公認会計士は、監査業務を独占業務とする国家資格で、試験の合格率が1割を下回る難関資格です。
しかし高い年収で社会的信頼も得られる魅力的な資格でもあります。
自分でも合格できるか、どれくらい勉強すれば合格できるか、気になる人も多いのではないでしょうか。
そこでこの記事では、公認会計士試験の難易度が気になる方に向けて、合格率や必要な勉強時間、合格者の傾向や他資格と比較など、様々な観点から難易度を解説します。
公認会計士試験は、通信講座や予備校を利用した勉強もおすすめです。
詳しくは公認会計士のおすすめ通信講座でも解説しているので、ぜひご参考になさってください。
公認会計士試験の難易度は?
公認会計士試験の難易度を把握するために、以下のデータをまとめました。
- 公認会計士の合格率
- 公認会計士の勉強時間の目安
公認会計士の合格率
公認会計士試験の直近7年の平均合格率は8.6%です。
令和元年〜令和7年までの各年の合格率は以下のようになっています。
| 年度 | 合格率 |
| 令和7年 | 7.4% |
| 令和6年 | 7.4% |
| 令和5年 | 7.6% |
| 令和4年 | 7.7% |
| 令和3年 | 9.6% |
| 令和2年 | 10.1% |
| 令和元年(平成31年) | 10.7% |
合格率は7.4%〜10.7%で推移しており、例年10%前後です。
とても難しい資格と聞いていた割に、合格率が高いと感じた方も多いのではないでしょうか?
しかし、資格の合格率と難易度は必ずしも一致するとは限りません。
たとえば日商簿記1級も回によって合格率が1割前後となるため、合格率の数字だけで資格同士の難易度を単純比較することはできません。
資格ごとに受験する人の知識量や意気込みも異なります。
そのため合格率はあくまでも参考程度にするのがよいでしょう。
いずれにしても、公認会計士の試験の合格率は決して高いものではなく、しっかりと対策をしなければ、合格するのは難しいということは改めてお伝えするまでもないかもしれません。
公認会計士の勉強時間の目安
では、公認会計士に合格するための勉強時間について調査を行いました。
公認会計士試験合格のために必要な勉強時間の目安は3000~4000時間と言われています。(参考:資格の学校 TAC)
しかしこれはあくまで目安でしかありません。
必要な学習時間は、簿記・会計の学習経験や確保できる学習時間などによって個人差があります。
合格までに必要な学習時間から、1日あたりの勉強時間や学習期間を算出できます。
そこで1日あたりの勉強時間と必要な年月の関係を表にまとめました。
| 1日あたりの勉強時間 | 3000時間 | 4000時間 |
| 3時間 | 2年9カ月 | 3年8カ月 |
| 5時間 | 1年8カ月 | 2年2カ月 |
| 8時間 | 1年 | 1年4カ月 |
学習時間を3000時間と仮定した場合でも、1日に8時間勉強しても、1年かかる計算となります。
3000~4000時間はあくまで学習時間の目安です。1日に確保できる時間によって必要な学習期間は大きく変わるため、自分の生活に合わせて無理のない計画を立てることが大切です。
仮に3000時間程度の学習と考えると、1日あたり3~5時間勉強する計算なるので、両立は大変かもしれませんが、働きながらでも確保可能な時間と言えます。
必要とする勉強時間は個人差があるとはいえ、数千時間勉強しなくてはいけないことに変わりありません。
毎日数時間の勉強を、数年にわたって続ける継続力が求められるため、公認会計士の試験に合格するのは、難易度が高いと言えるでしょう。
公認会計士試験はどれくらい難しい?
公認会計士試験は、合格率だけでなく、試験範囲の広さや必要とされる学習量から見ても難関資格です。
令和7年(2025年)試験は、願書提出者22,056人に対して最終合格者1,636人で、合格率は7.4%でした。
ただし、資格ごとに受験者層・試験科目・合格基準が異なるため、「偏差値」のような非公式の数値だけで国家資格の難易度を順位付けすることはできません。
公認会計士試験の難易度を判断する際は、公式の合格率や試験科目、合格基準、必要な学習量などを総合的に確認するのがよいでしょう。
公認会計士試験はなぜ難しい?
| 公認会計士試験はなぜ難しい? |
| ・試験科目が多い ・幅広い科目をバランスよく学ぶ必要がある |
公認会計士試験の難しさを説明してきました。
では、なぜ公認会計士は難しいのでしょうか?
