弁理士試験の難易度は?ランキングで他の資格との比較や勉強時間も解説!

「弁理士試験の難易度はどのくらいなんだろうか?」

「文系でも合格を目指せるの?」

弁理士試験について調べていくと、上記のような疑問が湧いてくるかもしれません。

弁理士になるには、弁理士試験に合格する必要がありますが、試験の難易度は非常に高く、合格は難しいです。

そこで今回は、弁理士試験の難易度を他の難関国家資格等と比較しながら分析し、弁理士の実際の難易度や合格するためのポイント、勉強法などについて解説していきます。

弁理士を目指している方、これから受験を検討している方の参考となる情報を記載していますので、参考にしてみてください。

また、弁理士試験の対策には通信講座や予備校を活用した方法もおすすめです。

弁理士 通信は以下の記事にてまとめていますので、あわせてぜひご覧ください。

弁理士の弁理士の通信講座や予備校のおすすめランキングの詳細はこちら

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そもそも弁理士ってどんな資格?

まずはじめに、「弁理士とはどんな資格なのか?」ということを解説していきます。

弁理士は知的財産に関する専門家です。

知的財産の創出や、知的財産権の取得、活用のサポートなど、人間の知的活動によって生み出された大切な「知的財産」を取り扱います。

弁理士の年収はおよそ700〜750万円といわれており、一般的な正社員の平均年収はおよそ430万円であるため、高い収入を得られる仕事がしたい方にはおすすめの仕事です。

収入の高さやAIによる仕事の代替性の低さから、毎年3,000人を超える人が受験する等高い人気を誇ります。

そんな弁理士試験の難易度は「理系最高峰」といわれるほどに難しく、弁護士になるハードルは高いです。

そんな弁理士の概要について、詳しく見ていきましょう。

弁理士の資格の概要

日本弁理士会の公式HPでは、弁理士について以下のように記載されています。

弁理士の役割
弁理士は、知的財産の創出や、知的財産権の取得、活用をサポートする専門家です。

(引用元:日本弁理士会公式HP)

弁理士は、知的財産に関する専門家です。

人間の知的活動によって生み出された創作物やアイデアのなかには、財産的な価値を持つものがあり、「知的財産」といいます。

知的財産は、法律で規定された権利や法律上保護される利益に係る権利となり、「知的財産権」と呼ばれています。

弁理士の役割は、知的財産の創出や、知的財産権の取得、活用をサポートすることです。

弁理士の年収

弁理士の平均年収はどのくらい?

弁理士の平均年収は、およそ700〜750万円だといわれています。

一般的な正社員の平均年収はおよそ430万円であるため、弁理士の年収は一般的な正社員よりはるかに高いことが分かります。

(引用元:資格の学校TAC公式HP)

資格の学校TACの調査によると、弁理士の平均年収は、およそ700〜750万円ということが分かりました。

一般的な正社員の平均年収はおよそ430万円といわれており、弁理士の年収の水準は平均よりも大幅に高いです。

そのため、「収入の高い仕事に就きたい」と考えている人にとってはおすすめの仕事だといえます。

一方で注意しなければならないのが、弁理士になったからといって誰でも高水準の年収を稼げるわけではないということです。

弁理士の年収は、企業に在籍するか特許事務所で働くのか、在籍する特許事務所の規模やそのなかでの立場など、環境的な要因で大きく変動します。

だからこそ高い収入を得るためには、合格後の昇進やスキルアップなどの努力や工夫が必要です。

弁理士の資格の需要・人気な理由

弁理士の試験は毎年3,000人以上の方が受験しており、人気の高い資格です。

一方で、弁理士の資格の難易度は「理系最高峰」ともいわれており、合格するためには多くの勉強時間が必要です。

それなのに、なぜこんなにも弁理士の資格が人気なのでしょうか?

弁理士の資格の人気について、以下のような理由が挙げられます。

  • 高収入が期待できる
  • 昇進によって更なる収入増加が期待できる
  • AIによる仕事の代替性が低く、長期的な活躍が見込める

先述の通り、弁理士の平均年収はおよそ700〜750万円です

一般的な正社員の平均年収はおよそ430万円といわれており、弁理士は平均よりも高い収入が期待できます。

収入を多く得たい方にとっては、非常に魅力的なポイントです。

また、高水準な収入は、昇進などのキャリアアップを通して更なる増加が見込めます。

弁理士に多い働き先として特許事務所がありますが、事務所のトップや共同経営者であるパートナーの地位になると、年収は数千万円~数億円にまでのぼります。

一般的な正社員の平均年収の何倍もの年収を得られる可能性があることが、弁理士の人気の大きな要因です。

また、弁理士の仕事はAIによる代替性が低いことから、将来性のある仕事です。

昨今、AI技術が登場し、AIに取って代わられると予想されている職業もあるのが実情です。

もっとも、弁理士はAIに代替されないといえます。

(引用元:アガルートアカデミー公式HP)

アガルートアカデミーの公式HPでは、弁理士の行う仕事はAIによる代替が難しく、将来性のある仕事だと書かれています。

弁理士業務は商標出願業務や明細書作成業務というものが主流です。

確かに、前者の商標出願業務は他の会社の商品名やフォント、ロゴなどの検索・調査が主な対象のため、AIが得意とする分野です。

一方、後者の明細書作成業務は様々な作成知識や文章力を駆使してこなす必要があり、AIによって代替することは不可能であるといえます。

(引用元:アガルートアカデミー公式HP)

AIによる仕事の代替性が低い理由として、弁理士の行う業務のうち「明細書作成業務」については様々な作成知識や文章力が求められるため、AIが行うのは難しいことが挙げられています。

AIによる仕事の代替が今後さらに進んでいくと、AIに職を奪われるような事態になることも想定できますが、弁理士の仕事はAIによる仕事の代替性が低く将来の安定性が見込めます。

今後長期にわたって活躍が見込めることが、弁理士の人気の大きな要因です。

どうしたら弁理士になれるの?

弁理士の資格の人気が高いということをお話ししてきましたが、ここからは弁理士になる方法について解説していきます。

弁理士になるには

弁理士になるためには、毎年1回行われる弁理士試験に合格し、弁理士登録をする必要があります。
受験資格に制限はありません。

(引用元:日本弁理士会公式HP)

日本弁理士会公式HPでは、弁理士になる方法として、弁理士試験に合格し弁理士登録をすることが必要であると記載されています。

  1. 弁理士試験に合格する
  2. 実務研修
  3. 弁護士登録

弁理士試験に合格したら、経済産業大臣から指定を受けた機関で実務研修を修了することで、弁理士登録をする権利が得られます。

一見シンプルで簡単なように思えますが、弁理士試験の難易度は「理系最高峰」といわれるほど難しく、弁理士になるハードルは極めて高いです。

弁理士試験の難易度についての詳細は、この後の項目で詳しく解説していきます。

弁理士の難易度は理系最高峰?

