消防設備士とは施設に設置されている消防設備の点検や整備をする国家資格のことで、甲種と乙種の2種類があります。
消防設備士の資格があると防災関係の会社への転職に有利なほか、電気設備系や不動産会社への転職の際にも有利になります。
でも、国家資格と聞くと難しそうに感じ、消防設備士試験に独学で合格できるのか不安になる方も多いのではないでしょうか。
今回のは、消防設備士試験は独学で合格できるのか、合格率やテキスト、勉強方法について一挙解説していきます。
消防設備士を独学で受験しようと考えている方は、ぜひ役立ててください。
消防設備士試験は、通信講座や予備校を利用して勉強する方法もおすすめです。
詳しくは、こちらの記事でも解説しています。
消防設備士試験の受験はどれを選択すべき?甲種と乙種それぞれの違いと受験資格
消防設備士試験には多くの種類があり、どれを選択すべきか迷っている方もいらっしゃるでしょう。
本章では、消防設備士の甲種と乙種それぞれの違いや受験資格について説明します。
まず、消防設備士とはそもそも何か。
消防設備士とは施設の消防設備の点検や整備をする国家資格のことで甲種と乙種の2種類があり、取り扱う設備の範囲によって取得できる免状がさらに細かく分類されています。
消防設備士試験において取得できる免状と甲種・乙種の違い
消防設備士試験において取得できる免状は、下記の表の通りです。
(引用元:一般財団法人 消防試験研究センター)
上記の表を見ると、火災報知設備や消火器といった私たちにとって身近な設備から専門的な設備まで、取り扱っている設備範囲が多岐にわたっていることがわかります。
甲種と乙種の免状の違いは、担当できる業務範囲。
甲種が工事・整備・点検、乙種は整備・点検のみが担当可能で、甲種の免状があると工事関係の業務を行う資格も得られることになります。
1類から7類までのうち、もっとも人気があるのは甲種・乙種4類と乙種6類。
4類は火災報知設備に関係する免状です。
火災報知器は住宅やビル、病院など各施設に設置が義務づけられており、建物がなくならない限り需要が発生し続けるというのが人気の理由。
また、乙種6類は消火器の整備や点検ができる免状であり、こちらも防災の観点から非常に重要視されています。
消防設備士試験の受験を考えている方でどの種類の免状を取得すればよいか迷われている方は、ひとまず人気のある4類か6類あたりの取得を目指してみるのが良いのではないでしょうか。
消防設備士試験の受験資格
消防設備士試験の受験に際し、乙種に関しては受験資格は問われず、どなたでも受験可能。
一方で、甲種では下記いずれかの受験資格が問われます。
・大学などの教育機関において指定の学科や課程を修了していること。
・特定の資格を取得していること。
・特定の業務において3年以上の実務経験があること。
1つずつ詳しく見ていきましょう。
なお、いずれの場合でも証明書は必須ですので、該当される方はお手元にご準備をお忘れなく。
大学などの教育機関において指定の学科や課程を修了していること
教育機関は大学のほか、短期大学、5年制の高等専門学校、高等学校、中等教育学校があります。
指定の学科や課程とは、機械、電気、工業化学、土木または建築に関する学科もしくは課程のこと。
このほか、理学、工学、農学または薬学のいずれかに相当する専攻分野の名称を付記された修士もしくは博士の学位を有する方も対象です。
外国の学校に在籍していた場合でも、日本の大学や短期大学、高等専門学校、高等学校に相当する教育機関で上述したのと同じ内容の学科や課程を修了・卒業していれば受験可能です。
特定の資格を取得していること
電気工事士、電気主任技術者、無線従事者、建築士など、多岐にわたります。
筆記試験の一部を免除できる「科目免除制度」の対象になる資格もありますので、自分の持っている資格が対象になるかどうか確認してみましょう。
消防設備士甲種特類を受験する場合は、甲種1類から3類までのどれか1つ、もしくは甲種4類と甲種5類の合計3種類以上の免状の交付を受けていることが条件です。
特定の業務において3年以上の実務経験があること
消防用設備などの工事の補助者として5年以上、消防用設備などの工事に関する実務経験が3年以上ある方が対象。
ほか、消防機関や市区町村の行政機関の職員を対象とした資格もあり、消防行政に関する事務のうち消防用設備などに関する事務について3年以上の実務経験があることが必要です。
消防設備士試験を独学で受験する際の難易度や合格率は?
