「キャリアコンサルタントは役に立たない」「資格を取っても無駄」——そう言われるのには、はっきりした理由があります。
結論から言うと、役に立つかどうかは“使い方”次第です。
実務で確かに役立つ場面と、正直に言って役立たない場面の両方があります。
この記事は、現役のキャリアコンサルタント(国家資格保有)である私自身の実務経験と、養成講座受講者43名への独自調査をもとに、きれいごとを抜きにして「役に立つ人・立たない人」を解説します。
今から取るか迷っている方も、取ったけれど活かせていない方も、判断材料にしてください。
キャリアコンサルタントが「役に立たない」と言われる5つの理由
キャリコン徳永氏そもそも「役に立たない」とは何を指すのか。
多くの場合、「取得にかけた費用・時間に見合う経済的なリターン(収入・転職)がすぐ得られない」という意味で語られます。
言い換えれば「他の資格と比べて、取得コストに見合うメリットが見えにくい」という相対的な評価です。
ただし後述するように、これは“立場・使い方”によって評価が逆転します。
まずは言われる理由を、次の5つに整理します。
① 資格がなくても相談・支援の仕事はできる
キャリア相談やキャリア支援の業務は、国家資格キャリアコンサルタントを持っていなくても従事できるのが実情です。
キャリアコンサルタントは職業能力開発促進法に基づく「名称独占資格」で、保護されるのは“名称”のみ(無資格者が名乗ると30万円以下の罰金)。
業務独占ではないため、相談・支援の行為自体に資格は必須ではありません(厚生労働省)。
そのため「資格そのものが必須でない=役に立たない」と受け取られます。
なお私の実務では、「キャリアコンサルタントである」と明示したこと自体が取材・監修の依頼につながりました(後述)。
“資格を名乗れること”が信頼の証明として効く場面はあります。
② 取得までに費用と時間がかかる
養成講習(通学+通信で計140〜150時間程度)+試験対策が必要で、受講料は約30万〜40万円台が中心です。
例えば、資格の大原は受講料294,000円+入学金6,000円。各講習の料金は厚労省「キャリアコンサルタント講習検索サイト」でも確認可。
また、当サイトの以下の記事でも解説をしています。
キャリアコンサルタントのおすすめ通信講座ランキングの記事もあわせてご覧ください。
ただし専門実践教育訓練給付金で最大80%(受講経費の50%+資格取得・就職で+20%+賃金上昇で+10%)が支給され、実質負担は大きく下がります。
なお本調査では11.6%が給付金制度を「知らなかった」と回答しており、知らずに満額を負担してしまうケースもあります。
対象かどうかの事前確認が重要です。
働きながらの取得には数ヶ月を要し、この初期コストが「割に合わない」という声につながります。


独自調査(n=43):給付金利用者65.1%に対し、11.6%は制度を「知らなかった」と回答
③ すぐに収入・転職に直結しない
取得=即収入アップ・即転職成功、とはなりにくいのが現実です。
国の調査(JILPT)では、キャリアコンサルタントとして活動する人の約6割が兼任・兼業で、専任・専業は約4割にとどまります。
直近5年では「キャリアコンサルティングに関連する活動以外の仕事だけで生計を立てている割合が増えた」とも報告されており、資格単体が短期の金銭的成果を保証するわけではありません。
後述の本調査でも、受講者の79.1%は会社員として働きながら取得しています。
④ スキルが抽象的で成果を数値化しにくい
「傾聴」「内省支援」といったスキルは、売上のように数値化しづらく、成果が見えにくい。
社内でも評価につながりにくいという指摘があります。
ただし私の実務では、この“抽象的に見えるスキル”こそが面談や相談の質を左右しています(後述)。
成果が見えにくいだけで、関わり方の質として確かに効いている、というのが実感です。
⑤ 専任の正社員求人が少ない
「キャリアコンサルタント専任」で生計を立てている人は多くありません。
前述のJILPT調査でも専任・専業は約4割で、兼任・兼業が約6割を占めます。
このため「資格を活かす専業ポジションが少ない=役に立たない」と見られます。
裏を返せば、多くのキャリコンは“本業+α”で資格を活かしているということでもあります。



