2016年4月から国家資格となったキャリアコンサルタントは、現在とても人気な資格の一つです。
受験を検討している人の中にはこんな悩みを抱えている人も多いのではないでしょうか?
「キャリアコンサルタント試験は独学で合格できるの?」
「受験資格があるって聞いたけどよくわからない」
「勉強法やテキストはどれを選べばいいの?」
キャリアコンサルタント試験は、独学で合格することは不可能ではないですが、その難易度は高いといえます。
この記事では、受験資格やおすすめの勉強法など、キャリアコンサルタント試験に独学で合格を目指すあなたに必要な情報をすべてまとめています。
最後まで読んでいただければ、キャリアコンサルタント試験に独学で合格するための道筋が見えてくるでしょう。
ぜひ参考にしてみてくださいね。
キャリアコンサルタントの試験対策におすすめなのは地域連携プラットフォームのキャリアコンサルタント養成講習です。
→キャリアコンサルタントの通信講座の比較はこちら
キャリアコンサルタント試験は独学で合格できる?
キャリアコンサルタント試験は独学で合格できるのか、次の3つの観点から解説していきます。
・キャリアコンサルタント試験には受験資格がある
・キャリアコンサルタント試験を独学で合格するのは不可能ではないが難しい
・面接試験(ロールプレイ)対策に限って講座を受講するのもおすすめ
キャリアコンサルタント試験には受験資格がある
キャリアコンサルタント試験を受験するには、厚生労働省が定める受験資格を得ている必要があります。
具体的には次の4つの要件のうちいずれかを満たす必要があります。
・厚生労働大臣が認定する講習の課程を修了した者(講習カリキュラムは別表に記載)
・労働者の職業の選択、職業生活設計又は職業能力開発及び向上のいずれかに関する相談に関し3年以上の経験(4を参照)を有する者
・技能検定キャリアコンサルティング職種の学科試験又は実技試験に合格した者
・上記の項目と同等以上の能力を有する者
(引用元:厚生労働省公式HP)
簡単に言うと、以下の人に受験資格があります。
・キャリアコンサルタント養成講座を修了した人(受験者の多くはこちらの要件を満たして資格を得ています)
・ハローワークや人材系会社等でキャリア相談業務などに3年以上従事した経験がある人
※自身の経験が要件を満たすのか不安な方は、試験実施機関へ直接問い合わせてみましょう
ここで結論を言うと、上記の受験資格を満たしていない人は、独学で合格どころか受験することすらできないということになります。
実際のところ上記の「3年以上従事した経験」という要件を満たす人はあまり多くはありませんので、大多数の人は養成講座を終了することで受験資格を得ています。
また、受験資格を満たしている(3年以上の実務経験がある方)でも確実に合格するために、養成講座を受講するという方も多いようです。
キャリアコンサルタント試験を独学で合格するのは不可能ではないが難しい
それでは、受験資格さえあればキャリアコンサルタント試験に独学で合格できるのでしょうか?