消防設備士試験を独学で受験する場合、もっとも気になるのが難易度や合格率ではないでしょうか。
甲種・乙種それぞれの最新の合格率については、下記の表をご覧ください。
(引用元:一般財団法人 消防試験研究センター)
表からわかることは、甲種の合格率は全体で約25~40%、乙種は約30~60%。
甲種の合格率が半分にも達していない理由を見てみると、甲種には実技試験で「製図」という科目が課されており、これが甲種の試験の難易度を上げる要因になっているようです。
また、甲種を受験するためには先に述べた受験資格が必要であり、誰でも受験できる乙種に比べるとそもそものハードルが高いことから、難易度はやや高めといえるでしょう。
一方で、乙種の場合は受験する類によってバラつきはあるものの、直近2年では最大約6割の合格率が出ています。
甲種・乙種ともに合格率の割合だけで見ると独学での合格は難しく感じるかもしれませんが、この割合は決して手が届かない数字ではありません。
表の合格率に惑わされず、信念をもって消防設備士の勉強に取り組んでいきましょう。
消防設備士甲種4類の難易度と合格率
消防設備士試験でもっとも人気があるのは甲種・乙種4類と述べました。
このうち消防設備士甲種4類に絞って難易度と合格率について考えてみます。
先ほどの表を見てみると、甲種4類は火災報知設備関連の工事まで担当できることもあり、甲種の中でも受験者数が圧倒的に多いことがわかります。
甲種4類だけの合格率は直近2年で約40%となっているので、難易度は少し高めといえるでしょう。
しかしながら、消防設備士試験は暗記事項が多いので、ポイントさえしっかり押さえれば独学でも十分に合格を勝ち取れます。
消防設備士試験の独学での勉強時間はどのくらい必要?
では、消防設備士試験を独学で受験する場合の勉強時間がどのくらい必要なのでしょうか。
消防設備士試験は甲種と乙種とがありますから、どちらを受験するかによって勉強時間も自ずと変わってきます。
そこで本章では、
の2点について詳しく見ていきます。
消防設備士甲種を独学する場合の勉強時間
複数のサイトの情報を調査したところ、消防設備士甲種を独学で勉強する場合の一般的な勉強時間の目安は80~130時間程度必要ということがわかりました。
期間に換算するなら、1日1~2時間の勉強時間がとれるとして約2~4ヵ月間ほどですね。
もちろん、仕事やライフスタイル、学力によって勉強に費やせる時間は個人で異なるので、上述の数字はあくまで参考程度として考えておいてください。
注意すべきは、実技試験。
消防設備士甲種の実技試験には「鑑別」のほかに「製図」が課されており、この「製図」がかなりくせ者です。
「製図」はその名の通り設計図に配線を書き入れるなどして図面を完成させる内容であり、単なる暗記にとどまらない細かな勉強が必要です。
先ほど勉強時間について調査した際、「製図」の勉強に関しては1~2ヶ月程度の時間をかけたほうが良いとどのサイトでも述べられていました。
「製図」は1日2日勉強しただけで簡単に身に付くものではないですし、設計図の作成自体に馴染みがない方もいらっしゃいますから、最低でも1~2ヶ月は「製図」に時間をかけ、図面作成の感覚を染み付かせることが大切です。
感知器の種類や使用方法だけではなく建物の構造や配線など、様々な状況の製図に対応できる必要があるため、受験によくあるような一夜漬けや出たとこ勝負といった戦法で試験を乗り切ることはまず不可能。
筆記試験対策だけではなく「製図」の勉強にもきちんと時間をかけることが、甲種試験の必勝法ですね。
消防設備士乙種を独学する場合の勉強時間
一方で、消防設備士乙種を独学で受験する場合に要する勉強時間の目安についても複数のサイトを調査したところ、50~80時間程度の勉強時間が必要ということがわかりました。
1日1~2時間の勉強時間で約1~3ヶ月間といったところでしょう。
消防設備士乙種にも実技試験「鑑別」は課されますが、甲種試験ほど重要視されていません。
もちろん「鑑別」の勉強も必要ですが、これは写真やイラストで問われる感知器の名称や使用方法を記述するものなので、物と名前や用途がきちんと一致していれば、それほど不安に感じることはないかと思います。
乙種を受験する場合は、苦手な科目は徹底的に潰すというつもりで筆記試験対策に重点的に時間をかけるといいでしょう。
消防設備士試験の独学でのオススメ勉強方法はあるの?
