の不確実な事象の評価を行い、保険や年金、企業のリスクマネジメントなどの多彩なフィールドで活躍する数理業務のプロフェッショナルです。

    (引用元:日本アクチュアリー会公式HP)

    アクチュアリーは「数理業務のプロ」であり、日本では「保険数理士」と呼ばれることもあります。

    具体的には保険料率や支払額の算出など多くの数字を扱うため機械的なイメージがありますが、実は保険料率の算出1つとっても、「合理的で、妥当で、不当に差別的なものであってはならない」という人間味のある要素を含んでいます。

    高度な計算技術を必要としながらも、算出した保険料率が「なぜ合理的といえるのか?」「なぜ妥当といえるのか?」「差別的なものでない根拠はなにか?」と、自分の言葉で雇い主である企業を納得させていきます。

    導き出した数値や言葉に説得力があるからこそ、企業は算出された保険料率をもとに保険商品を売り出し、営業職は顧客を獲得でき、顧客は安心して日常生活を送れます。

    保険・金融業界は計算と言葉の力で成り立っていて、人や企業を動かす力はときに経営すらも左右する。

    それがアクチュアリーという仕事です。

    社会的地位の高さはいうまでもなく、替えが利かない人材であるため年収も高く、保険・金融業界でよくある地方への転勤もありません。

    アクチュアリーの需要は非常に大きく、今後ますます社会に求められる存在となっていくでしょう。

    アクチュアリーの年収は2,000万円に届く?

    クレディ・アグリコル生命保険株式会社

    (引用元:クレディ・アグリコル生命保険株式会社)

    アクチュアリーの年収について簡単にまとめると次のような傾向があります。

    • 外資系企業は実力次第で2,000万円以上
    • 日系企業でも年収1,200万円以上
      • 稼ぎどきの40代50代は年収1,500万円以上
      • 課長や部長に昇進すれば年収2,000万円に届く

      外資系と日系企業で年収事情が異なりますが、どちらであっても年収2,000万円を達成する道があります。

      まずは外資系企業の具体的な給与を例に挙げてみましょう。

      全内勤職員の平均給与 年間給与 賞与・時間外手当
      クレディ・アグリコル生命保険株式会社 87.6万円/月 1051.2万円 別途支給
      カーディフ生命保険株式会社 79.9万円/月 958.8万円 別途支給

      (引用元:クレディ・アグリコルとカーディフそれぞれの2021年度の経営統合書より)

      年間給与だけを見ると2,000万円に届いていませんが、上記数値には賞与も時間外労働手当ても含まれていません。

      例えばクレディ・アグリコル生命保険会社であれば、賞与(インセンティブ)は年4回の支給があり、時間外手当も別途支給されます。

      何より、上記データはアクチュアリー以外の内勤職員を含みます(※役員はデータに含まれていません)。

      アクチュアリーとそのほかの内勤職員のどちらがどれだけ給与が高いのか客観的データはありませんが、アクチュアリーは保険会社の中核を担う専門職です。

      アクチュアリーの給与の方が高いと考えるのが自然でしょう。

      成果主義である外資系保険会社は、実力次第で収入をどこまでも伸ばしていけるため、年収で2,000万円を手にしたい方はぜひ狙ってみましょう。

      アクチュアリーの年齢別の年収

      アクチュアリーとして働く人たちの、年齢別の平均年収をまとめました。

      なお、次の表は外資系も日系企業も含むデータとなっています。

      令和2年 令和3年 令和4年
      ~19歳 195万円
      20~24歳 428万円 384万円 426万円
      25~29歳 598万円 654万円 606万円
      30~34歳 718万円 1,048万円 723万円
      35~39歳 845万円 999万円 745万円
      40~44歳 858万円 1,369万円 944万円
      45~49歳 943万円 1,238万円 840万円
      50~54歳 1,220万円 1,410万円 1,086万円
      55~59歳 931万円 1,241万円 923万円
      60~64歳 752万円 913万円 755万円
      65~69歳 382万円 395万円 514万円
      70歳~ 1,241万円 426万円
      全年齢の平均 773万円 1,029万円 780万円

      (引用元:賃金構造基本統計調査をもとに当サイトで集計)

      多くの経験を積んだ40~50代の年収が高くなる傾向にあります。

      令和3年のデータでは全年齢の平均で1,000万円を超えているため、アクチュアリーの年収の高さが伺えます。

      ただし、2,000万円どころか1,000万円にも届いていないケースが多いため、疑問に感じた方もいるかもしれません。

      それには理由があり、厚生労働省が公開しているデータは社会保険労務士など、アクチュアリー以外の保険専門職も含んでいるためどうしても低く見えてしまいます。

      平均給与 平均賞与 平均年収
      社会保険労務士の給与実態(令和元年) 34.4万円/月 83.3万円/年 496万円

      (引用元:賃金構造基本統計調査より)

      令和元年における社会保険労務士の年収は496万円であり、先ほど紹介したアクチュアリーなどを含む年齢別の平均年収を大きく下回っています。

      アクチュアリーを含むデータが公開されたのが令和2年からであり、反対に令和2年からは社会保険労務士の単独データがないため正確な比較はできません。

      ですが、平均年収496万円である社会保険労務士を除外できたとすれば、アクチュアリーを含む年齢別年収が全体的に押し上げられることは間違いないでしょう。

      加えて、厚生労働省はアクチュアリーの資格を持っている人もこれからアクチュアリーの資格を取る候補生もまとめて「アクチュアリー」として扱っているため、資格持ちの年収が低く見えてしまう事情があります。

      アクチュアリーの資格段階別の年収

      アクチュアリーの資格には、次の通り3つの段階があります。

      • 『正会員』←資格試験を1次2次ともに合格した者
      • 『準会員』←資格試験を1次(全5科目)まで合格した者
      • 『研究会員』←資格試験を1科目以上合格した者

        (引用元:日本アクチュアリー会公式HP)

        日本アクチュアリー会が認める正式なアクチュアリーは「正会員」であり、雇う側の企業も多くの仕事とお金を与えます。

        一方、研究会員やまだ1科目も合格していない人は「アクチュアリー候補生」として企業に雇われることになり、年収には大きな差があります。

        平均年収(日系企業の場合) 平均月収(アクチュアリー手当含む) 年間賞与(平均3.3か月分) 会員数(2022年3月時点)
        正会員 約1,200万円 約78万円 約264万円 2,000人
        準会員 約800万円 約52万円 約176万円 1,405人
        研究会員 約600万円 約39万円 約132万円 2,092人
        アクチュアリー候補生(科目合格なし) 約380万円 約25万円 約80万円

        (引用元:賃金構造基本統計調査、各求人サイト、日本アクチュアリー会公式HPをもとに当サイトで集計)

        正会員とそれ以外の会員や候補生では年収に大きな開きがあります。

        さらには人数についても正会員は2,000人しかおらず、厚生労働省がアクチュアリーとして扱う中での「正会員率」は40%にも届きません。

        つまり、正会員以外のアクチュアリーを除外して、さらに社会保険労務士を除外したとすれば、先ほどの年齢別平均年収の見え方も大きく変わってくるわけです。

        アクチュアリーを含む保険専門職の平均年収 令和2年 令和3年 令和4年
        40~44歳 858万円~ 1,369万円~ 944万円~
        45~49歳 943万円~ 1,238万円~ 840万円~
        50~54歳 1,220万円~ 1,410万円~ 1,086万円~

        (引用元:賃金構造基本統計調査をもとに当サイトで集計)

        上記表は年齢別年収の一部を抜粋したものであり、実際に社会保険労務士などを除外した数値を示せるわけではありませんが、正会員であれば1,000万円は確実に超えていくイメージを持てるはずです。

        日系企業であっても、40~50代になれば年収1,500万円であれば手が届く可能性は十分にあるといえるでしょう。

        アクチュアリーで年収2,000万円を達成するには?

        年収1,000万円や1,500万円ではなく、2,000万円を達成できる可能があるからアクチュアリーを志す人もいるでしょう。

        決して簡単ではありませんが、いくつかの道筋があるので紹介いたします。

        20代や30代で達成

        20~30代の若いうちに年収2,000万円を達成するためには、職務の専門性をすぐに評価してくれる外資系保険企業への就職・転職が必須です。

        冒頭でも紹介しましたが、「クレディ・アグリコル生命保険株式会社」や「カーディフ生命保険株式会社」などの外資系であれば、全内勤職員・全年齢における給与で約1,000万円ほどとなっているため、賞与(インセンティブ)などを合わせれば2,000万円に届く可能性があるでしょう。

        もちろん、外資系企業への就職は競争が非常に激しいため、入りたくても入れないかもしれません。

        しかし、アクチュアリーは全国で2,000人しか正会員がいない希少な人材であり、転職が非常にスムーズです。

        例えば転職サイトに掲載されている情報をまとめて検索できるインディード(indeed)を使って「アクチュアリー」「外資」「東京都」で調べると、46件の求人情報が出てきます(2023年4月22日時点)。

        アクチュアリー外資求人件数

        (引用元:転職求人サイトindeed)

        公開求人だけでそれだけの数があり、マイナビやデューダ(doda)など非公開求人サイトでもアクチュアリーの転職活動は可能です。

        仕事をする上で得た伝手をたどれば、さらに多くの選択肢が生まれるため、20代や30代で外資系保険会社に転職して年収2,000万円を目指すことも十分に可能といえるでしょう。

        40代や50代で達成

        日系企業で働くアクチュアリーも、40~50代であれば2,000万円に届くチャンスが訪れます。

        • 日系企業は年功序列の慣習が根強いため、勤続20年以上になれば平均して年収1,500万円には届く
        • さらに職位によって年収が押し上げられるため、課長や部長クラスになれば2,000万円に届き得る

        日系の保険企業で働くアクチュアリーは、専門性がありながらも「総合職」として扱われるため、複数の職位が存在します。

        主な職位 平均賃金/月 役職格差 平均年齢
        部長級 58.6万円 208% 52歳
        課長級 48.6万円 172% 48歳
        係長級 36.9万円 131% 45歳
        一般(非役職者) 28.1万円 100% 41歳

        (引用元:賃金構造基本統計調査)

