「法律初心者でも行政書士試験は独学で合格できるの?」
「独学で合格するためのオススメ参考書やテキスト、勉強法が知りたい」
行政書士試験の合格率は、わずか13.98%(令和5年度)。
難易度は高いものの、行政書士試験は年齢・国籍・学歴不問で受験可能です。
そのため、法律初心者でもしっかりと計画を立てて取り組むことさえできれば独学で合格できます。
本記事では、法律初心者が行政書士試験を独学で合格するまでにかかる勉強時間の目安、勉強法やオススメの参考書、独学で試験対策を行うメリット・デメリットなどを紹介します。
これから行政書士試験に独学で取り組んでみようと考えている方は、ぜひ参考にしてみてください。
行政書士試験を勉強する際には、通信講座もおすすめです。
→行政書士 通信はこちら
行政書士試験対策は独学で十分?
難関と言われる行政書士試験ですが、対策方法は以下3種類あります。
- 通学
・学校に通って勉強する
・テキストは学校側が用意するものを使う
・カリキュラムはあらかじめ決められている(講師の授業にそって勉強すればよい)
・講師に質問ができる - 通信教育
・通信教育のテキストを使って勉強する
・カリキュラムはあらかじめ決められている(決められた順番で勉強を進めていく)
・通学より頻度は少ないが講師に質問する機会がある - 独学
・市販のテキストのみで勉強、テキストも自分で選ぶ必要がある
・カリキュラムはなく自分で立てなくてはならない
・講師に質問する機会はない
難易度は「通学<通信教育<独学」の順に高くなりますが、法律初心者でも独学で合格を勝ち取る方もいます。
実際に行政書士に合格された方による、
【高卒独学】現役行政書士の試験勉強法を公開!法律初学でも受かります。
という動画も公開されていました。
つまり「行政書士試験対策は独学でも十分に合格を狙える」と言えます。
ただし、独学の場合、文字通り一人で勉強することになるので、モチベーションを維持が大変だったり、膨大な科目の勉強スケジュールを自分で立てなければなりません。
独学で行うには「向き」「不向き」があると言えるでしょう。
行政書士試験対策を独学で行うのに向いている人
独学に向いている人の特徴は以下が挙げられます。
- モチベーションの維持ができる
- スケジュール管理が得意
- テキストを読んで法律用語を自分で理解できる
詳しくみていきましょう。
モチベーションの維持ができる
独学の場合、周囲に一緒に勉強する仲間がいないのでモチベーションの維持が大変です。
長い試験対策の中で「勉強方法でつまづいた」「誘惑に負けて勉強を中断してしまった」など出てきます。
そんなことがあっても励ましてくれたり、目標になる仲間が身近にいません。
モチベーション維持には「早く合格して開業してやりたいことがある」「仕事の収入が上がる」など具体的な目標を持ち続ける必要があります。
スケジュール管理が得意
行政書士試験は「憲法」「民法」「行政法」「基本法学」「会社法」など、法律の知識を広く問われます。
特に法律初心者にとって法令はなじみが薄く、理解して覚えるまでに時間が必要です。
そのため、「法律のどこから手をつけていけば良いか」「どれくらい時間をかければよいか」を試験当日から逆算してスケジュールを立てなければなりません。
また、現在の勉強進捗状況が試験当日から逆算して「順調なのか」「遅れているのか」などを客観的に把握する必要もあります。
つまり、一から学習カリキュラムを立てなければならない独学は、スケジュール管理得意な必要があるでしょう。
テキストを読んで法律用語を自分で理解できる
独学の場合、通学や通信教育の場合と異なり講師への質問はできません。
そのため、テキストを読んでいてわからない箇所がでた時に、自分で調べて解決する必要があります。
法律についてわかりやすく解説された「法律解説本」(後述)などを活用して、なじみの薄い法令をどこまで自力で理解できるかが鍵になるでしょう。
行政書士試験対策を独学で行う際にかかる勉強時間
行政書士試験対策を独学で行った際にかかる勉強時間は一般的に800〜1000時間程度、最短でも500時間程度と言われます。
事前の法律知識や勉強方法によって差がつくところです。
大手通信講座「ユーキャン」によれば、法律初心者が独学で勉強するのであれば、最短でも800時間はかかるとしています。
参考までに他の法律系資格と比較してみましょう。
資格名 | 勉強時間 |
---|---|
行政書士 | 800時間 |
社労士 | 1000時間 |
