学生、社会人を問わず人気の資格である行政書士。
将来的に独立をして年収アップを目指す方はもちろん、自分自身のキャリアアップとして試験に挑まれる方も多数いらっしゃいます。
しかし、興味があって調べてみたけど、実際に試験勉強をした人から「難しすぎる!受かる気がしない!」なんて声を耳にした方も多いのではないでしょうか。
そこで、今回は行政書士試験や勉強の難易度、合格率などについて詳しく解説をしていきたいと思います。
もし、行政書士試験の難しさについて不安を持っている方は、ご参考にしてください。
行政書士試験は、通信講座で学習するのもおすすめの方法です。
詳しくは、こちらの記事でも解説しています。
行政書士ってどんな資格?
漠然としたイメージはわかるんだけど、行政書士って普段どんな仕事をしているの?と疑問に持つ方は多いのではないでしょうか。
試験が難しいのは知っているけど、実際にどんな業務を行っているのかについて、確認していきましょう。
行政書士ってこんな資格
行政書士とは、官公庁(役所や警察署等)に提出する許認可申請書類を本人に代わって作成できることを専門とした資格です。
許認可申請の種類は多岐にわたり、1万種類以上あるともいわれています。
ほかにも、法人設立時の定款作成や認証手続き、助成金や補助金の申請など、中小企業などの運営をサポートする役割を持ちます。
企業だけではなく、町の身近な法律家として遺言や相続に関する手続きや内容証明の作成など、私たち個人の権利や義務に関する書類作成と相談業務を行うことができます。
行政書士にはどうすればなれるの?
行政書士になるには、行政書士法第二条により以下の3つのいずれかの条件を満たす必要があります。
1.行政書士試験に合格をする。
2、弁護士、弁理士、公認会計士、税理士のいずれかの資格を有する。
3、公務員として行政事務を担当し、一定の年数を経験する。
行政書士試験に合格するのはもちろんのこと、他の資格や公務員としての経験があれば、行政書士として登録ができることも行政書士の魅力の一つです。
しかし、弁護士等の資格は行政書士よりもかなり難易度が高く、行政書士になるためにその他の資格を取る、という方は珍しいでしょう。
また、国または地方の公務員として、行政事務を20年以上(高校、大学等を卒業していれば17年以上)経験していなければならず、期間がかなりかかってしまいます。
行政書士として登録をするには三つの方法がありますが、超難関国家資格を持っていたり、公務員として最低でも17年は行政事務を担当しなければいけなかったりと難しい条件があるため、行政書士試験に合格することが最短であると言えます。
行政書士はなぜ人気なの?
様々な方法で登録できる行政書士ではありますが、行政書士試験がなぜ人気なのかを紹介していきたいと思います。
行政書士資格が人気の理由の主に4つあります。
1.受験資格がなく誰でも受験が可能
2.登録や独立がしやすい
3.職務の幅が広い
4.他の資格との相性がよい
それぞれ4つの理由について詳しく見ていきましょう。
1.受験資格がなく誰でも受験が可能
難関国家資格の中には、大学での履修や職歴、所持資格等、試験を受けるために受験資格を設けているものがあります。
しかし、行政書士試験は、年齢・学歴・国籍を問わず、どんな方でも受験することができます。
実際に、令和3年度行政書士試験では、最年長合格者として84歳女性が1名、最年少合格者として14歳の男性・女性が各1名、合格されています。
2.登録や独立がしやすい
行政書士として登録するために、研修や実務経験が必要ありません。
弁護士や司法書士、税理士等、資格を取ってから実務経験がないと登録することができない資格は多々あります。
しかし、行政書士試験に合格してしまえば、実務経験などがなくても行政書士として登録し、すぐに独立までできてしまいます。
3.職務の幅が広い
行政書士が官公庁へ提出できる許認可等書類は、1万種類以上あります。
また、権利義務・事実証明等の書類も1千種類を超えると言われています。
書類を作成するだけでなく、企業や個人のコンサルティングや相談を行うこともあり、様々な形でサポートをすることができます。
4.他の資格との相性がよい
業務の幅の広さから司法書士や社会保険労務士、宅地建物取引士などの資格と相性がよく、ダブルライセンスでキャリアアップを目指す人も多いです。
また、法律系資格の登竜門として捉えている人も多く、司法書士や税理士を目指す上での足がかりとすることもあります。
行政書士と司法書士はどう違うの?