        役職の有無によって給与に大きな差が生じます。

        ただし、2点気を付けるべき点があります。

        • 部長級になれる人間はほんの一握り
        • 年功序列による賃金アップが考慮されていない(部長の平均年齢が52歳に対し、一般は41歳と11年分の差がある)

        年功序列による賃金アップについては、経団連が定期昇給のデータを公表しているため、次のように「定期昇給を除外した差」で比較可能です。

        平均年齢 定期昇給 役職格差 定期昇給を除外した差
        部長級 52歳 124% 208% 184%
        課長級 48歳 115% 172% 157%
        係長級 45歳 109% 131% 122%
        一般(非役職者) 41歳 100% 100%

        (引用元:経団連「2021年の昇給・ベースアップ実施状況調査結果」をもとに当サイトで集計)

        経団連発表による年率1.84%の定期昇給率を除外した場合、課長級は157%、部長級は184%の役職格差があります。

        厚生労働省の発表によると従業員全体に対する部長級の構成比率は2.9%、課長級の7.2%であるため、その比率と役職格差を加味して年収を推計すると、アクチュアリーを含む保険専門職の平均年収は次の通りです。

        令和2年 令和3年 令和4年
        役職 全体平均 部長級 課長級 全体平均 部長級 課長級 全体平均 部長級 課長級
        40~44歳 858万円 1,316万円 1,122万円 1,369万円 2,099万円 1,791万円 944万円 1,447万円 1,235万円
        45~49歳 943万円 1,446万円 1,234万円 1,238万円 1,898万円 1,620万円 840万円 1,288万円 1,099万円
        50~54歳 1,220万円 1,871万円 1,596万円 1,410万円 2,162万円 1,845万円 1,086万円 1,665万円 1,421万円

        (引用元:賃金構造基本統計調査をもとに当サイトで集計)

        上記表の部長級で2,000万円に届いているのは令和3年のみですが、社会保険労務士やアクチュアリー準会員以下も含まれている点を考慮すると、50~54歳の部長級であれば2,000万円に到達する可能性が十分にあると言えます。

        もちろん、職位を上げるためには自分より上の職位の人間に引き上げてもらう必要があるため、人間関係が最も重要であり、部長級になれる人間はごく一部だけです。

        実力で外資系保険会社に就職するよりも困難かもしれませんが、アクチュアリーは社内で頼られる存在であるため、ある程度のコミュニケーション力があれば課長にはなれるかもしれません。

        課長級であっても50~54歳で1,421~1,845万円の数値が出ているため、個人の実績や会社の業績次第では2,000万円に到達する可能性があるといえるでしょう。

        アクチュアリーで年収3000万円を達成するには?

        アクチュアリー海外

        (引用元:日本アクチュアリー会公式HP)

        年収2,000万円で満足できない人は、年収3,000万円を目指してみるのも面白いかもしれません。

        • 海外(アメリカ)でアクチュアリーとして働くなら、平均で3,000万円を超えている州がある
        • 国内で働く場合でも、ダブルライセンスを活かせば可能性がある
        • 仲間(人脈)を確保できるなら、独立する選択肢もある

          アメリカではアクチュアリー単体での年収が公開されており、ジョージア州では全年齢を含めた平均年収で3000万円を超えています。

          平均時給 年間平均賃金
          全職業(アメリカ全土) 28ドル(3,724円) 58,260ドル(774万円)
          アクチュアリー(ジョージア州) 118ドル(15,694円) 245,520ドル(3,265万円)

          (引用元:米国労働統計局。1ドル133円換算)

          アメリカのジョージア州で働くアクチュアリーの年収は、870人の平均値で3,265万円に達しています。

          ジョージア州に限定せず、雇用の数が多い5つの大都市圏で働く7,400人の平均値でも1,963万円と非常に高額です。

          アメリカは国民の年間平均給与額が774万円と、日本の443万円(令和3年)の約1.7倍も高いため、アクチュアリーの年収が3,000万円にすら届き得るわけですね。

          また、日本国内で働く場合でも、複数のライセンスを獲得することで、もともと数が少ないアクチュアリーの中でも圧倒的に稀有な存在として高収入を見込めます。

          • 日本アクチュアリー会正会員
          • 米国アクチュアリー会正会員
          • 米国アクチュアリー学会正会員
          • 米国コンサルティングアクチュアリー協会正会員
          • 英国アクチュアリー会正会員

          日本のライセンスは1つのみで、ほかは海外のライセンスですが、国内の保険会社であっても海外で事業を展開しているケースがあります。

          例えば東京海上日動火災保険は海外に45の拠点を持ち、グローバルに事業を展開しています。

          海外のアクチュアリー正会員を持っている人材は重宝されるでしょうし、まだ海外展開していない保険会社も狙い目でしょう。

          日本の人口は減少傾向にあるため、事業規模を維持するためには海外展開が必須であり、海外の保険事情に精通している人材が必ず必要になるためです。

          複数ライセンス持ちは稀有であるため具体的な年収データはありませんが、明治生命保険(現在の明治安田生命保険)に入社した吉田英幸氏が4つのライセンスを有しており、複数の会社でディレクターを歴任した後、現在は独立して株式会社ヨシダ・アンド・カンパニーの代表取締役社長を務めるに至っています。

          【吉田英幸氏が保有するアクチュアリー資格】

          • 公益社団法人日本アクチュアリー会正会員:FIAJ
          • 米国アクチュアリー会正会員:FSA
          • 米国アクチュアリー学会正会員:MAAA
          • 米国コンサルティングアクチュアリー協会正会員:FCA

          【株式会社ヨシダ・アンド・カンパニーの事業内容】

          • 経営コンサルティング業
          • 研修会、セミナーの企画実施業
          • 有料職業紹介事業
            (許可番号:13–ユ–310223)

          (引用元:株式会社ヨシダ・アンド・カンパニー公式HP)

          日本のアクチュアリー正会員となったあとのキャリアアップとして海外のライセンスを獲得し、さらなる年収増や独立を目指しても楽しい人生といえるかもしれません。

          どうしてアクチュアリーは年収が高いのか?

          アクチュアリーは年収が高くて魅力的な職業ですが、どうしてそこまで高いのか?

          理由は大きく2つあります。

          • 資格者が圧倒的に少ない
          • 雇入れたい企業が圧倒的に多い

          つまり、需要は多いのに供給が少なくなっており、アクチュアリーは圧倒的に売り手優勢の市場であるため年収が高くなっています。

          2つの理由をそれぞれ詳しく見てみましょう。

          資格者が圧倒的に少ない

          アクチュアリー会員数

          (引用元:日本アクチュアリー会公式HP)

          2021年3月時点 2022年3月時点 1年間の増減
          正会員 1,931人 2,000人 +69人
          準会員 1,297人 1,405人 +108人
          研究会員 2,144人 2,092人 -52人

          (引用元:日本アクチュアリー会公式HP)

          日本アクチュアリー会の資格試験に合格した正式なアクチュアリーは、日本全国で2,000人しかいません。

          準会員から正会員に昇格できた人も、年間でわずか69人だけです。

          日本アクチュアリー会の創立は明治32年(1899年)であり、資格試験制度が始まったのも1936年と長い歴史があるにも関わらず、なかなか有資格者が増えません。

          • 資格試験が難関
          • 資格挑戦者が少ない

          合格率や挑戦者数の詳細は後述しますが、第2次試験の平均合格率は17.2%で、挑戦者は168人/1科目しかいません。

          ただし、合格率の低さはアクチュアリーの専門性がいかに高いかを示しており、挑戦者の少なさは競争相手の少なさでもあります。

          有資格者が圧倒的に少ないため、就職でも転職でも会社内での地位確立においてもきっと有利に働くでしょう。

          雇入れたい企業が圧倒的に多い

           

          2023年4月14日。新入社員の入社式を終えているこのタイミングでアクチュアリーの求人情報を調べてみると、東京都だけでも526件の求人情報がでてきます(indeedにて)。

          アクチュアリー求人数

          (引用元:転職求人サイトindeed)

          会員資格のないアクチュアリー候補生から正会員まで、募集は多岐にわたります。

          • アクチュアリー候補製の求人(生命保険会社など)
          • アクチュアリー研究会員の求人(塾などの民間育成機関)
          • アクチュアリー準会員の求人(損害保険会社など)
          • アクチュアリー正会員の求人(銀行や年金コンサルティング会社など)

            年収の条件を1,000万円以上で絞り込んでも求人数は123件にのぼり、中には最大年収2,500万円を提示する求人もありました。

            大手監査法人(アドバイザリー領域)
            仕事内容:アクチュアリーとしてのスキルをベースに新たな可能性を追求し、クライアントへの価値提供を通して社会に貢献する喜びをシェア出来る人を募集します。
            年収:年収600万円~2500万円

            (引用元:転職サイトindeed)

            年収の下限は600万円ですが、募集要件にアクチュアリーの資格が設定されていないため、正会員であれば年収が高くなると予想されます。

            また、人材を確保するためにアクチュアリー資格手当の額を明示している企業もあり、アフラック生命保険が準会員に5万円/月、正会員に15万円/月の手当てを保証しています。

            アフラック生命保険株式会社(アフラック)
            【在宅勤務可】数理担当 ※アクチュアリー資格手当あり/がん保険契約数No.1/ワークライフバランス◎

            ■資格手当について:
            準会員、正会員については一般社員のみ、アクチュアリー手当があります。(評価等の支給条件あり)
            ・正会員(15万/月)
            ・準会員(5万/月)

            (引用元:求人情報・転職サイトdoda

            2月23日に応募を開始してまだ掲載が取り下げられていないことから察するに、人材があまりにも不足している状況が伺えます。

            企業は雇入れたいけれど、肝心の「人」がいない。

            それがアクチュアリーを取り巻く環境であるといえるでしょう。

            アクチュアリーの年収ランキング

            アクチュアリーの年収は他業種と比較してどれだけ高いのか?