司法書士 | 3000時間 |
弁理士 | 3000時間 |
司法書士や弁理士ではないにしろ、膨大な時間がかかることは事実です。
勉強時間を800時間と想定した場合、「どのくらいの期間」「1日あたりどのくらい」行えばよいのでしょうか。
準備期間 | 1日あたりの勉強時間 | 1週間あたりの勉強時間 |
6ヶ月 | 約4.4時間 | 約30.8時間 |
10ヶ月 | 約2.6時間 | 約18.2時間 |
1年 | 約2.2時間 | 約15.4時間 |
準備期間10ヶ月の場合、1日あたり2.6時間必要です。
日中仕事をしている方だと時間を捻出するのは大変になるかもしれません。
初心者が行政書士試験対策を独学で行う際の勉強法
法律初心者が行政書士試験対策を独学で行う際の勉強法のポイントとして、以下のようなものが挙げられます。
- 行政書士試験対策を独学で行う際のスケジュールの立て方
- 行政書士試験対策を独学で行い際の参考書・テキストの選び方
- 学習サイト『行政書士試験!独学道場』の活用
- 行政書士試験過去問の活用法
次章から詳しくみていきましょう。
行政書士試験対策を独学で行う際のスケジュールの立て方
前章では法律初心者が行政書士試験対策を独学で行う場合、目安になる時間は800時間程度としました。
仮に800時間とした場合、試験当日までどのようなスケジュールを立てるとよいでしょうか。
まずは1週間どれくらい学習時間がとれるのか考えてみましょう。
平日の勉強時間 | 約2時間×5日間=10時間 |
---|---|
土日の勉強時間 | 約5時間×2日間=10時間 |
一週間あたりの勉強時間 | 約20時間 |
表のようなケースなら単純計算で、月あたりの勉強時間は20時間×4週間=80時間。
つまり10ヶ月で800時間になります。
しかし、土日が休みではない人も多く、休日にまとまった時間がとれない方もいるでしょう。
その場合、さらに準備期間を長くとる必要があります。
つまり、仕事をしながら行政書士試験対策を行う場合、少なくとも8ヶ月前から遅くとも1年前からは準備を始める必要があるでしょう。
また、行政書士試験では「民法」「行政法」の配点比率が全体の6割にものぼります。
ポイントとして、「民法」「行政法」の学習時間を多めにとり、確実に得点できるようにスケジュール表を作るのがおすすめです。
行政書士試験対策を独学で行う際の参考書・テキストの選び方
法律初心者が試験対策を独学で行うなら、参考書・テキストは以下1〜3の順にそろえましょう。
参考書・テキストを買う場合は1〜3の順番でそろえるのがおすすめ
- 独学向け勉強法の本:『独学で確実に突破する!「行政書士試験」勉強法』
- 法律解説本:『国家試験のためのよくわかるシリーズ』
- テキスト&問題集:TAC出版、伊藤塾など
テキストや問題集から揃えたくなってしまいますが、それだとテキストの法律用語の理解が進まずかえって時間がかかります。
まずは独学向け勉強法の本を買い、次に法律解説本を買いましょう。
テキストや問題集を買うのはそれからでも遅くありません。
次章で詳しくみていきましょう。
おすすめ独学向け勉強法の本:『独学で確実に突破する!「行政書士試験」勉強法』
出典:amazon.co.jp
『独学で確実に突破する!「行政書士試験」勉強法』はまず読んでいただきたい本です。
学習サイト「行政書士試験!合格道場」の代表が独学で行うためのノウハウを解説しています。
スケジュールの立て方から、学習の時間配分、教材の選び方などが書かれていて、「何から始めたら良いかわからない」方はぜひ読んでみてください。
おすすめ法律解説本:国家試験受験のためのよくわかるシリーズ
出典:amazon.co.jp
勉強法をおさえたら、次は法律解説本をチェックしましょう。
『国家試験受験のためのよくわかるシリーズ』がおすすめ。
行政書士受験なら「民法」「行政法」「会社法」「憲法」「判例」の5冊。
法律を初めて学習する人でもわかりやすく解説されていると評判です。
以下、amazonサイト内の購入者レビューをみてみましょう。
『国家試験のためのよくわかる民法』のレビュー
『法律関係に触れたことがない人にとってはわかりやすいと思います
自分にとってはとてもいい買い物でした引用:amazon.co.jp
法律に触れたことがない初心者にとっては、法律解説本を通じた法令理解がとても大切です。