法律を扱う国家資格として、行政書士と司法書士がありますが、行政書士とどこが違うのかまとめてみました。
行政書士 | 司法書士 | |
主な書類の提出先 | 官公庁 | 法務局 |
独占業務 | ・官公庁に提出する書類作成
・その他権利義務又は事実証明に関する書類の作成 上記の書類の提出代理、作成代理、作成相談 |
・登記又は供託手続き代理
・法務局への提出書類作成 ・法務局への再審査請求手続代理 ・裁判所又は検察庁への提出書類の作成 上記の書類の提出代理、作成代理、作成相談 |
受験資格 | なし | あり |
試験合格率 | 10~15% | 3~4% |
試験合格後、登録に必要な研修や実務経験 | なし | あり |
官公庁への申請を主に行う行政書士と違い、司法書士は、主に法務局への登記・供託手続きの書類作成や申請を行います。
行政書士と司法書士にはそれぞれ独占業務があり、申請のできる種類が異なります。
しかし、二つの資格はとても相性がよく、ダブルライセンスをすることによって、ありとあらゆる法的書類を提出先問わずに扱うことができます。
行政書士を取得するメリット
行政書士を取得する一番のメリットは、独立開業がしやすいという点です。
弁護士や税理士、司法書士などと違い、行政書士には研修期間や実務経験がなくても登録、開業ができます。
また、行政書士として働かない方でも、行政書士資格を持っていることで法律の知識が身についている証拠になり、就職や転職に有利に働くことがあります。
会社の法務部などで働いていらっしゃる方は、ご自身のキャリアアップにぴったりの資格です。
また、すでに他資格を取っている方、これから他資格を取りたいと思っている方は、ダブルライセンスとして取得することで業務の幅を広くできます。
行政書士試験の難易度は?
行政書士について様々な解説を行ってきましたが、今度は行政書士試験について詳しく見ていきましょう。
・行政書士試験に受かる気がしない、難しすぎる?
・行政書士試験の合格率は?
・行政書士の合格率が低い理由
・行政書士試験が難しくなった?
・試験合格に必要な学習時間
・他資格(司法書士や社労士)合格率から見る行政書士の難易度ランキング
・勉強時間から見る行政書士の難易度ランキング
・なぜ行政書士の難易度が高いのか?
こちらでは、難関国家資格とも言われる行政書士試験の難易度について解説をしていきたい思います。
行政書士試験に受かる気がしない、難しすぎる?
行政書士試験を受験するにあたり、気になるのはその難易度です。
初心者が独学でも簡単という声もありますが、一方でかなり難しい、受かる気がしないとも言われたりすることもあります。
実際、行政書士試験は難易度の高い試験です。
行政書士試験の合格率は例年10~15%となっており、試験範囲が非常に広いです。
特に、法律初心者では何から勉強をしていいのかも分からず、十分な学習ができずに難しいという印象のまま受験をしてしまう人も少なくありません。
また、科目合格制度がないために一発で試験を合格しなければならず、そこで躓いてしまうという声もあります。
しかし、行政書士試験は誰でも挑戦することが可能で、しっかりと勉強をすれば合格できます。
行政書士試験の合格率は?
行政書士試験の合格率は、例年10~15%となっており、直近では10%前後の推移をしております。
10人に1~2人程度の合格率と考えると行政書士試験の難易度がうかがえます。
令和5年度行政書士試験では、申込者数59,460人中、合格者は6,571人となっており、合格率は13.98%でした。
行政書士の合格率が低い理由
まず、行政書士試験は試験範囲が非常に広いことが特徴にあげられます。
法令科目:憲法、行政法、民法、商法、基礎法学の5科目
一般知識科目:政治・経済・社会、情報通信・個人情報保護、文章理解の3科目
行政書士の取り扱う業務範囲と同じように、試験範囲も広く設定されています。
様々な法律が覚えることはもちろんのこと、判例の元にした問題や記述問題等もあるため、学習しなければいけない範囲が非常に多岐にわたります。
毎年改定されている法律にも対応しなければならず、知識を更新し続ける必要もあります。
また、行政書士試験のメリットの一つでもある、誰でも受験ができるという点が合格率の低さにつながっている要因です。
申込者の中には、勉強不足の人や試験や問題の対策を行わないまま受験をする方がいます。
行政書士試験が難しくなった?