消防設備士試験を独学で受験する場合、オススメの勉強方法はあるのでしょうか。
甲種と乙種それぞれに分けて勉強方法を解説していきます。
解説の前に、まずは消防設備士試験の科目や点数について簡単に説明しておきますね。
消防設備士試験は、甲種・乙種ともに筆記試験全体で60%以上の正解率が必要です。
しかし、注意しなければならないのは、筆記試験には「足切り点」が存在していること。
消防設備士の筆記試験には3つの科目があり、たとえ筆記試験全体で60%以上の正解率だったとしても、3つの科目それぞれで40%以上の正解率を取らなければ不合格になってしまいます。
「苦手な科目は落とせばいい」という受験にありがちな考え方は一切通用しないので、すべての科目をまんべんなく勉強することが大切といえるでしょう。
また、消防設備士試験は甲種・乙種ともに実技試験があり、甲種は「鑑別」と「製図」、乙種は「鑑別」のみ。
実技試験といっても直接的に設備に触ったり点検をしたりするわけではなく、写真やイラストを見ながら名称や使い方を記述するペーパーテスト形式です。
消防設備士甲種の独学での勉強方法
消防設備士甲種試験の独学での勉強方法は、なんといっても甲種独自の科目である「製図」を集中して勉強することが大切です。
「製図」は感知器の設置の可否や種類ごとの使用方法、建物の面積や高さ、耐火構造の有無など細かな点まで考慮して図示しなければならず、単なる暗記だけでどうにかなる試験ではありません。
当日落ち着いて試験に臨むためには、様々に提示される製図条件のどれに対しても慌てることなく対応できるよう、しっかり対策をしておかなければならないのです。
そのため、消防設備士甲種試験は「製図」対策にどれだけ時間をかけたかで合否が決まるといっても過言ではありません。
消防設備士甲種試験の受験者の多くが一番つまずくのが「製図」といわれますが、その理由としては製図そのものに馴染みがなく、どんな試験対策をとれば良いのかも分からないままに受験当日を迎えてしまったことが挙げられるでしょう。
「製図」はYouTubeにもたくさん動画が上がっているので、これを参考にしながら勉強するのがオススメ。
講義形式のものや、イラストや図を使った解説動画などがよく上がっています。
たとえば通勤中など、状況的に動画を観ることが難しい場合もあるかと思いますが、イヤホンから流れてくる講義音声を聴くだけでも知識を吸収できます。
多忙でなかなかまとまった勉強時間をとれない方にとっても、動画ならちょっとした空き時間を使って勉強できるのもメリットですね。
また、動画は何度でも視聴できるという利点もありますから、繰り返し視聴することで苦手な部分の克服につなげることもできます。
無料で観られるため、余計なコストがかからないのも嬉しいですね。
テキストを解くだけではなかなか知識が定着しない方や、ただテキストをこなすだけの勉強が苦手な方にとっても、動画ならより分かりやすく解説してくれるので、こういった方にも動画を使っての勉強はオススメ。
動画を視聴しつつ、手元のテキストを追いながらだとより効果的かもしれません。
もちろん、「足切り点」のことを考えるならば筆記試験対策も重要です。
筆記試験対策、「製図」どちらもおろそかにはできないとなると辛くなってしまいそうですが、勉強時間が4ヶ月とれるならば2ヶ月ずつ時間を使う、といったように無理なくペース配分をしながら勉強を進めていくと良いでしょう。
消防設備士乙種の独学での勉強方法
消防設備士乙種を独学で受験する場合の勉強方法については、ひたすらテキストを繰り返し解くことが重要になってきます。
消防設備士乙種の実技試験は「鑑別」のみであり、甲種ほど複雑な勉強を必要としないことがその理由。
実技試験「鑑別」については、現場で使用する機器の名称や使い方を記述させるものです。
どちらかというと暗記に近いかもしれません。
「鑑別」も、講義形式の動画や実際の出題形式に沿った解説動画がYouTubeにたくさんUPされています。
