社労士は意味ない資格なのか?勉強時間や年収などから検証!

社労士は、正式名称を「社会保険労務士」という、士業の中でも近年人気の高い資格の一つです。

最近では、社労士の資格を取ろうと検討している人も増えています。

しかし、ネット上の一部ではこんな声もあるようです。

「社労士資格は取る意味がない」

「社労士資格は試験難易度とその後のキャリアが釣り合っていない」

「社労士資格は転職に役立たない」

社労士資格を取っても意味があるのか、将来に役立つのか不安に思っている人もいるのではないでしょうか。

確かに社労士試験の難易度はかなり高く、毎年多くの受験者が苦しんでいます。

試験合格後に転職時に使えるキャリアとしても、実務経験の有無で苦労している人も多いのかもしれません。

不安に思う人が多いので、まず結論からいうと、社労士資格は意味のある資格です。

本記事では、社労士の資格難易度や仕事内容、将来性について徹底的に解説します。

社労士を目指している、もしくは社労士試験を受けるか迷っている人の参考になれば幸いです。

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徳永浩光

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国家資格キャリアコンサルタント所持。キャリアコンサルタントの視点からWebメディアを監修。キャリア形成、資格取得に関しての情報を発信。

マイベストプロ掲載

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目次

なぜ社労士は意味のない資格だといわれるのか

まず、なぜ「社労士は意味のない資格」という否定的な意見が出るのか調べてみました。

理由として挙げられるのは以下の2点です。

  • 社労士資格の難易度と知名度のバランス
  • 不合格者のネガティブな意見

社労士資格は合格難易度が高く、膨大な勉強時間が必要といわれています。

不合格者や、資格取得後の転職活動で苦労する経験を持つ人もいて、資格取得の難易度とその後のメリットが釣り合っていないと考える人が一定数いるのかもしれません。

それぞれ詳しく説明していきます。

社労士資格の資格難易度と知名度が合っていない

社労士が意味のない資格といわれる理由は、社労士資格の難易度と知名度のバランスが合っていないと考える人が多いからです。

社労士資格を獲得するには、社労士試験に合格する必要があります。

(1) 受験申込者数 53,292 人(前年 52,251 人、対前年 2.0%増)うち科目免除者 976 人(うち公務員特例の免除者 413 人)

(2) 受験者数 42,741 人(前年 40,633 人、対前年 5.2%増)うち科目免除者 834 人(うち公務員特例の免除者 364 人)

(3) 受験率 80.2%(前年 77.8%)

(4) 合格者数 2,720 人(前年 2,134 人)うち科目免除者 92 人(うち公務員特例の免除者 56人)

(5) 合格率 6.4%(前年 5.3%)

(引用元:第 55 回社会保険労務士試験の合格者発表)

上にも示したように、最新の2023年度の社労士試験の合格率は6.4%と低めの結果でした。

 

加えて、社労士の仕事内容の認知度は他の士業(弁護士や行政書士)と比べて低く、企業での導入率も認知度と比べて低めです。

全国社会保険労務士会連合会が2014年に実施した社労士のニーズに関する企業向け調査の結果では、認知度が96.7%に対し、導入率が56.4%となり、認知に対しての導入率が約半分という結果が出ています。

回答企業6,921社のうち、96.7%が社労士を認知しており、56.4%が現在社労士を利用
していると回答した。

(引用元:社会労務士試験オフィシャルサイト|社労士のニーズに関する企業向け調査結果について)

 

また、転職の活用に関しては、社労士資格の取得に加えて実務経験の有無が必要とする企業が多いため、資格を持つだけでは転職に直結するという考えに結びつきにくいと考える人が多いようです。

 

仕事内容 【次代を担う中核メンバーとして育成します!】社会保険・労働保険の手続き、給与計算、各種助成金の申請など、顧問先企業の人事労務をサポート
対象となる方 人事労務の仕事に真剣に取り組みたい方・社労士を目指している方【資格/実務経験不問】社労士事務所での実務経験をお持ちの方は優遇します!
勤務地 【転勤なし/U・Iターン歓迎!】 ※大江橋駅・北新地駅・大阪駅・各線梅田駅などからアクセス可能!
給与 月給200,000円〜300,000円 + 賞与年2回 ※経験・スキルを十分考慮の上、社内規程により優遇いたします 。

(引用元:マイナビ転職|響 社会保険労務士法人)

実際に、こちらの求人では優遇条件に「社労士事務所での実務経験のある人は優遇します」と記載があります。

これらが理由で、社労士資格を取っても意味がないと思う人が多いと考えられます。

不合格者の妬みによるネガティブキャンペーン

先ほども説明した通り、社労士試験の合格率は低く毎年多くの不合格者が出るという事実があります。

(1) 受験申込者数 53,292 人(前年 52,251 人、対前年 2.0%増)うち科目免除者 976 人(うち公務員特例の免除者 413 人)

(2) 受験者数 42,741 人(前年 40,633 人、対前年 5.2%増)うち科目免除者 834 人(うち公務員特例の免除者 364 人)

(3) 受験率 80.2%(前年 77.8%)

(4) 合格者数 2,720 人(前年 2,134 人)うち科目免除者 92 人(うち公務員特例の免除者 56人)

(5) 合格率 6.4%(前年 5.3%)

(引用元:第 55回社会保険労務士試験の合格者発表)

2023年度の受験者数は42,741人に対し、合格者が2,720人。

約38,000人以上の受験者が試験に落ちています。

 

社労士資格は意味がないという意見は、社労士試験の不合格者の妬みや、合格したものの転職や就職活動で苦戦している人のネガティブキャンペーンが理由であるとも考えられます。