行政書士の民法で6問以上取れない時に急がば回れということで購入しました。結論から言いますととても素晴らしいテキストです。過去問の答え(パターン)だけをひたすら覚えるのではしんどくなるためしっかり条文から理解することの重要性がわかります。また過去問には載ってない問題も理解しやすいよう解説されていますので初学者に特におすすめです。
※同様に行政法の方も購入しましたがこちらも良書でした。
引用:amazon.co.jp
法律初心者ほど条文をしっかり理解したほうが、学習が早く進みます。
行政書士のテキスト・問題集の多くは、法律初心者向けに書かれていません。
そのため、初めて法律用語に触れる場合、いきなりテキストを購入しても理解できないことがあります。
特に法律初心者ならテキストを買う前に、法律解説本から読むことがおすすめです。
おすすめテキスト&問題集:TAC出版、伊藤塾
勉強法や法律解説本をチェックしたら、最後にテキスト・問題集を買いましょう。
①TAC出版
大手通信教育会社の「TAC」から出版されている『スッキリわかる行政書士テキスト』です。
内容を試験に出るところに絞り、合格に必要な6割程度の知識を効率よく身につけられます。
冒頭でイラストを交えた解説があり、全体のイメージを掴みやすい構成です。
また、項目ごとに「重要度」が明記され、各所に表やイラストが用いられ、最後にはミニテストがあるので知識の確認もしやすくなっています。
②伊藤塾
出典:amazon.co.jp
法律系資格で実績のある「伊藤塾」からは、『うかる!行政書士総合テキスト』と『うかる!行政書士総合問題集』が出版されています。
両書とも大手書店チェーンの行政書士試験対策・基本書で3年連続売上No.1(2019〜2021年)を獲得するなど評判の書籍です。
amazon内のレビューをみてみましょう。
伊藤塾ブランドの行政書士の基本書。カラーで見やすく、まとまっているし、見たい項目がすぐ発見できて構成もよい。学問的に重要かどうかと言うよりも出題されやすいかということによって編集されているので、深いことを考えずにこの本を忠実にやれば合格できるというスグレモノ。ただし、初心者はこの本から入ると細かすぎるので、より大雑把なテキストで概要と法律の考え方のコツみたいなものをつかんでからやるべき。
引用:amazon.co.jp
出題されやすいものに絞ってまとまっているので、この本を忠実にやれば合格可能。
ただし、法律初心者は先に法律解説本などで法律の考え方を理解してからのほうがよいでしょう。
行政書士試験に向けて勉強中。法改正に対応する為に買い替えました。伊藤塾オリジナル問題が、自分の弱点を上手く突いて来て、癖になりそう。
引用:amazon.co.jp
法律系資格で実績のある伊藤塾ならではの「オリジナル問題」が好評です。
学習サイト『行政書士試験!合格道場』の活用
出典:https://www.pro.goukakudojyo.com/
独学には学習サイトの活用も有効です。
『行政書士試験!合格道場』は、会員登録制の学習サイト。
無料でも使用可能ですが、すべての機能が使えるプライム会員(最大7,500円/年、登録月で料金変動)がおすすめです。
- オリジナル練習問題と解説が使える
- 年度別の過去問とは別に「法令別」の過去問が活用できる
- 一問一答、単元テスト、総合テストが受けられる(解説付き)
会費がかかるものの、年会費7,500円で膨大な量の問題と解説を活用でき、会員特典である「オリジナル問題」「法令別の過去問」や「一問一答」を使えば一層効率的に学習を進められます。
出典:https://www.pro.goukakudojyo.com/archive/?p=102
例えば、一問一答の場合、絞込み機能が便利です。
サイト上の「絞込み」設定を活用すると「1回正答した問題を除外」できます。
あるいは、2回〜4回以上正答してから問題を除外するように設定可能。
自身の学習進捗度や理解度に応じて「1回正答でOK(除外)」あるいは「2回でOK(除外)」など使い分けると良いでしょう。
行政書士試験過去問の活用法
行政書士試験は過去問を解いて解説を読んで、それを繰り返していればなんとかなるほど簡単な試験ではありません。
まずは法律解説書で法令をしっかり理解し、テキストで試験に出る箇所の知識を深めてから過去問に取り組んだほうが結果としては理解が深まり、正答率も上がります。
- 「参考書の理解→過去問→間違えたところを参考書で調べる→過去問」の繰り返し
- 過去問を解くことで知識定着を確認
- 問題に慣れることで解くスピードがあがる