【現役キャリコンの実体験】実務で“役立った場面”と“役立たなかった場面”



実際に「役に立った」場面
私は独立後、キャリア相談・面談を実務として続けています。
これまでに面談業務を約20件、外部スタッフ(外注先・パートナー)向けの相談を約10件ほど対応してきました。
相談は目の前の業務の話だけでなく、「今の仕事を通じて今後どうなりたいか」という将来の目標・キャリアプランにまで踏み込みます。
具体的に役立っているのは次のような場面です。
① 面談で、相手の課題と“やりたいこと”を言語化できる
キャリアコンサルタントの面談スキルは、相手が抱える課題を整理し、「本人がやりたいこと」や「目標」を言語化していく場面で直接役立ちます。
この型を持っているだけで、面談の質は大きく変わります。
② 同僚・後輩からの相談に、傾聴・ヒアリングで応えられる
仕事の相談を受ける場面でも、傾聴・ヒアリングのスキルが効きます。
アドバイスを急がず、まず相手の話を引き出して整理する。
この関わり方は、職場の信頼関係づくりにそのままつながります。
③ 「キャリコンである」と発信したことで、仕事につながった
資格を取って相談業務を行っていたことが伝手となり、サイトの監修依頼が来ました。
そこから監修サイトは3件、記事執筆の依頼が1件、取材が2件へと広がっています。
ポイントは「人の目につく場所に“キャリコンである”という情報を出しておくこと」でした。
資格が“信頼の看板”として働き、新しい機会を呼び込みました。
監修サイトの仕事を任せていた優秀な外部スタッフが、別の仕事に移ろうか迷っていました。
そこで相談に乗り、「本当にやりたいこと」と「長期的な計画」を一緒に確認したところ——今の業務が、本人のやりたいことに実は近づいていることが見えてきました。
結果、本人のキャリアプランが明確になり、今も同じ仕事を続けています。
面談スキルが、人材の定着にそのまま効いた一例です。
正直に言うと「役に立たなかった・期待外れだった」場面
一方で、過度な期待は禁物です。
資格を取っただけでは、独立や新しい仕事にすぐ直結しない。
取得=即・仕事、とはなりませんでした。
資格“だけ”では差別化にならない。
キャリコン資格を取得するだけでは、正直、役立てるのは難しいと感じます。
実際、私の周囲でキャリコンを活かせている人は、社労士・中小企業診断士・心理学系の資格や、カウンセリングの資格・経験など、“もう一つの武器”を併せ持っている人が多い。
資格は出発点で、何と掛け合わせるかが勝負です。
名称独占であって業務独占ではない(前述)。
「キャリコンの資格を取ればいい」というものではない、というのが正直な実感です。
受講者の「役立たなかった」声への、現役からの補足
「人事転職・給与アップには役立たなかった」という受講者の体験談もあります。
現役で資格を活かす立場から補足すると——キャリアコンサルタントとして学ぶクライエントとの関わり方・傾聴・経験代謝といった内容は、どんな仕事でも生きてきます。
資格単体で“役立てる”のは確かに難しい一方、社内の部下・同僚との関わりや、日常の人間関係の中でも活かせる場面は多い。
むしろ「関わり方を意識する」こと自体が、キャリコンとしての意識やスキルをさらに高めてくれます。
つまり給与・転職への直接効果ではなく、“関わり方の質”に効く——これが当事者としての実感です。
【独自調査n=43】養成講座受講者のリアルなデータ



「役に立つか」を考える材料として、実際に資格を取った人たちのリアルなデータを示します。
本調査は2026年4月、キャリアコンサルタント養成講座の受講経験者43名(有効回答)に実施した独自アンケートです。
取得者はどんな人か
- 年代:30代が48.8%と最多。20〜40代で81.4%を占める
- 就労状況:会社員が79.1%(うち人事・人材育成系が34.9%)=働きながら取得が前提
- 取得前の経験:「全くの初学者」が48.8%で最多。未経験から取得した人が約半数
→ 「専門職の経験者しか取れない資格」ではなく、働きながら・未経験から取得している人が多いのが実態です。