            気になる方も多いはずなので、分かりやすく表にまとめました。

            「アクチュアリーを含む職業グループ」は第8位であり、もしも正会員だけを抜き出せたとすれば第3位(1,200万円)にランクインします。

            順位 職業 年収 給与/月 賞与/年
            1位 航空機操縦士 1,576万円 128万円 33万円
            2位 医師 1,278万円 97万円 113万円
            3位 大学教授(高専含む) 1,063万円 65万円 272万円
            4位 法務従事者 952万円 54万円 292万円
            5位 大学准教授(高専含む) 853万円 53万円 206万円
            6位 管理的職業従事者 852万円 53万円 205万円
            7位 歯科医師 800万円 61万円 62万円
            8位 その他の経営・金融・保険専門職業従事者(※アクチュアリー含む) 741万円 47万円 171万円
            9位 小・中学校教員 726万円 45万円 182万円
            10位 公認会計士,税理士 701万円 43万円 174万円
            11位 研究者 669万円 42万円 165万円
            12位 高等学校教員 669万円 42万円 158万円
            13位 大学講師・助教(高専含む) 665万円 45万円 121万円
            14位 獣医師 650万円 46万円 92万円
            15位 著述家,記者,編集者 639万円 41万円 135万円
            16位 機械器具・通信・システム営業職業従事者(自動車を除く) 623万円 38万円 164万円
            17位 不詳 623万円 41万円 122万円
            18位 システムコンサルタント・設計者 620万円 41万円 117万円
            19位 電気・電子・電気通信技術者(通信ネットワーク技術者を除く) 593万円 37万円 142万円
            20位 企画事務員 586万円 37万円 137万円
            68位(国内平均) クレーン・ウインチ運転従事者 444万円 30万円 74万円
            69位(国内平均) 保険営業職業従事者 441万円 31万円 58万円
            145位 クリーニング職,洗張職 247万円 19万円 14万円

            (引用元:職種別の令和4年賃金構造基本統計調査)

            アクチュアリーは非常に数が少ないため、日本政府は「その他の経営・金融・保険専門職業従事者」の中にアクチュアリーを含めてしまっています。

            「その他の経営・金融・保険専門職業従事者」は全職種の中で第8位です。

            145の職種の中で第8位というだけですでに高順位である上に、社会保険労務士もアクチュアリーの準会員も研究会員も候補生も含むため、正会員(平均年収約1,200万円)であれば第3位にランクインします。

            準会員(平均年収約800万円)でも第7位の歯科医師と並ぶため、アクチュアリーは国内の全職種の中でも高収入だといえるでしょう。

            東京海上日動で働くアクチュアリーの年収

            東京海上日動火災保険

            (引用元:東京海上日動火災保険公式HP)

            東京海上日動火災保険で働くアクチュアリーの年収は公開されていませんが、企業としてのベース賃金が高ければアクチュアリーの賃金もより高額が見込めます。

            東京海上日動の平均年収 銀行・保険業の平均年収 平均差額
            8,304,448円 5,933,942円 +2,370,506円

            (引用元:東京海上日動の経営統合書と厚生労働省の労働経済の分析より)

            東京海上日動の全従業員の年収が、業界平均の約140%高となっています。

            平均勤続年数12.4年で830万円に達しているため、働き盛りの40代で1,000万円、年収がもっとも上昇する50代では1500万円超えも夢ではありません。

            何より、上記データはアクチュアリー以外の内勤職や営業職などを含んでいるため、アクチュアリー正会員ともなれば夢ではなく現実に達成できるでしょう。

            東京海上日動では勤続31年目に部長へ昇格するケースが多いため(経営統合書で公開されている部長経験者40名の平均)、50代まで勤め上げれば年収2,000万円にも届く可能性を秘めています。

            住友生命で働くアクチュアリーの年収

            住友生命公式HP

            (引用元:住友生命公式HP)

            住友生命保険で働くアクチュアリーの年収も一般公開されてはいませんが、企業としてのベース賃金は業界と同程度の水準であると見込まれます。

            住友生命の給与/月 時間外手当/月 賞与/年 年収 業界平均 平均差額
            34.9万円 4.6万円 114.1万円 588.1万円 593.3万円 -5.2万円

            (引用元:住友生命の経営統合書と、時間外手当と賞与は賃金構造基本統計調査における保険専門職の平均値から当サイトにて集計)

            上記データは全内勤職を一括して取り扱うデータであり、アクチュアリー単独の数値ではありません。

            しかし、業界の平均値と比較してほぼ同水準であるため、住友生命で働くアクチュアリーの年収がずば抜けて高いとは限りません。

            職位にもよりますが、アクチュアリー正会員の平均年収である1,200万円前後と考えて就職・転職活動を行いましょう。

            日本生命で働くアクチュアリーの年収

            日本生命公式HP

            (引用元:日本生命公式HP)

            日本生命で働く内勤職員の平均給与は、保険・金融業界の水準をやや下回っています。

            日本生命の給与/月 時間外手当/月 賞与/年 年収 業界平均 平均差額
            32.5万円 4.3万円 106.2万円 547.8万円 593.3万円 -45.5万円

            (引用元:日本生命の経営統合書と、時間外手当と賞与は賃金構造基本統計調査における保険専門職の平均値より当サイトにて集計)

            日本生命の内勤職員は20,767人もの数に及ぶため、仮に全国2,000人のアクチュアリー正会員の全員が在籍したとしても割合は10%未満です。

            全体に占める高給職の割合が低いため、平均年収はどうしても低くなります。

            それでも業界平均を下回っていると就職先として不安になりますが、グループ全体の保険料等の収入は2022年4~12月の9か月間で4兆円を超えており、21年との比較で14.6%の伸びがあります。

            営業職が5万人以上在籍していることからしても、アクチュアリーなどが作った保険商品を売り出す力は非常に優れていると考えられるため、安定的な環境でアクチュアリーの仕事に就きたい方にはおすすめの会社といえるでしょう。

            明治安田生命で働くアクチュアリーの年収

            明治安田生命公式HP

            (引用元:明治安田生命公式HP)

            明治安田生命で働く内勤職員の年収ベースは、業界の平均年収をやや上回っています。

            明治安田生命の給与/月 時間外手当/月 賞与/年 年収 業界平均 平均差額
            37.2万円 4.9万円 121.6万円 626.8万円 593.3万円 +33.5万円

            (引用元:明治安田生命の経営統合書と、時間外手当と賞与は賃金構造基本統計調査における保険専門職の平均値より当サイトにて集計)

            業界水準を5.6%上回っているため、アクチュアリーの年収もそれだけ高い水準が見込めます。

            特に明治安田生命はアクチュアリー専門の就業体験を無料で開催しています。

            アクチュアリーが働く姿を見学でき、アクチュアリーとの座談会にも参加できます。

            アクチュアリー候補となる人材の確保に力を入れてる印象があるため、就職先として選んでも良し、アクチュアリーの道に進むかどうか悩んでいる場合の相談先として選んでも良しといえるでしょう。

            第一生命で働くアクチュアリーの年収

            第一生命公式HP

            (引用元:第一生命公式HP)

            第一生命保険株式会社で働く内勤職員の給与水準は、業界平均をやや下回っているため、アクチュアリーとしての平均年収もやや低くなるかもしれません。

            第一生命の給与/月 時間外手当/月 賞与/年 年収 業界平均 平均差額
            31.4万円 4.2万円 102.6万円 529.8万円 593.3万円 -63.5万円

            (引用元:第一生命のマニュアルレポートと、時間外手当と賞与は賃金構造基本統計調査における保険専門職の平均値より当サイトにて集計)

            業界水準を10%以上下回っているため、年収に過度な期待はできません。

            2022年度の第三四半期の決算においても、個人保険・個人年金保険の契約高がそれぞれ62.1%、59.6%と業績が落ち込んでいます。

            しかし、新規保険商品を開発できる人材を確保するために力を入れている様子があります。

            アクチュアリー専門の職業体験を設けており、オンラインで4日+対面で1日の合計5日もの業務体験を実施しています。

            2022年の募集時には新幹線や航空機の往復料金を支給し、遠方からの参加者には宿泊費まで負担する力の入れようです。

            自分の力で業績に変化を与えたいチャレンジャーにとっては、やりがいを感じる職場となるかもしれません。

            アフラック生命で働くアクチュアリーの年収

            アフラック公式HP

            (引用元:アフラック公式HP)

            アフラック生命は外資系保険企業であるため、業界の平均年収よりもベースが100万円以上高くなっています。

            アフラックの給与/月 時間外手当/月 賞与/年 年収 業界平均 平均差額
            44.1万円 5.9万円 144.2万円 744.2万円 593.3万円 +150.9万円

            (引用元:アフラック生命の経営統合書と、時間外手当と賞与は賃金構造基本統計調査における保険専門職の平均値より当サイトにて集計)

            業界水準より約25%も年収のベースが高いため、アクチュアリーとして働く場合には1,000万円を大きく超える年収が予想されます。

            特にアフラック生命は他の外資系と比較すると、平均勤続年数が長い傾向にあります。

            アフラック生命 クレディ・アグリコル生命保険株式会社 カーディフ生命保険株式会社
            13.0年 5.5年 6.4年

            (引用元:各会社の経営統合書)

            クレディ・アグリコル生命保険株式会社は賞与を除いた基本給だけで年収1,000万円を超えているため、平均5.5年しか続かない恐るべき社内競争の激しさです。

            アフラック生命は比較すると年収は低いものの、その分安定して勤続できる様子が伺えます。

            外資系でありながらも高給と安定のバランスを取りたい場合には、アフラック生命で働く選択肢も十分に考えられるでしょう。

            アクチュアリーの就職・転職事情

            アクチュアリーは正会員に限らず準会員も研究会員も就職・転職ともに非常にスムーズです。

            • 需要は「大」、供給は「小」と、売り手有利の市場環境
            • 雇う側の企業は1科目も合格していない者に対しても求人を出している

            需給バランスに加えて、やりがいや大変さなどの実情についてもそれぞれ詳しく見ていきましょう。

            アクチュアリーは社会に強く求められている

            アクチュアリーの役割増加

            (引用元:日本アクチュアリー会公式HP)

            アクチュアリーは保険会社の武器となる主力保険商品を開発するだけでなく、高度な数理計算技術を活かして企業の内部制度や積立状況のリスクを分析することにも長けているため、活躍するフィールドが拡大しています。

            近年、少子高齢化や長寿化の進展、テクノロジーの飛躍的な進歩によるライフスタイルの変化、多様化を背景に、保険・年金事業等に対するニーズやそのビジネスモデルは絶えず進化し多様化し続けております。また、同時に、リスク管理態勢の整備・高度化が図られ、国際的な経済価値ベースのソルベンシー規制や会計基準に係る議論が活発化しております。こうした中、我々アクチュアリーの役割も益々広範になり、かつ高度な専門性が求められてきていると感じております。