最終合格率が6.1%ということは、100人受けて約6人合格ということ。弁理士試験は理系最高峰資格の一角であると言われるのも納得の難しさです。

(引用元:アガルートアカデミー公式HP)

アガルートアカデミー公式HPによると、弁理士試験は「理系最高峰資格の一角」といわれていることがわかりました。

実際に直近の弁理士試験の難易度を見てみると、3,000人を超える受験者のなかから合格者数は200人に満たない数字で、最終の合格率は僅か6.1%しかありません。

過去5年間の合格率をみても6%~10%の間で推移しており、例年非常に低い合格率です。

また、例年の弁理士試験の合格者の内訳をみてみると、合格者の約8割が理工系出身でした。

上記のことから、弁理士試験の難易度は「理系最高峰」と表現されています。

直近の弁理士試験の合格率(2021年度・2022年度・2023年度)

実施年 受験者数 合格者数 最終合格率
2021年度(令和3年度) 3,248人 199人 6.1%
2022年度(令和4年度) 3,177人 193人 6.1%
2023年度(令和5年度) 3,065人 188人 6.1%

(引用元:特許庁公式HP)

直近3年の弁理士試験のデータをまとめてみました。

受験者数3,000人を超えるなか、合格者は200人未満、最終合格率はともに6%台と極めて低い数字です。

実施年 理工系 法文系 その他
令和4年 76.7% 15.0% 8.3%
令和3年 76.4% 18.6% 5.0%

(引用元:スタディング公式HP)

また、スタディングの調査によると、直近2年間の弁理士試験の合格者のうち、8割近くが理工系出身者であることが分かりました。

法文系の出身者は2割未満で、理工系出身者に圧倒的に有利な試験であるといえます。

各試験別に見る弁理士の合格率の推移

弁理士試験の最終合格率は過去5年間で6~10%の間で推移しています。

令和2年まで最終合格率は上昇傾向にあったのですが、翌年の令和3年の試験からは再び大きく落ち込んでいます。

また、試験別の合格率の推移をみていくと、一次試験である短答式試験の段階で合格率は8%~20%と非常に低い数字でした。

そして一次試験に合格したとしても、二次試験の論文式試験の合格率も23%~26%と低い数字です。

最初の関門である短答式試験から非常に高いハードルであり、それを乗り越えたとしても決して油断できません。

一方で、最終の口述試験の合格率は90~99%と比較的高く、論文試験を突破できれば最終合格が現実的になってきます。

最終合格率

実施年 志願者数 最終合格者数 合格率
令和5年 3,417人 188人 6.1%
令和4年 3,558人 193人 6.1%
令和3年 3,859人 199人 6.1%
令和2年 3,401人 287人 9.7%
令和元年 3,862人 284人 8.1%
平成30年 3,977人 260人 7.2%
平成29年 4,352人 255人 6.5%

(引用元:スタディング公式HP)

スタディング公式HPによると、弁理士試験の最終合格率は直近6年間において6%~10%で推移しています。

また、平成29年から令和2年までの間で毎年約1%ずつ上がっていましたが、直近の令和3年、令和4年では再び合格率が落ち込んでいます。

短答式試験の合格率

実施年 受験者数 合格者数 合格率
令和5年 2714人 337人 12.4%
令和4年 2,754人 284人 10.3%
令和3年 2,686人 304人 11.3%
令和2年 2,259人 411人 18.2%
令和元年 2,895人 531人 18.3%
平成30年 3,078人 620人 20.1%
平成29年 3,213人 287人 8.9%

(引用元:スタディング公式HP)

短答式試験はマークシート方式を採用しており、受験者にとって最初の難関です。

合格率をみてみると、この6年で10%~20%で推移しており、直近の令和4年では10.3%と例年と比較して低い数字です。

弁理士試験は最初のハードルから非常に高いということが分かります。

論文式筆記試験の合格率

実施年 受験者数(必須) 受験者数(選択) 合格者数 合格率
令和5年 621人 132人 179人 28.0%
令和4年 655人 144人 179人 26.3%
令和3年 805人 180人 211人 25.1%
令和2年 1,039人 231人 265人 25.0%
令和元年 1,070人 224人 279人 25.5%
平成30年 1,070人 213人 261人 23.9%
平成29年 917人 194人 229人 24.2%

(引用元:スタディング公式HP)

論文式筆記試験の合格率は直近6年間において23%~26%の間で推移しています。

ここまでの流れをみていると比較的高く思えるかもしれませんが、忘れてはいけないのが、23%~26%という数字はあくまで短答試験に合格した人のなかでの割合だということです。

短答式試験に合格したからといって、決して油断できないことが再確認できます。

口述式試験の合格率

実施年 受験者数 合格者数
合格率
令和5年 194人 188人 94.3%
令和4年 194人 193人 96.4%
令和3年 215人 199人 90.2%
令和2年 282人 287人 98.6%
令和元年 295人 284人 95.6%
平成30年 268人 260人 94.0%
平成29年 254人 255人 98.4%

(引用元:スタディング公式HP)

直近6年間の口述試験の合格率は90%~99%で推移しています。

弁理士試験のなかでも、口述試験の合格率は極めて高い数字です。

また、試験日程をみてみると、短答式試験は5月中旬~下旬に開催され、論文式筆記試験は6月下旬~7月上旬、最終の口述試験の日程は10月中旬~下旬の開催です。

短答試験から論文筆記試験までの間は1ヶ月前後なのに対し、論文筆記試験から口述試験までは3ヶ月前後の期間が設けられています。

つまり3ヶ月間は口述試験の対策に専念できるため、期間の長さが試験の合格率に影響する一つの要因だと考えられます。

偏差値でみる弁理士試験の難易度

ここまでは、弁理士試験の試験科目別に合格率をみていき、弁理士試験の難易度の高さについて解説してきました。

弁理士試験は、偏差値でみるとどのくらいの難易度なのでしょうか?

資格名 偏差値
弁護士 77
司法書士 76
弁理士 75
税理士 75
社労士 65
海事代理士 65
土地家屋調査士 64
宅建士 57

(引用元:アガルートアカデミー公式HP)

アガルートアカデミー公式HPの記載によると、弁理士試験の偏差値は75とされており、弁護士や司法書士に次いで3番目に高い数字です。

資格名 合格率 合格までに必要な勉強時間
税理士 12~15% 2,000~2,500時間

(引用元:アガルートアカデミー公式HP)

アガルートアカデミー公式の調査によると、税理士の合格率は12~15%とされており、合格するために必要な勉強時間は2,000~2,500時間で非常に難易度の高い資格です。

難関国家資格として知られる税理士と同じくらいの偏差値であることからも、難易度の高さがうかがえます。

弁理士試験の受験者数は減少傾向にある?

ここまで弁理士試験の合格率に着目してきましたが、受験者数をみてみると、弁理士試験を受験する方の数は減少傾向にあることが分かります。

実施年 志願者数 最終合格者数 合格率
令和5年 3,417人 188人 6.1%
令和4年 3,558人 193人 6.1%
令和3年 3,859人 199人 6.1%
令和2年 3,401人 287人 9.7%
令和元年 3,862人 284人 8.1%
平成30年 3,977人 260人 7.2%
平成29年 4,352人 255人 6.5%

(引用元:スタディング公式HP)

直近6年間の志願者数をみていくと、令和2年まで年々減少していたのが令和3年で盛り返したようにも見えますが、それでも以前より少ない数字です。

志願者数の減少はいくつかの複合的な要因があるのではないか。
例えば、以下の①~③(いずれも弁理士等のヒアリングに基づく)。
①2013年まで合格者数が多かったため、受験回数を重ねていた志願者がひととおり合格した(志願者数は下げ止まる)。
②国内出願減及び弁理士数増加等による競争激化により待遇面での魅力低減。
③企業知財部志向の強まり。

(引用元:平成31年3月19日特許庁より発表 「弁理士制度に関する最近の課題について」より引用)

少し古いデータですが、平成31年より出された特許庁の分析では、弁理士試験の志願者数の減少を上記のように捉えていました。

受験回数を重ねていた人たちがひととおり合格しきったことや、弁理士の数が増えたことで競争が激しくなった点などを背景として分析しています。

一方、適正な志願者数(及び合格者数)については議論の余地があるが、志願者数がこのまま減少を続けていくとすると、人材の質や多様性を確保できなくなるおそれがあるのではないか。
この対応のためには、弁理士の魅力をより発信していくことが重要ではないか。
また、志願者数が下げ止まる、または、極端には下がらないとしても、人材の質や多様性を確保するためには、更なる魅力発信が必要ではないか。

(引用元:平成31年3月19日特許庁より発表 「弁理士制度に関する最近の課題について」より引用)

また、同文章では志願者数減少の対策として弁理士の魅力をより発信していき認知度を高めることで、人材の質や多様性を確保する必要があると記述されていました。

志願者数の推移を見てみると、令和3年では減少し続けていた志願者数が一転増加に転じています。

タイミングを考えると、特許庁の弁理士の認知度を高める活動の結果とも推測はできますが、直接的な因果関係は証明されていません。

今後の弁理士試験の統計データでは、弁理士の志願者数にも着目していく必要がありそうです。

他の資格と比較した弁理士の難易度・ランキング

ここからは、他の資格と比較することで相対的に弁理士の難易度を分析していきましょう。

弁理士試験と関連度の高い8士業の合格率と受験資格を表にまとめました。

順位 資格名 合格率(例年) 受験資格
1 司法書士 3~4% なし
2 社会保険労務士 4~6% あり
3 弁理士 6~10% なし
4 土地家屋調査士 7~9% なし
5 行政書士 8~15% なし
6 税理士 12~15% あり
7 弁護士 22~39% あり
8 海事代理士 48%~54% なし