結論から言うと、不可能ではありませんが非常に難しいと言えます。
なぜなら試験科目の一部については独学での対策が困難なためです。
次の表でキャリアコンサルタント試験の試験科目と、独学での対応可否をまとめています。
試験区分 | 学科試験 | 実技試験 | ||
論述試験 | 面接試験 | |||
口頭試問 | ロールプレイ | |||
独学での試験対策 | 可 | 可 | 可 | 難しい |
学科試験、論述試験、口頭試問の対策は独学でも十分対応可能です。
一方でロールプレイの対策は、独学では非常に難しいのです。
ロールプレイ試験は、相手役を務める試験官との適切なコミュニケーションが要求される科目です。
・相談者の気持ちに寄り添う
・相談者の言葉をうまく引き出す
・相談者の悩みに的確な助言をする
このようなスキルが求められるロールプレイ試験を独学で行うことが難しいということはお分かりいただけるでしょう。
次に独学の受験者と養成講座を修了した受験者の試験区分別の合格率の違いを次の表で見てみましょう。
受験資格 | 受験者数(人) | 合格者数(人) | 合格率(%) | |
学科試験 | 養成講座修了者 | 1,217 | 662 | 54.40 |
独学の受験者 | 176 | 57 | 32.39 | |
実技試験 | 養成講座修了者 | 1,408 | 969 | 68.82 |
独学の受験者 | 202 | 72 | 35.64 |
(参考:第24回キャリアコンサルタント試験 試験結果 特定非営利活動法人日本キャリア開発協会)
※「独学の受験者」には予備校等の講座を一部利用したことのある受験者も含まれている可能性があります
学科試験の合格率は養成講座修了者と独学の受験者で大きく変わりはありません。
一方、実技試験については養成講座修了者と独学の受験者で合格率に大きな差が生まれています。
独学の受験者は、もともとキャリア相談などの実務経験が3年以上ある方々なのです。
そういった経験やスキルを持っている人が受験しているにもかかわらず、ここまで大きな差が開いてしまう。
独学でのロールプレイ試験対策が難しいということがご理解いただけると思います。
以上のことから、キャリアコンサルタント試験に独学で合格することは不可能ではないが難しいといえるでしょう。
面接試験(ロールプレイ)対策に限って講座を受講するのもおすすめ
上記のとおり、「完全な」独学でキャリアコンサルタント試験に合格するのは非常に難しいです。
「完全な」独学ではなく、「半独学」で挑戦してみるということも一つの合理的な手段だと思います。
つまり、独学で対応できる科目は独学で勉強し、独学で対応できない科目に限って資格学校等の講座を受講するということです。
約30万円ほどのキャリアコンサルタント養成講座を丸々受けるのとは違い、単科講座なら費用は格段に安く済みます。
それでは面接試験(ロールプレイ)対策に特化した予備校等の講座をいくつかご紹介しましょう。
講座実施機関 | 料金(税込) | 講座内容 | 受講形式 |
LEC東京リーガルマインド | 10,000円 | ロールプレイサポート | オンライン(ZOOM) |
日本マンパワー | 27,500円 | 面接試験基礎完成コース | 会場またはオンライン |
これらの講座を限定的に利用して「半独学」でキャリアコンサルタント試験に挑むことにより、養成講座に30万円という大金を支払わずとも現実的に合格が狙える。
非常に合理的な手段の一つだと思いますのでおすすめです。
キャリアコンサルタント試験の合格率や難易度は?
キャリアコンサルタント試験の合格率や難易度についてそれぞれ解説していきます。
・キャリアコンサルタント試験の合格率
・キャリアコンサルタント試験の難易度
キャリアコンサルタント試験の合格率
キャリアコンサルタント試験の合格率は、45.8%です(2023年実施 学科・実技同時受験の結果)。
ただし、この数値は養成講座修了者と独学での合格者を合わせたものになっています。
先にご説明したとおり、養成講座を修了した受験者と独学の受験者では、実技試験における合格率が大きく違うことに注意しましょう。
養成講座を修了した受験者 実技試験合格率 68.82%
独学の受験者 実技試験合格率 35.64%
したがって、独学の場合、キャリアコンサルタント試験の合格率は68.82%よりも低い数値になります。
キャリアコンサルタント試験の難易度
キャリアコンサルタント試験の難易度は、他の国家資格試験と比べてどの程度違うのでしょうか?