            (引用元:日本アクチュアリー会理事長挨拶より)

            日本アクチュアリー会の理事長の発言にもある通り、アクチュアリーの求人は保険会社や銀行だけにとどまりません。

            • 証券会社
            • コンサルティング会社
            • 監査法人
            • 医療統計データサービス会社

            上記のように、アクチュアリーが活躍する場所は非常に幅広くなっています。

            雇う側としては就職・転職問わず正会員が入社してくれることをもっとも望んでいますが、正会員はまるで足りていないため、現実には一から育てる努力をしています。

            1科目も合格していない無資格者であっても「アクチュアリー候補生」として受け入れ、第1次試験前には集中して勉強するための試験前休暇を与えたり、第2次試験で有利に働くように実務経験を優先的に積ませたりします。

            アクチュアリーとしての資格段階が研究会員から準会員、準会員から正会員へ上がるたびに資格手当の支給額が増えていくため、「なんとか正会員まで育って欲しい」と強く願っている様子が伺えます。

            また、従来の保険分野であっても多様化しており、近年は少額短期保険の市場規模が拡大傾向にあります。

            2016年 2017年 2018年 2019年 2020年 2021年
            登録事業者数 85社 89社 98社 101社 103社 110社
            市場規模 726億円 815億円 924億円 1,032億円 1,074億円 1178億円

            (引用元:金融庁保険モニタリングレポート、日本少額短期保険協会の業界決算概況より)

            年間市場規模39兆円の生命保険業界と比べるとまだ1%未満の規模でしかないものの、求人サイトインディード(indeed)で「アクチュアリー」「少額短期保険」「東京都」で検索すると88件の求人があります(2023年4月22日時点)。

            アクチュアリー少額短期保険求人

            (引用元:転職求人サイトindeed)

            「アクチュアリー」「東京都」で526件の求人に対して16.7%の求人を占めているため、短期少額保険業界がアクチュアリーを求める声の大きさは決して小さくありません。

            短期保険会社は毎年右肩上がりで増加しており、新規保険会社の立ち上げに伴う商品開発やアドバイザリー業務を担当できるアクチュアリーの求人も増えています。

            求人情報:コンサルティングアクチュアリー(保険数理)

            【業務内容】
            保険会社新規設立(商品、事業計画、認可書類)およびデューディリジェンス関連(保険契約ポートフォリオ・会社価値評価)

            (引用元:転職サイトindeed)

            上記のようにアクチュアリーの働くフィールドは従来の分野においても拡大しているにもかかわらず、正会員はきわめて希少性が高いため、就職も転職も非常に有利です。

            少子高齢化と超寿命化による退職給付引当金の見直しなど、どの企業であっても影響を受ける事由があることも踏まえると、アクチュアリーの働くフィールドの選択肢は今後も増えていくものと予想されます。

            アクチュアリーは将来独立できる?

            アクチュアリーはそもそもの有資格者が少ないため独立した人は稀です。

            しかし、明治生命保険(現在の明治安田生命保険)に入社した吉田 英幸氏は現に独立しています。

            吉田英幸氏は独立後に「東京国際アクチュアリーアカデミー」の学長に招かれているため、アクチュアリーの育成機関であれば現実に勝ち目がある独立手段といえるでしょう。

            株式会社ヨシダ・アンド・カンパニー代表取締役社長『吉田 英幸氏』の職歴

            1976年4月  明治生命保険相互会社入社。主計部主計課長等を経て1999年2月退職
            1999年3月  プライスウォーターハウスコンサルタント(株)入社(ディレクター)
            2000年8月  PwC FAS(株)入社(マネージングディレクター)
            2002年7月  中央青山監査法人入所 金融部 アクチュアリーサービス(ディレクター)
            2006年9月から2010年11月  あらた監査法人(ディレクター)
            2010年11月から2012年7月  エーオン・ベンフィールド・ジャパン(株)にてHead of Analytics/Senior Advisorを務める
            2012年7月から2014年8月  iホールディングス株式会社のチーフ・アクチュアリー として新設生命保険会社の免許取得業務に関与する
            2014年9月から2018年12月  Mirae Asset Prevoir Life VietnamAppointed Actuary/Chief Financial Officer

            (引用元:株式会社ヨシダ・アンド・カンパニー公式HP)

            会社は2010年9月3日に設立されており、その後、代表取締役社長を務めながら他法人のさまざまな役職を歴任しています。

            事業内容は主に経営コンサルティング業であるため、アクチュアリーが活躍する分野として近年拡大傾向にある「リスクマネジメント分野」で経験を積めば独立の道があるといえるかもしれません。

            また、先ほど紹介した少額短期保険は市場規模が年々拡大しているにもかかわらず39%もの事業者が赤字であるため、アクチュアリーとしての経験を活かした保険商品を開発して参入すれば、市場の一角を担えるかもしれません。

            ほかにも、海外の保険商品のノウハウを提供する独立組織を作っても面白いでしょう。

            日本の人口は減少傾向にあるため、今後はどの保険会社も生き残りをかけて海外が主戦場になっていくはずです。

            しかしながら、すでにグローバル展開している東京海上日動でさえ45の海外拠点しかありません。

            世界には日本以外に195の国があるため、数多の国の保険商品のノウハウを武器に独立すれば、日本の保険業界を引っ張っていく組織を作ることも決して不可能ではありません。

            アクチュアリーはやりがいに満ちている

            アクチュアリーという仕事には、他の業種では味わえない珍しい要素が含まれています。

            • 正解があってないような保険商品において、保険料率や支給額の正解を己が決める
            • 己が決めた正解で会社が動き、営業職が動き、消費者が動いて業界全体が追い掛けてくる

            売り出してヒットした保険商品は、必ず他社も真似してきます。

            それは競争の激しさを物語りますが、その先頭にいるのは実はたった一人の人間です。

            もちろん保険商品はチームで作るものですが、その中心にいるのはアクチュアリーです。

            一例として、日本アクチュアリー会で公開されている座談会(アクチュアリーのやりがいについて)を見てみましょう。

            私は、会社で起こっているさまざまな事象を分析して、数字として経営陣に伝える仕事をしていますが、分散効果とか専門的な内容になってくると、理解してもらうのになかなか骨が折れます。私が理解を間違えば、経営判断を誤らせることになるというプレッシャーも含めて。

            (引用元:日本アクチュアリー会の座談会)

            私は自然災害による損害を補償する保険に関わっているのですが、大きな地震や台風が起きるたびに、自分たちが作っている数字の重さを実感します。被災された方の生活を左右する重要な数字を算出しているのだと感じますね。

            (引用元:日本アクチュアリー会の座談会)

            どちらの発言においても、アクチュアリーとしての苦労や重要性が伝わってきます。

            正解が決まっていないからこそ経営陣を言葉で納得させる必要があり、大きな災害で巨額の保険金を支払うことになった場合には、被災された人たちの生活を左右することに加えて、会社にもしっかりと利益を残す責任があります。

            保険は決して慈善事業でなく、しっかりと利益を残せた保険商品だけが人気商品として販売が継続され、利益を残せる商品は他社からすれば真似したくてたまりません。

            どの他社においても分析と改良を経てオリジナル商品として販売を開始し、競争が激しくなっていくわけですが、始まりはアクチュアリーが正解と決めた料率などの数字です。

            高収入や地位の高さも大事な要素ですが、それはあくまでも仕事をした「結果」にすぎません。

            仕事する「過程」においてもっとも大事な「やりがい」を、アクチュアリーという仕事では噛みしめられるでしょう。

            アクチュアリーはやめとけといわれるのはどうして?

            アクチュアリーはやりがいに溢れた仕事ですが、ときに「やめとけ」といわれることがあります。

            • 専門性が極めて高いため、自分にしかできない仕事がどんどん回ってくる
            • アクチュアリーの総数が少ないため、仕事を分担できる仲間が少ない
            • 外資系であれば、常に結果を出さなければならない
            • 日系企業であれば、総合職として扱われるため大量の雑務が回ってくる

              アクチュアリーの正会員2,000人は複数の業界に分散しています。

              生命保険業界では890人、損害保険業界では301人の正会員が働いていますが、業界の規模と比較してあまりにも少ない状況です。

              生命保険業界 損害保険業界
              それぞれの分野で働くアクチュアリー正会員の数 890人 301人
              業界の就業者数 361,623人 143,966人
              業界の新規契約高(2021年) 46兆4,807億円 9兆6,708億円

              (引用元:日本アクチュアリー会、総務省、生命保険協会、日本損害保険協会それぞれの公式HP)

              例えば生命保険業界では約36万人の就業者で46兆円以上を売り上げていますが、売上の根幹となる保険商品の開発の中心にいるアクチュアリーがわずか890人しかいません。

              損害保険業界についても、約14万人の就業者で9兆円以上の売上を誇りながら、アクチュアリー正会員は301人だけです。

              正会員は合格まで平均8年を要する難関資格であるために総数がなかなか増えず、正会員2,000人という数にしても、アメリカで働く23,040人のアクチュアリーと比べて10分の1以下しかいません。

              日本で働くアクチュアリーは業界問わず常に人手不足となっており、個人がこなす仕事量が多いことから「やめとけ」といわれることがあります。

              また、就職先が外資系でも日系企業でも「やめとけ」といわれる要素があります。

              外資系保険企業の平均勤続年数 日系保険企業の平均勤続年数
              クレディ・アグリコル生命保険株式会社 カーディフ生命保険株式会社 東京海上日動火災保険 住友生命
              5.5年 6.4年 12.4年 15.8年

              外資系保険企業は入社してすぐに実績を求められるほど競争が激しいため、6年前後で辞める、または辞めさせられます。

              反対に、日系企業であればアクチュアリー候補生として成長を期待されていることもあって勤続年数が長い傾向にありますが、企業は成長を期待するだけの塾ではありません。

              給料分きちんと働く必要があり、専門的な仕事が何1つできない候補生はデータ入力などの雑務をこなしながら、先輩から日常業務を教わって、さらには数理計算のためのプログラミングを覚えて、その上で難関資格取得のために毎日試験勉強しなければなりません。

              仕事と試験勉強の両立の難しさが、「やめとけ」といわれる最大の理由です。

              • 試験7科目すべて合格するためには1,100~1,600時間が必要
              • 試験がある12月は繁忙期にあたり、多くの残業が見込まれる

              必要な勉強時間について詳しくは後述しますが、令和4年の賃金構造基本統計調査によると、アクチュアリー候補生を含む保険業界の専門職の平均残業時間は17.2時間/月となっています。

              17.2時間は1年を通しての平均値であるため、繁忙期である12月はそれ以上の残業が見込まれます。

              毎日ヘトヘトになりながら働いて、試験直前で勉強する体力が残っているのか疑問です。

              正会員になれば報われるものの、そこにたどり着くまでの道のりがきつい、つらい、苦行といえるかもしれません。

              ただし、資格試験が1発合格でなくても大丈夫であるため、数年かけて資格取得を目指すのであれば十分に到達しうる道ではあります。

              アクチュアリーになるには?