行政書士試験研究センターから過去問が確認できます。
行政書士試験対策を独学で行うメリット4選
行政書士試験対策を独学で行う場合のメリットは4つ挙げられます。
- 費用が抑えられる
- 自分のペースで取り組める
- 移動にかかる時間を節約できる
- スケジュール管理の能力が身につく
以下で詳しくみていきましょう。
費用が抑えられる
独学は通学・通信講座に比べると費用が抑えられるメリットがあります。
独学 | 通信講座 | 通学 | |
費用 |
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独学の場合、基本的に書籍代が2〜3万程度(例:本記事で紹介したものすべて購入すると24,614円)+模擬試験代に5000円前後なので、かかる費用は概ね35,000円です。
一方通信講座の場合は5〜20万円、通学なら20〜24万円程度学費にかかると言われます。
やはり独学は圧倒的に安く済みます。
自分のペースで取り組める
独学の大きなメリットはマイペースで取り組めるところです。
通学の場合、授業があるのでその時間は予定を空けておかなればなりません。
通信講座は授業こそないものの、課題の提出もありますし、講座ごとに定められた標準学習期間を超えると、サポートが終了してしまう場合も。
その点、独学なら学習期間は自分で決められます。
移動にかかる時間を節約できる
特に通学の場合、学校まで通わなければならず、移動に時間が取られてしまいます。
例えば、自宅から通学先の予備校まで往復1時間かかるとしましょう。
試験準備期間までを8ヶ月800時間と設定し、毎日往復1時間通学に時間がとられた仮定します。
たとえば、LEC通学講座「パーフェクトコースSP」の場合、講座は全87回実施。
開講される87回すべて通学すると、単純計算でも87時間の時間がとられます。
独学の準備期間の目安は800時間であるため、87時間なら目安時間の約1割以上もの時間を通学にとられてしまうのです。
たしかに通学で講義を受けられることは魅力ですが、独学では通学にかかる時間を勉強にあてられます。
スケジュール管理の能力が身につく
マイペースで取り組める独学ですが、学習スケジュールは自分で立てなくてはなりません。
特に普段、仕事や家事に忙しい方であれば、時間を捻出する必要があります。
仕事や家事と両立しながら計画を立て、試験勉強をこなされなければならない一方で、効率的な時間の使い方や捻出ができるようになり、目標達成のためのスケジュール管理能力が身についてくるのです。
スケジュール管理能力は今後の仕事や生活でも必ず役に立つでしょう。
行政書士試験対策を独学で行うデメリット4選
前章では行政書士試験を独学で行うメリットについて述べましたが、もちろんデメリットがないわけではありません。
デメリットは4つ挙げられます。
- 教材の選び方がわからない
- スケジュール管理が大変
- モチベーションの維持が大変
- わからないことを質問できない
それぞれ以下で詳しくみていきましょう。
教材の選び方がわからない
独学の場合、市販の教材から選ぶことになります。
書店や通販サイトでは多くの教材が販売されているため、どれが良いのか、何から買えばよいのかがわからなくなってしまうでしょう。
自分に合った教材を探すのに時間がかかってしまったり、複数の書籍を購入して費用が余計にかかってしまうということもあるかもしれません。
モチベーションの維持が大変
独学の場合、一緒に勉強する仲間がいません。
そのため、励まし合ったり、勉強のことで相談する相手がいないのでモチベーションが下がっても自力で取り戻さなくてはなりません。
また通信講座や通学の場合と異なり、学習期間の定めや提出物などもないので、手を抜こうと思えば簡単にできてしまいます。
わからないことを質問できない
独学の場合はわからないことがあっても質問はできません。
特に法律初心者の場合は、なじみが少ない法律用語が独力で理解できない場合がでてくるかもしれません。
通学の場合なら講師に直接聞くことも可能で、通信の場合でもメールや電話での講師への質問を受け付けているところが多いでしょう。
独学の場合は、法律解説本などを買い揃えながら、自力で理解を進める必要があります。
スケジュール管理が大変
メリットの「スケジュール管理が身につく」と裏腹ですが、自分のペースで取り組める反面、仕事や家事などと両立しながら時間を捻出しながら勉強に取り組んだり、スケジュールを立てるのはすべて自分一人。