社労士試験についてネガティブな意見を記載しているブログをまとめました。

ブログ名 社労士試験の合格/不合格 社労士として就職/非就職 社労士が意味ないという理由
社会保険労務士試験 不合格体験記 不合格 非就職(一部雇用管理に関する仕事に従事) 実際に仕事で役立つ知識は一部で、社労士業を目指していない人からするとコスパが悪いから。
就職・転職など仕事するためには無意味な、社会保険労務士試験! 合格 非就職 実務経験のない社労士資格は即戦力として期待できないため。
社会保険労務士・不合格体験記 不合格 非就職(コンサルティング会社で人事の仕事に従事) 試験対策は暗記ばかりで、ケーススタディのような実践で使える内容を学べなかったため。
社会保険労務士=難関資格に合格したのに、年収が半分に! 合格 非就職 社労士資格を取得しても、実務経験がないと転職で取ってもらえず、前職よりも年収が半分の企業に転職することになったから。

このように、社労士試験に合格しただけではすぐに職を見つけるのが難しく、転職できたとしても以前の会社よりも収入が下がってしまったという現状もあるようです。

こうした人の意見では、社労士試験は意味ないという考えがあるのかもしれません。

 

 

実際に社労士として活動する人の仕事満足度は比較的高く、社労士になったことに対して「意味がない」と支持する人は少ないからです。

社労士 満足度

(引用元:社労士科研報告書 第2部 社会保険労務士の業務展開についての アンケート調査)

これらのデータから、社労士資格は意味がないという意見は、社労士試験の不合格者の妬みだけでなく、合格したものの転職や就職活動で苦戦している人のネガティブキャンペーンが理由であると考えられます。

社労士は意味のある資格なのか?メリット、デメリットを紹介

先ほど説明した通り、社労士が意味のない資格というネガティブな意見の原因として考えられる理由は試験難易度と認知度の低さや、不合格者や転職に苦労している人による妬みなどによるものでしょう。

そういったネガティブな意見を鑑みた上でも、社労士は意味のある資格です。

ここからは、社労士のメリットとデメリットについて紹介します。

それぞれの特徴を理解した上で、社労士資格の獲得に挑戦するかどうかを決める基準にしてください。

社労士になるメリット

社労士になるメリットは以下の3つです。

  • 社労士は転職に有利
  • 企業で勤めている人は昇給のチャンスがある
  • 年収が上がる可能性がある

転職や昇給を目指す人にとって、社労士資格は取って損のない資格です。

会社員の人は会社にいながら昇給のチャンスを掴める可能性も説明しています。

ぜひ参考にしてみてください。

社労士は転職に有利

社労士資格は国家資格です。

社会保険労務士制度は、社会保険労務士法(昭和43年法律第89号)に基づく制度です。

(引用元:社会保険労務士試験オフィシャルサイト|社会保険労務士制度について)

試験に合格すると、社労士として会社の労務関係の業務の対応できるようになり、一般企業の職種のうち、人事や総務での仕事の幅が広がります。

転職をする際に履歴書に資格を書く欄がありますが、社労士資格を記載することで転職に有利になる可能性があります。

実際に、マイナビ転職に求人を載せている三協社労士行政事務所は、社労士資格を持っている人は資格手当が毎月5万円支給される条件が記載されています。

【給与】

月給18万円~30万円 + 諸手当 + 賞与年2回

※経験・能力を考慮のうえ、優遇いたします。
※社労士資格をお待ちの方は、資格手当(月額5万円)支給いたします。
※試用期間6ヶ月あり(期間中は日給9,000円)。

(引用元:マイナビ転職|三協社労士行政書士事務所)

他にも、応募条件に社労士資格を持っている人への優遇措置の記載のある求人はあります。

実際に求人募集を探してみてください。

ただ、ここで注意したいのは、「優遇」するのであり転職の「確約」をするわけでないということ。

PRできる項目が増えたことで、転職の際には自分にとってのプラスになりますが、それだけで慢心せず転職活動に真剣に取り組むことが大切です。

企業で勤めている人は昇給のチャンスがある

社労士資格は人事や総務で重宝する資格のため、人事や総務へ異動もしくは昇給のチャンスがあります。

社労士の働き方には、独立型と勤務型の2種類があり、勤務型社労士は企業内で勤務する働き方です。

社労士資格を取得することで、人事や総務で働くための基礎知識を習得している証明になるため、部署異動などの希望が通りやすくなるなったり、仕事の幅が広がる可能性があります。

 

社労士試験に合格してからは、少なくとも知識だけは他の社員と同等かそれ以上に示せるようになり、年齢が下でも「社労士試験合格者」という肩書を得たことで一人前として扱われるようになりました。
それまでと業務領域も幅広く任せてもらえることになり、実際の仕事での立場にも大きく影響したと思います。

(引用元:合格後の軌跡|難しい試験だからこそ、自分の評価と可能性が大きく変わる)

実際に、下記のブログで望月さん(ハンドルネーム)は、社労士試験に合格したことで任せてもらう業務の内容が広がったと述べています。

 

すでに人事部や総務部にいる人は部署移動は社労士資格を取得するためのサポートがあったりするので、特におすすめです。

一方、社労士資格の獲得による人事異動を目指している人は、1点注意が必要です。それは、部署の空き状況や適正などを会社が判断する必要があるということです。

まずは資格取得の報告をした上で、上司に相談してみてください。

年収が上がる可能性がある

厚生労働省の賃金構造基本統計調査をもとに計算すると、社労士の平均年収は約774万円です。

【内訳】
平均月収:520,600円
特別賞与:1,491,300円

【計算方法】
(平均月収*12ヶ月)+特別賞与額

(引用元:厚生労働省|令和2年賃金構造基本統計調査)