              住友生命公式HP

              (引用元:住友生命公式HP)

              アクチュアリーの正会員になるには、日本アクチュアリー会が実施している第1次試験と第2次試験の両方を突破する必要があります。

              受験資格

              アクチュアリーの試験を受けるためには、受験資格を満たしている必要があります。

              次のいずれかに該当していれば、受験資格を有していると判断されます。

              (1) 第1次試験

              学校教育法による大学(短期大学を含む)を卒業した方が受験できます。
              このほか、次の要件等を満たす方で、所定の書類を提出(※)し、試験委員会が大学を卒業した方と同等の資格試験受験に必要な基礎的学力を有すると判断した方も受験できます。

              • ①大学3年生以上の者(4年制大学において、休学期間を除き2年以上在学し、かつ62単位以上の単位を修得した者)
              • ②高等専門学校卒業者
              • ③学士資格を有しない大学院生
              • ④外国の大学を卒業した者、または、外国において上記①~③に相当する学校教育における課程を修了した者
              • ⑤生保数理、損保数理、年金数理等の日本アクチュアリー会資格試験の受験科目に関連する知識を必要とする、保険・年金などの業務に3年以上携わった者

              ※提出書類は該当要件によって異なります。 また、状況によっては、所定の提出書類の一部または全部を省略することがあります。

               

              (2) 第2次試験

              第1次試験の全科目(5科目)に合格した日本アクチュアリー会の準会員が受験できます。

                (引用元:日本アクチュアリー会公式HP)

                受験資格を満たしている方は、日本アクチュアリー会が実施している受験資格の審査を経て試験を受けられます。

                例年12月に試験が行われ、事前審査は7~9月中旬に行われることが多くなっています。

                審査には4日前後かかるため、余裕をもって審査を申請したのち、必要書類を揃えて試験を申し込む必要があるので注意しましょう。

                第1次試験

                アクチュアリーの第1次試験においては、第2次試験を受けるに相当する基礎的知識を有するかどうかを判定することが目的とされています。

                科目には次の5つが設定されています。

                第1次試験の科目(各180分) 合格基準点 最低ライン
                数学(確率・統計・モデリング) 60点
                生保数理(利息計算・生命関数など) 60点
                損保数理(料率算定・信頼性理論など) 60点
                年金数理(計算基礎率・年金現価率など) 60点
                会計・経済・投資理論 60点 会計10点/経済10点/投資理論20点

                (引用元:日本アクチュアリー会公式HP)

                試験はマークシート式であり、1度に5科目すべてを合格する必要はありません。

                日本アクチュアリー会の発表によると第1次試験の突破は平均5年であるため、1年で1科目ずつ合格していく人が多くなっています。

                第2次試験

                第1次試験を突破した人は、第2次試験に挑めます。

                試験は論述式であり、実務を行う上で必要な専門的知識や解決能力があるかどうかを試されるため、実務に基づいた試験問題となっています。

                第2次試験の科目(180分) 合格基準点 最低ライン
                生保1(営業保険料・商品開発など) 60点 第1部が30点/第2部が20点
                生保2(リスク管理・変額年金保険など) 60点 第1部が30点/第2部が20点
                損保1(保険料の算定・損害率の分析など) 60点 第1部が30点/第2部が20点
                損保2(責任準備金・損益分析など) 60点 第1部が30点/第2部が20点
                年金1(公的年金制度の設計など) 60点 第1部が30点/第2部が20点
                年金2(退職給付会計など) 60点 第1部が30点/第2部が20点

                (引用元:日本アクチュアリー会公式HP)

                「生保1と2」「損保1と2」「年金1と2」の3グループの中から1グループを選んで合格すれば、晴れてアクチュアリー正会員となります。

                1つのグループの中で生保1だけ合格して、翌年に生保2を合格といったように、年をまたいでも試験突破です。

                平均3年で1グループ(2科目)合格しているようなので、1次と合わせて平均8年かけて正会員へ至る長い道のりとなっています。

                試験日程

                アクチュアリーの資格試験は毎年12月に実施されています。

                2023年で実際予定試験日程 試験開始時刻10 : 00 試験開始時刻14 : 30
                12月11日(月) 生保1・損保1・年金1 損保数理
                12月12日(火) 生保2・損保2・年金2 生保数理
                12月13日(水) 年金数理 数学
                12月14日(木) 会計・経済・投資理論
                合格発表:2024年2月19日(月)午前11時頃(予定)

                (引用元:日本アクチュアリー会公式HP)

                第1次と第2次が同日に実施されるため、初めての試験で1次と2次の両方に合格することは不可能です。

                初年で1次5科目に合格して翌年に2次2科目を合格すると、理論上は最短2年でアクチュアリー資格取得となります。

                アクチュアリーは独学で合格できる?

                アクチュアリーの資格試験は難関ではあるものの、働きながら1科目ずつ合格していく人が多くを占めます。

                日本アクチュアリー会が公表している合格までの平均年数「8年」をかけてチェレンジするのであれば、独学でも十分に突破できます。

                合格までの年数と勉強時間

                1次試験(平均5年) 2次試験(平均3年) 資格取得まで
                1科目あたりの勉強時間 総勉強時間 1科目あたりの勉強時間 総勉強時間 総勉強時間
                100~200時間 500~1,000時間 300時間 600時間 1,100~1,600時間

                (引用元:進学情報サイトおよびアクチュアリー転職エージェントをもとに当サイトで集計)

                合格までの平均年数は8年であり、総勉強時間は1,100時間を超えます。

                1日1時間勉強すれば1年で365時間確保できますが、それでも3年以上必要であり、何よりも以下の前提条件があります。

                • 良質な時間でなければ、何時間費やそうと身につかない
                • 人は覚えたことを忘れる生き物である
                • 合格率が低いため、365時間の勉強で2科目に挑戦しても両科目とも落ちる可能性がある

                1科目でも合格すれば就職・転職で有利になり、残り科目数が減れば精神的に楽になるため、試験に挑むのであればスタートダッシュが肝要です。

                まずは2~3科目受験するために、休日に5時間×週2日×年52週=520時間を確保する。

                その上で、平日は毎日30分だけでも良いのでしっかりと集中して復習する。

                そうして初めて、アクチュアリーという難関試験にも活路が見えてくるでしょう。

                試験の難易度と合格率

                資格試験の合格率を日本アクチュアリー会が公表しているので、表にまとめました。

                一次試験(2022) 数学 生保数理 損保数理 年金数理 会計・経済・投資理論
                受験者数 767人 482人 512人 369人 574人
                合格者数 98人 95人 110人 123人 188人
                合格率 12.8% 19.7% 21.5% 33.3% 32.8%

                (引用元:日本アクチュアリー会公式HP)

                二次試験(2022) 生保1 生保2 損保1 損保2 年金1 年金2
                受験者数 361人 323人 144人 105人 72人 69人
                合格者数 52人 51人 22人 11人 5人 12人
                合格率 14.4% 15.8% 15.3% 10.5% 6.9% 17.4%

                (引用元:日本アクチュアリー会公式HP)

                1次試験の総平均合格率は22.7%であり、2次試験の「生保」は15.0%、「損保」は13.2%、「年金」は9.9%となっています。

                1次試験の「数学」だけは高校・大学の一般教養でも解ける問題が含まれているため、数学から挑戦する人が多く、受験者数も最多となっています。

                ただし、あくまでも解ける問題が含まれているだけで、生半可な覚悟で挑むと返り討ちにあいます。

                一般教養では解けない年金などの科目の方がしっかり勉強して挑んでいるためか、合格率が高い傾向にあります。

                なお、2次試験は実務経験がないと太刀打ちできない問題で構成されており、逆にいうと実務経験があればあるほど有利になっていくため、可能であれば「合格を焦らない」心持も大切かもしれません。

                学生は第1次試験に有利ってホント?

                学生はまとまった時間を試験勉強にあてられるため、1次試験については非常に有利といえます。

                時間的有利を活かして在学中に1科目でも取得すれば、アクチュアリー候補生を目指しての就職活動も有利に働きます。

                ただし、2次試験は実務経験がないと太刀打ちできない難易度となっています。

                第2次試験については「アクチュアリーとしての実務を行う上で必要な専門的知識および問題解決能力を有するかどうかを判定することを目的とする」という趣旨から、専門的知識の部分は教科書・参考書を中心とした出題範囲となりますが、問題解決能力の部分はアクチュアリーの役割および時事問題についても出題範囲に含めて論述式の解答を求める等、より広く専門職としての見識を問うことになります。

                (引用元:日本アクチュアリー会公式HP)

                2次試験の半分は参考書からでも得られる「専門的知識」の問題ですが、もう半分が実務経験から得られる「専門職としての見識」を問われます。

                学生は勉強時間にアドバンテージがあるものの、早稲田大学が大学院で開設しているアクチュアリー専門コースでさえも「1次試験5科目の合格」が大学院としての目標です。

                在学中に目指すべきは1次試験の突破までであり、2次はアクチュアリー候補性となってから突破を目指すべきといえるでしょう。

                  社会人は第2次試験に有利ってホント?