テキストだと機器のイラストや写真はモノクロのことが多いかと思いますが、動画ならカラーで紹介されているので、実際にその機器がどういったものなのかより具体的に把握できます。
テキストをこなすだけでは自信がない方は、ぜひ動画視聴も併用しながら勉強を進めていきましょう。
筆記試験対策については、やはり「足切り点」という壁が存在しているため、たとえ苦手な科目があったとしても3科目まんべんなく対策しておくことが、合格への一番の早道です。
何度もテキストを解き、出題形式に慣れておきましょう。
消防設備士試験の過去問対策はしたほうがいい?
消防設備士試験の過去問対策は、したほうがいいのでしょうか。
もちろん、可能であれば過去問対策はしたいところです。
しかし、残念ながら消防設備士試験の過去問については公表されていません。
公式サイトで問題の一部が閲覧できるのみにとどまっています。
とはいえ消防設備士試験対策のためのテキストはたくさん出ており、可能な限り本試験の内容に近付けるべく受験者からの情報をもとにつくられたものもあります。
実技試験の「製図」に特化したテキストもありますので、甲種受験を考えている方はぜひ購入しましょう。
科目免除制度は利用できる?
消防設備士試験には甲種・乙種ともに試験科目の一部が免除になる「科目免除制度」というものがあり、特定の資格を取得していれば利用できます。
科目免除制度を利用すべきかどうかは、個人の考え方によって差が大きいです。
制度を利用する際のメリットとデメリットを以下に記載しておきますので、検討の参考にしてくださいね。
科目免除制度を利用するメリット
まず、科目免除制度を利用するメリットから説明します。
勉強に費やす時間を削減できる
科目免除制度を利用する一番の利点は、なんといっても勉強に費やす時間を減らせること。
受験者の多くは社会人として職務に従事する合間をぬって勉強されている方ですから、科目免除制度を利用して少しでも時間を有効活用したい、という考えがあるようですね。
勉強範囲を減らすことで効率よく確実に知識を吸収できる
勉強する範囲が減るため、効率よく確実に知識を自分のものにできるのもメリットの1つですね。
消防設備士試験の筆記試験は3科目と一見少ないものの、暗記事項が多いので暗記が苦手な方にとってはなかなか勉強がはかどりにくいものです。
科目免除制度を利用して少しでも勉強範囲を狭められれば、暗記に対するプレッシャーも軽減されるのではないでしょうか。
また、甲種受験者にとっては実技試験の「製図」が難関ですから、筆記範囲が狭まった分「製図」の勉強時間に充てられるため、科目免除制度は利用しがいがあるといえるかもしれません。
科目免除制度を利用するデメリット
では次に、科目免除制度を利用するデメリットについて見ていきます。
免除される範囲の多くは基礎知識であり、得点源になる
科目免除制度を利用するデメリットとしては、免除される範囲の多くが基礎知識を問うものであり、得点源として稼げるという点が挙げられますね。
基礎知識であればそれほど時間をかけないで解答でき、かつ得点源にできるにもかかわらず、わざわざ免除するのはもったいないという考えがあります。
得意な範囲ばかりが免除されてしまうと精神的にも辛くなりがちですし、その意味では科目免除制度の利用はデメリットといえるかもしれません。
部分的に免除されても科目ごとに40%以上の正解率が必要なのは変わらないため、結果的に負担が増す
科目免除制度を利用するもう1つのデメリットとしては、「足切り点」の存在によって結果的に負担が増す可能性があること。
「足切り点」とは、筆記試験の3科目それぞれで40%以上、筆記試験全体で60%以上得点しなければ合格にはならないという消防設備士試験における点数ルールです。
つまり、制度を利用して免除された科目があっても、「足切り点」の存在によってほかの科目の配点が上がってしまうことに・・・。
結果、受験者にとって負担になるというデメリットから、科目免除制度の利用をためらう人もいるようです。
消防設備士の独学での試験対策に合ったテキストとは?