公認会計士が難しいと言われる主な理由を解説したいと思います。
試験科目が多い
公認会計士の試験は短答式(一次試験)と論文式(二次試験)があります。
短答式は4科目、論文式は5科目といずれも科目数が多めです。
どの科目も難しい上に、1科目でも穴があっては合格ができません。
短答式試験は総得点70%が合格基準の目安です。ただし、1科目の得点が満点の40%を満たさず、かつ一定の下位基準に該当する場合は不合格となることがあります。論文式試験は令和8年試験まで52%が合格基準の目安で、1科目の得点比率が40%に満たない場合は不合格となることがあります。
そのため、どの科目も満遍なく学習を進める計画力が求められます。
幅広い科目をバランスよく学ぶ必要がある
公認会計士試験には、一定の免除制度があります。
短答式試験に合格すると、合格発表の日から2年を経過する日までに行われる短答式試験について、出願時の手続きにより免除を受けられます。
また、論文式試験で不合格となった場合でも、一部科目で公認会計士・監査審査会が相当と認める成績を得ると、その科目は合格発表の日から2年間、論文式試験で免除を受けられます。
そのため「一度不合格になると必ず全科目を受け直す」というわけではありません。ただし、短答式・論文式ともに複数科目を学ぶ必要があり、試験範囲が広い点は公認会計士試験の難しさの一つです。
なお、令和9年(2027年)試験からは、短答式試験の財務会計論・管理会計論・監査論の3科目で一部英語による問題が出題されます。また、論文式試験の合格基準となる得点比率の目安は、従来の52%から54%へ3~4年かけて段階的に引き上げられる予定です。
公認会計士試験にはどのような人が合格している?
公認会計士試験の合格者の傾向がわかれば、自分でも合格できるのか参考になりますよね。
令和7年度の合格者の詳細を以下の切り口から見ていきます。(出典:令和7年公認会計士試験 合格者調)
- 職業別の合格者数
- 年齢別の合格者数
- 学歴別の合格者数
職業別の合格者数
| 職業区分 | 合格者構成比 |
| 会計士補 | 0.2% |
| 会計事務所員 | 4.1% |
| 税理士 | 0.0% |
| 会社員 | 5.4% |
| 公務員 | 1.4% |
| 教員 | 0.1% |
| 教育・学習支援者 | 0.1% |
| 学生 | 55.3% |
| 専修学校・各種学校受講生 | 5.7% |
| 無職 | 24.1% |
| その他 | 3.4% |
令和7年試験では、合格者の職業区分で「学生」が55.3%と最も多く、「無職」が24.1%、「専修学校・各種学校受講生」が5.7%、「会社員」が5.4%でした。
学生の割合が高い一方、会社員や公務員など働きながら合格した人もいます。職業別の構成比だけでは、職業ごとの合格しやすさまでは判断できない点に注意しましょう。
年齢別の合格者数
| 年齢区分 | 合格者構成比 |
| 20歳未満 | 1.6% |
| 20歳以上25歳未満 | 61.2% |
| 25歳以上30歳未満 | 26.3% |
| 30歳以上35歳未満 | 7.3% |
| 35歳以上40歳未満 | 2.3% |
| 40歳以上45歳未満 | 0.9% |
| 45歳以上50歳未満 | 0.0% |
| 50歳以上55歳未満 | 0.3% |
| 55歳以上60歳未満 | 0% |
| 60歳以上65歳未満 | 0% |
| 65歳以上 | 0% |
令和7年試験では、20歳以上25歳未満が合格者の61.2%、25歳以上30歳未満が26.3%を占めています。
若い年代の合格者が多いことは公式データから確認できますが、この構成比だけで年齢そのものが合否を左右すると断定することはできません。
公認会計士試験には年齢による受験資格の制限がなく、令和7年試験の合格者は最年少16歳、最高年齢54歳でした。
学歴別の合格者数
| 学歴区分 | 合格者構成比 |
| 大学院修了 | 2.3% |
| 会計専門職
大学院修了 |
1.9% |
| 大学院在学 | 1.3% |
| 会計専門職
大学院在学 |
1.3% |
| 大学卒業
(短大含む) |
46.8% |
| 大学在学
(短大含む) |
39.9% |
| 高校卒業 | 4.8% |
| その他 | 1.7% |
令和7年試験では、「大学卒業(短大含む)」が46.8%、「大学在学(短大含む)」が39.9%を占めています。一方、高校卒業者も4.8%を占めています。
公認会計士試験には学歴による受験資格の制限がありません。学歴別の合格者構成比は公表されていますが、出身校の偏差値と合格率の因果関係を示す公式データはありません。
そのため、出身大学や高校の偏差値だけで合格可能性を判断するのではなく、試験範囲に対応した学習を継続できるかどうかが重要です。
公認会計士試験が難しくても人気な理由
公認会計士試験は毎年1万人以上が受験する資格で、人気があります。