次の表はいくつかの国家試験の合格率をまとめたものです。
資格試験名 | 合格率(20237年度実施) |
キャリアコンサルタント試験 | 45.2% |
行政書士試験 | 13.98% |
司法書士試験 | 4.31% |
宅地建物取引士資格試験 | 17.2% |
弁理士試験 | 6.1% |
この表から、キャリアコンサルタント試験の合格率は他の国家資格試験と比べて突出して高いことがわかります。
したがって、この表に列挙したような国家資格試験と比べると、キャリアコンサルタント試験の難易度は高くないといえるでしょう。
キャリアコンサルタント試験に独学で挑む場合のメリット3選
キャリアコンサルタント試験に独学で挑む場合のメリットは3つ挙げられます。
・高額な養成講座費用がかからない
・時間や場所に縛られずに勉強できる
・苦手な分野を集中的に勉強できる
それぞれ詳しく見ていきましょう。
高額な養成講座費用がかからない
平均30万円程度かかるキャリアコンサルタント養成講座の費用が浮くというのは非常に大きなメリットですね。
独学の場合は、最低限テキスト代金の1万円程度しかかかりません。
そこにロールプレイ試験特化講座代金をプラスしても1〜2万円程度。
独学の場合は勉強に要する費用が格段に安く済みますね。
時間や場所に縛られずに勉強できる
独学の場合は自分の好きな時間に好きな場所で勉強できます。
養成講座を受けている人はそうは行きません。
養成講座の通学の場合、3ヶ月のうち12日間は決まった時間に決まった場所で講座を受けなければならず、日常生活にかなりの制約がかかります。
忙しい社会人にとってはハードルが高いものだといえるでしょう。
独学の人は自宅、会社、カフェ、ちょっとしたスキマ時間など、自由な環境で勉強を進められるのです。
苦手な分野を集中的に勉強できる
独学の場合は、苦手分野など集中して勉強したい科目に好きなだけ時間を割けます。
科目ごとの時間配分を決めるのは自分自身ですからね。
養成講座の受講者は、完全に決められたカリキュラムの中で勉強していくため、独学の場合よりも時間配分の自由度は大きく下がります。
独学ならば、限りのある時間を自分自身に必要な科目に十分に割くことが可能です。
・得意分野の勉強は控えめにして、その分苦手分野にフォーカスしよう。
・朝などの一日で最も集中できる時間帯に苦手な分野を勉強しよう
このように自分の状況に合わせて効率的な勉強ができるのです。
キャリアコンサルタント試験に独学で挑む場合のデメリット3選
キャリアコンサルタント試験に独学で挑む場合のデメリットは3つ挙げられます。
・面接試験(ロールプレイ)対策が困難
・勉強のモチベーションを保つのが難しい
・わからないところを教えてもらえない
それぞれ詳しく見ていきましょう。
面接試験(ロールプレイ)対策が困難
前述のとおり、キャリアコンサルタント試験の試験科目のうち、「面接試験(ロールプレイ)」の対策は、独学では困難です。
学科試験と違い、自分一人で完結できる試験科目ではないからです。
ロールプレイ試験では、相手役との対話の中で、キャリアコンサルタントに求められるコミュニケーション能力(相手の話を聴く姿勢や的確な助言など様々)を測られるのです。
相手の出方によってこちらの対応を臨機応変に変えていく必要があるロールプレイ試験は、独学での対策が非常に難しいといえるでしょう。
したがって、前述したとおりロールプレイ試験対策に限って予備校等の講座を受けるのもおすすめです。
勉強のモチベーションを保つのが難しい
独学を続けていく中で大きな課題になるのがモチベーションを保つのが難しいということです。
時間も場所も自由であるということは、その分誘惑も多いわけです。
テレビ、漫画、ゲーム、SNSなど、自由にできてしまう環境であるからこそ、その誘惑に飲まれやすく、結果的に勉強時間が減ってしまう恐れがあります。
養成講座の受講者は半ば強制的に勉強をさせられるわけですから、誘惑に飲まれるようなことはないでしょう。
独学の場合はとにかく強い意志でモチベーションを維持し続ける必要があるのです。
わからないところを教えてもらえない
勉強を続けていくと、必ず理解できない部分が出てきますが、独学の場合は人に教えてもらうということは難しいでしょう。
講座の受講生のように教えてくれる先生がいるわけではないためです。
したがって、独学の人はひたすら時間をかけて理解をしようとするか、ネットで検索するなどして理解するしかないのです。
最悪の場合はどれだけ調べても解決できず、その部分の理解を諦めてしまうということもあるかもしれません。
わからないところが出てきたときに消費する時間と労力が対照的ですね。
キャリアコンサルタント試験に独学で挑む場合のメリット・デメリットのまとめ
独学で行うメリット・デメリットをまとめてみました。
メリット | デメリット |
・高額な養成講座費用がかからない ・時間や場所に縛られずに勉強できる ・苦手な分野を集中的に勉強できる |
・面接試験(ロールプレイ)対策が困難 ・勉強のモチベーションを保つのが難しい ・わからないところを教えてもらえない |
このようにメリット・デメリットどちらもありますが、独学で現実的に合格を狙うのであれば、デメリットによる影響を可能な限り少なくすることを意識しましょう。
例えば次のようにしてみてはいかがでしょうか。
面接試験(ロールプレイ)対策が困難
→単科講座を受講する
勉強のモチベーションを保つのが難しい
→周囲に受験する旨を打ち明け、引き下がれない環境をつくる
わからないところを教えてもらえない
→時間を効率的に使うため、わからないところを逐一調べていくのではなく、ある程度まとめて一気に調べる
自分なりに合理的な手法でデメリットの影響を最小化し、メリットの影響を最大限享受していきましょう。
キャリアコンサルタント試験に独学で合格するのにかかる勉強時間
キャリアコンサルタント試験に独学で合格するのにかかる勉強時間について、次の2点から解説していきます。
・養成講座受講生の勉強時間
・独学の場合に必要な勉強時間
養成講座受講生の勉強時間
キャリアコンサルタント養成講座受講生の勉強時間はどれくらいなのでしょうか?