独自調査(n=43):受講者の年代分布。30代が最多で48.8%、20〜40代が81.4%を占める
合格と学習のリアル
- 合格状況:1回合格58.1%、2回目以降を含む累計合格率74.4%(本調査回答者ベース)
- 学習時間:最頻は「合計100〜200時間」(44.2%)。1回合格者の最頻も同じ100〜200時間帯で、極端に長時間を要するわけではない
- 苦戦した試験:実技関連(面接53.5%+実技11.6%+論述4.7%)で約7割が苦戦。学科より実技がヤマ場
- 追加教材:83.7%が市販書・YouTube・過去問などを併用(講座教材だけで十分は16.3%)
- 挫折しそうになった経験:62.8%が「ある」と回答。決して楽な資格ではないが、それでも累計74.4%が合格している


独自調査(n=43):最も苦戦した試験区分。実技関連で69.8%が苦戦し、学科より実技がヤマ場
受講者からのアドバイス(自由記述)で最も多かったのは
- 無料説明会・体験で講師との相性を確認
- 給付金対象かをハローワークで事前確認(実質負担が大きく変わる)
- ロールプレイ練習を仲間と継続
- 実技対策の充実度を最優先に講座を選ぶ
- 資格取得をゴールにしない
「これからキャリアコンサルタントを目指す方には、『資格取得をゴールにしないこと』を強くおすすめします。講座で学ぶ内容はあくまで基礎なので、実際の現場では“どう活かすか”が重要になります。」(20代・学科合格)
→ つまり「役に立つかどうか」は、資格そのものより取得後にどう使うかで決まる、というのが当事者たちの共通した実感です。
結局、キャリアコンサルタント資格が「役に立つ人・立たない人」



役に立つ人
- 人事・人材育成・人材紹介・教育機関など、キャリア支援に関わる/関わりたい人(知識・面談スキルが実務に直結)
- キャリア相談を副業・独立で始めたい人(名乗る根拠=信頼の土台になる)
- 自分自身のキャリアや、部下・家族の支援に活かしたい人(自己理解・傾聴が日常で効く)
急がない方がいい・役に立ちにくい人
- 取得=即収入アップを期待している人(短期の金銭リターンは保証されない)
- 資格名だけで転職を有利にしたい人(実務経験の方が評価される場面が多い)
- 取得後に活かす場・行動の予定がない人(“取って終わり”は最も無駄になりやすい)
上記の点を元に、あなたにとって役に立つ資格なのか?というのを見極めてください。
「無駄にしない」ための活用法