一方で、国税庁による調査では、一般的な平均年収は461万円(男性:567万円/ 女性:280万円)です。

平均給与

(引用元:国税庁|平均給与)

データをみたところ、一般的な平均年収と社労士の平均年収には300万以上の差があります。

これらのデータから、社労士資格をもって社労士として働くと一般的な平均値よりも給与が上がる可能性が高まります。

社労士は将来性のある職業である

近年、新型コロナウイルスの影響で多くの会社がリモートワークを導入したり、働き方改革の影響で、会社の労務まわりを改善する動きが高まりました

社労士の業務は労務関係の手続きの対応がほとんどです。

社労士科研報告書では、今後の社労士の職域でさらに拡大していくと思われる分野で、以下の項目を挙げています。

  • 働き方の多様化支援(就労支援、労働条件整備、社会保険対応)
  • 高齢社会への対応(高齢者の就労支援のための労働条件整備、社会保険手続等)
  • 医療、介護分野における就労支援、労働条件整備
  • 海外労働者の受け入れの支援(留学生、移民などへの就労支援、労働条件整備)
  • 職場でのワークライフバランスの実現サポート

(引用元:社労士科研報告書 第2部 社会保険労務士の業務展開についての アンケート調査)

これらの項目の多くは今後の企業の在り方で重要視される項目であり、「人」がサポートすることで改善される内容です。

最近、AIの台頭により社労士の需要がなくなってくるのではという意見も出てきましたが、それとは反対に社労士だからこそできる業務に目を向ける考えもあります。

社会保険関連の手続処理で、今後、各企業におけるAI活用が主流になったとして、使い手となる事業主や担当者の傍らについてサポートする仕事はおそらくなくなることはないでしょう。

また、新たな制度設計や労使紛争への対応に伴うコンサルティングについても、社労士によるヒアリングを経て初めて成功に導かれる場面は少なくありません。もっとも、「人」に相談することで安心感を得られる、という心理的効果もあります。社労士業にはまだまだ「人」が対応すべき業務がかなり存在しているのです。

(引用元:フォーサイト|「社会保険労務士」が無くなる?企業における需要や今後の展望を考察)

つまり、社労士はAIの台頭により社会保険関連の手続が自動化されたとしても、事業主や担当者をサポートするという仕事は残り、需要があり続けるということです。

労務相談や年金相談など、人の悩みに寄り添い問題の解決に対応できる社労士は、継続的に重宝される将来性のある職業といえます。

社労士になるデメリット

次に、社労士になるデメリットについて紹介します。

社労士になるためには、社労士試験の合格が必須です。

社労士になるデメリットとしては、主に社労士試験の難易度やその後の経営力の面で上げる項目がほとんどです。

今回挙げられるデメリットは以下の3点。

  • 試験難易度が高く、合格まで時間がかかる
  • 社労士として独立するのは難しい
  • 一部の中小企業では社労士に対してマイナスイメージがある

それぞれみていきましょう。

試験難易度が高く、合格まで時間がかかる

社労士試験は難易度が高く、合格率が5%~7%程度です。

(1) 受験申込者数 53,292 人(前年 52,251 人、対前年 2.0%増)うち科目免除者 976 人(うち公務員特例の免除者 413 人)

(2) 受験者数 42,741 人(前年 40,633 人、対前年 5.2%増)うち科目免除者 834 人(うち公務員特例の免除者 364 人)

(3) 受験率 80.2%(前年 77.8%)

(4) 合格者数 2,720 人(前年 2,134 人)うち科目免除者 92 人(うち公務員特例の免除者 56人)

(5) 合格率 6.4%(前年 5.3%)

(引用元:第 54 回社会保険労務士試験の合格者発表)

上にも示したように、最新の2023年度の社労士試験の合格率は6.4%と低めの結果でした。

合格するためには1,000時間以上の勉強が必要と言われています。

1,000時間の勉強時間は、1年(365日)で割ると1日約3時間の勉強が必要です。

 

また、一発で合格するのがかなり難しく、何度も受験をしてやっと合格する人がほとんどです。

実際に社労士試験に合格した人のブログをまとめてみました。

運営者名 ブログ名 何回で合格したか
なつみ さん なつきの資格ラボ|社労士 合格体験記 1回
鈴木翔太郎 さん 社労士黄金旅程|【現役社労士が語る】ぼくの社労士試験 不合格&合格 体験記 2回
たんたんめん さん 最短ルートで社労士合格!|【完全独学】4回目で合格した私の社労士試験、合格体験記。 4回

それぞれのブログでは、社労士試験に合格するためにかなりの時間を勉強に充てています。

 

たとえば、社労士試験に1回で合格したなつみさんは、平日4時間以上、休日は8時間以上の勉強時間を確保し、試験に向けて予備校で社労士資格の模試を4回も受けたそうです。

知識をつけた後に、実際の試験の流れや時間配分を把握するために模試を経験することで、本番も緊張することなく時間内に問題を解き終わることができたのが、合格の秘訣なのかもしれません。

(参照:なつきの資格ラボ|社労士 合格体験記)

上記で紹介した人たちのように、毎日勉強を継続して試験に望んでも不合格になる可能性があります。

不合格した後には心が折れてしまい、何度も挑戦する継続力が無く諦めてしまう人が一定数いるようです。

強い意志や目標がないと、社労士試験の段階で諦めてしまうという点がデメリットです。

社労士として独立するのは難しい

社労士になるデメリットは、開業後の経営の難しさも挙げられます。

開業後の社労士の悩みとして、以下の2点があります。

  • 開業したあと、顧客を獲得するまで時間がかかる
  • 社労士の仕事内容で独占業務をするには、同じ社労士事務所と差をつけにくい

上記が理由で、開業してもすぐに廃業してしまうというネガティブな意見がありました。

しかし、社会保険労務士白書には下記のような結果が出ています。

 