厚労省認定のキャリアコンサルタント養成講座が提示する勉強時間を表にまとめてみました。
講座実施機関 | 勉強時間(通学) | 勉強時間(通信) | 勉強時間(合計) |
ヒューマンアカデミー | 80時間 | 78.5時間 | 158.5時間 |
CMCA | 110時間 | 40時間 | 150時間 |
JAICO | 84時間 | 69時間 | 153時間 |
LEC | 90時間 | 65時間 | 155時間 |
GCDF | 96時間 | 54時間 | 150時間 |
(各社のHPより集計)
どのキャリアコンサルタント養成講座でも、受講生には合計で150時間程度の勉強時間が課されています。
独学の場合に必要な勉強時間
独学の場合は養成講座受講生が勉強する150時間以上の勉強時間を確保したほうが無難でしょう。
なぜなら、以下のような理由があるためです。
・独学の場合はわからない部分について調べるのに多くの時間がかかる
・テキスト等の内容を噛み砕いて教えてくれる人がいない
あくまでも最低限の目安として150時間以上は確保するという方針がよいでしょう。
キャリアコンサルタント試験に独学で合格するための勉強法
キャリアコンサルタント試験の試験科目は次の表のとおりです。
①学科試験 | 実技試験 | ||
②論述試験 | 面接試験 | ||
③口頭試問 | ④ロールプレイ |
それぞれの科目について勉強法を解説していきます。
①学科試験の勉強法
学科試験の概要
出題形式 | 筆記試験 四肢択一のマークシート方式による回答 50問 |
試験時間 | 100分 |
合格基準 | 100点満点で70点以上の得点 |
(参考:日本キャリア開発協会 試験要項)
学科試験対策は、テキストをじっくりと読み込み、問題集や過去問を繰り返すことで独学でも十分攻略できます。
過去問は自分が受ける試験の主催団体の公式HPに掲載されていますのでご確認ください。
ここで大事になってくるのがテキスト選び。
独学の場合に悩むのがどのテキストを選べばいいのかがわからないというところですよね。
学科試験におすすめのテキストは次の2冊です。
おすすめのテキスト①『キャリアコンサルティング 理論と実際 5訂版』
キャリアコンサルタント試験に限らず、勉強の王道は始めに全体像をつかむ、体系的に理解することです。
なぜなら、先に全体像を理解してしまえば、複雑な分野も理解しやすくなるからです。
スポーツなどでも同じですよね。
まず始めにおおまかなルールさえ覚えてしまえばそのスポーツはプレイできるようになるし、そうなれば細かいルールも理解しやすくなります。
さて、まさにこの『キャリアコンサルティング 理論と実際』はキャリアコンサルタント試験範囲の全体像や概要を理解するのにぴったりの本ですのでしっかり読み込みましょう。
キャリアコンサルタント試験で実際に出題された問題を見てみると、こちらの本から出題されているということがわかります。
独学で勉強する人には必読の一冊ですので、まずこちらのテキストから勉強を始めましょう。
おすすめのテキスト②『国家資格キャリアコンサルタント 学科試験 要点テキスト&一問一答問題集 2024年版』
『キャリアコンサルティング 理論と実際』で全体像を把握したあとは、こちらの『国家資格キャリアコンサルタント 学科試験 要点テキスト&一問一答問題集 2024年版』を使って実践的に勉強していきましょう。
キャリアコンサルタント試験で頻出のポイント、要点を厳選して解説されたテキストでインプットしつつ、一問一答の問題集でアウトプットする、これを繰り返しましょう。
このテキストが概ね理解できるようになった段階で、実際の過去問を解いていきましょう。
②論述試験の勉強法
論述試験の概要
出題形式 | 記述式 逐語記録を読み、設問に解答する |
試験時間 | 50分 |
配点 | 50点満点 |