行政書士試験が昔と比べ、どんどん難しくなったという声があります。
そこで、直近10年の合格率を見てみましょう。
■直近10年間における行政書士試験結果の推移
(単位:人)
年度 | 受験申込者数 | 受験者数 | 合格者数 | 合格率 |
令和5年度 | 59,460 | 46,991 | 6,571 | 13.98% |
令和4年度 | 60,479 | 47,850 | 5,802 | 12.13% |
令和3年度 | 61,869 | 47,870 | 5,353 | 11.18% |
令和2年度 | 54,847 | 41,681 | 4,470 | 10.72% |
令和元年度 | 52,386 | 39,821 | 4,571 | 11.48% |
平成30年度 | 50,926 | 39,105 | 4,968 | 12.70% |
平成29年度 | 52,214 | 40,449 | 6,360 | 15.72% |
平成28年度 | 53,456 | 41,053 | 4,084 | 9.95% |
平成27年度 | 56,965 | 44,366 | 5,820 | 13.12% |
平成26年度 | 62,172 | 48,869 | 4,043 | 8.27% |
(引用元:行政書士試験研究センター)
令和4年度では、受験者数46,991人に対し、合格者数は6,571人となっており、合格率は13.98%になります。
令和元年度から令和4年度の試験を見てみると、直近3年の合格率は約10~12%なっており、受験者の10人に1人の割合で合格していることがわかります。
直近10年の合格率を見ると平成29年度の15.72%が最も高くなっており、平成30年度以降では少し減少傾向にあります。
令和3年度の試験では少しだけ回復したようにも思えますが、合格率はほぼ横ばいの状態にあります。
つまり、直近10年のデータから考えると、合格率はほぼ変わっておらず、行政書士の試験の試験の難易度はほぼ変わってないといえるでしょう。
試験合格に必要な学習時間
行政書士試験合格に必要な学習時間として、大手資格サイトは次の時間を目安としています。
独学での学習時間 | 通信講座での学習時間 | |
ユーキャン | 800~1000時間 | 500時間 |
アガルートアカデミー | 800~1000時間 | 600時間 |
フォーサイト | 800~1000時間 | 600時間 |
まとめてみると、どの資格サイトでも行政書士試験合格に必要な学習時間は、法律初心者が独学で800~1,000時間になります。
通信講座やスクールなどを利用した場合でも、500~600時間程度の学習時間を確保しなければなりません。
また、独学で合格した方の中では、半年で500時間勉強し、合格したという方もいらっしゃいました。
出題範囲の広く、記述式の問題もあるため法律の基礎知識があるかどうかで必要な学習時間が大きく異なります。
特に独学で勉強する場合は、学習内容以上に学習方法の情報収集に時間が取られてしまいます。
他資格(司法書士や社労士)合格率から見る行政書士の難易度ランキング
行政書士とよく比較される他資格の合格率をまとめたものがこちらになります。
資格 | 例年の合格率 |
司法書士 | 3~4% |
社労士 | 6~7% |
行政書士 | 10~15% |
宅建士 | 15~16% |
(引用元:アガルートアカデミー公式サイト)
行政書士の合格率は例年で10~15%と、低い部類に入ります。
合格率だけで見ると行政書士は、社労士よりは簡単で宅建士より難しいとみることができます。
社労士は競争率の高い資格として有名で、行政書士よりも合格基準が細かく17種類も設定されており、基準を全て満たす必要があるため合格率が低い傾向があります。
超難関資格と呼ばれる司法書士の合格率は3~4%と、行政書士試験よりもかなり難易度が高いことがわかります。
勉強時間から見る行政書士の難易度ランキング
合格率に続いて、勉強時間をまとめたものがこちらになります。
資格 | 勉強時間 |
司法書士 | 3,000時間 |
社労士 | 1,000時間 |
行政書士 | 600~1,000時間 |
宅建士 | 300~400時間 |
(引用元:アガルートアカデミー公式サイト)
司法書士は超難関資格と言われてるだけあって、3,000時間の勉強時間を確保しなければいけません。
社労士は1,000時間程度と言われていますが、受験資格を満たす必要があり、実際にはさらに時間がかかる場合があります。
宅建士は勉強時間こそ少なく見えるものの、大学や仕事上で基礎知識を持つ人が多く、完全初心者ではより多くの勉強時間が必要になります。
対して、行政書士は独学で800~1,000時間程度、通信講座などを利用すれば500~600時間程度で合格を狙えます。
なぜ行政書士の難易度が高いのか?