年度 開業 法人の社員 勤務等 合計 前年度比
H27 23,480 (8,552) 1,648 (759) 14,982 (2,575) 40,110 (11,886) +779(505)
H28 23,573 (8,732) 1,955 (908) 15,007 (2,705) 40,535 (12,345) +425(459)
H29 23,725 (8,909) 2,241 (1,153) 15,221 (2,739) 41,187 (12,801) +652(456)
H30 23,962 (9,007) 2,491 (1,276) 15,603 (2,836) 42,056 (13,119) +869(318)
R1 24,158 (9,116) 2,759 (1,401) 15,790 (2,930) 42,887 (13,447) +831(328)

※( )内は特定社会保険労務士数

(引用元:社会保険労務士白書 2021年度版)

社会保険労務士白書によると2015年から2020年度の社会保険労務士の登録者人口の推移は増え続けています。

つまり、勤務型社労士、開業型社労士に関わらず、毎年社労士として活動する人の人口は増え続けているということです。

 

開業後の顧客獲得が難しい点や、事務所独立時の経営は、独立する事業者全てにいえることであり、開業する場合は準備と営業力を持って取り組めば独立後も安定した仕事を受けることが可能です。

一部の中小企業では社労士に対してマイナスイメージがある

社労士の仕事内容には「労働基準法」に関する業務があります。

これは、労働者を守るための法律内容であり、有給や労働時間などについて細かく基準が定められています。

 

大企業のほとんどは、働き方改革によって残業時間の制限や非正規社員と正規社員の格差の解消などの取り組みが進められました。

ただ、中小企業ではまだそういった整備が進んでいないところがほとんどです。

中小企業の中には、経営や法律関連の情報を細かく指摘されることを快く思っていない企業も一定数いるため、社労士を雇うことに賛否が分かれます。

社労士は大企業などでリモートワークの対策や従業員の環境改善などの制度開設で重宝されますし、従業員の教育やサポートの面で活躍する職業です。

マイナスイメージをもたれているからといって悲観的になる必要はなく、独立した際も社労士を必要と思ってくれる会社と付き合うようにしましょう。

社労士は意味のある資格である

社労士のメリット、デメリットについて下記の表にまとめました。

メリット デメリット
・社労士は転職に有利

・企業で勤めている人は昇給のチャンスがある

・年収が上がる可能性がある

・試験難易度が高く、合格まで時間がかかる

・社労士として独立するのは難しい

・一部の中小企業では社労士に対してマイナスイメージがある

社労士資格を獲得すれば、仕事の幅が広がり昇給や異動のチャンスがあります。

試験難易度の高さや独立の難しさといったデメリットはありますが、他の資格取得時にも同じことがいえるため、獲得することにデメリットはないです。

社労士は意味のある資格であり、自分の将来のため、社労士資格の獲得に向けて努力することが大切です。

社労士とはどんな職業なのか

ここでは、社労士の資格について詳しく説明していきます。

社労士の業務内容や働き方の種類は1つではありません。

それぞれの業務内容や働く方法について理解し、自分の求める働き方にあったものを選びましょう。

社労士の業務内容

社労士の業務内容は大きくカテゴリに分けると以下の5つです。

  • 労働社会保険手続業務
  • 労務管理の相談指導業務
  • 年金相談業務
  • 紛争解決手続代理業務
  • 補佐人の業務

    それぞれのカテゴリのなかに、次のような細かい業務が割り振られます。

    カテゴリ 業務内容
    労働社会保険手続業務 ・労働社会保険の適用、年度更新、算定基礎届
    ・助成金の申請
    ・労働者名簿、賃金台帳の調製
    ・就業規則・36協定の作成や変更
    労務管理の相談指導業務 ・雇用管理・人材育成などに関する相談
    ・人事・賃金・労働時間の相談
    ・経営労務監査
    年金相談業務 ・年金の加入期間、受給資格などの確認
    ・裁定請求書の作成・提出
    紛争解決手続代理業務 ・あっせん申立てに関する相談・手続き
    ・代理人として意見を陳述・和解の交渉・和解契約締結
    補佐人の業務 ・訴訟時の補佐人として意見を陳述

    (引用元:全国社会保険労務士連合会|社労士とは)

    社労士の業務範囲は紹介した通りですが、全ての社労士が全ての業務を対応しているわけではありません。

    労務管理の相談指導業務を主に対応している社労士や、年金相談業務を主に対応している社労士など、働く場所によって必要な業務がさまざまです。

    社労士としての働き方は主に2つ

    社労士としての働き方には2つの種類があり、勤務型社労士と開業型社労士があります。

    それぞれの働き方の考え方の目安は、企業で働くか、独立して働くかです。

    それぞれ詳しく説明していきます。

    勤務型社会保険労務士として働く

    勤務型社会保険労務士とは、企業で働く社労士のこと。

    つまり会社を退職せず、人事や総務で社労士として働く、もしくは社労士事務所などで働く方法です。

    社会保険労務士白書 2021年度版によると、2020年度の社会保険労務士の登録者数は全体で43,474人、うち法人での社員や勤務型社会労務士の登録数は19,051人です。

    データによると、約44%の人が勤務型社労士として働いているという数値です。

    社会保険労務士人数

    (引用元:社会保険労務士白書 2021年度版)

     