合格基準 | 面接試験(ロールプレイ、口頭試問)と合わせて150点満点で90点以上の得点。 ただし論述試験の満点の40%以上、かつ面接試験の評価区分の中の「主訴・問題の把握」「具体的展開」「傾聴」のいずれにおいても満点の40%以上の得点が必要 |
論述試験の対策は、テキストを繰り返すことで十分対策可能です。
論述試験で問われる内容は、パターンがある程度決まっています。
そのためテキストを繰り返し勉強することにより、問題の傾向を掴むとともに、「論述の型」を身に着けておけるため、独学でも十分攻略できるのです。
テキストは下記におすすめのテキストを使っていただければ問題ありません。
おすすめのテキスト『国家資格キャリアコンサルタント 実技試験(面接・論述) 実践テキスト 2024年版』
こちらのテキストで論述試験の問題に慣れていきましょう。
解説も丁寧にされていますので、論述対策はこの一冊で十分です。
キャリアコンサルタント試験を主催する2団体それぞれの試験対策が記載されているのもポイント。
さらに、論述試験だけではなく、面接試験(ロールプレイ・口頭試問)対策も扱っているため非常にお得です。
③口頭試問の勉強法
口頭試問の概要
出題形式 | 口頭試問: 自らのキャリアコンサルティングについて試験官からの質問に答える |
試験時間 | 5分(15分のロールプレイ試験に続けて行われる) |
配点 | 100点満点(ロールプレイ試験と合わせて) |
合格基準 | 論述試験と合わせて150点満点で90点以上の得点。 ただし論述試験の満点の40%以上、かつ面接試験の評価区分の中の「主訴・問題の把握」「具体的展開」「傾聴」のいずれにおいても満点の40%以上の得点が必要 |
口頭試問は、15分のロールプレイ試験に続けて行われます。
聞かれることはパターン化されているため、先に紹介した『国家資格キャリアコンサルタント 実技試験(面接・論述) 実践テキスト 2024年版』で内容を把握しておきましょう。
例えば次のようなことが聞かれたりします。
・ロールプレイで良かった点は?
・ロールプレイで悪かった点は?
・クライアントが一番訴えたかったことは?
パターン化された質問それぞれに対し、事前に答えを準備しておけば対策は万全です。
④ロールプレイの勉強法
ロールプレイの概要
出題形式 | ロールプレイ: ・ロールプレイは実際のキャリアコンサルティング場面を想定して、面談開始から最初の15分間という設定で行う。 ロールプレイでは、キャリアコンサルタントとして相談者を尊重する態度や姿勢(身だしなみを含む)で、相談者との関係を築き、問題を捉え、面談を通じて相談者が自分に気づき、成長するような応答、プロセスを心がける・受験者がキャリアコンサルタント役となり、キャリアコンサルティングを行う |
試験時間 | 15分 |
配点 | 100点満点(ロールプレイ試験と合わせて) |
合格基準 | 論述試験と合わせて150点満点で90点以上の得点。 ただし論述試験の満点の40%以上、かつ面接試験の評価区分の中の「主訴・問題の把握」「具体的展開」「傾聴」のいずれにおいても満点の40%以上の得点が必要 |
前述のとおり、ロールプレイの対策は独学で合格しようとする人にとって非常に難しいのが事実です。
そのため現実的かつ合理的な勉強法は、ロールプレイ対策に特化した講座を受講することです。
しかし、どうしても完全に独学で挑戦したいという人は、さきほど論述試験や口頭試問対策におすすめした『国家資格キャリアコンサルタント 実技試験(面接・論述) 実践テキスト 2024年版』の中でロールプレイ対策も扱っていますのでこちらで勉強しましょう。
また、YouTube上にもロールプレイ試験に関する動画がアップロードされていますので、そちらも参考にしてみましょう。
試験内容の一部は受験する団体によって問題や評価基準が異なる
試験内容の一部は受験する団体によって問題や評価基準が異なることについて、次の2点から解説します。
・キャリアコンサルタント試験を主催する2つの団体とその特徴
・どちらで受験するべき?