高い難易度であるにも関わらず、多くの人が受験するのは、それに見合うだけの魅力が公認会計士にはあるからです。
公認会計士の魅力を2つお伝えします。
- 高い年収で、安定した需要の仕事が得られる
- 受験資格要件がなく、誰でも受験できる
高い年収で、安定した需要の仕事が得られる
財務書類の監査は、企業にとって重要な業務です。
この重要な業務を、公認会計士は独占業務として実施できます。
そのため高い収入が得られ、仕事の需要も安定しているのです。
厚生労働省の職業情報提供サイト「job tag」によると、令和7年賃金構造基本統計調査をもとにした公認会計士の年収は810.8万円です。
ただし、この統計上の職業分類や集計対象には留意が必要で、実際の年収は勤務先や経験年数、役職、働き方などによって異なります。
受験資格要件がなく、誰でも受験できる
公認会計士試験は受験資格がなく、誰でも受験できるのも人気の理由です。
資格によっては、国家試験の受験までに所定の教育課程などが必要なものもあります。
公認会計士試験には年齢・学歴・国籍などによる受験資格の制限がなく、誰でも受験できます。
一方、公認会計士には受験資格要件がありません。
これまでの経歴に関わらず、待遇の良い仕事が得られるチャンスであるため、人気があります。
公認会計士試験とその他資格試験の比較
公認会計士とよく比較される3つの資格を、難易度の観点から比較しました。
- 簿記一級
- 税理士
- 司法書士
| 資格名 | 目安勉強時間 | 合格率 |
| 公認会計士 | 3000~4000時間 *1 | 7.4%(2025年) |
| 簿記一級 | 500~1200時間(簿記3級未取得、1からの勉強) *1 | 21.2%(2026年6月・第173回) |
| 税理士 | 4000時間 *2 | 科目により異なる |
| 司法書士 | 3000時間 *3 | 5.2%(2025年度) |
(参考 *1:資格の学校 TAC, *2:SKIFULL *3,:生涯学習のユーキャン)
では、それぞれの内容について詳しく見ていきましょう。
簿記一級
公認会計士試験と簿記一級はいずれも、経理系の資格です。
簿記一級の方が難易度は低いと言われています。
理由は以下のとおりです。
- 勉強時間は500〜1200時間*と公認会計士と比較して短い
- 簿記一級の出題範囲は公認会計士の範囲に含まれる
(参考:資格の学校 TAC)
公認会計士試験の受験者の中には、中間目標として簿記一級を受験する人もいます。
公認会計士と異なり、簿記一級に独占業務はありません。
しかし、高い専門性を有している証明となるため、就活やキャリアアップに生かすことできます。
「公認会計士は必要な勉強時間も長くて、ハードルが高すぎる」と感じた方は簿記一級を検討してみるのもいいでしょう。
簿記1級の対策には、通信講座や予備校を利用するのも良いでしょう。
税理士
次に、税理士です。
税理士も経理系の資格です。
税理士試験も複数科目にわたる専門知識が必要な難関試験です。
大きな理由としては、税理士試験は科目別合格があるからです。
公認会計士試験は科目毎の合否がありません。
不合格であれば、次回受験時には全科目を受ける必要があります。
一方、税理士試験は科目毎に合否の判定があり、1度合格した科目はその後ずっと有効です。
科目毎に分割合格をして、数年かけて税理士を目指すことも可能です。
科目合格制のため、複数年に分けて受験計画を立てることもできます。
ただし注意点として、税理士には受験資格要件があるので、興味がある方は受験可能か確認してみてください。
司法書士
司法書士は法律系の資格です。
経理系の資格である公認会計士とは業務内容も異なりますが、どちらも高難易度の国家資格であるため、よく比較されます。
共通点は以下の通り。
- 受験資格要件がない
- 合格に必要な勉強時間の目安は3000時間程度*
(参考:生涯学習のユーキャン)
司法書士試験の合格率は5%前後と、合格率は司法書士試験は公認会計士試験より低めです。
しかし一般に公認会計士試験の方が難度は高いと言われており、資格スクールによるランキングでも公認会計士のほうが上位に位置付けられています。
司法書士試験と公認会計士試験では、試験科目や求められる能力も異なります。
人によって得意・不得意もあるので、どちらが難しいかは参考程度にするのがよいでしょう。
公認会計士試験の難易度に関するQ&A
公認会計士試験の難易度に関するよくある質問をまとめました。
| 公認会計士試験の難易度に関するQ&A |
| Q.1 公認会計士はやめとけと言われる理由は? Q.2 公認会計の難易度、大学別の合格者は? Q.3 公認会計士になるのに、出身大学や高校の偏差値は関係ある? Q.4 公認会計士になるには? Q.5 公認会計士は独学での合格が難しい? |
公認会計士はやめとけと言われる理由は?