(引用元:アガルートアカデミー公式HP)

アガルートアカデミーの調査によると、ほかの8士業の資格と比較しても、弁理士の合格率は上から3番目とされており、相対的に見ても高い難易度です。

上に挙げた8士業それぞれの資格と比較した弁理士の難易度について、さらに詳しくみていきましょう。

上記の難関資格は独学よりも、通信講座などで学習するのが良いでしょう。

おすすめの資格やおすすめの通信講座は以下の記事をご覧ください。

資格 おすすめはこちら

通信講座 おすすめはこちら

弁理士と司法書士の難易度の比較

(引用元:法務省公式HP)

資格名 合格率 合格までに必要な勉強時間 受験資格
弁理士 6~10% 3,000時間 なし
司法書士 3~4% 3,000時間 なし

(引用元:アガルートアカデミー公式HP)

司法書士は登記申請を独占業務とした専門家です。

登記申請書類や、裁判所に申請する書類の作成などを中心に業務を行っています。

アガルート公式の調査によると、司法書士の合格率は3~4%とされており、弁理士の6~10%よりも低く、8士業のなかでもトップクラスの難易度です。

また、司法書士に合格するために必要な勉強時間は弁理士と同じく約3,000時間です。

いずれも特別な受験資格は設定されていません。

弁理士と社会保険労務士の難易度の比較

(引用元:社会保険労務士試験公式HP)

資格名 合格率 合格までに必要な勉強時間 受験資格
弁理士 6~10% 3,000時間 なし
社会保険労務士 4~6% 800時間 あり

(引用元:アガルートアカデミー公式HP)

社会保険労務士は労務関係の専門家として活躍し、社会保険や労働保険の手続き代行が独占業務です。

そのほか年金相談など個人向けの相談も主な業務とされています。

アガルートアカデミーによると、労務士の合格率は4~6%とされており、弁理士の合格率を下回っています。

一方で、労務士の試験に合格するために必要な勉強時間の目安は800時間ほどといわれており、弁理士よりも必要な勉強時間は少ないです。

また、社会保険労務士は学歴要件や実務要件、国家試験合格の経歴があるかなどを受験するための要件として設定しています。

弁理士と土地家屋調査士の難易度の比較

(引用元:法務省公式HP)

資格名 合格率 合格までに必要な勉強時間 受験資格
弁理士 6~10% 3,000時間 なし
土地家屋調査士 7~9% 1,000時間 なし

(引用元:アガルートアカデミー公式HP)

土地家屋調査士は不動産登記にかかわる土地の調査や測量などが主な業務の士業です。

土地家屋調査士の合格率は7~9%と、弁理士の試験の合格率とほぼ同じくらいです。

また、土地家屋調査士の試験に合格するために必要な勉強時間は1,000時間程度といわれており、弁理士の3分の1程度の勉強時間で済みます。

上記のことから、土地家屋調査士は弁理士よりも短い勉強時間で合格が可能な資格だといえます。

弁理士と行政書士の難易度の比較

(引用元:行政書士試験研究所公式HP)

資格名 合格率 合格までに必要な勉強時間 受験資格
弁理士 6~10% 3,000時間 なし
行政書士 8~15% 600時間 なし

(引用元:アガルートアカデミー公式HP)

行政書士は官公署に提出する許認可等の申請書類の作成や提出代理等を主な業務とした士業です。

行政書士試験の合格率は8~15%で推移しており、弁理士試験の合格率と比較すると行政書士の方が僅かに高い合格率です。

また、行政書士試験を合格するのに必要な勉強時間はおよそ600時間されており、弁理士の3分の1以下の勉強時間で合格を目指せます。

とはいえ、相対的にみても合格率は決して高い数字ではないため、油断は禁物です。

弁理士と税理士の難易度の比較

(引用元:国税庁公式HP)

資格名 合格率 合格までに必要な勉強時間 受験資格
弁理士 6~10% 3,000時間 なし
税理士 12~15% 2,000~2,500時間 あり

(引用元:アガルートアカデミー公式HP)

税理士は税務相談や税務代理などを主な業務とした、税務分野のスペシャリストです。

アガルートアカデミー公式の調査によると、税理士の合格率は12~15%とされており、弁理士の方が合格率は低いですが、それほど大きな差はないことが分かります。

また、税理士の試験に合格するために必要な勉強時間は2,000~2,500時間といわれており、弁理士と同じくらいか、少し下回るくらいです。

しかし一方で、税理士の試験には弁理士とは違い受験資格が存在します。

税理士の試験を受けるためには日商簿記1級などに合格していなければなりません。

受験資格があるため受験のハードルは高いといえますが、必要な勉強時間は比較的少なく弁理士の資格と同程度の難易度と考えられます。

弁理士と弁護士の難易度の比較

(引用元:法務省公式HP)

資格名 合格率 合格までに必要な勉強時間 受験資格
弁理士 6~10% 3,000時間 なし
弁護士 22~39% 3,000~8,000時間 あり

(引用元:アガルートアカデミー公式HP)

弁護士は法律関係全般を扱うスペシャリストとして、認知度や知名度も高い士業です。

アガルートアカデミー公式の調査によると。弁護士の試験の合格率は22~39%とされており、比較的高い合格率です。

しかし注意しなければならないのが、弁護士試験を受験するためには、法科大学院を修了しているか、司法試験予備試験に合格している必要があります。

司法書士予備試験の合格率は3%と極めて低い数字で、必要な勉強時間も3,000~8,000時と膨大な時間が必要です。

上記のことより、弁理士よりも弁護士の方が取得難易度は高いといえますね。

弁理士と海事代理士の難易度の比較

(引用元:国土交通省公式HP)

資格名 合格率 合格までに必要な勉強時間 受験資格
弁理士 6~10% 3,000時間 なし
海事代理士 48%~54% 500時間 なし

海事代理士は船舶や船員など、海事に関わる分野の業務を専門としています。

海事代理士の合格率は48%~54%と、弁理士と比較してもはるかに高い合格率です。

受験資格も特に必要なものは存在せず、必要な勉強時間も500時間といわれており、弁理士と比較して取得難易度は低い数字です。

弁理士試験の合格率が低い理由

ここまでは弁理士試験の合格率の各種データを分析し、弁理士試験の難易度の高さを確認してきました。

相対的にみても、弁理士試験の合格率は8士業のなかでみても上から3番目に低い数字です。

では、なぜこれほどまでに弁理士試験の合格率は低いのでしょうか?