    勤務型労務士のメリットは、会社を辞めずに社労士として働ける点

    人事や総務に異動し業務を継続できる可能性があり、資格手当をもらえる可能性もあります。

    将来的に開業を目指している人も、まずは企業で働くことで実務経験を積みあげられるのでおすすめです。

    開業社会保険労務士として働く

    勤務型社会保険労務士と違って、社労士として独立して働きたい人は開業社会保険労務士に登録します。

    2020年度の社会保険労務士の登録者数は全体で43,474人、うち開業型社会労務士の登録数は24,423人です。

    データによると、約56%の人が開業型社労士として働いているということになります。

    社会保険労務士人数

    (引用元:社会保険労務士白書 2021年度版)

     

    開業社会保険労務士のメリットは、安定した顧客を確保し事業が順調に進めば、努力次第で年収3,000万円越えなども可能だということ。

    2016 年度事務所売上高(経費控除前、開業社労士)

    (引用元:社労士科研報告書 第2部 社会保険労務士の業務展開についての アンケート調査)

    実際に社労士科研報告書第2部にて、開業型社労士の2016年度事務所売上高(経費控除前の額)で「1000 万円以上~5000 万円未満」と答えたのは開業型社労士全体の27.6%、「5000 万円以上~1億円未満」と答えたのは5.7%でした。

    また、「300万円未満」の29.1%は開業し手間もない社労士のデータである可能性が高く、最初の顧客を獲得したり、営業したりする段階では、大きな収入を獲得するのは難しいのかもしれません。

     

    開業すると、経営や経理、営業などの全ての分野を自分で対応しなければいけません。

    ただ、自分で経営を回す中で、軌道に乗ると収入がアップする可能性があるので、開業する際は、しっかりと準備をすることが大切です。

    社労士試験の難易度は高すぎる?合格は難しすぎるのか?

    社労士試験の難易度が高いという説明をしましたが、ここではさらに詳しく社労士試験について説明していきます。

    ここで紹介するのは下記の通りです。

    • 社労士試験の難易度・合格率
    • 受験のために必要な条件
    • 試験内容・配点
    • 合格に必要な勉強時間

    社労士試験には難易度が高いだけでなく、受験のための試験資格など、確認すべき項目が多数あります。

    また、1回で合格するのは難しいため、スクールや独学で勉強するにしても大量の勉強時間の確保が必要です。

    本記事を参考に、対策を取ってみてください。

    社労士試験の合格率

    過去の社労士試験の合格率の推移をまとめました。(対象期間:2015年度〜2023年度)

    年度 2016 2017 2018 2019 2020 2021 2022 2023
    受験申込者数(人) 51,953 49,902 49,582 49,570 49,250 50,433 52,251 53,292
    受験者数(人) 39,972 38,685 38,427 38,428 34,845 37,306 40,633 42,741
    合格者数(人) 1,770 2,613 2,413 2,525 2,237 2,937 2,134 2,720
    合格率(%) 4.4 6.8 6.3 6.6 6.4 7.9 5.3 6.4

    このデータから、合格率は3%~7%程度で低いということです。

    受験申込をした人の中で、条件に当てはまらないため受験ができない人が一定数いることがわかります。

    社労士試験の難易度

    同じ弁護士試験や行政書士試験などの試験と比べて、社労士試験の難易度はどのくらいなのでしょうか。

    下記にて、各試験の難易度をまとめました。

    資格名 偏差値
    司法試験・予備試験・公認会計士・国家総合職 70~73
    弁理士・税理士・不動産鑑定士 65~69
    土地家屋調査士・社労士・中小企業診断士・行政書士・国家一般職・マンション管理士・簿記1級 60~64
    宅建士・管理業務主任者・通関士・FP技能士1級 55~59

    (引用元:アガルート|社労士の難易度は大学や偏差値に例えるとどのくらい?)

    社労士試験の偏差値は60~64ということがわかります。

    社労士試験は、弁護士になるための司法試験や、税理士になるための税理士試験と比べると偏差値がやや低いことがわかりました。

    難易度 資格 大学
    S 司法試験・予備試験・公認会計士・国家総合職 東京大学・一橋大学・京都大学 等
    A 司法書士・弁理士・税理士・不動産鑑定士 東北大学・慶応大学・早稲田大学・神戸大学・筑波大学・千葉大学・名古屋大学・九州大学・東京工業大学 等
    B 土地家屋調査士・社労士・中小企業診断士・行政書士・国家一般職・マンション管理士・簿記1級 北海道大学・お茶の水女子大学・青山学院大学・明治大学・関西学院大学・立命館大学 等
    C 宅建士・管理業務主任者・通関士・FP技能士1級 その他の大学

    (引用元:アガルート|社労士の難易度は大学や偏差値に例えるとどのくらい?)

    偏差値60~64というのは大学受験に置き換えると、北海道大学や青山学院大学、立命館大学に入るために必要な偏差値と同程度です。

    受かるためには、大学受験と同じくらい努力をしなければ達成できないことを認識しておきましょう。

    社労士になるために必要な勉強時間

    実際に、各資格サイトに記載されている、社労士試験に合格するために必要な勉強時間をまとめてみました。

    サイト名 社労士試験に合格するために必要な勉強時間
    ユーキャン 1,000時間
    スタディング 1,000時間から1,200時間
    フォーサイト 独学なら800~1,000時間

    通信講座・予備校通学なら600~700時間

    社労士試験に必要な勉強時間は、資格サイトによれば700〜1,000時間といわれています。

     