有効な活用方向は次の5つです。
- 現職で実績を作る(社内のキャリア相談・面談・研修に手を挙げる)
- 副業で実務経験を積む(キャリア相談サービス等)
- ロールプレイ・勉強仲間を継続(本調査でもアドバイス上位=スキルは使い続けて伸びる)
- 更新講習・上位資格(技能士)でアップデート
- 発信・実名活動で信頼を可視化(監修・寄稿・SNS)
私(現役キャリコン)が実際にやったこと:資格 ×「もう一つの武器」
資格を取って終わりにせず、私は独学でWebを学びました。
書籍を買い、さまざまなサイトを研究し、実際に手を動かす——在職中から少しずつ始め、会社を離れてから本格化させました。
やってみないと分からないことが多く、思うようにいかない時期もありましたが、続けるうちに自分でサイトを運営できるようになりました。
転機はそこからです。
ある程度サイト運営ができるようになったタイミングで、「サイトを運営したいので、キャリアコンサルタントの視点から監修してほしい」という依頼が来ました。
キャリコンとして相談業務をしていたこと+Webを自分で扱えること、その両方があったからこそ生まれた仕事です。
キャリコンとWeb、どちらか片方ができる人は多くても、両方できる人は多くありません。
相談業務もできて、自分でサイトも作れる——この掛け合わせが、いまの私の強みになっています。
資格は、こうして“もう一つの強み”と組み合わせて初めて大きく活きる、というのが実感です。
加えて、キャリアコンサルタントの学習そのものが、自分自身の内省・キャリアの棚卸しになります。
学ぶ過程で「自分が何をしてきたのか」「これからどうなりたいのか」が明確になりやすい——これは“取って終わり”ではない、学習自体が持つ価値だと感じています。
キャリアコンサルタントは役に立たない?に関するよくある質問
キャリアコンサルタントは役に立たないのか?についてのよくある質問回答します。
Q. キャリアコンサルタントは本当に役に立たないの?
A. 「役に立たない」と言われるのは、資格がなくても相談業務ができ、取得が即収入に直結しないためです。一方で、人事・人材・教育・キャリア支援に携わる人や、自己理解・面談スキルを実務で使う人には役立ちます。役立つかは“使い方”次第です。
Q. 資格を取るのは無駄・意味ないですか?
A. 「取って終わり」にすると無駄になりやすい一方、現職や副業で活かす予定がある人には意味があります。本調査の受講者も「資格取得をゴールにしない」ことを最重要アドバイスに挙げています。
私自身、取得して良かったと思います。しかし、キャリコン資格があるからといって、それを仕事に直結させるのは、職種や業種によっては難しい場合もあるかもしれません。
Q. キャリアコンサルタントはオワコン/なくなるって本当?
A. 「なくなる」と断じる公的根拠はありません。JILPTの調査では活躍の場が需給調整機関(ハローワーク等)から企業領域へ大きくシフトしており(企業領域は2006年24.2%→2022年41.7%)、企業内のキャリア支援ニーズはむしろ拡大しています。ただし「専任で食べていけるか」は別問題で、兼業が主流である点は押さえておきましょう。
Q. 「仕事がない」と聞きますが?
A. 「キャリコン専任」で生計を立てる人は多くなく、JILPTの調査でも活動者の約6割は兼任・兼業です。ただし企業内・人材会社・教育機関・副業など活かす形は複数あります。
Q. 実技試験が難しいと聞きますが?
A. 本調査でも約7割が実技(面接・論述)で苦戦と回答しています。学科より実技がヤマ場で、ロールプレイ練習を仲間と継続することが合格の近道です。
Q. 独学でも取れますか?
A. 独学での合格も可能ですが、本調査では83.7%が市販書・動画・過去問などを併用していました。特に実技は一人での対策が難しい点に注意が必要です。
また、これは私の体感ではありますが、経験者は過去の経験もあり、自分の型で関わりや面談を行うことも多いため、養成講座の中では、反対に苦戦している人も見られました。
合格率を高めたい場合は、養成講座に通うのがおすすめです。
Q. どんな人なら取る価値がありますか?
A. 人事・人材・教育・キャリア支援に携わる/目指す人、自分や周囲の支援に活かしたい人です。逆に即収入アップや資格名での転職だけが目的なら、優先度は下がります。
Q. 取得後の年収はどのくらいですか?
A. JILPTの調査では、キャリアコンサルタントの年収は「300〜400万円未満」が最多(16.5%)、次いで「400〜500万円未満」(14.5%)で、中央値は400〜500万円未満。回答者の約半数が年収400万円以上と、同時期の給与所得者の平均(約458万円)と同程度です。ただし働き方による差が大きく、正規雇用では500万円台が最多な一方、非正規雇用は約7割(68.9%)が年収400万円未満に集中します。なおこれは兼業も含めた収入で、資格・キャリコン活動単体で稼いだ額ではない点に注意が必要です。
まとめ:キャリアコンサルタントは“使い方次第”で役に立つ
「役に立たない・無駄」と言われる理由は事実に基づきますが、いずれも“条件付き”です。
現役の実務では、面談・傾聴のスキルや「キャリコンである」という発信が、人材の定着や監修・取材の仕事に確かにつながりました。
結論として、役に立つかどうかは資格そのものより“取得後にどう使うか”で決まります。
人事・人材・教育・キャリア支援に関わる人や、自分・周囲のキャリアに活かしたい人には確かな武器になる一方、即収入や資格名だけの転職を狙うなら期待は禁物です。
取るなら“もう一つの武器”と掛け合わせ、実績を作り、発信で信頼を可視化する——それが資格を“無駄にしない”最短ルートです。

コメント