理由として、以下の3つの要因が考えられます。

弁理士試験の合格率が低い理由
  • 合格までに必要な勉強時間が多く、確保が難しい
  • 試験範囲が非常に広い
  • 選択形式と論文形式の試験があり、それぞれの対策が必要

弁理士の試験に合格するために必要な勉強時間は約3,000時間です。

例えば1年間の勉強機関で弁理士試験に合格しようと思うと、毎日8時間の勉強時間の確保が必要です。

非常に膨大な数字であるため、しっかりと長い準備期間を設けることが必要不可欠といえるでしょう。

合格するために長い勉強時間が必要な要因として、試験範囲が非常に広いことが挙げられます。

弁理士試験は短答式試験・論文式試験・口述試験の3つの試験に合格することが必要です。

それぞれの試験の科目数をみてみると、短答式試験で7科目、論文試験で4科目、口述試験で4科目を網羅しなければなりません。

また、選択形式と論文形式の試験はそれぞれ必要な対策が異なります。

合格までに必要な勉強時間が多く、確保が難しい

弁理士試験の難易度が高い要因として、合格までに必要な勉強時間が膨大であることが挙げられます。

資格名 勉強時間の目安
弁護士 3,000~8,000時間
司法書士 3,000時間
弁理士 3,000時間
税理士 2,000~2,500時間
社労士 800時間
海事代理士 500時間
土地家屋調査士 1,000時間
宅建士 300~400時間

(引用元:アガルートアカデミー公式HP)

アガルートアカデミーの調査によると、弁理士試験に合格するために必要な勉強時間は3,000時間だということが分かりました。

3,000時間という数字は、他の士業と比較しても上から3番目に多い位置づけです。

3,000時間と聞いてもピンとこないかもしれませんが、例えば1年の期間で成し遂げようと思うと毎日8時間以上の勉強時間が必要です。

1年半の期間で想定しても1日約5時間勉強する必要があります。

弁理士を取得した方の約8割が働きながら合格したというデータもあるため、非常に長い勉強期間を経て弁理士試験に挑んでいる方が多いことが推測できます。

試験範囲が非常に広い

弁理士試験は試験範囲が非常に広く、そのことが合格率の低さに影響していると考えられます。

試験内容 試験科目
短答式試験 特許法・実用新案法、意匠法、商標法、条約、著作権法、不正競争防止法
論文式試験 特許法・実用新案法・意匠法、商標法
口述試験 特許法・実用新案法、意匠法、商標法

(引用元:特許庁公式HP)

弁理士試験の試験内容は短答式試験・論文式試験・口述試験の3つから構成されており、最終合格にはすべての試験で合格することが必要です。

試験科目をみてみると、短答式試験で7科目、論文試験で4科目、口述試験で4科目から構成されており、すべての科目を網羅しなければいけません。

上記のような試験範囲の広さによって、弁理士試験に合格するには膨大な勉強時間が必要となり、合格率の低さに繋がっています。

選択形式と論文形式の試験があり、それぞれの対策が必要

弁理士試験には選択形式と論文形式の試験内容が存在します。

選択形式の試験では択一式のマークシート方式が採用されており、対策にはとにかく知識を詰め込むことが必要です。

一方で論文形式の試験では知識はもちろん、読解力や思考力、表現力など選択形式の試験とは異なる能力が求められます。

試験内容 試験日程
短答式試験 5月中旬~下旬
論文試験 6月下旬~7月上旬
口述試験 10月中旬~下旬

(引用元:特許庁公式HP)

それぞれの試験の日程をまとめてみると、選択形式である短答式試験から論文試験までの間はわずか1〜2ヶ月しかありません。

1〜2ヶ月間で論文形式の試験対策を網羅することは難しく、短答式試験の前から選択形式と論文形式の両方の試験対策が必要だということが分かります。

それぞれ異なる形式の試験対策が必要な点も、合格率の低さに繋がる要因であるといえるでしょう。

弁理士に合格する人の特徴

ここまで解説してきたとおり、弁理士試験の合格率は他の資格と比較しても相対的に低く、合格の難易度は高いといえます。

しかし一方で、弁理士試験では毎年100人以上の合格者が誕生しているのも事実です

ここからは、弁理士試験に合格した人のデータをみていき、どのような人が合格しているのか、特徴を分析していきます。

弁理士試験の合格者の内訳をみてみると、10代~30代の方の合格率が全体の7割程度を占めています。

男女別の内訳では、男性が6~7割、女性が2~3割で、男性の方が合格者が多いことが分かりました。

また、職業別でみてみると、約8割の方が働きながら資格を取得しています。

学問別では、理系出身の合格率が8割近くにのぼり、弁理士試験の難易度が「理系最高峰」といわれる大きな要因です。

一方、出身大学別の内訳で最も多いのが東京大学で、全体の1割を占めます。

いずれも上位10校に名を連ねるのは「難関大学」といわれる学校ばかりであることから、弁理士試験の難易度の高さがうかがえます。

合格者の平均受験回数は3.4回です。

これだけ高学歴な合格者の方たちでも、平均して3回以上受験してやっと合格しているということです。

上記のように合格者の内訳を細かくみていくと、弁理士試験は最高峰の難易度であることが改めて確認できます。

年齢別・男女別の傾向

年齢別の傾向

実施年 10~20代 30代 40代 50~80代
令和5年 31.4% 47.3% 13.3% 7.9%
令和4年 34.2% 36.3% 22.3% 7.2%
令和3年 23.1% 43.7% 23.1% 10.0%
令和2年 21.3% 43.9% 21.3% 13.5%
令和元年 16.9% 49.3% 21.5% 12.4%
平成30年 16.5% 47.7% 26.5% 9.3%

(引用元:スタディング公式HP)

男女別の傾向

実施年
令和5年 63.3% 36.7%
令和4年 68.9% 31.1%
令和3年 66.8% 33.2%
令和2年 74.9% 25.1%
令和元年 73.6% 26.4%
平成30年 74.2% 25.8%

(引用元:スタディング公式HP)

スタディングの調査によると、弁理士試験の合格者の年代は10~30代が多く、40代~の合格率は全体の3割程度です。

なかでも特に多いのが30代の合格率です。

また、合格者の男女比をみてみると、例年男性が6~7割、女性が2~3割で、男性の合格者の方が多い傾向があります。

一方で、この5年で女性の合格者の割合は5%近く増加しており、女性の合格者の割合も年々増えてきています。

職業別・学問(文系・理系)別の傾向

職業別の傾向

実施年 会社員 特許事務所 その他
令和5年 48.9% 33.5% 17.6%
令和4年 45.6% 33.2% 21.2%
令和3年 48.7% 27.1% 24.2%
令和2年 51.6% 27.9% 25.1%
令和元年 46.1% 34.5% 19.4%
平成30年 52.7% 31.5% 15.8%

(引用元:スタディング公式HP)

学問(文系・理系)別の傾向

実施年 理工系 法文系 その他
令和5年 76.1% 18.6% 5.3%
令和4年 76.7% 15.0% 8.3%
令和3年 76.4% 18.6% 5.0%
令和2年 79.4% 15.3% 5.2%
令和元年 78.2% 17.3% 4.6%
平成30年 82.3% 12.7% 5.0%

(引用元:スタディング公式HP)

続いて、合格者の職業別・学問別の内訳をみていきましょう。

社会人として仕事をしながら取得した方が全体の5割、特許事務所で働きながら取得した方が全体の3割を占めており、全体の約8割の方が働きながら弁理士試験に合格しています。

また、学問別の内訳では理工系が全体の8割前後、法文系が1~2割で、理工系の合格者が圧倒的に多い結果です。

弁理士は「理系最高峰」の資格とされていますが、やはり理系の方が有利だといえます。

出身大学別の傾向

順位 学校名 合格者数  合格率 
1位 東京大学 22 11.7
2位 京都大学 14 7.4
3位 早稲田大学 11 5.9
3位 慶應義塾大学 11 5.9
5位 東京工業大学 10 5.3
6位 東北大学 9 4.8
7位 大阪大学 8 4.3
8位 北海道大学 7 3.7
9位 筑波大学 5 2.7
9位 上智大学 5 2.7

(引用元:特許庁公式HP 令和5年合格者の統計)

令和4年の弁理士試験の出身大学別の合格者の内訳をみてみると、最も多いのが東京大学の21人でした。

令和3年の合格者のなかで最も多かったのも東京大学であり、例年多くの合格者が生まれています。

いずれも合格者数の上位10校に名を連ねているのは難関大学として知られている学校ばかりであり、このことからも弁理士試験の難易度の高さを再確認できます。

合格者の平均受験回数別の傾向

実施年 平均受験回数
令和5年 2.8回
令和4年 3.4回
令和3年 3.7回
令和2年 4.02回
令和元年 4.07回
平成30年 3.78回

(引用元:スタディング公式HP)

合格者の平均受験回数の傾向をみてみると、直近の令和4年では3.4回でした。

しかし一方で、初回合格した方も令和4年では27人存在し、全体の14%の割合を占めています。

難易度は高いですが、一発合格も不可能ではないということが分かります。

弁理士に合格するために必要な勉強時間

結論からいうと、弁理士試験に合格するためには2,000〜3,000時間の勉強が必要で、仮に1年で3,000時間もの勉強時間を消化しようと思うと毎日8時間の勉強時間が必要です。