    仮に、1,000時間の勉強時間を確保しようとすると、1日に3時間以上の勉強を1年間続ける必要があります。

    社労士試験はいくつかの試験科目に分かれていますが、合格するためには全ての科目の合格基準点を取る必要があります。

    そのため、自分の苦手な分野を分析し弱みの改善をするための時間も必要です。

    社労士試験の受験資格

    社労士試験を受けるためには受験資格があります。

    先ほど紹介した、受験者数と合格率の表にて、受験申込者数と受験者数の数に差が出ていたのはこれが理由です。

    社労士試験を受けるためには、いくつかの条件のいずれかをクリアする必要があります。

    ここでは代表的な5つを紹介します。

    • 大卒(もしくは大学で62単位以上修得)
    • 修業年限が2年以上で、総授業時間数が1700時間以上の専修学校の専門課程を修了
    • 3年以上の実務経験(公務員として3年以上従事・社労士や弁護士の補助に3年以上従事・事業を営む個人として労働社会保険諸法令に関する事務に3年以上従事など)
    • 厚生労働大臣が認めた社労士試験以外の国家試験の合格者
    • 司法試験予備試験、旧法の規程による司法試験の第一次試験、旧司法試験の第一次試験又は高等試験予備試験に合格した者

      (参照:社会保険労務士試験オフィシャルサイト|受験資格について)

      大学の卒業証書などの証明書類を提出して、資格の有無を証明する必要があります。

      自分が社労士試験を受験できるかどうかを確認してみてください。

      社労士試験の試験範囲

      社労士試験は8つの科目で構成されています。

      それぞれの科目の内容は以下の通りです。

      試験科目 試験内容や注意事項
      労働基準法及び労働安全衛生法 労働基準法、および労働安全衛生法に関する出題

      比較的覚えやすい分野

      労働者災害補償保険法
      (労働保険の保険料の徴収等に関する法律を含む。)
      労働者災害補償保険法についての出題

      保険金の給付に関して、保険の種類や支給金額、通則などの細かな覚え分けが必要

      雇用保険法
      (労働保険の保険料の徴収等に関する法律を含む。)
      育児休業給付や職業訓練給付などの基本手当についての出題

      給付率や必要日数など細かい情報を覚える必要がある

      労務管理その他の労働に関する一般常識 育児・介護休業法や男女雇用機会均等法、労務管理についての出題

      出題範囲が広いため、一般常識の理解が必要

      社会保険に関する一般常識 社会保険(年金、介護、医療)などに関する出題

      最新情報に関する問題もあるため、ニュースで情報を確保することが大切

      健康保険法 医療保険制度についての出題

      法改正事項や給付金額など、数字に関する出題の対策が必要

      厚生年金保険法 厚生年金保険に関する出題

      公務員や会社員の制度の違いや法改正についての情報の対策が必要

      国民年金法 厚生年金法と同じく、法改正に関する情報が複雑

      基本情報を整理し、最新情報もチェックする必要がある

      (参照:社会保険労務士試験オフィシャルサイト)

      また、それぞれの試験範囲の配点は以下の通りです。

      試験科目 選択式 計8科目(配点) 択一式 計7科目(配点)
      労働基準法及び労働安全衛生法 1問(5点) 10問(10点)
      労働者災害補償保険法
      (労働保険の保険料の徴収等に関する法律を含む)
      1問(5点) 1問(5点)
      雇用保険法
      (労働保険の保険料の徴収等に関する法律を含む)
      1問(5点) 10問(10点)
      労務管理その他の労働に関する一般常識 1問(5点) 10問(10点)
      社会保険に関する一般常識 1問(5点) 10問(10点)
      健康保険法 1問(5点)
      厚生年金保険法 1問(5点) 10問(10点)
      国民年金法 1問(5点) 10問(10点)
      合計 8問(40点) 70問(70点)

      (参照:社会保険労務士試験オフィシャルサイト)

      2023年度の第55回社労士試験の合格範囲は下記のように定められました。

      (1)合格基準
      本年度の合格基準は、次の2つの条件を満たした者を合格とする。
      ① 選択式試験は、総得点26点以上かつ各科目3点以上である者
      ② 択一式試験は、総得点45点以上かつ各科目4点以上である者
      ※ 上記合格基準は、試験の難易度に差が生じたことから、昨年度試験の合格基準を
      補正したものである。

      (引用元:第55回(令和5年度)社会保険労務士試験の合格基準及び正答)

      つまり、1つのカテゴリに強いだけでは合格できないということです。

      選択問題では各科目3点以上、択一問題では各科目4点以上が必要なため、「どこかの範囲に強い」ではダメだということです。

      試験範囲を全体的に網羅する必要があります。

      社労士試験の試験日程

      2024年度の社労士試験は2024年8月25日(日)に実施予定、合格発表日が10月2日(水)となっています。

      2024年度の試験日程の発表は公式サイトによると、2024年度の4月ごろに発表されます。

      第56回(令和6年度)社会保険労務士試験の詳細は令和6年4月中旬に公示予定です。

      (引用元:社会保険労務士試験オフィシャルサイト)

      試験勉強をしている人は、その日に向けて勉強を進めましょう。

      社労士は意味ないのか?に関するよくある質問

      今回の質問は下記の7つです。

      よくある質問
      1. 社労士試験って難しいの?
      2. 社労士の仕事ってどんなものがあるの?
      3. 社労士(社会保険労務士)の現実的な年収ってどのくらい?
      4. 公務員が社労士資格を取るメリットはあるの?
      5. 社労士資格を取っても意味ないの?
      6. 社労士試験に受験資格ってあるの?
      7. 社労士(社会保険労務士)試験に合格するために必要な勉強時間はどのくらい?

      ここから詳しく答えていきます。

      1. 社労士試験って難しいの?