行政書士試験は、試験範囲が広く出題形式が多様で対策が困難です。
5肢択一式の問題がメインですが、多岐選択式や記述式問題もあり、それぞれの出題形式に合わせて学習する必要があります。
また、科目合格制度がなく、毎年一発勝負で合格しなければなりません。
合格基準が3つもあり、すべてを満たさなければ合格とならないのも難易度が高い理由の一つです。
法律を扱う都合上、毎年改定される法律をしっかりと学ぶ必要があり、今まで勉強した内容が変わってしまうことも難易度を高くしています。
行政書士の気になる年収は?
実際に行政書士に登録し、業務に就こうとした際に気になるのはやはりその年収ではありませんか?
せっかく行政書士として勉強したのに、思ったより収入が低い、なんてことのならないように解説をしていきます。
行政書士の平均年収
日本行政書士連合会では、5年に一度売上についてアンケートを行っております。
平成30年(2018年)に行ったアンケートでは以下のようになっています。
平成30年行政書士アンケート結果(回答4,338件)
年間売上 | 割合 |
500万円未満 | 78.7% |
1,000万円未満 | 11.3% |
2,000万円未満 | 5.3% |
3,000万円未満 | 1.8% |
4,000万円未満 | 0.8% |
5,000万円未満 | 0.5% |
1億円未満 | 0.8% |
1億円以上 | 0.3% |
未回答 | 0.4% |
(引用元:日本行政書士連合会)
アンケート結果の中では、500万未満という方が78.7%と最も多い結果になりました。
あくまで年間売上(年商)であり、ここから経費を引いたものが年収になると考えると、おおむね年収は300~400万円の間と言えると思います。
ただし、全体の数字であり、業務が多岐にわたることから個人差が非常に大きいです。
独立開業などをしたり、より難しい業務を専門としている行政書士の中では、年収1,000万円を超える行政書士も多数存在しています。
一度の報酬で10~20万ともらえる業務も多く、営業力のある人であれば、さらなる年収アップが狙えます。
行政書士1年目の平均年収
行政書士1年目として事務所などに所属する場合は、月収20万程度、年収では250万程度がひとつの目安となります。
実際に、資格よりも実務を重視する事務所が多く、残念ながら1年目では大きな収入は見込めないことが多いです。
将来的に独立を目指す方が多いのも、こういった理由からと考えられます。
行政書士試験に合格するための対策
行政書士試験に合格するには、多岐にわたる出題範囲に対応するだけではなく、合格基準に達する必要があります。
ここでは、出題範囲や合格基準をもとに、どのような対策ができるのか解説していきます。
合格基準点から見る出題範囲
行政書士試験の合格基準は三つあります。
(1)行政書士の業務に関し必要な法令等科目の得点が、122点以上(244点中)
(2)行政書士の業務に関連する一般知識等科目の得点が、24点以上(56点中)
(3)行政書士試験全体の得点が、180点以上(300点満点中)
これら3つの合格基準を全て満たさなければいけません。
法令等科目の中で民法と行政法を占める割合が非常に高く、全体の6割を超えています。
行政書士試験対策のポイント
行政書士試験の対策を考える上で、民法と行政法は避けて通れません。
中でも民法は、法令等科目の根幹をなす科目となっております。
全体の6割を超える問題数と得点、さらには記述式の問題があるのも民法と行政法になります。
記述式の問題は、民法で40点、行政法でも20点と大きな配点となっております。
しかし、記述式の問題では部分点が加点されます。
しっかりとポイントを押さえ、問題に対して何を問われているのかを把握できれば大きなマイナスになることは少ないです。
5肢択一式と多岐選択式の問題を答え、記述式の問題では部分点を意識すれば、合格が見えてきます。
行政書士は独学で合格できるの?