アガルートのHPには以下のように書かれています。

弁理士試験の合格に必要な勉強時間は、3,000時間だといわれています。

3,000時間というと、1日3時間勉強して1,000日、1日10時間勉強して300日かかる計算となります。

(引用元:アガルート公式HP)

3,000時間と考えると、2年かけたとしても、1日当たり約4時間の勉強時間が必要です。

弁理士試験は働きながら合格する人の割合が例年8割程度だということを考えると、相当長い期間勉強を継続する必要があります。

弁理士に合格するために必要な勉強時間の目安

資格名 勉強時間の目安
弁護士 3,000~8,000時間
司法書士 3,000時間
弁理士 3,000時間
税理士 2,000~2,500時間
社労士 800時間
海事代理士 500時間
土地家屋調査士 1,000時間
宅建士 300~400時間

(引用元:アガルートアカデミー公式HP)

アガルート公式アカデミーの調査によると、弁理士試験に合格するために必要な勉強時間は約3,000時間だということが分かりました。

他の士業と比較しても、弁理士の3,000時間という数字は上から3番目に多く、十分な勉強期間の確保が必要です。

直近の弁理士試験の合格者の統計をみると、約8割の方が働きながら弁理士試験に合格しています。

一方で、アガルートアカデミー公式の調査によると合格者の平均受験回数は3.4回とされており、初回で一発合格している人は全体の15%程度です。

これだけの膨大な勉強時間になるため、初回のチャレンジでは勉強時間が足りず、3年以上かけて勉強することでようやく合格をつかみ取る方が多いことが分かります。

合格から逆算した場合のスケジュール・1日の勉強時間

前の項で解説したように、弁理士試験に合格するために必要な勉強時間は約3,000時間です。

3,000時間勉強するためにはどのようにスケジュールを立てればよいのか、具体的に考えていきましょう。

仮に弁理士試験に1年で合格しようと思うと、3,000時間勉強するためには毎日8時間の勉強が必要です。

働きながら取得することを想定すると、なかなか厳しいノルマだといえます。

1年半の期間を設けた場合、1日に必要な勉強時間は約5時間です。

もう少し期間を増やし、2年の期間をかけて勉強した場合、必要な勉強時間は1日当たり約4時間です。

このあたりでようやく現実的な数字になってきます。

どれだけ勉強時間を詰め込めるかは個人差があるため、自分の最適なペースを見つける必要がありますが、少なくとも1年以上の長い勉強期間になることを覚悟するべきです。

弁理士に合格するためのポイント

前の項では、弁理士試験に合格するためには3,000時間という膨大な勉強時間が必要であると解説しました。

一方で、勉強の効率や密度を高めることによって、合格までに必要な勉強時間は少なくすることができます。

ここからは、弁理士試験対策のポイントについて詳しく解説していきます。

弁理士に合格するためのポイントは以下の4つです。

弁理士に合格するためのポイント
  • 十分な勉強時間を確保する
  • 丸暗記をしない
  • 免除制度を上手く活用する
  • 無理に独学で挑戦しない

弁理士に合格するために必要な勉強時間は約3,000時間で、毎日4~5時間程度の勉強時間を確保しても、1年半~2年以上の勉強期間が必要な計算です。

膨大な勉強時間を十分に確保すること自体が困難であり、弁理士試験の難易度の高さの大きな要因です。

そのため、勉強時間をしっかり確保できるようスケジュール管理をすることが重要です。

また、勉強の方法について、解答の「丸暗記」をしないこともポイントの一つです。

弁理士試験の勉強では難しい専門用語や条文等に多く触れることになります。

問題集等の解答を丸暗記してしまうと、本番の論文試験では対応できない場面が出てきてしまいます。

そのため、解答の丸暗記をせず、普段の勉強からなるべく自分の言葉で文章を作成していくことが重要です。

条文など難しくなりがちですが、本番を想定しながら、なるべく普段の自分の言葉に近い形でまとめていくことで記憶の定着が見込めます。

3つ目のポイントは「免除制度」をうまく活用することです。

弁理士試験には一次試験、二次試験それぞれに免除制度というものが存在しています。

免除制度は試験に合格した場合、そこから2年間は同試験を受験する必要がなくなる(合格扱いとなる)という制度です。

仮に1年目で一次試験に合格し二次試験で不合格だった場合、翌年は二次試験から受験することができるため、二次試験以降の対策に専念することができます。

このように、免除制度を活用しながら段階的に合格を目指す方法も作戦の一つだといえます。

4つ目のポイントは、無理に独学で合格を目指さないことです。

独学で勉強する方法は通信講座や通学などの方法に比べると、人によっては勉強の効率面で不利になってしまいます。

自分自身の性格や能力と照らし合わせて、モチベーションの維持やスケジュール管理に自信が無いと感じる方は、割り切って通信講座や通学での方法を選択するのがおすすめです。

十分な勉強時間を確保する

一つ目のポイントは、十分な勉強時間を確保することです。

当たり前のように思えるかもしれませんが、これが最大の難関ともいえます。

資格名 勉強時間の目安
弁護士 3,000~8,000時間
司法書士 3,000時間
弁理士 3,000時間
税理士 2,000~2,500時間
社労士 800時間
海事代理士 500時間
土地家屋調査士 1,000時間
宅建士 300~400時間

(引用元:アガルートアカデミー公式HP)

前の項でも解説したように、弁理士の試験に合格するために必要な勉強時間は約3,000時間です。

働きながら3,000時間もの膨大な勉強時間を確保しようと思うと、最低でも1年半~2年以上の期間設定が必要です。

実施年 平均受験回数
令和4年 3.4回
令和3年 3.7回
令和2年 4.02回
令和元年 4.07回
平成30年 3.78回

(引用元:スタディング公式HP)

また、スタディング公式によると、弁理士試験に合格した方の平均受験回数は例年3回以上とされています。

多くの方が3年以上かけて勉強して、やっと弁理士試験に合格していることを表しています。

一発合格している方もなかには存在しますが、例年全体の15%程度の割合です。

いかに勉強時間を確保するかという問題は、最大のポイントであるといえます。

丸暗記をしない

弁理士試験の試験対策として、演習問題などに取り組んだ際に解答の丸暗記をしないことが重要です。

例を挙げると、短答式試験はマークシート形式を採用していますが、「このなかから正しいものはいくつあるか」というような出題がされる場合があります。

主旨や本質を理解せず丸暗記をしてしまうと、上記のような出題に対し解答することが難しくなってしまいます。

なぜそうなるのか?という背景までしっかりと落とし込むことが重要なポイントです。

また、弁理士試験に一発合格した方が合格するためのポイントを紹介しているブログがあります。

(引用元:弁理士試験に1年、10万円で合格する方法)

こちらの「弁理士試験に1年、10万円で合格する方法」というブログでは、弁理士試験に一発合格した経験のある現役弁理士が、合格するためのポイントを紹介しています。

記事のなかでは、「解答の丸写しをしないこと」がポイントの一つであると紹介されています。

解答の丸写しを覚えないようにしよう。
まとめるときに丸写ししないでください。自分が本番に書けそうな平易な言葉、文量を意識しましょう。箇条書きとか使ってもよいですし、書けないものを丸暗記しても書けるようにならないので、自分の書く言葉に近い言葉で書けるようにしましょう。

常に本番を意識する。これが合格の秘訣だよ!!