                  社会人は1次試験突破のための勉強時間確保が難しい代わりに、2次試験は実務経験が活かせるため有利です。

                  2次試験の科目は2部構成になっており、1部が参考書からでも学べる知識問題ですが、もう1部は実務にもとづく専門職としての「見識」を述べる論述問題であるためです。

                  1次試験を突破してアクチュアリーの準会員となれば、実務において数理業務を任せられる場面が増えていき、導き出した利率やその方法などを上司にも部下にも説明する必要があります。

                  それはまさに、アクチュアリーとしての「見識」を述べる行為そのものです。

                  在学中に正会員になることが事実上不可能であるため、働きながら2次試験を突破する以外に道はありません。

                  仕事と勉強の両立は至難の業ですが、平均3年で2次を突破していることから、実務経験があれば十分に到達可能な道であると予想されます。

                  アクチュアリーはどんな人に向いている?

                   

                  アクチュアリーはどんな人に向いているのか?

                  試験内容と仕事内容、それぞれの場合における向き不向きを見ていきましょう。

                  どちらの内容においても強く求められる要素は、モチベーションを絶やさず地道な努力が得意であることです。

                  試験内容が向いている人

                  • モチベーションの維持が得意な人
                  • 勉強計画を立て、必要に応じて修正できる人

                    アクチュアリーの資格試験は合格まで平均8年の長い道のりです。

                    高度な数理計算を行うため数学が好きであることも大切ですが、何年も勉強し続ける必要があるため、モチベーションをいかに維持するかが重要になってきます。

                    平日はたとえ10分であっても毎日勉強すること、休日は集中できる環境に身を置きまとまった時間勉強することが重要だと思います。私の場合、平日はスマートフォンに保存した法令を通勤時間に読み込むなど時間と場所に縛られないインプット中心に取り込み、休日は終日図書館で腰を据えて過去問や予想問題に取り組むなどアウトプットに徹しました。こうしたことに加え、私は「試験当日までに○○時間勉強する」という目標を定めて自分自身にプレッシャーをかけていました。

                    (引用元:日本アクチュアリー会公式HP「合格者の声」)

                    アクチュアリー試験は長期戦です。自分はコツコツ継続するのが苦手でしたが、暗記事項はスマホアプリを活用して空き時間に眺め、所見対策は直前に温泉旅館に連泊して集中的に取り組むなど、飽きない工夫を心掛けていました。自戒を込めてですが、勉強が手につかない期間が長いほど再び勝負の土俵に戻るのが難しくなります。モチベーションが下がることはあっても、絶やさないようにすることが大切だと思います。

                    (引用元:日本アクチュアリー会公式HP「合格者の声」)

                    アクチュアリーの資格試験を突破した人たちは、スマートフォンを使って隙間時間に勉強したり自宅ではなく図書館やカフェで勉強したりするなど、時間と場所に気を配っています。

                    モチベーションの維持が難しい場合であっても、友人や職場の先輩に相談するなど、モチベーションがゼロになることだけは避けています。

                    また、モチベーションの維持に加えて、1年間の勉強計画を立てて進捗に応じて計画を見直すことも大事です。

                    第1次試験の合格には多くの勉強時間と長期的な計画が必要だと感じました。

                    教科書も分量がありますし、過去問題を1年分解くにも相当な時間を要します。可能な限り早い時期に勉強を開始するに越したことはありません。
                    また勉強もただ闇雲に進めるのではなく、現時点で自分がどの段階にいるのか、合格への道のりを常に意識することが必要ですし、そのためにはやはり勉強計画を立てて常に進捗を振り返ることが不可欠であると思います。

                    (引用元:日本アクチュアリー会公式HP「合格者の声」)

                    全ての科目について、教科書を一通り理解するだけでもかなりの時間がかかりますし、繰り返し演習を積まなければ試験問題は解けません。中間目標を設定して計画的に勉強を進めることで、演習の時間を十分にとることが重要だと思います。
                    また、計画を立てたとしても当初の予定通りに勉強を進めることは難しいと思います。定期的に振り返りをして、計画の修正をするようにしましょう。特に複数科目受験する方は、科目に進捗の偏りが出てしまうことがあると思います。振り返りの際に確認しましょう。

                    (引用元:日本アクチュアリー会公式HP「合格者の声」)

                    どんなにモチベーションを高く維持できたとしても、体調が悪かったり残業が続いたりして計画通りにいかない場合もあるでしょう。

                    資格取得までの平均勉強時間が1100時間以上の難関試験に合格するためには、きちんと勉強計画を立てた上で、定期的に進捗を確認して修正していくことが求められます。

                    長期にわたるモチベーションの維持と、勉強計画を立てた上で修正できる人はアクチュアリーの試験に向いているといえるでしょう。

                    仕事内容が向いている人

                    • 毎日こつこつ勉強することが好きな人
                    • 物事をかみくだいて伝えることが好きな人

                      アクチュアリーは正会員となった後でも、社会情勢の変化や法律の改正によって新たな領域の知識が必要になることがあるため、試験突破後であっても勉強好きであることが求められます。

                      私はお客様に感謝されることにやりがいを感じます。以前に、ペット共済が法改正によって少額短期保険に移行しなければならなくなったときに、保険計理人*を務めたことがありました。年金が専門分野である私にとってはまったく未知の領域であったため、いろいろと勉強して取り組み、苦労しました。それでも無事に少額短期保険業者として登録されたときには、お客様がとても喜んでくださり、努力した甲斐があったと思えました。

                      (日本アクチュアリー会公式HPアクチュアリーとしてのやりがい)

                      上記のように、法改正でいきなり未知の領域での戦いを強いられることがあります。

                      正会員としてすでに活躍しているアクチュアリーでも、世の中が変化すれば扱う数値やリスクも変化するため、数学も文系要素も地道な努力も好きである方が働きやすいといえます。

                      また、アクチュアリーは高度な計算技術や分析力を用いて商品開発やリスク管理を行いますが、いずれも会社の経営陣やクライアントの了承を得なければ仕事は完結しません。

                      私の考えは、アクチュアリーとして計算や分析の実務で正確なものを作るのが第一段階。そのうえで、皆さんがおっしゃったように、難しいことをわかりやすく伝えることが重要だと思います。さらに、もう一段階上のステージとして、通常のアクチュアリー業務に留まらず、お客様の立場で課題解決していく、新しい価値や仕事を開拓するようなところまで業務を広げていくのも一つの理想像です。

                      (引用元:日本アクチュアリー会公式HP理想のアクチュアリー像)

                      計算や分析をすれば仕事が終わるわけでなく、プロにしか分からない数理をそうではない人たちに分かるように言語化して伝えて、初めてアクチュアリーの仕事は完結します。

                      物事をかみくだいて話す能力、つまりコミュニケーション力があれば、アクチュアリーとして働いていてやりがいを感じやすいといえます。

                      同じ職場のアクチュアリー同士で競うことになった場合でも、プレゼンテーション能力が高い方の案が採用されることもあるため、伝える技術は高められるだけ高めておいた方がアクチュアリーとして働きやすいといえるでしょう。

                      合格者の声

                      日本アクチュアリー会の公式では、1次試験や2次試験を合格した人の苦労や喜びが掲載されています。

                      これから目指す人にとって非常に参考になると思いますので、抜粋して紹介させていただきます。

                      まずは正会員まで辿り着いたことに安堵しております。そして、手厚くご支援いただいた職場の皆様、試験前に家庭を顧みず勉強していた私を温かく応援してくれた家族に、心より感謝をしております。
                      一次試験では電卓となかなか友達になれず、二次試験では法令等の暗記に苦しめられるなど、大変な思い出もありますが、友人とともに勉強する時間や毎年一心不乱に勉強していた12月前半を思い返すと充実した時間であり、良くも悪くもここ数年のライフサイクルの中心にアクチュアリー試験があったと感じます。(正会員:松原 浩祐さん)

                      (引用元:日本アクチュアリー会公式HP「合格者の声」)

                      私は学生時代から一次試験を受けており、学生の頃はまとまった時間がとれ比較的順調に試験に合格することができました。しかし社会人になってからは勉強時間の確保に苦労し、仕事と勉強の両立の難しさを痛感する場面も多かったです。
                      しかし最終的には無事に一次試験全科目に合格し、今までの努力が報われ安心しました。
                      これからも二次試験合格に向けて気をゆるめず勉強に励む所存です。(準会員:岡野 利紀さん)

                      (引用元:日本アクチュアリー会公式HP「合格者の声」)

                      仕事や他の勉強と並行しながらアクチュアリー試験の勉強をするのが大変で、資格をとるのを辞めたいと感じていた時期もありましたが、何とか合格することができました。準会員になることができ、嬉しく思っています。
                      職場の皆様には、業務時間内に社内勉強会に参加させていただいたり、試験前に休暇いただいたりとさまざまなサポートをしていただきました。大変感謝しております。(準会員:辻 萌香さん)

                      (引用元:日本アクチュアリー会公式HP「合格者の声」)

                      いずれの声においても、働きながらの資格取得がいかに大変だったかが伝わってきます。

                      特に勉強時間の確保が非常に難しかったようで、資格取得を断念しようと考えた時期もあると告白されている方もいます。

                      それでも職場や家庭のフォローによって勉強時間を確保して、なんとか準会員や正会員になれたと感謝の言葉がつづられています。

                      こうした実体験の声が、日本アクチュアリー会の公式HPには合計21名分掲載されています。

                      試験を突破した現在の気持ちに加えて、モチベーションの維持の方法やおすすめの勉強法なども21人分掲載されているため、大変貴重な情報源となっています。

                      アクチュアリーに興味がある方は必ずチェックしておきましょう。

                      アクチュアリーの資格取得に向けた勉強方法

                      アクチュアリーの資格は働きながら取得を目指す必要性がある以上、参考書などを活用した独学でのチャレンジが基本です。

                      アクチュアリーの参考書を使って勉強する

                      独学で試験に合格するためには、基礎知識を得る参考書が必須です。

                      アクチュアリーの勉強における王道の参考書は、日本アクチュアリー会で発行している15冊の書籍が該当します(※うち1冊は広報誌)。

                      日本アクチュアリー会の発行書籍
                      損保 年金 保険1 保険2 保険2(2021年3月の改定部分のみ個別販売)
                      フィナンシャルERM-金融・保険の統合的リスク管理 統計データの数理モデルへの適応 統計データの数理モデルへの適応-演習編- 年金数理 損保数理
                      二見隆:生命保険数学(上巻) 二見隆:生命保険数学(下巻) 確率・統計・モデリング問題集 モデリング 広報誌

                      (引用元:日本アクチュアリー会公式HP)