消防設備士の独学での試験対策に合ったテキストにはどのようなものがあるのでしょうか。
消防設備士試験対策としてもっとも適したものは、「工藤本」と呼ばれるテキストです。
「工藤本」は消防設備士の主に4類、6類、7類に特化したテキストであり、消防設備士試験の受験者にとってはバイブル的存在。
「工藤本」と呼ばれる通り著者は工藤政孝という人物で、自身も消防設備士をはじめとした多数の資格を取得しており、わかりやすい教材の開発、資格指導にあたっている方です。
その言葉通り、消防設備士を初めて受験する方にとっても非常にわかりやすい内容になっており、手元に一冊は持っておいても損はありません。
(引用元:Amazon.co.jp) |
第4類に特化したテキスト。
消防設備士試験を初めて受験する方でも対応できるよう、解説が豊富なのが特徴。 重要ポイントを語呂合わせにするなど、暗記が苦手な人でも覚えやすい工夫がされています。 また、実技試験についても網羅されており、可能な限りの多種多様な問題を取りそろえていることも大きな魅力。 巻末には模擬試験もあるため、ぜひ本番さながらの腕試しをしてみましょう。 3,080円(税込) |
(引用元:Amazon.co.jp) |
第6類に特化したテキスト。
最近数年間の本試験の動向をもとに、何度も繰り返し出題されているような重要問題をピックアップして編集しています。 暗記事項を語呂合わせにするなど、ユニークな方法で受験者の勉強を助けてくれる一冊。 巻末には模擬試験も収録されています。 2,420円(税込) |
(引用元:Amazon.co.jp) |
実技試験の「鑑別」を重点的に学びたい方のためにつくられたテキスト。
受験者から寄せられた本試験の情報をもとに、できる限り本試験で出題された内容を尊重しようとの想いで作成されました。 「鑑別」で点を取りたい人向けのテキストです。 2,200円(税込) |
(引用元:Amazon.co.jp) |
こちらは実技試験の「製図」を重点的に学びたい方のためにつくられたテキスト。
甲種受験を考えている方はぜひとも購入したいところです。 1,980円(税込) |
消防設備士試験の概要
消防設備士試験の概要は、以下の通りです。
消防設備士試験の日程
消防設備士試験は毎月実施されており、実施される都道府県によって日程が異なります。
東京都の場合は受験する種類によって細かく日程が分れているので、試験日がいつなのか間違えないように注意しましょう。
試験時間は、甲種特類が2時間45分、特類以外の甲種が3時間15分、乙種が1時間45分です。
参考までに、2022年10月から2023年3月までの東京の試験日程を載せておきますね。
(引用元:一般財団法人 消防試験研究センター)
消防設備士試験の範囲
消防設備士の試験範囲は、下記の表の通り。
(引用元:一般財団法人 消防試験研究センター)
試験について、もう少し詳しくまとめてみました(消防設備士甲種特類は除く)。
試験科目 | 甲種出題数 | 乙種出題数 | ||
筆記 | 消防関係法令 | 法令共通 | 8 | 6 |
法令種別 | 7 | 4 | ||
基礎的知識 | 電気に関する部分 | 10 | 5 | |
構造・機能・工事・整備 | 電気に関する部分 | 12 | 9 | |
規格に関する部分 | 8 | 6 | ||
実技 | 鑑別 | 5 | 5 | |
製図(甲種のみ) | 2 | なし |
筆記試験は甲種・乙種ともにすべてマークシート、実技は記述式となっています。
消防設備士の独学での受験対策によくある質問
本章では、消防設備士の独学での受験対策について、よくある質問をまとめてみました。
消防設備士試験の受験に際し、独学の場合は1人で机に向かう時間がどうしても多くなります。
周囲になかなか相談できる人もいないとなると、だんだん不安になってきてしまいますよね。
そんな不安を少しでも解消するためのお役に立てれば幸いです。
・消防設備士試験の独学での合格は難しい?