(引用元:弁理士試験に1年、10万円で合格する方法)

常に本番を意識し、なるべく自分の書く言葉に近い形でまとめていくことが、合格の秘訣です。

上記のように、勉強時間の確保と同時に、効率的な勉強がどれだけできるかも重要なポイントであるといえます。

免除制度を上手く活用する

弁理士試験には「免除制度」が存在します。

短期合格を狙うのであれば、免除制度を上手く利用していくことも、合格するために重要なポイントです。

まずは弁理士試験のそれぞれの免除制度の概要を解説していきましょう。

短答式試験の免除制度について

一次試験である短答式試験に合格した場合、次の2年度分(試験2回分)までは一次試験の合格結果を受け継ぐことができます。

仮にその後の論文試験や口述試験に不合格であっても、2年間は一次試験を受ける必要がなくなるのです。

論文試験の免除について

二次試験となる論文試験には、必須科目と選択科目の2科目が存在します。

必須科目については一次試験と同様の形で免除制度が採用されており、合格した後2年間は同試験を受ける必要はありません。

また、選択科目については一度合格してしまえば永続的に免除されます。

免除制度の活用は合格するための重要なポイント

ここまで解説したように、弁理士試験には短答式試験、論文試験それぞれに免除制度が存在します。

初年度で短答式試験に合格できれば、翌年の試験までの1年間は論文試験・口述試験の対策に専念することができます。

短期合格を目指すのであれば、免除制度をうまく活用し、段階的に合格をつかみ取ることもおすすめの方法です。

しかし一方で、特許庁のHPでは免除制度が活用できる期間は合格してから2年間と書かれています。

弁理士試験に合格している人の平均受験回数が3回を超えているというデータもあるため、免除期間を超えてしまわないよう注意が必要です。

無理に独学で挑戦しない

4つ目のポイントは、無理に独学で合格しようとしないことです。

弁理士試験に独学で合格するために勉強している方はたくさんいらっしゃいますし、もちろん独学自体を否定するものではありません。

しかし、前の項で解説したように弁理士試験に独学するためにはおよそ3,000時もの膨大な勉強時間が必要であり、働きながら取得を目指すと1年半~2年以上の期間設定が必要です。

それだけ長い勉強期間になると、いかに効率の良い勉強ができるかということが重要です。

一方で、独学で勉強する方法は一般的に通信講座や通学等の方法と比べて効率面で劣ってしまいます。

しっかりと効率も保ったまま長い期間勉強できる方は独学が向いているといえますが、そうでない方は割り切って通信講座や通学等の方法に切り替えるのも作戦の一つです。

独学での勉強が向いている人・向いていない人の特徴

ここまでは弁理士試験の難易度の高さや、合格するためのポイントについて紹介してきました。

経済的な問題から、独学で合格を目指したいという方も多いでしょう。

実際に弁理士試験に独学で勉強し合格した方もいるため、独学での合格は可能です。

しかし一方で、難易度の高さや必要な勉強時間の多さから、他の資格と比べても独学の難易度は高い資格です。

そのため、自分の性格や能力・環境と照らし合わせて、独学が向いているのか、それとも他の方法が向いているのか判断する必要があります。

独学が向いている人の特徴として、学校や実務で既に基礎知識の上積みがあることや、長い期間しっかり勉強できる環境や自己管理能力が備わっていることが挙げられます。

一方で、知識の上積みがない方や、十分な勉強時間が確保できない方スケジュール管理やそもそも勉強自体が苦手な方は独学の方法は向いていません。

それぞれの特徴について、詳しくみていきましょう。

独学での勉強が向いている人の特徴

独学での勉強が向いているのは、以下のような特徴を持った人です。

独学での勉強が向いている人の特徴
  • 既に基礎知識を持っている人
  • 知財関係の実務に携わった経験がある人
  • 弁理士以外の難関国家資格に独学で合格した経験がある人
  • 勉強時間をしっかりと確保できる人

法学部出身の方など、大学等で法律関係を学んでいた経験がある方であれば、基礎知識があるため独学での勉強は向いています。

市販の参考書や基本書などでも十分理解できるため、自分のペースで勉強を進めていくことができ、むしろメリットが大きいといえます。

また、知財関係の実務に携わった経験がある人、現に携わっている人も独学がおすすめです。

特に特許事務所などで働いている場合は、知財関係の全体像が実務を通じて理解できるため、知識の前積みだけでなく理解度も深まるはずです。

弁理士試験の勉強をするなかで、分からないことがあれば同僚に確認することができるため、疑問がすぐに解消できないという独学のデメリットを打ち消すこともできます。

弁理士試験以外の「難関資格」に独学で合格した経験がある方も、スケジュール管理やモチベーション維持、勉強の効率化などの能力が高いと考えられるため、独学が向いています。

また、最も重要なのは「時間をしっかり確保できる」ことです。

弁理士試験に合格するために必要な勉強時間は、個人差はありますが大体3,000時間程度必要です。

3,000時間もの膨大な勉強時間を確保できる環境や状況かどうか、しっかりと判断する必要があります。

独学での勉強がおすすめできない人の特徴

一方で、独学での勉強がおすすめできない人の特徴は以下の通りです。

独学での勉強がおすすめできない人の特徴
  • そもそも勉強が苦手な人
  • 十分な勉強時間を確保できない人
  • スケジュール管理が苦手な人
  • 関連実務の経験や知識の上積みが全くない人

前の項でも紹介しましたが、弁理士試験に合格する人の多くは偏差値の高い有名大学出身の人たちです。

順位 学校名 合格者数  合格率 
1位 東京大学 22 11.7
2位 京都大学 14 7.4
3位 早稲田大学 11 5.9
3位 慶應義塾大学 11 5.9
5位 東京工業大学 10 5.3
6位 東北大学 9 4.8
7位 大阪大学 8 4.3
8位 北海道大学 7 3.7
9位 筑波大学 5 2.7
9位 上智大学 5 2.7

(引用元:特許庁公式HP 令和4年合格者の統計)

直近の令和5年の弁理士試験の合格者の出身校をまとめると、上位10校に入っているのはいずれも難関大学として知られている大学の出身者です。

上位10校で全体の半数近くの割合を占めており、弁理士試験の難易度の高さがうかがえます。

よって、そもそも勉強が苦手という方は尚更勉強の効率や周りのサポートが求められるため、独学での勉強は向いていません。

前の項で、独学で向いている人の特徴として「しっかりと時間が確保できる人」を挙げましたが、反対に十分な勉強時間を確保できない方も独学はおすすめできません。

少ない勉強時間で合格をつかみ取るには効率の良い勉強が必要不可欠であり、効率面では通信講座や通学の方が優れているためです。

また、弁理士試験に合格するために必要な勉強時間は3,000時間といわれており、長い勉強期間になるためスケジュール管理が苦手な方は独学は向いていません。

関連実務の経験や知識の上積みがない、全くの初心者についても、参考書や過去問など市販の教材だけで弁理士試験の内容を理解するのは難しい場合があります。

市販の教材だけで理解できれば良いのですが、「何を言っているのかさっぱり分からない」という方はサポート体制が充実した通信講座や通学の方がおすすめといえます。

弁理士の通信講座は以下の記事をご覧ください。

弁理士 通信はこちら

弁理士試験対策の独学・通信・通学の比較

前の項で、独学での勉強が向いている人、向いていない人の特徴をそれぞれ解説してきました。

ここからは、弁理士試験対策の方法別にメリット・デメリットを比較していきます。

弁理士試験対策の方法として、大きく分けて独学・通信講座・通学の3つの方法があります。

それぞれの方法のメリット・デメリットについては以下の通りです。

独学 通信講座 通学
メリット
  • コストが低く抑えられる
  • 自分のペースで勉強を進められる
  • カリキュラムに縛られない
  • 質問や添削などサポート体制が充実
  • 空き時間で効率よく勉強できる
  • 出題傾向などの情報が取得しやすい
  • 疑問点をリアルタイムで解消できる
  • ともに学ぶ仲間が見つかる
  • カリキュラムがしっかりしている
デメリット
  • 疑問点をすぐに解消できない
  • 効率面で他の方法に劣る
  • モチベーションの維持が難しい
  • 自身のスケジュール管理が求められる
  • 独学に比べてコストがかかる
  • 講座によって内容に違いがある
  • 通学に時間がとられる
  • 他の生徒とペースを合わせる必要がある
  • 他の方法に比べてコストが高い