                      広報誌と保険2の改定部分のみの書籍を除けば、価格は2,000~8,415円となっています。

                      ただし、もっとも取り掛かりやすい『数学』の参考書は日本アクチュアリー会から発行されていません。

                      そのため、数学については別で参考書を探す必要があります。

                      アクチュアリーの参考書を書店で探そうとしても、どれを選べば良いのか基準が分からないかもしれないため、Amazonなどで評価や口コミを見ながら選ぶと良いでしょう。

                      試験合格のためのおすすめ参考書3選

                      Amazonで購入可能な参考書を3冊紹介します。

                      アクチュアリー数学おすすめ参考書

                      (引用元:Amazon.co.jp)

                      日本アクチュアリー会では発行されていない「数学」を学べる貴重な参考書です。

                      日本アクチュアリー会で発行されている書物と比べると、試験慣れしていない人にも分かりやすい解説を心がけて作成されているようなので、1科目の合格を目指す方へ特におすすめです。


                      アクチュアリー数学おすすめ問題集

                      (引用元:Amazon.co.jp)

                      同じく貴重な、数学の問題集です。

                      上巻と下巻があり、参考書では不足しがちな実践問題を多く取り組めるためおすすめです。

                      アクチュアリー損保数理おすすめ参考書

                      (引用元:Amazon.co.jp)

                      損保数理は計算問題が比較的多いため、数学で学んだことを活かしやすい特徴があります。

                      1科目目は数学、2科目目に損保数理を選んで同時合格を目指しても良いでしょう。

                      アクチュアリー対策の参考書をAmazon.co.jpで見る

                      アクチュアリー試験の過去問を活用

                      アクチュアリーの試験勉強をする上で重要な過去の試験問題集が、日本アクチュアリー会の公式HPで公開されています。

                      1962年から2022年までに実施されたすべての試験問題を無料でダウンロードでき、論述問題の解答例も学べます。

                      過去問はパソコンで表示しながら解いても紙に印刷してから解いても、スマートフォンで学習アプリに問題と解答を打ち込んでも良いでしょう。

                      暗記メーカーなどのアプリを使って自分だけの問題集を作ることで、通勤時間などの隙間時間を有効活用できます。

                      アクチュアリー会や塾・通信講座発の専門アプリがまだ1つも存在していないため、携帯できる問題集の作成が試験合格の役に立つかもしれません。

                      アクチュアリー専門の通信講座を利用する

                      アクチュアリーの資格取得は独学が基本的な道のりですが、その独学にかかる時間を大幅に短縮したい場合には有料の通信講座を利用する手もあります。

                      • 手探りに近い独学と違い、通信講座は道しるべが出来上がっているためモチベーションを維持しやすい
                      • 1科目でも合格すればモチベーションを維持しやすいため、資格挑戦のスタートダッシュとして非常に有効
                      • 仕事があまりにも忙しい場合に、勉強時間の不足を効率的な学習でカバーできる

                      通信講座だけで合格できるほど甘い試験ではありませんが、試験合格のノウハウをもつ通信講座を頼れば、より少ない時間で合格までたどり着けます。

                      講座を利用するしないに関わらず、勉強時間を短縮する手段を知っておくだけでも安心材料になるでしょう。

                      アクチュアリー対策の通信講座を開設しているスクールがいくつかあるので、気になる方はチェックしてください。

                      アガルート公式サイトはこちら

                      アクチュアリーの通信講座の記事はこちら

                      アクチュアリーが活躍するフィールド

                      アクチュアリー活躍分野

                      (引用元:日本アクチュアリー会公式HP)

                      アクチュアリーの候補生や正会員は、具体的にどんな分野で働いているのか?

                      • 生命保険分野
                      • 損害保険分野
                      • 年金分野
                      • リスクマネジメント分野
                      • 監査法人分野

                        上記5つの中でアクチュアリーの主戦場といえる分野は生命保険ですが、近年は会計監査の分野でも必要とされています。

                        それぞれ分かりやすく紹介していきます。

                        生命保険分野

                        アクチュアリー業態分布

                        (引用元:日本アクチュアリー会公式HP)

                        アクチュアリーがもっとも多く活躍する分野は生命保険分野である。

                        そういい切れるほど、両者には深い関わりがあります。

                        アクチュアリーのルーツは、17世紀後半にイギリスのロンドンで誕生した世界最古の保険市場「ロイズ」であるとされています。

                        当初は個人経営のコーヒーハウスで保険契約が行われ、その契約内容も人やモノをまとめて保証する船舶保険が中心でした。

                        保険業務は航海技術の進歩と共に陸へと移り、1878年に世界最古のアクチュアリー会社が設立され、人命の損失を保証する業務が本格化していきます。

                        その後、米国でも日本でもアクチュアリー会が設立され、正会員が生命保険会社に勤務して業務を拡大していきます。

                        現在、日本にはアクチュアリー正会員が2,000名いますが、生命保険分野で働く正会員は最多の890人であり、全体の44.5%もの割合を占めています。

                        生命保険 損害保険 信託 その他 合計
                        正会員 890人 301人 197人 612人 2,000人
                        割合 44.5% 15.0% 9.8% 30.7% 100%

                        (引用元:日本アクチュアリー会公式HP)

                        準会員や研究会員であっても、生命保険分野は38.1%(3,497人中の1,335人)が務めている人気分野です。

                        生命保険 損害保険 信託 その他 合計
                        準会員 611人 267人 110人 417人 1,405人
                        研究会員 724人 296人 59人 1,013人 2,092人
                        割合 38.1% 16.9% 4.8% 40.2% 100%

                        (引用元:日本アクチュアリー会公式HP)

                        正会員の44.5%に割合と比較すると下がっているように見えますが、研究会員には就労前の学生が含まれており、その他の数値が押し上げられているためです。

                        準会員や研究会員にとっても最大の就労先は生命保険分野であり、これから研究会員となって働く場合にも生命保険分野が働くフィールドとして真っ先に候補に挙がるでしょう。

                        損害保険分野

                        日本損害保険協会SONPO公式HP

                        (引用元:日本損害保険協会SONPO公式HP)

                        損害保険は主にモノの損害を保証する保険です。

                        • 地震保険
                        • 火災保険
                        • 自動車保険
                        • 運送保険
                        • 海上保険

                          上記5つが損害保険の主たる項目であり、事故の発生頻度や損害率だけでなく、天候などの不確定要素すらも統計から適切と判断できるデータを抜き出し、料率や支払額の算出をしていきます。

                          10年単位で契約することが多い生命保険と比べると損害保険は1~5年での契約が多く、短いサイクルで契約の見直しが生じるため、保険商品の開発ペースもそれだけ迅速に行う必要に迫られます。

                          社会情勢によって人々が関心を示す補償内容が変わってくるため、的確な分析力と柔軟な判断力が求められる分野といえるでしょう。

                          年金分野

                          日本生命公式HP企業年金イメージ

                          (引用元:日本生命公式HP)

                          企業年金は企業の財政が健全であって初めて成り立つため、年金分野で働くアクチュアリーは財政リスクを常に監視し、必要に応じて財政改善をマネジメントしていく必要があります。

                          • 財産リスクの管理と改善の提案
                          • 年金の掛け金や積立水準の算出および変更の提案

                          年金分野で働くアクチュアリーの役割は高度な数理計算だけに止まりません。

                          資格試験で学んだ年金数理計算を用いた掛け金を算出した後は、算出した額をクライアントに説明して納得させ、変更が必要になれば説明して納得させ、財政リスクがある場合にはクライアントを改善に導く義務があるとさえいえます。

                          それらを為すためには、優れたコミュニケーション能力が必須です。

                          年金分野は生命・損害保険分野より難しい面がありますが、企業の経営に直結する重要な役割を担うため、プレッシャーを力に変えられる人にとってはやりがいを感じやすい分野といえるかもしれません。

                          リスクマネジメント分野

                          近年のアクチュアリーは、年金分野以外の企業リスクについてもマネジメントする場が広がりを見せています。

                          • 情報漏洩のリスク
                          • システム障害のリスク
                          • コンプライアンスリスク
                          • コロナなどの世界的疫病リスク

                            情報漏洩のリスクなど、「紙文化」の頃にはなかったリスクが増えており、「電子文化(デジタル化)」に移行したくてもそのためのノウハウがない企業も多く存在します。

                            デジタル化は単にインフラを整備すれば完結するわけでないため、リスク管理の専門家でもあるアクチュアリーが強く求められています。

                            今後は仮想現実(VR・AR)で事業を展開する企業が増えていくと予想されるため、新たな世界で生じるリスクを管理・対処するためにもアクチュアリーは強く求められていくものと思われます。

                            会計監査分野

                            クライアントの財務状況は公認会計士でも判断が難しい分野があるため、アクチュアリーは会計監査の分野においても活躍します。

                            • 保険負債額の評価
                            • 保険支払準備金の積立額の評価
                            • 退職給付債務の評価

                              保険会社は将来支払うことになるお金を準備してから保険商品を売り出しますが、高度な数理計算によって算出された準備金額の適正は、同じく高度な数理計算を分析できるアクチュアリーにしか判断できません。

                              ただし、あくまでも会計監査のサポート業務であるため、以下の点に注意です。

                              • 年収は平均より低い傾向にある
                              • 高い年収を確保するには、企業のアドバイザー業務を兼任している監査法人に就職する必要がある(年金・リスクマネジメントのスキルが必須)

                              とはいえ、監査法人ではアクチュアリー候補生を受け入れる仕組みがないため、基本的には正会員が転職する先の1つとして選択する分野です。

                              監査法人では商品開発競争がないので、ペースを落として働きたくなった人や、保険業界だけでは手に入らない人脈を獲得し、独立を目指して働きたい人にはおすすめの選択肢といえるかもしれません。

                              アクチュアリーに関するよくある質問

                              アクチュアリーに関するよくある質問

                                アクチュアリーに関するよくある質問をまとめました。

                                気になる項目がある場合は、ぜひ悩みの解消のお役立てください。

                                アクチュアリーは「激務だからやめとけ」って本当?