効率だけで言えば、受験ノウハウのある通信講座や通学のカリキュラムで強制的にスケジュールが管理されたほうが良いでしょう。
自分でスケジュール管理し続けるのは決して簡単なことでありません。
行政書士試験対策を独学で行うメリットとデメリットのまとめ
独学で行うメリットとデメリットをまとめました。
メリット | デメリット |
---|---|
◯費用が抑えられる | ×教材の選び方がわからない |
◯自分のペースで取り組める | ×モチベーションの維持が大変 |
◯移動にかかる時間を節約できる | ×わからないことを質問できない |
◯スケジュール管理の能力が身につく | ×スケジュール管理が大変 |
このようにメリットとデメリットには、裏腹な部分もあります。
ですが、資格取得を目指す方の努力で、デメリットが克服できれば、自分で何かを選ぶ力、モチベーションのコントロール、自分で解決する力、スケジュール管理能力が培われるのは間違いないでしょう。
確かに、独学で学習すれば、費用を抑えられたり、自分のペースで取り組めるといったメリットがありますが、全て自分で行う必要があるということでもあります。
教材選びに時間がかかってしまったり、せっかく学習を進めていても、わからないことが出てきたときに質問ができなくて、モチベーションが下がってしまったり、スケジュール通りに勉強を進められず焦ってしまうこともあるかもしれません。
自分で学習を進める自信がない方で、費用を抑えて学習をしたいという方であれば、通信教育の受講も視野に入れるといいでしょう。
行政書士 通信に関する情報はこちらの記事にもまとめています。
行政書士試験の概要、難易度や合格率は?
行政書士試験の概要をまとめると以下のようになります。
- 受験資格
- 試験日程
- 試験範囲
- 試験の難易度と合格率
次章以降で詳しくみていきましょう。
受験資格
行政書士試験は年齢・国籍・学歴に関係なく誰でも受験可能です。
国家試験としては珍しく年齢・学歴に制限を設けていません。
受験時の間口が広い資格と言えるでしょう。
試験日程
試験は毎年11月の第2日曜日に実施されます。
時間は午後1時〜4時まで。
令和5年は11月12日(日)に行われます。
試験範囲
試験範囲は大きく分けて以下2種類あり、筆記試験で行われます。
1. 行政書士の業務に関し必要な法令等(46題、配点244点)
出題方法は択一式、記述式。
- 憲法、行政法、民法、商法(会社法)、基礎法学
2. 行政書士の業務に関連する一般知識等(14題、56点)
出題方法は択一式。
- 政治・経済・社会、情報通信・個人情報保護、文章理解
試験の難易度と合格率
行政書士試験は法律系試験の登竜門と言われる試験ですが、難易度は決して低くはありません。
合格率は10%程度です。
また、試験は300点満点中180点以上が合格点になりますが、いわゆる「足切り」というものが存在します。
合格率
令和5年度試験では受験者数46,991人中、合格者6,571人。
合格率は13.98%です。
他の年度も概ね10%程度で推移しています。
足切りについて
合格の基準は合計180点以上ですが、法令等で122点以上、一般知識等で24点を超えなければ不合格になってしまいます。
- 法令等184点で獲得できたが、記述式の一般知識等で点数が伸びず12点だった→合計196点だが不合格
行政書士の独学に関するよくある質問
行政書士の独学に関してよくある質問をまとめました。
- Q1 行政書士の勉強は独学で十分?
- Q2 行政書士の勉強は何から始めたら良いか?
- Q3 行政書士の試験は難しいの?難易度は?
- Q4 行政書士試験に独学で合格するにはすごいの?
- Q5 行政書士は3ヶ月〜半年で合格できるの?
- Q6 行政書士試験を独学で取り組む人の割合は?
- Q7 勉強するにあたって参考になる体験談(サイトやブログ)はあるの?
行政書士の勉強は独学で十分?
A.行政書士試験の合格率は10%前後と決して簡単な試験ではありません。
通信・通学のほうが有利なのは間違いないものの、法律初心者で独学合格している人もおり、方法によっては十分合格できます。
行政書士試験の勉強は何から始めたら良いか?
A.特に法律に触れたことのない法律初心者は、「国家試験受験のためのよくわかるシリーズ」などの法律解説本から始めることをおすすめします。
最初にテキストや参考書から進めても、法律用語はとっつきにくく、なじみが薄いため理解しにくいからです。
行政書士の試験は難しいの?難易度は?