難易度が高いと言われている行政書士試験は、法律初心者が独学でも合格できるのか不安に思う方も多いと思います。
どうのように勉強を進めていけばいいのか疑問に思っている方はぜひ参考にしてください。
行政書士は独学でも合格できる!
法律初心者が行政書士試験に挑戦した場合、800~1,000時間程度の勉強時間が必要で、半年~1年程度の期間がかかるといわれます。
難関試験ではありますが、合格基準さえ満たせば誰でも合格できることを考えると、独学でも合格は可能です。
独学で勉強を進める場合、あらゆる法令科目の中でも根幹をなす民法の勉強から始めることがおすすめです。
行政書士試験では、民法と行政法の占める割合が問題数と得点共に6割を超えており、記述式問題があるのも民法と行政法のみになります。
大手資格サイト等でも、民法を最初に学ぶことを推奨していることがほとんどです。
基本である民法をおろそかにしたままでは、他の法令科目を学習しても身に付きづらいと考える方が多い証拠でしょう。
次に、行政書士として最も重要視される行政法の学習へ進みましょう。
行政書士試験では、民法よりも問題数と点数の割合が多く、行政書士にとって行政法がいかに大事なものであるのかがうかがえます。
民法も行政法も5肢択一式問題から勉強し、次に多肢選択式問題や記述式問題へとシフトしていくようにしましょう。
行政書士の独学での最短合格の勉強時間は?
行政書士を独学で勉強する場合、大手資格サイトに載っている合格者の記事を見てみると平均800~1,000時間程度、最短では500時間程度が基準になります。
500時間程度というのは、大手資格サイトで通信講座を利用し、勉強した場合の平均時間と同じような数字になります。
通信講座のようなスケジュール管理や学習方法が必要になってしまいますが、一つの目安として捉えることができます。
また、出題範囲が非常に広いことを考えると、半年から1年の期間で集中して学習することが必要になるでしょう。
自分に合った勉強法を見つけ、効率化を図ることで最短合格を狙えます。
独学合格スケジュール
最短500時間で合格することを基準に合格スケジュールを考えてみましょう。
平日 | 休日 | 週合計 | 月合計 | |
半年で500時間勉強する場合 | 2時間 | 6時間 | 22時間 | 約90時間 |
1年で500時間勉強する場合 | 1時間 | 3時間 | 11時間 | 約45時間 |
半年で500時間勉強する場合は、平日に2時間、休日には6時間という計算になります。
特に週末にしっかりと時間を確保できる方であれば、半年~1年を目安に学習スケジュールを組むことができます。
忙しい社会人の方などは、平日休日ともに時間が取れないという方でも無理なく学習できる時間を設定し、期間を決めて集中して学習に取り組める環境を作りましょう。
行政書士を完全独学で合格する勉強法
独学で頑張りたいけど、テキストはどれを選べばいいの?机の前でテキストを読むだけじゃ飽きてしまう等と思ってしまう方は多いのではないでしょうか。
しかし、現在では勉強に対して、様々な方法でアプローチをしていくことができます。
テキストや動画、アプリ等を駆使して、自分に合った勉強方法を見つけていきましょう。
行政書士おすすめのテキスト
ここでは、行政書士を独学で勉強するには必須となるおすすめのテキストをあげています。
行政書士試験で重要な点について、丁寧な解説がなされているか、憲法での判例の争点等が整理されているか、解説と暗記事項などが区別されているか、等を中心にアマゾンでの評価やレビュー数等をもとに選びました。
おすすめその1 うかる!行政書士 総合テキスト(伊藤塾)
このテキストの特徴として、別冊で「ハンディ行政書士試験六法」がついてきます。
この六法では、憲法、民法、行政法など、行政書士試験に必要となる法令が収録されています。