                                アクチュアリーの資格は基本的に働きながら取得を目指すため、仕事と勉強の両立が大変さゆえに「激務だからやめとけ」といわれることがあります。

                                • 試験7科目すべて合格するためには1,100~1,600時間が必要
                                • 試験がある12月は繁忙期にあたり、多くの残業が見込まれる

                                アクチュアリーの資格取得までには、1次試験で5科目、2次試験で2科目の計7科目で合格を果たす必要があります。

                                1次試験(平均5年) 2次試験(平均3年) 資格取得まで
                                1科目あたりの勉強時間 総勉強時間 1科目あたりの勉強時間 総勉強時間 総勉強時間
                                100~200時間 500~1,000時間 300時間 600時間 1,100~1,600時間

                                (引用元:進学情報サイトおよびアクチュアリー転職エージェントをもとに当サイトで集計)

                                1次試験の1科目あたりの平均勉強時間は100~200時間であり、それを5科目分繰り返し、さらには2次試験2科目で600時間を勉強に捧げてやっと合格までたどり着ける長い道のりです。

                                毎日1時間勉強すれば単純計算で365時間確保できますが、仕事と勉強の両立は簡単ではありません。

                                特に、試験が行われる12月は繁忙期であり、残業が多くなりがちな時期です。

                                令和4年の賃金構造基本統計調査によると、アクチュアリー候補生を含む保険業界の専門職の平均残業時間は17.2時間/月となっており、しかも1年を通しての平均値であるため12月はこれ以上の残業が見込まれます。

                                毎日ヘトヘトになりながら働いて、試験直前で勉強する体力が残っているのか疑問です。

                                試験時間も1科目180分あるため、万全の状態であっても頭と手を酷使します。

                                正会員になれば報われるものの、そこにたどり着くまでの道のりがきつい、つらい、苦行といえるかもしれません。

                                ただし、勉強できなかった日があったとしても調整する方法はいくつもあるので、経験者の声を聞いてみるといいかもしれません。

                                日本アクチュアリー会の公式HP、個人ブログ、ツイッター、5ch(旧2ch)など複数のサイトで探せます。

                                アクチュアリーは年収3,000万円に届く?

                                本文で詳しく述べていますが、3,000万円に届く道はいくつかあります。

                                • 海外(アメリカ)でアクチュアリーとして働くなら、平均で3,000万円を超えている州がある
                                • 国内で働く場合でも、ダブルライセンスを活かせば可能性がある
                                • 仲間(人脈)を確保できるなら、独立する選択肢も

                                  アメリカのジョージア州でアクチュアリーとして働く場合、同州で勤務する870人のアクチュアリーの平均年収で3,000万円を突破しているため、もっとも可能性が高い手段と言えるでしょう。

                                  また、日本国内で働く場合でも海外のライセンスを取得し、海外の保険や法律にも詳しい専門家になれば、年収を伸ばせるかもしれません。

                                  日本アクチュアリー会でもイギリス資格CERA取得試験を実施しており、より広い範囲で活躍できる人材が求められています。

                                  どの道を目指すにしてもアクチュアリーの正会員になることが大前提ですが、キャリアアップを頭の隅に入れながら試験勉強するとモチベーション維持の役に立つかもしれません。

                                  アクチュアリーの平均年収は意外と低い?

                                  アクチュアリーは正会員で年収が1,000万円を大きく超えていきますが、準会員や研究会員は1,000万円に届きません。

                                  しかも、仕事と勉強の両立という激務をこなしながらの日々となるため、候補生として雇ってくれているホワイト企業であってもブラック並みのキツさがあり、正会員になるまでは割に合わないと感じることがあります。

                                  プライベートの自由時間も少なく、彼氏彼女の時間を設けることも難しい現実があります。

                                  もしも割に合わない、コスパが悪いと感じた場合は、本当の不満は年収の低さでなく時間の少なさであるケースもあるため、合格をサポートしてくれる職場を求めての転職も選択肢の1つです。

                                  ただし、転職がスムーズにいくのは研究会員以上であるため、無資格のアクチュアリー候補生はなんとしてでも1科目は合格しておきましょう。

                                  1科目でも合格できれば、モチベーションを維持しやすくなるため、割に合わないと感じる可能性も少し小さくなります。

                                  アクチュアリーは年収ランキングで何位?

                                  全職種の年収ランキングにおいて、アクチュアリー単独での順位は公開されていませんが、アクチュアリーが含まれる「その他の経営・金融・保険専門職業従事者」は第7位(145位中)であり、アクチュアリー単独順位も次のように推測できます。

                                  • アクチュアリー正会員は第3位(年収1,200万円)
                                  • 準会員は第8位(年収800万円)
                                  • 研究会員は第19位(年収600万円)
                                  • 候補生は第101位(年収380万円)

                                  候補生だけは低いように見えますが、主に新卒~3年目で構成されるため、380万円の年収は実は非常に高い水準にあります。

                                  アクチュアリーは売り手市場であるため、企業も多くの給与を与えることで確保に動いています。

                                  資格試験は難関であるものの、挑むだけの価値は十分にあるでしょう。

                                  なお、アクチュアリーの年収は就職する企業によって差があり、公的な企業ランキングは存在していないため、気になる企業がある場合には転職サイトなどに掲載されている口コミを参考にしても良いでしょう。

                                  PwCなどの外資系企業の年収情報などもいくつか見つけられます。

                                  東京海上日動は年収ランキングで何位?

                                  東京海上日動火災保険

                                  (引用元:東京海上日動火災保険公式HP)

                                  東京海上日動ホールディングスは2022年度の従業員の平均年収が1,412万円以上となっており、業界最高クラスとなっています。

                                  ただし、従業員数は1,000人に満たず、毎年の新卒採用が非常に少ない狭き門です。

                                  子会社の東京海上日動火災保険が従業員数17,000人以上で平均年収830万円以上であるため、保険業界における就職先として人気が高いのは日動火災保険の方です。

                                  保険業界は転勤が多いことで有名ですが、日動火災保険では転勤範囲を限定するエリアコース制度を設けていたり、逆に海外転勤も含む出世コース(総合職)を設けていたりします。

                                  新卒の募集要項でボーナスの規定がありませんが、転職情報サイトの口コミによると、1年目でも6月のボーナスが支給された話や、30代女性課長クラスがボーナス込みで年収1,000万円以上の年収だとする話もあります。

                                  転勤なしのエリアコースでは課長になれない可能性もありますが、会社全体として年収偏差値が非常に高いため、アクチュアリーとして働くのであればぜひ候補に加えていきたい企業です。

                                  アクチュアリーは将来なくなる可能性はある?

                                  結論だけ先に述べると、なくなりません

                                  高度な数理計算については、AIが担当する時代が必ず来ます。

                                  社会情勢の判断や将来のリスク予想なども、ある程度AIで絞り込みをかけるでしょう。

                                  ただし、AIには3つの弱点があります。

                                  • ミスが許されない
                                  • プレゼンテーション能力がない
                                  • 保険商品を売り込む相手はAIでなく、人間である

                                  例えば保険商品の料率1つとっても、「どうやって料率を算出したのか?」「どうしてその料率が正しいといえるのか?」「売り出せばうちの会社はいくら利益がでるのか?」と企業は必ず疑問をぶつけてきます。

                                  しかしながら、保険商品にはそもそも正しい料率が存在しません。

                                  正しい料率が存在しなければ、正しい利益予想もできません。

                                  それでも保険業界が成り立っているのは、正しいと判断できるものをアクチュアリーが選択し、自分の言葉で雇い主を納得させて商品を世に送り出しているためです。

                                  人間であれば多少の誤差は許容されるでしょうが、正確性に欠けるAIは信用に足らず、データを絞り込むためのサポート業に止まるでしょう。

                                  商品の買い手も人間であることからして、言葉による説得が必須です。

                                  アクチュアリーは数字だけでは完結しない領域を扱うため、将来なくなる心配はありません。

                                  アクチュアリーに学歴や偏差値って関係ある?

                                  アクチュアリーの価値は資格の有無にあるため、学歴も偏差値も重要ではありません。

                                  ただし、1科目も合格していない状況でアクチュアリー候補生として就職を目指す場合には、不利に働く可能性があります。

                                  • 候補生の枠は人気なため、必ずライバルと争うことになる
                                  • 筆記試験の点数と面接試験の印象が大事ではあるが、将来に渡って勉強する素質の判断を過去の勉強(学歴)で判断することもある

                                  候補生枠は、企業にとっては重要な投資枠であるため、学歴に不安がある場合には1科目合格して研究会員になってから就活に挑む方が無難です。

                                  アクチュアリー専門の通信講座はどこがおすすめ?

                                  アクチュアリー専門の通信講座は数が少ないながらも、過去問を徹底的に解説してくれる「アクチュアリー・ゼミナール」がおすすめです。

                                  過去問は日本アクチュアリー会の公式HPで無料でダウンロードできますが、問題と解答だけで解説がないに等しいため、初めての挑戦する人にとっては非常にハードルが高いといえます。

                                  参考書による理解だけでは限界を感じた場合には、ぜひ通信講座を利用しましょう。

                                  過去問だけでなく数学などの基礎講座も開設されているので、就活前にどうしても研究会員になっておきたい方にもおすすめです。

                                  アクチュアリーの通信講座の記事はこちら

                                  まとめ:アクチュアリーの年収は2,000万円に届くのか?

                                  アクチュアリーは正会員になれば外資系で年収2,000万円、日系企業で1,500万円に届き得ます。

                                  日系企業でも課長や部長に昇進すれば2,000万円に届く可能性があるため、きわめて高い収入を目指せる職種です。

                                  資格取得には平均8年、勉強時間にして1,000時間を超える長い道のりですが、毎日こつこつ勉強できる人であれば働きながら目指せます。

                                  アクチュアリーに興味がある方は、まずは1科目の合格を目指して動き出してみましょう。

                                  独学でも通信講座でも、きっとたどり着ける道があるはずです。

                                  あわせて通信講座の記事もご覧ください。

                                  アクチュアリーの通信講座の記事はこちら

                                  よかったらシェアしてね!
                                  • URLをコピーしました!
                                  • URLをコピーしました!

                                  監修者情報

                                  徳永 浩光のアバター 徳永 浩光 キャリアコンサルタント

                                  WEBメディアの監修や300社以上のキャリア相談を通じて、働く人の悩みに寄り添い、気付きを与えるキャリアコンサルタント。「偶然を生かす」という考え方を大切にし、真の願望を明らかにするアプローチを採用。

                                  コメント

                                  コメントする

                                  目次