独学のメリットはなんといってもコストが低く抑えられる点にあります。

受講料や学費を払わなくても済むため、お金に余裕がない方にはおすすめの方法です。

また、勉強のスケジュール管理を自分で行う必要があるため、カリキュラム等に縛られず好きな時に勉強できます

しかし、自分の好きな時に勉強ができるということは裏を返せば好きなだけ勉強をサボれてしまうということです。

独学は自分自身との戦いでもあるため、モチベーションの維持が難しく高いスケジュール管理能力が求められます。

また、勉強を進めていくうちに出てきた疑問点をすぐに質問し解消することができない点も独学のデメリットです。

自分で調べるのに時間がかかってしまえば、効率面でも他の方法に劣ってしまいます。

その点通信講座や通学の方法であれば、出てきた疑問点を質問することで効率よく解消していくことができます。

一方で、サポート体制が充実している分、通信講座であれば受講料、予備校であれば学費が必要になってしまう点が、通信講座や通学のデメリットです。

また、通信講座のもう一つのデメリットとして、どの講座を受講するかによって内容に差があることです。

なかには質問や添削等のサポートが入っていない通信講座もあるため、受講を決める前に内容をしっかり確認しましょう。

通学のメリットはカリキュラムに従って段階的に効率よく学んでいける点や、ともに切磋琢磨できる仲間が見つかることです。

反対にデメリットとしては、通学に時間がとられてしまうことが挙げられます。

通学の場合は通学時間をいかに有効活用できるかという点もポイントです。

また、通信講座は講座によってサポート内容に差があると解説しましたが、おすすめの通信講座や予備校を徹底比較した内容を別の記事でまとめています。

弁理士 通信講座に興味がありましたら、こちらもぜひご覧ください。

弁理士の弁理士の通信講座や予備校のおすすめランキングの詳細はこちら

弁理士試験の概要

最後に、弁理士試験の概要について解説していきます。

弁理士試験の日程は例年5月から一次試験がスタートします。

それぞれの試験に合格した方のみ、次の試験に進む権利が与えられるため、試験の都度合格発表が行われるスケジュールです。

試験科目は短答式試験で7科目、論文試験で4科目、口述試験で4科目で構成されており、非常に広い試験範囲を網羅する必要があります。

弁理士に合格するために必要な勉強時間は3,000時間とされており、試験範囲の広さも膨大な勉強時間が必要な要因の一つといえます。

また、弁理士は受験するために必要な資格がなく、年齢や経歴問わず誰でも挑戦することが可能です。

試験会場についてみてみると、一次試験は5会場で受験することが可能ですが、試験が進むにつれて会場数はへっていき、最終試験では東京会場のみです。

また、弁理士試験の特徴として科目ごとに合格基準点が設けられており、どれか一つでも下回ると不合格となってしまいます。

そのため、苦手な科目を克服していくことが重要です。

弁理士試験の試験日程

まずはじめに、最も重要な弁理士試験の日程について紹介します。

試験内容 試験日程
短答式筆記試験 5月中旬~下旬
論文式筆記試験(必須科目) 6月下旬~7月上旬
論文式筆記試験(選択科目) 6月下旬~7月上旬
口述試験 10月中旬~下旬

弁理士試験は例年5月中旬~下旬にスタートします。

短答式試験の結果は6月上旬頃に発表され、同試験に合格した方のみが次の論文試験を受験することができる仕組みです。

二次試験である論文式筆記試験は6月下旬~7月上旬での開催です。

必須科目と選択科目の試験があり、両方とも合格した方のみ最終の口述試験に進むことができます。

口述試験は10月中旬~下旬に開催され、短答式試験から論文式試験までの期間が1ヶ月程度だったことを考えると、論文式試験から口述試験までは比較的期間に余裕があります。

弁理士試験の試験科目

続いて、弁理士試験の試験科目についてご紹介します。

弁理士試験は短答式試験・論文式試験・口述試験の3つの試験から成り立っています。

最終合格をつかみ取るにはすべての試験で合格することが必要です。

試験内容 試験科目
短答式試験 特許法・実用新案法、意匠法、商標法、条約、著作権法、不正競争防止法
論文式試験 特許法・実用新案法・意匠法、商標法
口述試験 特許法・実用新案法、意匠法、商標法

(引用元:特許庁公式HP)

特許庁のHPに掲載されている試験科目をみてみると、短答式試験で7科目、論文試験で4科目、口述試験で4科目で構成されます。

弁理士試験に合格するために必要な勉強時間は3,000時間といわれており、網羅するためには膨大な時間が必要であることを示しています。

弁理士試験の受験資格

弁理士試験を受験するために必要な受験資格は設けられていません。

年齢や経歴に関わらずだれでも受験することができます。

資格名 受験資格
司法書士 なし
社会保険労務士 あり
弁理士 なし
土地家屋調査士 なし
行政書士 なし
税理士 あり
弁護士 あり
海事代理士 なし

弁理士を含めた8士業のなかでみても、受験資格「あり」の資格は半数近くの割合です。

他の士業と比較しても、弁理士試験は目指しやすい資格であるといえます。

弁理士試験の試験会場

ここからは、令和4年度に実施された弁理士試験の会場を試験別に紹介していきます。

短答式試験会場

受験地 会場 住所
東京 立教大学 池袋キャンパス 東京都豊島区西池袋三丁目34-1
大阪 関西大学 千里山キャンパス 大阪府吹田市山手町三丁目3-35
仙台 仙台大原簿記情報公務員専門学校 中央校舎5号館 宮城県仙台市青葉区中央四丁目3-14
名古屋 名古屋市立大学 滝子キャンパス 愛知県名古屋市瑞穂区瑞穂町字山の畑1
福岡 福岡工業大学 福岡県福岡市東区和白東三丁目30-1

(引用元:スタディング公式HP)

論文式試験(必須科目)会場

受験地 会場 住所(試験場となる具体的な建物・教室などは受験票で正確な位置をご確認下さい)
東京 立教大学 池袋キャンパス 東京都豊島区西池袋三丁目34-1
大阪 関西大学 千里山キャンパス 大阪府吹田市山手町三丁目3-35

(引用元:スタディング公式HP)

論文式試験(選択科目)会場

受験地 会場 住所(試験場となる具体的な建物・教室などは受験票で正確な位置をご確認下さい)
東京 東京富士大学 東京都新宿区下落合1-7-7
大阪 関西大学 千里山キャンパス 大阪府吹田市山手町三丁目3-35

(引用元:スタディング公式HP)

口述試験会場

受験地 会場 住所(試験場となる具体的な建物・教室などは受験票で正確な位置をご確認下さい)
東京 ザ・プリンス パークタワー東京 東京都港区芝公園四丁目8-1

(引用元:スタディング公式HP)

一次試験は5会場での開催であることに対し、試験段階が進むにつれて開催会場の数は減っていきます。

最終の口述試験は東京会場のみとなるため注意が必要です。

弁理士試験の合格基準点

弁理士試験を開催している特許庁の公式HPでは、弁理士試験の合格基準点をそれぞれ以下のように定めています。

試験内容 合格基準点
短答式試験 総合得点の満点に対して65%の得点を基準として、論文式筆記試験及び口述試験を適正に行う視点から工業所有権審議会が相当と認めた得点以上であること。

(科目別合格基準は各科目の満点の40%)

 

論文式試験(必須科目)

標準偏差による調整後の各科目の得点の平均(配点比率を勘案して計算)が、54点を基準として口述試験を適正に行う視点から工業所有権審議会が相当と認めた得点以上であること。

47点未満の得点の科目が一つもないこと。

論文式試験(選択科目) 科目の得点(素点)が満点の60%以上であること。
 

口述試験

採点基準をA、B、Cのゾーン方式とし、合格基準はC評価が2つ以上ないこと。

A:答えが良くできている場合
B:答えが普通にできている場合
C:答えが不十分である場合

(引用元:特許庁公式HP)

短答式試験・論文式試験において各科目ごとに基準点が設けられており、どれか一つでも下回れば不合格となってしまうのが弁理士試験の特徴です。

そのため、苦手科目を克服することが試験対策の重要なポイントです。

弁理士の難易度に関するよくある質問

弁理士の難易度に関するよくある質問
  • 弁理士の難易度は理系最高峰って本当?
  • 弁理士は「やめとけ」といわれるのはどうして?
  • 弁理士に合格するために必要な勉強時間は?
  • 弁理士の年収はどれくらい?
  • 弁理士に合格するのは文系出身でも可能?
  • 弁理士の難易度は他の国家資格と比較してどれくらい?ランキングは?