キャリアコンサルタント試験を主催する2つの団体とその特徴
キャリアコンサルタント試験は、厚生労働大臣が登録した次の2団体によって開催されています。
そしてキャリアコンサルタント試験の試験科目のうち、学科試験の問題は内容が共通なのですが、論述試験の問題や面接試験の評価基準が両団体で異なるのです(下表参照)。
団体名 | 論述試験の傾向 | 面接試験の評価基準 |
日本キャリア開発協会(JCDA) | クライアント役が積極的に喋ってくれるため、クライアントの情報を得やすい | ①主訴・問題の把握 ②具体的展開 ③傾聴 |
キャリアコンサルティング協議会 | クライアント役があまり多くは喋ってくれないため、こちらからクライアントの情報を聞き出していく必要がある | ①態度 ②展開 ③自己評価 |
したがって、これらの違いを見極めた上で、自分にとってどちらの団体で受験するのが望ましいのかを判断する必要があります。
論述試験の特徴は明白ですが、面接試験の評価基準の違いは字面だけではわかりづらいですよね。
実際のところ、字面の上での評価基準は異なるのですが、受験する際の影響は微々たるものだろうと考えられています。
というのも、主催団体は違えど、同じキャリアコンサルタントという国家資格の試験なのですから、評価基準がまったく異なっているのであれば大きな問題となります。
つまり、面接試験の評価基準の違いについてはあまり気にする必要はないということになります。
どちらで受験するべき?
面接試験の評価基準の違いではなく、論述試験の傾向からどちらで受験するのかを判断しましょう。
クライアントの話をじっくり聞く姿勢を軸とするのが得意な人
→日本キャリア開発協会(JCDA)
クライアントから積極的に話を聞き出す姿勢を軸とするのが得意な人
→キャリアコンサルティング協議会
キャリアコンサルタント試験の日程や受験料金は?
ここでは試験日程や受験料金について見ていきましょう。
・キャリアコンサルタント試験の試験日程
・キャリアコンサルタント試験の受験料金
キャリアコンサルタント試験の試験日程
キャリアコンサルタント試験は、主催する両団体それぞれで年に3回ずつ行われています。
2025年度の試験日程は次の表のとおりです。
日本キャリア開発協会
実施回 | 試験区分 | 試験日 |
第28回 | 学科試験・実技試験(論述) | 2025年 3月 2日 (日) |
実技試験(面接) | 2025年 3月 8日 (土) 9日 (日) 3月 15日 (土) 16日 (日) |
|
第29回 | 学科試験・実技試験(論述) | 2025年7月6日(日) |
実技試験(面接) | 2025年7月11日(金)、12日(土)、13日(日)、19日(土)、20日(日)、21日(月) | |
第30回 | 学科試験・実技試験(論述) | 2025年11月 2日 (日) |
実技試験(面接) | 2025年11月 8日 (土) 9日 (日) 11月 15日 (土) 16日 (日) |
キャリアコンサルティング協議会
実施回 | 試験区分 | 試験日 |
第28回 | 学科試験・実技試験(論述) | 2025年3月2日(日) |
実技試験(面接) | 2025年 3/8(土),9(日),15(土),16(日),22(土),23(日) | |
第29回 | 学科試験・実技試験(論述) | 2025年7月6日(日) |
実技試験(面接) | 2025年 7/11(金),12(土),13(日),19(土),20(日),21(月) | |
第30回 | 学科試験・実技試験(論述) | 2025年11月2日(日) |
実技試験(面接) | 2025年 11/8(土),9(日),15(土),16(日),22(土),23(日) |
このように学科試験と実技試験は別日に設定されているため、個別に受験することが可能です。
学科試験と実技試験のどちらかしか合格できなかった場合でも、合格した方の試験に有効期限はありません。
したがって、不合格となった試験のみを別の日程で受けて合格すればよいのです。
キャリアコンサルタント試験の受験料金
キャリアコンサルタント試験の受験料金は、両団体共通で次のとおりです。
学科試験 8,900円
実技試験 29,900円
キャリアコンサルタント養成講座(講習)とは?