      結論として、社労士試験は難しい試験といえます。

      下記にて、2023年度に行われた社労士試験の合格者数、合格率は以下の通りです。

      (1) 受験申込者数 53,292 人(前年 52,251 人、対前年 2.0%増)うち科目免除者 976 人(うち公務員特例の免除者 413 人)

      (2) 受験者数 42,741 人(前年 40,633 人、対前年 5.2%増)うち科目免除者 834 人(うち公務員特例の免除者 364 人)

      (3) 受験率 80.2%(前年 77.8%)

      (4) 合格者数 2,720 人(前年 2,134 人)うち科目免除者 92 人(うち公務員特例の免除者 56人)

      (5) 合格率 6.4%(前年 5.3%)

      (引用元:第 55 回社会保険労務士試験の合格者発表)

      下記の表に、2015~2023年までの社労士試験の合格者情報をまとめました。

      年度 2016 2017 2018 2019 2020 2021 2022 2023
      受験申込者数(人) 51,953 49,902 49,582 49,570 49,250 50,433 52,251 53,292
      受験者数(人) 39,972 38,685 38,427 38,428 34,845 37,306 40,633 42,741
      合格者数(人) 1,770 2,613 2,413 2,525 2,237 2,937 2,134 2,720
      合格率(%) 4.4 6.8 6.3 6.6 6.4 7.9 5.3 6.4

      (引用元:社会保険労務士白書 2021年度版)

      過去8年間の合格率の結果からみて、合格率はだいたい3〜7%とかなり低めです。

      毎年多くの受験者が不合格になっており、一発合格はかなり珍しいケースといえます。

       

      社労士試験に合格するために必要な勉強時間は各資格サイトで下記のように示されています。

      サイト名 社労士試験に合格するために必要な勉強時間
      ユーキャン 1,000時間
      スタディング 1,000時間から1,200時間
      フォーサイト 独学なら800~1,000時間

      通信講座・予備校通学なら600~700時間

      この表によると、独学では平均1,000時間、通信講座などを利用すれば600時間以上の勉強時間の確保が必要です。

      1,000時間を分かりやすくするために、365日で割ってみました。

      1,000÷365=2.7397….

      つまり、1年後の社労士試験に合格するためには、独学で毎日3時間程度の勉強を継続する必要があります。

       

      また、社労士試験はいくつかの試験科目に分かれていますがそれぞれの科目に合格基準があります。

      合格するためには全ての科目の合格基準点を取る必要があります。

      つまり、得意分野だけを伸ばすだけでは合格できないということです。

      毎日の勉強の中で、試験分野全ての知識を網羅しなければいけません。

      2. 社労士の仕事ってどんなものがあるの?

      社労士の仕事内容は、以下の5つに分けられます。

      • 労働社会保険手続業務
      • 労務管理の相談指導業務
      • 年金相談業務
      • 紛争解決手続代理業務
      • 補佐人の業務

      それぞれのカテゴリごとに細かい業務があり、簡単にまとめると以下の通りです。

      カテゴリ 業務内容
      労働社会保険手続業務 ・労働社会保険の適用、年度更新、算定基礎届
      ・助成金の申請
      ・労働者名簿、賃金台帳の調製
      ・就業規則・36協定の作成や変更
      労務管理の相談指導業務 ・雇用管理・人材育成などに関する相談
      ・人事・賃金・労働時間の相談
      ・経営労務監査
      年金相談業務 ・年金の加入期間、受給資格などの確認
      ・裁定請求書の作成・提出
      紛争解決手続代理業務 ・あっせん申立てに関する相談・手続き
      ・代理人として意見を陳述・和解の交渉・和解契約締結
      補佐人の業務 ・訴訟時の補佐人として意見を陳述

      (引用元:全国社会保険労務士連合会|社労士とは)

       

      たとえば、開業社労士として働く場合は対応する担当者や企業によって業務内容が異なります。

      会社内の労働環境に関する業務をメインでする場合もあれば、裁判の補佐人として意見を述べる場合もあり、同じ社労士の中でも得意分野が分かれます。

      3. 社労士(社会保険労務士)の現実的な年収ってどのくらい?

      社労士の平均年収は一般的な社員と比べて高傾向にあります。

      社労士の平均年収と一般的な社員の平均年収を比べてみましょう。

       

      まずは社労士の平均年収についてです。

      厚生労働省の賃金構造基本統計調査によると、社労士の平均年収は約774万円です。

      (参照:厚生労働省|令和2年賃金構造基本統計調査)

      一方、国税庁のデータによると、一般的な平均年収は461万円。

      平均給与

      (引用元:国税庁|平均給与)

      2つの結果をまとめると以下の表のようになります。

      社労士の平均年収 一般的な平均年収
      774万円 461万円

      それぞれのデータの結果では、一般的な平均年収と社労士の平均年収には300万以上の差があります。

      ここから、社労士資格をもって社労士として働き始めると給与が上がる可能性があるということがわかります。

      4. 公務員が社労士資格を取るメリットはある?

      公務員が社労士資格を取るメリットは下記の2点です。

      • 労務業務の知識が深まる
      • 転職時、独立時に公務員経験がプラスになる可能性がある

      たとえば、市役所の公務員として働く業務であれば、労務関係などの業務での知識理解が深まります。

      また、労務関係の業務等を経験していれば、社労士としての実務経験が貯まり転職に有利になる可能性があります。

      対象となる方
      【未経験・第二新卒歓迎!意欲重視!】働きながら資格取得を目指せる環境です。 ◎労務業務や社労士事務所での実務経験者は歓迎! ※学歴不問

      (引用元:マイナビ転職|社会保険労務士法人あかつき)

      実際に転職サイトには「労務事務の実務経験者は歓迎」と記載している企業もあります。

       

      持っていて損の無い資格ですので、ぜひ検討してみてください。

      5. 社労士資格を取っても意味ないの?