・消防設備士甲種と消防設備士乙種どちらを選べば良いの?
・消防設備士甲種4類の試験に受験資格はあるの?
・消防設備士甲種4類の過去問は入手できる?オススメの勉強方法は?
・消防設備士乙種4類の試験はどんな内容?
・電気工事士の資格があれば消防設備士の試験が免除される?
・消防設備士乙種6類の科目免除ってどういうこと?
消防設備士試験の独学での合格は難しい?
結論からいって、独学での合格は不可能ではありません。
直近2年間の消防設備士試験の合格率を見てみると、甲種が全体で約25~40%、乙種が全体で約30~60%。
数字だけ見ると難易度は高めなように感じるかもしれませんが、消防設備士試験は暗記事項が多いので、テキストを繰り返し解くなどきちんと勉強を重ねれば、独学でも十分に合格は可能です。
実技については、「鑑別」「製図」ともにYouTubeなどで動画による解説もたくさん紹介されています。
受験者の多くは社会人としての忙しい勤務の合間をぬって勉強されている方ですから、こうした動画サイトは独学で勉強を進めていく上でも役に立ってくれるのではないでしょうか。
甲種には実技試験として「製図」も課されるため、甲種を受験される予定の方は「製図」に特化したテキストを買うのもオススメです。
合格に向けては地道な努力が必要であることは言うまでもありませんが、あまり構えすぎずに自分なりにペース配分を決めながら進めていきましょう。
独学が不安な方は通信講座の受講も視野に入れるといいでしょう。
消防設備士甲種と消防設備士乙種どちらを選べば良いの?
消防設備士甲種と乙種のうちどちらを選べば良いかは、自分が担当したい業務範囲をもとに決めるのがオススメ。
甲種が対応できる業務範囲は整備・点検・工事、乙種の場合は整備・点検のみ可能です。
人気のある甲種・乙種4類に絞っていうならば、4類では火災報知設備を取り扱っており、甲種は火災報知設備の整備・点検と実際に設置したり交換したりする工事が可能であることに対し、乙種は火災報知設備の整備・点検のみ行えます。
防火の観点から、火災報知設備の整備・点検ができるだけでも大きな需要がありますから、それに加えて工事ができる資格も取得したいのかどうかを考えて選択すると良いでしょう。
消防設備士甲種4類の試験に受験資格はあるの?
消防設備士甲種4類の試験には、下記3つのうちいずれかの受験資格が問われます。
いずれかに該当する場合は証明書が必要になりますので、忘れないように準備をしておいてください。
乙種については特に定められた受験資格はないため、どなたでも受験可能です。
消防設備士甲種4類の過去問は入手できる?オススメの勉強方法は?
消防設備士甲種4類の過去問は残念ながら入手することはできず、公式サイトで過去問の一部を閲覧できるのみになっています。
過去問が手に入らないと、どんなふうに試験対策をすればいいのかと途方に暮れてしまいますよね。
そんな不安は、「工藤本」で解決できます。
「工藤本」は過去問の動向をもとにつくられたテキストで、消防設備士試験の受験者にとってはバイブルともいえる存在。
やはりテキストを繰り返し解いて問題形式に慣れることが、合格への一番の早道といえるでしょう。
また、実技試験「鑑別」「製図」については、YouTubeにもたくさん動画が上がっています。
こうした動画サイトもフルに活用しながら勉強を進めていくのがオススメですね。
消防設備士乙種4類の試験はどんな内容?