これまでキャリアコンサルタント試験に独学で合格したい人に向けての情報を提示してきました。
ここではそもそも受験資格がなく独学で挑めない方や、独学以外の選択肢も考えたい方に向けて、大手資格学校が開講しているキャリアコンサルタント養成講座の特徴を簡単にまとめます。
学校名 | 講座名 | 費用(税込) | 主な特徴 |
日本マンパワー | キャリアコンサルタント養成講座(総合) | 入学金 0円 受講料 396,000円 |
CDA(キャリア・デベロップメント・アドバイザー)の資格取得も目指せる |
リカレント キャリアデザインスクール | キャリアコンサルタント養成講座 | 入会金 33,000円 受講料 437,800円 教材費 28,600円 |
通学と通信を併用して学べる |
LEC東京リーガルマインド | キャリアコンサルタント養成講座 | 一般価格 302,500円 | 振替受講制度がある 全国のLEC本校+オンラインクラスで受講できる |
どの学校の講座も共通して30万円程度の費用はかかってしまいますね。
とはいえ、キャリアコンサルタント試験の受験資格を満たしていない方は何らかの養成講座を受けなければいけませんし、受験資格がある方でも独学に自信がないのであれば養成講座を受講することをおすすめします。
なお、養成講座ごとに対応するキャリアコンサルタント試験主催団体が異なっています。
・日本キャリア開発協会(JCDA)
・キャリアコンサルティング協議会
養成講座を選ぶ際には自分の受験したい団体に対応しているのかを必ず確認しましょう。
キャリアコンサルタントの養成講座についてはこちらの記事をご覧下さい。
キャリアコンサルタントの仕事や収入は?
キャリアコンサルタントの仕事や収入などの実情について以下のとおり見ていきましょう。
・キャリアコンサルタントの仕事
・キャリアコンサルタントは独立できるの?
・キャリアコンサルタントの収入はどれくらい?
キャリアコンサルタントの仕事
キャリアコンサルタントは、ハローワーク、人材派遣会社、学校など様々な業界で働いており、労働形態はフリーランスの方もいれば、組織に所属している人もいます。
具体的な仕事内容は、次のようなものが多いようです。
相談者と面接し、その労働・就職に関する意識や現在の状況など個人の背景について把握する。
職務経歴書やキャリアプランの作成を援助する。
相談者が自発的かつ適切に職業や就職先の選択を行い、必要な求職活動を通じて問題解決に向かうことができるよう、指導、助言をする。
職業や地域労働市場、能力開発などに関する情報を提供する。キャリアシート等を用いて相談者の職業経歴の分析を行う。就職後の職場への適応について支援する。
(職業情報提供サイトjobtagから一部抜粋)
キャリアコンサルタントと聞くと、一般的にまず初めに思い浮かぶのはハローワークの職員ですが、実際にはこんなにも幅広い業界で、様々な仕事をしているのです。
実際の業務内容が思い描けると、勉強へのモチベーションにもなりますよね。
キャリアコンサルタントは独立できるの?
キャリアコンサルタントとしての独立は可能ですが、実際に独立している人はあまり多くありません。
なぜなら、キャリアコンサルタントのメイン業務である「キャリア相談」による収入のみで安定して生計を立てるのが難しいためです。
というのも、キャリアコンサルタントはキャリア相談の専門家ではありますが、キャリア相談が法的に独占業務として認められているわけではないのです。
言い換えれば、キャリア相談は、その有用性は抜きにすれば誰にでもできてしまいます。
このような理由もあり、キャリアコンサルタントの多くは独立するのではなく、行政機関や会社組織等に所属してその能力を発揮しています。
キャリアコンサルタントの収入はどれくらい?
独立行政法人労働政策研究・研修機構の「キャリアコンサルタント登録者の活動状況等に関する調査」によると、キャリアコンサルタントの収入は、200〜400万円未満の人が多いようです。
キャリアコンサルタント試験の独学に関するよくある質問
キャリアコンサルタント試験の独学に関するよくある質問をまとめました。
Q2 キャリアコンサルタントになるにはどうすればいいの?