A. 試験合格までに長期の学習が必要になりやすく、合格後も登録までに複数の要件があるためです。
公認会計士試験は合格率が1割を下回り、学習時間も3000~4000時間が一つの目安とされています。
さらに、試験合格だけで直ちに公認会計士として登録できるわけではありません。原則3年以上の実務経験、実務補習、修了考査への合格などが必要です。
一方で、公認会計士には監査という独占業務があり、会計・財務の専門性を活かせる職種です。目指すかどうかは、必要な学習期間や仕事内容を理解したうえで判断するとよいでしょう。
公認会計士の難易度、大学別の合格者は?
A. 大学別の合格者は公式には公開されていない
大学別の合格者は、試験を執り行う公認会計士・監査審査会からは公開されていません。
大学別の合格者数は、公認会計士・監査審査会の公式統計では公表されていません。一部の大学が独自に合格者数を公表していますが、集計方法が統一された公式ランキングではないため、大学間の単純比較には注意が必要です。
公認会計士になるのに、出身大学や高校の偏差値は関係ある?
A. 出身校の偏差値と合格率の関係を示す公式データはありません。
公認会計士・監査審査会は合格者の学歴区分を公表していますが、出身大学・高校の偏差値別の合格率は公表していません。
また、公認会計士試験には学歴による受験資格の制限がありません。
令和7年試験では高校卒業者も合格者の4.8%を占めています。出身校の偏差値だけで合格の可否を判断せず、必要な学習量を確保し、試験範囲を継続して学ぶことが重要です。
公認会計士になるには?
A. 試験合格に加え、原則3年以上の実務経験・実務補習・修了考査などが必要です。
公認会計士として登録するには、公認会計士試験に合格するだけではなく、原則として3年以上の業務補助等の実務経験が必要です。
実務経験の時期は試験合格の前後を問いません。
さらに、一般財団法人会計教育研修機構が実施する実務補習を受け、日本公認会計士協会による修了考査に合格し、内閣総理大臣の確認を受ける必要があります。
その後、公認会計士名簿への登録と日本公認会計士協会への入会を経て、公認会計士として業務を行います。
なお、2023年4月1日の改正法施行時点ですでに2年以上の実務経験がある人には経過措置があります。
公認会計士は独学での合格が難しい?
A. 独学も可能ですが、学習範囲が広いため計画的な対策が必要です。
- 教材選びや学習計画を自分で管理する必要がある
スクールに通わない場合、テキスト選びも自分で行う必要があります。
どれがよいテキストなのかは、初学者では判断は難しく、テキストが最新の改正に対応しているかもわかりません。
独学では、試験制度や法令・会計基準等の変更も自分で確認しながら学習を進める必要があります。
- 長期間の学習を継続する自己管理が必要
資格スクールには、同じく公認会計士を目指す人がいます。
同じ目標を持った人が周りにいるというのは心強く、モチベーションへとつながります。
独学では質問先や学習仲間を確保しにくい場合もあるため、学習計画やモチベーションの管理方法をあらかじめ考えておくとよいでしょう。
まとめ:公認会計士試験の難易度は?0からでも合格できる?
公認会計士試験は、令和7年試験の合格率が7.4%で、短答式4科目・論文式5科目に対応する必要がある難関国家資格です。
一方で、年齢・学歴・国籍などによる受験資格の制限はありません。
令和7年試験では高校卒業者や会社員、公務員などの合格者もおり、特定の学歴や職業でなければ受験・合格できない試験ではありません。
合格を目指す場合は、3000~4000時間という学習時間の目安も参考にしながら、自分が確保できる学習時間に合わせて長期的な計画を立てることが大切です。
また、令和9年(2027年)試験からは短答式試験の一部で英語による問題が出題され、論文式試験の合格基準も段階的に見直される予定です。これから学習を始める方は、最新の受験案内を確認しながら対策を進めましょう。