消防設備士乙種4類の試験内容については、下記の表をご参照ください。
(引用元:一般財団法人 消防試験研究センター)
消防設備士乙種4類の筆記試験は「消防関係法令」「基礎的知識」「構造・機能・整備」の3科目、実技試験は「鑑別」のみ。
筆記試験の内容をさらに細かく見てみると、
「消防関係法令」:「法令共通」6問、「法令種別」4問
「基礎的知識」:「電気に関する部分」5問
「構造・機能・整備」:「電気に関する部分」9問、「規格に関する部分」6問
となっています。
実技試験「鑑別」は実際にはペーパーテストであり、写真やイラストを見ながら名称や使用方法を記述させるという形式で、5問出題されます。
電気工事士の資格があれば消防設備士の試験が免除される?
消防設備士試験の受験に際し、電気工事士の資格を有していると試験科目の一部が免除される科目免除制度があります。
科目免除制度を利用すると、筆記試験の中の「基礎的知識」および「構造・機能・工事・整備」のそれぞれについて「電気に関する部分」が免除されます。
また、実技試験では甲種・乙種4類の受験の場合は「鑑別」の問1が免除、乙種7類を受験する場合は全問免除されます。
科目免除制度を利用する利点は、勉強時間や勉強範囲を短縮できるという点。
少ない範囲を効率よく勉強できるという点では、利用しがいがあるといえるでしょう。
しかし、消防設備士の筆記試験には「足切り点」が存在します。
免除された以外の科目の配点が上がることで、かえって受験者にとって不利になる可能性があることも覚えておいてください。
※電気工事士試験に合格しても、免状を所持していない場合や認定電気工事従事者は科目免除を受けられませんのでご注意ください。
消防設備士乙種6類の科目免除ってどういうこと?
消防設備士乙種6類試験を受験するにあたり、以下の資格取得者については科目免除制度が受けられます。
・消防設備士甲種5類、乙種5類
・消防設備士甲種1~4類、乙種1~4類と7類
・電気工事士
・電気工事主任技術者
・技術士
・日本消防検定協会又は指定検定機関の職員で、型式認証の試験の実施業務に2年以上従事した者
・消防団員(5年以上かつ専科教育の機関科修了)
科目免除制度を利用するには該当する証明書が必要ですので、お手元にご準備をお忘れなく。
【まとめ】消防設備士は独学で合格できるのか?
消防設備士試験は独学で合格できるのかについて書いてきましたが、いかがでしたでしょうか。
消防設備士試験は独学の勉強でも十分に合格できます。
そもそも消防設備士にはたくさんの種類があり、その中からどれを選択すべきか考えるだけでも大変な作業ですよね。
火災報知設備を扱う消防設備士甲種・乙種4類、消火器を扱う消防設備士乙種6類は住宅やビルが存在する限り需要の高い資格であり、防災の観点からも非常に役立つ資格です。
選択に迷ったら、まずはこのどちらかから受験すると良いでしょう。
消防設備士試験の合格に必要とされている時間は甲種が80~130時間、乙種が50~80時間。
また、消防設備士試験の合格率は甲種で約25~40%、乙種が約30~60%で、一見すると難しそうな印象があります。
職種、ライフスタイル、学力など個人差はあるものの、消防設備士の試験は暗記事項が多いため、ポイントさえ押さえれば独学で合格を勝ち取ることも不可能ではありません。
消防設備士試験受験者にとってのバイブルである「工藤本」を購入すれば、重要なポイントを語呂合わせで覚えられるなど暗記が苦手な人にとってもモチベーションが維持しやすい内容になっています。
実技試験についてはYouTubeでたくさん動画も紹介されていますから、動画サイトもどんどん活用しましょう。
消防設備士試験の独学での合格の秘訣は、「テキストを繰り返す」「動画サイトを活用する」の2点です。
ぜひ、試してみてくださいね。
消防設備士の通信講座の情報はこちらの記事をご覧ください。
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