Q3 キャリアコンサルタント試験に求められる受験資格や学歴は?
Q4 キャリアコンサルタントの資格は独学でもとれるの?
Q5 キャリアコンサルタントになるにはどれくらいの費用がかかる?
キャリアコンサルタントは実務経験なしでもなれるの?
キャリアコンサルタントは実務経験がなくても、キャリアコンサルタント養成講座を受けることでキャリアコンサルタント試験の受験資格を得られます。
さらに試験に合格すれば、キャリアコンサルタントを名乗れます。
キャリアコンサルタントになるにはどうすればいいの?
キャリアコンサルタント試験の受験資格を得て、試験に合格することでキャリアコンサルタントになれます。
受験資格を有するのは、キャリアコンサルタント養成講座を修了した人か、ハローワーク等のキャリア相談業務等の実務経験が3年以上ある人です。
キャリアコンサルタント試験に求められる受験資格や学歴は?
受験資格は、キャリアコンサルタント養成講座を修了した人やハローワーク等のキャリア相談業務等の実務経験が3年以上ある人に与えられます。
学歴は問われません。
キャリアコンサルタントの資格は独学でもとれるの?
キャリアコンサルタント試験は、独学で合格することは不可能ではありませんが、難易度は高いです。
試験科目の一部(ロールプレイ試験)が独学で対策するのが難しいためです。
ロールプレイ試験に限って資格学校の講座を受講する「半独学」というのも合理的な手段の一つです。
なお、キャリアコンサルタント試験には受験資格が設けられており、受験資格がない場合は独学で資格をとることはできません。
キャリアコンサルタントになるにはどれくらいの費用がかかる?
独学の場合
受験費用 38,800円(学科試験8,900円、実技試験29,900円)
キャリアコンサルタント登録費用 17,000円(登録手数料8,000円、登録免許税9,000円)
テキスト代金 約10,000円
合計:65,800円
キャリアコンサルタント養成講座を受講する場合
受験費用 38,800円(学科試験8,900円、実技試験29,900円)
キャリアコンサルタント登録費用 17,000円(登録手数料8,000円、登録免許税9,000円)
養成講座受講料、入学金等 およそ300,000円〜400,000円
合計:355,800円〜455,800円
※国の「専門実践教育訓練給付金制度」を適用できれば、受講料の最大80%が返ってきます
このように、独学の場合は65,800円程度、キャリアコンサルタント養成講座を受講する場合は355,800円〜455,800円程度の費用がかかります。
ただし、キャリアコンサルタント試験には受験資格が設けられています。
受験資格を満たしていない場合は独学での受験はできないので、養成講座を受講する必要があります。
まとめ:キャリアコンサルタント試験は独学で合格できるのか?
この記事のまとめは以下のとおりです。
・キャリアコンサルタント試験に独学で合格するのは不可能ではないが難しい。
・キャリアコンサルタント試験には受験資格がある
・キャリアコンサルタント養成講座を修了するか、ハローワークに代表されるキャリア相談業務等の実務を3年以上経験することで受験資格を得られる
・独学での勉強時間は最低でも150時間以上は必要。
・学科試験、論述試験、口頭試問は市販のテキストと過去問を使えば独学でも十分対応可能
・独学では対策が難しいロールプレイ試験に限って資格学校の講座を受講するのがおすすめ
キャリアコンサルタント試験に独学で合格できれば、30万円以上する養成講座の受講料を支払わなくて済みます。
独学での合格は簡単なことではありませんが、狙ってみる価値は十分にあるでしょう。
なお、繰り返しになりますが、キャリアコンサルタント試験には受験資格が設けられています。
受験資格がある人は独学で試験を受けられますが、受験資格がない人はまずは養成講座を受けましょう。
また、養成講座を修了した受験者と独学の受験者では、実技試験の合格率が大きく異なります。
独学の受験者 実技試験合格率 40.12%
受験資格がある方でも、合格する自信がなかったり、お金に余裕があるのであれば、養成講座を受講してみるのもよいでしょう。
キャリアコンサルタントの養成講座についてはこちらの記事をご覧下さい。
→キャリアコンサルタントの通信講座の比較はこちら
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