本文中でも行政書士に必要な民法や行政法を詳しく丁寧な説明がされており、考え方や理解の助けとなるポイントが随所に見受けられます。
また、憲法を学習する際に判例について、詳しく記載があることもおすすめの理由です。
印刷がフルカラーで見やすく、ラインマーカーも引ける色調になっていますので、テキストに直接書き込んだり、線を引きながら自分だけのテキストを作りたい方には非常におすすめです。
おすすめその2
こちらのテキストもフルカラーで見やすく、2021年版から別冊六法を付属するようになりました。
行政書士科目のうち、憲法、民法、行政法に事例や判例などをベースとした解説が見やすく、理解しやすい構成になっています。
各テーマごとに確認テストが設けられ、理解ができたかを確認しながら学習できる点がおすすめです。
また、条文や判例を必要な場面で掲載するという構成で、かなり工夫されています。
法律を学ぶのが初めて、という方でもしっかりと理解しながら学習を進められる内容になっています。
おすすめのサイトや動画、アプリまとめ
試験勉強というと、机の上でテキストを広げ学習するイメージの方も多いと思います。
しかし、サイトやアプリ、動画等を駆使することで、隙間時間でも効率よく学習を進めることができます。
ここでは、そんな隙間時間でも簡単に勉強ができるサイト等をご紹介いたします。
おすすめサイト
行政書士試験!合格道場
行政書士試験を勉強する方の中で有名な問題演習サイトです。
過去問がとても充実しており、全て無料で利用できます。
問題演習を行った際に正誤を表示するだけでなく、一問一問に対して丁寧な解説を行ってくれるため、勉強初期から試験前の腕試しまで幅広く利用することができます。
また、法改正にも対応しており、過去問であっても現在の法律と矛盾しないように常に修正をしています。
練習問題や解説動画などは有料になりますが、無料コンテンツだけでも十分と思えるほど充実したサイトです。
おすすめの動画、Youtube
Youtube「行政書士独学応援」
このチャンネルでは、行政書士の佐藤浩一先生が行政書士試験についての動画を投稿していらっしゃいます。
チャンネル登録者数も2万人を超えており、人気の動画となります。
特に、行政書士の基礎となる民法と行政法を中心に、過去問からわかりやすく解説をしております。
また、解説以外にも、スケジュールの立て方や質問に答えてくれる動画などもあり、非常に親切なチャンネルです。
試験対策だけでなく、実際の業務に関する動画もありますので、ぜひ参考にしてください。
おすすめのアプリ
無料で使えるおすすめのアプリとして、「行政書士 過去問 2024」をお勧めします。
完全無料で使用できる行政書士試験の過去問のアプリになります。
勉強のためというよりも、隙間時間で腕試しとして過去問を解くときにおすすめです。
科目別・分野別に解くことができ、全問解説付きで間違えた問題にチェックができるなど、復習にも対応しています。
しかし、無料版ということもあり、法改正などには対応しきれていない部分があるという意見もありますので、ご注意ください。
独学では難しすぎる?通信講座ってどうなの?
会社名・講座名 | 特徴 | 公式サイト |
アガルート | 令和5年度合格率全国平均の4.01倍 | 公式サイト |
資格の大原 | 高い受講生満足度 | 公式サイト |
伊藤塾 | 講師やスタッフに質問可能 | 公式サイト |
スタディング | スマホ1台で学習 | 公式サイト |
資格スクエア | 担当講師に質問できる | 公式サイト |
ユーキャン | わかりやすいテキスト | 公式サイト |
フォーサイト | 2023年度の受講生合格率45.45% | 公式サイト |
東京法経学院 | 回数無制限の質問制度 | 公式サイト |
(各社HPを参考に当サイトにて作成)
行政書士試験を独学で勉強していたとき、以下のような壁にぶつかったことはありませんか?