A.行政書士試験の合格率は毎年10%前後で推移しています。
法律に関して幅広い知識を問われるため、特に法律初心者にとっては難しいといえます。
独学で行うなら前述のように法律解説本から始めて徐々に法律用語に慣れる必要があるでしょう。
独力で法律の理解が難しそうな場合は「通学」や「通信教育」の利用も検討しましょう。
行政書士試験に独学で合格するのはすごいの?
A.中には通信・通学講座を活用しても合格できない場合もあります。
独学で合格するには、高いモチベーションと自己管理能力、難解な法令を自力で理解できる能力があることになるので、「すごい」ことだと言えるでしょう。
行政書士に3ヶ月〜半年で合格できるの?
A.法律の知識があっても独学では3ヶ月の準備期間で合格するのは難しいでしょう。
通信講座大手のユーキャンによれば、独学の場合、法律の知識がある方でも勉強時間は500〜600時間必要としています。
具体的に「500時間」とは、例えば平日2時間×5日間=10時間、土日5時間×2日間=10時間だとして、1週間あたりにとれる勉強時間が20時間。
月間の勉強時間が20時間×4週間=80時間なら、500時間÷月80時間=6.25ヶ月必要という計算になります。
つまり、独学3ヶ月で合格するのは「法学部出身者」「仕事で法律に触れることがある」「すでに宅建など資格を取得している」などの場合であっても難しく、少なくとも半年は必要です。
ただし、時間短縮になる場合も。
例えば、宅建の資格を取得していれば、行政書士試験で重要科目になる「民法」が簡単に済ませられ、時間短縮できます。
行政書士試験を独学で取り組む人の割合は?
A.独学で取り組む人の割合については、明確なデータがありません。
しかし、行政書士全体の合格率が10%程度なのに対し、通信・通学講座の中には受講者の合格率が50〜60%の講座が存在するため、独学は少数派の可能性が高いといえます。
出典:LEC
出典:アガルート
行政書士の通信講座に関する情報はこちらの記事をご覧ください。
勉強するにあたって参考になる体験談(サイトやブログ)はあるの?
A.合格者の体験談をまとめたサイト、ブログはいくつか存在します。
例えば以下のようなものです。
タイトル | 概要 |
行政書士独学合格プログラム | たったの「170時間」で行政書士に独学合格した筆者が、勉強法や参考書、心構えなどを解説 |
行政書士試験独学合格体験記 | 独学で働きながら半年で合格した筆者の参考書選びから日々の過ごし方まで詳細に解説 |
また、動画投稿サイトには法律の解説動画があります。独学していく上で参考になるでしょう。
民法物権編#1「物権の基礎知識」解説 | イラストと音声を使って法律をわかりやすく解説 シリーズ多数あり |
まとめ:行政書士は独学で合格できるのか?
今回の内容をまとめると以下のようになります。
- 確実に準備すれば、独学での合格は可能
- 法律初心者の場合、必要な学習時間は800時間と言われる
- コツとして、テキストや問題集から始めるのではなく、「法律解説本」の熟読から始める
- おすすめは「国家試験受験のためのよくわかるシリーズ」
- 「民法」「行政法」は配点が高いため、重点的に勉強する
- テキスト&問題集はTAC出版、伊藤塾のものがおすすめ
- 独学のメリット:多額の学費がかからず済む、自分のペースで取り組める、通学に時間をとられない、スケジュール管理能力が身につく
- 独学のデメリット:教材選びに悩む、モチベーションを保つのが大変、質問ができない、スケジュール管理が大変
行政書士試験は学歴、年齢に関係なく受験が可能な試験です。
ただ、合格率は10%程度と試験の難易度は決して低くはありません。
場合によっては、通学や通信講座を活用するのも一つの方法でしょう。
一方で法律初心者から独学で合格を勝ち取る人もいます。
今回の記事で紹介したように勉強方法・参考書選び・スケジュール管理がうまくいけば、独学でも十分に合格可能です。
独学で合格した先には長い試験準備期間を一人で乗り切り、成長した自分に驚くことでしょう。
行政書士試験に関する関連記事
行政書士試験については、下記の記事もご覧ください。
・行政書士 通信はこちら
・行政書士 難易度はこちら
・行政書士 年収はこちら
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