最後に、弁理士の難易度に関するよくある質問について、回答していきます。

弁理士の難易度は理系最高峰って本当?

弁理士の難易度は、理系最高峰といわれることがあります。

実施年 理工系 法文系 その他
令和5年 76.1% 18.6% 5.3%
令和4年 76.7% 15.0% 8.3%
令和3年 76.4% 18.6% 5.0%
令和2年 79.4% 15.3% 5.2%
令和元年 78.2% 17.3% 4.6%
平成30年 82.3% 12.7% 5.0%

(引用元:スタディング公式HP)

スタディングの調査によると、弁理士試験に合格した方の約8割が理工系出身でした。

このことから、弁理士試験は理工系出身者の方が有利な試験であるといえます。

そして、弁理士試験の合格率は他の資格と比較しても極めて低く、非常に合格が難しい資格として知られています。

順位 資格名 合格率(例年) 受験資格
1 司法書士 3~4% なし
2 社会保険労務士 4~6% あり
3 弁理士 6~10% なし
4 土地家屋調査士 7~9% なし
5 行政書士 8~15% なし
6 税理士 12~15% あり
7 弁護士 22~39% あり
8 海事代理士 48%~54% なし

(引用元:アガルートアカデミー公式HP)

弁理士試験を含む8士業のなかで比較しても、弁理士試験の合格率は6~10%3番目に低い数字です。

試験自体の難易度の高さと、理工系の方に有利な資格であることから、理系最高峰の難易度とされています。

弁理士は「やめとけ」といわれるのはどうして?

インターネットで弁理士について検索してみると、「やめとけ」というキーワードが出てきます。

弁理士を目指して日々勉強している方や、これから目指そうか悩んでいる方にとっては、不安になる言葉ですよね。

弁理士が「やめとけ」といわれている理由として、以下の6つの要因が挙げられます。

  1. 弁理士は難易度が高く仕事を始めるまでの道のりが長い
  2. 下積みが長い
  3. 年収が実力によって左右される
  4. ブラック特許事務所が存在する
  5. 特許申請数が減っている
  6. 責任が重くプレッシャーがある

ここまで解説してきたように、弁理士試験の難易度の高さや必要な勉強委時間が膨大であることから、弁理士は資格取得自体のハードルが高い資格です。

弁理士試験に合格し弁理士になった後も、下積み期間が長かったり、在籍する特許事務所や自身の実力によって労働環境や収入に差が出てきてしまいます。

また、弁理士の主な業務である特許申請数の件数の減少や、弁理士の担う業務のプレッシャーが大きさなども、ネガティブな要因として挙げられます。

膨大な時間を費やし苦労して弁理士になったからといって、高い収入や快適な労働環境に直結する訳ではなく、仕事内容も適性が求められることを理由に、弁理士は「やめとけ」といわれています。

上記で紹介した弁理士が「やめとけ」といわれる理由6つの理由については、別の記事でより詳しく解説しています。

弁理士 やめとけと言われる理由が気になる方は、以下の記事をご覧ください。

弁理士はやめとけといわれる資格なのか?求人や年収についても調査!についての詳細はこちら

弁理士に合格するために必要な勉強時間は?

弁理士試験に合格するために必要な勉強時間は、およそ3,000時間です。

資格名 勉強時間の目安
弁護士 3,000~8,000時間
司法書士 3,000時間
弁理士 3,000時間
税理士 2,000~2,500時間
社労士 800時間
海事代理士 500時間
土地家屋調査士 1,000時間
宅建士 300~400時間

(引用元:アガルートアカデミー公式HP)

他の士業と比較した上の表をみてみると、弁理士の試験に合格するために必要な勉強時間は弁護士・司法書士に次いで3番目に多い数字です。

3,000時間という膨大な勉強時間を達成するためには、毎日8時間勉強しても1年間、毎日4時間勉強しても2年間かかる計算です。

弁理士試験に合格するためには膨大な勉強時間が必要だということが分かります。

弁理士の年収はどれくらい?

弁理士の平均年収はどのくらい?

弁理士の平均年収は、およそ700〜750万円だといわれています。

一般的な正社員の平均年収はおよそ430万円であるため、弁理士の年収は一般的な正社員よりはるかに高いことが分かります。

(引用元:資格の学校TAC公式HP)

民間企業の正社員の平均年収はおよそ430万円です。

それに対し、弁理士の平均年収は700~750万円といわれており、平均よりも高い年収です。

また、弁理士に多い勤務先は「特許事務所」ですが、事務所のトップやパートナーといった上の地位になると、年収は数千万円~数億円にまでのぼります。

そのため、収入の高い仕事に就きたい方には非常におすすめの仕事です。

弁理士に合格するのは文系出身でも可能?

文系出身でも、弁理士試験に合格するのは可能です。

実施年 理工系 法文系 その他
令和4年 76.7% 15.0% 8.3%
令和3年 76.4% 18.6% 5.0%
令和2年 79.4% 15.3% 5.2%
令和元年 78.2% 17.3% 4.6%
平成30年 82.3% 12.7% 5.0%

(引用元:スタディング公式HP)

スタディングの調査によると、例年の弁理士試験合格者の8割が理工系出身でした。

上記の理由から、弁理士試験は理工系が有利な試験であることは間違いありません。

しかし、毎年15~20%の文系出身の合格者が誕生していることはポジティブなデータです。

文系出身でも弁理士試験に合格することは不可能ではないということを証明しています。

弁理士の難易度は他の国家資格と比較してどれくらい?ランキングは?

弁理士試験と関連度の高い8士業のなかで、弁理士の難易度やランキングを相対的に見ていきましょう。

順位 資格名 合格率(例年) 受験資格
1 司法書士 3~4% なし
2 社会保険労務士 4~6% あり
3 弁理士 6~10% なし
4 土地家屋調査士 7~9% なし
5 行政書士 8~15% なし
6 税理士 12~15% あり
7 弁護士 22~39% あり
8 海事代理士 48%~54% なし

(引用元:アガルートアカデミー公式HP)

アガルートアカデミーの調査によると、弁理士の試験の合格率は6~10%とされており、8士業のなかでも上から3番目に低い合格率です。

難関国家資格として知られる行政書士や税理士よりも低い合格率ということを考えると、弁理士の難易度の高さを再確認することができます。

弁理士の難易度:まとめ

今回は、弁理士試験の合格者のデータを様々な角度から分析し、実際の弁理士の難易度や合格するためのポイントなどを解説しました。

弁理士試験の難易度は他の資格と比較しても非常に難しく、合格するためには膨大な勉強時間の確保が必要不可欠です。

一方で、合格者の多くは働きながら弁理士試験を突破しており、割合は少ないですが文系出身で合格する方も毎年出てきています。

受験資格も必要ないため、どのような方でも適切な努力をすればチャンスがある資格だといえます。

難関である弁理士試験に合格するためには、自分に合った効率の良い勉強方法を見つけることが重要です。

独学での勉強はコストがかからないメリットがありますが、弁理士試験のように難易度が高い資格では勉強の効率が求められます。

勉強の効率面では通信講座や予備校を活用する方法が独学よりも優れているため、独学の方法が難しいと感じたら無理せず通信講座や予備校を活用しましょう。

おすすめの通信講座や予備校を徹底比較した内容を別の記事でまとめています。

気になる方は、こちらもぜひご覧ください。

弁理士の弁理士の通信講座や予備校のおすすめランキングの詳細はこちら

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この記事を書いた人

徳永 浩光のアバター 徳永 浩光 キャリアコンサルタント

WEBメディアの監修や300社以上のキャリア相談を通じて、働く人の悩みに寄り添い、気付きを与えるキャリアコンサルタント。「偶然を生かす」という考え方を大切にし、真の願望を明らかにするアプローチを採用。

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