- わからない問題や判例が出てきたが、自分で調べても納得のいく回答や解説が見つからない。
- 1日〇〇時間のペースで勉強をしているが、スケジュールが正しいのかわからない。
- テキストだけで勉強をしていても、なかなか頭に入ってこない。
そういったときは通信講座を使うことで、解決する場合があります。
通信講座のメリット
通信講座を使うメリットとして、不明点を講師に質問することができるという点が一番大きいです。
独学では、テキストを読んでも理解できずに行き詰ってしまうことがあります。
しかし、通信講座を使うことにより、講師にメールや郵送で質問できます。
出題範囲の広い行政書士試験だからこそ、不明点をしっかりと解決していければ、スムーズな学習が進められます。
もう一つのメリットとして、独学に比べてスケジュールの管理がしやすいという点があります。
通信講座の場合、自分の得意・不得意な分野に対してどのように学習すればいいのかなどが一目瞭然です。
継続して学習しなければいけなからこそ、自分に合ったスケジュール管理ができると学習がはかどります。
通信講座のデメリット
通信講座のデメリットとして最初にあげられるのは、独学よりも費用がかかるという点です。
テキストだけ購入する独学の場合と違い、受講に10万~20万前後かかる通信講座もあります。
合格時のお祝い金制度などを導入している講座もありますが、独学と比べると金額は大きく変わってきます。
もう一つのデメリットとして、結局は独学と変わらないと感じる方がいらっしゃることです。
独学と違い、映像で講座を見れるものはありますが、基本的にテキストをもとに学習することがメインになります。
通信講座のメリットデメリットまとめ
通信講座のメリット | 通信講座のデメリット |
・不明点を講師に質問できる
・映像の講義を見ることができる ・自分の得意・不得意がわかりやすい ・スケジュール管理がしやすい |
・独学に比べてかかる金額が大きい
・お金をかけても自分に合う講師に会えるとは限らない ・独学と変わらないと感じてしまうことがある |
通信講座のメリットとデメリットについて解説いたしましたが、いかがでしょうか。
通信講座を使う際に一番気になるのはやはり費用になると思います。
疑問点や不明点を自分ではなかなか解決することができない、自分自身の分析やスケジュールの管理が難しい、という方は通信講座も視野にいれてみましょう。
自分一人では思いもよらなかった部分に気付け、よりよい学習が進められます。
逆に、費用を掛けたくない、結局は自分自身でやることに変わりはないという方は、独学がおすすめです。
YoutubeやSNS等を通じて質問ができる環境がないわけではありませんし、自分と同じような箇所に躓いてしまった人が発信している可能性もあります。
自分に合った勉強法を見つけることで、合格へまた一歩近づくことでしょう。
通信講座について詳しく知りたい方は、下記のリンクも参考にしてください。
行政書士試験概要
行政書士試験が実際、どのような形で行われているのか詳しく解説をしていこうと思います。
行政書士試験の受験資格
年齢、学歴、性別、国籍等に関係なく、どなたでも受験できます。
一部の国家資格では、学歴や実務経験が受験資格になるものもあり、受験要件を満たすだけで数年単位でかかるものも少なくありません。
しかし、行政書士試験は、どんな人でも受験ができるという大きな特徴があります。
試験スケジュール(申込から合格発表まで)
行政書士試験は、毎年1回、11月の第2日曜日 午後1時から午後4時までで行われます。
正確な日程や試験会場、毎年7月の第2週に公示されます。
申込期間も同時に公示され、7月下旬から8月下旬の約1か月間の間に郵送またはインターネットで申し込みが可能です。
受験手数料は、令和4年度に改定され、10,400円になりました。
試験会場を選択できますが、基本的に先着順となっているため、お申込みは早めに行うことをおすすめします。
※郵送とインターネットで期限が異なる場合がありますので、注意してください。
合格発表は、翌年1月下旬から2月上旬のいずれかの日に行政書士試験研究センター事務所の掲示板に公示(提示)またはインターネットにて行われます。
2月中旬には、合格通知書が受験者全員に送付され、合格した場合は、2月末までに合格証が簡易書留で送られてきます。
試験方式(内容と出題範囲)
行政書士試験で出題される内容と範囲について、一覧にした表がこちらになります。
出題形式 | 問題数 | 出題形式
別配点 |
科目別配点 | 割合 | ||
法 令 科 目 |
基礎法学 | 5肢択一式 | 2問 | 8点 | 8点 | 3% |
憲法 | 5肢択一式 | 5問 | 20点 | 28点 | 9% | |
多肢選択式 | 4問 | 8点 | ||||
民法 | 5肢択一式 | 9問 | 36点 | 76点 | 25% | |
記述式 | 2問 | 40点 | ||||
行政法 | 5肢択一式 | 19問 | 76点 | 112点 | 37% | |