      結論として、社労士資格を取ることには意味があります。

      社労士資格に関するメリットやデメリットをまとめました。

      メリット デメリット
      • 社労士は転職に有利
      • 企業で勤めている人は昇給のチャンスがある
      • 年収が上がる可能性がある
      • 試験難易度が高く、合格まで時間がかかる
      • 社労士として独立するのは難しい
      • 一部の中小企業では社労士に対してマイナスイメージがある

      デメリットである独立に関する難易度や、中小企業からのマイナスイメージは、社労士として経営をしていく中で改善していくことは可能です。

      実際に独立するまでの準備をしっかりすれば避けられる内容ですので、心配することはないでしょう。

      上の表でもわかるように、社労士資格を取ることはデメリットに比べて圧倒的にメリットが大きいです。

      社労士資格は自分の将来の選択肢を増やすためにも意味のある資格です。

      6. 社労士試験に受験資格ってあるの?

      社労士試験には、受験資格があります。

      受験資格に満たない場合は、受験ができません。

      ここでは代表的な受験資格5つを抜粋して紹介します。

      • 大卒(もしくは大学で62単位以上修得)
      • 修業年限が2年以上で、総授業時間数が1700時間以上の専修学校の専門課程を修了
      • 3年以上の実務経験(公務員として3年以上従事・社労士や弁護士の補助に3年以上従事・事業を営む個人として労働社会保険諸法令に関する事務に3年以上従事など)
      • 厚生労働大臣が認めた社労士試験以外の国家試験の合格者
      • 司法試験予備試験、旧法の規程による司法試験の第一次試験、旧司法試験の第一次試験又は高等試験予備試験に合格した者

        (参照:社会保険労務士試験オフィシャルサイト|受験資格について)

        学校の卒業や単位数の確認を受験の前にする必要があるため、受験申込後すぐに書類を送る作業があります。

        あらかじめ書類をまとめておくことが大切です。

        7. 社労士(社会保険労務士)試験に合格するために必要な勉強時間はどのくらい?

        ユーキャン、スタディング、フォーサイトに記載されている、社労士試験に合格するために必要な勉強時間をまとめてみました。

        サイト名 社労士試験に合格するために必要な勉強時間
        ユーキャン 1,000時間
        スタディング 1,000時間から1,200時間
        フォーサイト 独学なら800~1,000時間

        通信講座・予備校通学なら600~700時間

        表によれば、社労士試験に必要な勉強時間は平均して700〜1,000時間と考えられます。

        独学で勉強する場合と、通信講座を利用する場合で勉強時間が変わることもポイントです。

         

        実際に社労士試験に合格した人の勉強スケジュールも下記にまとめてみました。

        運営者名 ブログ名 勉強時間
        なつき さん なつきの資格ラボ|社労士 合格体験記 平日4時間以上、休日は8時間以上
        鈴木翔太郎 さん 社労士黄金旅程|【現役社労士が語る】ぼくの社労士試験 不合格&合格 体験記 平日は2~3時間、休日は8~10時間
        古城戸 孝児 さん スタディング|合格者の声 平日1日2時間、週末は8時間

        ブログを見てみると、社労士試験に向けての1日の勉強時間の確保や、実際に使用した勉強方法まで細かく書かれていました。

         

        1~3月でだいたい過去問にも目を通せた、テキストの回転も数をこなせてきた、というのもあり、4月以降は予備校の模試にもチャレンジすることにしました。

        過去問を見る限り、テキストさえ極めていれば、一般常識以外は合格点は取れるはずなので、私の模試の受験理由は試験のタイムスケジュールに慣れておきたいこと、一般常識問題のネタを少しでも仕入れておきたいことでした。

        全部で4回ほど受験したと思います。

        (参照:なつきの資格ラボ|社労士 合格体験記)

        上の表でも紹介したなつきさんは、勉強時間の確保に加えて模試の挑戦もしていました。

        試験を受ける前に試験の雰囲気を知ることのできる模試は、試験合格の一歩かもしれませんね。

        勉強方法や模試対策、勉強時間の配分など、参考にしてみてください。

        社労士は意味のある資格であり、努力次第で年収アップも可能な職業である

        社労士資格について

        • 社労士資格は意味のある資格である。
        • 社労士試験の合格率は3~7%とかなり低く、何度も受験してやっと合格できる資格である。
        • 社労士資格を獲得することで、仕事の幅が広がったり昇給のチャンスがある。
        • 社労士としての働き方は、働く人に寄り添い、問題を解決する将来性のある仕事である。

        本記事では、社労士資格は意味のあるものかという疑問を解決しながら、社労士の業務内容や社労士試験の概要について説明しました。

        結論として、社労士の資格を取ることは意味があり、将来性もあります。

        試験難易度はかなり高く、1000時間以上の勉強時間をかけてやっと合格できると言われています。

        ただ、そんな難しい資格だからこそ、資格を獲得することで自分の仕事の幅が広がり、昇給や独立などの将来性も高まります。

        本記事を読んで、社労士資格の取得に関する悩みが解消されたら嬉しいです。

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        監修者情報

        徳永 浩光のアバター 徳永 浩光 キャリアコンサルタント

        WEBメディアの監修や300社以上のキャリア相談を通じて、働く人の悩みに寄り添い、気付きを与えるキャリアコンサルタント。「偶然を生かす」という考え方を大切にし、真の願望を明らかにするアプローチを採用。

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