多肢選択式 | 8問 | 16点 | ||||
記述式 | 1問 | 20点 | ||||
商法 | 5肢択一式 | 5問 | 20点 | 20点 | 7% | |
一 般 知 識 |
政治・経済・社会 | 5肢択一式 | 7問 | 28点 | 56点 | 10% |
情報通信・個人情報保護 | 5肢択一式 | 4問 | 16点 | 5% | ||
文章理解 | 5肢択一式 | 3問 | 12点 | 4% | ||
合計 | 60問 | 300点 | 300点 | 100% |
行政書士試験で出題される内容は、法令科目と一般知識科目の2種類になります。
法令科目とは、基礎法学、憲法、民法、行政法、商法からなる法律の問題が出題されます。
一般知識科目では、政治、経済、社会、情報通信、個人情報保護法、文章理解などの解答が求められます。
出題形式は、5肢択一式・多肢選択式・記述式のパターンがあります。
多肢選択式と記述式では、部分点がもらえる場合があります。
出題範囲の中で、行政法と民法の占める割合が多く、合わせて全体の60%を超えています。
試験の合格基準点
行政書士試験は、次の要件を全て満たした方が合格となります。
(1)行政書士の業務に関し必要な法令等科目の得点が、122点以上
(2)行政書士の業務に関連する一般知識等科目の得点が、24点以上
(3)行政書士試験全体の得点が、180点以上(300点満点中)
行政書士試験では、絶対評価制が採用されています。
一部国家資格(司法書士等)の相対評価では、合格基準点を満たした上で成績上位〇名などと厳しい基準もあります。
しかし、行政書士試験では合格基準点を満たすことができれば、何人でも合格できます。
行政書士の独学に関するよくある質問
行政書士の独学に関するよくある質問 |
・行政書士試験は、何から勉強すればいいの?
・社会人で勉強時間を確保するのが難しいけど、合格できるの? ・自分一人で独学をしてるけど、どうやってモチベーションを保てばいいの? ・テキストを暗記すれば合格できる? |
行政書士試験を独学を進める際によくある質問についてまとめました。
これから独学での勉強を始めようと思っている方はぜひ参考にしてください。
何から勉強すればいいの?
行政書士試験の問題は、民法と行政法が6割を超えます。
特に、民法は法令等科目の中で、根幹をなす科目となります。
まず何から勉強していいのかわからないという方は、最初に民法、次に行政法の5肢択一式問題から勉強することがお勧めです。
多肢選択式や記述式問題は知識がないと解くことが難しい問題です。
基本をしっかりと押さえ、その後苦手科目や一般知識科目などに移ることで全体的な点数の底上げにつながります。
社会人で時間がない。それでも合格できる?
時間がない社会人こそ、ぜひ行政書士試験に挑戦していただきたいです。
なぜなら、行政書士という資格は、業務の幅が広く、どんな仕事にも通ずるところがあるからです。
行政書士として法律の知識を深めることで、自身のキャリアアップだけでなく昇進や転職、独立等のステップアップが見えてくることでしょう。
時間がないからこそ、スケジュール管理や学習時間の確保が難しくなってきます。
しかし、半年から1年と期間を定めることで、より集中して学習をすることができます。
独学だけで合格できるの?モチベーションの維持はどうすればいい?
独学で勉強というと、机の前でテキストを見て、過去問を解くというイメージを持つ方も多いと思います。
しかし、動画やアプリを通じて隙間時間で勉強することもできますし、SNS等で勉強仲間を見つけて応援し合う方法もあります。
どうしても一人では難しいという方や、行き詰ってしまった方は、通信講座などを利用することを検討してもいいと思います。
1日を通して何もしなかった、という日を作らないように意識をすれば、確実に自分の実力が上がっていきます。
テキストを暗記すれば合格できるの?
一言でいうと、テキストを暗記しただけでは合格は難しいです。
テキストを暗記すれば合格できると思ってしまう方は多くいますが、行政書士試験では法律の理解度を測る問題が多いです。
テキストの内容や過去問の答えを暗記するというよりも、行政書士試験の問題を解くことに意識を向けることでより深く理解することができます。
まとめ:行政書士は結局難しいの?
行政書士の合格率は例年10~15%と難しい試験だと言えます。
しかし、誰でも受験ができ、独学でも合格が可能な試験でもあります。
合格率や勉強時間に捉われず、自分に合った勉強方法を見つけることが合格への近道です。
行政書士の資格を取得できれば、より専門的な知識をもとに独立も視野に入ってきます。
合格したその先を意識してぜひ、行政書士合格へ向けて臨んでください。
独学で行政書士の勉強をするのが不安という方は、通信講座での学習を視野に入れてもいいでしょう。
通信講座の詳細はこちらをご覧ください。
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